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日本建築学会環境基準 雨水活用技術規準 (AIJES-W0003-2016) 第1章 目的と範囲 雨水循環系、降雨特性 第2章 総則 蓄雨、雨水活用、敷地 第3章 蓄雨技術 防災、治水、環境、利水 第4章 敷地別蓄雨 蓄雨高の計算方法、建築敷地別の計算 第5章 雨水活用評価 雨水収支、低炭素、コスト、感性 第6章 雨水活用事例 雨水活用システム事例、水質 雨水活用技術規準 目次 建築における雨水利用はこれまでにも多くの取り組みが行われて きました。しかしながら、2014年4月に「雨水の利用の推進に関する 法律」が公布され、これまでと社会の状況が変化しています。日本 建築学会では、環境工学委員会水環境運営委員会の下で雨水への 取り組みが継続的に行われており2011年には「雨水活用建築ガイ ドライン」を刊行し、その続編としてこのほど「雨水活用技術規準」 を刊行いたしました。ゲリラ豪雨が頻繁に起き、異常気象が極端気 象と呼び替えられるに至った今日、これまでの下水道や河川では 雨水に対応できなくなり、流域全体で面的に雨水を管理すること が求められています。雨を防ぎ流し去るだけという建築のつくり 方を根本的に見直す必要があることから、本規準では雨を貯めて 活かす「蓄雨(ちくう)」という新たな概念を提示しています。 「蓄雨」 は、すべての敷地において100㎜降雨に対応する規準を設けたもの で、治水だけでなく、利水、防災、環境の4つの側面からこれらを統 合的に管理する技術であり、建築を起点としたまちづくりの手法 ともなります。本規準では「蓄雨」の実践方法として、「雨水活用建 築ガイドライン」に基づく敷地レベルでの造園や土木と連携した 雨水管理の方法や、雨水活用の効果についての評価方法も示して います。今後、個人の家や庭のつくり方を含めて、全国で自治体雨 水計画や地域雨水計画を立てて いく必要が生じます。その際に は、「雨水活用建築ガイドライ ン」や「雨水活用技術規準」を手 掛かりに、地域の状況に即した 計画を立てることができます。 日本建築学会 環境基準 雨水活用技術規準 (AIJES-W0003-2016) 利水 蓄雨 環境 蓄雨 治水 蓄雨 防災 蓄雨 制作・著作:近藤デザイン研究室・近藤晶、監修:笠井利浩、技術監修:日本建築学会 雨水活用推進小委員会 蓄雨に関することをさらに知りたい方は 「『蓄雨』解説アニメーション」 (YouTubeコンテンツ)をご覧下さい。 www.youtube.com/watch?v=uKvIvqvUrgg

雨水活用技術規準(AIJES-W0003-2016) 利水 蓄雨 環境 蓄雨 治水 蓄雨 防災 蓄雨 制作・著作:近藤デザイン研究室・近藤晶、監修:笠井利浩、技術監修:日本建築学会

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Page 1: 雨水活用技術規準(AIJES-W0003-2016) 利水 蓄雨 環境 蓄雨 治水 蓄雨 防災 蓄雨 制作・著作:近藤デザイン研究室・近藤晶、監修:笠井利浩、技術監修:日本建築学会

日本建築学会環境基準 雨水活用技術規準 (AIJES-W0003-2016)

第1章 目的と範囲雨水循環系、降雨特性

第2章 総則蓄雨、雨水活用、敷地

第3章 蓄雨技術防災、治水、環境、利水

第4章 敷地別蓄雨蓄雨高の計算方法、建築敷地別の計算

第5章 雨水活用評価雨水収支、低炭素、コスト、感性

第6章 雨水活用事例雨水活用システム事例、水質

雨水活用技術規準 目次

建築における雨水利用はこれまでにも多くの取り組みが行われて

きました。しかしながら、2014年4月に「雨水の利用の推進に関する

法律」が公布され、これまでと社会の状況が変化しています。日本

建築学会では、環境工学委員会水環境運営委員会の下で雨水への

取り組みが継続的に行われており2011年には「雨水活用建築ガイ

ドライン」を刊行し、その続編としてこのほど「雨水活用技術規準」

を刊行いたしました。ゲリラ豪雨が頻繁に起き、異常気象が極端気

象と呼び替えられるに至った今日、これまでの下水道や河川では

雨水に対応できなくなり、流域全体で面的に雨水を管理すること

が求められています。雨を防ぎ流し去るだけという建築のつくり

方を根本的に見直す必要があることから、本規準では雨を貯めて

活かす「蓄雨(ちくう)」という新たな概念を提示しています。「蓄雨」

は、すべての敷地において100㎜降雨に対応する規準を設けたもの

で、治水だけでなく、利水、防災、環境の4つの側面からこれらを統

合的に管理する技術であり、建築を起点としたまちづくりの手法

ともなります。本規準では「蓄雨」の実践方法として、「雨水活用建

築ガイドライン」に基づく敷地レベルでの造園や土木と連携した

雨水管理の方法や、雨水活用の効果についての評価方法も示して

います。今後、個人の家や庭のつくり方を含めて、全国で自治体雨

水計画や地域雨水計画を立てて

いく必要が生じます。その際に

は、「雨水活用建築ガイドライ

ン」や「雨水活用技術規準」を手

掛かりに、地域の状況に即した

計画を立てることができます。

日本建築学会 環境基準

雨水活用技術規準(AIJES-W0003-2016)

利水蓄雨

環境蓄雨

治水蓄雨

防災蓄雨

制作・著作:近藤デザイン研究室・近藤晶、監修:笠井利浩、技術監修:日本建築学会 雨水活用推進小委員会

蓄雨に関することをさらに知りたい方は「『蓄雨』解説アニメーション」(YouTubeコンテンツ)をご覧下さい。www.youtube.com/watch?v=uKvIvqvUrgg

Page 2: 雨水活用技術規準(AIJES-W0003-2016) 利水 蓄雨 環境 蓄雨 治水 蓄雨 防災 蓄雨 制作・著作:近藤デザイン研究室・近藤晶、監修:笠井利浩、技術監修:日本建築学会

地球上の水は、海・空・陸を、ゆっくりと循環しています。

しかし、都市化のために、地面はコンクリートなどで覆われ

浸透・保水能力を失い、下水道や河川によって降った雨を速や

かに排水させることによって、本来の水の循環を崩していま

す。また、下水道や河川の排水能力を超える雨が降ると、あっ

という間に街が水浸しになる「都市型洪水」も発生します。

これらの問題を解決するためには、街に“雨をとどめるしく

み”「蓄雨(ちくう)」が必要なのです。

4つの蓄雨を組み合わせ

敷地ごとに雨を蓄えると

大きな効果を発揮します。

防災蓄雨①災害時の生活用水を確保します

治水蓄雨②万が一の洪水をやわらげることができます

③ 環境蓄雨自然の水循環を復活させ、ヒートアイランド対策になります

④ 利水蓄雨日常的に雨水を生活用水として利用できます