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関節リウマチの治療と注意点 倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター

関節リウマチの治療と注意点fkmc.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/07/... · グルコサミン、コンドロイチンについて •関節リウマチに対する効果は示されていません。

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関節リウマチの治療と注意点

倉敷成人病センター

リウマチ膠原病センター

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炎症 とは ほのお(炎)

火事のことです。

リウマチとは関節の火事です

関節炎の起こりやすさを数字(パーセント)で示しています

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治療はリウマチの火事を消すことです

焼跡が残りやすい

水・消火剤

化学消火剤

火事だ!

生物学的製剤

非ステロイド性抗炎症薬

ステロイド薬

抗リウマチ薬

健康食品やサプリメントでは火を消すことができません。

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主な抗リウマチ薬

ケアラム(イグラチモド) リウマトレックス(メトトレキサート) リマチル(ブシラミン)

アザルフィジンEN

(サラゾスルファピリジン)

プログラフ(タクロリムス) アラバ(レフルノミド)

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生物学的製剤

商品名 レミケード エンブレル ヒュミラ シンポニー シムジア アクテムラ オレンシア

一般名 インフリキシマブ エタネルセプト アダリムマブ ゴリムマブ セルトリズマブペゴル トシリズマブ アバタセプト

製薬会社 田辺三菱 ファイザー

武田

アッビィ

エーザイ

ヤンセン

田辺三菱

UCB

アステラス

中外 ブリストル

小野

投与法

3mg/kgを0, 2, 6

週に、その後は3~10mg/kgを8週間隔で約2時間で点滴する。

*投与間隔は4

週まで短縮できるが、その場合は最高6mg/kg。

週1回25~50mg

または

週2回10~25mg

を皮下注射する(自己注射可能)。

40mgを2週に1回

皮下注射する(自己注射可能)。

MTXなどの抗リ

ウマチ薬を併用しない場合は1回80mgまで増量可。

MTX併用の場合50~100mgを4週に1回皮下注射する。

MTXを併用しない場合4週に1回100mgを皮下注射する。

400mgを0, 2, 4週に、その後は2週に1回200mgまた4週に1回400mgを皮下注射する(自己注射可能)。

4週に1回

8mg/kgを

1時間で点滴する。

162mgを2週に1

回皮下注射する(自己注射可能)。

体重<60kg:500mg

60~100kg:750mg

≧100kg:1000mg

を0, 2, 4週に、

その後は4週

に1回30分で点滴する。

初回は(点滴と同時に)125mgを皮下注

射し、その後は週に1回皮下注射する

(自己注射可能)。

MTX併用 必須 推奨 推奨 推奨 推奨 不要 推奨

1か月の

およその費用(3割

負担、体重50kg)

3~7万円 (3~10mg/kg)

(4回目以降)

4~4.3万円 4.3万円 4万円(50mg)

7.8万(100mg)

4.3万円

(4回目以降)

2.7~3万円 3.7万円(点滴は4回目以降)

皮下注射

自己注射

皮下注射

自己注射

皮下注射 皮下注射

自己注射

皮下注射

自己注射 皮下注射

自己注射

IL-6阻害薬 TNF阻害薬 共刺激阻害薬

※MTXはメトトレキサート (リウマトレックス®、メトレート®など)のことで、関節リウマチ治療におけるアンカードラッグ(中心となる薬)です。

※費用には採血や内服薬などを含んでおりません。医療費について詳しいことは当院のメディカルソーシャルワーカーが相談に乗ります。

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• 効果:生物学的製剤と同等の効果がある。

• 費用:生物学的製剤と同等の値段で高い。

• 副作用:生物学的製剤と同様に感染症に対する注意が必要。また、新薬なので未知の副作用(発癌など)が起こる可能性がある。

ゼルヤンツ(トファシチニブ)

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内服日 翌日 翌々日以降

飲み忘れに気付いたのが翌日なら、その週は1日ずらして内服してください。翌週からは、通常の曜日に戻して飲んでください。

飲み忘れに気付いたのが翌々日以降なら、その週は飲まずに、翌

週から再開してください。

×

リウマトレックスを飲み忘れたら

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グルコサミン、コンドロイチンについて

• 関節リウマチに対する効果は示されていません。

• 膝や股関節の変形性関節症に対して、グルコサミン 1500mgを毎日3年間飲むと関節の隙間が約0.3mm狭

くなるのを防ぐ効果があり、グルコサミンもコンドロイチンも痛みや動きやすさが改善するという報告があります。(Arch Intern Med 2003;163:1514-22)。

※ グルコサミンもコンドロイチンも日本では認可された薬ではないため、表示内容以外の不純物が混入していたり、内容量が不正確である可能性があります。病院としてお勧めするものではありません。

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副作用対策

• 生物学的製剤を使用される方は、感染症予防のため、ワクチン接種をお勧めします。

• 関節リウマチの患者さんは骨粗鬆症になられる方が比較的多く、特にステロイドを長期使用されている方は骨密度の測定をお勧めします。

• ステロイドを長期内服されている方は、白内障や緑内障などの副作用が出現することがあるため、定期的に眼科を受診されることをお勧めします。

• 免疫抑制剤を使用される方は、B型肝炎ウイルスの検査をお勧めします。

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ワクチン接種について

• 生物学的製剤を使用していると、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンの効果が弱くなるという報告がありますが、まったく効果がないということではありません。

• 日本リウマチ学会では「インフルエンザワクチンは可能な限り接種すべきであり、肺炎球菌ワクチン接種も考慮すべきである。」と提言しています。

• 65歳以上で、これから生物学的製剤の使用を予定されている場合は生物学的製剤導入前に肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されます。

※ 生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく、水痘など)は生物学的製剤や免疫抑制剤 を使用している場合には接種できません。

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商品名 製剤写真 注意点

ビタミンK2製剤 グラケー ワーファリン併用禁

活性化 ビタミンD3製剤

カルシトール

高Ca血症 ワンアルファ

エディロール

ビスフォスフォネート製剤

フォサマック

顎骨壊死

*抜歯などの歯科治療では休薬が必要です

アクトネル

ベネット

SERM(選択的エストロゲン受

容体モジュレーター)

エビスタ 静脈血栓塞栓症

ビビアント

当院採用の主な骨粗鬆症治療薬(内服)

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商品名 製剤写真 使用法 注意点

カルシトニン製剤 エルシトニン 週一回 筋注

ビスフォスフォネート 製剤 ボナロン 月一回 点滴 顎骨壊死*

副甲状腺 ホルモン

フォルテオ 毎日皮下注 最長24ヶ月間

自己注射可能

テリボン 週一回皮下注 最長72週間

抗RANKL モノクローナル抗体 プラリア 半年1回皮下注

低Ca血症 顎骨壊死*

当院採用の主な骨粗鬆症治療薬(注射)

*抜歯などの歯科治療では休薬が必要です

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B型肝炎ウイルスについての注意事項

2011年10月18日付けで日本リウマチ学会から『B型肝炎ウイルス

感染リウマチ性疾患患者への免疫抑制療法に関する提言』が発表されました。

B型肝炎ウイルスの再活性化 B型肝炎ウイルスに感染すると、多くの方では肝炎の症状の有無にかかわらずウイルスは体内から排除され、なおります。このように、B型肝炎ウイルス感染

がなおった方を既往感染者と呼びますが、昨今の検査技術の進歩により既往感染者の方でもB型肝炎ウイルスの遺伝子の一部が肝臓の細胞中に残ってしまうことが分かってきました。一方で、B型肝炎ウイルスに感染後、ウイルスが完全に

排除されず、肝炎を発症しないまま体内にウイルスを保有し続ける場合があり,このような方を持続感染者(キャリア)と呼びます。

これらの既往感染者や持続感染者(キャリア)が、化学療法や免疫抑制療法を受けている間あるいは終了後に、血中のB型肝炎ウイルスが検出されるようになる、あるいはウイルス量が増加してくる場合があり、これをB型肝炎ウイルスの再活性化と呼び、さらに、血中のB型肝炎ウイルス量が十分に増加すると、肝炎を発症する場合があることもわかってきました。 このため免疫抑制療法を受けられる方は、可能な限りB型肝炎に関する検査をするよう、このたび日本リウマチ学会より推奨されました。

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○副腎皮質ステロイド(中等量以上) プレドニン メドロール リンデロン デカドロン

○抗リウマチ薬

リウマトレックス(メトトレキサート) プログラフ(タクロリムス) アラバ ブレディニン

○生物学的製剤

レミケード エンブレル ヒュミラ シムジア

アクテムラ オレンシア シンポニー

○免疫抑制薬

イムラン エンドキサン

ネオーラル セルセプト

該当する薬剤

B型肝炎ウイルスについての注意事項