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1 品質経営の新原理“サイエンスTQM”の展開 -戦略的階層化チーム活動の有効性- 天坂 格郎 (青山学院大学) Development of Science TQM, New Quality Management Principle: Effectiveness of Strategic Stratified Task Team at Toyota Kakuro AMASAKA Aoyama Gakuin UniversityAbstract- To gain the position of a top runner of the 21st century, the authors have proposed and discussed the effectiveness of “Science TQM”, a new principle of quality management. This paper refers to the significance and effectiveness of “strategic joint team activities for cooperative creation”, necessary for the development of “Science TQM”. Concretely, the author proposes the formation of creative and strategic “stratified task teams” (Task-1 to 8), and the verification of their effectiveness within Toyota and the Toyota group. Keywords: Science TQM, five core principles-TMS,TDS,TPS,TIS TJS, Science SQC, Customer Science, Strategic Stratified Task Team, , Toyota, 1. はじめに 21 世紀におけるグローバル生産の成功の鍵は日本的品質経営を刷新することの重要性を捉え、 天坂 1-2) は次世代型の“品質管理の新原理-サイエンス TQM”を提唱し、その有用性を論証してい る.天坂は、Total Development System(TDS)、Total Production System(TPS)、Total Marketing System(TMS)、Total Intelligence Management System (TIS), Total Job Quality Management System (TJS)の中核技術を持つ、“サイエンスTQM”が発展し定着することを期待している. 提唱できた“サイエンス TQM”は、天坂 3-4) が提唱した“品質管理新論-サイエンス SQC”の戦 略的運用により5つの中核技術が強化され、さらにトータルリンケージされることで、体系的・ 組織的に品質経営の諸課題の解決に役立つことが例証されている. 特に、知的な仕事の創出がミッションであるはずの、所謂、“ホワイトカラー”は眼前の仕事に 追われ、そのために日々の仕事の手順が受動的になりルーティン化してしまうことが懸念される. グローバルな企業経営の視点から、今後、大切になってくるのは顧客志向に視座した“仕事の価 値”の創出であり、そのためにはビジネスプロセスの変革をすることが重要となる. そのためには、既成に囚われずに関連企業・関連部門が自発的かつ相互に協力できる、ビジネ スプロセスのハイサイクル化を実現できるよう有機化された“協創的チーム活動”が必要不可欠 になってくると考える. それ故に本論では、“サイエンスTQM”のグローバル展開に必要な、戦 略的協創チームの必要性と有用性を論考する. 具体的には、創造性と戦略性を持つ“階層化タス クチームの形成”を創案しその効果を検証する. 数理システムユーザーカンファレンス, 2007.11.22(参考資料1) 特別講演「ニュージャパンモデル:サイエンス TQM-戦略的品質経営の理論と実際」 出典[1]K.Amasaka, Development of “Science TQM”, A New Principle of Quality Management, International Journal of Production Research, Vol.42, No.17, pp.3691-3706 (2004). [2]K.Amasaka, (Invited Lecture) Science TQM, a New Quality Management PrincipleInternational Symposium on Business and Industrial Statistics, Azores University, Ponta Delgata, Portugal (2007). [3]天坂編著,「ニュージャパンモデル:サイエンス TQM-戦略的品質経営の理論と実際」,2007,丸善

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品質経営の新原理“サイエンスTQM”の展開

-戦略的階層化チーム活動の有効性-

天坂 格郎 (青山学院大学)

Development of Science TQM, New Quality Management Principle: Effectiveness of Strategic Stratified Task Team at Toyota Kakuro AMASAKA (Aoyama Gakuin University) Abstract- To gain the position of a top runner of the 21st century, the authors have proposed and discussed the effectiveness of “Science TQM”, a new principle of quality management. This paper refers to the significance and effectiveness of “strategic joint team activities for cooperative creation”, necessary for the development of “Science TQM”. Concretely, the author proposes the formation of creative and strategic “stratified task teams” (Task-1 to 8), and the verification of their effectiveness within Toyota and the Toyota group. Keywords: Science TQM, five core principles-TMS,TDS,TPS,TIS&TJS, Science SQC, Customer Science,

Strategic Stratified Task Team, , Toyota, 1. はじめに

21 世紀におけるグローバル生産の成功の鍵は日本的品質経営を刷新することの重要性を捉え、

天坂 1-2)は次世代型の“品質管理の新原理-サイエンス TQM”を提唱し、その有用性を論証してい

る.天坂は、Total Development System(TDS)、Total Production System(TPS)、Total Marketing

System(TMS)、Total Intelligence Management System (TIS), Total Job Quality Management

System (TJS)の中核技術を持つ、“サイエンス TQM”が発展し定着することを期待している.

提唱できた“サイエンス TQM”は、天坂 3-4)が提唱した“品質管理新論-サイエンス SQC”の戦

略的運用により5つの中核技術が強化され、さらにトータルリンケージされることで、体系的・

組織的に品質経営の諸課題の解決に役立つことが例証されている.

特に、知的な仕事の創出がミッションであるはずの、所謂、“ホワイトカラー”は眼前の仕事に

追われ、そのために日々の仕事の手順が受動的になりルーティン化してしまうことが懸念される.

グローバルな企業経営の視点から、今後、大切になってくるのは顧客志向に視座した“仕事の価

値”の創出であり、そのためにはビジネスプロセスの変革をすることが重要となる.

そのためには、既成に囚われずに関連企業・関連部門が自発的かつ相互に協力できる、ビジネ

スプロセスのハイサイクル化を実現できるよう有機化された“協創的チーム活動”が必要不可欠

になってくると考える. それ故に本論では、“サイエンス TQM”のグローバル展開に必要な、戦

略的協創チームの必要性と有用性を論考する. 具体的には、創造性と戦略性を持つ“階層化タス

クチームの形成”を創案しその効果を検証する.

数理システムユーザーカンファレンス, 2007.11.22(参考資料1) 特別講演「ニュージャパンモデル:サイエンス TQM-戦略的品質経営の理論と実際」

出典[1]K.Amasaka, Development of “Science TQM”, A New Principle of Quality Management, International Journal of Production Research, Vol.42, No.17, pp.3691-3706 (2004).

[2]K.Amasaka, (Invited Lecture) Science TQM, a New Quality Management Principle,International Symposium on Business and Industrial Statistics, Azores University, Ponta Delgata, Portugal (2007).

[3]天坂編著,「ニュージャパンモデル:サイエンス TQM-戦略的品質経営の理論と実際」,2007,丸善

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2. 企業経営と創造的企業の風土づくり 2)

最近の企業経営活動を注視すると、業界のリ-ダ-とも言える企業が思いもしないような内外

の品質問題に奔走するケースや、技術開発に遅れが生じ企業存続の危機に陥っているケースも散

見される.一方で、足元を固め世界を見据え問題解決力を持った人材を育成し、全社挙げてのトー

タルマーケテイングにより企業経営の信頼性を高め、この何十年間活き活きと成長し続けている

企業も少なくない. これらの企業は、足元を固め世界を見据え、問題解決力を持った人材を着実

に育成してきたことが持続的成長の要諦をなしている. このような企業間格差が生まれる背景は何であろうか.経営者の関心事は、“顧客最重視の品質

経営”であり、それを実現させる“人を活かし組織を活性化する企業風土創り”による理に適う

経営成果の創出ではなかろうか.

多くの日本企業では、かなり前からほぼ似通った力を持つ学生を全国の大学などから採用して

いるのだから、入社後の若きビジネスマンが如何にして創造的な仕事に取り組み、企業の風土改

革の先駆者となっているかが、企業盛衰の鍵を握っていることは明らかであろう. 3. 仕事の信頼性とチーム活動の重要性

そこで、企業経営の信頼性の基盤をなす

仕事の質に視座し、全部門が体系的・組織

的に連携することの重要性を考える.図・1

は一般的企業の組織体系図であり、図中に

は上流から下流に至る代表13部門とそれら

のミッションを明示している 2).

さらに、各部門の仕事の質を信頼度で捉

え、表・1にケース1~6を例示する 5).

簡単のために、部門間の連携(情報の伝達

率)を 1.00(100%)と仮定するとき、ケース

1では 1部門の信頼度が99.9%であっても、

全体の不信頼度で 1.3%のクレームが市場

に発生する.

同様に、信頼度がケース2(99.0%)、ケ

ース3(95.0%)、ケース4(99.0%)へと

順に低下すると、全体の信頼度は急速に低

下し、顧客の満足度を損なう“市場リコー

ル”は必然的に発生する.ケース5では1部

門のミスだけで同様な問題が発生する.当

然ながら、部門間連携が損なう(情報の伝達

率が 1.00 以下の) とき、全体の信頼度はさ

らに低下することは明白である.

そこで天坂 2)は,分散化した組織の中で個

人の知的レベルを上げ組織パフォーマンス

を高めるため、相互に連携するチーム活動

の意義を捉えその有効性に言及する.チー

ム活動を戦略化することは、企業経営の要

である人材・組織、知識・価値、品質・情報、

開発・システムなどの観点からも重要であ

る.

今後は、各部門がケース 6(99.99%)以上

の高信頼度を実現でき、部門間連携を十分

高められる、新たな品質経営の方法論の創

出が必要と考える.

-トータルマーケテイング活動が大切-

サービス

製造検査 生産準備

実験評価

研究開発

設計 デザイン

製品企画 商品企画 市場調査

購買調達

Q品質保証 C

原価管理 D

量・納期

生産技術 スピーデ イ ー

どうやって 売るか

うまく 造れたか

どうやって 造るか

何を 造るか

営業・販売

どう ありたいか

どう だったか

タイムリー

何が 必要か

図1.企業組織の体系図とその活動 2)

・ケース1:99.90%/部門 →0.99913=0.987(1.3%の問題) ・ケース2:99.00%/部門 →0.99013=0.878(12.2%の問題) ・ケース3:95.00%/部門 →0.95013=0.513(48.7%の問題) ・ケース4:90.00%/部門 →0.90013=0.254(74.6%の問題) ・ケース5:12 部門が 99.99%、1部門が 50.00% →0.99912×0.500=0.4999(50.01%の問題) ・ケース6:99.99%/部門 →0.999913=99.88%(0.12%の問題)

表・1 13 部門の仕事の信頼性 5)

クレーム

リコール

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4. チーム活動の意義と推進のための要求事項

組織と人の係りを捉え、「企業の中で、創造性の必要のない部門はどこですか?チーム活動の必

要の無い部門はどこですか?」という問いかけにそれを否定するケースは少ない. 企業経営活動

の中で、人は完全な自由の下では目標を失うか、目標を持ち得たとしても各人バラバラになり、

互いに触発されることがないと考える. 経営者が明確なビジョンを明示し、マネージャーが的確

なミッションを持って指導・実践し、組織全体を方向付けすることは、決して自由の拘束ではなく

ブレークスルーの生産性を高めることになる. これにより個人知...

・組織知...

を高め、仕事の信頼

性・商品の信頼性向上に繋がる. チーム活動の意義するところは、相互触発(シナジー効果による『ビジネスプロセスの質向上』

と『経営成果の実現』の場と考える 6). それを実現しうるチーム活動の実行段階では、図・2に

示す専門知識、思考能力、仕事の価値の 3 要素が必要となる 2). その推進には、4 つの要件(ミ

ッション、プロモーションサイクル、パフォーマンスメジャー、仕事の成果)を整備することが

重要と考える. これらの要件を満たすビジネスの展開により、チームメンバーは確実に問題解決

の頂に到達することが可能になると考える(図2, Step1→Step 5).

5. チーム活動に必要な創造性と戦略性 現今、我国の企業環境は大変厳しいものがあり、中でも製造業は、もの造りのグローバル化、情報

通信技術の浸透、地球環境への対応など、企業経営の高信頼性が求められている. その実現のため

には、理に適う企業経営(SS)、顧客価値の向上(CS)、従業員価値向上(ES)、関連企業と

の相互信頼を絆にした協動(SCM)を進めなければならない7). 実施段階では、創造性と戦略性

を持ったチーム活動により、人間信頼性を高め、商品力の強化の向け、トータルマーケテイング活動

が求められる 2). チーム活動には、技術・事務の管理部門(頭脳集約型)に多いタスクチーム(タス

クフォース)/プロジェクトチームや、さらには現業部門(労働集約型)のQCサークル活動など、

様々な活動形態がある 8).

特に現今の厳しい企業環境を打開するには、頭脳集団と言われる、所謂、ホワイトカラーの生産性

向上が今日的な課題である. とりわけ、日常業務に追われルーテインワークになりがちなビジネスプ

ロセスを刷新し、仕事の価値を創出することが極めて大事である.そのためにも、関連部門が自律神

経を持って連携し合える、新たな概念と仕組みを持つ戦略的チーム活動が今必要とされている 9).

戦略的チームの期待と役割は、自社内の各部門間の連携に止まらず、所謂、系列メーカ、非系列メ

ーカ、諸外国メーカとの企業間協創の強化を意味している.論者の知りうる限りでは、このような視

点から経営技術の進歩に寄与する戦略的協創チームの行動モデルを提案し、それらの有効性を実証し

た研究例は見当たらない 10).

プロモーション サイクル

創造性 ・発想力 ・創意工夫 ・実践力

専門知識

・技術

・技能

思考能力

・課題創出

・問題解決

仕事の価値・モチベーション ・モラール

-問題解決の山登り-

ミッション

CS

ES

SS

QCD スピード

タイミング 技術・技能

の伝承 知的財産 人材育成

パフォーマンスメジャー

仕事の喜び・成長

(Step 5) 評 価

(Step 4)成 果

(Step 3)実 施

(Step 2) 実行計画

(Step 1)問題発見/課題設定

図・2 チーム活動に必要な3要素と推進要件 2)

問題解決の山登り

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6. 戦略的階層化タスクチームの創案 企業経営は事業1年・財務3年・人創り 10 年と比喩される。持続的成長を可能にするための経

営技術戦略として、天坂は”戦略的階層化タスクチーム”を提案する 2).そのための方策は、個人の

技術や経験則に頼りがちな仕事からの脱皮であり、部門間や仕入先他との連携を重視する、階層

化タスクチームの構造モデル(Task 1~Task) 2)を図3に創案することによるビジネスプロセスの

刷新である. そのシナリオの第1弾は、品質経営の要としての技術者の問題解決力を高める“SQCルネサ

ンス” 11) (1988~)である.帰納的アプローチを指向し“SQCテクニカルメソッド 13) と“SQC活用事例登録・検索システム”14)を援用し、Task-1 の小グループ、Task-2 の課・係レベルのタ

スクチーム活動にチャレンジし、全社的プロモーションサイクル(実施-成果―教育―人材育成)11) を推奨している.これにより、技術系スタッフ全員の活動とし、慢性問題やボトルネックな技

術課題解決に成果が得られることを期待している 13).

第2弾は、さらに潜在的・予見的技術課題の解決のため、演繹的アプローチも重視した、図 4

に見る品質管理原論“サイエンスSQC”3) (1994~)の確立と展開によるエクセレントテーマの

解決である.部・部門に跨る活動として、部課長が率先垂範するタスクマネジメントチーム活動

(Task-3,Task-4)とする.個別解法に留まらず普遍化できる一般解を創出するため、“マネジメ

ントSQC”14)と“SQC統合ネットワークシステム”15)などの4つのコア原理を援用し、各部・

各部門のタスク展開が効果的になるよう有機化させる 16).

Task-2 Task-1

Task-6同 Joint A

Task-7 同 Joint B

部 門 ▶ 部 ▶

全 社 ▶

会社間 B ▶ 協力会社(非系列)

課 ▶ グループ ▶

Task-8 同 Joint C

海 外

タスクチーム

図・3 戦略的階層化タスクチームの構造モデル 2)

製品化戦略 I

ネック技術、継続課題 問題解決能力の向上

製品化戦略 Ⅱ 新技術、新工法、新企画 戦闘能力のある人材育成

品質経営戦略 Ⅰ CS, ES, SS

トータルマーケテイング

品質経営戦略 Ⅱ 重要経営技術課題

グローバルマーケテイ

Task-4 タスクマネジメント Task-3 チーム

Task-5 トータルタスクマネジメントチーム

技術レベル

国 内 会社間 A ▶ 協力会社(系列)

会社間 C ▶ 協力会社(諸外国)

戦 略 レベル

チーム構成

“サイエンティフィックSQC”

-科学的アプローチ-

“SQCテクニカルメソッド”

-問題解決の山登り-

“TTIS” -財産化・伝承発展-

“マネジメントSQC”

-体系的・組織的-

サイエンス

SQC

図・4 サイエンスSQCの概念図3)

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図3-1 感性のエンジニアリング

言葉(顧客)

言葉(顧客)

イメージ(コンセプト)

イメージ(コンセプト)

図面(技術)

図面(技術)

市場 商品

$yー暗黙知ー ー明白知ー

主観の客観化

主観情報

y 客観の主観化

客観情報

ー言語知ー・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・

図・5 カスタマ⊶サイエンスの概念図 20)

第 3 弾は、経営トップが率先垂範する、経営技術課題へのチャレンジであり、プロジェクト指向

型の“トータルタスクマネジメントチーム活動”(Task-5:1996~)である.その主眼は、“生産

と品質”情報のグローバル活用や労働作業の変革による、日本的生産システムの刷新をミッショ

ンとしている 17-19).さらには、顧客最重視の品質経営の強化のために、図 5に示す顧客の気持ち

を科学化する“カスタマーサイエンス”20)を志向し、これにより営業・販売・企画・開発設計・

生産・事務・管理へと波及させる、新たな品質経営の新原理“サイエンスTQM”1- 2)を図 6 に

新たに提案している.

その特徴は、“サイエンスSQC”を全部門の連携強化のための共通言語に用い、図中のように

5つの中核技術として、Total Marketing System (TMS)、Total Development System (TDS)、Total

Production System (TPS)、Total Intelligence Management System (TIS)、Total Job Quality

Management System (TJS)を確立・強化し、それらをトータルリンケージし“ビジネスプロセス

のハイサイクル化”をすることで、次世代型の経営技術戦略を可能にするものである 1).

(付録―1に、“サイエンスTQM”の要諦をなす5つの中核技術を示す。詳細は、参考文献[1,2]

を参照されたい)

第4弾の重要な品質経営戦略は、図 7に示す“ジャパンサプライシステム”21)を有機化させる

品質マネジメントの強化である. 商品力強化のための高信頼性活動として、仕入先と協創する

“ジョイント式トータルタスクマネジメントチーム活動”14)22)(1997~)を実施し、“サプライチ

ェーンによるプラットホーム方式の品質マネジメント”22)を指向する.Task-6 では、資本提携の

ある系列サプライヤーとの協創 14)を、Task-7では系列外のサプライヤーとの協創 22-23)を意図し

ている.新たな品質技術戦略として、何れも世界的懸案事項となっている最重要課題を解決する

Total Job Quality Management System

総合企画

技術管理

財 務・経理

販売管理

品質保証 TQM 推進 人事・総務

生産管理

安全衛生

・環境

渉 外

TDS

TPS うまく

造れたか

何が 必要か どう

だったか

TJS

TIS Total

Intelligence Management System

Total Marketing System

Total Development System

TotalProduction

System

どうやって

売るか 何を

造るか

どうやって

造るか

物流・サービス

検査

生産技術

実験評価

研究開発

設計

デザイン

製品企画商品企画

市場調査

製造

生産準備

営業・販売

品質保証 量・納期管理

原価管理 Science SQC

TMS

情報技術

調達管理

どう

ありたいか

広 報・宣伝 海外事業

図・6 次世代型品質経営の新原理“サイエンス TQM”2)

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ことで、技術創造に繋げる取り組みである. そして、Task-8(1998~)のミッションは、Task1

から Task-7 の技術蓄積を活かす海外サプライヤーとの連携強化を布石としている 24).

7. 戦略的協創チームの形成

図 3 に創案した”戦略的階層化タスクチーム”が“サイエンス TQM”を展開し、経営技術に関る

諸問題を解決するためには、図 8 に示す“戦略的協創チーム”2)の結成が不可欠である.タスク

チームが戦闘能力を有するためには、すべてのチーム構成員は、図中のように (i)体系的・組織的

な活動による戦略性、(ii)中核技術を高めるテクノロジー、(iii)理論と実際のギャップを解き明か

すメソドロジー、(iv)チーム活動の期待と役割を実現させるようプロモーションの4要素を具備し

なければならない.そのためには、解決すべき経営課題の技術レベルが高いほど、構成メンバー

には(a)「ジェネレータ」の発想力が必要であると同時に、それを現実化させるための(b)「メンタ

ー」としての戦略的識見が不可欠となる。 さらに、タタスクチームに効果的な駆動力を生むためには、目標達成に向けた(c)「プロデュー

サ」としての創作力と、チーム全員の総意を結集させる(d)「プロモータ」としての統率力が要求

される.チーム活動を狙いどおり成功させるためには、結成されたタスクチームを統括する“ボ

ス(統括者)”は、これらの(a)から(d)の力量を少なくとも一つ以上を持つ構成メンバーを適確に

選出し、彼らに権限と責務を与え、ボス自身は進捗管理だけでなく危機管理に心がけることが大

切である.それ故に経営者は、当該技術課題の解決に際し、構成メンバーが窮地に陥ったときに

は、迅速にボス自らが知恵を出し陣頭指揮し、構成メンバーと一緒に不測の事態を乗り切れる“修

羅場の経験と力量”を持つ人材を“ボス”に登用することが極めて大切になる.

8.適用事例: 戦略的階層化タスクチーム活動の変遷 2)

本章では、トヨタ自動車㈱における“SQC ルネサンス-サイエンス SQC-サイエンス TQM”の展

開に寄与してきた“戦略的階層化タスクチーム活動(Task1-Task8)”の有様を捉え、品質経営

における“品質技術戦略”の有効性を論考する(1-4).以下では、これまでに論者がマネジメントに

関り、学術諸団体で公表された研究事例を引用する.

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

図3 ジャパンサプライシステム

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

図3 ジャパンサプライシステム図・8 ジャパンサプライシステム

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

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トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

図3 ジャパンサプライシステム

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

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トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

トヨタサプライシス テム

… … …

… ・ ・ ・ ・

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トヨタ自動車 協豊会 トヨタグループ

1次サプライヤー

2次サプライヤー ( 約千社)

3次サプライヤー ( 数千社)

(約 百 社 )

ジャパンサプライシステム

プラットホーム型SCM

製造 メーカサプライヤー

非系列 系 列

図3 ジャパンサプライシステム図・8 ジャパンサプライシステム図・7 ジャパンサプライシステム 21)

Figure 7 the cooperative creation team

-経営技術課題-

(a) (b)

(d)

図・8 戦略的協創チームの構成 2)

(i) Strategy

-体系的・組織的-

(ii) Technology

-中核技術-

(iii) Methodology

-理論と実践-

(iv) Promotion

-期待/役割-

ジェネレータ

プロデューサ プロモータ

メンター

戦略的 協創チーム

(c)

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7

8.1 戦略的階層化タスクチーム活動の変遷 2)

表2は、階層化タスクチーム活動の態様(研究テーマ*Task1~Task8)を例示している。

横軸は、(a)製造工場、(b)生産技術、(c)開発設計、(d)営業・販売,(e)事務・管理部門のタスクチー

ムであり、表中の X 印は部署間の協業を示している。→はタスク活動で得られた成果(技術的知見)が次の研究テーマ(タスク活動)へ反映される、所謂、技術の伝承・発展の態様を表している. 縦

軸は、階層的タスクの態様が時系列で層別されている. 上段は、(1)“SQC ルネサンス”(SQC 活用の胎動期/フェイズ 1~2、1988~)における Task1(グ

ループレベル)と Task2(課レベル)を表している. 中段は、(2)“サイエンス SQC”(科学的な SQC活用の展開期/フェイズ2~3、1991~)の Task3(部レベル)と Task4(部門レベル)を表している. 下段は、(3)サイエンス TQM(科学的な TQM の推進期/フェイズ4、1996~)の Task 5(全社レベ

ル)を表している. さらに、最下段表中には、(4)系列の仕入先メーカと協業する Task 6、(5)系列

外メーカとの Task7、(6)海外メーカとの Task 8 がある(Task8の研究例は省略). これらの態様

を通し、今日的な品質技術課題が体系的・組織的に推進展開され、品質技術戦略レベルを高めて

いく態様から、図 3 に示した戦略的階層化タスクチームの構造化モデルの有効性が伺える.

8.2 SQC ルネサンスに寄与したタスクチーム活動

“SQC ルネサンス”の幕開けは、研究開発部門が取り組んだ (1)“燃費改善要因の解析” 25)に

よって始まった.研究開発者らはタスクチーム(Task1)を編成し、各種エンジンの採取済みの燃料

消費データを活用し層別型の曲線重回帰分析を行なうことで、燃費と設計因子の関係をモデル化

した.これにより、燃費に影響力のある要因効果を捉え最適制御することで極めて短期間に省燃

費なエンジンの開発を可能になり、“レーザーエンジン”開発の発火点となった.このSQCアプ

ローチを適用し、(2)“デイーゼルエンジン排気臭の最適制御”26)などの新技術開発が連鎖した

(1988-1989).

同様に、生産技術や製造工場の各部門も生産と品質の改善が進んだ.タスクチームもグループ

レベルから係・課のレベルと拡大した(1990~1991).例えば Task2 では、(3)“メッキ部品の防錆

品質保証”27)や“大型プレス部品のスプリングバックの予測・制御”28)などの新工法の開発へと

発展した.これらの成果は、階層別SQCセミナー22)の受講による人材育成が要諦をなしている.

8.3 サイエンスSQCを進展させたタスクマネジメントチーム活動

前述のタスクチーム活動が効果的に機能したことで、部・部間が連携するタスクマネジメント

チーム(Task 3~4)へ拡大した(1992-1995)。例えば、開発設計部門では、図4の“サイエン

スSQC”を展開し、(5)“自動車揚力特性の推定”29)では、ニューラルネットワークと多変量

解析を併用し、CAEの予測精度を向上させて開発期間の短縮に繋げるなど、重要課題の解決が

部レベル(Task 3)で推進した。その成果をさらに高めるべく、部間を跨ぐ Task 4 が各部で編成さ

れた。例として、生産技術部門と工場部門がジョイントした(6)“社員食堂の望ましい食堂環境に

関する提案”30)、“快適な職場環境の構築の提案”31)や、(7)“部品組付の誤欠品防止”32)などの

新しい課題の改善が進んだ.

これらの成果は、スタッフ向けの階層別SQCセミナー15)や管理者向けの“マネジメントSQ

Cセミナー” 22)による人材育成が寄与している.“サイエンスSQC”の展開では、管理者やス

タッフが経験則に頼る仕事の仕方から脱却するよう、“SQCテクニカルメソッド”(N7-信頼性

解析法-多変量解析法-実験計画法など)を活用し、試行錯誤のない問題解決の山登り........

により“一

般解”を導出したことが全社的SQC推進の原動力となった。Task3や Task 4 では、プロモータ

役の部長級が、プロデューサ役の課長級をマネジメントし、スタッフのジェネレータとメンター

らと協創が成功の要といえよう.

8.4 サイエンスTQMを駆動したトータルタスクマネジメントチーム活動

Task1 から Task4 のチーム活動の拡がりと成果は、さらに経営者自身が統括リーダーとして、

重要な経営技術課題の解決に陣頭指揮する“トータルタスクマネジメントチーム活動―Task5”の

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41

年 度 技術課題(実施部署・テーマ名 ⇒ SQC適用範囲の広がり)       SQCの展開

(土壌づくり)

(種まき)

(麦踏み)

(発

芽)

(若

葉)

(成

長)

(つぼみ)

(開

花)(結

実)

’88

’89

’90

’91

’92

’93

’94

’95

’96

’97

’98

【事務・管理】 【販売・商企】 【 技 術 部 門 】 (技術×生技) 【 生 技・工 機 部 門 】 (生技×工場) 【 工 場 部 門 】 【TQM】

燃費改善要因の解析

B.12 開発部

E/G放熱量の予測式構築

B.11研究部ディーゼル排気

臭の評価法開発(感性評価)

プレス素材形状

予測法の検討

高耐食ステンレス鋼開発 セラミックター ボチャージャ

の信頼性向上

加速寿命試験の考え方と実施例

熱可塑ウレタン大型サイドモー ル開発

前突時サブマリ

ン現象条件解析

車載用ハイブリット I゙C

の信頼性の考察

自動車の揚力特

性推定の一研究

耐摩耗性焼結材

料の快削化検討

ルーフ単体張り

剛性簡易評価法

PSギア設計諸

元の影響解析

ウレタンバンパ

リサイクル研究

PSホース信頼

性向上の一考察

戦略特許プロジ

ェクト タスク1

ソアラ、P/Jブレーキ鳴き

P/J QA 改

車体防錆に関する

QAネットワーク活動

QA1

車体防錆に関する

QAネットワーク活動

QA2

オイル付着

メカニズム究明アリスト

P/J

広告の効果 プロファイル

デザインブレーキ品質

AC Q 65

信頼性研究会

戦略特許プロジ

ェクト タスク2

TCIA

オイルシール油洩れ

DOS-Q5

少量サンプルから強度分布の特定法

プレス金型切刃

精度の解析

焼結部品の成

形割れ防止対策

電気制御糸工事

の信頼性向上

アブレーダブル溶射

技術の開発

部品組付け誤欠品発生防止

カムシャフトの

鋳肌不良対策

PPバンパー

収縮率の予測

複腕ロボット信頼性設計

プレス部品スフリ゚

ングバックの解析

制御盤による設

備停止時間短縮

Alダイカストヘッド

難造化対応

樹脂バンパー金

型製作費用解析

ボデーとバンパー

の色合わせ評価

E/G自動組付

ライン信頼性向上

ノンフロン原料

の実用化検討

ボデ ー生産ライン

設備信頼性向上

ブロー成形の均

一肉厚成形技術

快適な職場環境

づくり活動

食堂のあるべき

喫職環境の提案

ボデー部品の面

品質の定量化

焼結部品の割れ

防止条件の検討

ショックアブソ

―バー品質向上

耐ノイズ性設備

配線構造

ロッドピストン

防錆品質保証

シリンダーヘッ

ド最適鋳造条件

デリバリパイプ

の品質向上

低圧鋳造工程の

除去環境改善塗装ブース

作業環境改善

高生産堅型加圧

鋳造技術の確立

鋳造ラインの効率

的不良対策手法

QCサークル活動に

関する一考察

職場活性化の

現状解析と提言

創造性高い開発

活き活き度向上 CSサークル

支援

職場活性化の

現状解析と提言

創造性高い開発

活き活き度向上 CSサークル

支援

検査情報システム

THIの開発 災害事例の

特徴分析

作業負担評価

高周波加熱機の

電力低減

アルミ鋳造引け巣

不良対策

A種T/A鋳造

品質の向上

C ショップ連絡会

AWD-6

【技術課題】A;企画・管理、 B;新技術、 C;新材料、 D;新設計・評価、 E;新工法、 F;ネック技術、 G;慢性課題、 S;安全環境・労働環境、 J;事務・管理

D.11 研究部

D.試作部

D.2車実

C.材技

D.材料

D.1電技

D.11開発部 C.2材技

D.2電技

D.1実験部 C.1材技

D.1ボ設 D.2車技 C.2材技 D.2車技

A.知財、生開

TQM

G.技術、7生 TQM

F.2車技、曙 TQMA.デザイン、TQM

A.デザイン、TQMD.3パワー

G.技術、7生 TQM

A.技術、TQM

F.2車、アイシン TQMA.デザイン、TQMA,4車部、TQM

A.関係各部

F.DT、NOK、 TQM

A.知財、生開

TQM

D.ST部 F.5生

G.1工機 B.1生

D.1工機 F.6生

D.2生D.FA部

D.MS部 E.4生

F.7生

C.6生

B.6生

D.DE部

D.MS部

D.2生

D.ST部

B.FA部

D.PE部

S.安管部

F.三好

A.5生、TQM

A.5生、TQM

A.生開、TQM

A.生開、TQM

A.ST部、TQM

A.ST部、TQM

B.計技、TMM TQM

S.車生、安管

TQM

S.安管、車生 TQM

B.衣浦 A.4生、工場 TQM

S.PE部 S.上郷

G.田原 G.4生、衣浦

A.TQM、高岡

G.上郷 G.明知

S.堤 G.田原

G.上郷

G.明知

F.元町

E.上郷

F.元町

(※1)

(要因解析)

(予測式)(信頼性)

(制御)

(新材料)

(衝突安全)

(インライン SQC)

(マーケティング)

(販売・企画)

(技術)

(ロバスト設計)

(技術)

(生技・工場)

(生技・工場)

(※1)

(※2)

タスク1

タスク1

タスク1

タスク2

タスク2

タスク2進行中

進行中 進行中

進行中

進行中

進行中

進行中

(※2)

鍛造あばたキズ

の要因解析

G.本社プロペラシャフトジョイント

特性の高精度化

B.ユニット生技

車両内装質感に

おける官能評価

(生技)

D.6生、高岡

自動車製造の

QCを見直す

TQM

トヨタにおける

SQC教育実践

TQM

トヨタにおけるSQC

解析ソフトの活用

TQM

SQC活用事例の登録

・検索システムの構築

TQM

トヨタグループへのSQC

ルネサンスの展開

TQM

技術の財産造りのためのSQC統合ネットワー クの確立

TQM

トヨタが進めている

SQC留学制度について

TQM

トヨタにおけるSQC

の展開と効果

TQM

自由意見を用いたアンケ

トー解析に関する一考察

TQM

仕事の流れにとけこむ

SQCソフトを目指して

TQM

SQC推進状況の

評価に関する一考察

TQM

“インライン・オンラインSQC”の

有効性に関する一研究

TQM

マネジメントに役立つSQCの

有効性に関する一考察

TQM

製造業における新しい

SQCの考え方・進め方

に関する一考察

TQM

SQCテクニカルメソッド

活用

G.元町

PS寿命向上に

関する要因解析

D.2車技

(工場)

(※3)

(※4)

(※4)

(※3)

付図← サ

イエ

ンス

TQM

表 2 トヨタの戦略的階層化タスクチーム活動の変遷(1988-2000)

Task

Tea

m- 1

, -2

Task

Tea

m –

3, -4

, -5

Task

Tea

m- 6

,-7,-8

(Amasaka, IJPR, 2004 [2])

第4フエイズ

(1)

(2)

(4)

(3)

(5)

(6)

(6)

(7)

(8)

(9)

(10)

(11)

(8)

(12)

(12)

(13) (15)

(15)

(15)

(17)

(18)

←SQCルネ

サン

←サ

イエ

ンス

SQC

1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000

販売・管理 シ ス テ ム

営業・販売 システム

A 販売,TQM

A 営業 TQM

A B E F G S 労働作業の改革 AWD-6P/J

(Aging& Work Development 6 Programs Project)

【技術課題】A 企画/管理 B 新技術 C 新材料 D 新設計/評価 E 新工法 Fネック技術 G 継続課題 S安全環境/労働環境

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9

編成に繋がった.顧客が欲しくなる前にほしいものを提供する新たな方法論として、天坂 20)が創

案した“カスタマーサイエンス”がそれを駆動した.

商品技術戦略として、開発設計・生産技術・管理部門が協創した、(8)“戦略特許”33)プロジ

ェクトがある.エンジニアが考える良い特許のイメージの概念構成をモデル化したことで、知的

生産性向上の評価システムの確立を可能にした.このイメージを具象化するアプローチは、(9)

“Lexus GS400 デザインプロファイル”(日本車名、アリスト)34)の研究に適用された.ここでも

“SQC テクニカルメソッド”を応用した“デザイン・テクニカルメソッド”(TDS-DTM)の方法論

を開発したことで、世界の名車が具備してきた普遍的な“プロポーション比率”を探しあてた.

この知見をもとに、さらに(10)Lexus(LS430 日本車名:セルシオ)20) 35)のデザイン開発に展開で

き,世界で好評を得ている 36).

同様に、生産技術部門と工場部門が協創した、(11)“エンジン鋳造の新工法開発”15)や (12)

“車体防錆技術”37)の研究から“QA ネットワークシステム”が確立した.加えて、(13)“生産設

備の稼動・保全システム”38)と(14)“インテリジェンス IT 化管理図”39)の併用により“TPS-QAS”18)の構築を実現している.これらの成果は、関係各部門に連鎖し、(15)全社的な“New QC サーク

ル活動”40)にも連鎖し、今日の“高品質保証のもの造り-TPS の進化”に貢献してきている.

Task 5 のチーム活動は、顧客との絆作りを強化するためにも活かされた.例として、IT と“サ

イエンス SQC”を援用した、(16)“トヨタセールスマーケテイングシステム” 41)の開発や、効果

的な宣伝に寄与する(17)“チラシ広告効果”5)など、営業・販売の変革にも波及した.さらに近

年では、事務・管理部門がプロモートした全社活動として、生産現場の高齢化・女子化にも対応

した(18)“AWD-6P/J―労働作業環境改善”19)に繋がった.何れのタスク活動も所与の成果が得

られたことで“TDS・TPS・TMS・TIS・TJS”の中核技術が確立でき、今日の統合化に寄与している 2).

8.5 サイエンスTQMを発展させたジョイント式トータルタスクマネジメントチーム活動

自動車製造メーカが世界的な品質競争に打ち勝つには、部品メーカーとのパートナリングが必

要不可欠である.そこで天坂 42)は、系列メーカ及び非系列メーカとジョイントするタスクチーム

活動を Task 6 と Task 7 として新たな枠組みの展開を実施した. Task 6 では、世界の自動車メ

ーカの技術課題であった、(19)“ブレーキ品質の改善”に取り組み、曙ブレーキ 22)とアイシン 14)

の両社とそれぞれ協創した.

これまでは、背反事象と捉えられてきたブレーキの鳴き・効き・耐久摩耗性の因果関係を探求

したことで、全体最適化を図る新材料と新工法の開発と生産を短期間で可能にした.さらに同様

に、Task 7 では(20)“駆動系オイルシールの油漏れの品質改善”23) に取り組み、NOK と協創し

た.これまでは、不可能であった油漏れ挙動の可視化を行ない、油漏れメカニズムを解明したこ

とで画期的な品質改善が可能にできた.

前者の場合は、トヨタがプロモートし、曙及びアイシンの開発設計・生産技術・製造・販売・

サービスらで編成した“DOS-Q5”及び“QAT-6P/J”チームがトータルビジネスプロセスの刷新を

支援した.後者の場合は、トヨタと NOK がそれぞれに“TDOS-Q5”と“NDOS-Q8”を編成し、さ

らに両社が融合する“デュアル式トータルタスクマネジメントチーム”とした.これらのタスク

活動は何れも“品質技術戦略”のための“プラットホームによるサプライチェーンマネジメント”

である.これらの成果を反映し、現在では“Task 8”を編成し、海外とのジョイントが急進展し

ており、所与の成果が出はじめている 24).

9. まとめ

本報では、次世代型品質経営の新原理“サイエンス TQM”の展開として、“階層的タスクチーム

活動”を創案し、“戦略的協創タスクチーム”の意義とその有効性を検証した.品質技術戦略に寄

与したタスクチームの効果は、1つには今日的な技術課題の解決に”サイエンス SQC”を問題解

決の方法論として武装させたこと、2つには科学的な品質経営の必要性を捉えた“サイエンスTQM”

の展開であり、3 つには創案した“戦略的階層化構造を持つタスクチーム”による個人と組織の

信頼性を高める連鎖的なシナジー効果である.

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10

図3“TPS”の概念図

付図・2 開発設計のビジネスプロセス

付録―1 コア技術の確立と“サイエンスTQM”

(1) 第1原理“TDS” 最近のリコール問題を注視すると,技術開発・設計評価に起因する信頼性問題が急増している.

単なる個別技術問題の解決にとどまらず,技術開発のビジネスプロセスの変革につながる中核技

術の創出と,“人間信頼性”の向上につながる中核技術の確立が求められている.

第1の原理“TDS”の主眼は、付図1に示すように4つのサブコアエレメント(a)~(d)を具

備することで、“情報の共有化”、技術の進化に呼応した“最新技術の創出”と“最適化設計”を

可能にする.必要な技術要素としては、(a)設計フイロソフイーを重要視した社内外情報に基づく

設計,(b)理に適う設計プロセスを目指した開発設計マネジメント,(c)最新の設計技術による普遍

的な解(一般解)を得るために強化された設計テクノロジーを組み入れたデザインメソッドの創

出,(d)開発設計者の設計指針(論理→行動→意志決定)を明白化した開発設計管理法の体系化で

ある.

これらのリンケージサイクルのシナジー効果により、部分的な解決法を積み上げる“個別解法”

ではなく,普遍的な技術的解決法の確立が期待される.

高信頼性を保証する開発設計の実現にむけて TDS を効果的に運用させるためには、付図2に示

す開発設計のビジネスプロセスの各段階で、実証科学的なビジネスアプローチにより“サイエン

スTQM”を適用することが大切である.

(2)第2原理“TPS” 現今,ものづくりの姿がデジタルエンジニアリングで一変している中で,その中枢は、“生産管

理の進化”に乗り遅れないよう世界をリードできる次世代の生産管理技術の再構築が必要である.

第 2 の原理“TPS” の主眼は、付図3に示すように4つのサブコアエレメント(a)~(d)を

具備することで、“顧客指向・従業員重視・工程

管理”の強化・充実を可能にする.必要な技術

要素としては、(a)社内外の品質情報を最優先す

るカスタマーオリエンテッドな生産管理システ

ムへの刷新、(b)合理的な生産プロセスの創出と

その職場形成のマネジメント、(c)最新の生産技

術を導入した QCD 研究活動、(d)パートナーシッ

プをプロアクティブにマネジメントできる活動

的な仕事場の創出である.

高品質保証のもの造りの実現にむけて、TPSを効果的に運用させるためには、実証科学的な

ビジネスアプローチにより“サイエンスTQM”

を適用することが大切である.

設計行動

ナチュラルサイエンス

ソーシャル サイエンス

ビヘイビアル サイエンス

設計プロセス 設計 レビュー

企画

設計フィロソフィー

カスタ マ-イン

使用環境 過去のデータ

前後工程

設計テクノロジー

システム 技術

要素技術

CAE・SQC 現象解析

TDS -情報の共有化‐ -最適化設計‐ -技術の創造-

(b)マネジメントに基づく設計

(d)設計者の意思決定に基づく設計

情報に基づく設計

技術に基づく設計

(c)(a)

付図・1“TDS”の概念図

市場

前後工程

価値観、ニーズ

使用環境

曖昧情報

要約整理

判断

情報共有化

意思決定・行動

一 般解 の 導 出

(サ イエ ン ス SQC)

デ ー タベ ー ス 化

デ ー タ

加 工

開 発 設 計 での 情 報

(サ イエ ン ス TQM )

入 力 情 報

顧 客

・市場品質

・生産技術

・製造品質

・物流品質

スクリーニング

出 力情 報

質 の 高 い

図 面

技 術

標 準

重 要 特

性 管 理

表 など

・調達品質

ウ オン ツ

実 証 科 学 的 な 意 志 決 定

(b)職場形成に基づく生産

技術に基づく生産

(c)

情報に基づく生産

ヒューマン マネジメント ジェネレータ メンター

プロモータ

生産プロセス

企画

生産フィロソフィー

検査情報

市場情報

生産テクノロジー

TPS -顧客指向ー

(d)マネジッメントに基づく生産

QCDS 工程設計 ビヘイビアルサイエンス

システム技術 要素技術前後工程

(a)

-従業員重視ー -工程管理ー

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11

(3)第3原理“TMS”

CS(Customer Satisfaction),CD(Customer Delight),CR(Customer Retention)がますます

重要視される中で,営業・販売・サービス部

門の新たな役割が期待されている. お客様

との絆づくり,商品や企業活動の信頼性,次

世代の商品創出に役立つ情報提供など,経験

則だけにとらわれない理にかなうマーケティ

ング活動が必要であり,これからの品質経営

活動の要となる.

第3の原理“TPS” の主眼は、付図4に

示すように4つのサブコアエレメント(a)~

(d)を具備することにより、“顧客重視・顧客

価値創造・高品質保証” を可能にする.

必要な技術要素としては、(a)顧客情報の収集と活用を通した市場創造活動、(b)商品価値を上

げるために本質的に必要な要素を理解することによる商品価値の向上、(c)顧客との絆をつくると

いう観点からのマーケティングシステムの確立、(d)顧客価値を高め,継続的に顧客満足度を向上

させる企業行動規範づくりとそれらの運用である.

TMS 確立の意義するところは、既成に囚われない科学的な営業・販売・サービスの強化・充実に

より、顧客に信頼される品質経営の実現である。TMS を効果的に運用させるためには、実証科学

的なビジネスアプローチにより“サイエンスTQM”を適用することが大切である.

(4)第4原理“TIS”

管理部門は、企業活動の中枢であり、事務

部門とビジネスリンケージし、現業部門の開

発設計・生産・営業販売の各部門、ならびに

取引先とも協創しインターナル/エクスター

ナル・マネジメントを強化・充実させるため

に、“経営管理技術”の機能を強化すること

が重要である.

第4の原理“TIS” の主眼は、付図5に

示すように4つのサブコアエレメント(a)~

(d)を具備することにより、知的情報を活用

し人・技術情報・ものに係わるビジネスフロ

ーを戦略的に JIT(Just in Time)化するこ

とで新たな品質経営技術システムの確立が

大切になる.

必要な技術要素としては、(a) 前後工程と一体化したプロダクト・マネジメントシステム、(b)

デイーラー・サプライヤーと一体化した、知的インフォーメーション・マネジメントシステム、

(c)輻輳しているオフライン・インライン・オンラインのプロセスシステムを連結させる知識集約

型のトータルビジネスプロセス・マネジメントシステム、(d)トップ・ライン・スタッフによる協

創活動の一体化の基底をなすヒューマンマネジメントを充実させるコミュニケーション・マネジ

メントシステムの構築とその運用である. 眼前の“グローバル生産―世界同一生産・最適地生産”に的確に対応し、所謂、“世界品質競争

-QCD 同時達成”を実現させることが管理部門の命題ある。TJS を効果的に運用させるためには、

品質保証部門が技術管理・生産管理・購買調達・営業販売の各部門と協創し全部門の英知を結集

させることが重要であり、実証科学的なビジネスアプローチにより“サイエンスTQM”を適用

することが大切である.

付図・5“TIS”の概念図

(a)

(b)商品価値の向上

お客様との絆づくり

(c)

市場創造活動

企業姿勢 CD CS

CR

商品力

品質・コスト 納期

顧客情報

開発・生産

営業・販売

マーケテイングシステム

TMS

-顧客重視ー

(d)顧客価値の向上

お店構え ブランド 信頼性

サービス 商談商品企画デザイン

-品質保証ー

付図・4“TMS”の概念図

(b)グローバルパートナリング

知的マネジメント

(c)

社会との共存

企業価値

株主満足 従業員満足

顧客満足

企業行動

企業理念

社会貢献

企業倫理

ビジネスプロセス

TJS -知的生産性ー

(d)カスタマーイン

エクスターナル マネジメント

品質経営

グローバルゼーション

セルフ マネジメント

インターナルマネジメント企業市民

(a)

-人材育成ー -協創活動ー

パートナ リング

経営姿勢

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12

付図・6“TJS”の概念図

(5)第5原理“TJS”

事務部門は、企業を取り巻く国内外の環境変

化を捉え、管理部門と連携し合い、インターナル

/エクスターナル・マネジメントを強化すること

により、企業経営を進化させることが重要となる.

そのためには、戦略的な品質経営の要諦をな

す“企業の信頼性・組織の信頼性。人間の信頼性”

を高めるために、人材の育成を経営課題の中核に

おき、さらに、人材の活用段階では全部門との協

創しあい知的生産性を高める機能を強化するこ

とが急務といえる. それ故に第 5 の原理“TJS”の主眼は、開発

設計・生産・営業販売の各部門および管理部門と

協創し、“知的生産性向上―協創活動―人材育成”

の着実な成果を創出することにある。図 3.9 に示すように、4つのサブコアエレメント(a)~(d)

を具備することにより、社内外の切迫した問題解決に対応できる“知的生産性向上ビジネスモデ

ル”の確立である.

必要な技術要素としては、(a)社会との共存、(b)グローバルパートナリング (c)知的マネジメ

ント、(d)カスタマーインの4つのサブコアーエレメントをトータルリンケージさせるための“企

業理念―企業行動―ビジネスプロセスー経営姿勢”に係わる事務部門の行動規範のモデル化とそ

の運用である.

中でも、“世界品質競争”に勝ち抜くためには、品質経営の再強化が逼迫した経営技術課題であ

り、TJS の期待と役割を効果的に発揮させるためには、人材開発部門と TQM 推進部門が関連部

門と協創し、実証科学的なビジネスアプローチにより“サイエンスTQM”を適用し知的生産性

を高めることが今後ますます大切になってくる. 参考文献 [1] Amasaka, K. (2002): Science TQM, a new principle for quality management, Proc. of the 2nd

Euro-Japanese workshop on stochastic risk modelling, production and reliability, France, 6-14. [2] Amasaka, K. (2003): Development of “Science TQM”, a new principle of quality management:

effectiveness of strategic stratified task team at Toyota-, International Journal of Production Research, 42, [17], 3691-3706.

[3] Amasaka, K. (2003): Proposal and Implementation of the “Science SQC” Quality Control Principle, International Journal of Mathematical and Computer Modelling, 38, [11-13], 1125-1136.

[4] Amasaka, K. (2004): Science SQC, new quality control principle,, Springer. [5] Amasaka, K. (2001): A study of flyer advertising affect when utilizing TMS-S at Toyota, Proc. of the

12th Annual Conference of the Production and Operations Management Society, USA, 1-8. [6] 市川(1998),ブレークスルー発想の条件,日本機械学会誌,101,[956],2-4.

[7] 天坂(2002):講演、高品質保証を実現するインテリジェンス生産とパートナリング、日

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[8] 天坂(2001): 座長、“次世代型小集団活動によるあらたなTQMの展開”, 日本品質管理学会,

第 83 回シンポジウム予稿集,39-44.

[9] 天坂(1999): 基調講演,経営技術とパートナリング-情報技術によるカスタマ-サイエンス,

日本経営工学会シンポジウム,大阪工業大学, 1-8.

[10] 例えば,(1)Gary Hamel and Prahalad, C.K. (1994): Competing for the future, Harvard Business School Press. (2) Doz, Y. L. and Hamel, G.. (1998): Alliance advantage, Harvard Business School Press. (3) Burke, W. W. and Trahant, W., (2000): Business climate shifts, Butterworth– Heinemann. (4) Evans, R. J and Lindsay, M. W. (2001): The Management and Control of Quality, South-Western.(5)Stefan S, et al. (2003): Strategy and Organization in Supply Chains, Physica-Verlag.

[11] Amasaka, K. (1995): A construction of SQC intelligence system for quick registration and retrieval library, Lecture Notes in Economics and Mathematical Systems, Springer, 445, 318-336.

[12] Amasaka, K. (1998): Application of classification and related methods of to the SQC renaissance in

(b)インフォーメーションマネジメント

プロセスマネジメント

(c)プロダクトマネジメント

企業価値

ライン スタッフ

トップ

プロダクションシステム

自工程

後工程

プロセスシステム TIS -物の流れー

(d)ヒューマンマネジメント

インライン

デイーラー

自社

オフライン オンライン前工程

(a)

-人の流れー -情報の流れー

サプライチェーンシステム

コミュニケー ションシステム

サ プ ライ ヤ ー

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manufacturing and product and process development (published, RCIM, 2006). [20] Amasaka, K. (2005): Constructing a Customer Science application system “CS-CIANS”, WSEAS

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Transactions on Advances in Engineering Education, 3, [3]3, 223-230. [25] 高岡,天坂(1991):燃費改善要因の解析,「品質」,21,[1], 64-69.

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[32] 小室,伊藤 (1991):組付性の評価に関する一考察、JSQC、第 39 回研究発表要旨集,35-38.

[33] 天坂他(1996):エンジニアが考える良い特許とは何か(Ⅰ、Ⅱ),JSQC, 第 52 回研究発表要旨

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[35] 天坂,長屋 (2,002):自動車における新たな感性のエンジニアリング,「感性をめぐる商品開発」、

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発表会要旨集,35-38. [38] Amasaka, K and Sakai, H. (1996): Improving the reliability of body assembly line equipment. International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering, 3, [1], 11-24. [39] 天坂編著(2003):「インテリジェンス管理図活用のすすめ」、日本規格協会. [40] 天坂他 (1995):QCサークル活動の質的評価に関する一考察, JSQC,第 49 回研究発表会要旨

集,49-52.

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[41] Amasaka, K. (2001): Proposal of “marketing SQC” to revolutionize dealers’ sales activities, Proc. of the16th International Conference on Production Research, Czech Public, 1-8.

[42] Amasaka, K. (2004): Applying New JIT—A Management Technology Strategy Model at Toyota, Proc. of the 2nd World Conference on Production and Operations Management Society, Mexico, 1-22.

******************* 要 約: 21 世紀のトップランナーを目指すため、論者は、品質経営の新原理として“サイエンスTQM”

を提案し、その有効性を論及している。本報では、その展開の方法論に必要な“戦略的協創チー

ム活動“の意義と有効性に言及する。具体的には、創造性と戦略性を持つ「戦略的階層化タスク

チーム」(Task 1~Task 8)を提案し、その効果をトヨタ・トヨタグループで検証する。

*******************

連絡先(勤務先)

天坂 格郎 * 青山学院大学 理工学部経営システム工学科 / 大学院理工学研究科 教授

〒229-8558 神奈川県相模原市淵野辺 5-10-1,TEL/FAX: 042-759-6313/6556 E-mail: [email protected]