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農学国際特論I 植物のマテリアルとしての特性と利用(佐藤、斎藤) 植物細胞壁の生成、機能、加工 2011.78 斎藤

農学国際特論I 植物のマテリアルとしての特性と利 …...ヘミセルロース •木材細胞壁を構成する種々の多糖類のうち、セル ロースを除いた糖類の総称。•針葉樹材に20~30%、広葉樹材に15~25%

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農学国際特論I植物のマテリアルとしての特性と利用(佐藤、斎藤)

植物細胞壁の生成、機能、加工2011.7.8 斎藤

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植物細胞壁の生成・機能・加工

1.構造と機能

2.生合成

3.加工

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1.構造と機能

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データ出所:日本住宅・木材技術センター「木と日本の住まい」

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樹木1本が固定する炭素の量

林業白書H21

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「木材の構造」文永堂出版より

木本

維管束

↓一部が「広葉樹」

←「針葉樹材」

↑ヤシ、タケは高く伸長生長するが、肥大生長は全くない。

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①「蓄積」のメカニズム維管束形成層、多年生、肥大生長

②「保持」に有利な成分

木本は固定した炭素を木材として保持できる

⇒マテリアル利用可能

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主要三成分

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• 元素 C:H:O

重量比 50:6:44 (Nは0.05~0.4)

モル比 32:46:22

・ 成分 セルロース:ヘミセルロース:リグニン

重量比 50:25:25

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細胞壁の構成

分子レベルで見た細胞壁の模式図(図:木材保存学入門より)

リグニン

セルロース

ヘミセルロース

「鉄筋コンクリート構造」

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セルロース

• 木材中に40~60%。

樹木繊維の骨格をなす高分子化合物。

・地球上で最も多量に存在する天然高分子。

綿、麻などの植物や、一部の動物や微生物によっても生産される。

・加工利用: 紙、繊維、フィルム

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D-グルコース残基β-1,4-グリコシド結合直鎖状 ☆枝分かれがない

水素結合

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セルロースの構造的特徴

• 単純多糖(ホモ多糖)

• 親水性部分と疎水性部分を併せ持つ

• 直鎖

→結晶構造

「植物細胞壁に学ぶ材料の設計」30May2010五月祭

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ミクロフィブリル

結晶領域 セルロース分子

非晶領域

木材のセルロースミクロフィブリル

セルロース結晶

太さ数nm、長さ数μm

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セルロースの結晶多形

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Cellulose Iβ Cellulose II

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さまざまな生物のセルロース(出典木質の構造、日本木材学会編)

セルロース含量(%)

重合度 ミクロフィブリルの幅(nm)

結晶幅(nm)

ワタ 95~99

一次壁 2000~6000 2~2.5

二次壁 13000~4000 5~10

リンター ~5100 4~6

ラミー 80~90 10300~ 2.5~5 3~6

木材 40~50 8200~ 2.5~5 2~2.5

褐藻、紅藻 1~10 ~26500 20~30

緑藻海藻 ~70 17700~23000 20~30 12~18

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ヘミセルロース

• 木材細胞壁を構成する種々の多糖類のうち、セルロースを除いた糖類の総称。

• 針葉樹材に20~30%、広葉樹材に15~25%

• 細胞壁中ではセルロースとリグニンの間に存在し、両者を結びつける役割を果たしている。

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O

OH

OH

CH2OH

OH

OH,H

O

OH

OH

CH2OHOH

OH,H

O

OH

OH

OH

OH,H

O

OH

CH2OH

OH

OH OH,H

O

OH

OH

CH2OH

OH,H

O

OH

OH

COOH

OCH3

OH,H

D-グルコース D-キシロース D-ガラクトース L-アラビノース D-マンノース 4-O-メチル-

D-グルクロン酸

ヘミセルロースを構成する主な単糖類

図出典「木質の形成」(海青社)

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アラビノグルクロノキシラン

キシログルカン

4-O-メチルグルクロノキシラン

フェルロイルアラビノキシラン

グルコマンナン

種々のヘミセルロースの部分化学構造

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代表的なヘミセルロースの化学構造

(A)

広葉樹

キシラン

(B)

針葉樹

グルコマンナン O

O

OH O

O

OH O

O

OH

OH O

O

OAc O

O

OH O

O

OH

OH

CH2OH CH2CH2OH CH2OH CH2OH CH2OH

OH OH OH OH

O

OH

OH

CH2OHOH

O

O

O

OAc

OH O

O

OH

OH O

O

O

OH O

O

OH

OH O

O

OAc

OH O

O

OH

OH

O

OH

OH

COOH

OCH3

キシロース残基

←キシロース残基10個に1個の割合で4-O-メチル-D-グルクロン酸側鎖

↑水酸基の一部はアセチル化

針葉樹に含まれるキシランは、アセチル基をもたず、側鎖にL-アラビノースも持つ。広葉樹にもグルコマンナンが少量存在するが、構成比などに差異がある。

β-1,4-グリコシド結合↓

D-マンノースとD-グルコース構成比 3~4:1↑

水酸基の一部はアセチル化

D-ガラクトース側鎖→

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• ヘテロ多糖

• 枝分かれ構造やアセチル化

• 非晶性

• 親水性に富む

• 化学的にも生化学的にも分解を受けやすい

ヘミセルロースの構造的特徴

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リグニン

• フェニルプロパン(C6-C3)を構成単位とする高分子化合物

• 針葉樹リグニン:グアイアシル構造

• 広葉樹リグニン:シリンギル構造+グアイアシル構造

• 針葉樹材に25~35%、広葉樹材には20~25%

p-ヒドロキシフェニル

C

C

C

OH

OCH3

C

C

C

OH

OCH3H3CO

グアイアシル構造 シリンギル構造

木材リグニンの構成単位

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CH

HC

CH2OH

O

CHOH

CH

CH2OH

O

HC

CH

CH2OH

O

OCH3

HC

HC

CH2OH

O

H3CO

H3CO

CHOH

CH

CH2OH

O

HC

HC

H2C

O

OCH3

CHOH

HC

CH2OH

O

OCH3

CHOH

CH

CH2OH

O

CHOH

CH

CH2OH

O

H3CO

H3CO

C

HC

CH2OH

O

OCH3

O

HO

H3CO

H3CO

O

CH

CH

CH2

O

OH

OCH3

O

H3CO

CH

HOH2C CHO

O

CHOH

HC

CH2OH

O

OCH3

CHOH

CH

CH2OH

OCH3

OH

H3CO

CH

HC

CH2OH

O

H3CO O

針葉樹リグニンのモデル構造

炭素-炭素(C-C)結合やエーテル(C-O-C)結合で重合

三次元的に広がった網目構造

化学構造の全容は、解明されていない

生合成過程:ラジカル化したフェニルプロパン構造が様々な共鳴構造体として存在し、それらがランダムなラジカルカップリングによって高分子化する

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リグニンの特徴

• 疎水性

~水分通道組織における役割:

・多様な結合様式

⇒高い生物抵抗性

(微生物にとって難分解性)

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木材成分の水酸基

HO

+ -

水素結合

-+

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ドライングセット=熱と水の作用による成形

HO

-+

+ -

HO

+ - + -

水素結合

HO

+ -

新しい位置での固定

変形されたまま固定して乾燥すると、与えられた変形がほぼそのまま保持される現象。

新たな固定位置で水素結合形成

・水と熱の作用で回復する。

「結合水が脱着する際、与えられた変形による新しい固定位置で、水素結合などの二次結合が形成され、固定される」

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抽出成分

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抽出成分

・水や有機溶媒に可溶な成分・種類、量、および組成は、樹種、部位、季節によって異なる

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辺材抽出成分:新生木材細胞・・・糖類が多い

→ デンプン、アミノ酸、タンパク質など

→充分に乾燥されていない木材の辺材などに変色菌や表面汚染菌

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心材抽出成分:心材が辺材に移行する際に、柔細胞が死に至る過程で生産

→樹種に特有なテルペン、フラボノイド、リグナンなど

→細胞壁上で不溶化して保護層を形成

抽出成分自身が抗菌活性 等

H3C OH

H3C CH3 OH

O

O

OH

HO

OH

OHHC

HC

CH2OH

CH

CH

CH2OH

O

OH OH

H3CO OCH3

α-カジノール

(テルペン)

タキシホリン

(フラボノイド)

オリビル

(リグナン)

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2.生合成

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スギの木口面

(高部圭司「木材保存」より)

外樹皮内樹皮師部形成層

木部

形成層

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セルロースの生合成

ターミナルコンプレクス

植物の細胞壁 東大出版会

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3.加工

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図:ミネソタ大学資料より

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主要なバイオマスの成分分離技術とその特徴

1 現行の化学パルプ製造(クラフト法)―セル以外は燃料

2 無機酸によるバイオマス糖化法→グルコース、単糖orフルフラール、酸加水分解リグニン

3 酵素によるバイオマス糖化法→グルコース。リグとヘミセルは前処理で分離してケミカルス

4 蒸煮・爆砕―広葉樹チップが対象の前処理。セル、ヘミ、リグ分離利用。

5 低沸点有機溶媒によるソルベント法― アルコール、メタノール等高温高圧処理。セル、リグ、フルフラール

6 高沸点有機溶媒によるソルベント法―酢酸+硫酸触媒で還流抽出→セル、単糖、リグ分離。―プロピレングリコール高温低圧処理→セル、リグ分離。

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製紙・パルプ

ナノファイバー

発酵生産物

エステル化ー酢酸セルロースエーテル化ーカルボキシメチルセルロース

セルロケミカルス

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ヘミセルロースの利用

• キシラン

• グルコマンナン

• ガラクタン

• アラビノガラクタン

• リグニン・炭水化物複合体

• 生理活性物質としての利用可能性

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リグニンの利用

• 低分子化

• 高付加価値利用・機能化

• 樹脂化

• 炭素繊維化

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抽出成分の利用

• テルペン

• タンニン

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• 木材のプラスチック化

• 木材の液化

• ウッドセラミックス

• 熱分解とガス化・炭化

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自然界におけるバイオマス変換(木材の生分解)

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泥炭形成

泥炭(peat)―植物遺体が堆積して、比較的地表近

くで生化学的変化を受けて生成したもの (日本大百科全書)

。由来の植物の種類、炭化の進行度合いにより性質は大きく異なる。その定義・分類は国によってさまざま

(五十嵐八枝子「地学教育と科学運動. 15」)。

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泥炭生成の場:水が滞留しやすい。植物遺骸が堆積しやすい地形。微生物による有機物の分解が適度に妨げられ蓄積可能。

⇒冷温帯の泥炭

⇒熱帯の泥炭(トロピカルピート)

泥炭土壌は世界中に分布。

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石炭の形成3億年前頃 古生代「石炭紀」シダ類・低灌木・樹木の遺骸→ピートや腐食→石炭

↑ ↑嫌気性バクテリア 堆積による熱と圧力

多孔質の地層を長い距離移動

石油と天然ガス?億年前 @古代の海海底に堆積した有機物→ 分解 →炭化水素(液体、気体)

↑ ↑バクテリア 堆積による熱と圧力

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H/Cが大きいものほど、あたりの二酸化炭素排出量が小さい。

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バイオマスの変換技術 (「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)

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(「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)

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(「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)

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(「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)

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(「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)

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(「バイオエネルギーの技術と応用」、柳下)