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長野県版訪問看護師の クリニカルラダー 看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)とは ①看護実践の場や看護師の背景に関わらず、すべての看護師に共通する看護実践 能力の開発と支援 ②看護実践能力の適切な評価による担保および保証 ③患者や利用者等への安全で安心な看護ケアの提供 主に①~③を目的とし、全国的に統一された指標で看護実践能力を評価し、あ らゆる施設や場で活動可能な看護師の育成・教育支援、ラダーに応じた役割や 適切な処遇への活用等につながることを目指している。 目的 概要 「クリニカル」は 看護実践 「ラダー」は はしごを意味している。 看護師の看護実践能力を段階的に表し、各段階で期待される能力を示し、到達度に よって看護師の能力が示されるシステム。 クリニカルラダーの活用により能力段階を確認しながら自己研鑚や人材育成を目 指すことができる。 看護の核となる実践能力を「看護師が論理的な思考と正確な看護技術を基盤に、 ケアの受け手のニーズに応じた看護を臨地で実践する能力」とし 4 つの力(1)5 つの習熟段階(1)で構成。段階別にレベル毎の定義・目標・行動目標を提示し 各レベルの行動目標が達成された段階で、そのレベルに到達したと考える。 レベルⅠ レベルⅡ レベルⅢ レベルⅣ レベルⅤ 基本的な看護 手順に従い必 要に応じ助言 を得て看護を 実践する 標準的な看護 計画に基づき 自立して看護 を実践する ケアの受け手 に合う個別的 な看護を実践 する 幅広い視野で 予測的判断を もち看護を実 践する より複雑な状況に おいてケアの受け 手にとっての最適 な手段を選択しQ OLを高めるため の看護を実践する 1 日本看護協会クリニカルラダーを構成する 4 つの力 1 5 つの習熟段階 •ケアの実施・評価 を行う(PDCAサイ クルや看護過程の 展開) •ケアの受け手を中心 に、情報やデータを 多職種間で共有し、 ケアの方向性を検討、 連携する •ケアの受け手をと らえ、判断し、そ の人に適した方略 を選択する •ケアの受け手が立ち 会う場面(治療、最 期の迎え方等)にお いて、その人らしい 選択ができるための 意思決定を支える 意思 決定 を支え る力 ニーズ をとら える力 ケア する力 協働 する力

長野県版訪問看護師の クリニカルラダーshinano-houkan.com/PDF/2019_03_27_c.pdf訪問看護師は、看護師としての経験年数・知識・看護技術の習得状況等が異なる状況で、訪問

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長野県版訪問看護師の

クリニカルラダー

看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)とは

①看護実践の場や看護師の背景に関わらず、すべての看護師に共通する看護実践

能力の開発と支援

②看護実践能力の適切な評価による担保および保証

③患者や利用者等への安全で安心な看護ケアの提供

主に①~③を目的とし、全国的に統一された指標で看護実践能力を評価し、あ

らゆる施設や場で活動可能な看護師の育成・教育支援、ラダーに応じた役割や

適切な処遇への活用等につながることを目指している。

目的

概要 「クリニカル」は 看護実践 「ラダー」は はしごを意味している。

看護師の看護実践能力を段階的に表し、各段階で期待される能力を示し、到達度に

よって看護師の能力が示されるシステム。

クリニカルラダーの活用により能力段階を確認しながら自己研鑚や人材育成を目

指すことができる。

看護の核となる実践能力を「看護師が論理的な思考と正確な看護技術を基盤に、

ケアの受け手のニーズに応じた看護を臨地で実践する能力」とし 4つの力(図 1)と

5つの習熟段階(表 1)で構成。段階別にレベル毎の定義・目標・行動目標を提示し

各レベルの行動目標が達成された段階で、そのレベルに到達したと考える。

レベルⅠ レベルⅡ レベルⅢ レベルⅣ レベルⅤ

基本的な看護

手順に従い必

要に応じ助言

を得て看護を

実践する

標準的な看護

計画に基づき

自立して看護

を実践する

ケアの受け手

に合う個別的

な看護を実践

する

幅広い視野で

予測的判断を

もち看護を実

践する

より複雑な状況に

おいてケアの受け

手にとっての最適

な手段を選択しQ

OLを高めるため

の看護を実践する

図 1 日本看護協会クリニカルラダーを構成する 4つの力

表 1 5つの習熟段階

•ケアの実施・評価を行う(PDCAサイクルや看護過程の展開)

•ケアの受け手を中心に、情報やデータを多職種間で共有し、ケアの方向性を検討、連携する

•ケアの受け手をとらえ、判断し、その人に適した方略を選択する

•ケアの受け手が立ち会う場面(治療、最期の迎え方等)において、その人らしい選択ができるための意思決定を支える

意思決定

を支える力

ニーズ

をとらえる力

ケア

する力

協働

する力

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訪問看護師は、看護師としての経験年数・知識・看護技術の習得状況等が異なる状況で、訪問

看護師としての第一歩を踏み出す。

そんな中で、「長野県版訪問看護師のクリニカルラダー」(様式 1)は個々の能力を確認・評価し、

段階的に課題を確認し成長を支援していくための、人材育成システムの一つである。

「訪問看護師のキャリアパス」(様式 2)「個人評価シート」(様式 3)と連動して活用することで、

より具体的な課題・目標が導き出される。

長野県版訪問看護師のクリニカルラダーとは

長野県

訪問看護

における

人材育成

の現状

県内の訪問看護事業所管理者(113人)を対象とした調査によると、長野県訪問看

護事業所の状況は以下とおりである。

○ 常勤換算平均 4.95人と小規模の事業所が多く、人員不足・困難事例等への

対応経験が少ないことから、利用者の受け入れが困難となる場合がある。

○ 研修への参加希望はあるが、人員不足により参加が困難。

○ 認定看護師・特定行為研修等の長期研修は費用負担が大きく、代替えの人

員確保も困難。

○ 教育に携わる人材確保・育成が困難なため教育支援体制の強化が必要。

職員

① 自己評価による看護実践能力の確認と、他者による客観的評価により、実

践能力への認識の共通点・相違を把握・自覚できる。

② 看護実践における、課題・課題解決方法・自己研鑚の目安が導き出せ、段

階的に学ぶことで無理なくスムーズに進む事ができる

③ 訪問看護師として目指す姿を考え、専門性を高め、責任感・やりがいを感

じ、モチベーションアップやキャリアアップにつながる。

管理者

① 個々の職員の能力を把握し個別性をふまえた育成方針が、職員の訪問看護

師としての不安をサポートし、自信や人材定着につながる。

② 能力の異なる職員の育成に迷いや戸惑いなく、段階を踏んで指導していく

ことができる。また、互いに評価され評価しやすい関係性が構築できる。

③ 事業所の教育体制の見直し・改善につながる。

① 個々の訪問看護師としての能力を自己・客観的評価で確認する。

② 能力段階を確認しながら、課題解決・能力向上のための、OJTや自己研

鑚の方向性を見出す。

③ 「訪問看護師のキャリアパス」「個人評価シート」と連動させ、訪問看護

師として目指す姿を導き出し、どのようなスキルや専門性を身につけてい

くべきかを具体化する。

④ 管理者が、職員の実践能力・課題を理解し、目指す姿に向け共に考え、サ

ポートする。

⑤ 訪問看護師としての質向上と共に、事業所全体の質向上を目指し、人材育

成に活用する。

目的

効果

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活用方法

クリニカルラダー

(

様式1)

長野県版訪問看護師の

キャリアパス(

様式2)

訪問看護師の

(

様式3)

個人評価シート

レベルの定義を確認し、自己レベルを選択

選択したレベルの目標・実践目標が達成されているか各項目の確認

達成されている➔☑ 達成されていない➔□

面接・他者(管理者又は教育担当者)評価☑を受ける

到達されていない項目□を達成するためには何をすれば良いのか

「ラダー4つの力と学習項目」から必要な学習項目を確認

レベル到達への課題・方法を検討

自己評価・他者評価 全ての項目が達成☑されて

いる場合

➔ 選択したレベルに到達している

➔ 次のレベルを同様に自己評価・他者評価する

クリニカルラダー(

様式1)

長野県版訪問看護師の

目指す姿(レベル・キャリアアップ)を描く

現在のレベル到達・課題解決と

目指す姿のために必要な研修等の方法を導きだす

例:看護協会研修の中から到達したいレベルの研修を受講

「協働する力」が不足⇒まずは事業所内で事例検討会

キャリアパスで導き出された方法を具体的に年間計画として立案

9月:中間評価・面接 前期評価と後期計画の追加・修正

3月:最終評価・面接

3月:目指すレベルの目標・実践目標が達成することができたのか

到達されていなかった項目□ を確認

例:○月 人工呼吸器装着利用者へ同行訪問

○月 多職種と事例検討会 など

自己評価・他者評価 全ての項目が達成☑された場合

➔ 目指したレベルに到達した

➔ 次のレベルを同様に自己評価・他者評価

➔ 次年度への課題・目標へ

題・目標 自己評価・他者評価 到達されなかった項目□がある場合

➔ 目指したレベルに到達しなかった

➔ 到達するための課題を管理者又は教育担当者と相談

➔ 次年度への課題・目標へ

題・目標

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□ □ □ □ □

評価 自 他 自 他 自 他 自 他 自 他

  助言を得て 自立して 個別性をふまえ 予測的な判断のもと 価値観に応じた判断のもと

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □

□ □□ □ □ □ □ □ □ □

□ □ □ □ □ □ □ □

□ □ □ □

□ □

□ □

評価 自 他 自 他 自 他 自 他 自 他

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □

□ □□ □ □ □ □ □

□ □ □ □

□ □ □ □□ □ □ □

□ □

□ □□ □

□ □

(様式1)

自らが対応できる状況なのか判断できる。

地域全体を俯瞰して、ニーズに対し不足している機能に気づくことができる。そして、提案的に看護実践ができ、他施設等に働きかけることで解決を図る。

氏名:               

経済状況を理解し、費用負担を考慮したケアの調整と、ケア方法や物品の選択・提案において最適な物を判断し選択できる。

個別性に合わせ、限られた物品・時間の中で効率的なケア、体制の工夫が考えられる。

経済状況を理解し、可能な限り利用者の所有物でケアを実施する等、ケア方法や物品の選択・提案を工夫できる。

生活環境でケアを提供していることを考慮し、使用後の物品やゴミの処理、洗濯物について配慮できる。

最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する

利用者の状態変化等により、自らの対応が困難であると判断した場合に、事業所等に相談し指示を受けることが出来る

訪問だけでなく、電話による状態確認や指導という手段を利用者・家族の状況から判断し実施できる。

幅広い視野で、予測される今後の状況や、主治医や訪問看護師に連絡するタイミングについて、具体的に利用者・家族、多職種が理解出来る様伝えることができる。

病状の変化・問題が生じた場合は臨機応変に対応できる。

比較的重症な利用者に対し、ケアプランの中で必要なケアを実施し、適切なケアプランへの提案もできる。

実践目標

複眼的な視点で、困難事例の状況を把握し看護上の問題点を明確化できる。

困難事例や複雑な家族の生活・価値観を適確にアセスメントし、多様なニーズをとらえることができる。

限られた訪問時間の中で、効率よく情報収集する工夫が1つでも考えられ情報収集が、利用者・家族に負担にならないよう配慮できる。

生活行動の変化に気づくことができる。(入浴、トイレ歩行が億劫、散歩に行かなくなったなど)

利用者の生活状況やADL、介護者の介護方法、社会資源など、多職種からも情報収集ができる

利用者・家族、多職種間で情報の認識にずれがないか確認できる。

様々な技術を選択・応用し看護を実践する

□□

自事業所の看護手順・ガイドラインに沿って基本的看護技術を用いて看護援助ができる。

医療廃棄物専用のスペースがない生活環境の中で、必要な感染対策について理解し実施できる。

利用者の病状や状況に応じ、個別性を考慮したケアや対応ができる。

複数の医療処置・技術を自立して実践できる。

比較的重症ではない場合や状態が安定している利用者に対し、ケアプランの時間の中で必要なケアを実践できる。

ケアの受け手や状況に応じた看護を実践する

□ □ケアの受け手や状況の特性を

ふまえた看護を実践する□

在宅での先進的なケアや処置、機器等の管理方法、最新の疾患に対する知識や技術等を取得しケアに活かすことができる。

複雑な問題をアセスメントし、利用者・家族が望むケアの提供が難しい状況であってもあらゆる技術や工夫によって最大限ニーズを満たすケアを提案できる。

生活を維持するため顕在的・潜在的ニーズに応えるため、訪問体制の工夫ができる。(家族の時間を確保するために訪問時間を調整する等)

利用者・家族の意思決定を軸に、主治医の往診体制等の確認・調整を行い、在宅看取りの体制作りができる。

目標

  助言を得てケアの受けてや状況(場)のニーズをとらえる

□ケアの受け手や状況(場)の関連や

意味をふまえニーズをとらえるケアの受けてや状況(場)の

ニーズをとらえるケアの受け手や状況(場)の特性を

ふまえたニーズをとらえるケアの受け手や状況(場)を

統合しニーズをとらえる□ □

幅広い視野で予測的判断をもち訪問看護を実施する

より複雑な状況においてケアの受け手にとっての最適な手段を選択し

QOLを高めるための訪問看護を実践する

定義

レベル Ⅰ

基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て訪問看護を実践する

情報収集、アセスメント、計画立案・修正、実践、評価ができる。

地域性、家族構成、環境等の情報収集ができる。

   1    定義を確認し、自己レベルを選択する

評価▶ 自:自己評価  他:他者評価

ⅤⅣⅢⅡ

標準的な看護計画に基づき自立して訪問看護を実践する

ケアの受けてに合う個別的な訪問看護を実践する

レベル Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ

□ □

   2    選択した自己レベルの実践目標が達成されているかチェックし、全ての実践目標が達成された段階でそのレベルに到達したものとする。到達されない項目は前レベルで確認する。

高齢者の場合、人生の最終段階を見据えニーズに対する情報収集ができる。

予後、治療によるリスク等を見据え医療処置や療養場所のニーズを情報収集し、1つ1つの選択について準備を進めることができる。

人生の最終段階の判断が困難な慢性疾患や、心不全等の急速に憎悪する疾患の利用者に対し、入院が増えてきた段階で看取りを想定し情報収集ができる。

利用者の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から情報収集ができる。

状況から、医療的な緊急度をとらえケアする必要に気づくことができる。

情報収集のための、様々な手段が発想でき、訪問時間の組み方の工夫ができる。

ケアする力

ニー

ズをとらえる力

□ □ □ □

実践目標

生活環境においてケアを提供することへの配慮をし、受け持ち利用者へのケアを指導を受けながら実施できる。

利用者・家族、主治医、ケアマネジャー等の多職種から情報収集できる。

現在だけでなく過去の生活歴も意識した生活の視点で情報収集ができる。

□ □ □ □

目標

助言を得ながら、安全な看護を実践する

自己評価日: 年 月 日 中間評価・面接日: 月 日 他者評価・面接日: 月 日 最終評価日: 月 日

長野県版訪問看護師のクリニカルラダー

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評価 自 他 自 他 自 他 自 他 自 他

□ □ 多施設、多職種の役割が理解できる □ □ □ □ □ □ □ □□ □

□ □□ □ □ □

□ □ □ □ □ □□ □

□ □ □ □□ □ □ □ □ □

□ □□ □ □ □ □ □ □ □

□ □ □ □□ □ □ □

□ □

評価 自 他 自 他 自 他 自 他 自 他

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □

□ □□ □ □ □ □ □

□ □□ □

□ □ □ □ □ □ □ □

意思決定を支える力

現在と将来を見据えた意思決定支援ができ、人生の最終段階の希望を確認したうえで希望を尊重したケア体制を調整することができる。

事業所内カンファレンスにおいて情報提供し関係者と共有する。

事業所内カンファレンスで積極的に発言し、関係者と情報共有できる。

多職種の視点に立ち、同行訪問などで多職種への指導を実施し、それぞれの職種が効果的にケアできるための関わりをもつことができる。

利用者・家族がもつ価値観や治療に対するイメージを含めてくみ取り、寄り添うことができる。

利用者・家族の意思決定に必要な情報提供をし、療養の場や治療の選択において気持ちに寄り添うことができる。

利用者・家族の意向の違いを理解し多職種に代弁できる。

意思決定において、選択肢となる治療だけでなく、治療後の介護も含めた生活の変化についても予測的に説明し、抱いているイメージに気づき調整できる。

ケアマネジャーがいない利用者に対し中心的に多職種との連携をはかることができる。

意思決定場面に必要な情報・選択肢を理解できるように説明できる。

複雑な意思決定プロセスにおいて多職種も含めた調整的役割を

担うことができる

助言を受けながら、利用者・家族との言葉から、思いや考え、希望を確認できる。

利用者・家族の意思を継続して支えられる体制・環境になっているか考えることができる。

利用者・家族の歴史や生活習慣などにも視点を向け、思いや考え、希望を意図的に確認することができる。

意思決定に伴うゆらぎに寄り添いながら、ゆらぎや状態変化に応じて調整し、意思決定プロセスを促進することができる。

利用者・家族の現状と予測される状況、ニーズをとらえ、必要な多職種を判断し、つなぐことができる。

実践目標

利用者・家族の状況を判断し2カ所又は3カ所ステーションとの訪問を調整できる。

ケアの受け手や周囲の人々に意思決定に必要な情報提供や

場の設定ができる□

利用者の、医療・介護・福祉の情報を把握し助言を受けながら多職種と連携できる。

訪問看護の質向上のために、他の訪問看護師とネットワークをもち活動できる

独居で、人生の最終段階や倫理的な問題のある利用者の意思決定場面において地域の社会資源等のリソースを活用して調整ができる(法的・文化的配慮)

  3    自己レベル到達のために必要な力と学習項目(研修)を確認する。                  4     レベル到達への課題・方法を導き出す。

複雑な意思決定場面において伴うゆらぎに寄り添い、意図的に多職種を巻き込み調整し、適切な資源を積極的に活用し意思決定プロセスを支援できる。

利用者・家族の希望やイメージをくみ取り最適な選択が出来る様に調整し意思決定を支える (例:治療継続が本当に本人の人生にとって最良か、多角的な視点でアセスメントしながら俯瞰的に考え支援する)

コミュニケーションの中から、利用者・家族の思いや希望を傾聴し、共感的に受け止めることができる。

確認した思いや希望をケアに関連づけ次回の訪問で活かすことができる。

ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に伴う揺らぎを共有でき

選択を尊重できる□

実践目標

目標 □ケアの受け手や周囲の人々の

意向を知る□

ケアの受け手や周囲の人々の意向を看護に活かすことができる

主治医や多職種への連絡・報告・相談の方法を理解し実践できる。

関係者・多職種の中心的な役割を担うことができる。

身体的変化により必要となるものを随時多職種へ情報提供し連携できる。

看護の展開に必要な関係者を特定し情報交換ができる

□ケアの受け手やその関係者

多職種と連携ができる□

ケアの受け手を取り巻く多職種の力を調整し連携できる

□ □ □ケアの受け手の複雑なニーズに対応できるように

多職種の力を引き出し連携に活かす□

在宅療養継続が困難な利用者に対し、多職種、行政、保健所等と連携し、体制づくりや他施設や他機関との相互の役割の調整を積極的に行い、問題解決を図る

困難事例の調整会議を開催し、全体を俯瞰しながらファシリテーター役を果たし、目標に向かい、多職種の活力を引き出すことができる。

多職種の役割を理解し、必要な職種に気づき、協力を求めることができる。利用者・家族の状況をとらえ、多職種に情報提供できる。

状態の安定している慢性疾患の利用者に対し、自立してサービス調整等の体制づくりができる。

サービス担当者会議等で、積極的に発言し、関係者と情報共有できる。

自立して、急性期や人生の最終段階にある利用者の体制作りができる。

体制作りの際、窓口となる地域の病院施設の特徴を理解し連携することができる。

Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ

□ □ □ □

サービス担当者会議等に参加し情報共有ができる。

状態の変化を予測しながら、サービス担当者会議などの開催を提案できる。

事業所内カンファレンスを、定期的だけではなく、必要に応じて開催することができる。

利用者・家族、多職種にも理解しやすい方法・言葉で説明し、認識のずれを予防することができる。

訪問看護ステーションの一員であることを理解し、責任をもってケアし、他の訪問看護師に連絡・報告・相談ができる。

□目標 □ 関係者と情報共有ができる

訪問看護に必要な制度(医療・介護保険等)を理解し利用者の保険や費用の状況について知ることができる。

助言を受けながら、利用者の状態変化に対し、サービス調整等の体制づくりができる。

主治医などの多職種と自立して積極的に連携できる。

主治医へ、優先順位を考慮し短時間で的確に相談できる。

レベル

協働する力

OJT

□ 勉強会・事例検討

□ 同行訪問

□ その他( )

Off-JT

□ 研修

□ その他( )

自己研鑚

□ eラーニング

□ 学会

□ その他( )

学習項目

ラダー4つの力と

<ニーズをとらえる力>

・身体面(疾患・障害) ・身体面(生活)

・精神面 ・社会面

・価値観や信条の側面

・ケアの受け手の全体像

<ケアする力>

・ケアの改善 ・ケアの提供

・安全 ・感染

・病態把握 ・薬剤の取扱い

・救命救急

<協働する力>

・チームでの協働

・コミュニケーション

・地域をみる視点

<意思決定を支える力>

・意思決定支援

・倫理

・看取り

レベル到達方法 強化したい点 (課題)

導き出された

課題・レベル到達方法を

具体化する

キャリアパスで自己の目

指す姿とそのための方法

を描く

自己評価シートで実践・自

己評価・面接をし目標達成

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(様式2)

5     訪問看護師クリニカルラダーから抽出された課題解決・レベル到達方法から目指す姿を考える

「キャリアパス」は、目指す姿にむけ、どのようなスキルや専門性を身につけていくべきかを示す道筋。

「訪問看護師のキャリアパス」は、訪問看護師としての自己のレベルや必要な実践能力を「訪問看護師のクリニカ

ルラダー」 で確認し、能力向上・開発を図るために、各レベルに応じた研修等の方法・機会を示している。

潜在・

施設等

看護師

基本的な看護

手順に従い

必要に応じ

助言を得て

訪問看護を

実践する

管理者

標準的な看護

計画に基づき

自立して

訪問看護を

実践する

ケアの受け

手に合う

個別的な

訪問看護を

実践する

幅広い視野で

予測的判断を

基に訪問看護

を実践する

より複雑な状況

においてケアの

受け手にとって

最適な手段を選

択しQOLを高め

るための訪問看

護を実践する

事業所全体の

管理・運営、地域

包括ケアの推進

といったトップマ

ネージメントとし

ての役割を担う

1人前の訪問看護師

ジェネラリスト

地域のリーダー

スペシャリスト

目指す姿

研修の方法・機会

Off

-JT

動機

づけ

見学

訪問看護専門研修

管理者 在宅リーダー研修

長野県連絡協議会ブロック研修

OJT

自己研鑚

参加 発表 ( 研究、事例・活動報告等 )

情報交換等

<1人前の訪問看護師>

訪問看護師としての知識・技術を習得し単独

で訪問出来る者。

<ジェネラリスト>

いかなる領域・対象においても、基本となる

知識・技術を応用し、多職種と連携しながら

安心・安楽・安全な看護を提供できる者。

<地域のリーダー>

看護師としての知識・技術を応用し多職種・

他機関との連携を強化し、在宅ケアチームの

リーダーとしての役割が取れる者。

<スペシャリスト>

特定の専門領域や対象において卓越した実践能力を持ち

認定看護師もしくは専門看護師の認定を受ける者。

または呼吸療法士・認知症ケア専門士等、在宅療養の質向上

のためにその知識・技術を発揮できる者。 管理者。

研修会

eラーニング

事例検討

学会等

退院時cf 等

同行訪問

他事業所・

多職種交流

受講

新任期訪問看護師研修

研修会の企画・講師

参加 企画・講師

参加 事例提供 多職種との検討

見学・実践訪問 指導者としての同行訪問

見学 参加

訪問看護師のキャリアパス

研修会等参加

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3年後の姿

5年後の姿

4月 5月 6月 7月 8月    9月

10月 11月 12月 1月 2月    3月

今年度(年間目標)

(様式3)

氏名                  

目指す姿

        年度 目指すラダーレベル: Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ      

前期目標

OJT

研修会

自己の課題

Off-JT

事例検討等

同行訪問退院時cf等その他

自己研鑚

eラーニング

学会等

他事業所多職種交流

自己評価

    達成度A:できたB:ほぼできたC:できなかった

後期への課題 管理者からのコメント

後期目標

自己の課題

Off-JT

OJT

研修会事例検討等

同行訪問退院時cf等その他

学会等

他事業所多職種交流

自己評価

自己研鑚

eラーニング

    達成度A:できたB:ほぼできたC:できなかった

目指すラダーレベルに □到達した  □到達できなかった

次年度への課題 管理者からのコメント

個人評価シート

中間評価・面接

最終評価・面接

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3年後の姿

5年後の姿

4月 5月 6月 7月 8月    9月

10月 11月 12月 1月 2月    3月

今年度(年間目標) 多職種との情報共有を積極的にし、ジェネラリストとしてのやりがいを高める。

(様式3) ※記入例

氏名                  

目指す姿

自事業所のリーダー。   

他事業所の訪問看護師との交流を深め、相談できる関係性をつくり、地域のリーダーを目指す。

        年度 目指すラダーレベル: Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ      

前期目標1、利用者・家族の思いを多職種と共有し、個々のニーズを尊重した看護を実施する。

2、後悔のない在宅看取りができる様、利用者・家族の意思決定に寄り添い支援する。

OJT

研修会 A氏事例検討

自己の課題

Off-JT○日 多職種連携研修

20日 家族支援研修

在宅看護学会の報告事例検討等

同行訪問 多職種への情報提供・共有

多職種へA氏の事例検討結果の共有

退院時cf等その他

事例検討会をすることで、様々な視点から問題点・解決策を知ることができ、日々の訪問の不安が解決出来た。又、新たなケア方法も知ることができ、利用者・家族への指導方法もより安心・安全に実施できると感じた。1人で抱え込まず、定期的に現状を共有する大切さがわかった。後期は、多職種とも事例検討会ができるようにしたい。

自己研鑚

eラーニング 13・14日在宅看護学会参加

学会等

他事業所多職種交流

自己評価

・計画していた研修・学会に参加することができ、知識を深めることができた。・事例検討が実施でき、問題点や解決策を多職種と共有することができた。・在宅で最期を迎えるケースがなく、在宅看取りの経験はできなかったが、学会に参加したことで、在宅看取 り の現状や事例を知り勉強になった。事業所内への報告まではできなかった。

    達成度A:できたB:ほぼできたC:できなかった

後期への課題 管理者からのコメント

後期目標1、後悔のない在宅看取りができる様、利用者・家族の意思決定に寄り添い支援する。2、多職種と事例検討会を実施し、利用者・家族のニーズを多角的な視点で把握する。

自己の課題

Off-JT12日ACP研修

OJT

研修会 在宅看護学会の報告

10月ACP研修について伝達講習

事例検討等

同行訪問 多職種とB氏事例検討

C看護師に同行訪問。看護技術の確認

退院時cf等その他

自己研鑚

eラーニング

学会等

他事業所多職種交流

多職種との連携を深めることで、より利用者・家族の療養と生活両方のニーズを満たすことができ、在宅チームも安心して自分の役割を実施できると感じることができた。来年は、よりそれぞれの専門性や役割が共有できるように、積極的に多職種連携を実施していきたい。

自己評価

・研修内容を事業所内で共有し、B氏の家族への対応に活かすことができた。・後期も在宅で最期を迎えるケースはなかったが、状態が変化した利用者と家族に対し、充分な 説明と今後の療養生活の方向性について意思決定の確認ができた。・受け持ち以外の利用者に同行訪問することで、家族のニーズにあわせたケア方法を検討できた。

    達成度A:できたB:ほぼできたC:できなかった

目指すラダーレベルに ☑到達した  □到達できなかった

次年度への課題 管理者からのコメント

個人評価シート

中間評価・面接

最終評価・面接

該当レベルに○

到達の有無をチェック