17
計測標準 計量管理 MEASUREMENT STANDARDS and METROLOGY MANAGEMENT 一般社団法人 日本計量振興協会 Japan Association For Metrology Promotion http://www.nikkeishin.or.jp C O N T E N T S ISSN 1880-1420 平成30年11月20日 2018 Vol.68 No.3 ロードセル型力計の校正ポイントの選択〜内挿誤差への影響〜 ロックウェル及びブリネルのJIS改正について JCSSの25年とこれからの計量計測 力学量標準の現状と今後 JISB7721:2018への対応〜校正手順と不確かさの見積もり〜 キログラムの定義改定とその微小質量計測技術への応用 2018年度APLAC/PAC合同年次総会報告 『社内計量研修講師』を通して 測定の数学的モデルの立て方 不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易 的に検証する方法について 産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質 日中韓国ISO10012技術セミナー報告 標準リークのJCSS校正事業者認定取得について デュアルコム分光の応用-ガス分析から先端分子科学まで- IAJapanコーナー 第 20 回 力学量標準トレーサビリティ・ワークショップ 特集

計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

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Page 1: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

雑誌 03317-11 〔定価3240円(本体3000円+税)〕

計測標準と計量管理

特集

第20回力学量標準トレーサビリティワークショップ

第68巻

第3号

二〇一八年

3

計測標準と計量管理MEASUREMENT STANDARDS

andMETROLOGY MANAGEMENT

一般社団法人 日本計量振興協会 Japan Association For Metrology Promotionhttpwwwnikkeishinor jp

C O N T E N T S

ISSN 1880-1420平成30年11月20日

2018Vol68No3

計測標準と計量管理3号    平成30年11月18日 印刷  平成30年11月20日 発行

ロードセル型力計の校正ポイントの選択〜内挿誤差への影響〜ロックウェル及びブリネルのJIS改正について JCSSの25年とこれからの計量計測力学量標準の現状と今後 JISB77212018への対応〜校正手順と不確かさの見積もり〜キログラムの定義改定とその微小質量計測技術への応用 2018年度APLACPAC合同年次総会報告『社内計量研修講師』を通して測定の数学的モデルの立て方 不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質日中韓国ISO10012技術セミナー報告標準リークのJCSS校正事業者認定取得についてデュアルコム分光の応用-ガス分析から先端分子科学まで- IAJapanコーナー

第20回ensp力学量標準トレーサビリティワークショップ特集

計測標準と計量管理

2018Vol 68No 3

MEASUREMENT STANDARDSand

METROLOGY MANAGEMENT

❶ロードセル型力計の校正ポイントの選択 ~内挿誤差への影響~一般財団法人 日本海事協会 近藤 克実hellip 2

❷ロックウェル及びブリネルのJIS改正について 株式会社フューチュアテック 松本 大hellip 15

❸JCSSの25年とこれからの計量計測 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 村田 浩美hellip 23

❹力学量標準の現状と今後 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 高辻 利之hellip 26

❺JIS B 77212018への対応 ~校正手順と不確かさの見積もり~株式会社 東京衡機試験機サービス 大津 広喜hellip 32

❻キログラムの定義改定とその微小質量計測技術への応用国立研究開発法人 産業技術総合研究所 藤井 賢一hellip 40

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ特集

トピックス2018年度APLACPAC合同年次総会報告日本認定機関協議会hellip 49

計量管理事例社内計量研修講師を通して 株式会社 イノアックコーポレーション 石黒 千春hellip 53

不確かさ評価ノート 第6回測定の数学的モデルの立て方 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 榎原 研正hellip 57

不確かさ評価事例不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 小池 利康

横浜国立大学 森下 信hellip 60

標準物質紹介産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 清水 由隆hellip 67 海外計量事情

日中韓国ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会 中野 廣幸hellip 70 認定事業者紹介

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について 株式会社 FUSO 新妻 翔hellip 76 産総研コーナー

デュアルコム分光の応用 ガス分析から先端分子科学まで国立研究開発法人 産業技術総合研究所 大久保 章hellip 79

IAJapanコーナーIAJapanコーナー 独立行政法人 製品評価技術基盤機構hellip 82

編集後記 事 務 局hellip 86

キーワード力計10未満校正ポイント内挿校正式内挿誤差非直線性

1 は じ め に

私ども力トレーサビリティ連絡会議 力標準技術委員会は力計のJCSS校正事業者が集まった委員会であり皆様に良い校正サービスを提供すべく校正方法や評価方法など日々様々なテーマに取り組んでおります力計の校正を行っている中で申込者様からロー

ドセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかとの問いをいただきます今回はこの問いに対しての考察として内挿誤差の影響について探ってみました

2 キーワードの抽出

ロードセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかという問いに申込者様が込められた意味にはbull容量の10未満の領域まで使えるのならば使いたい

bullでも内挿校正式が使えなければ意味が無いポイントや数は

bullもちろん校正ポイントは少なくして料金は安く済ませたい

これらの中には重要と思われるキーワードが含まれています

キーワード10未満キーワード校正ポイントの間隔と数キーワード内挿校正式

先ずこのつのキーワードを一つずつ紐解いていきましょう

3 キーワード10未満

力計には環状ばね型容積型ロードセル型と大きく分けて種類あります環状ばね型(写真)や容積型は指示計の分解能(JIS B 7728分解能級以上の要件)により下限が概ね容量の10までとしているものが多い一方ロードセル型(ひずみゲージ式ロードセルと指

示計を組み合わせたものをいう)(写真)の場合は組み合わせる指示計の分解能を小さく設定できることから10未満を下限にすることが可能です但しJIS B 7728では校正の下限は2までと決め

計測標準と計量管理2

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロードセル型力計の校正ポイントの選択~内 挿 誤 差 へ の 影 響~

一般財団法人 日本海事協会 試験機室

近 藤 克 実

写真ロードセル型力計写真環状ばね型力計

キーワードロックウェル硬さ試験ブリネル硬さ試験校正点検

1 は じ め に

ロックウェル硬さ試験及びブリネル硬さ試験は国内外に於いて工業界の様々なところで広く使われている硬さ試験であるこれら硬さ試験についての国際規格は【ISO 6508

ロックウェル硬さ試験】及び【ISO 6506ブリネル硬さ試験】となっているそれぞれの規格はパートに分かれておりロック

ウェル硬さ試験は【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6508Metallic materials Rockwellhardness test Part 2Verification and calibrationof testing machines and indenters】(試験機及び圧子の検証及び校正)【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 3Calibration of refe-rence blocks】(基準片の校正)のつにブリネル硬さ試験は【ISO 6506Metallic materials Brinellhardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6506Metallic materials Brinell hardness testPart 2Verification and calibration of testing ma-chines】(試験機の検証及び校正)【 ISO 6506Metallic materials Rockwell hardness test Part 3Calibration of reference blocks】(基準片の校正)【ISO6506Metallic materials Rockwell hardness testPart 4Table of hardness values】(硬さ値の表)のつに分かれているロックウェル硬さ試験の規格は最新版となる第

版が2015年にまたブリネル硬さ試験の規格はやはり最新版となる第版が2014年に発行された

これを受けて対応するJIS規格も整合性を取るために改正がなされた今回のJIS改正について解説する

2 改正の概要

ロックウェル硬さ試験のJIS規格はISO 6508Part 1(試験方法)に対応するのがJIS Z 2245Part 2(試験機及び圧子の検証及び校正)に対応するのが JIS B7726Part 3に対応するのがJIS B 7730であるまたブリネル硬さ試験のJIS規格はISO 6506Part 1

(試験方法)に対応するのがJIS Z 2243-1Part 2(試験機の検証と校正)に対応するのがJIS B 7724Part 3(基準片の校正)に対応するのが JIS B 7736Part 4(硬さ値の表)に対応するのがJIS Z 2243-であるこれまで JIS Z 2243 は ISO 6506 の Part 1 と Part 4

をまとめた形で発行されていたが今回 ISO規格と正確に一致させるためZ 2243-1とZ 2243-2に分けて発

15Vol 68 No 3 2018

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロックウェル及びブリネルのJIS改正について

株式会社フューチュアテック

松 本 大

表ロックウェルブリネルのISO-JIS規格

種 類 ISO規格番号 JIS規格番号ロックウェル試 験 方 法

ISO 6508Part 1 JIS Z 2245

ロックウェル試験機の検証

ISO 6508Part 2 JIS B 7726

ロックウェル基準片の校正

ISO 6508Part 3 JIS B 7730

ブ リ ネ ル試 験 方 法

ISO 6506Part 1 JIS Z 2243-1

ブ リ ネ ル試験機の検証

ISO 6506Part 2 JIS B 7724

ブ リ ネ ル基準片の校正

ISO 6506Part 3 JIS B 7736

ブ リ ネ ル硬さ値の表

ISO 6506Part 4 JIS Z 2243-2

キーワードJCSS計量トレーサビリティISOIEC 17025認定適合性評価

1 は じ め に

計量法校正事業者登録制度(JCSS)は平成年の計量法改正に伴って創設され今年の11月日の計量記念日をもって25周年を迎えるここではJCSSの現状を紹介しつつこれからの計量計測のためには何をしていくべきかを少しだけご提案したい

2 JCSSの現状と動向

21 JCSSの25年JCSS は平成年の創設以来APLACILAC の

MRA加盟平成14年平成17年の回の法改正を経てその都度ISO 9000QS 9000(現IATF 16949)JNLAや JABの試験所認定制度に対応した計量トレーサビリティを提供すべく制度の改良を実施してきている

22 登録認定の状況平成30年月末時点で登録認定事業者は260事業

所を超えているここ数年の傾向では新規登録事業者は毎年数社ずつ増加しているものの事業見直し再編等で廃止する登録事業者も同等数あるため登録認定事業者数はほぼ横ばいの状況である一方で既存の登録認定事業者の区分の追加等の登録は年間20~30件となっており内数の中では依然として増加傾向にある

23 校正証明書の発行実績JCSSでは毎年前年度のJCSS標章付校正証明書の発

行実績を登録事業者の皆様にご報告いただいている

平成29年度実績は現在とりまとめ中であるが例年の傾向からすると全体で前年度実績の約53万件は超えるであろうと予想されるこのうち30数万件は濃度標準物質が占めてはいる

が物理標準分野は前回本ワークショップで動向をご紹介した平成20年以降ここ10年で倍程度に増加し順調に伸びている力学量関係の質量力圧力硬さについてのJCSS

標章付校正証明書発行実績の推移についてもまとめてみた質量は登録事業者数恋せ証明書の発行件数とも長さを抜きかなり増加しているものの他の量は硬さも含めてまだまだ件数としては少なくトルクはまだ一緒のグラフにできないほど少ないJCSS標章付校正証明書の発行件数は事業者数各事業者の登録認定内容と現場ニーズへの対応状況ユーザ業界でのJCSSの認知度と計量トレーサビリティへの関心度などが複雑に関連している特に自動車関係航空関係食品医薬品化粧品関係製品輸出に関わる産業等が意識の高いユーザ業界であろう

24 サービス範囲拡大のための取組み力学量については本ワークショップが始まった頃

から力が立ち上がり10年前のセミナーでもひずみ校正器や伸び計の立ち上げをご紹介したようにニーズに適時対応して様々なサービスができるように取り組んできている昨今の取り組みでは質量において医薬品業界等のニーズに応えたサブミリグラム分銅がJCSSで対応できることになり昨年末第号の登録認定事業者が出たところである圧力においてはフロン排出抑制法改正に関連して空調設備点検での冷媒

23Vol 68 No 3 2018

JCSSの25年とこれからの計量計測独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)

計量認定課長 村 田 浩 美

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 2: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

計測標準と計量管理

2018Vol 68No 3

MEASUREMENT STANDARDSand

METROLOGY MANAGEMENT

❶ロードセル型力計の校正ポイントの選択 ~内挿誤差への影響~一般財団法人 日本海事協会 近藤 克実hellip 2

❷ロックウェル及びブリネルのJIS改正について 株式会社フューチュアテック 松本 大hellip 15

❸JCSSの25年とこれからの計量計測 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 村田 浩美hellip 23

❹力学量標準の現状と今後 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 高辻 利之hellip 26

❺JIS B 77212018への対応 ~校正手順と不確かさの見積もり~株式会社 東京衡機試験機サービス 大津 広喜hellip 32

❻キログラムの定義改定とその微小質量計測技術への応用国立研究開発法人 産業技術総合研究所 藤井 賢一hellip 40

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ特集

トピックス2018年度APLACPAC合同年次総会報告日本認定機関協議会hellip 49

計量管理事例社内計量研修講師を通して 株式会社 イノアックコーポレーション 石黒 千春hellip 53

不確かさ評価ノート 第6回測定の数学的モデルの立て方 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 榎原 研正hellip 57

不確かさ評価事例不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 小池 利康

横浜国立大学 森下 信hellip 60

標準物質紹介産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 清水 由隆hellip 67 海外計量事情

日中韓国ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会 中野 廣幸hellip 70 認定事業者紹介

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について 株式会社 FUSO 新妻 翔hellip 76 産総研コーナー

デュアルコム分光の応用 ガス分析から先端分子科学まで国立研究開発法人 産業技術総合研究所 大久保 章hellip 79

IAJapanコーナーIAJapanコーナー 独立行政法人 製品評価技術基盤機構hellip 82

編集後記 事 務 局hellip 86

キーワード力計10未満校正ポイント内挿校正式内挿誤差非直線性

1 は じ め に

私ども力トレーサビリティ連絡会議 力標準技術委員会は力計のJCSS校正事業者が集まった委員会であり皆様に良い校正サービスを提供すべく校正方法や評価方法など日々様々なテーマに取り組んでおります力計の校正を行っている中で申込者様からロー

ドセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかとの問いをいただきます今回はこの問いに対しての考察として内挿誤差の影響について探ってみました

2 キーワードの抽出

ロードセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかという問いに申込者様が込められた意味にはbull容量の10未満の領域まで使えるのならば使いたい

bullでも内挿校正式が使えなければ意味が無いポイントや数は

bullもちろん校正ポイントは少なくして料金は安く済ませたい

これらの中には重要と思われるキーワードが含まれています

キーワード10未満キーワード校正ポイントの間隔と数キーワード内挿校正式

先ずこのつのキーワードを一つずつ紐解いていきましょう

3 キーワード10未満

力計には環状ばね型容積型ロードセル型と大きく分けて種類あります環状ばね型(写真)や容積型は指示計の分解能(JIS B 7728分解能級以上の要件)により下限が概ね容量の10までとしているものが多い一方ロードセル型(ひずみゲージ式ロードセルと指

示計を組み合わせたものをいう)(写真)の場合は組み合わせる指示計の分解能を小さく設定できることから10未満を下限にすることが可能です但しJIS B 7728では校正の下限は2までと決め

計測標準と計量管理2

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロードセル型力計の校正ポイントの選択~内 挿 誤 差 へ の 影 響~

一般財団法人 日本海事協会 試験機室

近 藤 克 実

写真ロードセル型力計写真環状ばね型力計

キーワードロックウェル硬さ試験ブリネル硬さ試験校正点検

1 は じ め に

ロックウェル硬さ試験及びブリネル硬さ試験は国内外に於いて工業界の様々なところで広く使われている硬さ試験であるこれら硬さ試験についての国際規格は【ISO 6508

ロックウェル硬さ試験】及び【ISO 6506ブリネル硬さ試験】となっているそれぞれの規格はパートに分かれておりロック

ウェル硬さ試験は【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6508Metallic materials Rockwellhardness test Part 2Verification and calibrationof testing machines and indenters】(試験機及び圧子の検証及び校正)【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 3Calibration of refe-rence blocks】(基準片の校正)のつにブリネル硬さ試験は【ISO 6506Metallic materials Brinellhardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6506Metallic materials Brinell hardness testPart 2Verification and calibration of testing ma-chines】(試験機の検証及び校正)【 ISO 6506Metallic materials Rockwell hardness test Part 3Calibration of reference blocks】(基準片の校正)【ISO6506Metallic materials Rockwell hardness testPart 4Table of hardness values】(硬さ値の表)のつに分かれているロックウェル硬さ試験の規格は最新版となる第

版が2015年にまたブリネル硬さ試験の規格はやはり最新版となる第版が2014年に発行された

これを受けて対応するJIS規格も整合性を取るために改正がなされた今回のJIS改正について解説する

2 改正の概要

ロックウェル硬さ試験のJIS規格はISO 6508Part 1(試験方法)に対応するのがJIS Z 2245Part 2(試験機及び圧子の検証及び校正)に対応するのが JIS B7726Part 3に対応するのがJIS B 7730であるまたブリネル硬さ試験のJIS規格はISO 6506Part 1

(試験方法)に対応するのがJIS Z 2243-1Part 2(試験機の検証と校正)に対応するのがJIS B 7724Part 3(基準片の校正)に対応するのが JIS B 7736Part 4(硬さ値の表)に対応するのがJIS Z 2243-であるこれまで JIS Z 2243 は ISO 6506 の Part 1 と Part 4

をまとめた形で発行されていたが今回 ISO規格と正確に一致させるためZ 2243-1とZ 2243-2に分けて発

15Vol 68 No 3 2018

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロックウェル及びブリネルのJIS改正について

株式会社フューチュアテック

松 本 大

表ロックウェルブリネルのISO-JIS規格

種 類 ISO規格番号 JIS規格番号ロックウェル試 験 方 法

ISO 6508Part 1 JIS Z 2245

ロックウェル試験機の検証

ISO 6508Part 2 JIS B 7726

ロックウェル基準片の校正

ISO 6508Part 3 JIS B 7730

ブ リ ネ ル試 験 方 法

ISO 6506Part 1 JIS Z 2243-1

ブ リ ネ ル試験機の検証

ISO 6506Part 2 JIS B 7724

ブ リ ネ ル基準片の校正

ISO 6506Part 3 JIS B 7736

ブ リ ネ ル硬さ値の表

ISO 6506Part 4 JIS Z 2243-2

キーワードJCSS計量トレーサビリティISOIEC 17025認定適合性評価

1 は じ め に

計量法校正事業者登録制度(JCSS)は平成年の計量法改正に伴って創設され今年の11月日の計量記念日をもって25周年を迎えるここではJCSSの現状を紹介しつつこれからの計量計測のためには何をしていくべきかを少しだけご提案したい

2 JCSSの現状と動向

21 JCSSの25年JCSS は平成年の創設以来APLACILAC の

MRA加盟平成14年平成17年の回の法改正を経てその都度ISO 9000QS 9000(現IATF 16949)JNLAや JABの試験所認定制度に対応した計量トレーサビリティを提供すべく制度の改良を実施してきている

22 登録認定の状況平成30年月末時点で登録認定事業者は260事業

所を超えているここ数年の傾向では新規登録事業者は毎年数社ずつ増加しているものの事業見直し再編等で廃止する登録事業者も同等数あるため登録認定事業者数はほぼ横ばいの状況である一方で既存の登録認定事業者の区分の追加等の登録は年間20~30件となっており内数の中では依然として増加傾向にある

23 校正証明書の発行実績JCSSでは毎年前年度のJCSS標章付校正証明書の発

行実績を登録事業者の皆様にご報告いただいている

平成29年度実績は現在とりまとめ中であるが例年の傾向からすると全体で前年度実績の約53万件は超えるであろうと予想されるこのうち30数万件は濃度標準物質が占めてはいる

が物理標準分野は前回本ワークショップで動向をご紹介した平成20年以降ここ10年で倍程度に増加し順調に伸びている力学量関係の質量力圧力硬さについてのJCSS

標章付校正証明書発行実績の推移についてもまとめてみた質量は登録事業者数恋せ証明書の発行件数とも長さを抜きかなり増加しているものの他の量は硬さも含めてまだまだ件数としては少なくトルクはまだ一緒のグラフにできないほど少ないJCSS標章付校正証明書の発行件数は事業者数各事業者の登録認定内容と現場ニーズへの対応状況ユーザ業界でのJCSSの認知度と計量トレーサビリティへの関心度などが複雑に関連している特に自動車関係航空関係食品医薬品化粧品関係製品輸出に関わる産業等が意識の高いユーザ業界であろう

24 サービス範囲拡大のための取組み力学量については本ワークショップが始まった頃

から力が立ち上がり10年前のセミナーでもひずみ校正器や伸び計の立ち上げをご紹介したようにニーズに適時対応して様々なサービスができるように取り組んできている昨今の取り組みでは質量において医薬品業界等のニーズに応えたサブミリグラム分銅がJCSSで対応できることになり昨年末第号の登録認定事業者が出たところである圧力においてはフロン排出抑制法改正に関連して空調設備点検での冷媒

23Vol 68 No 3 2018

JCSSの25年とこれからの計量計測独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)

計量認定課長 村 田 浩 美

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 3: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワード力計10未満校正ポイント内挿校正式内挿誤差非直線性

1 は じ め に

私ども力トレーサビリティ連絡会議 力標準技術委員会は力計のJCSS校正事業者が集まった委員会であり皆様に良い校正サービスを提供すべく校正方法や評価方法など日々様々なテーマに取り組んでおります力計の校正を行っている中で申込者様からロー

ドセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかとの問いをいただきます今回はこの問いに対しての考察として内挿誤差の影響について探ってみました

2 キーワードの抽出

ロードセル型力計で10未満の範囲まで校正依頼したいがどの校正ポイントで申し込めば良いのですかという問いに申込者様が込められた意味にはbull容量の10未満の領域まで使えるのならば使いたい

bullでも内挿校正式が使えなければ意味が無いポイントや数は

bullもちろん校正ポイントは少なくして料金は安く済ませたい

これらの中には重要と思われるキーワードが含まれています

キーワード10未満キーワード校正ポイントの間隔と数キーワード内挿校正式

先ずこのつのキーワードを一つずつ紐解いていきましょう

3 キーワード10未満

力計には環状ばね型容積型ロードセル型と大きく分けて種類あります環状ばね型(写真)や容積型は指示計の分解能(JIS B 7728分解能級以上の要件)により下限が概ね容量の10までとしているものが多い一方ロードセル型(ひずみゲージ式ロードセルと指

示計を組み合わせたものをいう)(写真)の場合は組み合わせる指示計の分解能を小さく設定できることから10未満を下限にすることが可能です但しJIS B 7728では校正の下限は2までと決め

計測標準と計量管理2

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロードセル型力計の校正ポイントの選択~内 挿 誤 差 へ の 影 響~

一般財団法人 日本海事協会 試験機室

近 藤 克 実

写真ロードセル型力計写真環状ばね型力計

キーワードロックウェル硬さ試験ブリネル硬さ試験校正点検

1 は じ め に

ロックウェル硬さ試験及びブリネル硬さ試験は国内外に於いて工業界の様々なところで広く使われている硬さ試験であるこれら硬さ試験についての国際規格は【ISO 6508

ロックウェル硬さ試験】及び【ISO 6506ブリネル硬さ試験】となっているそれぞれの規格はパートに分かれておりロック

ウェル硬さ試験は【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6508Metallic materials Rockwellhardness test Part 2Verification and calibrationof testing machines and indenters】(試験機及び圧子の検証及び校正)【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 3Calibration of refe-rence blocks】(基準片の校正)のつにブリネル硬さ試験は【ISO 6506Metallic materials Brinellhardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6506Metallic materials Brinell hardness testPart 2Verification and calibration of testing ma-chines】(試験機の検証及び校正)【 ISO 6506Metallic materials Rockwell hardness test Part 3Calibration of reference blocks】(基準片の校正)【ISO6506Metallic materials Rockwell hardness testPart 4Table of hardness values】(硬さ値の表)のつに分かれているロックウェル硬さ試験の規格は最新版となる第

版が2015年にまたブリネル硬さ試験の規格はやはり最新版となる第版が2014年に発行された

これを受けて対応するJIS規格も整合性を取るために改正がなされた今回のJIS改正について解説する

2 改正の概要

ロックウェル硬さ試験のJIS規格はISO 6508Part 1(試験方法)に対応するのがJIS Z 2245Part 2(試験機及び圧子の検証及び校正)に対応するのが JIS B7726Part 3に対応するのがJIS B 7730であるまたブリネル硬さ試験のJIS規格はISO 6506Part 1

(試験方法)に対応するのがJIS Z 2243-1Part 2(試験機の検証と校正)に対応するのがJIS B 7724Part 3(基準片の校正)に対応するのが JIS B 7736Part 4(硬さ値の表)に対応するのがJIS Z 2243-であるこれまで JIS Z 2243 は ISO 6506 の Part 1 と Part 4

をまとめた形で発行されていたが今回 ISO規格と正確に一致させるためZ 2243-1とZ 2243-2に分けて発

15Vol 68 No 3 2018

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロックウェル及びブリネルのJIS改正について

株式会社フューチュアテック

松 本 大

表ロックウェルブリネルのISO-JIS規格

種 類 ISO規格番号 JIS規格番号ロックウェル試 験 方 法

ISO 6508Part 1 JIS Z 2245

ロックウェル試験機の検証

ISO 6508Part 2 JIS B 7726

ロックウェル基準片の校正

ISO 6508Part 3 JIS B 7730

ブ リ ネ ル試 験 方 法

ISO 6506Part 1 JIS Z 2243-1

ブ リ ネ ル試験機の検証

ISO 6506Part 2 JIS B 7724

ブ リ ネ ル基準片の校正

ISO 6506Part 3 JIS B 7736

ブ リ ネ ル硬さ値の表

ISO 6506Part 4 JIS Z 2243-2

キーワードJCSS計量トレーサビリティISOIEC 17025認定適合性評価

1 は じ め に

計量法校正事業者登録制度(JCSS)は平成年の計量法改正に伴って創設され今年の11月日の計量記念日をもって25周年を迎えるここではJCSSの現状を紹介しつつこれからの計量計測のためには何をしていくべきかを少しだけご提案したい

2 JCSSの現状と動向

21 JCSSの25年JCSS は平成年の創設以来APLACILAC の

MRA加盟平成14年平成17年の回の法改正を経てその都度ISO 9000QS 9000(現IATF 16949)JNLAや JABの試験所認定制度に対応した計量トレーサビリティを提供すべく制度の改良を実施してきている

22 登録認定の状況平成30年月末時点で登録認定事業者は260事業

所を超えているここ数年の傾向では新規登録事業者は毎年数社ずつ増加しているものの事業見直し再編等で廃止する登録事業者も同等数あるため登録認定事業者数はほぼ横ばいの状況である一方で既存の登録認定事業者の区分の追加等の登録は年間20~30件となっており内数の中では依然として増加傾向にある

23 校正証明書の発行実績JCSSでは毎年前年度のJCSS標章付校正証明書の発

行実績を登録事業者の皆様にご報告いただいている

平成29年度実績は現在とりまとめ中であるが例年の傾向からすると全体で前年度実績の約53万件は超えるであろうと予想されるこのうち30数万件は濃度標準物質が占めてはいる

が物理標準分野は前回本ワークショップで動向をご紹介した平成20年以降ここ10年で倍程度に増加し順調に伸びている力学量関係の質量力圧力硬さについてのJCSS

標章付校正証明書発行実績の推移についてもまとめてみた質量は登録事業者数恋せ証明書の発行件数とも長さを抜きかなり増加しているものの他の量は硬さも含めてまだまだ件数としては少なくトルクはまだ一緒のグラフにできないほど少ないJCSS標章付校正証明書の発行件数は事業者数各事業者の登録認定内容と現場ニーズへの対応状況ユーザ業界でのJCSSの認知度と計量トレーサビリティへの関心度などが複雑に関連している特に自動車関係航空関係食品医薬品化粧品関係製品輸出に関わる産業等が意識の高いユーザ業界であろう

24 サービス範囲拡大のための取組み力学量については本ワークショップが始まった頃

から力が立ち上がり10年前のセミナーでもひずみ校正器や伸び計の立ち上げをご紹介したようにニーズに適時対応して様々なサービスができるように取り組んできている昨今の取り組みでは質量において医薬品業界等のニーズに応えたサブミリグラム分銅がJCSSで対応できることになり昨年末第号の登録認定事業者が出たところである圧力においてはフロン排出抑制法改正に関連して空調設備点検での冷媒

23Vol 68 No 3 2018

JCSSの25年とこれからの計量計測独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)

計量認定課長 村 田 浩 美

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 4: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワードロックウェル硬さ試験ブリネル硬さ試験校正点検

1 は じ め に

ロックウェル硬さ試験及びブリネル硬さ試験は国内外に於いて工業界の様々なところで広く使われている硬さ試験であるこれら硬さ試験についての国際規格は【ISO 6508

ロックウェル硬さ試験】及び【ISO 6506ブリネル硬さ試験】となっているそれぞれの規格はパートに分かれておりロック

ウェル硬さ試験は【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6508Metallic materials Rockwellhardness test Part 2Verification and calibrationof testing machines and indenters】(試験機及び圧子の検証及び校正)【ISO 6508Metallic materialsRockwell hardness test Part 3Calibration of refe-rence blocks】(基準片の校正)のつにブリネル硬さ試験は【ISO 6506Metallic materials Brinellhardness test Part 1Test method】(試験方法)【ISO 6506Metallic materials Brinell hardness testPart 2Verification and calibration of testing ma-chines】(試験機の検証及び校正)【 ISO 6506Metallic materials Rockwell hardness test Part 3Calibration of reference blocks】(基準片の校正)【ISO6506Metallic materials Rockwell hardness testPart 4Table of hardness values】(硬さ値の表)のつに分かれているロックウェル硬さ試験の規格は最新版となる第

版が2015年にまたブリネル硬さ試験の規格はやはり最新版となる第版が2014年に発行された

これを受けて対応するJIS規格も整合性を取るために改正がなされた今回のJIS改正について解説する

2 改正の概要

ロックウェル硬さ試験のJIS規格はISO 6508Part 1(試験方法)に対応するのがJIS Z 2245Part 2(試験機及び圧子の検証及び校正)に対応するのが JIS B7726Part 3に対応するのがJIS B 7730であるまたブリネル硬さ試験のJIS規格はISO 6506Part 1

(試験方法)に対応するのがJIS Z 2243-1Part 2(試験機の検証と校正)に対応するのがJIS B 7724Part 3(基準片の校正)に対応するのが JIS B 7736Part 4(硬さ値の表)に対応するのがJIS Z 2243-であるこれまで JIS Z 2243 は ISO 6506 の Part 1 と Part 4

をまとめた形で発行されていたが今回 ISO規格と正確に一致させるためZ 2243-1とZ 2243-2に分けて発

15Vol 68 No 3 2018

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

ロックウェル及びブリネルのJIS改正について

株式会社フューチュアテック

松 本 大

表ロックウェルブリネルのISO-JIS規格

種 類 ISO規格番号 JIS規格番号ロックウェル試 験 方 法

ISO 6508Part 1 JIS Z 2245

ロックウェル試験機の検証

ISO 6508Part 2 JIS B 7726

ロックウェル基準片の校正

ISO 6508Part 3 JIS B 7730

ブ リ ネ ル試 験 方 法

ISO 6506Part 1 JIS Z 2243-1

ブ リ ネ ル試験機の検証

ISO 6506Part 2 JIS B 7724

ブ リ ネ ル基準片の校正

ISO 6506Part 3 JIS B 7736

ブ リ ネ ル硬さ値の表

ISO 6506Part 4 JIS Z 2243-2

キーワードJCSS計量トレーサビリティISOIEC 17025認定適合性評価

1 は じ め に

計量法校正事業者登録制度(JCSS)は平成年の計量法改正に伴って創設され今年の11月日の計量記念日をもって25周年を迎えるここではJCSSの現状を紹介しつつこれからの計量計測のためには何をしていくべきかを少しだけご提案したい

2 JCSSの現状と動向

21 JCSSの25年JCSS は平成年の創設以来APLACILAC の

MRA加盟平成14年平成17年の回の法改正を経てその都度ISO 9000QS 9000(現IATF 16949)JNLAや JABの試験所認定制度に対応した計量トレーサビリティを提供すべく制度の改良を実施してきている

22 登録認定の状況平成30年月末時点で登録認定事業者は260事業

所を超えているここ数年の傾向では新規登録事業者は毎年数社ずつ増加しているものの事業見直し再編等で廃止する登録事業者も同等数あるため登録認定事業者数はほぼ横ばいの状況である一方で既存の登録認定事業者の区分の追加等の登録は年間20~30件となっており内数の中では依然として増加傾向にある

23 校正証明書の発行実績JCSSでは毎年前年度のJCSS標章付校正証明書の発

行実績を登録事業者の皆様にご報告いただいている

平成29年度実績は現在とりまとめ中であるが例年の傾向からすると全体で前年度実績の約53万件は超えるであろうと予想されるこのうち30数万件は濃度標準物質が占めてはいる

が物理標準分野は前回本ワークショップで動向をご紹介した平成20年以降ここ10年で倍程度に増加し順調に伸びている力学量関係の質量力圧力硬さについてのJCSS

標章付校正証明書発行実績の推移についてもまとめてみた質量は登録事業者数恋せ証明書の発行件数とも長さを抜きかなり増加しているものの他の量は硬さも含めてまだまだ件数としては少なくトルクはまだ一緒のグラフにできないほど少ないJCSS標章付校正証明書の発行件数は事業者数各事業者の登録認定内容と現場ニーズへの対応状況ユーザ業界でのJCSSの認知度と計量トレーサビリティへの関心度などが複雑に関連している特に自動車関係航空関係食品医薬品化粧品関係製品輸出に関わる産業等が意識の高いユーザ業界であろう

24 サービス範囲拡大のための取組み力学量については本ワークショップが始まった頃

から力が立ち上がり10年前のセミナーでもひずみ校正器や伸び計の立ち上げをご紹介したようにニーズに適時対応して様々なサービスができるように取り組んできている昨今の取り組みでは質量において医薬品業界等のニーズに応えたサブミリグラム分銅がJCSSで対応できることになり昨年末第号の登録認定事業者が出たところである圧力においてはフロン排出抑制法改正に関連して空調設備点検での冷媒

23Vol 68 No 3 2018

JCSSの25年とこれからの計量計測独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)

計量認定課長 村 田 浩 美

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 5: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワードJCSS計量トレーサビリティISOIEC 17025認定適合性評価

1 は じ め に

計量法校正事業者登録制度(JCSS)は平成年の計量法改正に伴って創設され今年の11月日の計量記念日をもって25周年を迎えるここではJCSSの現状を紹介しつつこれからの計量計測のためには何をしていくべきかを少しだけご提案したい

2 JCSSの現状と動向

21 JCSSの25年JCSS は平成年の創設以来APLACILAC の

MRA加盟平成14年平成17年の回の法改正を経てその都度ISO 9000QS 9000(現IATF 16949)JNLAや JABの試験所認定制度に対応した計量トレーサビリティを提供すべく制度の改良を実施してきている

22 登録認定の状況平成30年月末時点で登録認定事業者は260事業

所を超えているここ数年の傾向では新規登録事業者は毎年数社ずつ増加しているものの事業見直し再編等で廃止する登録事業者も同等数あるため登録認定事業者数はほぼ横ばいの状況である一方で既存の登録認定事業者の区分の追加等の登録は年間20~30件となっており内数の中では依然として増加傾向にある

23 校正証明書の発行実績JCSSでは毎年前年度のJCSS標章付校正証明書の発

行実績を登録事業者の皆様にご報告いただいている

平成29年度実績は現在とりまとめ中であるが例年の傾向からすると全体で前年度実績の約53万件は超えるであろうと予想されるこのうち30数万件は濃度標準物質が占めてはいる

が物理標準分野は前回本ワークショップで動向をご紹介した平成20年以降ここ10年で倍程度に増加し順調に伸びている力学量関係の質量力圧力硬さについてのJCSS

標章付校正証明書発行実績の推移についてもまとめてみた質量は登録事業者数恋せ証明書の発行件数とも長さを抜きかなり増加しているものの他の量は硬さも含めてまだまだ件数としては少なくトルクはまだ一緒のグラフにできないほど少ないJCSS標章付校正証明書の発行件数は事業者数各事業者の登録認定内容と現場ニーズへの対応状況ユーザ業界でのJCSSの認知度と計量トレーサビリティへの関心度などが複雑に関連している特に自動車関係航空関係食品医薬品化粧品関係製品輸出に関わる産業等が意識の高いユーザ業界であろう

24 サービス範囲拡大のための取組み力学量については本ワークショップが始まった頃

から力が立ち上がり10年前のセミナーでもひずみ校正器や伸び計の立ち上げをご紹介したようにニーズに適時対応して様々なサービスができるように取り組んできている昨今の取り組みでは質量において医薬品業界等のニーズに応えたサブミリグラム分銅がJCSSで対応できることになり昨年末第号の登録認定事業者が出たところである圧力においてはフロン排出抑制法改正に関連して空調設備点検での冷媒

23Vol 68 No 3 2018

JCSSの25年とこれからの計量計測独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)

計量認定課長 村 田 浩 美

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 6: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワード計量標準標準整備計画SI単位の定義改訂国際相互承認APMP

1 計量標準総合センター(NMIJ)の近況

NMIJは国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に属している2001年に実施された省庁再編をきっかけとして通商産業省傘下の国立研究所を再編して産総研がスタートした産総研はその後2015年月に国立研究開発法人となりさらに翌2016年 10月には特定国立研究開発法人に指定された産総研内でのNMIJの位置づけも多少の曲折を経て

2015年から始まった第期中期計画においてはつに分けられた研究領域の一つとなっている現在のNMIJの組織図を図に示す研究戦略部の

下につの研究部門と計量標準普及センターがあるそれぞれの研究部門が所掌する主な標準も併せて図に示した力学量は主に工学計測標準研究部門が担当している

公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ研究成果を創出しそれを産業界に移転することが産総研の最大のミッションであるNMIJで実施している計量標準の開発維持供給業務は直接的間接的に産業界に貢献していると考えているがさらに共同研究などを通じて直接連携することが第期の開始以降急激に増えている共同研究以外にも様々な連携のスキームがあるが

特に多いのは技術コンサルティングである共同研究の場合産総研が開発した成果を使って製品の開発をすることなどがありNMIJでもこのような例は多数あるそれとは別にNMIJに対してはNMIJの有する計測技術を使って企業が開発した計測機器の性能を客観的に評価するといった依頼が多いこの場合NMIJが提供するのは保有する装置のマシンタイム作業そして知見であるこのような連携を行う場合企業からは備品や消耗品の購入費ではなく研究員の時間単価に対してコンサルティング料をいただくという契約を結んでいる

2 計量標準の整備状況

21 全般欧米に比べて国から提供される計量標準の量が極め

て少ないという状況を改善するため標準整備計画がかつて作られた2001年に公表された最初の計量標準整備計画では

2010年までに物理標準250種類標準物質250種類を整備するとされたがこの目標は2007年度に前倒しで達成された図に物理標準整備の経緯を示す

計測標準と計量管理26

特集

力 学 量 標 準 の 現 状 と 今 後国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

高 辻 利 之

第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ【招待講演】

図NMIJの組織

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

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不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 7: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワード引張圧縮試験機校正手順不確かさ

1 は じ め に

JIS B 7721引張試験機圧縮試験機 力計測系の校正方法及び検証方法は引張試験機圧縮試験機曲げ試験機などの検証校正に用いられている日本工業規格でありJIS B 7721によるJCSS校正機関(登録区分力計量器等の区分一軸試験機種類JIS B7721による方法)は2018年月現在32事業所が登録されているこの規格は1952年に引張試験機として制定されて以来これまでに回の改正を経て2018年月に回目の改正版が発行された改正の概要を以下に示すbull1952年引張試験機として制定されたbull1973年関連国際規格に合わせて検査内容の充実を図った

bull1991 年1986 年に制定された対応国際規格 ISO75001との整合化試験機の等級分類往復検査感度検査などを重点的に審議した

bull1997年ISO 750011986との更なる整合化感度検査破断検査最大荷重検査などを削除し一般検査力測定系の検証検証の間隔などをISOと同じ内容で規定した

bull2002年ISO 7500-11999への整合JIS B 77331997圧縮試験機 力の検証方法を統合した

bull2009年ISO 7500-12004への整合bull2018 年2015 年 12 月に第版として発行されたISO 7500-12015への整合

ISO 7500-1は引張圧縮試験機の力計測系を校正検証する方法を規定している国際規格で2015年に第

版が発行されているこの規格の旧版からの改正内容については前回の第19回トレーサビリティワークショップにて国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林 敏行氏より詳細の解説が行われたので参照いただきたい本稿ではこの国際規格と対応するJISB 7721について旧版からの変更内容を紹介し変更に伴う各誤差の計算例とその影響実務的な校正手順と不確かさの計算例などについて実験データを含めて報告する

2 改正の要点

以下JIS B 77212018 を新 JISJIS B 77212009を旧JISと記載する新JISの旧JISに対する改正の要点は以下のとおり

であるなお本稿中の数式に付した番号はJISの数式番号ではなく本稿の通し番号を示している(1) 試験機の一般検査〔箇条〕旧JIS〔箇条 試験機の一般検査 注記〕良好な計測結果を得るためには試験機の適切な

メンテナンス又は調整を行った上で校正を実施する必要がある新JIS〔箇条 試験機の一般検査〕良好な計測結果を得るために試験機の現状を確

認する目的で適切なメンテナンス又は調整を行う前に測定シリーズを回実施する注) 測定シリーズとは力を増加させて又は力を増加及び減少させてそれぞれの測定点で実施する一連の測定をいう

計測標準と計量管理32

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

JIS B 77212018への対応~校正手順と不確かさの見積もり~

力トレーサビリティ連絡会議 力試験機技術委員会株式会社 東京衡機試験機サービス

大 津 広 喜

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 8: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

キーワードキログラムアボガドロ定数プランク定数国際単位系X線結晶密度法

1 キログラムの定義をめぐる最近の動き

質量は力学量の測定に用いられる基本的な物理量の一つである質量を測るための基準として古くから様々な単位が用いてきたが現在広く用いられている国際単位系(SI)における基本単位であるキログラム(kg)の概念が明確になってきたのは18世紀末のフランス革命の頃に遡るこのときメートル(m)は北極から赤道までの子午線の長さの千万分のとして定義され長さの単位が定義できたので物体の形状を測れば長さの定義から体積の単位を定義することができるようになりキログラムは最大密度にある純水リットルの質量として定義されたしかし質量を測る度に水の体積を測るのは大変なので利便性の観点から分銅の質量に置き換えられたこのような考え方にもとづいてつくられた純粋な白金製の確定メートル原器と確定キログラム原器を基準として1799年に世界で最初にフランスでメートル法が公布されたその後メートル法の優位性は海外でも認められる

ようになり1875年にメートル条約が締結されると国際度量衡局(BIPM)が設立され1889年に第回国際度量衡総会(CGPM)が開催されこのときキログラムは白金にイリジウムを10混ぜて硬度を高めた白金イリジウム合金製の国際キログラム原器(international prototype of the kilogramIPK)によって定義された(図参照)当時IPKと同じ材料でつくられたコピーが40個つくられIPKとの質量比較によって質量がそれぞれ値づけされたキログラム原器がメートル条約加盟各国に配布された世界各国の質量の基準は今でもこのキログラム原器によって維持さ

れているしかし図に示すとおりIPKやそのコピーは人

工物なので表面汚染による質量変動がありこれらの質量の安定性は50 10495321049532g(億分の)程度であると考えられている1)このため基礎物理定数 2)などの決して変わることの

ない普遍的な定数にもとづいてキログラムの定義を改定することが提案されるようになった国際度量衡

計測標準と計量管理40

特集 第20回 力学量標準トレーサビリティワークショップ

キ ロ グ ラ ム の 定 義 改 定 とその微小質量計測技術への応用

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 工学計測標準研究部門

藤 井 賢 一

図1889年にメートル条約にもとづいて開催された第回CGPMにおいて質量の単位の定義として採用された国際キログラム原器(直径高さともに39mmの直円筒型の白金イリジウム合金製)

写真提供BIPM

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 9: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

2018 年月日から日にかけて2018 年度APLACPAC合同年次総会及び付属委員会会議が京都市の国立京都国際会館で開催され70機関40国地域から約200名が参加したAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)はア

ジア太平洋地域でISOIEC 17025に基づくラボラトリ等の認定を行う認定機関の地域協力機関でありPAC(太平洋認定協力機構)は同様にアジア太平洋地域でISOIEC 17021-1に基づくマネジメントシステム認証

機関等の認定を行う認定機関の地域協力機関である両機関はそれぞれILAC(国際試験所認定協力機構)及びIAF(国際認定フォーラム)傘下の地域機関であるとともにAPEC(アジア太平洋経済協力)のSRB(地域専門家機関)に位置付けられているAPLACとPACは2014年より年次合同総会を開

催しており本年で回目を迎えるまたAPLACと PACは 2019 年月日に合併することが予定されており新しい地域協力機関APAC(Asia Pacific

49Vol 68 No 3 2018

トピックス

2018年度APLACPAC合同年次総会報告

標準化と品質管理Vol 71 No 10 pp66-68(2018 09 15)から転載 (一財)日本規格協会

日本認定機関協議会(事務局独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター(IAJapan))

2018年度APLACPAC合同年次総会 参加者集合写真

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 10: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

1 は じ め に

当社(株)イノアックコーポレーションはプラスチックウレタンゴムの総合加工メーカーであり自動車部品産業資材分野に広く展開している私自身現在グローバル技術部の機能評価グループ

に所属しており主な業務は① グループ会社からの依頼試験(化学分析および材料評価)

② 各事業所の作業環境測定等③ 一般計量士としてイノアックグループ全体の計量管理活動の助言計量活動推進の一環として社内教育活動も行っている

計量士を目指すきっかけは当時の会社の方針で環境計量事業への業務拡張が求められておりその為まず環境計量士の資格が必要とされたことからである

環境計量士の試験に合格した時上長より一般計量士への挑戦を促された会社全体の計量活動の活性化と私自身のスキルアップも兼ねて一般計量士の資格修得に挑戦することになり合格して現在に至っている今回は一般計量士として行っている当社の教育活

動とそのことを通して考えたことについて述べる

2 当社の計量管理の教育活動

21 本社関連会社様向け教育活動当社において計量に関する教育活動として年に

~回終日開催している計量主任者講習があるこの講習は1994年から新計量法への対応を目的に

スタートしその後ISOTS16949(現IATF16949)への対応に合わせて内容を見直しながら現在まで行っており2018年月までで述べ430人受講しているこの講習では表に示すカリキュラムで行ってい

53Vol 68 No 3 2018

計量管理事例

社内計量研修講師を通して

株式会社 イノアックコーポレーション

計量士 石 黒 千 春

表計量主任者講習のカリキュラム例

時 間 講義テーマ 内 容 講 師

900~1000 計量主任者の知識 計測とは計量管理と品質保証品質マネジメントシステムと計量管理計量管理規定 石黒

1015~1115 電子はかり実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1115~1215 電子ノギス実技 取扱い点検検査 石黒10486191048619 1名1215~1300 昼食

1300~1400 プロセスキャリブレーター表面温度校正システム実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1400~1500 硬度計荷重検査器ストップウォッチ実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1515~1600 シックネスゲージコンベックス実技 取扱い点検検査 中西10486191048619 1名

1600~1700 理解度確認テストアンケート セミナーを受講された方ご自身の理解度の確認と復習 事務局

講義開始終了時刻については多少前後しますがご了承願いますカリキュラムについても若干の見直しをする場合がありまのでご了承願います

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 11: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

1 測定モデルが大切

個別の要因毎に求めた標準不確かさを合成するには不確かさの伝播則が用いられる不確かさの伝播則は測定対象量 を入力量 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の関数として表した測定の数学的モデル(以下では測定モデルとよぶ)

10486371048637 ( 11085291108529 1108530110853010575191057519 ) (1)

から導かれる不確かさを評価する際に第一に行うべきことは測定の手順を注意深く吟味したうえでどのような入力量がありそれらから最終の測定結果がどのように導かれるかを確認することであるこれを数式として表現したものが測定モデルに他ならない不確かさの要因はそれぞれの入力量に対して複数

ある場合も多いこれらの要因を漏らさず拾い上げるためにもまた不確かさ評価全体を見通しよく進めるためにも測定モデルをうまく書き下すことはとても大切であるしかし現実の不確かさ評価では式(1)のような関数形が見つけにくい場合もある今回の不確かさ評価ノートでは測定モデルをどのように立てればよいか検討するdagger

2 測定器の指示値をそのまま測定値とする場合

簡便さやコストが重視される生産現場のような状況下では測定器の指示値をそのまま測定値とすることが少なくないこのような場合には指示値を 測定値を として単に

10486371048637 (測定モデル) (2)

とすればよいこれは無意味な式ではなく指示値に補正や変換を加えずそのまま測定値とするという宣言であるもし繰り返し測定の指示値 ( 10486371048637 1 210575191057519 )の平均値 を測定値とするならば式(2)に代えて

10486371048637 (測定モデル) (2a)

とすればよいこの場合指示値 (あるいは )に含まれる様々な

不確かさ成分を次のようにさらに分離して表現しておくと評価を進めやすい

10486371048637 10486191048619 110857911085791108577110857711085881108588 10486191048619 110859411085941108581110858111085921108592 10486191048619 110859111085911108592110859211085941108594 1048619104861910575191057519

(データの構造モデル) (3)

ここで は測定対象量 の真値 110860011086001108600110860011086001108600は に含まれる個々の不確かさ成分を表す確率変数であるむろん真値 は不可知であるが式(3)は入力量 にどのような不確かさ成分があり得るかをリストアップするためのものなので が不可知であることは差し支えない上の式では

110857911085791108577110857711085881108588測定器の校正(calibration)の不確かさに付随するかたより

110859411085941108581110858111085921108592繰り返し測定(repetition)のばらつき110859111085911108592110859211085941108594測定作業者(operator)の違いに起因するばら

つきと想定しそれぞれの意味がわかりやすいように の添え字を選択した細かいことであるがこのようなことも不確かさ評価を混乱無く進めるうえでのポイントになる式(3)から不確かさの合成式は次のように書ける

57Vol 68 No 3 2018

不確かさ評価ノート 第6回

測定の数学的モデルの立て方国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター

榎 原 研 正

dagger本稿はNMIJ不確かさクラブ編不確かさ評価事例集Ⅲ(2017年月)potilde157-162に掲載した解説の一部に手を加えたものである

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

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共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

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2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

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登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 12: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

1 は じ め に

一般にフルスケールに対し少量側を計測するような場合相対的に不確かさは大きくなるところがフルスケールを意識しないデジタル測定器での計測や複数の測定値から複雑なモデル式により算出する計測システムの場合その相対不確かさは直観的には解り難いそのような場合には測定の都度不確かさを確認する1)必要があるが広いレンジでの複数の測定ではモデル式の非線形性も測定点ごとに異なる可能性があるそのためリアルタイムで実施可能な線形性の簡易的な検証手法が必要となる2)本報では不確かさ解析におけるʠ伝播則適用の妥当性を簡易的に検証する方法についてʡ提案する

2 不確かさ伝播則における感度係数

不確かさ解析では各標準不確かさ ( 11085851108585)を求めた後不確かさの伝播則を用いて合成標準不確かさ 11085471108547( )を算出する一般にモデル式 10486371048637

( 110852911085291048620104862010486081048608 110853011085301048620104862010486081048608 1108531110853110486201048620 10568061056806 11085851108585 10568061056806 1108590110859011095221109522110852911085291048620104862010486081048608 11085901108590)の線形性に問題がない場合GUM 3)512より式(1)のように求められるこの式(1)の 11085851108585は感度係数と呼ばれ式(2)のように入力量の値が不確かさ分だけ大きくなったときと小さくなったときの出力の変化量を倍の不確かさで割って近似値を数値計算する方法差分法中央差分から求めることができ多くの場合に適用されている(GUM 3)513)

11085791108579( )10486371048637 105729710572971108541110854111085291108529 11077461107746 11077621107762

1108530110853011085301108530( ) (1)

11077461107746 110776211077621108547110854710486371048637

( 10486191048619 ( ))10572981057298 ( 10572981057298 ( ))1048626104862610574771057477 ( ) (2)

ところがモデル式の非線形性が有意である場合は通常の不確かさの伝播則の式(1)および感度係数の数値計算の式(2)を用いることは適切でないそのためモデル式の非線形性が有意かどうかは常に確認しなければならないがこの検証は容易でないことが多い

3モデル式の非線形性が有意であるときの不確かさ解析

GUM 3)(G15)にはldquoYとその入力量との間の関数関係が非線形でこの関数の次のテイラー展開が受け入れられない近似である場合はYの確率分布は入力量の分布の畳み込みをとることによっては求められないこのような場合には他の解析的な又は数値的な方法が必要となるʡと示されておりテイラー級数展開の中の高次の項を含める4)かGUM補足文書モンテカルロ法 5)oacute 6)oacute 7)(MCM)により合成標準不確かさ 11085791108579( )110855711085571108547110854711085571108557を算出しなければならない一般にモンテカルロ法によるシミュレーションはʠ100万回ほど繰り返すのが良いʡとされておりモデル式が複雑な場合この計算には数分から数時間を要することがある

4前進差分後退差分による感度係数の数値計算について

感度係数を求める差分法には式(2)の中央差分のほかに式(3)と式(4)に示す前進差分と後退差分もあるこれらの式は 軸の10486191048619側10572981057298側それぞれ片側だけの差分を取っており中央差分の式と比べると精度は落ちるが計算量は半分になる

計測標準と計量管理60

不確かさ評価事例

不確かさ伝播則における感度係数の数値計算の妥当性を簡易的に検証する方法について

株式会社 IHI回転機械エンジニアリング 内部監査部 主査 小 池 利 康横浜国立大学 理事(研究評価担当)副学長 森 下 信

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 13: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

1 は じ め に

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJNational Metrology Institute ofJapan)では国家計量標準機関の行う化学材料計量分野における計量標準供給の一環として認証標準物質(CRMCertified Reference Material)を頒布しているNMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)はISO Guide34及び ISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づき国際的に認められる認証標準物質であるこのマネジメントシステムは独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (IAJapanInterna-tional Accreditation Japan)の製品評価技術基盤機構認定制度(ASNITE)による認定を受けて運用されている現在頒布されているNMIJ CRMはEPMA用材料標準物質材料標準物質高純度無機標準物質有機標準物質高分子材料標準物質環境組成標準物質グリーン調達対応標準物質高圧ガス熱物性標準物質に分類され最新の情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceC)で確認することができる一般に頒布されているNMIJ CRMのほかに計量

法トレーサビリティ制度(JCSS)における特定標準物質製造に用いられるNMIJ CRMを指定校正機関に頒布しているこれらのNMIJ CRMは基準物質と呼ばれ特定標準物質のトレーサビリティソースとして基準物質を使用することでJCSSにより供給されている標準物質の国際単位系(SI)までの計量計測トレーサビリティを確保することができるJCSSで供給されている標準物質は指定校正機関である一般財団法人化学物質評価研究機構のウェブサイト(httpwwwcerijorjpservice08_reference_materialJCSS_02html)で

確認することができる一方で産業界などからの多種多様なニーズに迅速に

対応するためISOIEC 17025に適合するマネジメントシステムに基づく校正サービスも実施している現在行っている校正サービスの項目は高純度有機標準物質の純度薄膜多層膜構造の膜厚及び標準ガスの濃度である校正対象の詳細な情報はNMIJのウェブサイト(httpswwwnmijjpserviceCcalib)で確認することができるまた現在校正サービスを受け付けていない対象についても産総研の産学官連携制度における受託研究や技術コンサルティング等を活用して検討できる場合がある対象品目の拡大を希望する場合はNMIJの問い合わせ窓口(httpswwwnmijjpinquiry)または計量標準調査室(nmij-info-mlaistgojp)まで問い合わせていただきたい

2 NMIJの新規認証標準物質の紹介

表に2018年度からNMIJ CRMとして頒布が開始された新規標準物質を示す本稿ではこの中から高圧ガスであるアルゴン希釈窒素液化天然ガス析用窒素イソブタンおよびブタンについて詳細情報を紹介する表に各標準物質の詳細情報を図から図にそれぞれの外観を示す

67Vol 68 No 3 2018

標準物質紹介

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 計量標準普及センター

計量標準調査室 総括主幹 清 水 由 隆

産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 14: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

1 は じ め に

KASTO(Korea Association of Standards andTesting Organizations)主催の日中韓国ISO 10012技術セミナーが2018年月28日(木)にKorea Scienceamp Technology Hall(ソウル Yeoksam-dong 駅三洞)において開催された試験ラボおよび企業の計量計測マネージャ等約80名が出席し計量計測マネジメント改善のための最新の計測マネジメントシステムの紹介をテーマとしたものである韓国においては各企業における計測マネジメント

の推進の標準となる規格はなくISO 10012計測マネジメントシステムを導入し適正な計測計量管理制度を根付かせようとするものである最近の中国および日本のISO 10012計測マネジメントシステム取り組み

の推進状況についてのISO 10012計測マネジメントシステムを韓国の計測計量関係者に周知するための第一歩とするためのものであるなおISO 10012計測マネジメントシステムは2014年に韓国規格KS Q ISO10012として制定されている

2 セミナーのプログラム

講演者として日本からは一般社団法人日本計量振興協会専務理事河住春樹氏および計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長中野廣幸また中国から CSM(中国計量測試学会)WangXiaowen氏及びHebei大学Li Jinhai氏がそれぞれの国におけるISO 10012計測マネジメントシステムの推進状況について講演を行った以下にそのスケジュールを示す

計測標準と計量管理70

海外計量事情

日中韓国 ISO 10012技術セミナー報告一般社団法人 日本計量振興協会(JAMP)計測管理システム(ISOJIS Q 10012)調査委員会 委員長

計量士 中 野 廣 幸

韓国KASTO主催ISO 10012セミナースケジュール

Time Contents Presenter

0930-1000(05 h) Participant reception and seminar guide KASTO

1000-1200(20 h)

About the measurement management system (ISO 10012) JAMP(1)

Japanʼs Measurement Management System(Improvement of system for authentication spread etc) JAMP(2)

1200-1330(15 h) Lunch hour

1330-1530(20 h)

Status of operation of measurement management system in China(Certification regulations procedures and status etc) CSM(1)

Best practices for enterprise measurement management system certification CSM(2)

1530-1600(05 h) Q amp A (Survey) Experts amp KASTO

1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

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国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

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Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

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1 は じ め に

株式会社FUSOは研究用産業用理化学測定機器の製造販売に携わって今年で60年ガス検知器警報器環境計測機器冷凍空調用機械工具及びその他環境機器等の開発製造販売を行っている当社守谷技術センターは自社販売した計測機器等の

修理校正を主業務としており2018年8月に標準リークのJCSS登録事業者として認定された

2 当社の概要

21 登録内容登 録 番 号0334事業所の名称株式会社FUSO守谷技術センター所 在 地茨城県取手市戸頭四丁目1番14号登録に係る区分圧力法律に基づく初回登録年月日平成30年月30日校正手法の区分の呼称リーク計恒久施設で行う校正現地校正の別

恒久的施設で行う校正校正範囲及び校正測定能力表参照

22 沿 革1957年 前身である扶桑光器製作所創設光学

機器及び理化学機器の製造及び販売日本初のハンディ型フロン検知器を自社開発

1958年 法人組織に改組 扶桑理化製品株式会社と改称

2005年 標準リークの質量分析計による校正事業開始

2006年 商号変更ならびに本社移転 株式会社FUSOへ変更

2013年 守谷技術センター開設に伴い校正事業を守谷技術センターに移転

2014年 守谷技術センター修理校正においてISO9001ISO14001認証取得

2016年 定容流量計を用いた標準リークの校正事業開始

2018年月 リーク計区分にて標準リークのJCSS登録事業者の認定取得

計測標準と計量管理76

標準リークのJCSS校正事業者認定取得について

認定事業者紹介

株式会社 FUSO 守谷技術センター

校正グループ 新 妻 翔

表校正範囲及び校正測定能力

校正方法の区分の呼称 種 類 校 正 範 囲 校正測定能力

(信頼の水準約95)

リーク計 標準リーク

気体種

18

N2R 1234yfR 134aR 22 104862710486271048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085341108534Pam3s 以上R 32 104862610486261048791104879110486251048625104862410486241109522110952211085321108532Pam3s 以下R 410A

流出先の圧力大気圧

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

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主任研究員 大 久 保 章

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共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

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Ⅰ 計量法校正事業者登録制度(JCSS)

2018年月から2018年月末に認定範囲の拡大も含め登録又は登録更新が承認された事業所は次のとおりです

(区分追加)

登録番号 追加登録年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

0067 2018年月30日 株式会社 ミツトヨ 計量標準室計量標準キャリブレーション課

温度

0191 2018年月30日 株式会社 田中衡機工業所 JCSS校正室 質量

0267 2018年月30日 株式会社 アタゴ 深谷工場 密度屈折率

(登録)

登録番号 登 録 年 月 日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0334 2018年月30日 株式会社 FUSO 守谷技術センター 圧力

(登録更新)

登録番号 登録更新年月日 登 録 さ れ た 事 業 所 名 登 録 区 分

0139 2018年月30日 岩崎通信機株式会社 生産本部 品質保証部 標準センタ 電気(直流低周波)

0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

Page 16: 計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成30 …nikkeishin.or.jp/img/magazine_img/kanri2018v68_3.pdfVol.68 No.3 計測標準と計量管理3 号 平成30年11月18日

複数の分子種の高分解能スペクトルを同時に記録したりこれまで観察できなかったスペクトル形状の変化を検出したりすることができる世界で最も高性能といえるデュアルコム分光計を開発しました実際にこの分光計を用いてアセチレン分子の吸収スペクトルを観察解析することで分子の衝突過程に核スピン依存性があることを発見さらにアセチレン分子の遷移双極子モーメントを高精度で決定するなど分子科学的に重要な成果を上げました

1 は じ め に

度量衡学は科学の母である2005年にノーベル物理学賞を受賞したJ L Hall博士の言葉ですこの時の受賞理由である光周波数コム(光コム)1)oacute 2)はまさにこの言葉を体現しています光コムはその登場以前は非常に難しかった光周波数計測を劇的に簡単にし次世代の秒の定義の最有力候補である光格子時計において重要な役割を担っていますそれと同時に光コム自身を分光用光源として用いることでこれまで観察できなかった現象をとらえられると期待されています図に光コムを用いた分光計の概念を示します光コムはくし状のスペクトル構造を持ち多数の細いレーザーモードが広帯域にわたり等しい周波数間隔で並ぶ光ですこのような性質を持つ光コムがサンプル中を通過すると光コムの特定周波数のモードが吸収され弱くなりますつつのモードを分離してそれぞれ吸収量を測定すれば正確な周波数目盛の吸収スペクトルが得られます

従来の分光器では光コムの各モードを分離して検出できないためもう台の光コムを用意し台の光コム間の干渉計測によって各コムモードの吸収を読み取る手法がデュアルコム分光(DCS)です 3)DCSは広帯域高分解能高精度のスペクトルを短い時間で測定することが可能でこれまでにない性能の分光計が実現できます

2 デュアルコム分光計の開発

図にDCSの原理を示します光コムと光コムの繰り返し周波数はそれぞれ 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530で周波数差をΔ 110859411085941108581110858111085921108592 10486371048637 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 10572981057298 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530としますこの台の光コムの周波数軸上での関係を考えると図の左端で周波数が一致していた台のコムのモード対は一つ対を移るごとに周波数差がΔ 110859411085941108581110858111085921108592ずつ広がりますつまり台の光コムの干渉信号から差周波成分を抽出すれば光コムのコムモードの強さを検出することができ図下側のようにRF領域で光コムのスペクトルを反映したΔ 110859411085941108581110858111085921108592間隔のコム状スペクトルが得られますこのとき光コムのスペクトル線幅をΔ 110859411085941108581110858111085921108592よりも小さくすることで干渉信号を高いSNで検出することができますまた一度に観測できるスペクトル帯域は 11085941108594110858111085811108592110859211085291108529 11085941108594110858111085811108592110859211085301108530(10486261048626Δ 110859411085941108581110858111085921108592)で制限されるためΔ 110859411085941108581110858111085921108592を小さ

79Vol 68 No 3 2018

産総研コーナー

国立研究開発法人 産業技術総合研究所計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

主任研究員 大 久 保 章

デ ュ ア ル コ ム 分 光 の 応 用ガス分析から先端分子科学まで

共同研究者稲葉 肇清水祐公子山田耕一(産総研)佐々田博之岩國加奈(慶應大)洪 鋒雷(横国大)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センターウェブサイト(httpswwwotildenmijotildejp)NMIJ研究トピックス Nootilde 9 (20181004)から転載 copy産業技術総合研究所

図光コムを用いた分光計の概念図

計測標準と計量管理82

IAJapanコーナー

独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センター

httpwwwnitegojpiajapan

本コーナーはJCSSJNLAMLAPASNITEを中心にIAJapanの各認定プログラムの認定実績等についてお知らせしております

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0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

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0261 2018年月日 株式会社 アサヒ技研 校正センター 硬さ

0265 2018年10月12日 秋山衡材株式会社 校正センター 質量

0060 2018年月30日 株式会社 千代田テクノル 大洗研究所 放射線放射能中性子

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計測標準と計量管理82

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0050 2018年月26日 日本電気計器検定所 関西支社 時間周波数及び回転速度電気(直流低周波)

0205 2018年月26日 有限会社 テルス 校正センター 温度

0039 2018年月30日 日本電気計器検定所 時間周波数及び回転速度

0050 2018年月日 日本電気計器検定所 関西支社 温度

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温度

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