10
徹底解説 本試験問題シリーズの刊行にあたって 試験制度解説編 1.情報処理技術者試験と試験制度概要··········································· 8 2.受験ガイド ············································································ 19 3.応用情報技術者試験の概要 ······················································· 22 4.平成 27 年度春期の試験に向けて·············································· 25 応用情報技術者試験 平成 25 年度秋期試験 問題と解答・解説編 午前問題 ······································································· H25 秋 - 1 午後問題 ······································································ H25 秋 - 43 午前問題 解答・解説 ····················································· H25 秋 - 91 午後問題 解答・解説 ····················································· H25 秋 - 137 午後問題 試験センター発表の解答例 ································ H25 秋 - 191 応用情報技術者試験 平成 26 年度春期試験 問題と解答・解説編 午前問題 ······································································· H26 春 - 1 午後問題 ······································································ H26 春 - 39 午前問題 解答・解説 ····················································· H26 春 - 91 午後問題 解答・解説 ····················································· H26 春 - 137 午後問題 試験センター発表の解答例 ································ H26 春 - 184

試験制度解説編 応用情報技術者試験 - itec.co.jp · 試験制度解説編 23 3-2 試験時間と出題形式 応用情報技術者試験の試験時間と出題形式は次のとおりです。

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徹底解説 本試験問題シリーズの刊行にあたって

試験制度解説編

1.情報処理技術者試験と試験制度概要 ··········································· 8

2.受験ガイド ············································································ 19

3.応用情報技術者試験の概要 ······················································· 22

4.平成 27年度春期の試験に向けて ·············································· 25

応用情報技術者試験

平成 25 年度秋期試験 問題と解答・解説編

午前問題 ······································································· H25 秋 - 1

午後問題 ······································································ H25 秋 - 43

午前問題 解答・解説 ····················································· H25 秋 - 91

午後問題 解答・解説 ····················································· H25 秋 - 137

午後問題 試験センター発表の解答例 ································ H25 秋 - 191

応用情報技術者試験

平成 26 年度春期試験 問題と解答・解説編

午前問題 ······································································· H26 春 - 1

午後問題 ······································································ H26 春 - 39

午前問題 解答・解説 ····················································· H26 春 - 91

午後問題 解答・解説 ····················································· H26 春 - 137

午後問題 試験センター発表の解答例 ································ H26 春 - 184

目 次

応用情報技術者試験

平成 26 年度秋期試験 問題と解答・解説編

午前問題 ······································································· H26 秋 - 1

午後問題 ······································································ H26 秋 - 39

午前問題 解答・解説 ····················································· H26 秋 - 89

午後問題 解答・解説 ····················································· H26 秋 - 135

午後問題 試験センター発表の解答例 ································ H26 秋 - 183

<出題分析>

応用情報技術者試験 ······························································· 出 - 1

(1) 午前問題出題分析 ······················································ 出 - 2

(2) 午前の出題範囲 ························································· 出 - 14

(3) 午後問題 予想配点表 ················································ 出 - 24

(4) 午前解答マークシート ················································ 出 - 31

商標表示

各社の登録商標および商標,製品名に対しては,特に注記のない場合でも,

これを十分に尊重いたします。

試験制度解説編

23

3-2 試験時間と出題形式

応用情報技術者試験の試験時間と出題形式は次のとおりです。

午後試験は,平成 25 年 4 月の改訂によって 12 問出題され 6 問解答していたも

のが,11 問出題され 6 問解答することになりました。更に,10 月の改訂によっ

て「情報セキュリティ」分野の問題が必須となりました。

午前 午後

試験時間 9:30~12:00(150 分) 13:00~15:30(150 分)

出題形式 多肢選択式(四肢択一) 記述式

出題数と解答数 80 問出題 80 問解答 11 問出題 6 問解答

図表 11 応用情報技術者試験

分野 問 1 問 2~3 問 4~11

経営戦略

選択解答問題

情報戦略

戦略立案・コンサルティング技法

システムアーキテクチャ 選択解答問題

ネットワーク 選択解答問題

データベース 選択解答問題

組込みシステム開発 選択解答問題

情報システム開発 選択解答問題

プログラミング(アルゴリズム) 選択解答問題

情報セキュリティ 必須解答問題

プロジェクトマネジメント 選択解答問題

サービスマネジメント 選択解答問題

システム監査 選択解答問題

出題数 1 2 8

解答数 1 1 4

図表 12 応用情報技術者試験の必須解答問題と選択解答問題

3-3 出題範囲

(1) 応用情報技術者の午前試験

図表 4「試験区分別出題分野一覧表」で示されているように,応用情報技術者

試験では,すべての出題分野から出題されることになっています。午前試験が合

格点に達しない場合は,午後試験も採点されないので,まんべんなく学習する必

要があります。

試験制度解説編

25

4-1 試験について

応用情報技術者試験は,「高度 IT人材となるために必要な応用的知識・技能を

もち,高度 IT 人材としての方向性を確立した者」を対象者像とする試験で,受

験者の多くは高度 IT人材像の前段階にある人です。平成 20年秋まで実施されて

いたソフトウェア開発技術者試験から移行した試験という位置付けで,ソフトウ

ェア開発に携わっている技術者だけでなく,情報技術や情報システムにかかわる

全ての人が対象です。新しい試験制度になって 12 回目の試験となり,社会にお

ける位置付けも確立されているものと思われます。

応募者数,受験者数,合格者数は次のとおりでした。

年 度 応募者数 受験者数 合格者数(合格率)

平成 21 年春 56,141 36,653 9,549(26.1%)

平成 21 年秋 62,294 41,565 8,908(21.4%)

平成 22 年春 65,487 42,338 8,592(20.3%)

平成 22 年秋 66,241 43,226 9,898(22.9%)

平成 23 年春 62,116 37,631 7,745(20.6%)

平成 23 年秋 56,085 36,498 8,612(23.6%)

平成 24 年春 55,253 35,072 7,945(22.7%)

平成 24 年秋 57,609 38,826 7,941(20.5%)

平成 25 年春 52,556 33,153 6,354(19.2%)

平成 25 年秋 54,313 34,314 6,362(18.5%)

平成 26 年春 47,830 29,656 5,969(20.1%)

平成 26 年秋 51,647 33,090 6,686(20.2%)

図表 14 応募者数・受験者数・合格者数の推移

平成 26年秋の応募者数は 51,647人であり,年間 100,000人前後が受験します。

また,合格率については,初回の平成 21 年春が 26.1%と若干高い値でしたが,

その後は,20%前後という値になっています。

平成 26年秋は,平成 25 年の 10 月 29 日に IPAから発表された“情報セキュ

4.平成 27 年度春期の試験に向けて

試験制度解説編

27

中分類ごとに出題数を集計すると図表 15 のようになります。今後もほぼ同じ

構成で出題されると考えられます。

傾向問題といえる新しいテーマは 14 問で,やや増加しています。また,ソフ

トウェア開発技術者試験に出題されていた問題や,過去に既出のテーマで新たに

作成した問題が多く出題されました。難易度については,減少傾向にある基本情

報技術者試験レベルの易しい問題が更に減り,一方で難易度が高い問題の出題が

増えました。60点以上を得点した受験者が,平成 26年春では受験者の 44%程度

であったものが,平成 25年春,秋のように 40%程度に戻ってしまうことが懸念

されます。

午後問題については,必須となった問 1,続く問 2,問 3の 2問から 1問選択,

そして,問 4~11のの 8問から 4問選択し,合計で 6問の問題に解答します。

問 主題分野 テーマ

分類 選択

1 情報セキュリティ ネットワークや Web アプリケーションプログラムのセキュリティ

T 必須

2 経営戦略 企業の財務体質の改善 S 2問中

1問選択 3 プログラミング マージソート T

4 システムアーキテクチャ ストレージ設計 T

8問中

4問選択

5 ネットワーク メールサーバの移行 T

6 データベース 分散トランザクション T

7 組込みシステム開発

DVD レコーダ,ブルーレイディスクレコーダ用のリモートコントロールボックスの設計

T

8 情報システム開発 ソフトウェアのテスト T

9 プロジェクトマネジメント リスクマネジメント M

10 サービスマネジメント 販売管理システムの問題管理 M

11 システム監査 受注・売上計上プロセスに関連するシステム監査

M

S:ストラテジ系,T:テクノロジ系,M:マネジメント系

図表 16 午後問題の出題テーマ

試験制度解説編

33

4-4 平成 27 年春の試験に向けて

午前試験では,新傾向問題が増えていますが,過去問題を中心とした学習が効

率的であることはこれまでと同じです。しかし,過去問題の正解だけを覚えると

いう学習の仕方では,学習していない問題に太刀打ちできません。まず,過去問

題を読み,選択肢を含めて知らない用語があれば,その意味を調べてみましょう。

そうすることで,用語を知らないという理由の拒絶反応がなくなり,取り組みや

すくなります。それが終わったら,過去問題を解き,関連する知識までを含めて

学習するようにします。ただし,全分野をまとめて行うと,結果を得るまでに時

間がかかり,自身のやる気を維持することが難しくなってしまいます。分野ごと

に学習するなど,自身のやる気の維持にも気を使って,学習意欲を継続する工夫

をしてください。

不得意な分野については,テキストなどを使って,ばらばらになっている知識

をまとめて,技術などについて体系的に理解することも必要です。なお,過去問

題の理解とテキストなどでの学習については,自身のやりやすさに応じた学習順

序で行ってください。しかし,テキストによる知識の体系化は,正しい理解を容

易にしますし,理解した知識の定着にもつながりますから,必ず行うようにしま

しょう。また,余裕があれば,情報セキュリティスペシャリストなどの高度試験

の過去問題から,標準的な難易度のものに取り組んでおくとよいでしょう。

午後試験は,どの問題を選択するにしても,問題発見能力,抽象化能力,問題

解決能力などの実戦力と正確な知識が求められます。午前問題と切り離して考え

ることはなく,あくまでも午前問題の対策の一環,又は延長上にあると考えられ

ます。一方,実戦力を身に付けるためには,実際の問題を数多く解くことが最も

効果的な方法です。その際,制限時間を決めて,実戦力を磨き,解答プロセスを

身に付けるようにしましょう。また,試験センターが発表している解答例を見る

と,指定を越えない限り,字数に対してそれほど神経質になる必要はないように

思われます。解答のポイントを掴み,短時間で表現する練習を重ねておきましょう。

実際の試験で必要となるのは,十分な準備をしたという自信です。この試験は

得点を競う試験ではありません。午前,午後ともに正答率 6割以上という合格基

準をクリアすることが目標です。この目標をしっかり意識して,解けない問題も

一部に出題されることを前提に,それに引きずられて他の問題で失敗しないよう

落ち着いて臨む必要があります。そして,そのためには,しっかり試験対策をし

て自信をもって受験することが大切です。

平成 26 年度秋期 午前問題 解答・解説

H26 秋-89

●平成 26 年度秋期

問1 エ カルノー図と等価な論理式 (H26 秋-AP 問 1)

カルノー図と等価な論理式を導くためには,図の値が“1”になっている部分

に着目する。まず,図中の中央部分で 1 になっている 4 か所に着目する。この部

分では,A,C の値は“0”,“1”の両方をとるが,B,D の値はともに“1”しか

とらない。よって,この部分は A と C の値にかかわらず,B と D が 1 であれば

結果が 1 になるということを示している。そして,このことから論理式の一部と

して B・D を得る。次に,図中の 1 行目で 1 になっている 2 か所に着目すると,

C の値は“0”,“1”の両方をとるが,A,B,D の値はいずれも“0”である。よ

って,この部分は,C の値にかかわらず,A,B,D の値が“0”であれば結果が

1 になるということを示しており,論理式の一部である A・B・D を得る。

この二つのケースは,それぞれ問題のカルノー図の一部分を示すものなので,

全体としては,この二つの論理式の和になる。したがって,等価な論理式は(エ)

の A・B・D+B・D である。

CD

AB 00 01 11 10

00 1 1

01 1 1

11 1 1

10

B・D

A・B・D

平成 26 年度秋期 午前問題 解答・解説

H26 秋-93

問6 エ 整列方法 (H26 秋-AP 問 6)

問題に示されているデータ列の整列過程を示す図を見ると,まず,データ数が

1 の八つのグループをそれぞれ二つずつまとめて,データ数が 2 の四つのグルー

プにしている。次に,四つのグループを二つずつまとめて,データ数が 4 の二つ

のグループにし,最後に,データ数が 8 の一つのグループにまとめ上げている。

そして,それぞれの過程において,グループ内の要素が昇順になるように整列し

ているので,最終的なデータ列も昇順に整

列された状態になる。一般に,整列済みの

複数のデータ列を,整列状態を保ったまま

合併するファイル操作をマージと呼ぶ。そ

して,このマージ操作を繰り返すことでデ

ータ列を整列方法は,マージソートなので,

(エ)が正解である。

ア:クイックソートは,データの中から比較するデータを一つ取り出し,そのデ

ータ値以下のデータと以上のデータのグループに分割することを繰り返して整

列を進める方法である。

イ:シェルソートは,データ列中のデータをある間隔(gap;飛び)ごとに取り

出した部分列に対する基本挿入法による整列操作を,間隔を狭めながら繰り返

してデータ列全体を整列していく方法である。

ウ:ヒープソートは,データ列からどの部分木も親のデータ値が子よりも大きい

(又は小さい)という完全 2 分木であるヒープを構成する。このヒープから根

の最大データ(又は最小データ)を取り出した後に,ヒープの再構成を行うこ

とを繰り返して,降順に整列していく方法である。

問7 ウ パイプライン方式のハザード (H26 秋-AP 問 7)

パイプライン方式は,プロセッサの高速化技法の一つで,命令の実行サイクル

を構成するステージに着目し,異なる命令の異なるステージをオーバラップさせ

て実行することによって,プロセッサの命令実行性能を向上させる。例えば,命

令の実行サイクルが,命令の取出し(①)→命令の解読(②)→オペランドのア

ドレス計算(③)→オペランドの取出し(④)→命令の実行(⑤)→演算結果の

格納(⑥)であるとすると,パイプライン方式では,次の図のように各ステージ

をオーバラップさせながら命令を実行していく。

命令 1 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥

命令 2 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥

命令 3 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥

: … … …

図 パイプライン処理

6 1 7 3 4 8 2 5

1 6 3 7 4 8 2 5

1 3 6 7 2 4 5 8

1 2 3 4 5 6 7 8

H26 秋-144

問3 マージソート (H26 秋-AP 午後問 3)

【解答例】

[設問1] (1) (ア) b が NULL と等しくない (イ) b ← b->next

(ウ) a->next

(2) 8

(3) 前半:(N+1)個 後半:N個

[設問2] (エ) a が NULL と等しくない

(オ) b が NULL と等しくない(a が NULL と等しい)

(カ) head->next

[設問3] 31 回

【解説】

マージソートは整列(ソート)したいデータ列に対して,データ列の要素数が 1 に

なるまで分割を繰り返した後,分割されたデータ列を昇順に並ぶように併合(マージ)

していくことによって,データ列全体を整列するアルゴリズムである。問題のアルゴ

リズムは再帰呼出しを用いて記述されているので,再帰呼出しの順序を理解すること

が重要なポイントとなる。また,整列するデータ列のデータ構造は連結リストや配列

などで実現することが考えられるが,本問では連結リストを採用しているので,プロ

グラム中のポインタ操作を注意深くトレースする必要がある。 〔マージソートのアルゴリズム〕

図 2 に示されている再帰呼出しを用いたマージソートのアルゴリズムに従って分割

や併合の処理を進めていくと,図 1 のアルゴリズムの流れで用いられているデータ列

は,図 A に示すように①~⑭の順序で分割/併合されていく。

図 A 分割/併合の順序

分割

併合

6 4 8 7 3 12 5

6 4 83 7 12 5

6 4 83 7 2 51

6 4 3 78 2 1 5

4 6 83 2 7 51

3 4 86 1 52 7

② ⑧

③ ⑨⑤ ⑪

⑫⑩

1 2 4 5 3 76 8

H26 秋-180

問 11 受注・売上計上プロセスに関連するシステムの監査 (H26 秋-AP 午後問 11)

【解答例】

[設問1] (1) (a) イ

(2) (b) 案件管理システムの変更履歴

[設問2] (1) 顧客との最終確認での変更内容が案件管理システムに反映されな

いから

(2) (c) ウ

(3) 広告掲載条件

【解説】

企業の業務プロセスに関連するシステムの監査では,業務プロセスが法律や社内規

則に従ったものになっているか,情報システムがその業務プロセスを実行するために

必要な機能をもっているかといったことについて,経営的視点から行う必要がある。

特に,受注・売上計上プロセスは,企業会計に直接つながる業務なので,会計原則や

社内規程に従った業務プロセスになっていることを監査手続として確認する必要があ

る。

システム監査の手順としては,業務プロセスの適正性を確認するために,情報シス

テムのアウトプットである帳票や,それを正当な手順で承認した証拠を入手して評価

する。

[設問1]

(1) 受注内容の変更プロセスにおいて,正当な承認なしで受注内容の変更が行われる

リスクに対するコントロール(統制方法や手段を指す)についての設問である。問

題文に変更登録票の承認手続について記述されているが,T 氏は,営業部長による

変更登録票への承認印だけではコントロールとして不十分であると判断している。

空欄 a には,不十分なコントロールを補うために,「有無を調査」した対象物が入

る。

空欄 a の内容を考えるため,その後を読むと,「営業事務担当者が毎月末に行っ

ている,承認済の変更登録票と b の照合手続がそれに該当することが判

明した。T 氏は,それが有効に機能していることを確認した」と記述されている。

ここで 2 回出てくる“それ”が指す内容が,空欄 a であることはすぐに読み取れる

だろう。

これらのことから,空欄 a は不十分なコントロールを補うものと考えられるので,

解答群の中から該当する語句を探すと(イ)の「補完的コントロール」が該当する。

(2) 空欄 a が「補完的コントロール」であるとすると,空欄 b には,営業事務担当者

が毎月末に行っている照合手続において,承認済の変更登録票の照合対象となるも

のが入ると考えられる。

受注内容の変更は,受注管理システムから入力すると即座に案件管理システムに