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特集・石炭火力 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ Coa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant 石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき た。・一一方,原子力発電の割でナが増大するにつれて,火力発電は深夜又は休日など,電 力需要の少ない時間寸話にはプラントを停+L,若しくは最低負荷で運転を行ない,昼 間の電力需要の多い時間帯には,ほぼ全員荷を取るいわゆる中間負荷運用に移行し つつある。この道用に適したボイラとして,変†七運転ベンソンボイラがある。 重油燃焼超臨界圧変圧運転ベンソンボイラについては,既に設計,製作の実績も あり種々紹介されているので,本稿では重油燃焼ボイラとの対比で石炭燃焼ボイラ の設計上の問題止とその対応策につし-て述べるとともに,海外の中間負荷運用ボイ ラの逆転実績についてキ肖介する。 n 鼓近,電i原構成に占めるJ京十力発電グ)て刊†ナが増人するにつ れて,ベース負荷はJ京rづJに譲り、電力て需要の形態変化とと もに火力発電設備は,ますます中間負荷連用に椎行する傾向 にあるし) また一方では,エネルギー事情,電源良二地雉などから,尚 効中,人谷岩プラントが要求され,負荷変化特性,起動・停 1卜特作に優れ,かつ逆転操作の存易なプラントが必要とされ ている。 これらの要求を満足し,機能,構造的にも既に(夫如きれて いるものとして変圧連車云ベンソンボイラがあり,/午後の火力 設イ備の主流を■-1iめていく ものと‾考えられている。 ベンソンボイラは,特にヨーロッパ請出に泣こく採用されて おり,パブコソクFl立体式会社もイギリスパブコック朴放び ドイツパブコック社の実績に妾汁fけされた技術を生かし,各 相賀求に応じたベンソンボイラを納人してきた。東占く電力株 J(会社広野火力発電所納め重原油燃焼600MWボイラは,超 臨剛毛変圧運転ベンソンボイラであり,1980年(昭和55年)7 ノ才の営業運転を目指し,現在鋭意一式運転を進めているく) 壇圧運転ベンソンボイラについては柁々紹介されているの で,本稿では垂子由燃焼ボイラとの対比で,特に中間負荷逆用 を考慮した設計上の留意事項,及び西ドイツウイルヘルムスハ Ⅵ「へン発電所の720MW二日炭燃焼,中「‡1+負荷運用ベンソンポ イラ〔1976年(昭和51年)に運転開始,現イ一三まで好調に逆転中。〕 の概要と運転実績について述べ,今後の参考‾に供Lたいく⊃ B 中間負荷変圧ベンソンボイラの特徴 匡==二,600MWl・い間負荷運用ベンソンボイラの側而L勾を, また図2,3に,それぞれ概略系統図,管内i允休のこ状態を示 したエンタルピー圧力線L』を示す。 ベンソンボイラは,火炉壁≡にスパイラルメンプレン(以‾lこ, スパイラル壁と略す。)を採用しているところに特徴があり,ス パイラル壁以外の,火炉上部水軌 ケージ吼 過熱器,再熟 器などについては,従来のUPボイラとIiiJ様な構造である。 中間負荷ボイラは,頻繁な起動・停止,急速負荷変化に十 分l耐え得る構造に留意することはもちろんであるが,変圧を 伴うために,圧力変化に一枝づくi充動不安定性が助長されるこ *バブコック日立株式会社 ** 日立製作所電力事業本部 U.D.C.る21.181.142.2-るる 高山好道* 荒川忠男** 日下 厳* lbぶんg仇よcんg mんαyα胤 mdαO Arαんαぴα ′ぴα0 瓜上βα丘α と,また飽和i且度が変わるなどのために,従来の二正庄ボイラ に比べ流路の系統ヰ構成,熱J心力変動を考慮した設i汁が必要と なる。 スパイラル壁は,構成チエ【ブ間で熱「吸〃史のアンバランス が少なく,涜▲体の結とfナも不要となるグ〕で,変圧を伴った仁王熱 7允割に過した構造といえる。また,茸封氏負荷)基転時の火かイ米 .i壁を臼的とした管内毒をイ氏流速を確保するため,汗テ水を強芦別的 に術瑞する逆転\方式を採用するとともに,汽水分離器を主系 統に配置することにより,あたかもドラムボイラと同様な仇 J一仁起動を叶能としているノ、-J二に大きな特徴がある。 臣】 石炭燃焼ボイラと重油燃焼ボイラ 上述の中間負荷連作川寺の特殊性を′草庵し,イイ炭燃焼変J主連 転ベンソンボイラ設計_卜の主な留意事項について以下に述べ る。なお本章では,ベンソンボイラ特有の問題についてだけ 触れ,石JJこ燃焼ボイラー般の其本事項については洋り愛する。 3.1 スパイラル火炉 (1)最低貫流運転負荷 火炉管解脱度の安完三維持を目的とし,低負荷時子rl・水を強馴 的に循瑞するが,貫流運転より循環逆転に入る王与荷をどこに 設延するかは設計上重要である。スパイラルi‾娃は,従来の垂 丁自二管仁妃置と異なり傾斜管で構成されるため,硬直管P妃置と比 較すると,図4に示すように管内最†氏流速を確保するために 必要なスパイラルチューブ本数は,傾斜角度との関連で比較 的臼L白に選定できる。 表lは,最低貰i克運転員荷とスパイラル角度及びスパイラ ル壁入口から山lIまでのチューブ巻数との関係の一例につい てホしたものである。最低貰子充運転員荷をイ氏く設定すること により,遵転拙作面で谷易な運用を叶能とするが,・一プ了,ボ イラシステム損失が増大するというデメリ ットが生ずる。特 に石fJ三燃焼ボイラの場合は,燃料供給系の主宰転上の制約を考 えに入れ,最も†ナ理的な運用方法に考慮を払うべきである。 例えば,ミルの最低負荷率は通常40~50%であるが,炭椎, 石炭性状の多様性を考慮し,安定燃焼を維持させるための実 用上グ)妓低負荷としては,約50%負荷である。しかし,ミル カット(バーナ消火)操作を伴う運用を行なう場合は,35%負 15

中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ特集・石炭火力 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ Coa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant 石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき

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Page 1: 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ特集・石炭火力 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ Coa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant 石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき

特集・石炭火力

中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラCoa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant

石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき

た。・一一方,原子力発電の割でナが増大するにつれて,火力発電は深夜又は休日など,電

力需要の少ない時間寸話にはプラントを停+L,若しくは最低負荷で運転を行ない,昼

間の電力需要の多い時間帯には,ほぼ全員荷を取るいわゆる中間負荷運用に移行し

つつある。この道用に適したボイラとして,変†七運転ベンソンボイラがある。

重油燃焼超臨界圧変圧運転ベンソンボイラについては,既に設計,製作の実績も

あり種々紹介されているので,本稿では重油燃焼ボイラとの対比で石炭燃焼ボイラ

の設計上の問題止とその対応策につし-て述べるとともに,海外の中間負荷運用ボイ

ラの逆転実績についてキ肖介する。

n 緒 言

鼓近,電i原構成に占めるJ京十力発電グ)て刊†ナが増人するにつ

れて,ベース負荷はJ京rづJに譲り、電力て需要の形態変化とと

もに火力発電設備は,ますます中間負荷連用に椎行する傾向

にあるし)

また一方では,エネルギー事情,電源良二地雉などから,尚

効中,人谷岩プラントが要求され,負荷変化特性,起動・停

1卜特作に優れ,かつ逆転操作の存易なプラントが必要とされ

ている。

これらの要求を満足し,機能,構造的にも既に(夫如きれて

いるものとして変圧連車云ベンソンボイラがあり,/午後の火力

設イ備の主流を■-1iめていく ものと‾考えられている。

ベンソンボイラは,特にヨーロッパ請出に泣こく採用されて

おり,パブコソクFl立体式会社もイギリスパブコック朴放び

ドイツパブコック社の実績に妾汁fけされた技術を生かし,各

相賀求に応じたベンソンボイラを納人してきた。東占く電力株

J(会社広野火力発電所納め重原油燃焼600MWボイラは,超

臨剛毛変圧運転ベンソンボイラであり,1980年(昭和55年)7

ノ才の営業運転を目指し,現在鋭意一式運転を進めているく)

壇圧運転ベンソンボイラについては柁々紹介されているの

で,本稿では垂子由燃焼ボイラとの対比で,特に中間負荷逆用

を考慮した設計上の留意事項,及び西ドイツウイルヘルムスハ

Ⅵ「へン発電所の720MW二日炭燃焼,中「‡1+負荷運用ベンソンポ

イラ〔1976年(昭和51年)に運転開始,現イ一三まで好調に逆転中。〕

の概要と運転実績について述べ,今後の参考‾に供Lたいく⊃

B 中間負荷変圧ベンソンボイラの特徴

匡==二,600MWl・い間負荷運用ベンソンボイラの側而L勾を,

また図2,3に,それぞれ概略系統図,管内i允休のこ状態を示

したエンタルピー圧力線L』を示す。

ベンソンボイラは,火炉壁≡にスパイラルメンプレン(以‾lこ,

スパイラル壁と略す。)を採用しているところに特徴があり,ス

パイラル壁以外の,火炉上部水軌 ケージ吼 過熱器,再熟

器などについては,従来のUPボイラとIiiJ様な構造である。

中間負荷ボイラは,頻繁な起動・停止,急速負荷変化に十

分l耐え得る構造に留意することはもちろんであるが,変圧を

伴うために,圧力変化に一枝づくi充動不安定性が助長されるこ

*バブコック日立株式会社 **

日立製作所電力事業本部

U.D.C.る21.181.142.2-るる1

高山好道*

荒川忠男**

日下 厳*

lbぶんg仇よcんg mんαyα胤

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′ぴα0 瓜上βα丘α

と,また飽和i且度が変わるなどのために,従来の二正庄ボイラ

に比べ流路の系統ヰ構成,熱J心力変動を考慮した設i汁が必要と

なる。

スパイラル壁は,構成チエ【ブ間で熱「吸〃史のアンバランス

が少なく,涜▲体の結とfナも不要となるグ〕で,変圧を伴った仁王熱

7允割に過した構造といえる。また,茸封氏負荷)基転時の火かイ米

.i壁を臼的とした管内毒をイ氏流速を確保するため,汗テ水を強芦別的

に術瑞する逆転\方式を採用するとともに,汽水分離器を主系

統に配置することにより,あたかもドラムボイラと同様な仇

J一仁起動を叶能としているノ、-J二に大きな特徴がある。

臣】 石炭燃焼ボイラと重油燃焼ボイラ

上述の中間負荷連作川寺の特殊性を′草庵し,イイ炭燃焼変J主連

転ベンソンボイラ設計_卜の主な留意事項について以下に述べ

る。なお本章では,ベンソンボイラ特有の問題についてだけ

触れ,石JJこ燃焼ボイラー般の其本事項については洋り愛する。

3.1 スパイラル火炉

(1)最低貫流運転負荷

火炉管解脱度の安完三維持を目的とし,低負荷時子rl・水を強馴

的に循瑞するが,貫流運転より循環逆転に入る王与荷をどこに

設延するかは設計上重要である。スパイラルi‾娃は,従来の垂

丁自二管仁妃置と異なり傾斜管で構成されるため,硬直管P妃置と比

較すると,図4に示すように管内最†氏流速を確保するために

必要なスパイラルチューブ本数は,傾斜角度との関連で比較

的臼L白に選定できる。

表lは,最低貰i克運転員荷とスパイラル角度及びスパイラ

ル壁入口から山lIまでのチューブ巻数との関係の一例につい

てホしたものである。最低貰子充運転員荷をイ氏く設定すること

により,遵転拙作面で谷易な運用を叶能とするが,・一プ了,ボ

イラシステム損失が増大するというデメリ ットが生ずる。特

に石fJ三燃焼ボイラの場合は,燃料供給系の主宰転上の制約を考

えに入れ,最も†ナ理的な運用方法に考慮を払うべきである。

例えば,ミルの最低負荷率は通常40~50%であるが,炭椎,

石炭性状の多様性を考慮し,安定燃焼を維持させるための実

用上グ)妓低負荷としては,約50%負荷である。しかし,ミル

カット(バーナ消火)操作を伴う運用を行なう場合は,35%負

15

Page 2: 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ特集・石炭火力 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ Coa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant 石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき

248 日立評論 VOL.62 No.4(1980-4)

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区= 中間負荷運用ベンソ

ンボイラ ボイラの側面図を

示し.火炉がスパイラルチューブ

で構成されている点に特徴がある。

31β水注

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B.F.P

L.P.

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脱気器

注′:略語説明 SH(Sup8r Hea托r二過那削H.P、(High Pressure:高圧)

′RH(Reh8ater:再熱器)l.P.(lnt8rmedialQPress抑0:中庄〉L.P.(Low Pressure:低圧)臥C.P.(BQ樹Cirou【atjngPump:ボイラ循環ポンプ)B.F.P.綿Oil即Fee8Pump:ボイラ給水ポンプ〉00ND.P(C8nd8nS即P岬Pニ復水ポンプ)

図2 水蒸気系統図 缶水循環系を設置し,低負荷運転を可能としている。

16

荷まで最低負荷を低減できる。

したがって,最低貫流運転負荷も約35%を採用している。

(2)火炉支持方法

火炉は,垂直管で構成された上部水冷壁と傾斜管で構成さ

れたスパイラル壁とにより形成される(図5)。スパイラル壁

には管内庄のほか,次の荷重を考慮した支持方法が要求きれ

る。すなわち,缶水を含むメンプレン壁の自重,炉内庄によ

る荷重,石炭灰の堆積荷重,バックステーなど構造物の荷重,保i且,ケーシング,バーナなどの荷重などである。スパイラ

ル管は,図5に示すように横向きに配置されるので,管内庄

に対し最も大きな応力となる管同方向と鉛直荷重が一致する

ため,垂直管の場合に比較して厳しい条件が付加される。特

に,石炭燃焼ボイラの場合は石炭灰の荷重が大きな割合を占

めるので,起動・停止時の構造物の動きとともに支持方法に

留意が必要である。

したがって,図5に示すようにバーチカルストラップをス

パイラル壁に設置し,これらの荷重をスパイラル壁に負担さ

せないように配慮している。この支持方法としては,図6に

示すようにスパイラル壁に溶接したバーチカルストラップに

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中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ 249

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圧力(ata)

注:略語説明 MCR(MaxmumCo仙nuOuSRalir唱:ボイラ最大連続負荷)

図3 圧力ーエンタルピー繰回 変圧運転特性を示Lている。

垂直管

6r】

ナノこ八戸う8

β=300

図4 垂直管とスパイラル管の配列 チューブを傾斜すると,本数を

低ユ成できる。

表l 最低貫;充運転負荷とスパイラル管の構成 火炉を巻く巻数が

多いほど,チューブ問熱吸収偏差は小さくなる。

最低貫流∴運転負荷 スパイ ラル角度 巻 数

25%MCR 18.lO 約 卜9

30%MCR 2l.9P 約l.6

35%MCR 25.8□ 約l.4

荷重を伝達する方式と,図7に示すようにボイラが大容量化

するに伴い,スパイラル壁上部の荷重が非常に大きくなるた

め,スパイラル壁の中間に支持装置を設置して,スパイラル

壁の荷重負抑を軽i成する方式の2方法がある。この後者の方

式は,パブコック社で多くの実績をもち,また起動・停止が

多いボイラに対しては,i温度遅れに伴う過大な熱応力を回避

することができる。

.′オーフ/王

ホリゾンタル/

パックステー

バーチカル/

バックステー

バーチカルスト

スパイ

由■

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ラップ

専■

図5 スパイラル壁構造

な配慮がなされている。

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樹ミ小†ソ、K

ラル壁

スパイラル壁に過大な荷重がかからないよう

停止時

圧縮力 引張力

炉壁荷重分布

溶接

0

0

0

0

0

■T山

バーチカル

ストラッ7q

①詳細 ①詳細

図6 溶接固定式支持構造 スパイラルチューブに溶接されたバーチカ

ルストラップにより支持する。

17

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250 日立評論 VOL.62 No.4=980-4)

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停止時

鉄骨

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中間つり装置

下部つり装置

圧縮力

サポートラグ

暗転還

「′′r′

‾7J

引張力

炉壁荷重分布

①詳細 ④詳細

0

図7 スライド方式支持構造 スパイラル壁中間に,つり装置を設置

してスパイラル壁の荷重負担を軽減するとともに,温度変化に伴う伸びを自由

に取れるようにしている。

3.2 耐圧部構造強度

変圧,かつ頻繁な起動・停止運転は,各部構造部材に対し

非常に過酷な応力を与えることが予想される。図5に示したス

パイラル壁と火炉上部水壁(オープンノ■ヾス壁)との接合部は,

ベンソンボイラ特有の構造である。また,汽水分離器は厚肉

でこれに取り付くノズルは3次元的に傾く複雑な構造となっ

ている。このような)芯力集中が加わり,内圧応力や熱応力に

ょり疲労強度が問題になると考えられるところは,実験と解

析を併用して安全性を評価し,いずれも寿命損傷の少ないこ

とが確認されている。図8に,汽水分離器の3次元解析モデ

ルの例を,また図9にその応力測定状況を示すが,ボイラの

寿命中の起動・停止回数を6,100回と仮定した場合でも,上

記水壁の接合部及び汽水分離器のそれぞれの寿命損傷量は,

0.06及び0.25程度と予想され,疲労強度に対し十分余裕をも

っていると言える。

3.3 系統,制御

変圧運転による流体物性値の変化に基づき蒸気温度の変動

幅が大きくなること,また起動・停止が頻繁に行なわれるこ

となどに留意し,2段スプレー方式の採用など蒸気温度特性

18

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図8 汽水分離器解析モデル

元有限要素分割の状況を示す。

温度分布及び熟応力解析のための3三欠

図9 応力実測状況 /ズル開口内面に74個のひずみゲージを取り付け・

大気圧~284kg/cm2の範囲で試験を行なった。

の改善,起動系統などへの配慮が必要となる。

石炭燃焼の場合は,ミルのターンダウンに関連してミルの

運用最低負荷に制限があること,またそのために,ミルの起

動・停止などの切替操作を伴うなどから,これらを踏まえて十

分協調をとった検討が必要である。特に,負荷を急速にしゃ

断し,所内単独負荷運転へ移行する必要性が生じた場合は,

タービンバイパスシステムを設置することによ1)可能となる。

本システムは,負荷急速しゃ断時のような,ボイラ負荷とタ

ービン負荷との差を吸収する目的のために使用されるだけで

なく,起動時に再熱器の?令却を可能とするため起動時間を短

縮することができ,また蒸気温度特性改善にも利用できる。

表2に,その使用目的と一j独自勺タービンバイパス容量を示す。

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表2 タービンバイパス容量

容量が異なることを示す(-:

タービンバイパスの設置目的に応Lて,

N〔). 設 置 目 的

容量(%定格涜量)

20 40 60 80 100

1起動特性の

向上

(1a)

再熟器の蒸気冷却 □

(1b)

タービンメタルマッ

テンク

2

ボイラ負荷

とタービン

負荷との差

の吸収

(2a)

急激な負荷変化に対

する応答遅れの吸収

l

(2b)

送電線事故時の所内

負荷運転への移行

冨題Ill専焼

中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ 251

日 中間負荷石炭燃焼ボイラの実績

Ⅰ叫ドイツ,ウイ/レヘルムスハーへン発′左I叶の720MWイⅠ‾′Jミ

ー七郎免(並油100%燃焼可能)ボイラは,当初か⊥-J小一‾‡与Jgi荷火リノを【‾1指Lて設i汁製作された二拡大連続蒸発J止2,170t/h,ピーク

川ノJ760Ⅳ1W,主力覧~tJ七‾ノJ191bar,土ノJ与与-い女び由熱カ§ちもi.【.左度

530/5300(∴、ド衡旭凪方Jじを抹朋した内ドイツの誇るふ之新鋭

プラントであるL_つ 図10にその全体【,句をホす〈+本ボイラのL謙一汁

磐望作ノ山まドイ、ソパブコソク引二であl),1976年(昭和51年)9月

にノ首業逆転を開始し,現れ三1初のF汁L山jどおり好i粥に逆転され

てし、る_.以‾卜、プラントグ)他覚と逆転:某紙について概要を紹

介する1

本プラントのト安系統トズ】を図11にホす〕当初の;1i▲水純J=;一呈系

統は,l!′i:水タンク,脱1ほ∴ 給水ポンプを介LたんJ(を指用

し,プラントは佼別件:l卜丈は35%∫1荷を妓低fi何とした越川を

什な一ノていた。.本系統か採上-1iされた主な月旦Ⅰ†け土,㌻「【ll柵字ノ∴・二の二女

仙な亜油の燃料′王宮に仏づく起垂州-i夫と一対稲守との維i刺ri三追求

の結果である。Lかし,重油佃柄の_L舛による起郵舶火の増

加とf‾=訂テ調二乍たのための逆転パターンの変化により,佼間でも帆

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図10 西ドイツ,ウイルヘル

ムスハーへン発電所720MWボ

イラ 中間負荷運用石炭燃焼ポ

イラ(2,170t/h,191bar,530/530

0c)の概観図を示す。

19

Page 6: 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ特集・石炭火力 中間負荷運用石炭燃焼ベンソンボイラ Coa卜Fired Benson Boiler for Middle Power Plant 石油危機を契機として,我が国では石炭燃焼火力発電所が再び脚光を浴びてき

252 日立評論 VOL.62 No.4(1980-4)

過熱器

起動用汽水分離器

蒸発器

節炭器

11

「●●一

略言まトーー▲

高圧給水加熱器

「-■一一一一

再循環ポンプ

給水ポンプ

高圧タービン

バイパス系

高圧タービン

低温再熱蒸気系

再熱器

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低圧汽水分離器

∇‾-‾「

クンタ水絵

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負荷運転の必要性が増し,1978年(昭和53年)10月に再循環ポ

ンプを使用した前出図2と同様な循環系統に改造された。図12

に,連続負荷調整運転時(_L段の図)及びDaily Start Stop

運転時(下段の凶)の典型的実績負荷曲線を示す。

本プラントは,運転を開始した年には夜間及び週末停JLの

運用が採られたため,コールドスタMト【目J数は81回,ホット

スタ【ト【自]数は141回であった。起動時問について一一例を示す

と,8時間停止後起動の場合,点火から通気まで29分,通気

から併入間5分,併入から35%ボイラ負荷(MCR:ボイラニ拉

800

600

400

200

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8

6

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基調負荷(1978年4月3日)

調整負荷(1978年4月23日)

連続運転

20 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

時 刻

5時間停止運転(1978年10月8日)

20 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

時 刻

匡I12 西ドイツ,ウイルヘルムスハーへン発電所720MWボイラ実

績負荷曲線 上図は連続運転時の,下図は5時間停止運転時の各負荷変化

特性を示す。

20

中庄

タービン

lP +P

低圧タービン

低圧タービンバイパス系

再熱器バイパス系

ドレンタンク

復水ポンプ

復水器

図Il 西ドイツ,ウ

イルヘルムスハーへ

ン発電所720MWボイ

ラの起動系統

現在は破線で示したj盾環

ポンプ付系統で運用され

ている。

大連総員荷)周21分であり,35時間停+L後起動では,それぞ

れ46分,5分,21分である。

また循環ポンプ設置後は,1台のミルと約10%ボイラ負荷

和当の重油を使用し,効率良くかつ安全に18%の黄低負荷運

転が可能となり,18~35%負荷間ではミル起動操作を必要と

するたれ 5~10MW/minの負荷変化率で,また35~90%負

荷帯では,最高10%/mれ 通常5.6%/minで連用されている。

なお送電系統事故などで,所内単独負荷運転が必要な場合は,

タービンバイパス系を使用することにより,通常の操作手順

で30~40MWまで負荷降‾ドが可能である。なお本プラントの

連転開始後2年間の実績では,定期検束期間を除き,発電設

備で92%,ボイラで96%の稼動率であったことは注臼に値L,

中間負荷ボイラとして十分信束副生の高いものであることを示

Lている1)_.

8 結 言

了‾パ是燃焼中間負荷運用ベンソンボイラを対象とし,既設計

貢油燃焼ボイラとの対比で,設計上の問題点とその対応策に

ついて述べた。柁術的には,タービンバイパスシステムの導

入が新しい問題として残るが,ヨーロッパでは良い歴史の中

で培われてきた既存の技術であり,大きな問題とは考えにく

い。先に紹介Lたドイツパブコック社製720MWボイラが所

期の目的どおり順調に稼動していることは,まことに心強い

ものであり,二れらの実績を踏まえた技術を生かして更に信頼

性の高いプラントの設計,製作に‾努めていきたいと考える次

第である。

現在,既に1,000MW子了炭燃焼変圧ベンソンボイラの試設

計も完了しているが,今後とも各電力会社の指導を仰ぎなが

ら,総合技術の研さんに‾努めていく考えである。

参考文献

1)B.Stellbrink et al∴Design andOperation of the720MW

Wilhelmshaven CoalFired Generation,American Power

Conference,Apri11979