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新しい臨床試験スタイル GCP Renovation Big wave の中で データサイエンス部会 ファイザー株式会社 小宮山

新しい臨床試験スタイル - JPMA...2017/02/22  · LSSS(Large Simple Safety Study) 特定の重要な有害事象と薬の因果関係を見極めるため, データ収集項目を絞り込んだ大規模な

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新しい臨床試験スタイル ~GCP Renovation の Big wave の中で

データサイエンス部会 ファイザー株式会社

小宮山 靖

RWDとその仕組みを用いたランダム化臨床試験

Registry-Embedded Clinical Trials, Registry-Based Clinical Trials, Randomized Registry Clinical Trials など様々な名称で呼ばれている。

Registryを被験者スクリーニングに使うだけでなく, 前向き研究の情報収集のためのUser-interfaceあるいは 情報源として用いる

参考: CTTI;https://www.ctti-clinicaltrials.org/projects/registry-trials NIH; https://www.nhlbi.nih.gov/research/reports/2013-clinical-interventions

Randomized Registry Clinical Trials

1.まずはRegistryに登録された患者をスクリーニング(Registryに記録されているデータを用いて,組み入れ基準に合致する患者を選択。速攻で終わる。組入れ基準を緩めれば一般化可能性を高めることもできる)

2.患者から同意を取る 3.比較しようとする治療群にランダム化 4.治療開始 5.データ収集はRegistryに記録されるデータだけを用いる。 (つまり,医師は普段どおりRegistryに情報を記録するのみ。RegistryからRCTに組み入れられた患者のデータで,RCTに必要なデータのみを抽出し,EDCあるいはOperational Databaseに流し込む。つまりRegistryをデータ入力のUser interfaceに使い,スポンサーは必要な情報のみを抽出。)

6.そのRCT特有なデータを収集したり,そのRCT特有なFollowしたりはしない。

←ここは人がやる作業。これ以降は前向き研究。

Randomized Registry Clinical Trials

絶賛!

実施が難しい領域でも 恐ろしく早く,恐ろしく安い!

ただし,申請に使うとなると安全性データが十分に 収集できないかもしれない。 重要なAEに的を絞りながら,EDCなどで収集の 補強を考えないといけないかもしれない

約7000例!

他の事例

Connie N Hess, et.al., Am Heart J 2013; 166:421-428

データは7日以内に利用可能

自動抽出

日本Registryの課題

乱立状態にありつつありますが, みんなバラバラにやってる感がある? 新手の“箱もの行政”みたいなことになってないか? CINはどの程度,2次利用を考えた設計をしているか?

治療の価値の研究に使える主要なOutcomeや,これに影響を与える可能性が高いデータが収集されているのか? これが満たされていなければ,Registry-based clinical

trialなんて夢物語

新GCP Annex2のもう一つの構成要素

Pragmatic Clinical Trials(実際的臨床試験) 実験空間じゃなく,実際の医療現場に可能な限り近い 状態で実施する臨床試験。たとえば, 組入れ基準を思いっきり緩める 治療の変更や併用治療を縛らない 可能ならサロゲートエンドポイントではなく真のエンドポイントを見る

実験空間的な臨床試験で,何がエンドポイントに影響するかを見極めた上でPragmatic MRCTも考えられる

Explanatory vs Pragmatic clinical Trials

何を評価? 実験的な条件下での有効性 実際的な条件下での有用性

対象患者は? 多くの組入れ基準で限定 (均一でキレイな集団)

実臨床の多様な患者の 集団を可能な限り反映 (組み入れ基準を緩める)

対照群は?

何のため? 科学的な知見を与える 治療方針の決定や政策決定

意味は? 説明的 実際的

Explanatory CT Pragmatic CT

可能ならばプラセボが望ましい 現時点で最良の治療 (プラセボは通常用いない)

ランダム化は? 盲検化は? 可能なときは常に推奨される

評価項目は? 代替エンドポイントも使う 真のエンドポイント

必ずしも追求しない

治療の変更は? ルールを決めて制限 実臨床での対応を許容

新GCP Annex2の他の構成要素になりうるもの

LSSS(Large Simple Safety Study) 特定の重要な有害事象と薬の因果関係を見極めるため, データ収集項目を絞り込んだ大規模なRCT 対照群との比較を行うのでタイプC副作用のまともな検討が可能

たとえば, 組み入れ基準を緩める 患者背景のデータは取る 特定の有害事象を発現した患者からだけ,関連する情報を収集 特定の有害事象を発現しなかった患者からは「発現しなかった」の ✔のみ

E19(安全性データ収集の最適化)の元になるFDAガイダンスでは,LSSSが行える環境を醸成するためにも, 安全性データ収集項目を絞ることが重要だとしている

さいごに

従来日本では行われていなかったようなさまざまなスタイルの 臨床試験,臨床研究が行われるようになるでしょう

さまざまな選択肢を皆がよくわかっていないといけない! そのような試験,研究が必要とされる背景も知っておきましょう “使えるRegistry”にもなっていただかないといかん 日本の規制も根底から見直す時期かもしれない 独占販売期間を確保することを本音の目的とした日本の 製造販売後の安全性監視体制は全く相いれない

GCPはICHの最重要ガイドラインの一つ GCP Renovationが完結するころまでに日本の規制も 近代化しないと,「ICH創始3極でござい」なんて偉そうに していられなくなるじゃない?