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No.SS1-KPS160-0010(初 版)
運転支援システム
1. 概 要Knowledge Power (KP)は、プラントのスタートアップやシャットダウン、銘柄切り替えなどの非定常運転や、トラブルが発生した場合の運転を正常状態に回復する対応措置など、標準操作手順書はあるが運転員の手動操作で行っている運転を、システム化し標準化する運転支援ソフトウェアパッケージです。また、バルブポジション設定やポンプ発停などの操作を自動化したり、異常兆候の早期発見や設備の監視、最適な運転状態であるかどうかなど、ベテラン運転員の監視目線や監視手法を自動化することができます。Knowledge Powerの最大の特長は、上記のような非定常運転の手順をシステム化したり、操作や監視を自動化するアプリケーションを作成する際に、プログラミングの知識を全く必要としないということです。アプリケーションは、フローチャートを作成するように、運転操作手順に従って図1のようにチャート上でアイコンを組み合わせて並べることで作成することが可能です。約40種類あるアイコンの組み合わせによって、プロセスの現象を確認する方法や対応措置をガイドする機能、もしくは自動化する機能を組み込むことができます。プログラミングは不要なので、プロセスや装置・設備の原理原則を熟知した運転員の手でアプリケーションを作成することも可能です。
図1. 操作手順チャート
Knowledge Powerは、図2のシステム構成のように制御システムの提供するゲートウェイもしくはOPCサーバを通して、プロセスデータをリード/ライトします。
ゲートウェイやOPCサーバ経由で接続できる制御システムを表1に示します。
表1. 各社制御システムとの接続方法
Advanced-PSTM IOASTM
Industrial-DEOTM DOGSHarmonasTM DOGS
ACGExaopcECGW3Exaopc
ゲートウェイまたはOPCサーバ名称
アズビル(株)
CENTUM CS
CENTUM XL横河電機(株)
ベンダー DCS機種
注1:DCS機種に依存して、提供する機能に差異がある場合があります。注2:アズビル(株)製DCS以外と接続する場合には、事前に接続確認テストが必要です。
TM
図2. KPシステム構成
オペレータステーション
コントローラ
ゲートウェイまたはOPCサーバ
制御ネットワーク
Ethernet
KPクライアント KPサーバ
【Rel.160】
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2. 機能概要2.1. エンジニアリング機能エンジニアリング機能は、非定常運転の手順をシステム化したり、操作や監視を自動化するアプリケーションを作成する機能です。KPアプリケーションは、図3のようにチャート上に“運転手順を描く”ことによって作成します。このチャート上に、標準化された機能アイコンを操作手順に沿って組合わせることで表現します。
図3. KPアプリケーションの作成
2.1.1. アイコンの説明40種類以上のアイコンを標準機能として提供しています。表2に主要なアイコンについて説明します。
表2. アイコン
1 運転アイコンこのアイコンが、ひとつのKPアプリケーションを示します。スタートアップや銘柄切り替えのようなひとつの運転単位となる最上位アイコンです。
アルゴリズムアイコンポンプスタートなどの自動操作(制御システムへの自動書き込み)を行うアイコンで、アルゴリズムを選択し自動化機能を構築します。
No. アイコン名 説 明
階層アイコン処理(工程)をシーケンス単位でまとめるアイコンです。このアイコンの下位階層に詳細な手順チャートを構築できます。階層ごとにコピーして、容易に再利用できます。
繰り返しアイコン繰り返しアイコンは、この下位の階層に詳細な手順チャートを構築するアイコンで、その手順を指定回数繰り返します。
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手動操作アイコン手動操作工程を表現するアイコンです。手動操作を促すメッセージを出力します。
手動操作リストアイコン 手動操作工程を表現するアイコンです。手動操作リストを表示します。
事前チェックアイコン条件式を入力し、次の工程へ進んで良いかどうかを判断するアイコンです。
分岐アイコン 入力した条件によって実行させる工程を選択するアイコンです。
アイコン
アイコンには、次の工程に進んでよいかどうかを確認する事前チェックアイコン、手動操作を指示する手動操作アイコン、自動で操作するアルゴリズムアイコンなど40種類以上のアイコンがあります。これらのアイコンを操作手順にしたがって並べて、各アイコンに工程名称や確認内容を表す名称をつけることで、スタートアップやシャットダウンなど、ひとつの運転操作の手順書を表現します。
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表2. アイコン(つづき)
16 演算アイコン 四則演算、指数関数、三角関数などの演算をするアイコンです。
移動平均アイコン移動平均を計算するアイコンです。また、ある期間における最大値や最小値も演算結果として出力します。
No. アイコン名 説 明
常時監視アイコンプロセス状態を判断して、異常があれば適切なアラームを出力するアイコンです。
外部プログラム起動アイコン
Microsoft Excelなどの市販ソフトウェアで作成した文書を自動的に開いたり、E-mail送信することのできるアイコンです。
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トレンドアイコン トレンドを表示するアイコンです。
数値表示アイコン プロセス値などの数値を表示するアイコンです。
上昇傾向検知アイコン上昇傾向を検知するアイコンです。連続して指定回数以上、上昇を検知した場合に、アラームメッセージを出します。
下降傾向検知アイコン下降傾向を検知するアイコンです。連続して指定回数以上、下降を検知した場合に、アラームメッセージを出します。
アイコン
15 レシピアイコン CSVファイルで作成したレシピデータを読み込むアイコンです。
9 メッセージアイコン メッセージやアラームを出力するアイコンです。
10 タイマーアイコン 指定した時間が経過するまで待った後、次の工程を実行させます。
11 時計アイコン 指定した時刻になった時に、次の工程を実行させるアイコンです。
12 データセットアイコンDCSのパラメータやKPが保有するパラメータに、データを自動的にセットするアイコンです。アラームの入り切りやアラームの設定値変更などに使うことができます。
13 アラーム入り切りアイコンDCSのアラームを有効、あるいは無効にするアイコンです。タグ単位で行います。
14 手動データセットアイコンオペレータの判断で値を入力してもらうアイコンです。実行時にダイアログボックスが現れます。
24 管理外検知アイコン管理外値を検知するアイコンです。連続して指定回数以上、管理外値を検知した場合に、アラームメッセージを出します。
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表2. アイコン(つづき)
No. アイコン名 説 明アイコン
30 ヒートバランスアイコン
蒸留塔などの装置の熱収支を計算します。最大5つの流入熱量と5つの流出熱量を計算できます。流体は、最大3成分までを考慮し、熱量を計算します。また、相については、液体、気体、液体から気体、気体から液体の4種類のパターンに対応します。
流量積算アイコン 流量を積分して積算値を計算します。
レベル計からタンク在液量を計算します。タンクのタイプは、円柱、まくら型(10%皿)、まくら型(2:1半楕円)の3つから選択できます。
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32 タンク在液量計算アイコン
29 熱交換器監視アイコン
25 変化無し検知アイコンプロセス値の変化がない場合に、異常と判定するアイコンです。連続して指定回数以上、無変化を検知した場合に、アラームメッセージを出します。センサー異常の検知などに用いられます。
26 領域監視アイコン2変数の相関を監視し、ある領域を外れた場合に、異常と判定するアイコンです。
27 プロファイル監視アイコン
条件変更やバッチの温度制御などのプログラム制御を行っている際、プロセス値が想定した軌跡上に乗っているかどうかを監視するアイコンです。連続して指定回数以上、設定した軌跡(設定軌跡からある幅を持った領域)から外れた場合に、アラームメッセージを出します。
28 予測アイコン
最小自乗法により、過去の値から将来の推定値を表示します。推定値がある日時までに上限や下限を超える場合は、アラームを設定できます。予測曲線式は、1次式、指数式、対数式、累乗式のいずれかを選択できます。
熱交換器のチューブの交換時期を予測できるよう総括伝熱係数(U値)、流速、圧損を計算します。チューブ、シェルを流れる流体は、最大3成分までを考慮し、伝熱量変化を計算します。また、相については、液体、気体、液体から気体、気体から液体の4種類のパターンに対応します。
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2.2. オペレーション機能オペレーション機能は、エンジニアリング機能で作成した装置のスタートアップ手順、バルブポジション設定やポンプ発停などの操作の自動化、そして、異常兆候の早期発見のようなベテラン運転員の監視目線の自動化を実行する機能です。運転用画面では、アプリケーションの工程・手順を確認することができ、現在どの工程(アイコン)が動作しているかを、簡単に判別できます。
図4. 運転用画面(KPチャートウィンドウ)
運転中、必要に応じて、メッセージウィンドウ、アラームウィンドウ、ダイアログボックスが自動的に表示します。手動操作などが必要な場合は、メッセージウィンドウや手動操作リストウィンドウをポップアップ表示します。
図5. 手動操作リストウィンドウ
異常が発生した場合は、アラームウィンドウをポップアップ表示します。
図6. アラームウィンドウ
運転員の判断を求める場合は、ダイアログボックスをポップアップ表示します。手動データセットアイコン、あるいはレシピアイコンが起動され、運転員の入力が必要な場合にダイアログボックスが表示されます。
図7. 手動データセットダイアログボックス
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3. アプリケーション仕様
クライアント数標準構成で2クライアント拡張ライセンスの追加で最大4クライアント
登録できる運転(アプリケーション)数 最大100運転
同時実行できる運転(アプリケーション)数 最大20運転
接続できる制御システム数 1システム
アクセス可能なDCS変数の数 9,999変数
アルゴリズムアイコンの同時実行数 60アイコン
運転(アプリケーション) アイコンの階層数 最大5階層
1枚のチャートに表示できるデータ表示アイコン数 30アイコン
1枚のチャートに表示できるセルアイコン数 100アイコンチャート
仕 様
Knowledge Powerシステム全体
カテゴリ 項 目
4. ハードウェア仕様4.1. 本体
KPサーバ KPクライアント
形番 HD-P944KPS63J HD-P944KPC62J
オペレーティングシステム Windows 7 Professional SP1 日本語版 プリインストール
プロセッサ Intel Xeon 3.6GHz 4-Core L3:10MBキャッシュ
メインメモリ(ECC付き) 4GB 2GB 標準実装
表示解像度 最大2048×1536ドット(約1677万色) 標準実装
キーボード 標準実装
マウス 光学スクロールマウス(USB) 標準実装
HDD 500GB(RAID1 ミラーリング)(注1) 標準実装
DVD DVDマルチドライブ×1(メディア:DVD-RAM片面4.7GB 3倍速) 標準実装
ディスプレイ 標準実装
USBポート 標準実装
LANポートRJ45 NICコネクタ×3ch(10/100/1000Mbps)
RJ45 NICコネクタ×2ch(10/100/1000Mbps)
標準実装
シリアルポート D-SUB 9ピン×1ポート(COM1) 標準実装
オーディオ AC' 97ライン出力×1、ライン入力×1 標準実装
その他 PS/2コネクタ×2 標準実装
1スロット PCI Express 4倍速 COM1で使用 標準実装
2スロット PCI Express 16倍速 ビデオカードで占有 標準実装
3スロット 形番選択
4スロット 標準実装
5スロット 標準実装
6スロット 形番選択
電 圧
周波数 50/60Hz
瞬時停電 10ms
消費電力 最大:800W 通常:130W
171.5×464.8×444.5mm
約18kg
本体推奨交換周期 5年
HDD 3年
キーボード 3年
マウス
備 考
JIS109日本語キーボード(USB)英語キーボード(USB)
項 目
PCI Express 8倍速 1ch LANカードで使用
DVI-I 29ピン×2(専用分岐ケーブル使用)19型TFTと接続時はDVI変換ケーブル(付属)を使用KVMスイッチ、15型TFTと接続する場合はVGA変換ケーブル(別途形番手配品)を使用する
仕 様
インターフェース(注2)
拡張バス(注2)
操作デバイス
PCI(32bit /33MHz)拡張シリアルカード(COM3、COM4)で使用
内部記憶装置
USB2.0(前面×2ポート、背面×4ポート)、USB3.0(前面×2ポート、背面×2ポート)接続機器:マウス、キーボード、ライセンスキー、プリンタ、外部スピーカ
PCI Express 16倍速外部電源パネル(オペレータキーボード、タッチスクリーンへの給電)で使用
PCI Express 8倍速 未使用
外形寸法(W×D×H)
3年
AC100~120V /220~240V ±10%注:AC220Vタイプの場合、別途専用電源ケーブル(HD-PWC12)が必要です。
電源仕様
本体使用部品推奨交換周期
質 量
注1: Cドライブを80,000MB、残りを未フォーマットで出荷。注2: パラレルポートはサポートされません。またセカンドシリアル(COM2)もサポートされません。
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パソコン側の音声出力コネクタ(3.5mmステレオミニジャック)へ
パソコンのUSBポートへ
① パワーオンスイッチ
② LED
③ ボリュームコントロール
④ 右スピーカ
⑤ 左スピーカ
⑥ スピーカ間ケーブル(0.9m)
⑦ PC接続ケーブル(0.9m)
⑧ USB電源ケーブル(0.9m)
⑦
⑧
⑤ ④
⑥
③ ①②
4.3. プリンタ
内 容
HD-CLPR700 A4カラープリンタ
HD-LPR308 B4モノクロプリンタ
保守期間 納入後5年、または90万ページのいずれか早い期日
項 目 備 考
形番
注:上記製品以外は動作保証していません。
4.2. オプション
名 称 備 考
HD-ACVSPK6U アクティブスピーカ(USB給電)
スピーカ(最大出力0.5W)×2個 最大出力1W[仕 様] 周波数特性:200~20000Hz スピーカ形式 :パスレス式フルレンジスピーカ(防磁設計) ロードインピーダンス:8Ω 入力端子 :ステレオミニプラグ 給電方式 :USBポートから給電 外形寸法(片側1個) :70(W)×65(D)×150(H)mm USBケーブル(同梱) :0.9m スピーカ間ケーブル(同梱) :0.9m 入力ケーブル(同梱) :0.9m
形 番
図8. 外部アクティブスピーカ
8
6. 外形寸法
(単位:mm)
図9. 本体
5. 設置環境条件仕 様
周囲温度 動作時 5~35℃
保存時 -40~+60℃
湿度 8~85%RH(結露しないこと)
絶縁抵抗 DC500V、20MΩ
絶縁耐圧 AC1500V、1分間
接地 D種接地
項 目
[正面][側面]
444.5
171.5464.8
9
注意事項の表記について■ あなたや他の人々への危害や財産への損害を未然に防止するために、安全上の注意を次の区分で説明しています。
■ 本書では次の記号、および表記方法で説明しています。
このような表示は、取り扱い上、気を付けていただきたい「注意」を表す内容です。
このような表示は、してはいけない「禁止」を表す内容です。
このような表示は、必ず実行していただきたい「指示」を表す内容です。
手順上、注意していただきたい事柄を示しています。
安全上の注意
この安全上の注意は、製品を安全に正しくお使いいただき、あなたや他の人々への危害や財産への損害を未然に防止するためのものです。安全上の注意は必ず守ってください。また、内容をよく理解してから本文をお読みください。当社が規定しない使い方をした場合、この製品に盛り込まれた安全保護は損なわれます。
注意定期的にアプリケーションバックアップを実施してください。ハードディスクの故障等で、作成したアプリケーションが失われる可能性があります。
バックアップで使用するリムーバブルディスクは、バックアップ実施前にウィルスチェックを実施してください。リムーバブルディスクからPCに感染したウィルスが、予期しない動作を引き起こす可能性があります。
工場出荷時にインストールされたアプリケーションやドライバー以外のソフトウェアをサーバPC、クライアント PCに追加インストールしないでください。予期しない動作を引き起こす可能性があります。
作成したアプリケーションの内容に誤りや漏れが無いことを確認後、アプリケーションを実行してください。プラントに不適切な操作が行われて、安全上の問題が発生する可能性があります。
作成したアプリケーションを実行して良いかどうか、プラントの状況を確認後、アプリケーションを実行してください。プラントに不適切な操作が行われて、安全上の問題が発生する可能性があります。
警告 取り扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生じることが想定される場合。
注意 取り扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うか、または物的損害のみが発生する危険の状態が生じることが想定される場合。
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● Knowledge Power、Advanced-PS、Industrial-DEO、Harmonasはアズビル株式会社の登録商標です。● Windows、Windows Server、Microsoft、Excelは米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。● Ethernetは米国ゼロックス社の登録商標です。● Intel Coreは米国Intel社の商標です。● その他本文中に記載している製品名、機種名、社名は各社の商標、または登録商標です。● ここに記載されている製品は特にお断りがない限り標準製品です。
初版発行:2014年6月印 刷:2014年6月(初版)