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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月 自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月 厚生労働統計協会 1

自治体職員のためのデータ活用研修会 · レセプトや統計調査データの活用:効果的に施策を進めるためにはデ ータ活用が必要です。しかし、取り掛かりにくいという印象のため、

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

自治体職員のためのデータ活用研修会2019年度実施報告

2020年3月厚生労働統計協会

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

1 データ活用研修会の概要

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ

3 県配布KDBによるデータ分析演習

4 データを活用し、在宅医療施策を考える

5 データ活用研修会全体のまとめ

別添1 有識者講演資料より

別添1-1 全国自治体での取り組みから

別添1-2 在宅医療の現場から

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

千葉県の後援、県内等の19自治体の参加を得て、データ活用研修会を実施した。

前半は地域の特徴と課題、必要な情報とデータというテーマで、有識者演習、事例紹介、グループワークを実施した。

次に、必要な情報とデータを検討した結果、県配布KDBデータを使用することが効果的と考え、県配布KDBデータを使ったデータ活用演習を行った。

研修会後半では、データを活用した在宅医療施策を考えた。在宅医療および高齢者施設の看取りに取り組んでおられる有識者の講演を頂き、これらを参考に、またデータ分析結果として得られた内容も踏まえ、施策を考えるグループワークを行った。

データ分析方法を習得したこと、データ分析結果を得たこと、データを活用した在宅医療を進める施策を考えることができたことが、参加者によってこの研修会の成果となった。

1 データ活用研修会の概要 (1/4)

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主催: 厚生労働統計協会

後援: 千葉県

グループワークコーディネイト・講評: 千葉大学予防医学センター藤田 伸輔教授

参加自治体:千葉市、市川市、船橋市、松戸市、茂原市、成田市、旭市、習志野市、市原市、流山市、八千代市、富津市、浦安市、袖ヶ浦市、八街市、白井市、南房総市、栃木県日光市、栃木県、千葉県

開催回数、時期:4回開催(7月、9月、11月、1月)

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1 データ活用研修会の概要 (2/4)

実践的な進め方を習得し持ち帰る: 同様な課題を持つ、あるいは取り組みを始めている他自治体の参加者と意見交換することができます。事例紹介やグループワークを通じて、取り掛かりのヒントや、データ収集・分析・活用のポイントを習得することができます。

これまでの調査研究結果と、いくつかの自治体との意見交換等に基づき、下記の2点をデータ活用研修会の主旨とした。

意見交換の中で、データ活用のテーマでは参加者は集まりにくいのではないか、一部の先進的な自治体以外にはデータ活用は難しいのではないかという意見があった。ニーズはあるはずという意見もあり、取り組みのレベル差のある参加者それぞれにとって役に立つ研修会、相互啓発の機会になる研修会を目指そうということとした。

もう一点は、よく言われていることだが、研修の場だけに終わらないように、実践的な進め方を習得し職場に持ち帰る研修会を目指すこととした。

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レセプトや統計調査データの活用:効果的に施策を進めるためにはデータ活用が必要です。しかし、取り掛かりにくいという印象のため、進んでいないのが実情です。この研修会は、データ活用を始める、あるいは一歩先に進めるための相互啓発の場を提供します。

データ活用研修会の主旨(企画資料より)

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自治体 取り組み内容、知りたいこと等(申し込み時の意見等)

A市 地域の看取りの将来推計データを医師会と共有したい(在宅医療を進めるため)

B市 後期高齢者医療のレセプトデータの提供を受けて分析し、推進会議で活用している(他の自治体とも方法を共有したい)

C市 他の自治体の指標項目について知りたい。特にアウトカム評価。事業の評価指標を今年度設定する予定。

D市 国や県から情報提供受けることができるデータの種類について知りたい

E市 レセプトデータの活用方法について知りたい

F市 データ分析にほとんど時間を割けない状態の中、優先して取り組んだほうがよい項目とは

G市 医療介護連携に向けて、会議を実施しているが、各職種での意識に温度差が見受けられる。意識改善の方法を知りたい

1 データ活用研修会の概要 (3/4) ~ 申込時の意見等データ活用研修会を始める際に、一部の自治体と打ち合わせ、取り組みたいこと、知りたい

ことについて、意見を聴取した。これらの意見について、データ活用研修会の具体的な内容を検討する際考慮した。

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

1 データ活用研修会の概要 (4/4) ~ 各回の構成

第一回 7月29日 第二回 9月30日 第三回 11月21日 第四回 1月24日

事例

紹介・

講演

全国自治体での取り組み事例より東京大学 松本 佳子 先生

資源の少ない地域の施策検討市原市 池田 朋生 係長

在宅医療・介護実態調査について千葉市 久保田 健太郎主査

後期高齢者医療広域連合からのデータ入手方法(情報提供)

在宅医療の現場から鈴木内科医院院長 鈴木 央 先生

高齢者向け住まいでの看取り株式会社シルバーウッド代表 下河原 忠道 氏

演習・

グループワーク

自分の地域の特徴と課題グループワーク

必要なデータ グループワーク

在宅医療をレセプトで読む 藤田 伸輔 先生

在宅医療に関わる医療機関のタイプ、傷病名の見かた 演習、グループワーク

隣接市からの在宅医療・介護 データ分析結果発表

在宅医療の指標 演習

どのようにデータを活用するか グループワーク

在宅医療を進める藤田 伸輔 先生

在宅医療の推進策グループワーク

講評:研修会を通して藤田 伸輔 先生

データ活用についての講評 千葉県 須賀 昭徳 室長

備考 参加時の意見とりまとめ結果 事務局

提供可能なデータ 事務局より依頼

提供可能データのとりまとめ結果 事務局

隣接市からの在宅医療・介護分析 事務局より依頼

隣接市からの在宅医療・介護とりまとめ結果 事務局

データ活用研修会は、有識者による講演、参加者による事例紹介、データ分析演習、グループワークを組み合わせて実施した。各回の具体的な内容は以下のとおり。

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ

研修会の前半では、地域の特徴と課題、必要な情報とデータについて検討した。

第1回研修会では、全国自治体での取り組み事例を東京大学 高齢社会総合研究機構研究員 松本 佳子先生に講演していただき、第2回研修会では、市原市役所保健福祉部 地域包括ケア推進課 池田 朋生 係長、第3回研修会では、千葉市役所保健福祉局 在宅医療介護連駅支援センター 久保田 健太郎 主査よりデータ活用に関しての事例紹介を行っていただいた。

また、第一回研修会では、参加自治体は事前に地域の特徴と課題を記入し、研修会で発表し、意見交換した。これらの内容を含めて、実際に使えるデータを考えていくため、必要な情報とデータについてのグループ討議を行った。

有識者講演

・ 全国自治体での取り組み事例より(松本佳子先生)

参加自治体による事例紹介

・ 資源の少ない地域での施策検討(市原市役所池田 朋生 係長)

・ 在宅医療・介護実態調査について(千葉市役所久保田 健太郎 主査)

事前記入シートによる発表

・ 地域の特徴と課題

グループワーク

・ 必要な情報とデータ

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・事業評価の枠組み、ロジックモデル例が大変分かりやすかった。自分でも取り組んでみようと思えた。何を測るのか「アウトカム」を明確にしてから、必要な指標を設定するというのがとても印象に残った。

・ データ分析の基本の考え方を学ぶことができました。いろいろなデータを見れば、課題等が見えてくるのかと思っていましたが、講話の中で、データは沢山あるのでデータに溺れてしまうことがある。自分が何を評価したいか明確にしてから、必要な指標を選ぶことが大切と学びました。

・数値では表せない情報も重要であること。

・ 市町村の役割は工程管理であり、PDCAサイクルを回すことが重要。アウトカムまで行くことは難しいが、ここまで行うことが真のPDCA。

・ ロジックモデルの復習ができた。事業計画や評価にあたって意識しながら取り組んでいきたい。

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ 講演 全国自治体での取り組み事例より 松本 佳子 先生

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(*) 東京大学 高齢社会総合研究機構 研究員

平成30年度厚生労働省在宅医療・介護連携推進支援事業に携わっておられる松本先生より、事業評価の枠組み、ロジックモデル、在宅医療・介護連携のアウトカム、指標の設定、事業評価の事例について講演いただいた。

研修会参加者のアンケート回答によれば、アウトカムと指標の考え方や事例は参加者にたいへん参考になった。

(研修会参加者アンケート回答より)

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

事例として、市原市からは、厚生労働統計協会との共同研究による在宅医療・介護実態調査について、千葉市からは、シンクタンクを使って取り組んでいる実態調査についての発表を行った。

質疑も活発に行われ、大変参考になる、参考にして取り組んでいきたいとの感想があったが、同様の取り組みを自分の自治体で行うのは困難との感想もあった。データ分析研修会としては、より取り扱いやすいデータがあれば、そうしたデータによる研修から始めるということも考えられる。

・ レセプトを基礎資料とする医療機関の不足等の将来推計など活用できるデータが多岐に渡ることを初めて知ったので、参考になった。

・事例発表から、データ分析結果の活用事例を学びました。

・ 当市と状況が似ていると思われるので、参考にして取組んでいきたいと思う。

・ 事例は参考になりましたが、予算も人も時間も限られている中で同様の取り組みをすることは難しいと感じました。

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ 事例紹介1 資源の少ない地域での施策検討(市原市)

事例紹介2 在宅医療・介護実態調査について(千葉市)

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(研修会参加者アンケート回答より)

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事前に参加者に地域の特徴と課題を記入するシートを配布し、参加者は記入したシートを研修会に持ち寄り、1分ずつ自己紹介を兼ねて発表する形とした。記入されている特徴と課題については藤田 伸輔先生より適宜簡単なコメント、質疑を加えるだけとして、次回以降を含めてこの後のグループ討議などのバックグランドとして活用した。

(第1回研修会、参加自治体毎、事前に記入し持ち寄り、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ 事前記入シートによる発表 地域の特徴・課題をまとめる

地域の特徴と課題(参加自治体毎)事前に送付したシートに記入して持ち寄り、スキャナで読み込んで投影して発表

(データ活用研修会の会場)

参加自治体毎に発表

キーワード グループ名

A.特徴 B.課題

イラスト

第1回 2019年7月29日

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

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・都市化に伴い急激に転入した年齢層が後期高齢者に突入することで医療・介護サービスの急増が見込まれる

・近隣市の医療機関の利用によって充足されている在宅医療のニーズが少なくない

・在宅医療や介護の資源・課題の把握が不足、市としての方針をはっきり示せていない。

・2025年の高齢化率予測では、地域差が今よりも顕著になるので、地域に応じた対策が必要、また需要と供給のバランスを考えた対策を検討しなければならない

・ 自宅継続に必要な施策として、24時間いつでも在宅で受けられる介護・看護サービスを求める声が多いが、事業者からは訪問系サービスの不足が多く指摘されている

・ 2025年に75歳以上人口が大幅に増加するが、現時点でも訪問診療を実施してくれる医師の不足、介護サービスの調整をしてくれる介護支援専門員が不足

・ 医療介護分野に限らず、高齢者の生活を支えるサービスの担い手が不足

・ 地区別にみる高齢化率の差が激しい、地区によっては資源確保、交通アクセス困難により十分なサービスが提供されていない

・ 地内にない資源は、圏域で充足できるように協議している

・ 通院、買い物等日常生活の移動に困る高齢者が増える

(地域の特徴と課題記入シート 課題欄より)

(第1回研修会、参加自治体毎、事前に記入し持ち寄り、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ 事前記入シートによる発表 地域の特徴・課題をまとめる

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(第1回研修会、参加自治体毎、事前に記入し持ち寄り、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ 事前記入シートによる発表 地域の特徴・課題をまとめる

イラスト

在宅医療

必要量

供給可能量

イラスト

(参考: 「地域の特徴と課題」事前記入シートの課題欄記載のイラストより)

記入シートのキーワード記入欄をみると、(1)在宅医療のニーズ増大と充足の必要性 (5)人口減少始まる(2)2025年に向けての体制づくり (6)高齢者・住みよいまちづくり(3)地域差・需要と供給のバランス (7)不足する在宅医療(4)高齢化・介護の担い手・需要と供給 (8)地域医療の格差

といった課題認識がみられた。

高齢化が進んでいる地域と、これから高齢者が急速に増える地域との差等、地域のおかれた環境により課題認識に差異があるが、在宅医療に関する意識や、近隣市との関係等には共通性がみられる。

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(第1回研修会、5グループ、時間配分はグループ討議50分、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ グループワーク 必要な情報とデータ

必要な情報とデータ(グループ毎)グループ毎に各地域に共通の課題を抽出し、関係者に理解を得るために必要な情報、その情報を得るためのデータを記入する(スキャナで取り込んで投影して発表)

(データ活用研修会の会場)

グループ毎に発表

持ち寄った各地域の特徴と課題に基づき、グループ毎に共通の課題を抽出し、関係者に理解を得るために必要な情報と、その情報を得るためのデータをグループ討議により考え、記入シートに記入した。

記入シートの内容は、研修会後に事務局でとりまとめ、必要なデータとして整理するとともに、このデータ活用研修会で対象とするデータ種類を検討するために使用した。

課題 グループ名

関係者に理解を得るために必要な情報 情報を得るために必要なデータ

第1回 2019年7月29日

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(第1回研修会、5グループ、時間配分はグループ討議50分、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ グループワーク 必要な情報とデータ

研修会後事務局にて、各グループのシートに記載されたデータ項目を、在宅医療の場面(在宅療養の場面、看取りの場面、入退院時の場面、その他の場面)毎に整理した。

5.高齢者の状態

7. 介護支援専門員の数や受け待ち人数

9. 看取り対応の医療機関、施設数

10. 介護保険の認定者数

13. 連携パスの利用率

11. 孤独死者数と死因

12. 地域包括支援センターの数

15. 退院後の行き先(自宅、施設等)

16. 年齢別傷病別患者の分布

23. 在宅死の状況(数)

看取りの場面

入退院時の場面

その他の場面

1. 訪問診療を実施している医療機関(数)

2. 訪問診療人数、回数/医療機関あたり

3. 外来・訪問診療人数/医師あたり

4.在宅・病院・施設利用の市民意向調査

6.訪問診療を担当する医師の数

8. 訪問系医療サービスの回数/実人数

14. 市内、外の訪問先住所(診療、看護など)

17. 本人、家族、の考えやギャップ

18. 疾患別在宅医療利用頻度

19. 在宅療養率(高齢者全体に対しての率)

20. 在宅医療サービスが必要な人の分布・数

21. 医療機関の情報(訪問診療対応有無)

22. 服薬管理体制

24. 高齢者人口あたりの訪問診療件数

25. 訪問診療実施診療所数/全診療所の内(市内)

26.高齢者人口あたりの訪問診療件数(小学校区)

27.高齢者人口あたりの訪問看護件数(小学校区)

在宅療養の場面

28.訪問診療受診人数/訪問診療希望者数の内

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(第1回研修会、5グループ、時間配分はグループ討議50分、発表20分)

2 地域の特徴と課題、必要な情報とデータ~ グループワーク 必要な情報とデータ

更に事務局にて、これらのデータ項目を含むデータ種類(KDB、県配布KDB、介護データ、レセプト以外、ニーズ調査、医師会等への聞き取り、その他統計調査データ等)とのマッピングをまとめた(この形で、第2回研修会にフィードバックした)

1. 訪問診療を実施している医療機関(数)

2. 訪問診療人数、回数/医療機関あたり

3. 外来・訪問診療人数/医師あたり

4.在宅・病院・施設利用の市民意向調査

6.訪問診療を担当する医師の数

8. 訪問系医療サービスの回数/実人数

14. 市内、外の訪問先住所(診療、看護など)

17. 本人、家族、の考えやギャップ

18. 疾患別在宅医療利用頻度

19. 在宅療養率(高齢者全体に対しての率)

在宅療養の場面

KDB

県配付KDB

介護

レセ以外

ニーズ

聞取り

その他

備考

● ●

● ●

〇 ● 医師会、在宅診療対応医師

● 医師会

● 訪看ST分は、介護保険分のみ

● 訪看ST分は、介護保険分のみ

● ●

● △※ 疾患対象の設定は、専門家が必要

● 〇 高齢者人口とKDBを合わせて

● ●

〇 ● 厚生局HP医療機関、医師会

〇 ● 厚生局HP薬局、薬剤師会

● 〇 高齢者人口とKDBを合わせて

● 〇 小学校区割情報

● 〇 訪看は、介護保険分、小学校区割情報

〇 ● ●

必要なデータ項目と、これらのデータ項目を含むデータ種類(第2回研修会の一部)

※:傷病名が空白なデータも散見される。〇:対象情報は、アンダーバーの項目

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3. 県配布KDBによるデータ分析演習

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必要な情報とデータを整理した内容、活用できるデータについてのアンケート結果に基づき事務局で検討した結果、県配布KDBデータを使用してデータ分析演習することが効果的と考えた。

分析内容としては、まず医療レセプトについての理解、在宅医療についての理解を深めるため、レセプトから在宅医療機関の特徴を見ることをテーマの一つとした。その他、地域の特徴と課題や、第2回研修会のアンケート結果を踏まえ、在宅医療の指標、隣接市等からの在宅医療提供を演習テーマに加え、全部で3つの分析テーマとした。

データ分析で使用するデータ県配布KDBデータ: 在宅医療提供体制の検討のため千葉県より各市町村(窓口は各市町村の国保担当)に配布されているKDBデータ(医療機関・診療行為等の組み合わせにより集計されたデータであり、個人毎のデータは含まれていない)

分析方法:各市の県配布KDBデータをパソコンに格納して研修会場に持ち寄る、あるいは、研修会で提供するデータ分析手順に沿って、自庁舎で分析し、分析結果を持ち寄る

データ分析演習テーマ演習1 在宅医療機関の特徴演習2 在宅医療の指標演習3 近隣市等からの在宅医療・介護

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3. 県配布KDBによるデータ分析演習~ 演習1 在宅医療機関の特徴 (1/2)

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この演習ではまず藤田伸輔先生より資料「在宅医療をレセプトで読む」にて、レセプトの読み方の講義を行い、続いて、事務局よりグループワーク用資料により、エクセルのピボット機能でKDBデータを分析する方法と、サンプル分析結果を説明した。

各参加者はグループに分かれ、サンプル分析結果を見て、医療機関の特徴(どのような在宅医療を行っているか等)についてグループ討議し、発表した。

この演習ではKDBデータの持ち込みは行わなかったので、参加者各自の市のデータを使用した分析と考察については自庁舎で実施する宿題とした。

(第2回研修会: 講義20分、5グループにてグループ討議・発表1時間45分、 宿題その1)

グループ討議と発表:サンプル分析結果を見て、医療機関の特徴をグループ討議で考え、発表

資料: レセプトの読み方の解説

資料: 分析方法の解説サンプル分析結果

宿題:同じ方法で自分の自治体のデータを分析し、医療機関の特徴を考える

(データ活用研修会の会場)(自庁舎で実施)

グループ毎に発表

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・ レセプトデータを使った演習のおかげで、各医療機関の特徴を読み取ることができるようになりました。ありがとうございました。

・ レセプトデータからその診療所の特徴がわかることについて、今後在宅医療資源の情報把握を行うにあたり活用できると思った。

・レセプトデータを見たこと自体が初めてだったので、正直なところついていけませんでした。

・ 自治体職員にとって介護レセプトの分析も重要であり、方法等も学びたいと感じた。

(研修会参加者 アンケート結果の感想より)

アンケート結果の感想をみると、レセプトデータの分析をやってみて有意義だった、活用できそうだ、と感じている参加者と、少し難しさを感じている参加者とに分かれた。

演習2、演習3の感想(後述)と比べて、難しいと感じる参加者が多い理由は、医療レセプトを分析する演習の最初であったため慣れていなかった点と、演習2、演習3と比べて実際のレセプト情報を詳しく見る必要があり、在宅医療についての知識も必要であったためと考えられる。演習1で在宅医療のレセプトを少し詳しく見たことにより、演習2、演習3につながったとも考えられる。

(第2回研修会: 講義20分、5グループにてグループ討議・発表1時間45分、 宿題その1)

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~ 演習1 在宅医療機関の特徴 (2/2)

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この演習では、自分の市についてのKDBデータが格納されたパソコンを持ち寄り(1グループあたり1台)、手順に沿って計算することにより、在宅医療指標の計算方法を習得した。また、計算結果の指標について考察し、指標の意味合いや使い方をグループ討議した。

在宅医療の指標の計算は、計算式が定義されたエクセル表を事務局が各グループに配り、そのエクセル表に値(KDBデータをエクセルのピボット機能で集計する値、事務局資料より転記するKDBデータ以外の値)を入力すると、指標値が計算されるという方法とした。

演習用資料:

・ 在宅医療の指標(「在宅医療をレセプトから読む」より抜粋)

・ サンプル指標例

・ 指標の計算のためのKDBデータ以外のデータ(人口動態調査、患者調査)

・県配布KDBデータが格納されたパソコンを持参したメンバーが、自分の自治体についての在宅医療の指標のを計算する(他のメンバーも手順を確認する)

・計算した指標値について、サンプル指標値や他のグループの指標値と比較し、指標の使い方等をグループ討議する

(データ活用研修会の会場)

(第3回研修会、指標の解説と求め方、4グループで演習、合計30分)

自分の市のKDBデータが格納されたパソコン(グループに1台)

指標を計算するためのエクセル表

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~ 演習2 在宅医療の指標 (1/3)

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(第3回研修会、指標の解説と求め方、4グループで演習、合計30分)

・ 指標の考え方も記載されており、非常にわかりやすかった。

・在宅医療に関して、市の現状を客観的に把握できると感じた。研修では講師の方に聞きながら演習できたが、自分たちだけで行うことには不安がある。

・在宅医療・介護連携推進事業の評価指標の検討に取り組んでいる段階なので、演習で作成したデータ項目の一部を指標として利用しようと思います。

・ 作業自体に難しさはありませんでした。自分で指標を考え、その指標を算出する計算式を考えることが難しいと感じます。

・ 同じグループの方が持参したパソコン1台で演習をしましたが、1人ずつ集計・入力作業を行い、確認しながらできた。視点を変えれば、パソコン1台だからこそ同じ画面を共有しながら疑問点や操作方法を共有できた。

(研修会参加者 アンケート結果の感想より) (1/2)

アンケート結果の感想をみると、演習により指標の計算方法を実習できたことを評価する意見が多く、計算結果を活用しようという考えている参加者も見られた。

一方、指標の大事さはわかっているが、活用することについては、やや不安のある参加者も見られた。在宅医療を進める施策を考えるグループワーク(後述)でも指標についての記載が多く見られ、共通の指標がほしいという意見にもつながると考えられる。

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~ 演習2 在宅医療の指標 (2/3)

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(第3回研修会、指標の解説と求め方、4グループで演習、合計30分)

・ データを活用するには指標は大切であると感じました。データを活用できるスキルがあるのか心配になり 難しく感じました。

・ データを用いると根拠が明確であるため、在宅医療・介護連携に関する評価を経年的に行う際に役立つと思いました。できればですが、各市町村で集計方法・解析方法が異なると比較が難しくなるため、今後統一的な指標が定まるとより良いと思いました

・作成するのについていくのがやっとで、作成した後、指標がどのように役立つか、正しい指標なのか等まで理解できませんでした。演習できたことはよかったです。

・指標があることは、大変ありがたいと感じました。もしこれまでの研修会の積み上げがなく、指標だけ与えられていたとしたら、違った感想を持ったとかもしれません。

(研修会参加者 アンケート結果の感想より) (2/2)

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~ 演習2 在宅医療の指標 (3/3)

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3. 県配布KDBによるデータ分析演習~演習3 隣接市等からの在宅医療(1/4)

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この演習では、KDBデータを使って、自分の自治体の住民に在宅医療を提供している医療機関の所在地(自分の市、隣接市等)を分析した。また、在宅医療を受けている人に対する介護サービスについても同様に分析した。

集計手順、集計結果用エクセルシートを第2回研修会の宿題として配布し、第3回研修会で6市が発表し、第4回研修会では事務局より12市分を取りまとめたサマリ資料を情報提供した。

(第2回研修会宿題、第3回研修会 発表、第4回研修会とりまとめ結果提供)

第3回研修会自分の市の分析結果(6市よりそれぞれ発表)

第4回研修会12市の分析結果サマリ資料(事務局より情報提供)

(データ活用研修会の会場)

発表と質疑

分析結果を事務局にメール送付、事務局にてとりまとめ

宿題:自分の市のKDBデータを使って、隣接市等からの在宅医療・介護サービスを分析する

(自庁舎で実施)

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第4回研修会で事務局より示した、12市の分析結果サマリ資料の一部を以下に示す

(第2回研修会宿題、第3回研修会 発表、第4回研修会とりまとめ結果提供)

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~演習3 隣接市等からの在宅医療(2/4)

表1_隣接市等からの在宅医療(自市での供給割合)A 市 B 市 C 市 D 市 E 市 F 市 G 市 H 市 I 市 J 市 K 市 L 市

往診 83.6 55.8 75.2 59.7 77.4 28.0 65.0 57.3 56.8 45.6 41.2 35.7

訪問診療(同一建物居住者以外) 89.6 85.5 84.9 41.8 83.5 61.0 57.3 75.4 83.3 57.7 58.8 38.3

訪問診療(同一建物居住者) 73.0 41.0 55.7 54.8 49.7 14.2 26.3 45.8 62.2 21.7 16.3 26.1

看取り 80.0 62.2 60.6 20.0 66.7 33.3 84.6 83.3 50.0 42.9 0.0 100.0

退院支援(1~2) 79.9 61.4 79.0 31.7 64.0 71.1 76.4 79.7 0.0 45.0 0.0 28.6

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・発表用にフォーマットを準備していただき、丁寧に手順まで教えていただけたので、思っていたほど難しいと感じずに済みました。逆に言うと、そこまでしてもらえないと配布されたデータを活かしきれないと思いました。他市の発表を聞いて、状況を比較できたことで、自分の市の特性理解につながりました。

・ 自分の市でまかなえている市は、今後増加する医療介護需要に対してどう対応していくのか。また、医療的資源の少ない市は隣接市と協定を結ぶなど問題と解決に向けた動きも市ごとに異なるかと思いますので、現状を把握するためのデータとしては非常に良かったかと思います。集計も非常に分かりやすくご教授いただけたので、おおよそ理解することができました。

(研修会参加者 アンケート結果の感想より) (1/2)

(第2回研修会宿題、第3回研修会 発表、第4回研修会とりまとめ結果提供)

データ分析結果が興味深い、活用できるといった感想が多く見られた。研修会開始時に持ち寄った課題の中にも、隣接市からの在宅医療サービスに関するものがあり、関心の高いデータ分析観点であったためと考えられる。

分析方法についても自信を持っている参加者も多く見られた。演習2では、実際にパソコン持ち込みで実習したのに対し、演習3では分析方法を手順書で示して、宿題として実施してもらったため、電話対応による分析サポートが必要であったり、第4回研修会までに間に合わなかった自治体もあった(第4回研修会に間に合わなかった自治体のうち希望の有った3自治体に対し、訪問による分析サポートを実施した)。

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~演習3 隣接市等からの在宅医療(3/4)

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・ 自分の市の結果と他市の結果を見比べることで、どこが足りていないのか、より分かる気がしました。集計をやってみてよかったと感じています。

・ 他市と比較することで、本市の特徴が把握できるため、本市も集計を行い他市と比較したいと思います。

・自分の市内だけで在宅医療がカバー出来ているのか、自分の市内ではカバーできていなくとも近隣市町の範囲でカバーできている等のことがわかることは、今後、現状の情報共有に役立つと思いました。

・様々な自治体からの発表があり、地域特性や規模による比較ができた。市町村毎の特徴があることがわかった。

・集計結果については、比較対象があれば役立てられると感じました。経年比較や他自治体との比較など。

・ 人口規模が小さく、医療資源も限られる自治体においては、都市部以上の連携体制の構築が求められると思うので、隣接する自治体の医療機関も積極的に利用できるように資源の把握と周知が必要だと思った。

・ KDBデータを自分で使えるのか不安に感じました。

(研修会参加者 アンケート結果の感想より) (2/2)

(第2回研修会宿題、第3回研修会 発表、第4回研修会とりまとめ結果提供)

3. 県配布KDBによるデータ分析演習~演習3 隣接市等からの在宅医療(4/4)

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4 データを活用し、在宅医療施策を考える

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研修会の後半で、データを活用して在宅医療を考える際に、在宅医療および高齢者住まいでの看取りについて、それぞれ、実際に携わっておられる鈴木央 先生と下河原 忠道 氏に講演いただいた。

また、グループワークによりデータの活用、在宅医療を進める施策について考えた。

(*1) 鈴木内科院長、一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会副会長(*2) 株式会社シルバーウッド 代表、一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会理事

有識者講演

・ 在宅医療の現場から(鈴木 央 先生)(*1)

・ 高齢者向け住まいでの看取り(下河原 忠道 氏)(*2)

グループワーク

・ 課題解決施策に向けたデータ活用方法

・ 在宅医療を進める施策を考える

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4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ 講演1 在宅医療の現場から 鈴木 央 先生

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在宅医療に早くから取り組まれ、地域のネットワークを活かしながら、かかりつけ医として患者とその家族を身近で支えておられる鈴木先生より、在宅医療の歴史や考え方等、事例ビデオを含めて講演いただいた。

治す医療から支える医療という考え方を広めたいといった感想が多く、特にビデオが好評で、市民啓発等に使用したいとの意見も寄せられた。

・在宅医療の歴史、在宅医療を行う医療機関の特徴、在宅医のコンピテンシー、各疾病における大まかな終末期の経過など、在宅医療の概要は、勉強になりました。

・在宅医療の歴史、成り立ちについて、改めて伺うことができ大変参考になりました。

・感覚としては、「治す医療」の考え方を持つ市民が多いと思うので「支える医療」の考え方も広め、在宅医療の推進に寄与していきたい。

・動画が素晴らしい内容だった。在宅医療に関わる殆どの職種が登場し、バックベッド、看取りまで網羅されている。市民に分かりやすく伝わると感じた。市民啓発用の講座に使用できると嬉しいです。

・映像がとても印象に残りました。当市の医療関係者にも見せたい。

(研修会参加者アンケート回答より)

(*) 鈴木内科院長、一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会副会長

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地域に開かれた高齢者施設、建築の質へのこだわり、普通の住居としての住み心地の良さ、認知症の方にも役割をもっていただく、等の考え方で質の高いサービス付き高齢者住宅を千葉県のいくつかの市で運営されている下河原氏に講演していただいた。

更に介護の仕事魅力発信事業として、介護事業者のマネジメント向上に取り組まれ、また、認知症の方がどのように周りを見て感じているかを知るためのバーチャルリアリティの活用などにもとりくんでおられ、それらについても紹介していただいた。

・ 各分野の著名な先生の講演を聞いて、身が引きしまる思いでした。

・ シルバーウッドのような理念に基づく事業者に選ばれる自治体になるためには、どのようなことができるのか。介護保険者として、できることを考えたい。

・ 毎回、なかなか聞くことのできない講師の講話があり大変参考になり、取り組みへのモチベーションを高めています。

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ 講演2 高齢者向け住まいでの看取り 下河原 忠道氏

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(研修会参加者アンケート回答より)

(*) 株式会社シルバーウッド 代表、一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会理事

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活用できるデータと活用場面(グループ毎)グループ毎にテーマを定め、活用できるデータと活用方法を記入する(スキャナで取り込んで投影して発表)

(データ活用研修会の会場)

グループ毎に発表

データを活用し在宅医療政策を進めることを考えるためのグループワークの一つ目として、データ分析演習の結果(在宅医療の指標、県配布KDBからわかること)を中心に、データをどのような場面で活用するかというテーマでグループワークを行った

各グループのテーマは、隣接する自治体間でのデータ共有、自治体間・事業者・市民への情報共有、隣接する自治体間での情報共有、在宅看取りを進めていくためとなった(各グループの記入結果を次ページに示す)。

(第3回研修会、4グループ、グループ討議55分、発表20分)

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク1 どのようにデータを活用するか (1/3)

テーマ:隣接する自治体間でのデータ共有 グループ名

(例)・隣接する自治体の医療機関から受けている在宅医療の数、人数、割合など(訪問診療、在宅医療総合管理、看取りなど)・その将来推計・同様に周辺市の状況

・在宅医療の種類や看取り

(例)・圏域内あるいは、隣接自治体を含めた範囲での需給バランスを保てるように情報を共有する(医師会との共有など)

・圏域内で資源の充足ができるように需給バランスに関する情報を共有する(セーフティネット機能などを含む)

・住民への啓発

活用できるデータ(在宅医療の指標、県配付KDBから分かることなどを中心に)

どのようにデータを活用するか(目指す姿、解決すべき課題)

第3回 2019年11月21日記載する事項等

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● 訪問診療医の場所・供給量

● 在宅特別訪問看護率● 施設自宅比率● 在宅看取り率

● 訪問看護ステーションのサテライト情報

テーマ:自治体間・事業者・市民への情報共有

・新規開業検討者への情報提供(3DマップのHPへのアップロード)データからは、読み取れない情報として、“訪問範囲”もマップ化できれば

・住民への啓発時の参考データ(各種住民アンケートとの対比、望まれた

場所で最期を迎えているか)

・本部(本店)で請求が上がるので、市外にあるサテライト情報は、共有しないと分からない)

第3回 2019年11月21日

活用できるデータ(在宅医療の指標、県配付KDBから分かることなどを中心に)

どのようにデータを活用するか(目指す姿、解決すべき課題)

グループ2

テーマ 隣接する自治体間での情報共有

第3回 2019年11月21日

活用できるデータ(在宅医療の指標、県配付KDBから分かることなどを中心に)

どのようにデータを活用するか(目指す姿、解決すべき課題)

訪問診療:人数・医療機関名

往診:回数・医療機関名

訪問看護…医療保険での実績数

看取り加算

在宅医療総合管理 月何回かどうか

老人ホームの看取り実績

隣接自治体での共有

さらに市民への公開

課題:医師会の同意(市民への公開)

他市への施設への訪問医の情報

その他:市内関係団体との会議で共有

して活用もできそう。

グループ3

テーマ : 在宅看取りを進めていくために

第3回 2019年11月21日

活用できるデータ(在宅医療の指標、県配付KDBから分かることなどを中心に)

どのようにデータを活用するか(目指す姿、解決すべき課題)

・在宅療養支援診療所

・訪問診療(同一建物居住者以外)

・市内(圏域内)の医療機関数、件数を示す

・市民向けに医療機関の資源リストを配布

・市民向けに在宅看取りをテーマに講演会・在宅看取り率

・在宅看取りに関するガイドブックを作成

グループ4

テーマ:隣接する自治体間でのデータ共有

・在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院

・地域包括ケア病棟(請求数)→バックベッドの体制

・在宅看取り数・訪問看護(週4日以降)→特別訪問看護指示書の状況がわかる

・在医総管/施設総管→自宅と施設の割合

・がん性疼痛指導管理料→癌の疼痛コントロール(研修受けた医

師・月1回)

・入院加算/退院加算・入院時情報連携加算、退院退所加算

・圏域内あるいは、隣接自治体を含めた範囲での需給バランスを保てるように情報を共有する(医師会との共有など)

・圏域内で資源の充足ができるように需給バランスに関する情報を共有する(セーフティネット機能などを含む)県→県医師会→地区医師会→研修事業等呼び込む

・住民への啓発講演会、出前講座、リーフレット

(在宅医療の使い方、イメージ、在宅での看取りのイメージ)

・施設での看取りの啓発(職員への研修)

・がん末期診れる医師の数を増やす(研修、医師会との情報共有)

・地域の連携(連携度合の指標として)

第3回 2019年11月21日グループ1

(第3回研修会、4グループ、グループ討議55分、発表20分)

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク1 どのようにデータを活用するか (2/3)

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・データ分析を行い経年変化をみることで、地域の連携具合を把握することができるかと思います。当市としても、在宅医療・介護連携推進事業の効果測定のために役立てていきたいと考えております。

・ 在宅医療・介護連携における課題解決施策のどの場面においてデータを活用するのかによって、必要となるデータも異なることを他グループの発表を聞いて実感した。何が課題で、どのような姿を目指すのかを先に固めておく必要があると感じた。

・ 自分の市だけを分析するより、近隣で共有することの利点を実感できた。

・ 隣接する自治体のデータを見ることは初めてでしたが、数値の疑問があった際は、数値だけではわからない市の状況を聞くことができ理解が深まった。

・ グループワークの中で、他市の具体的な取り組みについての情報交換ができたので、本市の事業展開の参考になります。

・ 自治体の規模によって、医療・介護資源の状況は大きく異なることが分かり、自治体によっては相互に資源を多く共有していることが分かりました。

(参加者アンケート回答より)

参加者のアンケート回答を見ると、他の市がどのように考えているか知ることができてよかった、事業展開に生かしていきたいという意見が多く、隣接市とデータを共有することの重要性がわかった、という意見もあった。データ活用演習を経て、データについて、またデータ活用方法について、より具体的な議論となってきたことがわかる。

(第3回研修会、4グループ、グループ討議55分、発表20分)

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク1 どのようにデータを活用するか (3/3)

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データから在宅医療推進施策を考えるシート1: 医療機関、介護事業者、

市民への働きかけシート2: 全県や隣接市等への働きかけ

(データ活用研修会の会場)

データを活用し在宅医療政策を進めることを考えるためのグループワークの二つ目として、どのような施策を行うかについてグループ討議した。在宅医療の政策の考え方については、グループ討議に先立ち、藤田 伸輔先生より資料により解説した。

記入シートは1枚目(医療機関、介護事業者、市民に対する働きかけ)と、二枚目(全県や隣接市への働きかけ)に分かれており、自治体毎に施策は異なるため、参加者毎に記入した。

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク2 在宅医療を進める施策を考える (1/4)

自治体名

①全県への働きかけ

第4回 2020年1月24日

シート②

②隣接市への働きかけ

シート①でまとめた働きかけの内、自分の自治体のみで解決出来ないものについて

全県・近隣市との協力による解決方法を記述してください。

テーマ:データから在宅医療推進策を考える 自治体名

県配布KDB集計結果からの考察 どのような施策を行うか

第4回 2020年1月24日

・往診

・訪問診療(同一建物居住者以外)

・訪問診療(同一建物居住者)

(目指す姿、解決すべき課題への具体的な働きかけ)・医療機関(在宅医療を行っている/行っていない)への働きかけ

・介護事業者への働きかけ

・市民に対する働きかけ

シート①

(第4回研修会、4グループ、グループ討議とまとめ1時間15分)

在宅医療の施策の考え方についての資料藤田 伸輔先生より解説

・ グループ討議でアイデアを出し合い、記入シートは各参加者毎に記入

・ 各参加者より、研修会の感想を発表

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医療機関への働きかけより:

・ 市の訪問診療や看取りの現状を伝え、いっしょに考える

・ 医療機関からヒアリング、医師会への説明

・ 市外(市境)の医療機関とつながりを持つ

・ 市内の病院に在宅医療をやってもらう、市外の診療所に協力を頼む

・ 地域の病院へ訪問診療を始めるよう、医療・介護連携に取り組むよう働きかけ

介護事業所への働きかけより:

・介護施設での看取りを増やすためのアプローチ(講演会+VR体験、アンケート、事業所研修会、隣接市と共同で研修、圏域での開催を県に働きかける)

・ 在宅医療についての研修、指定事業所の団体と連携

・ 担い手育成、人材不足に対応するアシスト含め拡大できないか

市民への働きかけより:

・ 市民向け講演会、多くの拠点で実施、近隣市と共催、看取りの講演会

・ かかりつけ医を持つことを啓発

・ 医療資源の情報を共有

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク2 在宅医療を進める施策を考える (2/4)

(第4回研修会、4グループ、グループ討議とまとめ1時間15分)

医療機関については、現状を伝えること、在宅医療を増やすように働きかけることが多く、介護事業者については、施設での看取りを増やす働きかけについての記載が多かった。また、市民への働きかけでは、隣接市との共催による講演会や啓発を掲げる参加者が多かった

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・ 医療機関への働きかけをリードしてほしい(病院による在宅医療のすすめ、往診、訪問診療を増やす取り組み、県から市医師会へ在宅医療の入門を伝える

・ ポータルサイト(県ホームページから各市の医療・介護連携の状況がわかるように、各市の多職種研修の案内が見やすいように)

・ 在宅医療推進イベント開催、講演会開催、圏域での講演会、県域を越えた案内

・ 医療・介護連携の共通指標、在宅医療に関する統計や評価を全県が共有

・ データ分析方法の提供、データの共有

・ ICT(在宅医療の連携)システムの統一、何を使っているかわかるように、ICTの情報を教えてほしい

(全県への働きかけより)

全県への働きかけとしては、医療機関への働きかけリード、ポータルサイト開設、イベント・講演会開催、共通指標作成、ICT(在宅医療の情報共有)システムの統一を掲げる自治体が複数あった。また、データ分析方法の提供や、データの共有を掲げる自治体もあった。

取り組みやすいもの、すぐには取り組めものをあるが、こうした働きかけをとりまとめることができたことは、今後に役立つと考えられる。

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク2 在宅医療を進める施策を考える (3/4)

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・ 情報共有(市外からの訪問診療事業者について情報交換、他市の医療機関や生活の場の情報を相互に提供、医師会や関係機関に情報提供するため近隣市と情報共有)

・ 相談窓口の連携、相互に相談窓口を活用、圏域外とも連携

・ 市民向けフォーラム、講演会共同開催、市民への啓発を圏域で実施

・ 多職種研修の共同開催、事業所主催研修の相互案内

・ 圏域単位での介護事業者向け研修の開催、介護事業者の看取り対応や医療との連携の情報を近隣市と共有

・ 隣接市医療機関への働きかけ、市境にある医療機関をいっしょに訪問

・ KDBデータ活用のための近隣市との勉強会

(隣接市への働きかけより)

隣接市への働きかけとしては、医療機関等の情報共有、相談窓口の連携、講演会等共同開催を掲げる自治体が複数あった。また、隣接市の医療機関への働きかけや、KDB活用のための近隣市との勉強会を掲げる自治体もあった。

記載された取り組みはわかりやすく、具体的であり、今回の研修会を通じて、隣接市等との連携についてより明確にイメージできるようになったためと考えられる。

4 データを活用し、在宅医療施策を考える~ グループワーク2 在宅医療を進める施策を考える (4/4)

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参加者のアンケート結果によるとデータ分析をやってよかったという意見、他の市と意見交換できたことが有意義だったという意見が多く見られる。データ分析・データ活用を一歩進める、相互啓発の場を提供する、という当初の趣旨は満たされていると考えられる。

データ分析についてていねいな説明を受け、実習してわかるようになったという意見が多いが、用語などが難しかったという意見もみられた。参加を検討したが来られなかった方や、研修会の途中までしか参加できなかった方も含めると、こうした研修会の必要性はまだまだ感じられる。

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・ データ分析を通して、客観的に市の特徴を知ることができた。さらに他市との比較ができたことで市の特性がより明らかとなった。4回にわたって、他市の担当者と様々な情報交換が行えたことが大きな収穫です。

・ 初めて知ることや、わからない言葉もあり、大変ではありましたが、ワークに取り組む中で慣れることもでき、KDBデータも少しわかるようになり、財産になったと思います。他自治体の皆様と意見交換できたことも有意義でした。。

・ 他市の状況を聞くことで大変勉強になった。KDBデータについては、今まで活用できていなかったので、今後の医療介護連携に向けて活用したい

・ 研修会のグループワークで他市の方の意見を聞くことで、もっと自身も市内の状況を把握していきたいと思った。分かりやすく4回も開催していただき感謝しています

・ 難しいという印象⇒易しく、初心者向けでよかった。

(研修会全体の感想についてのアンケート回答より) (1/2)

5 データ活用研修会全体のまとめ (1/7)

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・ 最初データは、あるけれど、どのように使っていいのか分からない状況でしたが、データの見方を教えて頂き、市内の各医療機関が在宅医療にどのように取り組んでいるかが分かり、とても有意義な研修会となりました。

・ 在宅医療・介護の分野は、市内にとどまらず、隣接市や、近隣市との連携が必要であると思いました。

・ 地域密着以外の医療・介護事業者は、行政区の境などそれほど気にしていないと思った。もっと、地勢的な情報に気を配るべきと思った。。

・ データの分析に関する考え方が参考になりました、今後の業務の参考になります、何のためにデータを用いるかを忘れないようにしたい。

・ KDBデータの活用により、医療と介護のサービスの自給率、他市の資源の活用状況についてある程度理解することが出来ました。自らKDBデータを取得するのは難しいので、定期的に再び県からKDBデータをいただき、変化を見たいです。

・ KDBデータは、苦手意識がありますが、直接取り扱い方法を学ぶことができ、苦手意識はなくなりつつあります。データの見方(活用できるということ、レセプトの見方)、指標の意味を少し理解することができた。在宅医療についてなんとなく他市に頼っているのではと思っていたが、データで客観的に見ることができた。

・難しい研修でした。(用語等)

・ 医療機関の特徴をデータから理解できるようになった

5 データ活用研修会全体のまとめ (2/7)(研修会全体の感想についてのアンケート回答より) (2/2)

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研修会成果により今後どのように取り組むかということについてもアンケートで質問したところ、周囲への働きかけ、計画への反映、事業者へのアプローチなどに取り組むという回答

や、データ分析に取り組んでいきたいという回答が見られた。実践的な進め方を習得し持ち帰

るという研修会主旨も、ある程度は満たされていると考えられる。

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・ 分析結果を関係者(上司、同僚、医師会、介護事業者など)に伝える。在宅医療・介護連携推進事業の計画に反映させる。市外医療機関へのアプローチ方法を具体的に検討する

・ 市内の現状を把握・分析したうえで、健康づくり部門(保健・介護予防一体化)や国保部門とも連携したい。近隣市との連携の強化も必要だと思う。

・ 本研修を参考にしながら、自前で継続して分析できるようにしたい。

・ 自市だけで取り組むのではなく、近隣市との協力関係や県との協働で出来ることも多いと気づきました。また、在宅医療については、勇美財団や、他市のリーフレット等も参考に、わかりやすく伝える・広めることに取り組みたいと思いました。

・ 介護職側へのアプローチをもう少し考えたい。なんとなく研修を実施すればよいわけではなく実情を踏まえて内容を検討したい。

・ KDBデータの集計方法を教えて頂けたので、自身でももっと色々集計してみて、現状把握していきたいと思う。

5 データ活用研修会全体のまとめ (3/7)

(今後の取り組みについてのアンケート回答より)

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5 データ活用研修会全体のまとめ (4/7)

・ 県の後援、配布KDB活用等についての県の助言を得られたことは、研修会を進めるうえで非常に有効だった

・ 千葉市のご好意により保健センターの会議室を利用できたことは事務局運営上、また参加者のアクセス利便性の面でありがたかった

・ 研修会の主旨に即した有識者の講演をしてもらうことができた(藤田伸輔先生のご紹介、一つの市だけでは難しい、著名な方の講演を聞くことができたと、参加者から高い評価)

・ 参加自治体による事例発表は参考になると好評だったが、当初予定件数には至らなかった(事業実施中等の理由で公表できるデータ活用事例がまだ少ないため)

・ 自然災害の影響はあったが、4回ともグループワーク編成に必要な参加者数を確保できた(参加できなくなった自治体から要望があり、不参加の回の資料を配布した)

県の後援をいただけたこと、千葉市の保健センターの会議室を使用できたことは研修会を進める上で非常に有益だった。また、藤田 伸輔先生等より有力な講演者をご紹介いただき、参加者アンケートによると、参加者に役立つようだった。

(事務局での考察より)

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

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5 データ活用研修会全体のまとめ (5/7)

データ活用研修会の主旨より、実際のデータを取り扱うことが重要だが、今回は県配布KDBデータを使った演習を行うことができた。県配布KDBデータは今後も各自治体に配布される予定であり、今後もこの研修会で習得したデータ分析方法を活用することができる。

・ 演習で使うデータや演習内容は、参加者へのアンケート結果等により、研修会を進めながら調整した結果、県配布KDBを分析し、隣接市との連携施策を考えていくといった、有意義な演習ができた。

・ 医療レセの読み方等の講義(藤田 伸輔先生)と、データ分析手順資料の説明(協会)を組み合わせたことにより、わかりやすい内容となった(アンケート結果による、但し、データ分析演習の宿題を提出できなかった参加者にヒアリングすると、やはり難しいとのこと)。

・ データ分析についてレベル差のある参加者の多くが演習結果を出すことができた。但し事務局負担はあった(データ分析の宿題について、7自治体は自力で実施、2自治体は電話によるサポートを受けて実施、3自治体は訪問サポートを受けて実施した)。

・ 自分の市のデータで実習することができたので、そのまま実務に役立つ分析結果が得られた。また、毎年県から配布されるデータの分析方法は、今後も活用できる(今後の取り組みに関するアンケート結果)。

(事務局での考察より)

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

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5 データ活用研修会全体のまとめ (6/7)

・ データを事務局に集める、あるいは自治体間で共有するという方法は、県配布KDBの場合できないため、各自が自分の自治体のデータをパソコンに入れて持ち寄り、その場で分析方法や分析結果を共有することとした(分析方法の習得、分析結果についての意見交換に役立つ)。

・ パソコン持ち込み可能性についてのアンケート回答により調整した結果、4-5人のグループ毎にパソコン1台での演習となったが、演習として有益だったという意見が多かった(自分が操作しないので、よくわからなかったという意見もあった)。

・ なるべく多くの自治体の分析結果を揃えて研修に役立てるため、協会がデータを預かって分析結果を返すという選択肢も示したが、この選択肢を選んだ参加者はなかった(自分たちでデータ分析してみて、手法を習得したいという意向と想定される)

実際のデータを取り扱うこととともに、パソコンを持ち込んで実習することが重要だが、今回は4-5人に1台のパソコンによる演習となった。参加者アンケートでも概ねよい意見であり、自治体職員向けの演習としては、一人1台は難しいという事情もり現実的な進め方といえる。

(事務局での考察より)

(データ活用研修会の会場)

グループ毎にPCで演習

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自治体職員のためのデータ活用研修会 2019年度実施報告 2020年3月

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5 データ活用研修会全体のまとめ (7/7)

この研修会を後援頂いた千葉県健康福祉局地域医療構想推進室より第四回研修会にて講評をいただいた。県庁では、在宅医療などに関する施策の進捗状況管理や、現状把握による将来需要の推計等を行うためにKDBデータを活用するための問題点を導き、レセプトデータ集計・抽出の仕組みを平成30年度に構築した。このプログラムを活用して、在宅医療・介護連携をさらに推進するために、市町村単位でのデータ提供を今年度実施した。これは、地域の実情を踏まえたデータによる検討環境を整えるために行われた。

県庁では、今後も、定期的にデータを提供すること、また、隣接市町村の状況も重要になることから、隣接市町村で協議の場を持ち、データを相互提供することも有用と考えていること、最後に、来年度は、保健医療計画の中間見直しを行う予定であることから、県で医療機関にアンケート調査を実施し、各市町村にデータを提供することも検討中であることを話された。

この研修会で県配付KDBデータの活用に関する演習を行ったことは、経年変化を確認できるので、データの活用に活かして頂きたい。

・ 定期的なKDBデータの提供・・研修会実施内容を参考に今後もデータ活用頂きたい

・ 隣接市町村で、データの相互提供・・在宅医療は、隣接市への提供や隣接市からの提供に依存するため、隣接市で協議の場を持ちデータの相互提供も有用

・ 医療機関アンケート調査実施結果を市町村にデータ提供・・来年度、保健医療計画中間見直しにて得られたデータを各市町村に提供することを検討

(県庁より今後のKDBデータ活用について)