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機能性磁気ナノ微粒子の バイオ分野への応用 研究責任者: 一柳 優子(横浜国立大学大学院工学研究院 物理工学コース 准教授) コーディネータ: 西川 羚二(横浜国立大学産学連携推進本部 共同研究推進センター)

機能性磁気ナノ微粒子の バイオ分野への応用 - 新技 …...新技術の基となる研究成果・技術 1.粒径3-30 nmの磁気ナノ微粒子作製方法確立

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機能性磁気ナノ微粒子の

バイオ分野への応用

研究責任者:

一柳 優子(横浜国立大学大学院工学研究院

物理工学コース 准教授)

コーディネータ:

西川 羚二(横浜国立大学産学連携推進本部

共同研究推進センター)

磁気粒子

の問題点 磁気ナノ微粒子の特徴

バイオ応用

強磁性の消失

絶縁体酸化物への修飾不可

・ナノサイズで強磁性を維持するのは困難!

・薬剤などの結合が困難!

単磁区

新規性 独自の製法によりアモルファスSiO2に内包さ れたナノサイズの磁性微粒子を省エネルギー で生成

優位性 粒径サイズ、組成の制御が可能 数ナノでありながら高い磁化 絶縁体酸化物へ他分子の修飾が可能

ねらい 磁気パラメータの向上をはかり、バイオ分野 へ応用する

研究背景

g-Fe2O3

新技術の基となる研究成果・技術

1.粒径3-30 nmの磁気ナノ微粒子作製方法確立

2.官能基の修飾方法確立

3.生体内での磁気微粒子の局在化とがん細胞選

択性機能性微粒子開発

4.ハイパーサーミア用途磁場による発熱特性

5.イオン化支援磁性ナノマトリックスの創製

6.磁気ナノ粒子を用いたiPS細胞の発現

1.磁気ナノ微粒子作成方法の確立

分散性の向上

• 分散剤の選定

①POIZ532

②PEI

③POIZ520

2次粒径の平均 / nm

non 3354.9

① 101.6

② 108.4

③ 173.0

① ②

鉄酸化物についてはPOIZ532がもっとも分散性が良い

薬剤輸送:絶縁体酸化物である磁性体に化学分子を結合するのが困難

・タンパク等あらゆる化学

分子との結合が可能に

・親水性・疎水性の制御

が可能に

・毒性の緩和

本微粒子の形状を活かしてアミノ基、カルボキシル基、チオール基 全ての官能基の修飾方法を確立!

340 mTのマグ

ネットに引きつけられるアミノ化微粒子

2.官能基の修飾方法確立

3.生体内での磁気微粒子の局在化とがん細胞選択性

がん細胞には葉酸受容体が過剰に出現することに注目

・葉酸を修飾した機能性微 粒子のがん細胞への導入を確認

磁石固定側

微粒子塗布側

マウスの耳における微粒子の局在化(左図)と細胞選択性(右図)

・外部磁場により皮下組織を通過し軟骨の手前で静止

4.ハイパーサーミア用途磁場における発熱特性

1.交流磁場を発生させ、サンプルの昇温を測定する装置を開発

2.磁化測定の結果から昇温効果が期待できる物質を抽出

3.磁気ナノ微粒子(例Co-Znフェライト、粒子サイズ5 nm-17

nm)の粒径の違いによる昇温変化を測定

室温から20度までの昇温を確認

g-Fe2O3 0 50 100 150 200 250 300

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

d = 8.0 nm

d = 7.0 nm

d = 17.0 nm

d = 11.8 nm

d = 6.4 nmd = 5.2 nm

f = 15 kHz

h = 192 Oe

Sample : Co0.8

Zn0.2

Fe2O

4, 5.2 - 17.0 nm

Tem

pera

ture

ris

e /

K

Time / sec.

アモルファスSiO2に

被われた磁気微粒子(左図)と外部磁場による温度上昇(右図)

5.イオン化支援機磁性ナノマトリックスの創製

1.本磁気微粒子はイオン化支援機能をもつ

2.質量分析用のマトリックスとして有効

3.低分子の薬剤から高分子のタンパクまで幅広い質量領域で

検出が可能

4.生体組織に噴霧することで分子イメージングが可能

5.ナノサイズの微粒子なので高解像度のイメージを取得

Blurred Fine Resolution

Low

H

ig

h

m/z

SIMS

MALDI

nano-PALDI

高解像度で幅広い領域の検出

6.磁気ナノ微粒子を用いたiPS細胞の発現

iPS細胞は4つの遺伝子により発現することが既知

方法:プラスミドDNAに磁気ナノ微粒子を結合させ、細胞の下から磁力で引き込む

結果:EGFP陽性細胞数に大きな差が見られた

→発現効率向上

新技術の特徴、従来技術・競合技術との比較

従来技術 本研究

SiO2の被服方法

SiO2の被膜を別工程で行う

一度の生成によりSiO2

に被われた磁気ナノ微粒子を得る

微粒子への他の化学分子の結合

絶縁体酸化物に化学分子を結合するのは困難

官能基の修飾方法を確立。あらゆる化学分子の結合が可能

細胞導入 カチオンコートなどの前処理が必要

ナノサイズのためコーティングなしに導入が可能

温熱療法

①患部に電極を刺すなどの痛みを伴う

②電磁波による加熱は全ての細胞にダメージを与える

低侵襲で目的細胞のみを深部まで加熱可能

1.薬剤輸送(DDS)

・特異なタンパク等を修飾し、目的細胞へ輸送

2.磁気ハイパーサーミア(温熱療法)

・がん細胞選択性機能性磁気微粒子を用い、がん細胞のみを加温 AC-Magnetic field

外部磁場印加により磁性体内に熱を蓄積

dIHW

想定される用途(1)

臨床用途

3.iPS細胞発現効率の向上

・従来の遺伝子導入法

①ウイルス 遺伝子導入効率 高(80-90%)

ゲノム挿入の危険

②エレクトロポレーション 高(50-60%)

細胞にダメージ

③薬品 低(20-30%) 安全性高

安全で導入効率の高い遺伝子導入法の確立

研究用途

想定される用途(2)

4.質量分析(MS)イメージング

・本微粒子のイオン化支援機能を利用し、細胞内の

質量分析と物質分布のイメージングも期待できる。

5.MRIイメージング (a) (b)

(c)

(a) (b)(a) (b)

(c)

(a)微粒子噴霧

(b)市販マトリクス噴霧

(c)重ね合わせた質量分析分布像

Fe3O4

γ-Fe2O3

Water +Agarose

(background

粒径6 nmのT2 gradient echo

研究用途

想定される用途(3)

1.磁気ハイパーサーミア

数十種類の試料について実験データを取得し、最適化の条件設定を行っている。又、in vivoの実験や治験が未解決である。

2.DDS

液中での分散性の精度を向上できるよう技術を確立する必要がある。又、体内ではステルス化などの課題を検討する必要もある。

実用化に向けた課題

想定される技術移転(1)

本技術の特徴/アピールポイント

・アモルファスSiO2被覆・強磁性ナノ粒子の独自の製造

技術が中核であり強み

・アミノ酸、カルボキシル基等修飾が可能

⇒薬剤や化学物質の結合を可能に!

⇒葉酸修飾によるがん細胞への選択導入を確認

・数~数十ナノサイズでありながら高い磁化を示すFe3O4

微粒子製造に成功

想定される技術移転(2)

・ハイパーサーミア ⇔vivo実験や治験について医学研究者・医療関係者の協力を

得つつ、ハイパーサーミア用磁界発生・制御技術を持つ企業と

共同研究 ・DDSへの展開

⇔薬剤との結合技術を持つ(創薬等)企業との(又はDDS用磁気

システム企業を混じえた)共同研究 ・ベクターフリーiPS細胞の創生

⇔創薬企業、医学系大学・研究機関との共同研究

・イオン化支援機能に着目した質量分析用マトリックス

⇔分析機器メーカ等との効果実証・共同開発

• 発明の名称 :Zn系フェライト磁気ナノ微粒子

及びその分散体

• 出願番号 :特願2004-253909

• 出願人 :横浜国立大学

• 発明者 :一柳優子

本技術に関する知的財産権

国立大学法人 横浜国立大学

産学連携推本部共同研究推進センター

産学官連携コーディネーター 西川羚二

TEL:045-339-4382 FAX: 045ー339ー4387

e-mail:[email protected]

独立行政法人 科学技術振興機構

産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当

技術移転プランナー 植松 宏彰

TEL:03-5214-8994 FAX:03ー5214ー8999

e-mail:[email protected]

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