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情報流通行政局 郵政行政部 平成25年7月17日 郵政事業を取り巻く国際的な動向 資料 103-1

郵政事業を取り巻く国際的な動向世界の郵便事業の動向 1 国連の専門機関である万国郵便連合の統計(2011年)によると、概ね次のとおり。

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情報流通行政局 郵政行政部

平 成 2 5 年 7 月 1 7 日

郵政事業を取り巻く国際的な動向

資料 103-1

目 次

1 世界の郵便事業の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 欧米主要国における郵便物数の推移・・・・・・・・・・・・ 2

3 諸外国における郵政事業の経営形態・・・・・・・・・・・・ 3

4 諸外国における金融サービスの在り方・・・・・・・・・・・ 4

5 諸外国の郵政事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・ (フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、米国)

6 諸外国における郵便事業の株式上場に関する状況・・・・・・・ 12

7 英国政府によるロイヤルメール・グループの株式売却計画・・・・・・・

14

世界の郵便事業の動向

国連の専門機関である万国郵便連合の統計(2011年)によると、概ね次のとおり。

① 2011年の世界の郵便事業の収益は1,970億SDR(約24兆円)。対前年(2010年)比で3.1%の減少。

(収益が増えた国は全体の42%(2010年は58%の国で収益が増加))

② 通常郵便(内国・国際)の引受数は、3,684億通。対前年比で3.7%の減少。

③ 他方、小包郵便(内国・国際)の引受数は、64億個。対前年比で2.1%の増加。

その他, 5.3%

小包・物

流, 34.6% 通常郵便,

48.3%

金融サー

ビス, 11.7%

世界の郵便事業の収益の内訳

1990-2000 2001-2010 2010-2011

内国郵便 0.3% ▲1.5% ▲3.7%

国際郵便 ▲1.3% ▲4.1% ▲2.2%

国際郵便の引受物数の推移 ○ 通常郵便の引受物数の推移(年平均)

1990-2000 2001-2010 2010-2011

内国郵便 3.9% 2.8% 2.1%

国際郵便 ▲2.8% 3.4% 3.5%

○ 小包郵便の引受物数の推移(年平均)

(出典)「Development of postal services in 2011」Universal Postal Union

21,976 21,587

20,553

18,620 17,515

16,599 15,700 16,539 16,616 16,152 15,347 14,880

14,328 13,721 15,101 14,894 15,097

14,278 13,900 13,932 13,447 12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000

24,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

ロイヤルメール

欧米主要国における郵便物数の推移

○ 欧米主要国(米国、ドイツ、英国、フランス)における郵便物数は、インターネットへの郵便需要の移行、 競争進展の影響等により減少傾向が継続。 ○ 特にUSPSとロイヤルメールの減少が著しく、最近5年間の年平均減少率は▲5%程度。

USPS: ファーストクラス(手紙・はがき等)とスタンダードクラス(広告等)の郵便物数の合計。

出所:USPS

ロイヤルメール: 宛名付き郵便物数。

出所:英通信庁(Ofcom)

ラ・ポスト: 書状と宛名付きDMの合計。

出所:電子通信郵便規制機関(ARCEP)

ドイツポスト: 一般通信と宛名付きDMの合計。

出所:ドイツポスト

2,005 1,998 1,908

1,662 1,610 1,582 1,482

1,300

1,500

1,700

1,900

2,100

2,300

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

(億通)

(100万通)

年平均▲5.5%減

ラ・ポスト

年平均▲2.8%減

ドイツポスト 年平均▲1.6%減

USPS 年平均▲5.2%減

● 欧米主要国における郵便物数の推移

(出典)郵政民営化委員会(平成25年2月1日開催)資料97-1「郵便事業、物流の現状」(日本郵便株式会社作成) 2012年の郵便物数は、各国のアニュアルレポートから引用 2

○ 諸外国において、郵便事業は国営による独占事業として創業。その後、先進国では、民営化による効率化・ サービス向上のため、民間手法・資本を導入をするなど、現在、事業体の経営形態は様々だが、なお特定の

事業体に対して、書状や小包に係るユニバーサルサービス義務を課している国が大宗。

○ 各国事業体では、郵便物数の減少や民間参入による競争激化により、経営環境が厳しい中、コスト削減や

事業の多角化に取り組む等の方向性を模索中。

政府機関 (国営事業)

公共企業体、公社など

政府全株保有 (持株会社又は事業会社)

株式上場・売却途上

政府保有株式なし (完全民営化)

(イタリア) (日本)

(韓国)

(スイス)

(フランス)

(中国)

(アメリカ) (カナダ)

(オーストラリア)

(イギリス) (ニュージーランド)

(オランダ) (ドイツ)

諸外国における郵政事業の経営形態

諸外国における金融サービスの在り方

○ 各国における経営形態・金融サービスの法的位置づけは様々だが、多くの国で送金・決済など基礎的な

金融サービスを提供。さらに、貯金・保険を一体的に提供している国もある。

○ 社会的弱者に対して簡便な送金・決済手段を確保するため、今般、万国郵便連合(UPU)が「ドーハ郵便

戦略」において郵便ネットワークを活用した金融サービス等の開発、金融的包摂の増進等の方向性を提示。

自ら一体的に

提供 グループの金融機関等から受託

他の金融機関 から受託

金融サービスは未実施

【銀

行】

【保

険】

※ ただし、本来業務として 郵便為替等を実施。

4 (イタリア)

(イタリア)

(日本)

(日本)

(韓国)

(韓国) (スイス)

(スイス) (フランス)

(フランス)

(中国)

(中国)

(アメリカ) (カナダ) (オーストラリア)

(イギリス)

(イギリス)

(ニュージーランド)

(ニュージーランド)

(ドイツ)

○ 郵便分野の厳しい経営状況を背景に、各国においては、郵政事業体について、経営の多角化や特定分

野への経営資源の集中など様々な取組みが進められている。

① 金融サービスの強化(フランス、イタリア)

② 物流事業への経営シフト(ドイツ)

③ 財務負担軽減のための制度整備(イギリス)

④ サービス縮小や経営効率化によりコスト削減を目指す動き(米国)

フランス イタリア ドイツ イギリス 米国

郵便事業体 ラ・ポスト ポステ・イタリアーネ ドイツポスト

ロイヤルメール・ グループ

米国郵便庁 (USPS)

郵便局の取扱サービス(注)

・郵便 ・貯金 (・保険) 等

・郵便 ・貯金 ・保険 等

・郵便 (・貯金) (・保険) 等

・郵便 (・貯金) (・保険) 等

・郵便 等

経営形態 ・郵便

株式会社 (政府・政府系金融 機関全株保有)

株式会社 (政府全株保有)

株式会社

(政府系金融機関が21.4%保有)

株式会社

(政府全株保有の持株会社の100%子

会社)

国営

・銀行 100%子会社 (郵便会社と同一事業体) (受託) (受託) -

・保険 関連会社 100%子会社 (受託) (受託) -

経営改善に 向けた取組み

新たな収益源として、金融サービス(住宅ローン、低所得者向けローン、自治体向け短期融資等)の提供拡大。

貯蓄分野及び保険分野において、市場シェアを拡大し、当該二分野でポステ・イタリアーネの収益の約75%を上げている。

2002年 国際急送便事 業者のDHLを買収。 2012年 ポストバンクを 完全売却。

年金債務の政府移転、新株発行等の制限解除等を内容とする2011年郵便サービス法を制定。

USPSは経費削減のため2013年8月からの手紙・

はがきの土曜日配達の中止を発表したが、議会の反対を受けて、スケジュールを延期

注:郵政事業体からの出資が50%未満の会社等が提供するサービスを取り扱っている場合は、カッコを付してある。

諸外国における郵政事業を巡る動向

684

403

621

0

200

400

600

800

部門別利益

○ ラ・ポストと主な関係機関

ラ・ポストの概要

【金融業務の拡大】

・2006年:一般向けに住宅ローンの提供開始(これまではバン

ク・ポスタルの預金者に限定)

・2010年:消費者ローンの取扱開始

・2011年:中小企業等の法人ローンの取扱開始

ウェスタン・ユニオンの送金機能を兼ねたキャッシン

グ・カードを発行

・2012年:地方自治体向けの融資を実行

・2013年:富裕層資産管理事業の専門銀行を買収

政 府

○ 沿革・主な出来事

1991年 ラ・ポストとフランス・テレコムを公社化

2006年 郵便貯金事業を100%子会社のラ・バンク・ポスタル

として分社化

2010年 ラ・ポストを株式会社化

政府は郵便市場の自由化に備えるため、ラ・ポストに

27億ユーロ(約3,500億円)の公的資金の投入を発表

2011年 EU指令に基づき、郵便市場を完全開放

○ 経営状況

書状 10,774

50% 小包・エクスプレ

ス 5,538 25%

金融サービス 5,217 24%

その他 129 1%

部門別収益

・2012年の収益は217億ユーロ(約2兆8150億円)(対前年比1.5%増)。

営業利益は8.2億ユーロ(約1060億円)(対前年比21.8%)で増収増益。

・書状は引受物数が4.2%減少し、1.1%の減収。

・小包・エクスプレスは引受物数の増加等により収益は7.4%増加。

・金融サービスはギリシア政府債に係る損失準備金の減少等で安定的な利益を確

保。

ソフィポスト (郵便関連子会社管理)

ラ・ポスト

(書状・小包・窓口)

預金供託金庫

(単位:百万ユーロ)

小包・

エキスプレス

金融サービス

77.1% 22.9%

100%

ジオポスト (小包等関連子会社管理)

バンク・ポスタル (銀行)

ポスト・イモ (不動産管理)

その他

CNP保険

100% 100% 100%

子会社を通じて約20%保有

書状

(出典)ラ・ポストグループ2012アニュアルレポート (単位:百万ユーロ)

○ ポステ・イタリアーネと主な関係機関

ポステ・イタリアーネの概要

【郵便貯金制度の設立】

・イタリアの郵便貯金は、広く個人に貯蓄手段を提供し、その資

金によって公共的な用途に対する中長期の貸出しを行うことを

目的として1875年に設立。

・バンコ・ポスタは、経済・財政省が預託貸付公庫(CDP)が35%

出資して出来たポステ・イタリアーネの一事業部門であるが、

現在は経済・財政省が100%出資。

・郵便局を通じて、当座預金及び預託貸付公庫が発行する債券、

生命保険等を販売している。

○ 沿革・主な出来事

1994年 暫定措置令により公共企業体ポステ・イタリアーネが、

郵便・貯金・電気通信の運営体として郵便電気通信省か

ら独立。

1998年 ポステ・イタリアーネを株式会社化。

1999年 ポステ・イタリアーネ・グループ傘下に投資資金運用会

社Banco Posta Fondi SGR設立。

2005年 イタリア政府がポステ・イタリアーネの民営化を推進す

ると明言。ポステ・イタリアーネが3か年目標を発表。

2011年 EU指令に基づき、郵便市場を完全開放。

○ 経営状況

郵便部門 4,810 22%

金融部門 5,003 23%

保険部門 11,278

52%

その他 602 3%

部門別収益

・2011年の収益は217億ユーロ(約2兆8100億円)(対前年比▲ 0.7%)

営業利益は16億4,000万ユーロ(約870億円)(対前年比▲12.0%)で減収減益。

・郵便事業の2011年の収益は、5%減の48億ユーロにとどまった。

ポステ・イタリアーネ

(書状・小包・金融(バンコ・ポスタ))

(単位:百万ユーロ)

100%

SDAエクスプレス・クーリエSPA (エクスプレス・クーリエ)

ポステ・ヴィータ (生命保険)

その他

100% 100%

ポステ・アシキューラ (損害保険)

100%

バンコ・ポスタ・ファンドSpA SGR (投資資金運用会社)

100%

※ユニバーサルサービスを維持するための補助金として、毎年約4億ユーロが政府から郵便事業体に交付。

政府

(出典)ポステ・イタリアーネ2011アニュアルレポート

○ ドイツポストと主な関係機関

ドイツポストの概要

【2015年戦略等】

・2009年、ドイツポストは中期戦略「Strategie 2015」におい

て、ドイツ国内における郵便事業の確立及び世界市場におけ

るロジスティクス事業の展開を宣言。

(事業の2本柱を象徴するため、社名を「ドイツポスト・ワー

ルドネット」から「ドイツポストDHL」に変更)

・同年、経費削減計画に基づき、直営郵便局を2011年末すべて

廃止し、窓口業務を小売業者などに完全委託することを発表。

・銀行業については、2004年のポストバンク上場以降も株式売

却を進めた結果、2010年に保有株式は過半数を下回り、2012

年に全株式を売却。銀行業からの撤退を完了。

連邦政府

ポストバンク

○ 沿革・主な出来事

1990年 ドイツ連邦郵便を郵便、貯金、電気通信事業に分離

(国営事業体)

1995年 郵便(ドイツポスト)及び貯金(ポストバンク)を政

府全株保有の株式会社化

1999年 ドイツポストがポストバンクを100%子会社化

(窓口手数料を巡り両者で紛争が生じたため)

2000年 ドイツポスト株式上場

2004年 ポストバンク株式上場

2008年 郵便市場の完全自由化

2012年 ドイツポストはポストバンク株式をすべて売却

ドイツ銀行

○ 経営状況

・2012年の収益は555億ユーロ(約7兆2,000億円)(対前年比5.1%増)。

営業利益は27億ユーロ(約3,500億円)(対前年比9.4%増)で増収増益。

・ネット販売の活況により小包が増加したが、郵便に対する付加価値税の事後

納付が重荷となり利益は5.1%減少。

・アジア・米国の需要が高まり、DHLブランドの三事業は軒並み増収増益。

復興金融公庫

DHL (エクスプレス)

ドイツポスト

(書状・小包)

DANZAS (ロジスティクス)

窓口業務の委託

(資本関係なし)

州政府

世界中に800を超える子会社・関連会社を保有

1,051 1,108

512 416

0

500

1,000

1,500

部門別利益 (単位:百万ユーロ)

書状・小包 エキスプレス グローバル・フォワーディング、フレート

サプライチェーン

20% 80%

21.4%

DHLブランド

ドイツポストブランド

小売店等

書状・小包 13,874

25%

エクスプレス 12,378

22%

グローバル・フォ

ワーディング、フ

レート 14,980

27%

サプライチェーン 14,229

26%

部門別収益

(出典)ドイツポストDHLアニュアルレポート2012 (単位:百万ユーロ)

○ ロイヤル・メール・グループと主な関係機関

ロイヤルメール・グループの概要

【2011年郵便サービス法の概要】

①郵便会社の年金負債を政府に移管

②ロイヤルメール・グループの再編成

・郵便会社に最大90%まで民間資本の導入を可能とする

・郵便局会社は政府全株保有を維持

③郵便サービス制度改革

・郵便規制委員会(ポストコム)を廃止し、規制・監督権限を

通信庁(オフコム)に移管

・複数事業者がユニバーサルサービス事業者となることを可能とする

(10年間は郵便会社にユニバ-サル事業者であることを保証)

・ユニバーサル事業者が債務超過に陥った場合の手続き(郵便管理

者の任命、政府による財政支援等)を新設 等

政 府

郵便局会社

(窓口)

GLS(欧州小包)

○ 沿革・主な出来事

1969年 郵便電気通信公社の発足

・郵便、振替及び通信事業を実施

・貯蓄事業は国民貯蓄銀行として大蔵省に移管

1981年 公社の郵便事業と電気通信事業を分離

1985年 公社の振替事業を公社全額出資のジャイロバンクとし

て分社化(後に住宅金融組合に売却)

1987年 公社の窓口部門を100%子会社として分社化

1999年 郵便局ネットワーク維持のため政府の財政支援開始

(数度にわたり延長され、2015年まで支援を予定)

2001年 郵便公社を株式会社化

2006年 郵便市場の自由化

銀 行

○ 経営状況

書状・小包 7,164 75%

郵便局会社 801 9%

GLS 1,562 16%

その他 5

0%

部門別収益

23

59

128

1 0

50

100

150

書状・小包 郵便局会社 GLS その他

部門別利益

・2012年の収益は95億ポンド(約1兆4,450億円)(対前年比4.1%増)。

営業利益は2億1,100万ポンド(約320億円)(対前年比5.4倍)で増収増益。

・書状の引受けは6%減少したが、ネット通販の活況が小包の売上を後押し。

・書状・小包部門は前年度の赤字から黒字(約2,300万ポンド)に転換。

(単位:百万ポンド)

ロイヤルメール持株会社

ロイヤルメール・ インベストメント

ロイヤルメール・グループ

(書状・小包)

その他

窓口業務の委託

政府機関

保険会社

100%

100% 100%

100%

100%

その他

(出典)ロイヤルメール持株会社2011-12アニュアルレポート (単位:百万ポンド)

○ USPSと主な関係機関

米国郵便庁(USPS)の概要

10

【土曜日配達の中止計画】

・連邦議会は、歳出法により、盲人用郵便等への補助金の支出

を規定するとともに、USPSに郵便の週6日配達を義務付け。

・本年2月6日、USPSは、暫定予算が失効した後、独自に配達頻

度を決定できるとして、2013年8月からの郵便の週5日配達を

表明。

・上院(民主党多数)と下院(共和党多数)の有力議員の間で

USPSの計画に対する賛否は分かれたが、3月21日、USPSに週6

日配達を引き続き義務付ける予算継続決議が国会を通過。

・郵便規制委員会も政府説明責任局 (GAO)も、USPSの週6日配達の

中止計画には否定的な立場。

・このような状況の下、4月9日、USPS経営委員会は、土曜配達中止

計画の実施延期を決断。

○ 沿革・主な出来事

1966年 郵便貯金制度廃止

1971年 郵便事業組織法の施行

合衆国政府の独立行政機関としてUSPS設立

2003年 USPSに関する大統領委員会

USPSを公的機関として維持しつつ、業務内容を見直

し、効率性及び適応能力を向上すべきことを提言

2006年 郵便改革法成立

郵便サービスを「市場占有商品」と「競争商品」に分

類、一定の価格及び重量以上の郵便への民間参入 等

2010年 ドナホー氏(前副総裁)の総裁就任 ○ 経営状況

(単位:百万ドル)

大統領 議会

USPS(独立機関)

郵便規制委員会

(PRC)(委員5名)

経営委員会(9名)

(経営委員会)

任命

(上院の助言と承認)

任命 (一定の議員の助言)

副総裁 総裁

任命 任命

72,650 74,778 74,932 68,090 67,052 65,711 65,223

969

-5,327 -2,806 -3,740 -8,374 -4,923

-15,741 -20,000

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

・2012年の収益は約652億ドル(約6兆4000億円)(対前年比▲0.7%)。

営業利益は約160億ドル(約1兆5,700億円)の純損失、6期連続赤字で減収減益

・郵便物総数は約1,600億通で昨年比84億通減少(▲5%)

・eコマースの活況により小包の収入は約9億ドル増加(前年比8.7%増)したが、

手紙・はがきの減収分をまかなえず。

営業収入

営業損益

(出典)USPS 2012 アニュアルレポート等

USPSの経営改善の取組み

11

726 747 749 680 671 657 652

717 801 777 718 754 706

810

10

-53 -28 -37 -84 -49 -157

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

経営状況

収益

費用

利益

39

41 42

44 45 977 959

917

838 782

735 687

36

37

38

39

40

41

42

43

44

45

46

500

550

600

650

700

750

800

850

900

950

1,000

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

料金

物数

36,826 36,721 36,723 36,496 36,222

35,756 35,369 70

68 66

62

58

56

53 50

55

60

65

70

75

30,000

31,000

32,000

33,000

34,000

35,000

36,000

37,000

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

郵便局数

職員数

○ファーストクラスメールは最近6年間で約300億通の減少(30%減) ○2012年に続き、2013年1月にも料金改定(46セントに値上げ)

(退職者医療手当基金への納付義務)

・USPSに対して、2007年から10年間、毎年約55億ドルの拠出を義

務付け。この年以降、USPSは毎年営業赤字を計上。

・2011年、当該年度の納付を行うことが出来なかったため期限を

翌年8月に延長。しかし納付出来ず(1度目の債務不履行)。

・2012年9月、前年度と同様、当該年度の納付を果たすことが出来

ずに2度目の債務不履行。

【2011年7月】 ・USPSは、約3,700局の閉鎖の可能性について検討を開始する旨発表。しか

し反対の声が上がり議論は錯綜。 【2012年5月】 ・利用率の低い13,000局以上の郵便局の営業時間を現行の8時間から、

6,4,2時間に短縮し、3,700局の閉鎖計画を事実上撤回する方針を発表。 【2013年2月】 ・8月から、手紙・はがきの配達を現行の週6日から週5日に変更する計画を

発表。しかし議会の反対により、USPSは計画延期を決断。

(セント) (億通)

(億㌦)

(局)

(万人)

【郵便局数及び職員数の推移】 【2006年郵便改革法】

○近年、経費削減の一貫として、郵便局の閉鎖、配達日数の変更計画を打ち出すが、各方面の反対により方針の変更・延期を余儀なくされる。

(出典)USPS 2012 アニュアルレポート等

1990年 ドイツ郵便(政府直営)をDBPポストディーント(国営郵便事業)他2社(郵便貯金事業、電気通信事業)に分割 1995年 DBPポストディーントを株式会社化(「ドイツポストAG」、政府保有率:100%) 2000年 ドイツ政府保有株式を一部公開(株式上場)(政府保有率:69%) ~ 政府は保有株式をドイツ復興金融公庫(KfW)に順次移管し、 KfWがドイツポスト株式を市場で売却 2002年 DHL(民間急送便事業者)を買収 2005年 政府及びKfWの保有株式の合計が50%を下回る 2012年 政府保有率は0%。KfW保有率は25.5%に。(2013年6月末現在、政府保有率は0%。KfW保有率は21.4%。)

諸外国における郵便事業の株式上場に関する状況①

○ 主要国において、郵便事業を株式会社化しているのは英、独、仏、蘭、伊、ベルギー、ニュージーランド。 このうち、蘭、独は、すでに上場。英、ベルギーは、上場に向けて取組中。

ポストNL

○ オランダは、郵便事業を株式上場しており、既に完全民営化。その経緯は次のとおり。

1989年 国営事業体(PTT)を株式会社化(「Royal KPN Netherland」、政府保有率:100%) 1994年 KPN株式を30%放出(政府保有率:70%。また、政府は特別優先株を保有) 1996年 TNT(民間急送便事業者)を買収(同社普通株の51.9%を取得) 1998年 TNT Post Group(TPG)として、KPNから分離・株式上場(政府保有率45%) 2001年 TPG株式の追加放出(政府保有率:34.9%) 2004年 TPG株式の追加放出(政府保有率:18.6%) 2006年 政府がTPGの全保有株式を売却(政府保有率:0%) 2011年 TPGを分離し、郵便事業部門(Post NL)と急送便部門(TNT Express)を分離

ドイツポスト

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○ ドイツは郵便事業を株式上場しており、その経緯は次のとおり。

2000年 ラ・ポストを株式会社化(政府保有率:100%) 2004年 政府は、ラ・ポストの一部株式を売却する手続きを正式に開始 2005年 ラ・ポスト、デンマーク・ポスト及びCVCキャピタル(英国の投資会社)との間で正式にパートナーシップ提携が成立 (政府保有率:50%+1株) 2009年 デンマーク・ポストとスウェーデン・ポストの合併に伴い、デンマーク・ポスト保有のラ・ポストの株式をCVCキャピタ ルが取得。(政府保有率:50%+1株、CVC保有率:50%-1株) 2010年 社名をラ・ポストからビーポストに変更 2013年 ビーポストが新規株式公開の実施を発表(CVC保有分のうち23.5%)

諸外国における郵便事業体の株式上場に関する状況②

ロイヤルメール・グループ

○ 英国は、郵便事業者である「ロイヤルメール・グループ」の株式上場を計画しており、経緯等は次のとおり。

2001年 郵便公社を株式会社化(政府保有率:100%。その後、名称を「ロイヤルメール・グループ」に変更) 2011年 「2011年郵便サービス法」が成立 -ロイヤルメール・グループの新規株式発行、株式譲渡等が可能に(これらを制限していた既存の条項を削除) -多額の企業年金負債をロイヤルメール社から政府へ移管させるための諸措置の整備 -郵便サービスに関する監督機関の変更(郵便サービス委員会から通信庁への移管)、郵便サービスに係る事前許可制の廃止 等

2012年 ロイヤルメール年金債務(約120億ポンド(約1兆8千億円))をロイヤルメールから政府に移管 郵便局会社をロイヤルメール・グループから分離し、ロイヤルメール持株会社の傘下に移管 2013年 政府がロイヤルメール・グループ株式の売却計画を発表(7月10日)※売却計画の詳細は次ページ参照

ビーポスト

○ ベルギーは、郵便事業者である「ビーポスト」の株式上場を計画しており、経緯等は次のとおり。

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英国政府によるロイヤルメール・グループの株式売却計画①

1 ロイヤルメールの株式売却計画

○ 英国ビジネス・イノベーション・技能省のヴィンス・ケーブル大臣は、7月10日、ロイヤルメール・グループの株式売却計画について英国議会下院へ報告。同省の報道発表資料によると、概要は以下のとおり。

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【ヴィンス・ケーブル大臣の発言(仮訳)】 ・郵便市場の改革の主たる目的は、国中のビジネス及びコミュニティーが頼りにし、全国均一料金で週6日提供されるサービスを守ることである。

・そのために、ロイヤルメールは、郵便市場が変化している(書状の物数が減少する一方で、オンラインショッピングの普及により小包の物数が増えている)中、民間資本への将来的なアクセスを必要としている。ロイヤルメールは、他の郵便事業者のみならず、インターネット、スマートフォン及びタブレットとも競争している。

・しかしながら、公的部門に置かれたロイヤルメールは、英国内やヨーロッパ内の競争相手にはない形でその両手を縛られている。ロイヤルメールにとって、投資や改善を行おうとする度に大臣達にお伺いを立てないといけないのは、相当ではない(cannot be right)。国民は、政府に対し、常にロイヤルメールよりも、まず、学校や病院に対して投資を行ってほしいと考えるだろう。

・新規株式公開(IPO)は、ロイヤルメールの株式を売却する上でオープンで透明な手法であり、希望する国民が株式を取得することも可能にする。

・郵便夫・郵便婦(ロイヤルメールの従業員)は、英国内の全ての住所に週6日郵便を配達することを確保しているロイヤルメールの正に中核である。彼らは、ロイヤルメールの将来の中心に存在しており、であるからこそ、2年前に議会によって決定されたように、彼らもロイヤルメールの成功からもたらされる恩恵に預かることが重要である。

・ゆえに、本日、私は喜んで従業員持株制度の発表をしたい。私は、可能な限り魅力的であり、全ての従業員に対してロイヤルメールの将来の成功を分かち合う機会をもたらす計画を従業員にオファーすることを決意した。

・政府がロイヤルメールの株式を売却する際に、一生懸命働いている従業員に対し意義のある株式を与えるのは良い話(good deal)である。

英国政府によるロイヤルメール・グループの株式売却計画②

1 ロイヤルメールの株式売却計画(続き)

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○ この発表に先立つ5月29日に、ロイヤルメールの新規株式公開を実施する共同グローバルコーディネーター兼主幹事会社(Joint

Bookrunner)としてゴールドマン・サックス及びUBSが、主幹事会社としてバークレイズ及びメリル・リンチが指名された。

上記の他、それ以降、Investec銀行、野村インターナショナル、RBC Europeの3社が、Co-lead Managersとして指名されている模様。

・ロイヤルメールは、今回の株式売却計画について歓迎の意を表明。

・最大野党である労働党、また、ロイヤルメールの労働組合は、株式売却計画に強く反発している。

2 関係者の反応

【株式売却計画の骨子】 1 英国政府は、今年度中にロイヤルメールの大半の株式を処分することを目指す。

・ロンドン証券取引所に上場させる予定 2 英国一般市民は、小口売却オファーを通じてロイヤルメールの株式を購入することができる。

・新規株式公開を通じて売却される株式数については、なお柔軟性を維持する。 (市場の状況や投資家の需要、納税者の利益確保という政府の目標に影響されるため) 3 英国内の約15万人のロイヤルメール従業員は、全株式の10%を無料で取得できる。

・過去30年間の英国内の主要な民営化の中で最大の従業員持株制度になる。 4 ロイヤルメール従業員が、小口売却オファーを通じて、更なる株式の購入を選択する場合、優先権が 得られる。