2
1.香東川の旧河道を利用した大名庭園 栗林(りつりん)公園は、生駒氏高松藩主生駒高俊公の別邸を礎に、水戸松平氏高松藩初代藩主松平頼重公か ら約 100 年にわたって作られた大名庭園で、紫雲山を借景に 6 つの池と 13 の築山で構成されています 1) 。南庭 は江戸時代初期から中期に見られる回遊式大名庭園 2) で、花崗岩や讃岐岩質安山岩の石組の他、名石,奇石が取 り入れられています。北庭は元禄年間(1688-1704 年)に造園された鴨場を、明治末から大正初期にかけて整備 改修されたものです 2) 。栗林公園は昭和 28 年(1953 年)に国指定の特別名勝に指定されました。 讃岐山脈を源流とする香東川は、紫雲山山裾である現栗林公園付近を通り高松城西側の河口に流下していま したが、度重なる水害のため、1637 年頃には香東川は西嶋八兵衛によって現河道に統合されました 1) 。栗林公園 はかつての香東川旧河道を流れる伏流水を利用した庭園なのです。このため園内には、香東川旧河道堆積物であ る和泉層群の砂岩亜円礫が至るところにあります。また、香東川が紫雲山を侵食して露出した讃岐岩質安山岩は 赤壁(石壁:せきへき)の名がつけられています(図2)。 紫雲山は、讃岐岩質安山岩が貫入した火山岩頸で、この東斜面は石清尾山の西斜面と比較して急傾斜です。こ の急斜面は、香東川による侵食によって形成されました。 栗林公園が紫雲山を借景に使うことができるのは、香東 川のおかげなのです。 2.栗林公園の庭石 栗林公園は複数の石を組み合わせた石組,踏面が平 らな石を用いた飛石,飛石と建物を結ぶ沓脱(くつぬぎ) 石,護岸の石積などがある石の名園でもあります。庭石 や石材は近くの石清尾山の讃岐岩質安山岩や火道角礫 岩,瀬戸内沿岸の花崗岩類・片麻岩,豊島などに分布す る火山礫凝灰岩(豊島石)の他、愛媛県・徳島県に分布 する緑色片岩など遠方からも調達しています。 花崗岩類:最も多用されている岩石で、鶏林石,見返り 獅子,ぼたん石,掬月亭の手水鉢など固有の名前を持つ 名石もあり、 3) 石橋にも多く使われています。大石は 朝鮮産の鶏林石を除いて、ほとんどは瀬戸内海沿岸部 に分布する領家花崗岩類が利用されています。吹上付 近の水路などには花崗岩の玉石が使用されています。 片麻岩: 飛来峰や飛猿巌の石組などに使われていますが、 数は多くありません。瀬戸内海沿岸の領家変成岩類と 思われますが、産地は不詳です。 讃岐岩質安山岩: 景石や飛石などに使われている板状節 理の発達した讃岐岩質安山岩は、紫雲山,浄願寺山,石 清尾山から運ばれたと考えられます。また、石清尾山 付近の火道角礫岩は、ゴツゴツとした荒々しい景観を 演出するため飛猿厳などで使われています。 火山礫凝灰岩:豊島石と呼ばれる暗灰色の火山礫凝灰岩 は軟らかく加工が容易なため、石燈籠,井筒などに使わ れ、火に強いことから掬月亭の敷石、滑りにくいことか ら石段にも利用されています。 砂岩:潺湲池の玉石には香東川旧河道にあった和泉層群 の砂岩亜円礫が使われています。 片岩類:阿波の青石,伊予の青石と呼ばれる緑色片岩が、 沓脱石や飛び石,石橋,敷石などに使われています。 [作成] 香川大学工学部安全システム建設工学科 長谷川研究室 (長谷川修一,鶴田聖子) 【平成 24 年 3 月 3 日発行】 香川県高松市林町 2217-20 TEL:087-864-2155,URL:http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~hasegawa/ * 資料の作成に当たり、平成 23 年度香川大学地域貢献推進経費を使用しました。 * この地図は国土地理院の承認を得て、同院発行の数値地図 25000(地図画像)を複製したものである。(承認番号 平 23 四複、第 57 号) 参考文献: 1)ウィキペティア栗林公園: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E6%9E%97%E5%85%AC%E5%9C%92 2)高松市文化財課ホームページ:http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/6116.html 3)尼崎博正:庭石と水の由来-日本庭園の石質と水系,昭和社,2002. 4)長谷川修一,斉藤実:讃岐平野の生いたち-第一瀬戸内累層群以降を中心に-,アーバンクボタ No.28, pp.52-59,1989. 5)栗林公園内案内板 6)栗林公園ホームページ:http://ritsuringarden.jp/jp/%e8%a6%8b%e3%81%a9%e3%81%93%e3%82%8d/ 讃岐ジオサイト(8) 公園 図 1 峰山の地質平面図(凡例は図2を参照) (基図は国土地理院数値地図 25000「徳島」を使用, 地質図は長谷川,斎藤(1989) 4) に基づき作成) A A’ 【栗林公園(Tel:087-833-7411)】 開園日:年中無休 開園時間:日の出,日没に併せて変わります。 入園料:大人400円,小人 170円 紫雲山 南湖 北湖 WC WC WC WC WC WC 西湖 芙蓉沼 群鴨池 花しょうぶ WC WC WC (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (17) (18) (19) (20) (22) (23) (25) (24) (26) (27) (28) (31) (32) (30) (29) (16) (21) 図3 栗林公園石巡案内図 旧日暮亭 日暮亭 商工奨励館 掬月亭 北梅林 潺湲池 小松亭 飛猿厳 飛来峰 吹上亭 吹上 楓岸 小普陀 鹿鳴原 赤壁 桶樋滝 皐月亭 南梅林 百花園跡 茶園 涵翠池 鳳尾塢 青渓 會仙巌 芙蓉峰 花園亭 讃岐民芸館 東門 北門 永代橋 栗林公園碑 紫明亭 楓嶋 天女嶋 冬島 多聞島 瞰鴨閣 (33) 駐車場 図2 A-A’地質断面図 石清尾山 紫雲山 A A’ 赤壁 栗林公園

讃岐ジオサイト(8) 栗林公園 - Kagawa Uhasegawa/geositePDF/8...讃岐ジオサイト(8) 栗林公園 図1 峰山の地質平面図(凡例は図2を参照) (基図は国土地理院数値地図25000「徳島」を使用,

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  • 1.香東川の旧河道を利用した大名庭園 栗林(りつりん)公園は、生駒氏高松藩主生駒高俊公の別邸を礎に、水戸松平氏高松藩初代藩主松平頼重公か

    ら約 100 年にわたって作られた大名庭園で、紫雲山を借景に 6 つの池と 13 の築山で構成されています 1)。南庭は江戸時代初期から中期に見られる回遊式大名庭園 2)で、花崗岩や讃岐岩質安山岩の石組の他、名石,奇石が取り入れられています。北庭は元禄年間(1688-1704 年)に造園された鴨場を、明治末から大正初期にかけて整備改修されたものです 2)。栗林公園は昭和 28 年(1953 年)に国指定の特別名勝に指定されました。

    讃岐山脈を源流とする香東川は、紫雲山山裾である現栗林公園付近を通り高松城西側の河口に流下していましたが、度重なる水害のため、1637 年頃には香東川は西嶋八兵衛によって現河道に統合されました 1)。栗林公園はかつての香東川旧河道を流れる伏流水を利用した庭園なのです。このため園内には、香東川旧河道堆積物である和泉層群の砂岩亜円礫が至るところにあります。また、香東川が紫雲山を侵食して露出した讃岐岩質安山岩は赤壁(石壁:せきへき)の名がつけられています(図2)。 紫雲山は、讃岐岩質安山岩が貫入した火山岩頸で、この東斜面は石清尾山の西斜面と比較して急傾斜です。こ

    の急斜面は、香東川による侵食によって形成されました。栗林公園が紫雲山を借景に使うことができるのは、香東川のおかげなのです。

    2.栗林公園の庭石 栗林公園は複数の石を組み合わせた石組,踏面が平

    らな石を用いた飛石,飛石と建物を結ぶ沓脱(くつぬぎ)石,護岸の石積などがある石の名園でもあります。庭石や石材は近くの石清尾山の讃岐岩質安山岩や火道角礫岩,瀬戸内沿岸の花崗岩類・片麻岩,豊島などに分布する火山礫凝灰岩(豊島石)の他、愛媛県・徳島県に分布する緑色片岩など遠方からも調達しています。 花崗岩類:最も多用されている岩石で、鶏林石,見返り獅子,ぼたん石,掬月亭の手水鉢など固有の名前を持つ名石もあり、3)石橋にも多く使われています。大石は朝鮮産の鶏林石を除いて、ほとんどは瀬戸内海沿岸部に分布する領家花崗岩類が利用されています。吹上付近の水路などには花崗岩の玉石が使用されています。

    片麻岩:飛来峰や飛猿巌の石組などに使われていますが、数は多くありません。瀬戸内海沿岸の領家変成岩類と思われますが、産地は不詳です。

    讃岐岩質安山岩:景石や飛石などに使われている板状節理の発達した讃岐岩質安山岩は、紫雲山,浄願寺山,石清尾山から運ばれたと考えられます。また、石清尾山付近の火道角礫岩は、ゴツゴツとした荒々しい景観を演出するため飛猿厳などで使われています。

    火山礫凝灰岩:豊島石と呼ばれる暗灰色の火山礫凝灰岩は軟らかく加工が容易なため、石燈籠,井筒などに使われ、火に強いことから掬月亭の敷石、滑りにくいことから石段にも利用されています。

    砂岩:潺湲池の玉石には香東川旧河道にあった和泉層群の砂岩亜円礫が使われています。

    片岩類:阿波の青石,伊予の青石と呼ばれる緑色片岩が、沓脱石や飛び石,石橋,敷石などに使われています。

    [作成] 香川大学工学部安全システム建設工学科 長谷川研究室 (長谷川修一,鶴田聖子) 【平成 24 年 3月 3 日発行】

    香川県高松市林町 2217-20 TEL:087-864-2155,URL:http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~hasegawa/

    * 資料の作成に当たり、平成 23 年度香川大学地域貢献推進経費を使用しました。

    * この地図は国土地理院の承認を得て、同院発行の数値地図 25000(地図画像)を複製したものである。(承認番号 平 23 四複、第 57 号)

    参考文献:

    1)ウィキペティア栗林公園: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E6%9E%97%E5%85%AC%E5%9C%92 2)高松市文化財課ホームページ:http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/6116.html

    3)尼崎博正:庭石と水の由来-日本庭園の石質と水系,昭和社,2002.

    4)長谷川修一,斉藤実:讃岐平野の生いたち-第一瀬戸内累層群以降を中心に-,アーバンクボタ No.28, pp.52-59,1989.

    5)栗林公園内案内板

    6)栗林公園ホームページ:http://ritsuringarden.jp/jp/%e8%a6%8b%e3%81%a9%e3%81%93%e3%82%8d/

    讃岐ジオサイト(8) 栗林公園

    図 1 峰山の地質平面図(凡例は図2を参照) (基図は国土地理院数値地図 25000「徳島」を使用,

    地質図は長谷川,斎藤(1989)4)に基づき作成)

    A A’

    香東川の旧河道

    【栗林公園(T

    el:087-833-7411)

    開園日:年

    中無休

    開園時間:日

    の出,日

    没に併せて変わります。

    入園料:大

    人400円

    ,小人

    170円

    紫雲

    南湖

    北湖

    WC

    WC

    WC

    WC

    WC

    WC

    西湖

    芙蓉

    群鴨

    花しょうぶ園

    WC

    WC

    WC

    (1)

    (2)

    (3)

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    (25)

    (24)

    (26)

    (27)

    (28)

    (31)

    (32)

    (30)

    (29)

    (16)

    (21)

    図3

    栗林

    公園

    石巡案

    内図

    旧日

    暮亭

    日暮亭

    商工

    奨励館

    掬月亭

    北梅林

    潺湲池

    小松

    飛猿

    飛来峰

    吹上亭

    吹上

    楓岸

    小普

    鹿鳴

    原赤

    桶樋

    皐月

    南梅

    百花

    園跡

    茶園

    涵翠

    池鳳尾

    青渓

    會仙巌

    芙蓉

    花園

    讃岐民

    芸館

    東門

    北門

    永代

    栗林

    公園

    紫明

    楓嶋

    天女

    冬島

    多聞島

    瞰鴨

    (33)

    駐車

    図2 A-A’地質断面図

    石清尾山 紫雲山 A A’赤壁

    栗林公園

  • ⑨上法軍寺断層低断層崖

    (7)日暮(ひぐらし)亭 茅葺き草庵型の日暮亭

    は明治 31 年(1898 年)に建てられた石州流の茶室です。中庭にある井桁は、豊島石の一枚岩をくり抜いて作られています。壁面にノミの跡があります。

    (28) 商工奨励館中庭 大禹謨(だいうぼ)の石

    碑は香東川河床にあった和泉層群砂岩の巨礫を利用しています。香東川の洪水の厳しさを後世に伝えています。中庭には由良石製の石燈籠もあります。

    (9)西隈(せいわい) 船着き場の石階段は、

    黒っぽい火山礫凝灰岩(豊島石)です。加工が容易でなおかつ滑りにくいという特徴があります。割れた石段の修復には讃岐岩質安山岩が使われています。

    (3)潺湲池(せんかんち) 護岸は讃岐岩質安山岩

    で、玉石(小石)は和泉層群の砂岩で構成されており、香東川の旧河道のようです。

    (1)栗林公園碑 明治 11 年(1878 年)落

    成の碑(山田梅村撰)の礎石は花崗岩(庵治石)製です。

    (4)石梁(せきりょう) 長さ 6mの花崗岩石材

    が 4 枚使われています。庵治石でしょうか。

    (5) 西潺湲池 (にしせんかんち)

    石段は火山礫凝灰岩(豊島石)でできていますが、一部讃岐岩質安山岩で置き換えられています。

    (6)西湖(せいこ)湖岸 花崗岩と和泉層群の砂岩の玉石をちりばめています。

    (8)會仙巌(かいせんがん) かつての石組は巨大で

    したが、石の一部が園外に流出して現在の形になりました 5)。石組は花崗岩,讃岐岩質安山岩を、玉石は砂岩,花崗岩を使っています。

    (11)旧日暮(ひぐらし)亭

    1750 年頃移築された茶室です。園内には豊島石製の石燈籠があります。飛石には緑色片岩,花崗岩,板状安山岩,豊島石,砂岩を使っています。

    (13)小普陀(しょうふだ) 花崗岩の石組のある築

    山は室町時代(1400 年頃)の手法とされています6)。

    (12)涵翠池(かんすいち) 池にある島の石組は結

    晶片岩,花崗岩などが使われています。

    (14)掬月(きくげつ)亭 掬月亭は江戸時代歴代

    の藩主が利用した茶室で、縁下の礎石には豊島石が使用されています。 豊島石の石燈籠、花崗岩、安山岩の石組、花崗岩、砂岩の玉石が特徴的です。

    (15)楓岸(ふうがん) 敷石は主に和泉層群砂

    岩が利用されています。

    (17)吹上(ふきあげ) 吹上にある深井戸から

    地下水を揚水して園内の池に供給しています 6)。ベニマダラという藻の付着により、玉石の表面は赤褐色になっています。玉石は旧香東川河床だったことを考えると、和泉層群の砂岩がふさわしいのですが、吹上付近では花崗岩の玉石が使われています。

    (18)鶏林石(けいりんせき)江戸時代には各藩の大

    名が築庭する際、藩主が互いに名木奇石などを送っていました。鶏林石は朝鮮産の花崗岩で、薩摩藩主島津公から送られたと伝えられています 5)。

    (21)南湖(なんこ) 古理兵衛九重塔からは石組のない楓嶋と讃岐岩質安山岩や花崗岩でできた石組のある天女嶋をみることができます。

    (23) 石橋1 3 枚の緑色片岩で構成された橋です。

    (24)石橋2 讃岐岩質安山岩の一

    枚岩です。

    (26)芙蓉峰(ふようほう) この築山は、形が似ていることから富士の別名「芙蓉」の名がついたとされ 6)、山頂には讃岐岩質安山岩の石組があります。芙蓉峰への石段は黒色のサヌカイトを使用しています。

    (27)商工奨励館前 明治32年 (1899年)に建てられた商工奨励館前には、花崗岩と讃岐岩質安山岩の景石があります。

    (31)多聞(たもん)島北西多聞島の北西部突端に

    は讃岐岩質安山岩質火道角礫岩を使用した石組が荒々しさを表しています。

    (32)瞰鴨閣(かんおうかく) 瞰鴨閣東側には花崗岩の石組があります。

    (29)永代(えいたい)橋 橋桁は花崗岩でできています。橋の群鴨池(ぐんおうち)側には花崗岩の陰陽石があり、陰石にはコアストーン(未風化の芯の部分)が抜けて穴があいた花崗岩が使われています。永代橋の芙蓉池側の池床では、讃岐岩質安山岩が早瀬の風情をかもし出しています。

    永代橋南東側の陽石

    永代橋北東側の陰石

    3.栗林公園 ジオサイト

    (2)松平頼壽(よりなが) 伯胸像

    松平伯胸像付近の地面には和泉層群砂岩礫が散らばっています。直径 5cmまでの亜円砂岩礫を主体としていることから、讃岐山脈から流下した香東川旧河道の堆積物であることがわかります。

    (16)巾子峰(きんしほう) 築山には和泉層群砂岩

    礫が散らばっています。この築山は池の築造によって掘り出された土砂を利用しており、公園が讃岐山脈から流下する香東川の旧河道であったことがわかります。

    (30)冬島 護岸は讃岐岩質安山岩を利用しています。

    (10)赤壁(せきへき) 西湖には赤壁(石壁)と

    呼ばれる讃岐岩質安山岩の柱状節理が露出しています。旧香東川による侵食によって現れた基盤岩を利用しています。溶岩の貫入を伴う高温酸化によって赤色となっています。

    (33)常磐橋 正門前の水路にかかっている常盤橋(ときわばし)は、玉藻城の外堀り(今の三越南側付近)にあった橋を移設したものです 2)。

    (20) 飛猿厳(ひえんがん)栗林公園園の中でもっ

    とも大きな石組で、江戸時代に発達した築城の手法を取入れています 5)。下方は片麻岩、上方は讃岐岩質安山岩質火道角礫岩で構成されています。

    下方の石組

    上方の石組

    火道角礫岩

    片麻岩

    (25) 講武榭(こうぶしゃ) 講武榭北東部には陰陽石があります。陰石は黒色の捕獲岩の入った花崗岩を、陽石は讃岐岩質安山岩を利用しています。

    (22)根上り五葉松 天保 4(1833)年徳川11 代将軍家斉公より拝領した盆栽だった 5)といわれる松の横には板状節理がある讃岐岩質安山岩の飛び石があります。

    芙蓉沼からの永代橋

    (19)飛来峰(ひらいほう) 飛来峰は富士山に似せ

    てつくったとされる築山です 6)。景石には片麻岩,花崗岩,砂岩,珪化木を使用しています。珪化木は讃岐層群産でしょうか。

    珪化木

    片麻岩

    花崗岩

    珪化木