5
研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築 13 1.はじめに 閉鎖性水域として代表的な本県の大村湾は、海水の 出入りが少なく、各種排水、山林や田畑からの流入水 に含まれるリン、窒素等が蓄積されやすい。そのため、 湾全体の富栄養化が進行し、赤潮や有害藻類の異常 発生などが深刻になっている。水産業や周辺県民への 影響は大きく、富栄養化を抑制するためにはリンの削 減が不可欠である 1), 2) 。このようなリン除去を目的とし た高度処理は一部の下水処理施設に導入されているだ けで、リンの大部分は未処理のまま放流されている。 本研究は、H17 18 年度に開発した水環境中のリン を吸着し、尚且つ吸着したリンを脱着することでリン資 源として回収可能な金属酸化物系リン吸着材 3), 4) の実用 化に向け、通水法による吸着材評価、吸着材の改良、 吸着材を活用した排水高度処理システムの開発を行う ことを目的とした。 2.実験方法 2 . 1 リン回収型排水高度処理システムの作製 本研究ではリン回収型排水高度処理システムとして、 メリーゴーランド方式を採用した。メリーゴーランド方 式とは、ろ材等を充填する複数の吸着塔、送液管、 送液ポンプ、各種の弁、原水槽等の貯留槽、制御装 置等により構成され(図1)、弁の制御により複数の吸 着塔のいずれかで排水中のリンを吸着除去する「リン 吸着工程」、吸着材に付着したリンを脱着する「リン脱 着工程」を切り替え、あたかもメリーゴーランドのよう に各工程を順繰りに制御する方式(図 2)である。 開発したリン吸着材(図 3)を充填する吸着塔として アクリルパイプ、送液管としてタイゴン製チューブ、送 液ポンプとしてデジタル定量ポンプ、弁は手動の3 方弁 を用いて実験室レベルの排水高度処理システムを作製 した。 2 . 2 模擬排水を用いた既開発リン吸着材の 通水法によるリン吸着性能評価 作製した排水高度処理システム(図4)を用いた既 開発リン吸着材 3), 4) の通水法によるリン吸着性能を評価 するために、小規模事業所排水のリン濃度を想定した 5 mg/L のリン酸二水素カリウム水溶液 KH2PO4 水溶液、 以下、模擬排水)を調製した。既開発リン吸着材(コ バルト系およびジルコニウム系)を吸着塔に約10 g 充 填し、流速0.5、1.0、2.0、3.0、5.0 mL/minで模擬排 水をワンパスで通水し、種々の時間に吸着材によって処 理された試験水をサンプリングした後、リン酸イオン濃 度をモリブデンブルー法によって測定することでリン吸 本研究では、H17 18 年度に開発した金属酸化物系リン吸着材の実用化を目的に、通水法による吸着材の能力 評価、吸着材の改良、吸着材を活用した排水高度処理システムの開発について検討した。製作した排水高度処理 システムに開発した吸着材を充填し、模擬排水を用いて通水法により吸着材のリン吸着能を評価した。コバルト系 およびジルコニウム系リン吸着材において空間速度10.4 h -1 以下の条件でリン除去率 80% 以上を達成し、その吸着 容量はコバルト系で1.1 mg-P/g 程度、ジルコニウム系で1.7 mg-P/g 程度であった。さらに表面にリンを吸着した状 態の吸着材に脱着液として0.1N-NaOH を循環式の通水法で接触させたところ、コバルト系で最大 80% 程度、ジル コニウム系で最大70% 程度のリンの脱着が認められた。 キーワード:オルトリン酸イオン、吸着脱リン、リン資源、富栄養化、排水処理 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築 ─経常研究─ 研究開発科 高松宏行・永石雅基

新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

研 究 報 告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度)

新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築 ■ 13

1.はじめに

 閉鎖性水域として代表的な本県の大村湾は、海水の

出入りが少なく、各種排水、山林や田畑からの流入水

に含まれるリン、窒素等が蓄積されやすい。そのため、

湾全体の富栄養化が進行し、赤潮や有害藻類の異常

発生などが深刻になっている。水産業や周辺県民への

影響は大きく、富栄養化を抑制するためにはリンの削

減が不可欠である1), 2)。このようなリン除去を目的とし

た高度処理は一部の下水処理施設に導入されているだ

けで、リンの大部分は未処理のまま放流されている。

 本研究は、H17~18年度に開発した水環境中のリン

を吸着し、尚且つ吸着したリンを脱着することでリン資

源として回収可能な金属酸化物系リン吸着材3), 4)の実用

化に向け、通水法による吸着材評価、吸着材の改良、

吸着材を活用した排水高度処理システムの開発を行う

ことを目的とした。

2.実験方法

 2 . 1 リン回収型排水高度処理システムの作製

 本研究ではリン回収型排水高度処理システムとして、

メリーゴーランド方式を採用した。メリーゴーランド方

式とは、ろ材等を充填する複数の吸着塔、送液管、

送液ポンプ、各種の弁、原水槽等の貯留槽、制御装

置等により構成され(図1)、弁の制御により複数の吸

着塔のいずれかで排水中のリンを吸着除去する「リン

吸着工程」、吸着材に付着したリンを脱着する「リン脱

着工程」を切り替え、あたかもメリーゴーランドのよう

に各工程を順繰りに制御する方式(図2)である。

 開発したリン吸着材(図3)を充填する吸着塔として

アクリルパイプ、送液管としてタイゴン製チューブ、送

液ポンプとしてデジタル定量ポンプ、弁は手動の3方弁

を用いて実験室レベルの排水高度処理システムを作製

した。

 2 . 2 模擬排水を用いた既開発リン吸着材の

    通水法によるリン吸着性能評価

 作製した排水高度処理システム(図4)を用いた既

開発リン吸着材3), 4)の通水法によるリン吸着性能を評価

するために、小規模事業所排水のリン濃度を想定した

5 mg/Lのリン酸二水素カリウム水溶液KH2PO4水溶液、

以下、模擬排水)を調製した。既開発リン吸着材(コ

バルト系およびジルコニウム系)を吸着塔に約10 g充

填し、流速0.5、1.0、2.0、3.0、5.0 mL/minで模擬排

水をワンパスで通水し、種々の時間に吸着材によって処

理された試験水をサンプリングした後、リン酸イオン濃

度をモリブデンブルー法によって測定することでリン吸

要  約

 本研究では、H17~18年度に開発した金属酸化物系リン吸着材の実用化を目的に、通水法による吸着材の能力

評価、吸着材の改良、吸着材を活用した排水高度処理システムの開発について検討した。製作した排水高度処理

システムに開発した吸着材を充填し、模擬排水を用いて通水法により吸着材のリン吸着能を評価した。コバルト系

およびジルコニウム系リン吸着材において空間速度10.4 h-1以下の条件でリン除去率80%以上を達成し、その吸着

容量はコバルト系で1.1 mg-P/g程度、ジルコニウム系で1.7 mg-P/g程度であった。さらに表面にリンを吸着した状

態の吸着材に脱着液として0.1N-NaOHを循環式の通水法で接触させたところ、コバルト系で最大80%程度、ジル

コニウム系で最大70%程度のリンの脱着が認められた。

キーワード:オルトリン酸イオン、吸着脱リン、リン資源、富栄養化、排水処理

新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

─経常研究─

研究開発科 高松宏行・永石雅基

Page 2: 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

研 究 報 告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度)

14 ■ 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

 着能を評価した。なお、リン吸着能の評価では、リ

ン除去率80%以下となった時点で吸着材のリン吸着限

界とした。

 2 . 3 既開発リン吸着材の通水法によるリン

    脱着性能評価

 リン吸着材のリン脱着性能は、吸着材表面に種々の

吸着量でリンが付着した状態の吸着材10 gを用い、

0.1N-NaOH水溶液(以下、脱着液)420 mLを流速

5.0 mL/minの条件で循環通水し、種々の時間で脱着

液をサンプリングした後、リン酸イオン濃度をモリブデ

ンブルー法によって測定することで評価した。

 ここで吸着試験では通水式、脱着試験では循環通

水式としたのは、本技術の実用化を想定し、吸着工程

では排水をワンパスで処理して放流する必要があるこ

と、脱着工程ではワンパスの通水法を採用すると脱着

液貯留槽と脱着液受け槽の2基が必要になるが、循環

通水式とすることで脱着貯留槽と脱着液受け槽を兼用

できるため、システムのコンパクト化および低コスト化

が期待されるためである。

 2 . 4 リン吸着材の改良

 既開発リン吸着材と同様のプロセス3), 4)でマクロ形状

および比表面積の異なる多孔質基材を用いたもの、担

持する金属酸化物を変えたものなど十数種類の改良吸

着材を作製した。

 2 . 5 実排水等を用いたリン吸着材のリン

    吸着性能評価

 既開発リン吸着材3), 4)および改良吸着材について、

吸着材重量に対し100倍量のリン濃度が約5 mg/Lの

活魚水槽中の海水およびリン濃度が約25 mg/Lの畜産

排水を接触させることで回分法によるリン吸着試験を実

施した。ここで、リン吸着試験に供した海水は、メジ

ナ等の魚類およびマガキガイ等の貝類を飼育している

富栄養化が進行した活魚水槽より採取したものであり、

オルトリン酸イオン以外の様々なイオンが溶存した複雑

系の試験水、畜産排水は、豚の屎尿であり、高濃度

のオルトリン酸イオンの他、様々なイオン種や浮遊物

質(SS成分)の入り混じった複雑系の試験水である。

図1 メリーゴーランドシステムの概念

図2 メリーゴーランド法によるリン吸脱着工程

   の切替え

図3 リン吸着材の外観

図4 排水高度処理システムの外観

(a)コバルト系     (b)ジルコニウム系

Page 3: 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

研 究 報 告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度)

新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築 ■ 15

3.結果及び考察

 3 . 1 既開発リン吸着材の通水法によるリン

    吸着性能

 コバルト系リン吸着材の通水法によるリン吸着試験

結果を図5に示す。図5はリン酸イオン濃度の減少をリ

ン除去率に換算したものである。また、模擬排水の流

速と吸着材の充填体積より空間速度(SV)を算出した

ところ、各流速0.5、1.0、2.0、3.0、5.0 mL/minに対

応するSVは2.6、5.2、10.4、15.6、26.2 h-1であった。

図5よりSV 10.4 h-1以下で目標とするリン除去率80%

以上となる状況が10h以上持続する結果となった。リ

ン除去率80%を長期間維持したSV 2.6 h-1の結果より

リン除去率80%以下となった時点で吸着材のリン吸着

限界としてリン吸着容量を算出したところ1.1 mg-P/gで

あった。回分法(バッチ法)によるリン吸着容量は2.3

mg-P/g4)であったのに対し、通水法では1.1 mg-P/gと

50%以下の吸着容量であった。これは、回分法と比較

して通水法では吸着材への模擬排水の接触時間が極端

に短いためであると考えられる。

 次にジルコニウム系リン吸着材の通水法によるリン吸

着試験結果を図6に示す。図6よりコバルト系と同様、

SV 10.4 h-1以下で目標とするリン除去率80%以上とな

る状況が10h以上持続する結果となった。ただし、ジ

ルコニウム系では、模擬排水通水直後は充分なリン除

去率が得られず、充分なリン吸着能が発現するまでに

時間を要する傾向が認められた。リン除去率80%を長

期間維持したSV 2.6 h-1の結果よりコバルト系同様リン

吸着容量を算出したところ1.7 mg-P/gであった。

図6 ジルコニウム系リン吸着材の通水法に

   よるリン吸着試験結果

図8 ジルコニウム系リン吸着材のリン脱着液

   循環通水法によるリン脱着試験結果

図5 コバルト系リン吸着材の通水法による

   リン吸着試験結果

図7 コバルト系リン吸着材のリン脱着液循環

   通水法によるリン脱着試験結果

Page 4: 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

研 究 報 告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度)

16 ■ 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

回 分 法(バッ チ 法)に よるリン 吸 着 容 量 は6.9

mg-P/g4)であったのに対し、通水法では1.7 mg-P/gと

25%以下の吸着容量であった。これもコバルト系同様、

吸着材への模擬排水の接触時間の違いによるものと考

えられる。

 3 . 2 既開発リン吸着材の循環通水法による

    リン脱着性能

 コバルト系リン吸着材のリン脱着液循環通水法によ

るリン脱着試験結果を図7に示す。図7は吸着材表面

に吸着されたリンの量が異なるサンプルについて、そ

の脱着傾向をプロットしたものであり、リン酸イオン濃

度の増加はリン脱着率に換算している。図7より吸着材

表面に吸着されていたリンの量によってリン脱着率の値

に変動はあるものの、リン脱着率は脱着液循環後2~4hで最大80%程度となることがわかった。また、脱

着液循環時間によってもリン脱着率の変動がみられた。

これはリン濃度を測定するための脱着液のサンプリング

を吸着塔の出口で行っているために脱着液循環の初期

段階では脱着したリンが脱着液中に平均化されていな

い状態のサンプル液を測定したことでリン濃度の値が

極端にばらついたが、循環時間の増加に伴い脱着液中

のリンが均一化され、平衡状態に達したため、循環

24h後ではリン濃度の値のばらつきが低減したものと考

えられる。

 次にジルコニウム系リン吸着材のリン脱着液循環通

水法によるリン脱着試験結果を図8に示す。図8より

コバルト系同様吸着材表面に吸着していたリンの量に

よってリン脱着率の値に変動はあるものの、リン脱着

率は脱着液循環後2~4hで最大70%程度となることが

わかった。また、ジルコニウム系についてもコバルト系

と同様リン脱着率の変動がみられた。

 3 . 3 実排水等からのリン吸着性能

  既開発のコバルト系吸着材ならびに改良吸着材の

一例としてインジウム系およびコバルト系多孔質基材違

いの吸着材(図9)について海水を用いて実施したリ

ン吸着試験の結果を図10に示す。図10より、吸着材

の試験水への接触後6hで60~70%程度、接触後24h

で90%程度のリン除去率を示し、その値は改良材で

概ね高い傾向が認められた。特に、コバルト系多孔質

基材違いの吸着材で高いリン除去率を示したが、これ

は基材の粒径が小さく比表面積が大きいため、海水と

の接触効率が向上したことによるものと推察される。 図11 畜産排水を用いたリン吸着試験結果

図10 海水を用いたリン吸着試験結果

図9 改良リン吸着材の一例

(a)インジウム系   (b)コバルト系基材違い

 さらに、既開発のコバルト系、ジルコニウム系リン

吸着材について畜産排水を用いて実施したリン吸着試

験の結果を図11に示す。

Page 5: 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システム …...研究報告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度) 14 新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築

研 究 報 告 長崎県窯業技術センター研究報告(平成20年度)

新規なリン吸着材を活用した排水高度処理システムの構築 ■ 17

図11より、吸着材の畜産排水への接触後6hで30%程

度、接触後24hで75%程度、接触後30hで80%程度

のリン除去率を示し、その値はコバルト系吸着材で概

ね高い傾向が認められた。

 以上より、模擬排水のみならず、様々なイオン種や

SS成分が含まれる海水や畜産排水から、リン濃度が低

い場合でも高い場合でもリンを吸着除去することが可

能であることが明らかとなった。

4.まとめ

 リン回収型排水高度処理システムの骨子を作製し、

開発したリン吸着材のリン吸脱着性能評価を実施し、

以下の知見を得た。

(1)通水法によるコバルト系吸着材のリン吸着能試験

より、SV 10.4 h-1以下で目標とするリン除去率80%以

上となる状況が10h以上持続し、SV 2.6 h-1の条件下に

おいてリン吸着容量を算出したところ1.1 mg-P/gであっ

た。

(2)通水法によるジルコニウム系吸着材のリン吸着能試

験より、SV 10.4 h-1以下で目標とするリン除去率80%

以上となる状況が10h以上持続し、SV 2.6 h-1の条件下

においてリン吸着容量を算出したところ1.7 mg-P/gで

あった。

(3)回分法と比較して通水法では少ないリン吸着容量

を示したが、これは回分法と比較して通水法では吸着

材への模擬排水の接触時間が極端に短いためであると

考えられた。

(4)循環通水法によるコバルト系吸着材のリン脱着能

試験より、吸着材表面に吸着していたリンの量によって

リン脱着率の値に変動はあるものの、リン脱着率は脱

着液循環後2~4hで最大80%程度となることがわかっ

た。

(5)循環通水法によるジルコニウム系吸着材のリン脱着

能試験より、吸着材表面に吸着していたリンの量によっ

てリン脱着率の値に変動はあるものの、リン脱着率は

脱着液循環後2~4hで最大70%程度となることがわ

かった。

(6)既開発のコバルト系吸着材ならびに改良吸着材に

ついて海水を用いたリン吸着試験を実施し、吸着材の

海水への接触後24hで90%程度のリンを除去可能であ

ることがわかった。

(7)海水を用いたリン吸着試験で、改良吸着材で概ね

高いリン除去率を示したが、これは基材の粒径が小さ

く比表面積が大きいため、海水との接触効率が向上し

たためと推察された。

(8)既開発のコバルト系、ジルコニウム系リン吸着材に

ついて畜産排水を用いたリン吸着試験を実施し、吸着

材の畜産排水への接触後24hで90%程度のリンを除去

可能であることがわかった。

(9)海水や畜産排水からもリンを吸着除去することが

可能であることが確認されたことから、各種排水や淡

水・海水を選ばず富栄養化した環境水より余剰のリン

を除去し、富栄養化問題を改善するだけでなく、除去

したリンを資源として回収・利活用するための技術とし

て応用展開が期待できる。

文  献

1)稲森悠平、藤本尚志、須藤隆一、用水と廃水、

  35、pp. 19-26 (1993).

2)稲森悠平、野田尚宏、須藤隆一、資源環境対策、

  37、pp. 141-146 (2001).

3)高松宏行、阿部久雄、平成17年度長崎県窯業技

  術センター研究報告、pp. 46-49 (2005).

4)高松宏行、阿部久雄、平成18年度長崎県窯業技

  術センター研究報告、pp. 6-11 (2006).