Upload
others
View
2
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
平成28年2月2日(火)教職高度化プログラム(中等教科開発プログラム)平成27年度「アクションリサーチⅡ」発表会
思考力・判断力・表現力を育成する
中学校社会科歴史学習の地域教材開発
教員(附属三原中学校) 柳生大輔教諭
指導教員(大学) 小原友行教授
スーパーバイザー(大学) 草原和博教授
科学文化教育学専攻社会認識教育学専修M150850 斉藤弘樹
発表構成
はじめにARⅡの概要1.問題の所在2.授業構成(1)仮説(2)実践
3.リーフレット4.検証5.成果と課題参考資料・文献
4人班によるグループ活動で意見交換
はじめに
本研究の目的は,中学校社会科の授業において,思考力・判断力・表現力を育成するためには地域教材をどのように開発し,授業構成を組み立てるか考察することである。
本発表では,ARⅠの課題をふまえ,中学校社会科歴史的分野において,思考力・判断力・表現力を育成するためには地域教材を活用した歴史学習はどのような授業構成になるのかというARⅡを仮説,実践,検証を報告し,研究結果と今後の課題を示すことである。
ARⅡの概要
○ARⅡ実習校
広島大学附属三原中学校
○ARⅡクラス・生徒数
中学2年生:8年2組36名
○ARⅡ期間
12月8日(火)~1月15日(金)の10日間
6時間の授業
○現在,歴史的分野は江戸時代後期まで学習。
今回の内容はまだ既習事項ではない。
広島大学附属三原中学校
「歴史とは何か?」➡「なぜ,歴史を学ぶのか?」
1.問題の所在
エドワード・ハレット・カー(英)『歴史とは何か』(清水幾太郎訳,岩波新書,1962年)
「歴史とは,現在と過去との絶え間ない対話である」
現在は過去によって成り立ち,過去を知ることによって未来の展望を語る「なぜ」から「どこへ」
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
・現代社会の課題や将来について考えるとき,歴史をふまえて考えることは大変重要である。・教師は教科書に載っているから教えるのではなく,そこから生徒に何を学んで欲しいか➡思考力・判断力・表現力の育成・主権者教育の充実には:地域を知り,愛着をもつ重要性
地域の魅力・課題・将来について考える➡地域教材の開発
中学校社会科歴史学習
1.問題の所在
(4)身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め,様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
中学校学習指導要領社会 歴史的分野 1 目標
中学校学習指導要領社会 歴史的分野 3 内容の取扱い(1)
イ 歴史的事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究したり,意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うとともに,学習内容の確かな理解と定着を図ること。
エ 歴史的事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
1.問題の所在「思考力・判断力・表現力」とは
小原友行 編著『思考力・判断力・表現力をつける社会科授業デザイン中学校編』
社会科が求める「思考力・判断力・表現力」とは,既に習得している基礎的な知識・概念・技能を活用して,社会的事象や問題に対する「どのように,どのような」「なぜ,どうして」「どうしたらよいか」などの解決策がより望ましいのか」という問いに答えていく力。
「思考力・判断力・表現力」を育成する授業デザイン
小原友行・児玉康弘 編著『思考力・判断力・表現力をつける中学歴史授業モデル』
①理解型 ②説明型 ③問題解決型
④意思決定型 ⑤社会形成型 ⑥社会参加型
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
ARⅡの実践
【ARⅠ「小早川隆景と三原」の課題から】
①評価の課題歴史新聞ではグループにおける活動のため,評価において個人の変容を見ることができなかった。②本来の目的と離れた指導の課題歴史新聞は思考力・判断力・表現力を育成するための方法・手段であるが,教師は生徒と同じで完成させることが目的になっていた。③教材の準備・作成の負担歴史新聞の取材は多くの資料を読むことである。教師が資料を多く提供し,そこから読ませ,取捨選択をさせて記事を書かせた。その資料の準備・作成に相当の時間がかかった。④調べ学習の課題生徒の一部には,自分で準備をした資料を持参し,新聞作成に取り組んでいた。その資料はインターネットや観光ガイドブックであった。
1.問題の所在問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
ARⅡの実践
ARⅡ 単元
「私たちが考える将来の三原」について提案しようー近現代の三原の歴史をふまえてー」 ➡リーフレット作成
【ARⅠの課題から】①評価の課題➡評価規準を明確にし,個人のワークシートの記入とリーフレットから個人の変容を分析・検証していく。②本来の目的と離れた指導の課題➡リーフレットは思考力・判断力・表現力を育成するための方法・手段であると目的を意識しての指導。完成させることは授業外で行う。③教材の準備・作成の負担➡地域の課題を視点とした新聞記事を資料として活用することで負担を減らし,生徒のワークシートのコメントなどに力を入れることによって思考力・判断力・表現力の育成に関わっていく。④調べ学習の課題➡リーフレット作成に向けて自製リーフレットを参考とさせ,仮説を立て,それを調べるように個別指導をした。
1.問題の所在問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
1.問題の所在
思考力・判断力・表現力を育成するために,歴史的事象を公正に判断し,既習事項と関連づける中で,考えや理解を深め
させていくことが必要だと考える。
リサーチ・クエスチョン
問題の確定
中学校社会科歴史学習において,思考力・判断力・表現力を育成するためには地域教材を活用した授業をどのように構成すればよいか?
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
2.授業構成 (1)仮説仮説1
地域の発展に貢献し,地域の課題が見えてくる地域教材を「中央」と「地方」のつながりの視点から根拠として取り上げることによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
仮説2
地域教材から発見した「なぜ,どうして」「どうしたらよいか」の思考・判断型の問いを主体的に研究するような学習過程を組織することによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
仮説3
思考・判断した学習成果に基づいて新たな地域の将来を提案する学習活動を取り入れることによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
AR実習Ⅱの授業日程単元名「私たちが考える将来の三原」について提案しようー近現代の三原をふまえてー
2.授業構成 (2)実践問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
学習内容 8年2組1時間目歴史をふまえて三原の魅力と課題について考えよう~明治・大正~
12月9日(水)5時間目
2時間目日本と三原の近代の産業から歴史を探ろう①~昭和戦前~
12月11日(金)1時間目
3時間目日本と三原の近代の産業から歴史を探ろう②~昭和戦後~
12月18日(金)1時間目
4時間目日本と三原の現代の産業から歴史を探ろう~現代~
12月21日(月)1時間目
5時間目歴史をふまえて将来の三原について提案しよう①
1月13日(水)3時間目
6時間目歴史をふまえて将来の三原について提案しよう②
1月15日(金)1時間目
2.授業構成 (2)実践問題の所在 ARⅠの課題 ARⅡの検証 ARⅡの成果と課題ARⅡのRQと仮説 ARⅡの実践
1時間目:歴史をふまえて三原の魅力と課題について考えよう~明治・大正~
○中国新聞ヤングスポット「笑顔あふれる三原に」を読んで記入する。
・三原の魅力は何か?
・三原の課題は何か?
・あなたは「笑顔あふれる三原に」するため
にはどうすればよいと思うか?
○「瀬戸内三原築城450年事業」に向けた
取組を新聞記事から知る。
・現在,どのような取組が行われているか?
2.授業構成 (2)実践1時間目:歴史をふまえて三原の魅力と課題について考えよう~明治・大正~
○明治〜大正時代の三原を理解する。
・明治維新で三原城はどうなったのか?
・なぜ,1894年,三原城に山陽鉄道が開通したのか?
明治新政府の参議大隈重信は三原城を海軍鎮守府の候補とした➡結果:呉は鎮守府となり,軍港として発展
日清戦争が直前にせまってきたため,広島大本営を広島に設置するには広島までの鉄道を敷くことが急務である。そのため,三原城本丸を東西を縦に分断して線路を敷いた。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
日清戦争:広島大本営 川沿いに線路は敷かれた
大隈重信
2.授業構成 (2)実践2時間目:日本と三原の近代の産業から歴史を探ろう①~昭和戦前~
○年表から三原の歴史を見ると,日本の近代の産業の歴史と重なるところが多いことに気づかせる。昭 和 時 代(戦前)
1927 金融恐慌⇒昭和恐慌1931 重要産業統制法,
満州事変1932 「満州国」建国満蒙開拓団(満州移民)が増える1934 帝人事件1937 日中戦争はじまる1938 国家総動員法1941 太平洋戦争はじまる
1945 広島・長崎に原爆投下,終戦
1929 大久野島に毒ガス製造
1932 帝国人造絹糸三原工場の決定(1934開業)
1935 三呉線(呉線:三原‐呉)開通1936 三原市誕生(御調郡糸崎町・山中村・
西野村・豊田郡田野浦村・須波村と合併)
1943 三菱重工業三原製作所の開業
・当時,帝人や三菱重工業はどのような大企業だったのか?
帝人はレーヨンなど繊維をおもに製造,三菱重工業は造船,重機,鉄道車両などをおもに製造していた。➡戦争協力企業:戦前の三菱 社是「三菱は国家なり」
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
2.授業構成 (2)実践2時間目:日本と三原の近代の産業から歴史を探ろう①~昭和戦前~
・なぜ,昭和初期の三原に帝人や三菱重工業など大企業が進出したのか?
帝人は,町が全額負担で三原駅から工場までの道路(帝人通り)を建設してくれることと,用水優先権を確保してくれることになったから。三菱重工業は,駅や港があり,広大な土地があったから。
・当時の三原の人々は大企業の進出をどのように考えていたか?・三原に大企業が進出した結果,どのような影響があったか?
・当時1万人の人口が3万人に増え,三原市になった。・働く場所が増えたため,満蒙開拓団の移民が非常に少ない。・大久野島の毒ガス製造に携わったため,健康被害が大きい。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
2.授業構成 (2)実践3時間目:日本と三原の近代の産業から歴史を探ろう②~昭和戦後~
○年表から三原の歴史を見ると,戦後日本の産業の歴史と重なるところが多いことに気づかせる。
・戦後日本の近代化の産業はどのように成長,変化していくのか?・なぜ,昭和天皇は三原に巡幸したのか?・なぜ,高度経済成長期の三原は「企業城下町」とよばれたのか?
おもな企業城下町の紹介:豊田市・府中町・日立市など
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
昭和天皇の三原巡幸は帝人・三菱重工業の視察であった。
2.授業構成 (2)実践4時間目:日本と三原の現代の産業から歴史を探ろう~現代~
○現代,日本の近代化の産業はどのように変化したのかを考える。
・現在,三原の交通網はどうなっているか?
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
三原
空港
高速道路
港
駅
2.授業構成 (2)実践4時間目:日本と三原の現代の産業から歴史を探ろう~現代~
○現代,日本の近代化の産業はどのように変化したのかを考える。
・現在,三原の交通網はどうなっているか?
・現在,帝人や三菱重工業などの大企業はどのような事業をしているのか?
現在は工場縮小となっており,新しい製品の開発にあたっている。
三原にある帝人は,三原工場はサッカーのスパイクなどを製造し,三菱重工業はアストラムラインや市電の車両を製造している。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
三菱重工業和田工場では鉄道・印刷,帝人はサッカースパイクを製造
2.授業構成 (2)実践5時間目:歴史をふまえて将来の三原について提案しよう①
三原城
大企業山陽鉄道
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
やっさ祭り
2.授業構成 (2)実践5時間目:歴史をふまえて将来の三原について提案しよう①
○新聞記事から三原の魅力と課題を深める➡三原担当の中国新聞記者にインタビューした映像を見る。
○歴史をふまえて将来の三原について提案する。・三原の魅力は何か?・三原の課題は何か?・三原の課題を解決するためにはどうすればよいと思うか?
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
2.授業構成 (2)実践5時間目:歴史をふまえて将来の三原について提案しよう①
○作成したリーフレットを4人班グループで発表し,意見交換をする。
自分のリーフレットを読み直し,グループで提案できるようにしよう。(2分)
グループ(2分)
・リーフレットの気付きを付箋に書いて発表者に渡そう・発表を聴いて意見を言おう
発表意見交換(3分)
ワークシートに自分の提案を書こう。
意思決定「どうしたらよいか」
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
2.授業構成 (2)実践
○昨年登録された世界遺産「明治日本の産業革命遺産」について理解する。
○三原の近代化遺産
宗郷谷:神武鉱山
・日露戦争期は年187トン・高度経済成長期
1964年 落盤事故で閉山
➡現在は遊歩道
○リーフレットの評価について説明する。
○「三原市総合戦略」から三原市の現状と課題を理解する。
○将来の三原について,パブリックコメントで提案する。
6時間目:歴史をふまえて将来の三原について提案しよう②
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
3.リーフレットリーフレットの作成の流れ
1時間目:リーフレットの作成と過程について説明する。2時間目:リーフレットのテーマを決める。
観光・鉄道・企業から1つ選ぶ3時間目:リーフレットの仮説を考える。4時間目:リーフレットを仮説に基づいて作成する。5時間目:リーフレットをグループで発表し,意見交換をする。6時間目:リーフレットを発信する。
パブリックコメントで提案する。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
自製のリーフレット「尾道の鉄道」を参考にさせる。
3.リーフレットリーフレットの評価方法
評価 評価規準
A
よくできている
・三原の近現代の歴史をふまえて,問いを発見し,思考・判断を深くしている。
・三原の課題や将来に対して,根拠を示して具体的に思考・判断したことを表現している。
Bよい
・三原の近現代の歴史をふまえて,問いを発見し,思考・判断をしている。
・三原の課題や将来に対して,思考・判断したことを表現している。
C
改善が必要
・三原の近現代の歴史をふまえず,思考・判断できていない。
・三原の課題や将来に対して,十分に思考・判断しないで,感じたことを書いている。
評価方法(ルーブリック)
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
3.リーフレットリーフレットの作成
1.尾道鉄道の歴史 なぜ,尾道鉄道は高度経済成長期に廃止されたのか?2.山陽新幹線「新尾道駅」開業 なぜ,山陽本線「尾道駅」と山陽新幹線「新尾道駅」は
隣接していないのか?3.現代の課題・将来に向けての提案 「新尾道駅」は将来に向けてどうしたらよいのか?
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
3.リーフレットリーフレットの評価:A評価の事例
○テーマ「企業城下町~企業を通してみる三原~○目次 参考文献○三原の年表(近現代)地図を入れるなど工夫。
パソコンで作成し,色を入れて見やすくしている。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
3.リーフレットリーフレットの評価:A評価の事例
1.1930年代頃の三原 なぜ,三原の人口は1930年代に,増加していったのか?2.1980~1990年代頃の三原 なぜ,三原の人口は1980~1990年代に,減少していったのか?3.これからの三原 三原を再び活気ある町にするには,どうすれば良いのか?
A評価の事例三原の人口は大企業と関係があることに気づき,調査したことを自分の意見を述べている。その際,歴史をふまえている。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
4.検証仮説1
検証1
地域の発展に貢献し,地域の課題が見えてくる地域教材を「中央」と「地方」のつながりの視点から根拠として取り上げることによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
・生徒の記入したワークシートから,三原の歴史は日本の近現代の産業の歴史と重なることに気付かせることができた。また,三原城,山陽鉄道,帝人・三菱重工業の大企業などの近代化遺産は互いに結びついており,戦争と関係があることを理解させることはできた。三原は「城下町」から「企業城下町」として変化したことをふまえ,現在の三原の課題について概ね理解させることはできた。以上のことから仮説1は検証できた。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
仮説2
検証2
地域教材から発見した「なぜ,どうして」「どうすればよいか」の思考・判断型の問いを主体的に研究するような学習過程を組織することによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
生徒の記入したワークシートから,「三原の魅力と課題,どうすればよいか」の意見において, 1回目の授業は浅かった意見であったが,思考・判断型の問いとリーフレット作成によって,5回目の授業は具体的な課題をもった意見が多くなった。同じ問いにおいて生徒の思考・判断に大きな変容が見られたから仮説2は有効であったと検証できた。
4.検証
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
4.検証ワークシートの評価方法
評価 評価規準
A
よくできている
三原の魅力や課題,課題を解決するためにはどうしたらよいかについて,深く思考・判断し,具体的に表現している。
Bよい
三原の魅力や課題,課題を解決するためにはどうしたらよいかについて,思考・判断し,表現している。
C
改善が必要
三原の魅力や課題,課題を解決するためにはどうしたらよいかについて,感じたことを書いている。
評価方法(ルーブリック)
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
4.検証ワークシートの評価:事例 C評価➡B評価①三原の魅力②三原の課題③三原の課題を解決するためには,どうしたらよいと思うか。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
1回目:意見の評価①祭りが多い。②人通りが少ない。③特産物をつくる。
5回目:意見の評価①自然・歴史があふれているところ。②駅前周辺のにぎわいが少ない。
③尾道や竹原と周辺と連携をする。JRの協力を受ける。点と点で終わらず,線にすること。地域住民と連携をして行事を発展していく。
C評価 B評価
4.検証ワークシートの評価:事例 A評価➡A評価①三原の魅力②三原の課題③三原の課題を解決するためには,どうしたらよいと思うか。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
1回目:意見の評価①三原所跡など歴史がある。やっさ祭りなど伝統的な祭りが受け継がれている。昔ながらの家が残っている。
②レジャーランドがない。老朽化した建物が多い。若い働き手が少ない。子どもが気軽に遊べる場所がない。
③観光客に訪れてもらうイベントを企画する。三原の歴史を多くの人に伝え,興味をもってもらう。そのためには発信が大事だと思う。
5回目:意見の評価①伝統的な祭りや文化財が多くあること。自然豊かなこと。
②人口とともに観光客が減少し,経済力が弱くなっていること。
③三原の良さを他の地域の人にアピールしていくこと。企業などと連携し,三原のことを多く発信してくことが必要となる。
A評価 A評価
ワークシート1回目:意見の評価
A評価:1名B評価:17名C評価:18名
ワークシート5回目:意見の評価
A評価:4名B評価:26名C評価:6名
4.検証
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
検証2 「三原の魅力と課題,どうすればよいか」の意見
(1回目B評価から5回目A評価は3名)
(1回目C評価から5回目B評価は12名)
仮説3
検証3
思考・判断した学習成果に基づいて新たな地域の将来を提案する学習活動を取り入れることによって,思考力・判断力・表現力を育成することができるのではないか。
生徒の作成したリーフレットを検証すると期待した数値よりも低い結果であった。その要因として,単に三原の紹介リーフレットになっていたり,立てた仮説と内容が一致していないものが見られた。また,調べてまとめた内容が多く,調べて深く考える内容まで達していなかった。しかし,少数ではあるが仮説に基づいて調べ,歴史をふまえたストーリーを立て,表現したリーフレットが見られたことは有効と考えられる。
4.検証
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
検証3
リーフレットの評価A評価:6名B評価:18名C評価:12名
4.検証
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
リーフレットのテーマ観光:16名交通: 6名企業:14名
パブリックコメント
「三原市総合戦略」の一部を読んだ後,生徒の将来の三原についての提案例○企業の工場見学ツアー○三原城の歴史博物館○施設を整え,有料化○JRと連携して周遊券
○福山,尾道,竹原と連携したイベント
5.成果と課題研究の成果
○思考・判断させる地域教材から歴史的背景を考えさせることによって,つながりと将来について理解させることができた。○中学校歴史学習におけるアクティブ・ラーニング型の授業構成や学習指導に関する課題解決の示唆を得ることができた。○生徒が思考・判断・表現したものをリーフレットという形で残すことができ,フィールド・バックの見通しを立てることができた。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
5.成果と課題課題解決学習に向けての課題
○「思考力・判断力・表現力」の育成という視点から歴史新聞やリーフレットを作成したが,地域教材の背景にある歴史認識を深めるための思考・判断を行う授業づくりのさらなる工夫・改善が求められる。○次年度の勤務校での課題解決学習に向けて,勤務校の地域に応じた中学校社会科歴史学習における地域教材の開発を行い,有効な方法・手段の考察が求められる。○次年度の勤務校の生徒の実態に応じた学習指導法の改善が求められる。
問題の所在 授業構成 検証 成果と課題リーフレット
参考資料・文献
・文部科学省『中学校学習指導要領解説社会編』日本文教出版,2008年・小原友行・児玉康弘編著『「思考力・判断力・表現力をつける中学歴史授業モデル』明治図書,2011年・小原友行編著『思考力・判断力・表現力をつける社会科授業デザイン中学校編』明治図書,2009年・社会認識教育学会編『新社会科教育学ハンドブック』明治図書,2012年・全国社会科教育学会編『新社会科授業づくりハンドブック中学校編』明治図書,2015年・岩田一彦・米田豊編著『「言語力」をつける社会科授業モデル中学校編』明治図書,2010年・大杉昭英編『中学校社会科歴史の実践課題に応える授業デザイン』明治図書,2011年・伊藤純郎編著『究極の中学校社会科-歴史編-』日本文教出版,2013年・小関洋治編『身近な地域の歴史の学習-作業的,体験的学習を生かして-』明治図書,1990年・北俊夫『なぜ子どもに社会科を学ばせるのか』文渓堂,2013年・間森誉司『沖縄から北海道まで活かせる小学校社会科地域学習指導ハンドブック』フォーラム・A,2012年・峯岸由治『「地域に根ざす社会科」実践の歴史的展開と授業開発 授業内容と授業展開を視点として』関西学院大学出版会,2010年
・ E・H・カー(清水幾太郎訳)『歴史とは何か』岩波新書,1962年・喜安朗・成田龍一・岩崎稔『立ちすくむ歴史 E・H・カー「歴史とは何か」から50年』せりか書房,2012年・D.キャナダイン編著『いま歴史とは何か』ミネルヴァ書房,2005年・三菱重工三原製作所五十年史編纂委員会編『三菱重工三原製作所50年史』三菱重工業,1993年・福島克之「先駆者の道」『帝人の歩み第3巻』帝人,1969年・三原市役所『三原市史巻三 通史編』三原市役所,2007年・三原市役所『三原市大観』三原市役所,1951年・寺岡昭治編『目で見る尾道・三原・因島の100年』郷土出版社,1997年・今すぐ行きたい!産業遺産編集部企画・編集委員会『今すぐ行きたい!産業遺産:世界遺産に推薦!」竹書房,2014年
ご清聴ありがとうございました。
○1月14日(木)中国新聞掲載○生徒の作成したリーフレット:広島大学附属三原中学校,三原市立中央公民館,三原市立中央図書館に3月末まで展示・閲覧
➡三原に「中学生は将来の三原について考えている」ことを発信できたことは意義があった。