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■ オランダにおけるオープンビルディングの試み
オープンビルディングは、1960 年
代にオラン ダの建築 家 N.J.ハブラー
ケン氏が、これまでのマスハウジング
に変わる理論として提唱し、各国で研
究されているものです。
オープンビルディングとは、居住者
参加型のハウジング構成手法で、住空
間の構成要素を街区(アーバンティッ
シュ)、躯体(サポート)、内装設備(イ
ンフィル)に区分することで、それぞ
れ の レ ベ ル で そ れ ぞ れ に 応 じ た 設 計
をすることを目指しています。
これが、現在の SI 住宅の考え方のも
とになっています。
■ インフィルシステムの開発
こうした提唱に基づいて、さまざ
まな研究や SAR(オランダの建築研
究所)の実験的ハウジングなどから、
MATURA システムが生まれました。
これは、ファン・ランデン教授らに
よって開発されたものですが、床下
地パネル+巾木ユニット+床下配管・
配線で構成された LOWER システム
に は 、 独 自 の 製 品 を 用 い 、 UPPER
システムでは、流通品を使うという
考え方が特徴です。また専用コンテ
ナ・多能工を使います。
KSI を支える歴史
KSI住宅(機構型スケルトンインフィル住宅)の考え方はどうやって生まれてきた
のでしょうか?
ここでは、この住宅システムの発祥と変遷をみていきます。
概要
「都 市 からコミュニティ,そして住 民 へ」
~「サスティナブル社 会 の建 築 」
(日 刊 建 設 通 信 新 聞 社 より
MATURA-システム
■ 都市再生機構における取り組み
こうした海外の事例をうけて、都市
再生機構でも、躯体と内装部分を分離
するシステムとして、1970 年代から
KEP(Kodan Experiment housing
Project)の取組みが始まりました。
八王子の技術研究所では、一般に流
通する部品を用い、住み手の個別の要
求に応えようとした「注文住宅システ
ム」(オープンシステム)の開発を目
指した試作住宅実験が行われました。
■ KSI 住宅に至るまでの取り組みとは?
1980 年代から KEP システムを供給しはじめましたが、技術で出来る対応と共に、どう
居住者ニーズを組み入れていくかというソフトのシステムが非常に重要になってきました。
当時は現在ほど個々の居住者が自分のニーズを要求する傾向が少なかったため、KEP の
技術以降は、どういった手法で居住者ニーズを拾えるのか、さまざまな企画が進められて
きました。
スケルトンとインフィルの所有・管理を分離した賃貸住宅です。躯体や共用配管は機構が所有し、仕上げや屋内設備は入居者の所有・管理としています。入居者は、各自のライフスタイルに合わせた住宅を、ルールに基づいて設計、施工することが可能です。
広々 とし たフ レッ ク ス ル ー ム(15 帖以上)と、就寝室、水廻りなどを 組み 合わ せた賃貸住宅です。フレ ック スル ームは、パネル固定用の イン サー ト金具 や巾 木コ ンセントなど、可変性に 対応 でき る様々 な設 計上 の工夫 が施 され ています。
入居者自ら、間取りや イ ン テ リ ア の 変更 が で き る 住 宅 です。最小限の間仕切り や 仕 上 げ に と どめ、建設コストの低減 を 図 っ た 住 宅 でもあります。
■ KSI 住宅実験棟
技術と運用的な検討が進むと共に、居住者の個々のニーズの高まりと共に、環境問題、
良好なストック社会形成などの社会的な意義も加わって、高耐久・長寿命の躯体を用いる
KSI 住宅が登場します。
1998 年、これまでの技術と企画の実績を下地に明確にスケルトンとインフィルを分離
したハードを作ろうということで、当技術研究所に KSI 住宅実験棟が建設されました。実
験棟では、さまざまなインフィルが作られることを想定して、実験住戸を全て異なったタ
イプで建設しています。さらに、将来的なインフィル更新時の検討としてインフィル変更
の施工実験も行われました。
■ KSI 住宅の展開
KSI 住 宅 第 1 号 プ ロ ジ ェ ク ト は 平
成 14 年 6 月に入居を開始したシティ
コート目黒です。多様なプランに対応
できる KSI の特徴を活かして住宅プ
ランの提案募集を行い、優秀作品を賃
貸住宅に採用しています。また中庭を
囲 う 1 階 に は 、 都 心 立 地 企 画 と し て
SOHO 住宅としています。
その後は、東京 23 区内を中心に多
くの住宅で KSI が採用されています。
KSI 住宅実 験棟
1.KSI 技術の実大モデル 2.新しい概念の提案 3.居住者自由度の検討
シティコート目黒内観 アクティ汐留