11
78 AUGUST 2017 は,1995 年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対 応してきたのかを述べる。第2章では,調査 結果からこの10 年間でインターネット利用がど のように広がってきたのかを検証し,第 3 章で は,特に利用が盛んな若年層に焦点を当てて, インターネットがどのような使われ方をしている のかを考察する。第 4 章では,現行の国民生 活時間調査で捉えきれなくなったインターネッ ト行動について整理し,今後の調査に向けて の課題を提示したい。 1. インターネット普及の過程と 国民生活時間調査での対応 この 20 年間,日本ではどのようにインターネッ トが普及してきたのか,そしてそれを国民生活 時間調査ではどのように捉えてきたのだろうか。 はじめに “国民生活時間調査から読み解く”シリーズ の 3 回目となる今回は,「インターネット」につ いて取り上げる 1) 国民生活時間調査では,2000年調査から インターネットを扱ってきたが,普及のスピード, 行動の拡張が大きく,調査のたびにその行動 の定義について検討を重ねてきた。しかし, インターネット利用行動は変化が大きく,現行 の自記式で 15 分目盛りの調査票を小規模に修 正するレベルでは対応できなくなってきており, 2020年調査に向けては,抜本的な検討が必 要となっている。 そこで本稿では,これまで国民生活時間調 査で捉えてきたインターネット利用がどのように 変化してきたのかを改めて検 証するとともに, 今後の調査への課題を整理したい。第1章で 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査へ向けて 世論調査部 渡辺洋子 / 林田将来 本 稿ではこれまで国民生活時間調査がどのようにインターネット利用を捉えてきたのかを検証し,今後の調査 へ向けての課題を整理する。調査ではインターネットの普及に応じて,2000 年にインターネット利用を「趣味・娯 楽・教養」に含め,2005 年にそこから「趣味・娯楽・教養のインターネット」として独立させた。この「趣味・娯楽・ 教養のインターネット」利用は 2005 年以降急増しており,2015 年には国民全体では行為者率が 22.8%,時間量 が 28 分(平日)と,メディア利用の時間量ではテレビに次ぐ位置を占めるまでになった。この 5 年では,行為者 率の高い 20・30 代で増加が止まる一方,10 代や 40・50 代で増加し,インターネット利用に広がりがみられた。中 でも16 ~ 19 歳の利用が多く,土曜・日曜は行為者率が 50%を超えた。16 ~ 19 歳の特徴は,この 5 年で平日や 日曜の夕方帯の利用が増加したことと土曜・日曜の専念利用が多いことである。こうしたインターネット利用を調 査で捉えるにあたり,インターネットを介した従来メディアの利用をどう分類するのか,また,私的な SNS 利用の 実態を反映できない,細切れあるいは無意識的な利用が増え調査票へ記入しづらくなった,などの課題が浮き彫 りになった。今後は行動項目の見直しも含め,最適解を検討していく。 国民生活時間調査から読み解く③

調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

78 AUGUST 2017

は,1995年からのインターネットの普及の様相と,それに国民生活時間調査がどのように対応してきたのかを述べる。第2章では,調査結果からこの10 年間でインターネット利用がどのように広がってきたのかを検証し,第3章では,特に利用が盛んな若年層に焦点を当てて,インターネットがどのような使われ方をしているのかを考察する。第 4章では,現行の国民生活時間調査で捉えきれなくなったインターネット行動について整理し,今後の調査に向けての課題を提示したい。

1. インターネット普及の過程と 国民生活時間調査での対応

この20年間,日本ではどのようにインターネットが普及してきたのか,そしてそれを国民生活時間調査ではどのように捉えてきたのだろうか。

はじめに

“国民生活時間調査から読み解く”シリーズの3 回目となる今回は,「インターネット」について取り上げる 1)。

国民生活時間調査では,2000 年調査からインターネットを扱ってきたが,普及のスピード,行動の拡張が大きく,調査のたびにその行動の定義について検討を重ねてきた。しかし,インターネット利用行動は変化が大きく,現行の自記式で15 分目盛りの調査票を小規模に修正するレベルでは対応できなくなってきており,2020 年調査に向けては,抜本的な検討が必要となっている。

そこで本稿では,これまで国民生活時間調査で捉えてきたインターネット利用がどのように変化してきたのかを改めて検証するとともに,今後の調査への課題を整理したい。第1章で

調査でとらえたインターネットの現状と今後の調査へ向けて

世論調査部 渡辺洋子/ 林田将来

本稿ではこれまで国民生活時間調査がどのようにインターネット利用を捉えてきたのかを検証し,今後の調査へ向けての課題を整理する。調査ではインターネットの普及に応じて,2000 年にインターネット利用を「趣味・娯楽・教養」に含め,2005 年にそこから「趣味・娯楽・教養のインターネット」として独立させた。この「趣味・娯楽・教養のインターネット」利用は2005 年以降急増しており,2015 年には国民全体では行為者率が 22.8%,時間量が 28分(平日)と,メディア利用の時間量ではテレビに次ぐ位置を占めるまでになった。この5 年では,行為者率の高い20・30 代で増加が止まる一方,10 代や40・50 代で増加し,インターネット利用に広がりがみられた。中でも16 ~ 19歳の利用が多く,土曜・日曜は行為者率が 50%を超えた。16 ~ 19歳の特徴は,この5 年で平日や日曜の夕方帯の利用が増加したことと土曜・日曜の専念利用が多いことである。こうしたインターネット利用を調査で捉えるにあたり,インターネットを介した従来メディアの利用をどう分類するのか,また,私的なSNS 利用の実態を反映できない,細切れあるいは無意識的な利用が増え調査票へ記入しづらくなった,などの課題が浮き彫りになった。今後は行動項目の見直しも含め,最適解を検討していく。

国民生活時間調査から読み解く③

Page 2: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

79AUGUST 2017

① 1995年~ 2000年

1995年のWindows95発売,1996年のYahoo! JAPANのサービス開始に象徴されるように,インターネットは1990年代後半に我々の日常生活に登場した。しかし,1997年のインターネットの個人の普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人)は9.2% 2)と1割に満たず,当時はまだ一部の先端的な人々が利用しているにとどまっていた。

1999年にNTTドコモがiモードをスタートし,携帯電話でのインターネット利用が進むとともに,1999年から2000年にかけて主要なADSLのサービスも開始され,家庭でのブロードバンド環境が整っていった。こうしたサービスを契機に,インターネットが急速に普及していくことになる。

国民生活時間調査では,2000 年に初めてインターネットを行動として取り扱った。このときに,インターネットを「自由行動としてのインターネット(ウェブの閲覧のみ)」に限定して「趣味・娯楽・教養」の中に含まれる行動であると定義した。

この「趣味・娯楽・教養」に含まれるイン ターネットの考え方とは,自由時間内にそれ自体を目的として行う趣味や娯楽としてのインターネット利用行動であり,仕事や学業,家事目的で使用するインターネット利用は含んでいない。またインターネット上の私的なコミュニケーションも含まない。電子メールの読み書きなどインターネット上の私的なコミュニケーションは,手紙などと同義の行動であるとして,「会話・交際」に含めた。「インターネット」という行動を独立した分類

としなかったのは,1日を単位とした生活時間調査では,1日の利用率が他のメディアと比べ

ても低く,得られる結果や該当する調査相手の数を鑑みると,1つの行動とする段階ではない 3)という判断があったためである。また,インターネットを自由時間の娯楽行動に限定したのは,放送局が行う調査として,テレビや新聞など自由時間に行われるマスメディア行動との量的な比較を重視したからである 4)。

なお,この時期の主なインターネットの使い方は,電子メールの利用や情報検索であった 5)。

② 2001年~ 2005年

2000年以降,インターネットの普及が急速に進み,2002年には普及率が57.8% 6)と半数を超えるまでに至った。さらに普及の拡大とともに,サービスの内容も拡大していき,2004年にはmixiがサービスを開始,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)も利用され始めた。

こうした状況を受け,2005年調査では,「趣味・娯楽・教養」から「趣味・娯楽・教養のインターネット」を分割し,1つの行動として独立させた 7)。インターネットの分類についての考え方は2000年調査と同様である。

インターネットをこのような行動分類にしたのは,1つには国民生活時間調査が1960年から続く時系列調査であり,時系列比較ができることを優先して,行動分類の変更を最小限にとどめたためである。これは,インターネットを2000年調査ですでに「趣味・娯楽・教養」の中に含めており,2005年調査の変更では,それまでの「趣味・娯楽・教養」を「趣味・娯楽・教養のインターネット」と「趣味・娯楽・教養(インターネット以外)」に分割しただけで,行動分類の体系を変えるわけではなく,また,この2つの行動をまとめれば,これまでの「趣味・娯楽・教養」と比較・分析できるという考え方に

Page 3: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

80 AUGUST 2017

基づくものであった。

③ 2006年~2010年

2007年には,無料動画サービスを代表するYouTubeが日本語に対応し,そして2008年までにはNHKオンデマンドなど各放送局のVODサービスが始まり,インターネット上での動画利用が広がりをみせ始めた。また2008年にはiPhoneが日本でも発売され,スマートフォンでのインターネット利用が広がることになる。同時期に,TwitterやFacebookの日本語版も始まり,インターネット利用がますます多様になっていった。

これらの状況に対応して,2010年調査では, 調査票に合わせて配付する「記入のしかた」や「記入例」といった調査相手への説明資料の文言の修正を行った。具体的には,mixiやTwitterの利用が広まったことを受けて,「趣味・娯楽・教養のインターネット」の説明に

「SNSやツイッターを見る・書き込む」という文言を加え,記入例に「ミクシィを見る」という事例を追加した。これは,mixiや Twitterが,不特定多数を相手としたコミュニケーションで,インターネットならではの行動であり,私的なコミュニケーションである「会話・交際」と間違えないようにするためであった。

④ 2011年~ 2015年

2010 年以降もさらにスマートフォンの普及が進むとともに,2011年にはLINEがサービスを開始して,特に若年層に爆発的な人気を得た 8)。これよりスマートフォンでのSNS 利用が,インターネット利用の大きな潮流の1つとなる。そして,2013 年にはインターネットの普及率が82.8% 9)と8割を超えるまでになった。こうし

たインターネットの広がりを受けて,新聞,雑誌・マンガ・本といった従来メディアも積極的に情報を届ける手段として,インターネットを活用するようになった。

こうした中,2015 年調査でも説明資料の変更を行い,LINEのようなSNSでの私的なコミュニケーションの広まりに対応して,「会話・交際」の具体例に「家族・友人・知人とイン ターネットでやりとりする」を追加した。また動画視聴の広まりに対しては「趣味・娯楽・教養のインターネットをする」に「趣味の動画を見る」という例示を追加した。さらに,従来メディアのさまざまなコンテンツがインターネットで利用できるようになったが,こうした場合はインターネットを単なる手段として用いて従来メディアを利用していると考え,「新聞」や「雑誌・マンガ・本」に電子版を含めるよう,説明資料に注記した。

このように,インターネットはこの20 年で利用層もサービスの内容も拡大してきた。そして国民生活時間調査ではその時々の状況に応じて,時系列性を維持できるように変更を最小限にとどめながら対応してきたのである。

2. この10年の調査結果から

インターネットが増加し,メディア利用の様相が変化

本章では,この10年で「趣味・娯楽・教養のインターネット」(以降「インターネット」と表記する)利用がどのように広がってきたのか,国民生活時間調査のデータからみていく。なお,この報告では,割合の大小を比較する際には,互いに独立な%の差の検定を用いている。時間量については,平均の差の検定を用

Page 4: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

81AUGUST 2017

いている。有意な差があった場合にのみ,大きい,小さい,高い,低い,増加,減少といった表現を用いている。

まず始めに,インターネットは他のメディアとの関係でどのような位置を占めているのだろうか。1日にどのくらいの人が各メディアを利用しているのか(行為者率),またそれらを使わなかった人も含めて,どの程度の時間量(全員平均時間)を各メディアに費やしているのか,一覧で比較した(図1)。なおここでは,自由時間が長く,インターネット,マスメディア接触ともに多い日曜のデータを用いている。

まず,テレビの行為者率・時間量が他を圧倒して大きいことがわかる。インターネットは行為者率・時間量ともテレビには及ばないものの,それ以外のメディアと比べると,行為者率は25.7%で新聞(33.1%)に次いで高い。また,インターネットの時間量は43分で,テレビ(3時間57分)とは大きな差があるものの,それ

に次ぐ位置を占めている。次に時系列変化をみると,2005 年と比べて,

インターネットとビデオ・HDD・DVDが行為者率・時間量とも増加した。一方で,テレビ,新聞,雑誌・マンガ・本,CD・テープは行為者率・時間量ともに減少し,ラジオも行為者率が減少している。このようにインターネットが増加した一方,多くのメディアが減少しており,メディア利用の様相が大きく変わってきたといえる。

各曜日で増加するインターネット特に若中年層に広がる

続いて,インターネット利用がどのように増加してきたのか,曜日別・年層別に行為者率と時間量の変化をみていく。

国民全体では行為者率・時間量とも,前述した日曜だけでなく,平日・土曜も増加している。2015 年の行為者率は,平日22.8%,土

図 1 各メディアの行為者率・時間量の時系列変化(国民全体・日曜・2005 ~ 2015年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

6:00

14.921.4

25.7

43.439.2

33.1

21.018.2

15.812.1 10.0 10.6

15.017.4

7.4 6.39.3 9.6

4:14

89.6 89.185.3

4:093:57

’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15

(時間:分)(%)

趣味・娯楽・教養の

インターネット

テレビ 新聞 雑誌・マンガ・本

ラジオ CD・テープ ビデオ・HDD・DVD

0:20 0:21 0:17 0:180:15 0:15 0:15 0:12 0:12 0:200:23

0:10 0:070:140:19 0:17

0:310:43

全員平均時間行為者率

(年)

Page 5: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

82 AUGUST 2017

曜 25.6%,日曜 25.7%,時間量は,平日28分,土曜38分,日曜43分となった( 表1)。行為者率・時間量とも,平日が土曜・日曜に比べて低いのは,ここで捉えているインターネットが自由行動としてのインターネットに限定されており,仕事や学業などで使われているインターネットが含まれていないためだと考えられる。

年層別にみると,行為者率は各曜日とも16~ 19歳で高く,土曜・日曜は50%を超えている。時間量は16 ~ 19歳・20 代で,いずれの曜日も1時間を超えている。中でも16 ~ 19歳は,日曜の時間量が1時間50 分と2時間に迫る勢いである。インターネット利用についてはこの16 ~19歳の動きが鍵を握っているといえ,この年層について,次章で詳しく述べたい。

さらに年層別に時系列変化をみると,平日の行為者率・時間量は,2005 年から2010 年にかけて幅広い年層で増加したが,2010 年か

ら2015 年にかけては,それまで比較的利用の多かった20・30 代で増加が止まった。一方で10 ~ 15歳・16 ~ 19歳と40・50 代で行為者率・時間量とも増加した。また,日曜についても,2010 年は16 ~ 19歳・20 代で行為者率が30%台,時間量が約1時間であったが,2015年になると,その周辺層の10 ~ 15歳と30・40 代で行為者率が 30%台,時間量が約1時間となった。このように利用の多い年層が広がっていることがわかる。

3. 16 ~19 歳の インターネット利用の特徴とは

夕方帯の利用に特徴土曜・日曜は「専念」して利用

本章ではインターネット利用が特に多い16 ~19歳について,利用状況を詳しくみていきたい。

表 1 年層別の趣味・娯楽・教養のインターネットの行為者率・時間量の時系列変化(3曜日・2005 ~ 2015 年)

平 日 土 曜 日 曜行為者率

(%)全員平均時間

(時間:分)行為者率

(%)全員平均時間

(時間:分)行為者率

(%)全員平均時間

(時間:分)

’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15国民全体 12.8 < 19.9 < 22.8 0:13 < 0:23 < 0:28 13.9 < 20.9 < 25.6 0:18 < 0:29 < 0:38 14.9 < 21.4 < 25.7 0:20 < 0:31 < 0:43

10 ~15 歳 17 20 < 30 0:14 0:18 < 0:32 22 30 35 0:24 0:41 1:08 18 24 < 37 0:17 < 0:37 < 1:06

16 ~19 歳 18 < 28 < 39 0:22 < 0:39 < 1:01 23 32 < 56 0:41 1:03 1:35 27 38 < 54 0:32 < 1:10 1:50

20 代 21 < 32 36 0:22 < 0:55 1:00 19 < 34 40 0:32 < 1:01 1:15 22 < 36 39 0:37 < 1:07 1:28

30 代 17 < 31 31 0:16 < 0:35 0:39 19 < 27 < 37 0:30 0:34 < 0:56 24 29 35 0:34 0:38 < 0:59

40 代 14 < 23 < 30 0:12 < 0:21 < 0:33 17 < 27 32 0:23 0:37 0:42 16 < 24 < 36 0:23 0:35 < 0:59

50 代 9 < 14 < 21 0:07 < 0:12 < 0:21 11 < 18 24 0:08 < 0:22 0:31 14 19 25 0:15 < 0:27 0:31

60 代 10 < 14 15 0:09 0:11 < 0:17 9 < 15 18 0:12 0:17 0:22 8 < 14 14 0:11 0:15 0:16

70 歳以 上 7 9 9 0:10 0:11 0:11 6 7 8 0:07 0:08 0:09 5 < 10 9 0:06 0:11 0:11

・ 表中の“<”は,前回調査と比較して,統計的に有意に増加したことを示す。表中の“>”は,前回調査と比較して,統計的に有意に減少したことを示す(以下同様)。

・ 16 ~ 19歳は2005年の日曜(93人),2015年の土曜(95人)と日曜(99人)は,サンプル数が100人未満で少ないため誤差が大きく,データの読み取りには注意を要する(以下同様)。

Page 6: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

83AUGUST 2017

図 2 16 ~ 19 歳の趣味・娯楽・教養のインターネットの 30 分ごとの平均行為者率の時系列変化(3曜日・2005 ~ 2015 年)

’05年 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 0 0 1 1 2 3 3 3 3 4 4 3 4 5 5 4 3 3 4 2’10年 4 4 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 0 1 1 0 0 1 2 1 1 2 1 2 2 3 3 3 4 3 3 5 5 8 10 11 9 8 9 9 7 ’15年 3 3 2 1 1 1 0 0 0 0 0 1 1 1 2 2 1 2 3 2 2 2 2 2 3 2 3 3 3 3 4 4 4 7 8 8 7 6 6 8 11 10 12 13 11 12 12 8

20歳以上 2 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 4 5 5 6 6 5 4

’05年 3 3 3 4 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 3 1 1 3 4 2 2 3 4 4 3 3 4 3 4 5 4 4 5 4 2 2 3 2 2 1 1 2 4’10年 5 5 4 4 4 3 3 3 2 1 2 2 2 2 2 2 5 3 4 4 3 4 7 7 4 3 6 6 6 6 6 8 6 7 6 10 8 7 4 3 5 7 8 5 7 6 8 9’15年 6 5 4 4 3 3 3 4 3 2 1 1 1 1 1 2 2 4 8 8 3 4 6 6 5 8 9 12 13 13 11 10 14 18 19 18 11 7 10 11 13 16 15 14 10 11 10 11

20歳以上 2 2 2 2 1 1 1 1 0 1 0 0 0 1 1 1 1 2 3 3 3 4 3 3 2 2 3 3 3 4 4 4 4 4 3 3 3 3 2 3 3 4 5 6 6 6 5 4

’05年 3 3 4 4 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 1 1 1 2 3 3 3 4 4 4 3 4 4 7 8 3 4 6 5 6 6 6 7 6 5 4 4’10年 5 5 2 1 2 2 3 2 1 0 0 0 0 1 2 3 3 1 2 2 3 3 4 3 2 3 2 3 3 4 4 6 5 5 8 6 9 10 7 8 7 9 11 15 8 8 11 11 ’15年 4 4 3 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 3 2 2 6 6 5 6 6 4 5 4 7 6 5 4 4 6 7 8 11 12 13 13 11 13 15 18 17 23 25 17 12

20歳以上 2 2 2 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 3 3 3 3 3 1 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3 3 2 2 2 2 4 4 5 5 6 6 5 4

(%)

(時)0

5

10

15

20

25

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

’05 年’10 年’15 年20歳以上(’15年)

【 平日 】

(%)

(時)0

5

10

15

20

25

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

’05 年’10 年’15 年20歳以上(’15年)

【 日曜 】

(%)

(時)0

5

10

15

20

25

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

’05 年’10 年’15 年20歳以上(’15年)

【 土曜 】

Page 7: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

84 AUGUST 2017

まず背景として,主な情報通信機器の保有状況の推移(世帯)をみると10),スマートフォンは,2010 年末の9.7%から2015 年末には72.0%と急激に増加している。さらに,平日1日のモバイルによるインターネット利用時間は53.8分,10 代は94.7分,20 代は103.7分となっており11),モバイルによるインターネット利用が急速に進んでいることがわかる。こうした環境変化が,若年層のインターネット利用の急増や,使い方の変化を引き起こしているといえるであろう。

16 ~ 19歳のインターネット利用について平日の30 分ごとの平均行為者率をみると(図2), 利用の中心は夜間 帯である。2005 年から2010 年にかけては主に夜間帯の利用が増加しており,2010 年から2015 年にかけては夜間帯は高いまま,夕方帯(16時30 分~ 17時30分)の利用が増加している。

つづいて土曜をみると,利用のピークは平日と同じく夜間帯で,特にこの5年間で22時台

が大幅に増加している。22時台の行為者率は25%に達しており,平日と比べて倍近くになっている。

一方,日曜をみると,夜間帯よりも夕方帯が高めなのが特徴である。夕方帯は,20歳以上の30 分ごとの平均行為者率が3 ~ 4%にとどまる中,16 ~ 19歳では17時台前半がピーク

(19%)になっており,日曜の夕方にも積極的にインターネットを利用していることがわかる。時系列変化をみても,この5年間で,16時30分~ 17時30 分,19時30 分~ 20時30 分など,夕方から夜間の時間帯で増加している。

さらに,インターネット利用を他の行動と「ながら」で行っているのか,単独で「専念」して行っているかをみてみた。16 ~ 19歳の平日は,他の年層と比べても大きな特徴はないものの,土曜・日曜は「専念」の時間量が多く,専念率も9割近くになっていることがわかる(表

2)。総務省の「平成27年通信利用動向調査報告書(世帯編)」でインターネットの目的や用

表 2 年層別の趣味・娯楽・教養のインターネットの「ながら」「専念」別の時間量と専念率(3 曜日・2015年)

・ 専念率:全利用時間に占める「専念」の割合。

平 日 土 曜 日 曜

ながら 専念 専念率(%) ながら 専念 専念率(%) ながら 専念 専念率(%)

国民全体 0:08 0:20 71.4 0:10 0:28 73.7 0:10 0:33 76.7

10 ~ 15 歳 0:06 0:26 81 0:06 1:02 91 0:10 0:56 85

16 ~ 19 歳 0:15 0:47 77 0:15 1:20 84 0:12 1:38 89

20 代 0:17 0:43 72 0:25 0:50 67 0:17 1:12 82

30 代 0:14 0:25 64 0:25 0:32 57 0:19 0:40 68

40 代 0:11 0:22 67 0:10 0:32 76 0:14 0:44 75

50 代 0:06 0:15 71 0:07 0:24 77 0:07 0:24 77

60 代 0:05 0:13 76 0:07 0:15 68 0:05 0:11 69

70 歳以上 0:02 0:09 82 0:02 0:08 89 0:03 0:08 73

【全員平均時間】

(時間:分)

Page 8: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

85AUGUST 2017

途をみると,全体のトップは「電子メールの送受信」(70.8%)であるのに対して,13 ~ 19歳は「動画投稿・共有サイトの利用」が最も高い

(71.3%)。土曜や日曜は,動画を見るという目的も含めてインターネットを専念して利用していると考えられる。

他メディアとの関係はどう変化したのか

インターネット利用の行為者率と時間量がともに多い日曜の16 ~ 19歳について,各メディアの行為者率と時間量をみてみる(図3)。なお,この年層についてはサンプル数が100人を切っている調査年もあり,データの読み取りには注意を要することに留意されたい。2005年は国民全体と同じく,テレビが行為者率・時間量において1番目であり,インターネットは,行為者率・時間量とも,テレビ,CD・テープに次ぎ,雑誌・マンガ・本と同程度の3番目であっ

た。ところがこの10年でインターネットが行為者率・時間量とも大きく増加したのに対し,テレビ,CD・テープは行為者率・時間量ともに減少,新聞,雑誌・マンガ・本は行為者率が減少した。その結果,インターネットが行為者率ではテレビに次いで2番目,時間量ではテレビと同程度で1番目となった。この年層では,インターネットはもはやテレビに匹敵する位置を占めるまでに至ったといえるだろう。

4. 生活時間調査が インターネットを捉える難しさ

ここまで調査結果からインターネット利用の状況をみてきた。本章では,国民生活時間調査がインターネット利用行動を捉える難しさと,今後の調査の課題について述べたい。

まず第1の課題は,国民生活時間調査の

図 3 各メディアの行為者率・時間量の時系列変化(16 ~ 19 歳・日曜・2005 ~ 2015年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

6:00

27

38

54

12

1 1

29 28

11 10

38

13 15 17

28

14

1 3

2:31

8075

63

2:21

1:47

’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15

(時間:分)(%)

趣味・娯楽・教養の

インターネット

テレビ 新聞 雑誌・マンガ・本

ラジオ CD・テープ ビデオ・HDD・DVD

0:32

0:03

0:270:07

0:39

0:00 0:02

1:05

0:13 0:19 0:15

0:41

0:140:140:00 0:01

1:10

1:50

全員平均時間行為者率

(年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

6:00

14.921.4

25.7

43.439.2

33.1

21.018.2

15.812.1 10.0 10.6

15.017.4

7.4 6.39.3 9.6

4:14

89.6 89.185.3

4:093:57

’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15’05 ’10 ’15

(時間:分)(%)

趣味・娯楽・教養の

インターネット

テレビ 新聞 雑誌・マンガ・本

ラジオ CD・テープ ビデオ・HDD・DVD

0:20 0:21 0:17 0:180:15 0:15 0:15 0:12 0:12 0:200:23

0:10 0:070:140:19 0:17

0:310:43

全員平均時間(仕事)行為者率(1日)

(年)

Page 9: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

86 AUGUST 2017

調査対象が「趣味・娯楽・教養のインターネット」という自由行動に限定されていることである。平成27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査によれば,平日におけるインターネットの行為者率は75.7%,平均時間は90.4分である。一方で,国民生活時間調査における平日のインターネットの行為者率は22.8%,時間量は28分であり,2つの調査の結果には大きな差があることがわかる。その要因は国民生活時間調査におけるインターネットの定義が限定的である一方で,現実社会での用途が大幅に広がり,当初想定していた行動内容を超えたことにある。2005 年には,「仕事や家事,学業以外の目的でウェブの閲覧や検索,掲示板・ブログを読む,オンラインゲームやネットオークション,ホームページやブログの作成」を具体的行動と想定していたが,現在では,仕事や家事利用はもちろんのこと,動画視聴やSNS 利用など,インターネットで可能な行動は多岐にわたる。

第2に,インターネット上のメディア行動を

分類することが難しくなってきており,こちらの企図と異なる記入がなされている可能性がある。例えば電子書籍や音楽配信サービスの利用は,その目的とする行動項目に記入してもらうように調査票を設計しているが,そうしたサービスの利用は拡大しているのに反して,該当の行動の行為者率や時間量は減少している。こうした行動は,調査相手がインターネットとして記入しているとも考えられる。今後は,テレビやラジオ,新聞,マンガ,本,CDなどの従来メディアをインターネットを介して利用した場合の行動をどのようにわかりやすく定義するかも課題である。

第3に,LINEやFacebookに代表される私的 なSNS 利用はこの調査において「会話・交際」に分類されるが,近年の利用者数の増加に反して,国民全体の行為者率は,平日・土曜・日曜とも減少していることである(表3)。平日は,2010年から2015年にかけて,16 ~ 19歳,30~50 代などの年層が減少している。「会話・交際」に分類しているのは,家族・友人・親

平 日 土 曜 日 曜

’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15 ’05 ’10 ’15

国民全体 19.6 18.6 > 15.2 21.8 21.7 > 19.0 22.4 21.5 > 17.6

10 ~ 15 歳 26 > 20 18 23 20 21 17 16 15

16 ~ 19 歳 34 35 > 26 31 28 28 31 24 23

20 代 23 20 19 30 26 27 33 31 > 18

30 代 18 15 > 11 19 23 21 18 22 16

40 代 16 15 > 10 18 18 13 21 20 16

50 代 15 17 > 13 19 22 > 15 25 20 18

60 代 20 17 16 21 21 21 20 19 18

70 歳以上 22 22 > 17 23 21 19 21 23 18

表 3 年層別の会話・交際の行為者率の時系列変化(3曜日・2005 ~ 2015年)(%)

Page 10: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

87AUGUST 2017

戚との直接的なつきあいやおしゃべり,手紙や電子メール,電話や携帯電話・PHSでの通話,インターネット上での家族や友人とのやりとりであり,さらにそれらに専念しているときに限ること,私的なもののみに限ること,の2つの条件をつけた 12)。「会話・交際」は,定義上それのみを行う単独行動としているため,例えばテレビを見ながら利用するSNSのような,他の行動と同時に行っている行動について「会話・交際」で捉えることは難しいといえる。

第 4に,スマートフォンの普及により自宅外での利用時間が増加すると見込んだが,国民全体でみると,自宅内利用時間が増加する一方で,自宅外利用時間は,平日・土曜・日曜のいずれも2010 年から2015 年にかけては増加しなかったことである(表4)。利用の多い16 ~ 19歳についても,平日・土曜・日曜のいずれも2010 年から変化がない(平日2010 年10 分→2015 年10 分,土曜 2010 年13分→13分,日曜14分→2015 年11分)。総務省の平成 27年通信利用動向調査によると13),外出先

(移動中の交通機関内,空港・駅など)でのインターネット利用経験率(過去1年間にインターネット利用のある人のうち)は38.2%に上ることから,国民生活時間調査が実態を十分に示しているかどうかは疑問が残る。

これらの事象からみると,国民生活時間調査が現在のインターネット利用行動を十分に捉

えきれているとはいえない状況となってきている。特に場所や時間を問わず利用できるスマートフォンによるインターネット利用をこの調査で捉えるには,さらに課題があると考えられる。前出のSNS 利用や自宅外利用のほか,時間を細かく区切ってさまざまなアプリを利用する場面などである。NHK放送文化研究所が行った20 代のテレビの視聴行動に関する研究によると14),20 代ではテレビ視聴をしながら,パソコンで動画視聴をし,スマートフォンでSNSをするといった,複数のデバイスを使い分けるという行動がみられ,まとまった時間での利用のみならず細かく時間を区切ってインターネットを利用していることがうかがえる。このような利用行動について,15 分単位の自記式で調査する現行の国民生活時間調査の手法でどのように捉えていくかは非常に困難な課題である。

おわりに

本稿では,生活時間調査で捉えている「趣味・娯楽・教養のインターネット」利用について,その成り立ちや調査結果,さらには課題について述べた。2005年当時の状況下では,現在の行動項目として独立させたことに合理性があったと考えているが,それから10年が経ち,人々のメディア行動にあまりに劇的な変化が生じており,現行の定義では適切な把握ができな

表 4 国民全体の趣味・娯楽・教養のインターネットの自宅内外利用の時間量の時系列変化(3曜日・2010 ~ 2015年)

自宅内 ’10 ‘15 自宅外 ‘10 ‘15

平 日 0:19 0:25 平 日 0:03 0:03

土 曜 0:26 0:33 土 曜 0:03 0:05

日 曜 0:27 0:38 日 曜 0:04 0:05

【全員平均時間】 (時間:分)

Page 11: 調査でとらえたインターネットの 現状と今後の調査 …...2017/08/01  · 78 AUGUST 2017 は,1995年からのインターネットの普及の様相 と,それに国民生活時間調査がどのように対

88 AUGUST 2017

くなってきた。現在,インターネットで利用可能なコンテン

ツは多岐にわたり,特に若年層はインターネットがメディアの入り口となっている。また,デバイスもパソコンだけでなくスマートフォンやタブレットへと拡大しており,特にスマートフォンを代表とするモバイル端末は,“いつでもどこでも”インターネットにつなぐことを可能とした。その結果,SNSやアプリの利用など,インターネットにつないでいることそのものが無意識化することとなり,現行の調査票では記入が難しくなってきている。

以上のように,インターネットそのものが社会インフラ化し,無意識のうちにインターネットを使っている今日では,それらを生活行動の中でどう位置づけていくかが,次回の国民生活時間調査への大きな課題である。メディア全体の行動項目の見直しを含め,今後は実験調査などを行いながらこれらの課題に取り組み,最適解を求めていきたい。

(わたなべ ようこ/はやしだ まさゆき)

注: 1) これまでのシリーズについては以下を参照のこと。

吉藤,渡辺(2017)「国民生活時間調査から読み解く①「超高齢社会」ニッポンの老後の生活」

『放送研究と調査』2017 年 4 月号林田(2017)「国民生活時間調査から読み解く②東京圏の生活時間・大阪圏の生活時間」『放送研究と調査』2017 年 6 月号なお,2015 年 10 月に実施した国民生活時間調査の結果の概要については,本誌 2016 年 5 月号で紹介している。

2) 総務省「インターネット普及率の推移」http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/field/data/gt010102.xls

3) NHK 放送文化研究所「日本人とテレビ・2000」調査によると,2000 年当時,インターネットに

「週 1・2 回」以上接触する人は 15%,「毎日」接

触する人は 8%であった。 4) 5 年ごとの調査で捉えるインターネット利用行

動を自由行動に限定したため,定例調査の翌年,あるいは翌々年の 2001年,2006年,2012年にインターネット利用行動に特化した機動調査を実施し,生活の中でのインターネットの使われ方を詳細に調査し,定例調査を補完した。

「IT 時代の生活時間調査」三矢,荒牧,中野(2002)「広がるインターネット,しかしテレビとは大差 ~「IT 時代の生活時間」調査から~」『放送研究と調査』2002 年 4 月号

「IT 時代の生活時間調査・2006」中野,渡辺(2007)「急増するインターネット利用の実態 ~ IT 時代の生活時間調査・2006 から~」『放送研究と調査』2007 年 4 月号

「メディア利用の生活時間調査」諸藤,関根(2012)「多様化するインターネット利用の現在 ~「メディア利用の生活時間調査」から②~」『放送研究と調査』2012 年 11 月号

5) 総務省(2000)「平成 12 年通信利用動向調査報告書 世帯編」によると,インターネット利用の用途として,インターネットを利用している世帯主のうち「電子メールの利用」が 75.8%で最も多く,次いで「趣味や旅行などの身近な情報の入手」(66.9%),「ビジネス情報・資料の入手」(55.7%)となっている。

6) 2)に同じ 7) 吉田,中野,渡辺(2006)「日本人の生活時間・

2005 ~睡眠の減少が止まり,自由時間の増加に歯止め~」『放送研究と調査』2006 年 4 月号

8) NHK 放送文化研究所「2016 年 6 月全国放送サービス接触動向調査」によると,ふだん利用 している SNS は,13 ~ 19 歳では LINE が 72% で,Twitter(48%),Instagram(12%),Facebook

(7%)に比べて非常に多い。 9) 2)に同じ 10) 総務省情報通信国際戦略局(2016)「平成 27 年

通信利用動向調査報告書(世帯編)」 11) 総務省情報通信政策研究所(2016)「平成 27 年

情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

12) 牧田(2002)『日本人の生活時間・2000 −NHK国民生活時間調査−』(NHK 放送文化研究所編)

13) 10)に同じ 14) 保髙,木村(2016)「20 代は,テレビのリアル

タイム視聴と録画再生,動画視聴をどう使い分けているのか ? ~視聴行動グループインタビューの結果から~」『放送研究と調査』2016年 8 月号