9
FUJITSU. 64, 6, p. 679-687 11, 2013679 あらまし これまで一般電気事業者は「低廉かつ安定した電力の供給」という命題に対して,様々 な方策に取り組み,その命題を実現してきた。しかし,東日本大震災による需給逼 ひっ 迫は, 大規模電源による供給力の確保を行うという従来の仕組みに内在するリスクに対する考 え方の見直しの契機を作り,更に電力システム改革における議論などにより,火力発電 の高依存状態や将来の法的分離に伴う自由化の流れが起こっている。これらによって一 般電気事業者は,安定供給は維持しつつも,これまで以上に経営の効率化,原価の低減 に挑んでいかねばならない厳しい状況になっている。 このような現状において,本稿では,設備保全費用の低減による原価低減に寄与する ために開発した火力設備管理ソリューションについて述べる。また,併せて,ソリューショ ンの特徴である,設備(機器=点検対象)を中心とするデータモデルによって,設備管理 業務をその枠組みから整理し,設備中心のデータモデルの有用性,重要性について述べる。 Abstract General electric power suppliers are working on various strategies to propose a supply of inexpensive, steady electric power,and they have achieved their proposal. However, a tight energy supply due to the Great East Japan Earthquake has created an opportunity for Japan to review the risks present in the mechanism of securing a power supply by having large-scale power plants, and accelerate Electricity System Reform. This makes high dependency on thermal power generation, and the liberalization of power companies accompanying a legal severance has happened. General electric power suppliers are in a difcult situation because they must try to improve management and decrease costs more than before, while still maintaining a stable power supply. In these circumstances, we have developed an equipment management solution to help suppliers reduce their equipment maintenance cost and it is described in this paper. This solution is arranged by using a data model that centers on equipment (objects to be checked) that is the feature of the solution. This paper also describes the usefulness and importance of applying the data model to an equipment center. 藤澤直行   松尾修一   山本幸男   野中和樹    設備を中心にしたデータモデルによる 火力設備管理ソリューション Plant Asset Management with Asset-centric Data Model

設備を中心にしたデータモデルによる 火力設備管理 …...680 FUJITSU. 64, 6( 11, 2013) 設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

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FUJITSU. 64, 6, p. 679-687 (11, 2013) 679

あ ら ま し

これまで一般電気事業者は「低廉かつ安定した電力の供給」という命題に対して,様々

な方策に取り組み,その命題を実現してきた。しかし,東日本大震災による需給逼ひっ

迫は,

大規模電源による供給力の確保を行うという従来の仕組みに内在するリスクに対する考

え方の見直しの契機を作り,更に電力システム改革における議論などにより,火力発電

の高依存状態や将来の法的分離に伴う自由化の流れが起こっている。これらによって一

般電気事業者は,安定供給は維持しつつも,これまで以上に経営の効率化,原価の低減

に挑んでいかねばならない厳しい状況になっている。

このような現状において,本稿では,設備保全費用の低減による原価低減に寄与する

ために開発した火力設備管理ソリューションについて述べる。また,併せて,ソリューショ

ンの特徴である,設備(機器=点検対象)を中心とするデータモデルによって,設備管理

業務をその枠組みから整理し,設備中心のデータモデルの有用性,重要性について述べる。

Abstract

General electric power suppliers are working on various strategies to propose “a supply of inexpensive, steady electric power,” and they have achieved their proposal. However, a tight energy supply due to the Great East Japan Earthquake has created an opportunity for Japan to review the risks present in the mechanism of securing a power supply by having large-scale power plants, and accelerate Electricity System Reform. This makes high dependency on thermal power generation, and the liberalization of power companies accompanying a legal severance has happened. General electric power suppliers are in a difficult situation because they must try to improve management and decrease costs more than before, while still maintaining a stable power supply. In these circumstances, we have developed an equipment management solution to help suppliers reduce their equipment maintenance cost and it is described in this paper. This solution is arranged by using a data model that centers on equipment (objects to be checked) that is the feature of the solution. This paper also describes the usefulness and importance of applying the data model to an equipment center.

● 藤澤直行   ● 松尾修一   ● 山本幸男   ● 野中和樹   

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

Plant Asset Management with Asset-centric Data Model

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013)680

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

が注目を集めている。しかし,その電力供給に対する安定性などの課題を解決しないまま,拙速に転換を図った場合,我々の一般生活や経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があることを否定できない。そのため,ほぼ全ての原子力発電が停止している現時点において,高騰を続けている天然ガス,石炭,石油を燃料とした火力発電に頼らざるを得ない。このことが,一般電気事業者の経営環境を厳しいものへと追い込んでいる。また,2018年を目処とした一般電気事業者における送配電部門の法的分離においても,その議論は発電部門を自由化対象にするということを意味しており,将来に目を向けてみても,経営効率化に取り組まざるを得ない状況を作っている。このような状況から,本稿では,富士通が,料金原価内訳の中で,少なくない比率を占めている修繕費の低減に寄与することを目指して取り組んだ火力設備管理ソリューションについて述べる。

設備情報の重要性

表-1を見ると,燃料費,購入電力料といった燃料に関わる原価を除くと,修繕費および減価償却費といった,設備に関する原価の占める割合が高

設備情報の重要性

ま え が き

資源に乏しい日本において,1970年代に2度にわたって発生した石油危機は,発電に必要となるエネルギー源の多様化を推進する大きな転機となった。それまで,6割を石油に依存していた状態から,20年後である1990年代には2割程度までに低減させている(図-1)。(1) その低減に大きく貢献したのが,原子力発電であり,2005年には,全体の3割の電力を供給するまでに至っている。また,電力を供給する一般電気事業者は,エネルギー源の多様化を推し進める一方で,経営効率化にも取り組み,燃料費を除く経費を3割ほど低減させている(表-1)。(2)

まさに一般電気事業者の命題である「低廉かつ安定した電力の供給」を実現し,今日の日本の発展に大きく貢献してきた。しかし,東日本大震災で発生した福島第一原発の事故は,コスト,環境などあらゆる観点で最も優れていると思われていた原子力発電に対し,考え方を改めざるを得ないという機運を高めることとなった。このことから,原子力に代わるエネルギーとして水力,太陽光などといった再生可能エネルギー

ま え が き

図-1 電力供給の概要

出典:資源エネルギー庁「電力供給の概要」

(億 kWh)10 000

8000

6000

4000

2000

0

原子力

水力

石油

石炭

LNG

その他’75

注 1)その他は,その他ガス,LPG,地熱,歴青質混合物など。注 2)構成比の各欄の数値の合計は四捨五入の関係で 100にならない場合がある。

38766.520.3

62.13.95.32.0 2.7

15.4

4.5

43.1

17.4

16.9

2.7

21.7

9.8

24.8

13.8

27.2

2.4

21.9

9.7

26.5

11.9

27.3

2.3

22.4

13.7

17.6

10.0

34.0

2.1

26.4

18.4

9.2

9.6

34.3

1.7

23.8

25.7

9.5

8.3

31.0

’80

4850

’85

5840

’90

7376

’95

8557

’00

9396

’05年度

9845

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013) 681

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

管理体系で整備することで,基幹業務である保全作業の工事計画,工事設計といった点検の計画から,その実績までの情報が関連付けられることとなる。これは計画時点における設備情報の参照が容易になるだけではなく,対象設備に対する過去の類似した作業履歴や調達状況も併せて確認できるため,計画業務の効率性,正確性の向上に寄与できる。また,「機器=点検対象」という管理体系で蓄積されているため,工事の調達状況を確認することにより,対策を打つべき対象が特定されやすくなる。その対策も,単に点検対象単位でのコスト低

減を検討するだけではなく,TBM(Time Based Maintenance:一定期間ごとに修繕を行う保守手法)からCBM(Condition Based Maintenance:

いことが分かる。特に発電部門においては,発電に必要となる大規模設備を多く抱えていることから,その傾向は顕著となっている。そのため,発電部門が更なる経営効率化を目指そうとした場合,修繕や減価償却の対象となる設備に関する情報は欠くことのできないものとなっている。一方で,原価を低減させるために,電力の安定供給や事故,人命といった安全面を犠牲にすることはできない。それを防ぐためには,運転や設備の点検,保修といった技術が重要となる。それもまた,設備を中心に習得,経験,研鑽

さん

されていくものであり,最終的には人件費に対する効率化効果まで期待することができる。一部,繰返しとなるが,このように,発電部門における設備情報は,相反する,安定・安全の維持,向上と原価低減の二つを同時に実現させるためになくてはならない重要な情報となっている。

富士通の考える設備管理とは

設備情報を管理する設備管理業務を単なる「設備台帳」管理業務と捉えてはならない。先に述べた,原価低減,および安定・安全の維持につなげるためには,設備情報を核として基幹業務,意思決定,ナレッジを含めた範囲全てを設備管理業務として捉える必要がある(図-2)。核となる設備情報を「機器=点検対象」という

富士通の考える設備管理とは

図-2 設備管理業務の範囲

表-1 電気料金改定時における料金原価内訳の推移(電力10社営業費計/kWh平均単価ベース)平成8年度改定

認可【1996年】

平成10年度改定認可

【1998年】

平成12年度改定届出

【2000年】

平成18年度改定届出

【2006年】

平成20年度改定届出

【2008年】

内訳

燃料費 2.25 2.49 2.47 3.13 5.04 購入電力料 2.15 2.15 2.21 2.11 2.28 人件費 2.08 2.00 2.08 1.77 1.56 修繕費 2.56 2.39 2.23 1.84 1.73 減価償却費 3.66 3.70 3.36 2.47 2.26 公租公課 1.61 1.56 1.41 1.26 1.17 その他経費 2.77 2.84 2.90 2.64 2.35

計(円/kWh) 17.08 17.14 16.66 15.21 16.38

燃料費の原価比率 26% 27% 28% 34% 45%燃料費外の原価比率 74% 73% 72% 66% 55%※1 内訳の各欄の数値の合計は四捨五入の関係で合致しない場合がある。※2 「燃料費の原価比率」の内数は内訳の「燃料費」の他,「購入電力料」を含んでいる。※3 電力購入費とは,IPPや他電力会社から購入する電力に対する支払に対する費用。

出典:資源エネルギー庁「電気料金の各国比較について」

設備情報(設備台帳)

工事計画・工事設計意思決定支援ナレッジ文書

基幹業務の効率化

保全周期延長によるコスト削減ノウハウ継承による安定・安全の維持

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013)682

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

機器の状態を診断し,修繕時期を判断する保守手法)への転換を図ることで,点検対象単位での工事そのものの必要是非を検討することが可能となる。「機器=点検対象」という管理体系で設備情報を整備すると,なぜその診断や必要是非に対する意思決定が可能になるかというと,機器の状態診断,および必要是非の判断に当たっては,点検(対象=機器)履歴に記録されている管の肉厚などといった設備の状態とトラブル情報に記録のある事故原因との因果関係が重要となり,それらを設備を中心とした視点で管理できるからである。また,この情報を事故の未然防止に向けた取組みに活用することで,安定・安全の維持の実現が可能となる。

富士通のソリューション

富士通では,先の考え方に基づき,火力設備管理ソリューションを提供している。本ソリューションは,「機器=点検対象」という管理体系を実現するデータモデルを基盤としたインターバルパッケージ機能と,その導入におけるSEサービスで構成されている。以下にそのソリューションについて紹介する。● 「機器=点検対象」という管理体系を実現する

データモデル一言で「機器=点検対象」という管理体系を実現するといっても,単に,点検対象で機器をグルーピングして情報を管理すればいいというものではない。例えば,設備保修における中長期計画,予算編成,発注・契約という業務においては,その予算や計画の妥当性を確認するための情報が必要となる。一方で,検収・出来高といった業務では,工期や費用といった実績情報に加え,点検で明らかになった機器の状態などといった情報が必要となる。更には機器台帳としての機器の生産メーカー,生産年月日などといった情報や,事故発生時の原因を調査するためのトラブル情報なども必要となる。このように,「機器=点検対象」という情報は,それを取り巻く業務によって求められるものが異なるといった特性を持っている。仮に,その業務ごとに機器情報を管理,整備した場合,業務ごとに機器情報が点在することとなり,同一設備(機器)であっても,業務間の情報の整合性を維持することは困難となってしまう。また,そのことが効率

富士通のソリューション

的な作業を阻害する要因となるだけではなく,適正な保守業務さえも行えないといった状況を招きかねない。そのような状況を回避するためには,「機器=点検対象」という情報を一元的に管理し,かつ,それを取り巻く業務のニーズを満たすために多面的な構造をもったデータモデル基盤が必要となる。そのデータモデル基盤を確立させるに当たり,有用であったのは,「要のものこと分析」手法である。この手法は,慶応義塾大学 中村善太郎教授の著書「もの・こと分析で成功するシンプルな仕事の構想法」(3)からヒントを得て,富士通がシステム開発のために手法化したもので,業務分析といった上流工程からSOAをキーワードとしたシステム構築など,様々なシーンで活用されている。この手法を用いることで,「機器=点検対象」に関連する個々の業務の本質が明らかになるとともに,「機器=点検対象」という情報は,何をどのような詳しさで管理できれば良いかということを個々の業務と関連付けながら,明らかにすることができた。● インターバルパッケージ機能これは,富士通が想定する設備管理業務の中において,最も重要と考えられる点検や工事の計画・実績を管理する業務システムを先のデータモデル基盤上で動作するパッケージ機能となっている。インターバルパッケージ機能では,図-3に示すように,点検や工事の計画・実績を管理する業務の中心に点検周期表(インターバル表)を据え,そこから「機器=点検対象」の情報を参照,登録,変更ができるように構成されている。点検周期表画面(図-4)では,「機器=点検対象」に対する定期点検時の作業項目の計画・実績や,機器に対する件名工事の計画・実績を10年分表示することができる。また,点検や件名工事の追加や変更に伴う計画の自動見直しも可能となっている。機器詳細画面(図-5)では,点検対象となる機器の情報を参照することができる。点検計画を調整していく中で,必要となる機器の情報をシンプルな形で表示することにより,直感的に視認できるようにしている。作業項目登録・詳細・修正画面(図-6)では,機器に対して定期点検時に実施する作業の内容を参照・登録・修正する機能を提供している。また,件名工事に対しては,件名工事計画実績登録・詳細・

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013) 683

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

ようになっている。予算マスタデータメンテナンス一覧登録・詳細・修正画面(図-8)では,定期点検で必要となる付帯作業や安全対策費用などの予算データをマスタとして一元管理している。この画面で登録した内

修正画面(図-7)で,機器に対して実施する件名工事の内容を参照・登録・修正することができる。なお,作業項目登録・詳細・修正画面,件名工事計画実績参照・登録・修正画面,いずれについても,その内容は,即時に先の点検周期表へ反映される

メニュー

予算マスタメンテナンス一覧

予算マスタメンテナンス登録

予算マスタメンテナンス詳細

予算マスタメンテナンス修正

「予算マスタメンテ」ボタン

「登録」ボタン

「ユニット」リンク 「編集」ボタン

「点検周期表」ボタン

点検状況確認

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特記事項登録

定検予算

“○”コンテキストメニュー

「点検状況確認」

“○”コンテキストメニュー

「点検状況確認」“○”コンテキストメニュー

「点検実績登録」

アイコン(作業項目欄)

アイコン

アイコン

アイコン

点検周期表

作業項目詳細

機器詳細作業項目登録

作業項目修正

「編集」ボタン

「コピー登録」ボタン 「機器」リンク

「作業項目」リンク

サブ画面

メイン画面

【凡例】

件名工事計画実績詳細

件名工事計画実績登録

件名工事計画実績修正

アイコン(機器欄)

“□”コンテキストメニュー「件名工事計画実績」

「編集」ボタン

アップロード

「アップロード」ボタン

「アップロード」ボタン

件名工事選択

■点検周期表

■作業項目詳細

■作業項目登録

■作業項目修正

「作業項目」リンククリック

「編集」ボタンクリック

「コピー登録」ボタンクリック

図-3 インターバルパッケージ機能概要

図-4 点検周期表画面(インターバルパッケージ機能)

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013)684

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

り,既存システムに存在するほかのデータによって代替したりすることで,ほとんどのケースにおいては導入が可能であるものと考えている。また,その際,必要となる作業をデータ移行サービスという形で本ソリューションの一部として提供することも可能となっている。今回,紹介した火力設備管理ソリューションは,従来のTBMに対応したミッションクリティカルな業務に重きを置いたものとなっているが,CBM,RBM(Risk Based Maintenance:機器の状態に伴うリスクから修繕時期を判断する保守手法)に

容と作業項目に設定する工事費用などとを併せて,定期点検予算を概算で算出することができる。ここで紹介したインターバルパッケージ機能は大掛かりなシステムを導入する必要はなく,パソコン上で単独動作が可能となっているが,利用に当たっては本パッケージ機能を動作させるためのデータが必要となる。そのため,場合により,新たにデータを準備しなければならないことも想定される。しかし,従来の設備管理業務を遂行する上で,何ら,その形跡すらないということは考えられず,単にデータの呼称が異なるだけであった

■機器詳細

■点検周期表

「機器」リンククリック

図-5 機器詳細画面(インターバルパッケージ機能)

■作業項目詳細

■点検周期表

■作業項目登録

■作業項目修正

「作業項目」リンククリック

「編集」ボタンクリック

「コピー登録」ボタンクリック

図-6 作業項目登録・詳細・修正画面(インターバルパッケージ機能)

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013) 685

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

む  す  び

本稿では,発電部門の修繕費低減に寄与できることを目指した火力設備管理ソリューションを構成する「データモデルの有用性」,およびそのデータモデルを基盤とした「インターバルパッケージ機能」を中心に述べた。「低廉かつ安定した電力の供給」を命題とする一

む  す  び対応するためにMeridium社のMeridium APMソリューションを併せて提供している(図-9)。これは,コストと設備状態との関係を見出し,TBMからCBM,RBMへの転換を促すためだけではなく,管理会計的かつ経営戦略的な要素も含んだソリューションとなっている。そのため,法的分離により自由化部門となる発電部門においては有効なソリューションになるものと考えている。

■件名工事計画実績修正

■件名工事計画実績詳細

■点検周期表

■件名工事計画実績登録

「編集」ボタンクリック

「件名工事」リンククリック

アイコンクリック

“□”or“■”の右クリック「件名工事選択」クリック

※件名工事が2件以上存在する場合に限る。1件しか存在しない場合,件名工事計画実績詳細画面に直接遷移。

■予算マスタメンテナンス一覧

■予算マスタメンテナンス登録

■予算マスタメンテナンス修正

■予算マスタメンテナンス詳細

「新規登録」ボタンクリック

「編集」ボタンクリック

「ユニット」リンククリック

図-7 件名工事計画実績登録・詳細・修正画面(インターバルパッケージ機能)

図-8 予算マスタデータメンテナンス一覧登録・詳細・修正画面(インターバルパッケージ機能)

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013)686

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

させていることを信じている。その実現に向けた努力にわずかでも本ソリューションが寄与できたら幸いである。

参 考 文 献

(1) 資源エネルギー庁:日本のエネルギー 2007. http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/ energy2007html_/part_1.htm(2) 資源エネルギー庁:電気料金の各国比較について. http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/shiryo/ 110817kokusaihikakuyouin.pdf(3) 中村善太郎:もの・こと分析で成功するシンプルな仕事の構想法.日刊工業新聞,2003.

般電気事業者の中でも,発電部門は,化石燃料の高騰や,為替レートの変動など,自らはコントロールできない外部影響にさらされながらも,石油危機をはじめとした大きな試練を乗り越え,今日を生活する我々に,「低廉かつ安定した電力の供給」を提供している。東日本大震災がもたらした環境変化は,従来の電力供給の在り方について見直す必要があるという機運を高め,電力システム改革へと至ることとなった。その結果,それは,一般電気事業者にとって,新たな試練になろうとしているが,過去と同様に,その試練を必ず乗り越え,将来もまた,我々に対して「低廉かつ安定した電力の供給」を実現

EAM

作業履歴

火力設備管理ソリューションMeridium

作業実施

作業計画保全計画設備情報作業情報

設備管理

工事管理

不適合管理

他システムデータ•資材・経理,運転•部門システム など

不適合情報

発電管理運転情報

作業管理

RCA

RCM劣化メカニズム表

根本原因分析

発注関連情報分析/評価

戦略の開発状況監視・通知・表示機能

分析用DB

改善案策定支援機能

推奨案策定

改善案策定

確認・承認・否決

分析機能

KPI管理 スコアカード

図-9 Meridium APMソリューション

FUJITSU. 64, 6 (11, 2013) 687

設備を中心にしたデータモデルによる火力設備管理ソリューション

藤澤直行(ふじさわ なおゆき)

スマートシティ・エネルギー推進本部ソリューション統括部 所属現在,電力・ガス業界におけるシステム開発に従事。

松尾修一(まつお しゅういち)

スマートシティ・エネルギー推進本部ソリューション統括部 所属現在,電力・ガス業界におけるシステム開発に従事。

山本幸男(やまもと ゆきお)

スマートシティ・エネルギー推進本部ソリューション統括部 所属現在,電力・ガス業界におけるシステム開発に従事。

野中和樹(のなか かずき)

スマートシティ・エネルギー推進本部第一ソリューション開発部 所属現在,電力・ガス業界におけるシステム開発とスマートメーター関連システム開発に従事。

著 者 紹 介