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新興国アップデート August 2016 Issue 5 Contents 1. 新興国トピックス 企業ダイベストメントに対する関心の高まり P.2 アジアのサプライチェーン再構築 P.4 EYPartnering for performanceEmerging market perspective(新興市場の展望),Part2 P.7 EYPartnering for performanceEmerging market perspective(新興市場の展望),Part3 P.9 アフリカの不透明な現状を把握する ~アフリカ魅力度調査2016年版 P.11 2. 地域別ニュースレター シンガポール P.15 マレーシア P.18 ベトナム P.19 インド P.28 南アフリカ共和国 P.39 ケニア P.40 トルコ P.43 ブラジル P.54 Contacts P.57 新興国アップデートは、EYのニュースレター やアラートなどの一部を抜粋し、加筆、編集 したもの、または公的機関等で公表されてい る情報のサマリーです。詳細情報や曖昧な 箇所については、それぞれの原文をご参照 ください。原文リンクの内容については各国 担当者にお問い合わせください。

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新興国アップデート

August 2016 Issue 5

Contents

1. 新興国トピックス

► 企業ダイベストメントに対する関心の高まり P.2

► アジアのサプライチェーン再構築 P.4

► EYのPartnering for performance: Emerging market perspective(新興市場の展望),Part2 P.7

► EYのPartnering for performance: Emerging market perspective(新興市場の展望),Part3 P.9

► アフリカの不透明な現状を把握する

~アフリカ魅力度調査2016年版 P.11

2. 地域別ニュースレター

► シンガポール P.15

► マレーシア P.18

► ベトナム P.19

► インド P.28

► 南アフリカ共和国 P.39

► ケニア P.40

► トルコ P.43

► ブラジル P.54

Contacts P.57

新興国アップデートは、EYのニュースレター

やアラートなどの一部を抜粋し、加筆、編集

したもの、または公的機関等で公表されてい

る情報のサマリーです。詳細情報や曖昧な

箇所については、それぞれの原文をご参照

ください。原文リンクの内容については各国

担当者にお問い合わせください。

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

1. 新興国トピックス

企業ダイベストメントに対する 関心の高まり

ダイベストメント(事業売却)は、企業の今年のキャピタル・アジェンダ戦略における最重要課題です。コーポレート・エクイティとプライベート・エクイティの経営幹部を対象とする年次調査『企業のダイベストメントに関する意識調査 : 隠れた価値を引き出すプロ、プライベート・エクイティに学ぶ』によると、企業は戦略的な売却から最大限の価値を引き出す方法を模索しています。

事業再編の手段としてM&Aの注目度が高まっていることを受けて、グローバルと アジア太平洋地域の調査対象企業の半数近くが、今後2年以内にダイベストメントを実施する計画があると回答しました。グローバルで20%、アジア太平洋で15%だった昨年の調査から、大幅に増加しています。アジア太平洋地域の回答者の81%は、売却益をコア事業、新製品と新市場、M&Aにさらに投資することで、ダイベストメントから長期的な企業価値を創出できると考えています。

環境が目まぐるしく変化するなか、コア事業の強化と再構築を積極的に進めようとする姿勢が、調査結果から明らかになりました。

EYトランザクション・アドバイザリー・サービスのグローバル・バイス・チェア、ピップ・マクロスティーによると、ダイベストメントは長期的な成長を実現する戦略的手段です。「新たな機会のための資金調達、消費者嗜好の変化の先取り、そしてイノベーション推進の手段として、ダイベストメントの活用が広がっています」

「ダイベストメントは、事業再構築の主要な手段としてIPOに迫る勢いです」。EY アジアパシフィック・ダイベスティチャー兼トランザクション・アドバイザリー・サービス・リーダーのスティーブン・ローマスはこのように述べます。ローマスはまた、物価の低迷はアジア太平洋地域のエネルギーセクターに広がると見ており、2016年を 通して原油価格の低下が続いた場合、一部地域の石油会社が資産を売却することになると予想しています。

「欧米の企業は、今後もこの地域で所有する資産の大型ダイベストメントを実施する でしょう。一方、アジア企業の所有者は、ノンコア事業であっても、ダイベストメントによる売却にIPOの場合よりも慎重な姿勢を崩していません」(ローマス)

アジア太平洋地域の回答者の半数が、今後、タイムリーな買収提案があれば、ダイベストメントを行うだろうと予想しています。興味深いことに、タイムリーで一方的な買収提案が企業にとって重要度を増しており、アジア太平洋地域でこの種の取引の58%が予想を上回る売却価格となったものの、売却後の残りの事業に対する評価で期待を上回った取引は38%にすぎませんでした。

全体的に見ても、アジア太平洋地域の全ダイベストメントのうち、取引成立後に予想を上回る評価を得たのは、半数未満となっています。これに対し、グローバルでは62%という結果でした。

従って、同地域の売り手企業は、売却の根拠や取引後の投資計画を市場に対して効果的に伝えられていない可能性があると考えられます。

ローマスは、ダイベストメント取引の成功を測る3つの重要な基準として、取引が 売り手企業の評価倍率に与える影響、最終的な売却価格、取引成立までの時間を挙げています。「しかし、3つの基準すべてで予想を上回ったアジア太平洋地域の企業は、わずか22%です」(ローマス)

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データと統制が結果を左右する

この調査によると、ポートフォリオ・レビューにおける最大の課題はデータへのアクセスです。ダイベストメントのジレンマを引き起こす最大の原因は断片的なデータであり、大多数の回答者が、データの品質が低いために分析を効果的に 活用することが困難であると回答しています。

ダイベストメントを成功させるには、統制の取れたアプローチが明らかに必要です。ダイベストメントを戦略的に進める企業(ポートフォリオ・レビューを実施する、 資産の売却準備を行う、売却益の用途を慎重に検討する、など)は、残りの事業に対して長期的にプラスの影響を与えるダイベストメントを実施できる可能性が 大幅に高まります。

企業回答者の56%が、ポートフォリオ・レビューのプロセスに不備があると、意図した目標を達成できないと回答しており、44%は、ポートフォリオ・レビューを戦略上の必須事項にすることが、最大の課題の1つであると答えています。

ポートフォリオ・レビューの頻度とダイベストメントの成功には、明確な関連が ありました。取引で大きな成果を上げた回答者のうち、48%がレビューを四半期 ごとに実施しており、37%は年1回実施していました。

ダイベストメントの入念な準備の重要性を強調する事実として、売却前に価値の 創出に取り組んだ企業の75%が、予想を上回る売却価格を実現していることが 挙げられます。また、事業分割計画を策定した企業の33%が、期待以上の価格で事業を売却できました。

出典:Spotlight on Business, Issue1 2016

『2016年版企業のダイベストメントに関する意識調査 : 隠れた価値を引き出すプロ、プライベート・エクイティに学ぶ』レポートの全文は、以下のリンクからご覧ください。 http://cdn.ey.com/echannel/gl/en/services/transactions/GDS-2016-01/pdf/EY_Global-Corporate-Divestment-Study_2016.pdf

1. 新興国トピックス l 企業ダイベストメントに対する関心の高まり

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

アジアのサプライチェーン再構築 2016年現在、アジア太平洋地域のサプライチェーンは見違えるほどの進化を 遂げました。現地製造が当たり前になり、同地域が成長の牽引役となるにつれて、複雑さと規模が何倍にも拡大しました。

企業はこの地域に軸足を置き、世界で最も魅力的とされる市場に製品を供給する最善の方法を決定するに際して、これまで以上に多くの選択肢を比較検討する 必要に迫られています。資産に関する意思決定(生産設備と倉庫をどこに置くか)と、フローに関する意思決定(どのように製品を流通させるか)は、複雑化しています。 不安定さ、不透明さ、複雑さ、不明瞭さが増す地域で、戦略を実行に移せる優秀なチームの能力を養成することが、現在の課題です。

まずは地理的な要素に目を向けましょう。西のインドから東の日本、北の中国から南のニュージーランドまで、アジア太平洋地域は地勢、気候、文化の面で非常に 幅広く多様な性質を備えています。地理的には分断されており、インドネシアだけで 1万8,000近い島があります。最も重要な部分は南シナ海の中央です。日本と 韓国は(近年は中国も)非常に効率的な輸送ネットワークを有していますが、 大半の企業は製品の流通に海上輸送を利用しており、サプライチェーンが国境を越えて拡大するなか、沿岸区域は効率化において歴史上非常に重要な役割を 果たしてきました。サプライチェーンの役割は、製品を消費者の元に届けるために必要な多数の複雑なチャネルを可能な限り効率的に構築することです。

アジア文化への適応

アジア太平洋地域の市場は巨大で多様性に富んでいます。消費者はますます 裕福になり、洗練され、欧米よりも豊かな都市もあります。欧米のブランドであるというだけで最高と見なされることはなくなりました。むしろ、企業は現地の消費者の好みを理解して、消費者が喜ぶ製品を開発し、それを効率的な製造と流通によって支える必要があります。ほとんどのカテゴリーで主な競合相手になるのは現地企業 です。意思決定を下すために、サプライチェーン幹部は複雑なデータセットを分析し、 変化が激しく多様な要素を含む市場で何が起きているかを把握する必要があります。

アジア文化の違いに関する話題は枚挙に暇がありません。欧米自動車メーカーの最上位モデルを中国で販売するケースについて考えてみましょう。賢明な自動車 組立てメーカーであれば、中国市場向けには現地の習慣に合わせてホイールベースの長いモデルを製造します。中国では、息子(または義理の息子)が両親のお抱え運転手のようにふるまうことが求められるため、後部座席にゆとりあるスペースが必要になるからです。

別の例として、欧米のシリアルメーカーの場合を考えてみましょう。そのメーカーの製品群は、朝食向けに冷たい食事を中心に作られていますが、現在はスープと 麺類が朝食の定番という文化への対応を迫られています。

アジアの消費者はさらに増加し、豊かになりつつあります。そしてこれまで以上に目が肥え、違いがわかるようになってきています。サプライチェーンの幹部は、 製品を手頃な価格で提供すると同時に、品ぞろえを充実させ、欲しいときにいつでも手に入るようにすることが求められています。このようなバランスをうまく取ることは 容易ではありません。

現在進行中のサプライチェーンの見直しは、企業(特に消費者向け製品の メーカー)が、特定のアジア諸国の需要を喚起する文化的な要因を特定し、 現地市場を席巻する国内製品の研究開発を行う必要性を認識することから 始まります。携帯電話やソーシャルメディアに囲まれて育った人が多い地域で あっても、新聞が配達されない場合や、自家用車の保有率が高くない場合は、 電子商取引のマーケティング面での重要性を理解する必要があります。現代の サプライチェーン幹部は、 デジタル・サプライ・チェーンについても検討する必要があるのです。

30年前なら、アジアのサプライチェーンの構築は比較的容易でした。 数多くの多国籍企業がアジア太平洋地域に進出し始めた当初は、欧米の工場から現地の代理店や卸売業者に製品を出荷して、自社ブランドに現地の消費者が飛びつくのを見ているだけでした。

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中国、インド、ASEAN諸国、その他各国

一方、アジア経済を牽引している中国は、輸出主導型の経済基盤モデルから、 国内需要とサービスが主導するモデルへと転換すべく、バランスを見直している ところです。改革意識の高いインド政府も、世界第2位の人口を誇る超大国を再び成長軌道に乗せました。

現在、アジア地域で最先端の多国籍企業の多くは、三重のサプライチェーン拡大戦略を推進しています。これらの企業は中国を自己完結型の市場と見なす傾向が強まっています。インドについても大半の見方は同じです。国の規模、強い政府、官僚主義によって、不十分なコミュニケーションという問題がさらに複雑化して います。3番目となる「残りのアジア」戦略では、多くの場合、東南アジア諸国連合(ASEAN)における地域ハブの機会を活用して、ASEAN地域のほか、オーストラリア、日本、韓国などの成熟した高コスト国に製品を供給することに重点が置かれます。

税金は現在、サプライチェーンに関する意思決定の重要な要素になっています。 多国籍企業はアジア太平洋地域の各国で、会計業務の管理、アジアでの利益に対する二重課税の回避、利益の本国送金に関するさまざまな問題に直面しています。

ASEAN域内では、より統合されたアプローチを簡単に取ることができる場合もありますが、その効果を過度に強調すべきではありません。ASEANの政策立案者はASEAN経済共同体(AEC)の構築を目標に掲げていますが、ASEAN諸国に入って くる商品にも高い関税がかかる場合が多く、ASEAN自由貿易地域の関税率は

適用されません。多くの場合、税関手続きは複雑で時間がかかります。また、 規制当局による妨害措置など、非関税障壁が非常に面倒な問題となることも あります。

域内での商品の移動が税関手続きによって遅延することも少なくありません。 特に、シンガポールや香港に本社があり、別の場所にある製造拠点間で商品を 移動させる場合に、遅れが発生します。技術の変化と言語という要因が結びつくことで、輸送に問題が生じることも考えられます。英語のラベルが付いた商品は、従来の製品カテゴリーに適合しない場合があるからです。

ASEAN当局はこれらの問題に取り組んでおり、書類提出窓口を一元化する

計画がありますが、進捗は芳しくありません。その間にも、税関当局によって 問題が生じるリスクが高まり、押収された商品が不適切に保管されると、 滞船料が発生するだけでなく、場合によっては商品価値がなくなってしまうことも あります。サプライチェーン部門の役割は拡大しており、自由貿易協定、貿易規制の遵守、第三者の通関業者を管理する能力の強化が求められています。

特定産業の成長を推進しようとする国や、国際競争から国内産業を保護しようと する国があることから、経済ナショナリズムもまた問題の種となり得ます。つまり、現代のサプライチェーンを担当する幹部は、複雑で不明瞭な規制環境を把握する必要もあるということです。

現在、アジア地域で最先端の多国籍企業の多くは、三重のサプライチェーン拡大戦略を推進しています。

1. 新興国トピックス l アジアのサプライチェーン再構築

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

Spotlight on Business, Issue1 2016 の全文は、以下のリンクよりご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/ey-spotlight-on-business-issue-1-2016/$FILE/ey-spotlight-on-business-issue-1-2016.pdf

将来を見越して

域内の貿易障壁を解消するべく新たに設けられた貿易協定、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に注目している企業もあります。しかし、人口の上位2カ国である

中国とインドネシアはこの米国主導型の協定に参加しておらず、米国の批准もまだ行われていません。TPPのメリットが実現されるまで何年もかかる可能性もあります。

サプライチェーンを担当する幹部に求められるのは、柔軟かつ機敏なネットワークの構築です。

おそらく、短中期的に見てさらに重要なのは、移転価格操作の悪用や企業の脱税を撲滅するための世界的な取り組みでしょう。これは企業にとって必ずしも悪いこと

ではありません。二重課税をより効果的に防ぐための手続きによって、税制措置の均一性と予測可能性が高まる可能性があるからです。

とはいえ、この究極の目標を達成するまでには、一定の時間がかかります。 長期的には、このような進展によって、中国などアジア太平洋諸国における 投資環境と事業環境が大幅に改善される可能性があります。

安定を求め、健全で予測可能な統治制度と法制度を追求する一方で、市場に 近づく必要があったことから、企業は地域本部やサプライチェーン機能を シンガポールや香港といったハブに置くようになりました。マレーシア、タイ、中国 などの国々は、柔軟性のある多国籍企業の地域本部業務誘致を目的として、 魅力的なインセンティブを提供し、市場への参入を促しているため、将来的には 魅力を増す可能性があります。

現在のグローバル・サプライ・チェーンは再構築の真っただ中にあります。サプライチェーンを担当する幹部には、自由貿易協定の変更に対応し、歴史的な低迷を

続ける石油価格と不明瞭な非関税障壁を乗り切るといった、これまでにない能力が求められています。アジア太平洋地域のサプライチェーンに影響を与える急速な 変化に対応するには、このように新しく多面的な意思決定が不可欠です。

出典:Spotlight on Business, Issue1 2016

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EYのPartnering for performance: Emerging market perspective (新興市場の展望),Part2

主な調査結果

連携を深める

Partnering for performance(成果を生み出す連携)は、CFOがさまざまな部門のリーダーと連携することで 組織の成長、保護、転換を実現する方法について探究するシリーズです。

EYのPartnering for performance: Emerging market perspectiveは、新興市場に特化したシリーズであり、CFOと以下のリーダーとの関係を 取り上げます。

▶ CIO - C IOとの緊密な協力の 必要性のほか、デジタル化を実現する ITとテクノロジーへの投資 から価値を引き出す上で重要な役割を果たす「デジタルCFO」の必要性を明らかにします。

▶ CMO(本書で詳しく取り上げます)

▶ CEO - CFOはCEOの戦略アドバイザーとしての役割を果たし、 従来の財務関連の責任だけでなく、価値の創造に注力する必要が あります。

本シリーズ第2部では、CFOと最高 マーケティング責任者( C h i e f Marketing Officer、以下「CMO」)の関係について、さらには以下の4つの重要なマーケティング関連活動に 対するCFOの貢献について考察します。

▶ 顧客のセグメンテーションと洞察

▶ マーケティングの投資収益率

▶ 製品ポートフォリオの最適化

▶ デジタルガバナンス

本書の調査結果は、652名のCFO(うち329名が新興市場のCFO)を 対象とした調査に基づいています。

CFOと将来の財務担当リーダーに 関する知見について詳しくは、ey.com/cfoをご覧ください。

CFOがCMOとの連携を密にしている3つの理由:

▶ マーケティング活動から得られる利益について理解を深める必要性(35%)

▶ マーケティング戦略の変更(32%)

▶ 事業の運営モデルや組織構造の変更および変更計画(30%)

これはグローバルでの結果と大きく異なります。グローバルでは「マーケティング 戦略の変更」が33%で最大の理由となっており、「新製品およびサービス」が29%で続きます。

関係を妨げる主な障壁

新興市場のCFOが、組織内でCMOとの関係を妨げる主な障壁として挙げているのは以下の要因です。

ここでもグローバルの回答者が挙げた障壁の順位と割合は異なります。最大の 障壁は「共通のプロセスの欠如」(33%)で、「業績とマーケティング指針を関連 付ける明確な主要業績評価指標(KPI)がない」(32%)、「文化の違い」(31%)が 続きます。

顧客インテリジェンスが鍵

1. 新興国トピックス l 新興市場の展望

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

中国

ブラジル

メキシコ

インド

ロシア

インドネシア

南アフリカ

アルゼンチン

フィリピン

コロンビア

アラブ首長国連邦

トルコ

サウジアラビア

ナイジェリア

グループCFOまたは財務担当役員

地域CFOまたは財務担当役員

部門CFOまたは財務担当役員

80名 

国名

財務上の役職

30名

15名

10名

10名

10名

181名

78名

70名

5名 

11名

20名

20名

20名

25名

31名

42名

Partnering for performance – Emerging markets perspective - Part 2 の全文は、以下のリンクよりご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/ey-partnering-for-performance-emerging-markets-perspective/$FILE/ey-partnering-for-performance-emerging-markets-perspective.pdf

マーケティングROIの評価に共同で取り組む

顧客の要望の変化やデジタル環境でのチャネルの急増に伴い、 マーケティング費用が増大していますが、その妥当性を効果的な測定手法によって証明する必要があります。

最適な製品構成

CFOとCMOは、顧客中心の方針と供給過剰の間でバランスを取る必要があります。

デジタルガバナンス

たとえこれが4つの優先事項のうち3番目であっても、CFOはガバナンスモデルの構築において極めて重要な役割を果たし、さまざまな事業部門、職務、地域間で競合する利益に関して 組織が適切な投資判断を下せるようにする必要があります。

調査回答者の属性について詳しくは、ey.com/em-cfo-and-cio をご覧ください。

新興市場調査の回答者

以下のグラフに、本調査に回答した329名の CFOの所在地と役職をまとめました。

Page 9: 新興国アップデート - EY Japan · 01/pdf/EY_Global-Corporate-Divestment-Study_2016.pdf 1. 新興国トピックス l 企業ダイベストメントに対する関心の高まり

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Partnering for performance(成果を生み出す連携)は、CFOがさまざまな部門のリーダーと連携することで組織の成長、保護、転換を実現する方法について探究するシリーズです。

EYのPartnering for performance: Emerging market perspectiveは、新興市場に特化したシリーズであり、CFOと以下のリーダーとの関係を 取り上げます。

▶ CIO - CIOとの緊密な協力の 必要性のほか、ITとデジタル実現テクノロジーへの投資から価値を引き出す上で重要な役割を果たす「デジタルCFO」の必要性を明らかにします。

▶ CMO - デジタル分野での成功は、CFOとCMOが協力関係を築けるかどうかにかかっています。

▶ CEO(本書で詳しく取り上げます)

本シリーズの最終回となる第3部 では、CFOと最高経営責任者(Chief Executive Officer、以下「CEO」)の関係について考察し、以下に挙げる4つの重要な戦略的優先事項に 対するCFOの貢献を中心に取り上げます。

• デジタル化の推進と実現

• 戦略に照らした業績の評価

• 運営モデルの再設計

• M&A戦略の策定

本書の調査結果は、652名のCFO(うち329名が新興市場のCFO)を 対象とした調査に基づいています。

CFOと将来の財務担当リーダーに 関する知見について詳しくは、ey.com/cfoをご覧ください。

主な調査結果

新興市場のCFOとCEOの戦略的連携に向けて

CFOがCEOとの連携を強化している主な理由は以下の3つです。

▶ 戦略の変更(35%)

▶ 新しい成長機会(34%)

▶ 戦略の実行が成功したかどうかの追跡において最も重要なKPIを理解する 必要性(30%)

これはグローバルでの結果とやや異なります。上位2つの理由は同じですが 順位が逆で、第3位の理由は「新製品およびサービス」です。それぞれの割合は34%、33%、27%でした。

効果的な連携の実現には課題も残る

CEOとの連携におけるCFOの主な貢献はコスト管理

CFOは、CEOとの関係構築にとって大きな障壁を認識している

EYのPartnering for performance: Emerging market perspective (新興市場の展望),Part3

1. 新興国トピックス l 新興市場の展望

過去3年間の変化

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

Partnering for performance – Emerging markets perspective - Part 3 の全文は、以下のリンクよりご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/ey-partnering-for-performance-the-cfo-and-the-ceo/$FILE/ey-partnering-for-performance-the-cfo-and-the-ceo.pdf

デジタル化

デジタルテクノロジーはまだ黎明期にあります。CFOと CEOは戦略的な対策を編み出すとともに、時流に先んじて変化させていくことを検討する必要があります。

今後3年間の予測

戦略に照らした業績の評価

運営モデルの再設計

M&A戦略の策定

貢献度を高める必要がある分野

新興市場のCFOが、CEOとの連携による貢献度を高める 必要があると考えている最重要分野は、戦略に照らした 業績の評価です。

新興市場の調査対象CFOは、上記の活動に対する貢献度を高めるためには、以下が必要になると回答しました。

2.9

2.6

2.4

2.1

0 1 2 3 4 5

総合的な戦略に照らした組織の業績評価

(財務指標と非財務指標を含む)

運営モデルの再設計、

または組織構造の大規模変更

デジタル事業モデルへの移行

M&Aに関する意思決定

ランク(低いほどより高い貢献度が求められる)

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アフリカの不透明な現状を把握する

アフリカ魅力度調査2016年版

EYアフリカ魅力度調査は2010年以来、海外直接投資(FDI)に関する重要な情報源として、クライアント、メディア、民間の大手投資 グループから高く評価されています。

2016年版のプログラムは、年次レポートから、最新の状況と考察を提供する形でお届けする予定です。本レポートでは、アフリカにおける主要FDIプロジェクトの 最新情報を提供するほか、この不透明な時代を乗り切るための弾力性評価指数を導入しています。

状況はさまざまですが、以下が事実であることに変わりはありません。

▶ 不透明な現状にもかかわらず、アフリカの経済成長と投資に対する長期展望は依然として明るい

▶ ただし、今後数年間の投資機会は偏りが大きくなる見込み

▶ 合理的な計画と事実に基づいた体系的なアプローチで多種多様なアフリカ市場への投資可能性を評価することが、これまで以上に重要になる

▶ アフリカ魅力度指数(Africa Attractiveness Index、以下「AAI」)は、柔軟性に優れた分析ツールとして利用でき、以下の2つの要素のバランスを取りつつ、 市場の魅力度を評価することができる

▶ 現在のマクロ経済の圧力に対して見込まれる強靭性

▶ 持続可能で包括的な成長に欠かせない各分野の長期開発の進展

アフリカにおけるFDIプロジェクトのトレンド(2007~15年)

世界経済の低迷の影響をある程度受けることから、今後数年は厳しい状況が続くでしょう。しかし、多くのアフリカ諸国の経済は強靭性を維持しており、サブサハラ 諸国の3分の2で、今年の世界平均を上回るペースで経済成長が続いています。

出典:fDi Markets

アフリカにおけるFDIプロジェクトのトレンド(2007~15年)

1. 新興国トピックス l アフリカの不透明な現状を把握する

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

GDP成長率(%)

出典:IMF World Economic Outlook(WEO,世界経済見通し), 2016年4月

サブサハラアフリカ地域におけるGDP成長

投資の面では、今後数年は困難な状況が続くと考えられます。これは投資機会が消滅したからではなく、これまでよりも投資機会に偏りが出ると予想されるためです。 企業や投資家は短期的な経済成長のトレンドを重視しすぎる場合もありますが、

これからはファクトベースのきめ細かいアプローチを採用し、投資機会とビジネスチャンスを長期的に評価することがいっそう重要になります。

4.9

5.7

-0.1

4.2

3.3 3.13.5 3.8

6.87.6

4.0

5.0 5.2

3.44.0

4.5

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019

サブ・サハラ・アフリカ

世界

EYのAAI国別ランキング

今後の可能性と現在の進展の評価:アフリカ魅力度指数

不透明感を増す環境に適応しながら、アフリカ全域にわたるさまざまな機会と リスクを評価できるようにするために、EYは短期型の指標と長期型の指標を バランス良く組み合わせたツール、アフリカ魅力度指数(AAI)を開発しました。 AAIを利用することで、現在のマクロ経済の圧力に対して見込まれる強靭性と、 長期開発の重要分野(ガバナンス、多様化、インフラ、ビジネス環境、人材育成) での進展の両方を評価できます。

南アフリカ モロッコ エジプト ケニア モーリシャス ガーナ ボツワナ チュニジア ルワンダ コートジボワール

セネガル タンザニア ウガンダ エチオピア ナイジェリア アルジェリア ザンビア ナミビア ペナン モザンビーク

1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9.

10.

11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20.

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アフリカ投資の魅力度マトリックス

アフリカ大陸の大きさ、複雑さ、分断化されているという特徴を考慮すると、いつ、 どのような方法で、どの市場に参入するかを、十分な情報に基づいて選択する ことが、これまで以上に重要になります。対象国のマクロ経済に対する強靭性も、企業と投資家がこの種の分析を実施する際に考慮すべき複数の要因のうちの 1つにすぎません。

アフリカ投資の魅力度マトリックス

円の大きさはFDI資本投資額(2007~15年、単位:10億米ドル)を示します。

出典:fDi Markets and EY AAI

AAIランキング

1. 新興国トピックス l アフリカの不透明な現状を把握する

アフリカ投資の魅力度マトリックスは、AAIランキングと海外直悦投資(FDI)について、単純な関係にはないことを明らかにしています。詳しく見てみますと、南アフリカ、 エジプト、モロッコはAAI、FDIの件数、金額とも上位5位にランクインしています。 対照的に、ボツワナ、ルワンダ、モーリシャスはAAIでは上位10か国にランクイン しているものの、FDIの観点からは、それほど際立った結果を残していません。 同時に、アルジェリア、モザンビーク、アンゴラは相対的にAAIのランキングは低いですが、金額面から見たFDIではかなり高い結果を残しています。

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

Africa attractiveness program Africa 2016 Navigating Africa’s current uncertainties の全文は、以下のリンクよりご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/ey-africa-attractiveness-program-2016/$FILE/ey-africa-attractiveness-program-2016.pdf

出典: http://www.ey.com/ZA/en/Issues/Business-environment/ey-africa-attractiveness-program-2016

キーポイント : アフリカ魅力度プログラム2016年版

▶ 今後数年間にわたり、多くのアフリカ諸国で緩慢な 経済成長が続くでしょう。

▶ 現在は不透明な状況にあっても、経済成長と投資は長期的に明るい見通しが続いています。

▶ 大半のアフリカ諸国の経済は15年前よりも根本的に良い状態にあり、全体 としての経済成長は世界の他の地域と比べて力強さを維持すると予想されます。

▶ EYの長期見通しの裏付けとなるのは、2015年のアフリカに対するFDI水準が比較的堅調であるという事実です(FDIプロジェクト数で前年比7%増)。

▶ しかし、不透明な状況のなか、成長と投資の機会は以前よりはるかに偏りが大きく なります。そのため、ファクトベースの分析に基づく投資判断がこれまで以上に重要となります。

▶ クライアントを支援するため、EYはアフリカ魅力度指数というツールを導入 しました。アフリカ魅力度指数は、バランス良く組み合わせた短期型の指標と 長期型の指標に基づいて各国をランク付けするもので、一部の国の経済動向に関する現在の「ノイズ」を適切な背景に照らして理解する上で役立ちます。

現在、大半のアフリカ諸国の経済は構造的な発展という面で転換期を迎えて います。過去数十年で得たものを基盤として集約し、今後数十年にわたる持続 可能な成長を実現できるのか、それとも経済が後退し始めるのかは、現時点で 下す判断と起こす行動によって決まるでしょう。

上記の結果は、アフリカ大陸の天然資源や広大さによる地理的位置及び市場規模の関係が深いことを示しています:

エジプト、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアは、すべての資源が豊かであるため、FDIの大部分が主に石油やガスに対して行われています。ここ数年、モザンビークのガス部門へのFDIも大幅に増えています。原油・ガスの価格が下落するとともに、資源セクターへの資本投資は、削減される可能性があります。しかし、これらの国々、特にエジプト、ナイジェリアのような多くの人口を有する国では、工業化や インフラ整備のような長期的な競争力強化のための努力をするでしょう。

南アフリカ、ケニア、モロッコへのFDIは、製造業やサービス産業といった資源セクターほど資本集約的でない産業に多様化する傾向にあります。これら3か国は、アフリカの南部、東部、北部のハブとなる国家であることが、AAI及びFDI件数が高い理由です。

経済成長、市場規模、天然資源と言った特徴を勘案して、今後10年間のFDIの観点から見た上記の国々以外の潜在的な有力4か国は、エチオピア、コート・ジ・ボワール、タンザニア、モザンビークです。

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シンガポール International tax and transfer prcing alert-17 June 2016

2. 地域別ニュースレター l シンガポール

2. 地域別ニュースレター

シンガポールが税源浸食と利益移転(BEPS)における 実施策の包括的枠組みに参加 【概要】 2016年6月16日、シンガポールは、BEPSプロジェクトの世界的な実施に向けた包括的枠組み( inclusive framework )に参加することを公表しました。 この枠組みに(BEPSアソシエイトとして)参加することにより、シンガポールは、BEPSプロジェクトの施策の一貫した実施に向け、国を越えた対等の立場で他の 参加国と共に協働することになります。 シンガポールは、BEPSアソシエイトとして、BEPSプロジェクトにおける以下の 4つのミニマム・スタンダードの実施にコミットしています。 • 行動5:有害な租税慣行への対応 • 行動6:租税条約の濫用防止 • 行動13:移転価格文書化 • 行動14:紛争解決の強化 ターマン・シャンムガラトナム副首相兼経済・社会政策調整相兼財務相は、 シンガポールによるBEPSの施策の実施について「シンガポールは人為的な 利益移転に対抗する国際社会との協働にコミットし、引き続き実体のある 経済活動を歓迎します」とコメントしています1。 【背景】 2016年2月23日、OECDは、21世紀に向けた国際税務ルールの見直しへの 取り組みに対し、関心を有するすべての国と地域が参加することを可能とする 新たな枠組みを公表しました。OECD/G20によるBEPSプロジェクトへの参加国を拡大する提案は、2016年2月26~27日に中国上海で行われたG20財務相会議で提唱され、2016年4月14~15日にワシントンDCで行われたG20財務相・中央 銀行総裁会議にて承認されました。 この新たなフォーラムは、OECD租税委員会(Committee on Fiscal Affairs、以下「CFA」)を拡大し、関心を有するあらゆる国と地域がBEPSアソシエイトとして参加することを可能としています。参加国は、BEPSアソシエイトとして、OECDおよびG20加盟国と対等の立場で、BEPSプロジェクトの残余の基準設定に携わるほか、BEPSパッケージの実施に対するレビューとモニタリングを行います。BEPS アソシエイトは、BEPSの実施に向けた行動計画の策定ガイダンスをはじめとして、実施プロセスに関する対応能力の開発支援にアクセスすることが可能となります。 当該枠組みの指令によれば、BEPSの4つのミニマム・スタンダード、すなわち、 有害な租税慣行、租税条約の濫用、移転価格文書化、クロスボーダーの租税紛争解決の改善の、各分野における実施状況のレビューに注力することが計画されています。 新たなBEPSアソシエイトを含む租税委員会の初会合は2016年6月30日および 7月1日に京都で開催されます。 _____________________________ 1. http://www.mof.gov.sg/news-reader/articleid/1659/parentid/59/year/2016?category=Press%20Release

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

【シンガポールの立場】

シンガポール財務省は、BEPSプロジェクトの世界的な実施に向けた包括的枠組みに参加し、BEPSプロジェクトの実施およびモニタリング・フェーズの進展に向けて 他国と協働する旨を公表しました。シンガポールは、上記パラグラフで言及したBEPSプロジェクトの4つのミニマム・スタンダードを実施することにコミットしています。シンガポールは、2013年よりOECDのCFAに参加しており、BEPSプロジェクトの 立案に積極的に関与してきました。また、シンガポールは、BEPSプロジェクトの 実施に向けた新たな枠組みを包括的な枠組みとするようOECDおよびG20諸国と協働してきました。 BEPSプロジェクトの4つのミニマム・スタンダードに関するシンガポールの立場の詳細

• 有害な租税慣行への対応:シンガポールは経済の一定分野に対する投資を 推進するため優遇税制を活用していますが、こうした優遇税制は法制化され、適格する活動に対し特定の期間認められています。優遇税制は、妥当性および 競争力を維持するよう定期的に見直されます。優遇税制の受益者は、 シンガポールに実質的な活動拠点を有し、経済全体の成長に対し有意に 貢献する必要があります。

有害な租税慣行への対応に関する取り組みとしては、明確に定義された以下の

5つのリスク分類について、合意された期日およびフォーマットに従い、一定の決定に関する義務的開示を行うことにより、透明性の向上に力を入れている 点も注目に値します。

• 優遇税制に係るルーリング • 一国のみによる移転価格の事前確認(ユニラテラルAPA)、または移転価格に関連した他のクロスボーダー・ユニラテラル・ルーリング

• 課税所得の減額調整を要求するクロスボーダールーリング • PEに係るルーリング • 関連当事者間の導管取引に係るルーリング

• 租税条約の濫用防止:シンガポールは条約漁り(各種条約を利用した租税回避行為)を認めていません。シンガポールは、多くの場合、二国間条約において 条約の濫用防止を目的とする条約漁り防止条項を設けています。現在、 シンガポールは、OECDおよびG20の支援の下、関係諸国と共に、条約濫用 防止への対応として、既存の二国間条約にBEPSの施策を組み込む他国間 協定の策定に取り組んでいます。シンガポールは、当該協定が最終化され、 各国による調印が可能となった段階で調印の是非を検討します。

他国間協定を策定するこの特別なグループ(現在96カ国が参加)は、2016年12月31日までに作業を終え、調印を可能とすることを目指しています。

• 移転価格文書化:シンガポールは国際的に合意されたアームスレングス原則を遵守しています。シンガポールは、最終親会社がシンガポールに所在し、 グループ売上高が11億2,500万シンガポール・ドル(7億5,000万ユーロ相当)を超える多国籍企業について、2017年1月1日以降に開始する会計年度より 国別(country-by-country、以下「CbC」)報告書を実施することにコミット しています。こうした大企業は、会計期間の最終日から12カ月以内に シンガポール内国歳入庁(Inland Revenue Authority of Singapore 、以下「IRAS」)に対しCbC報告書を提出する必要があります。IRASは、以下の条件を 充足する場合、二国間協定を締結済みの各国との間でCbC報告書に関する 情報の自動交換を行います。

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• 相手国が堅固な法規制を有し、交換する情報の機密性を確保し不正利用の防止が可能であること

• 相互に情報交換が行われること IRASはCbC報告書の実施の詳細について、シンガポールに本社を置く他国籍企業とさらに協議を行い、2016年9月までにその詳細を公表する予定です。

• 紛争解決の強化:IRASは、二国間租税条約に規定される相互協議手続きを 通じ、外国税務当局との間で、クロスボーダーの租税紛争の解決に積極的に取り組んでいます。シンガポールは、BEPSアソシエイトとして、他国と緊密に 連携し、BEPSプロジェクトの下で策定された紛争解決のミニマム・スタンダードの実施状況をモニタリングする予定です。こうした取り組みにより、BEPSの他の ミニマム・スタンダードが補完されると共に、納税者にとっては、二国間租税 条約に基づく効果的かつ利便性の高い紛争解決メカニズムへのアクセスが 可能となります。

【結論】

シンガポールが包括的枠組みへの参加を公表したことは、総じて納税者に歓迎されています。多くの納税者は、BEPSの施策の実施に関連するシンガポールの租税 政策を「静観」してきましたが、これにより、強く望まれていた明確化が図られます。 包括的枠組みに参加することにより、シンガポールは、前述した4つのBEPSの 施策についてミニマム・スタンダードを採用することにコミットしています。直近では、BEPS行動計画8、9、10および13に基づく移転価格関連の他のBEPS施策をOECD移転価格ガイドラインの改訂版に取り込むことが2016年5月23日のOECD理事会により承認され、これらのBEPS施策の位置付けが正式に引き上げられる ことになりました。上記にかかわらず、BEPSの勧告の完全な遵守に向け、 シンガポールの租税システムに対するさらなる改善が求められています。残るBEPS施策をシンガポールが採用するか否か、また、それらをどのように採用するかはまだ決まっていません。 シンガポールは、BEPSアソシエイトとして、BEPSプロジェクトの施策の一貫した 実施に向け、国を超えた対等の立場で、他の参加国と共に協働することが可能 です。

シンガポールは、この包括的枠組みへの参加に最初に動いた国の一つですが、 これは、BEPSプロジェクトの根底にある主要な原則に対するシンガポールの コミットメントを改めて示すものであり、健全なビジネス拠点として、また、条約の 濫用を認めない国として、シンガポールの地位を保持する上で重要となります。 こうしたBEPSへの参加に伴う変化(特に透明性に関する変化)として、納税者にとっては、この新たな国際基準を遵守するため、報告負担のほか、事実上の オペレーティング・モデルの見直しなど、追加的な負担が不可避となるでしょう。 しかしながら、これらは僅かな負担と見なすべきと考えられます。世界的に高い 透明性が求められるなか、シンガポールが、その魅力的な税制に加えて、世界的に認められた租税政策の基準を採用することによって、シンガポールを相手国とする取引において、他国の税務当局による調査が減少すると考えられます。 納税者は、BEPSが税務のみに関連するものではない点に留意すべきです。BEPSを中心とする取り組みによって生まれる新たな世界的な租税環境は、持株構造、 オペレーティング・モデル、ITインフラ、人材の流動性、資金調達等、ビジネス組織のあらゆる側面に関連しています。国際展開を行う納税者は、その規模の大小に かかわらず、ビジネス上の競合と税務面の圧力に対処するため、BEPSに注意深く対応する必要があります。

2. 地域別ニュースレター l シンガポール

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

マレーシア マレーシア 税務アップデート 2016年6月

還付税金に関する偽のメールに注意

マレーシア内国歳入庁( IRB)は2016年4月28日に「LHDNM menafikan mengeluarkan emel bayaran balik [email protected](e-mail アドレス “[email protected]”から届くメールはIRBとは無関係)」と題する3ページにわたるメディアリリースを行った。

通達No.3/2016 「事業の結果として受領した受取利息に関する税務上の取扱い」

2016年5月16日にIRBは内国歳入庁通達No.3/2016「事業の結果として受領した受取利息に関する税務上の取扱い」を公表した。

クアラルンプール、アジアにおける地域統括拠点

マレーシアの首都でありアジア地域有数の大都市であるクアラルンプールは2020年までの先進国入りを目指しており、今や重要な転換点を迎えている。多様な文化を持つマレーシアはその多様性やグローバル経済との強いつながりにより進化を遂げている。

デジタルテクノロジーや産業のアウトソーシングによる今日の急速なグローバル経済の収斂により、今後クアラルンプールはグローバル経済におけるアジア地域のキー プレーヤーとなることが期待される。

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タックスアップデート 2016年4月 ベトナム

標準価格未満で物品を販売する場合の付加価値税(Value Added Tax、以下「VAT」)に関する2016年1月25日付オフィシャルレター 第721/CT-TTHT号(OL 721)

OL 721によれば、通常の取引価格を下回る価格で従業員に物品を販売する場合、 販売促進活動とは見なされません。このため、企業は、通常の取引価格により、 VAT課税価格を申告しなければなりません。

2009年2月19日付通達第32/2009/T-BTC号に代わる、石油・ ガ ス 事 業 へ の 課 税 に 関 す る 2016 年 2 月 26 日 付 通 達 第36/2016/TT-BTC号(通達第36号)

当該通達では、石油・ガス法の規定に基づくベトナムでの原油およびコンデンセート(以下「原油」)、ならびに、天然ガス、随伴ガスおよび石炭ガス(以下「天然ガス」)の調査、探鉱および採掘に係る税務上の取扱いに関するガイダンスを規定しています。 重要な変更の一部は以下の通りです。

• 石油契約への参加権の間接的な移転は、ベトナムでの課税対象となります。 ただし、ガイダンス上、このような間接的な移転に関する税率および課税方法については不明確となっています。また、当該通達が、他の間接的な移転に対する課税に関し、より一般的なガイダンスを規定していると見なすべきか疑問が残ります。

• 通達第36号からロイヤルティに関する標準税率が削除され、別個のロイヤルティに関する規定に標準税率が定められています。

• 輸出関税の年次照合が今後義務化されます。また、石油およびガスに関連する一定の特定支出について、税務上の控除可否に関するガイダンスが規定されています。

当該通達は2016年4月12日より発効し、2016年1月1日以降に販売される原油および天然ガスについて、2016年の課税年度より適用されます。

外国契約者税(Foreign Contractor Tax、以下「FCT」)申告上の為替レートに関する2016年3月14日付オフィシャルレター第982/TCT- CS号(OL 982)

税務総局(General Department of Taxation、以下「GDT」)は、外国契約者税の申告時に適用する収益の換算レートは、外国契約者が通常取引を行う商業銀行が公表する買い入れレートにする必要があるとしています。

保税倉庫を通じた物品の販売に係る外国契約者税の取扱いに 関する2016年4月4日付オフィシャルレター第1368/TCT-CS号(OL 1368)

OL 1368によれば、保税倉庫を通じたベトナム企業への物品の販売は、ベトナムでの貿易活動として扱われ、外国契約者税の課税対象となります。これは、保税 倉庫が、国境に関する法律(Law on National Borders)に定める国境には該当せず、外国契約者税の目的上、物理的にベトナム領域内にあるとの立場によるものです。

このため、行政上の罰金や遅延利息を回避するため、現地税務当局の指摘を 受ける前に、企業側が類似の事例を再確認の上、適切な対策(例:自主申告および納税)を取ることが推奨されます。

2. 地域別ニュースレター l ベトナム

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

定期的な投資活動に対する法人所得税の優遇措置に関する2016年4月7日付オフィシャルレター第4769/BTC-TCT号(OL 4769)

OL 4769により、財務省は、2009~13年の間に行われる定期的な投資活動であって、事業拡大とは見なされないものについて税制優遇措置を導入しました。 これにより、以下の条件を充足することを前提に、追加的な機械および設備への 定期的な投資活動から生じた所得について、上記の期間、税制上の優遇措置の適用を受けることができます。

• 以下のいずれか一つを原資としていること

• 固定資産減価償却準備金

• 税引後利益

• 登録済みの資本金内での資本増加

• 登録済みまたは承認済みの事業計画に基づく事業能力の拡大につながらないこと

上記の基準は、監査済みの課税年度であっても2009~13年の期間に遡及適用されます。

当該OLは、2009~13年の期間に行われた定期的な機械および設備の購入に 対する法人所得税の優遇措置について、企業の懸念を解消するものです。さらに、当該OLにより、監査において追徴課税が行われた納税者への補償が可能となり、当該納税者は当該OLの恩恵を受けることが可能となっています。ただし、当該OLで対処されていない他の関連事項が多数あるため、引き続き、納税者と税務当局 との間で紛争が生じる可能性があります。

2016年4月6日に国会で承認された輸出入関税に関する法律(2016年輸出入関税に関する法律)

2016年輸出入関税に関する法律の注目すべきポイント

▶ 輸出生産を目的として輸入された資材、補充品および部品は、今後、関税が 免除されます。また、輸出生産への利用を目的として輸入された資材、補充品 および部品であって、これらにより製造された最終製品がまだ輸出されていないもの、または、一時輸入・再輸出スキームの対象である貿易品であってまだ 再輸出されていないものについても、2016年9月1日以前に現地税関当局に 関税申告上の登録を行っている場合、関税免除の対象となります。

▶ 私たちがタックスアラートで言及した通り、当該改正に併せて、輸出生産を目的とする輸入資材に関する275日の納税期限が撤廃されています。

▶ ホテル、オフィス、賃貸アパート、家屋、銀行、保険、監査およびコンサルタント・サービスへの投資プロジェクトを目的として初めて輸入される設備は、今後、 輸入関税免除の対象外となります。

▶ 輸出入関税の納税者が詳細に定義されています。

▶ 反ダンピング関税、反補助金関税および暫定的セーフガード関税を含む貿易 救済措置について、その条件、原則および適用される時間軸が、法律上、明確に定められています。貿易救済措置に関する決定及び管理は工商省(Ministry of Industry and Trade)が所管しています。

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タックススポットライト 2016年4月

個人・家内事業者向けの各種支払いから生ずる税務上の論点

支払割引および販売目標達成のための支援給付

現行の税制および最近のGDTの決定によれば、支払割引および販売目標達成のための支援給付は、事業者である個人の事業所得と見なされ、事業所得に対し1%の税率による個人所得税が課税されます。当該金額を支払う企業は、個人・家内 事業者に代わり個人所得税の申告および納付を行う義務を負います。

また、当該決定によれば、早期支払いに対する割引や販売目標を達成した個人に対する支払はVATの課税対象ではないとされています。従って、個人・家内事業者にはVATの納税義務は生じません。これらのタイプの支払いについて、企業は、 法人所得税計算上、上述の個人所得税の申告を除き、これらの支出を控除する 上でさらに説明資料を取得する必要はありません。

ただし、広告および販売促進のための支払いはサービス手数料と見なされ、VATの課税対象となります。

このように、企業が個人・家内事業者向けに支援給付を行い、その見返りにサービスの提供を受ける場合(例:広告、販売促進等)、当該支援給付はVATの課税対象となる可能性があります。個人・家内事業者が企業に対してインボイスを発行することができる場合、企業は、支援給付につき1%の税率による個人所得税を源泉徴収する必要があります。また、当該支援給付は、個人・家内事業者自身が税務当局からインボイスを購入してVATの申告を行うことから、法人所得税計算上、 損金として扱うことができます。個人・家内事業者がインボイスを発行できない場合、企業は法人所得税の計算上、当該費用を控除することはできません。

業者割引

契約に基づき供与される業者割引であって、インボイス上で直接控除されるもの(商法に基づき規制される代理人向けのコミッションまたは販売促進費を除く)に ついては、個人所得税は課税されません。個人・家内事業者が代理人であるか 否かにかかわらず、契約に基づき業者割引を適用する場合、企業は個人所得税の源泉徴収義務を負いません。

業者割引は、個人・家内事業者に対し企業が発行するVATインボイスに記載されます。従って、業者割引に対してVATは課税されません。法人所得税については、代理人・個人に対する通知、月次/四半期・年次の業者割引のリスト、支払領収書など十分な説明資料がある場合、業者割引を売上高の減額として記帳することができます。

現物贈与および販売促進策

企業が物品を贈与・供与する場合、その所有権または使用目的を国家機関に登録する必要があり、当該贈与は、贈与による所得として個人所得税が課税されます。企業が、商法に基づき規制される販売促進キャンペーンを実施する場合、 キャンペーンにより受領した1,000万ドンを超える所得の支払いおよび贈与は、 賞金獲得による所得として個人所得税が課税されます。企業は、顧客に対して 所得の支払いまたは物品の供与を行う前に個人所得税を源泉徴収する義務を 負います。

企業が、販売促進キャンペーンとして、受益者または価格割引を特定することなく、大規模な試供を目的として物品またはサービスを付与または供与する場合、 企業は個人所得税の源泉徴収義務を負いません。

VATに関しては、物品・製品が供与される販売促進策が登録されているか否かに応じ、企業は物品・製品に関する適正なVATインボイスを発行しなければなりません。

2. 地域別ニュースレター l ベトナム

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

推奨事項

支払割引、販売目標達成のための支援給付、現物贈与または商法の規定に 基づく販売促進のため、企業が費用を負担する場合、企業は、支払い前に個人 所得税を源泉徴収すると共に、上述の通り十分な説明資料を取得しなければ なりません。企業が、新たに個人・家内事業者との取引を行う場合、法人所得税 計算上の控除の確実性を高めると共に、個人所得税の源泉徴収不足により税務監査人から個人所得税の徴収を受けることを回避するため、各種取引の特性を 考慮することが推奨されます。

タックスアップデート 2016年5月

仕入VATの控除請求/VATの還付申請に必要なみなし輸出取引(on-the-spot export transactions)の説明資料に関する2016年4月7日付オフィシャルレター第1444/TCT-KK号(OL 1444)

OL 1444では、みなし輸出取引について、VATインボイスまたは輸出インボイスに代えて、コマーシャル・インボイスを既に利用している企業の場合であっても、以下の条件を充足する場合、仕入VATの控除請求またはVATの還付申請が可能であることを確認しています。

• 販売契約・加工契約において、引き渡し場所がベトナム領域であることが明記されていること

• 所定の税関手続きが完了していること

• 銀行の支払領収書が取得されていること

• 会計帳簿上、輸出取引からの収益が完全に記録されていること

ただし、この場合、不正確なインボイスの様式を使用している企業には罰則が適用されます。

福利厚生費用の控除の決定に関連する実質賃金財源の計算根拠に関する2016年4月19日付オフィシャルレター第21071/CT-TTHT号(OL 21071)

法人所得税の規定上、福利厚生費用の控除額は、賃金財源の総額から支出する実質月額賃金の平均を上回ってはなりません。

当該OLでは、法人所得税の計算上、福利厚生費用の控除額の計算に用いる実質賃金財源の総額の決定方法を明確化しています。当該OLによれば、実質賃金 財源の総額には、給与、ボーナス、手当、個人所得税および国家財源への拠出のために源泉徴収する強制加入保険の保険料が含まれます。

当該OLにより、上記目的において、実質賃金財源の決定方法に関し存在していた実務上の懸念が解消されています。ただし、当該OLはハノイ税務署により発行 されているため、他の税務当局が異なる解釈を行う可能性があります。

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銀行本店における従業員の個人所得税の申告および源泉徴収に関する2016年4月27日付オフィシャルレター第1754/TCT-TNCN号(OL 1754)

OL 1754において、税務総局は、一定の雇用費用の支払いおよび会計記録が 銀行本店で集中管理されている場合の個人所得税の申告および源泉徴収に 関するガイダンスを規定しています。こうした雇用費用には、すべての従業員の 賃金および給与所得、労働契約がない個人又は3カ月未満の労働契約に基づく 個人の賃金および給与所得のほか、富くじによる所得が含まれます。

当該OLによれば、本店は、個人所得税の申告、源泉徴収及び申告書の提出を 税務当局に対し直接行います。ただし、個人所得税の納付額は、現在、支店に 勤務する従業員の現実の個人所得税源泉徴収額に基づき、各支店が所在する 地域の国営銀行に配分します。

当該OLのガイダンスは、当該OLで指定された銀行と同様のビジネス・モデルを 採用する企業に対する前例として利用される可能性があると私たちは考えています。

物品の輸出に関連するサービスに適用される10%のVAT税率に関する2016年5月4日付オフィシャルレター第1841/TCT-CS号(OL 1841)

OL 1841によれば、ベトナムの輸出業者と他の国内事業者との間の付随契約に 基づき供与される物品の輸出に関連するサービスは、サービスの輸出とは見なされず、10%の税率によりVATが課税されます。

当該OLによれば、税務総局は、サービスがベトナム国外で消費される性質のものか否かには着目せず、VATの税率を決定するうえで、サービスがベトナムの輸出 業者により直接履行されたか否かのみを考慮しています。

リースを目的とする資産を所有する個人に関する課税所得の基準に関する2016年5月4日付オフィシャルレター第1834/TCT-TNCN号(OL 1834)

個人が資産のリースにより得た所得が年間1億ドン未満の場合、リースの契約 期間が12カ月未満であるが否かにかかわらず、個人所得税およびVATの申告 および納付は必要ありません。また、当該OLでは、資産のリースによる個人の 年間収益が1億ドンを超える場合であっても、地方税務当局は当該個人に対して インボイスを発行しないこととされています。

上記ガイダンスを踏まえると、個人の土地所有者に対しリース費用を支払う企業は、リース契約、支払額の領収書、個人所得税の源泉徴収証明書(企業が支払い前に個人所得税の源泉徴収を行う義務を負っている場合)などの説明資料がある場合、法人所得税の計算上、当該費用を控除できる可能性があります。

2. 地域別ニュースレター l ベトナム

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

固定資産の管理、利用および減価償却に関する財務省(Ministry of Finance、以下「MoF」)通達第45/2013/TT-BTC号(通達第45号)の改正および補足に関する通達案

通達第45号の数カ所の改正を含む本通達案には、一部注目すべき論点が規定 されているため、企業は注意を払う必要があります。

建設・運営・譲渡契約(Build-Operate-Transfer、以下「BOT」)および事業協力契約 (Business Cooperation Contract:BCC)に基づくプロジェクトについては、固定資産の減価償却期間を契約期間に基づいて決定しなければなりません。これにより、調印済みの契約の期間が固定資産の減価償却期間よりも短い場合の問題が解消されます。

当該通達案では、新たな資産タイプ、すなわち、規定された6つのタイプの固定 資産に分類されないタイプ7(美術品、芸術品等)が追加されています。

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タックススポットライト 2016年5月

ベトナムで労働許可を申請する外国人に関して生ずる論点

1. 犯歴証明書の要件

政令第11号では、労働許可を申請する外国人は、外国において発行された犯歴証明書その他の書類を提出し、犯歴がなく、刑事訴追の対象でないことを証明 しなければなりません。当該外国人がベトナムに居住したことがある場合、ベトナム 政府機関による犯歴証明書の発行も必要となります。

犯歴証明書に関する当該要件は、過去にベトナムに居住したことのある外国人にとって特に困難となる可能性があります。例えば、短期の出張や長期任務に備えたオリエンテーションを目的として、数日間のみベトナムに滞在したことのある外国人であっても、ベトナムの犯歴証明書の取得を求められる可能性があります。同様に、過去にベトナムに居住したことがあり、その後母国に帰国し、今回改めてベトナムでの労働許可申請を希望する個人も、ベトナムでの犯歴証明書の取得を求められる可能性があります。ベトナム政府がオンラインまたは在外公館を通じた犯歴証明書の申請をサポートしない限り、これらの申請者は、ベトナムでの証明書の申請に おいて容易ではないことが予想されます。ベトナムに短期間のみ居住した外国人に対して犯歴証明書を求める場合、労働許可申請上の大きな障害となります。

政令第11号の一部条文に対するガイダンスを規定する通達案では、労働許可 申請における犯歴証明書の要件が明確化されていません。

2. 短期就労のためにベトナムを訪問する外国人に対する労働許可の免除

政令第11号によれば、ベトナムで管理者(managers)、業務執行取締役(executive directors)、専門家(specialists)または技術者(technicians)として就労する外国人は、1回の滞在が30日未満で、年間の累計滞在日数が90日を 超えない場合、労働許可は不要とされています。これらの場合、労働許可の免除証明書も不要となります。従前は、このような短期就労外国人の場合であっても 労働許可申請が必要か否かが不明確であったことを踏まえると、これは好ましい変化といえます。

ただし、政令第11号および通達案の実施ガイドラインにおいては、短期労働者の取扱いが引き続き不明確となっています。

(a) 短期労働者は、政令第11号が定める管理者、業務執行取締役、専門家または技術者の資格要件および職務経歴要件を遵守する必要があるのでしょうか?

(b) 通達案の報告書サンプル(15番)によれば、ベトナムの雇用主は、短期労働者およびその滞在期間に関する報告書を四半期ごとに提出 しなければなりません。当該報告書のサンプルでは、短期労働者の専門資格要件および職務経歴要件を証明するプロセスについて詳細は 示されていません。雇用主がこの規則をどのように遵守し、当局が 四半期報告書をどのように監査するのかが不明確となっています。

2. 地域別ニュースレター l ベトナム

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

3. ベトナムの外国人労働者に関する新たな要件

政令第11号は、専門家、管理者および業務執行取締役として就労する外国人に関し、従前よりも厳格な条件を規定しています。

政令第11号によれば、外国の関係当局、組織または企業が精通者であることを

証明する場合を除き、専門家は、学士と同等またはそれ以上の学位を有し、さらに、訓練を受けた専門分野での職務経歴を最低3年間有している必要があります。

また、職務経歴は、当該外国人がベトナムで務めるポジションと一致していなければなりません。

加えて、政令第11号に定める管理者または業務執行取締役の定義によれば、統一

企業法に定めのない他の管理者ポジション(部門長、副部長、取締役、 マネージャー等)の場合や、企業の子会社の責任者でありかつ直接的な業務 執行者に該当しない人物の場合、今後は専門家の分類によって申請を行わなければなりません。

実務上、経験豊かな外国人の多くは、大学時代の専攻とは異なる職業に就いて います。このようななか、証明書を発行する組織または企業に関し、記載内容、必要条件または法的要件に関する明確な規定が存在しないため、労働傷病兵社会 福祉省は依然として、組織または外国企業が発行する証明書を拒絶し得ることと なります。

これらの変更のため、過去に労働許可が認められ、ベトナムで長期間就労した 外国人は、多くの場合、労働許可の再発行を申請できないこととなります。

推奨事項

雇用主は、政令第11号の詳細なガイダンスを規定する通達およびその他の法的

文書の発行状況を監視し、ベトナムで就労する外国人の管理に関する新ルールを適用する必要があります。また、雇用主は、政令第11号がどのように実施されて

いるかを理解するため、変化する現地慣行を定期的に監視する必要があります。このようなステップを踏むことにより、ビジネスリスクの回避、法令の完全な遵守につながるでしょう。

雇用主は、労働許可の再発行申請を適時に行えるよう、現在ベトナムで就労する外国人労働者の資格および職務経歴をレビューする必要があります。労働許可の再発行申請に必要な文書の認証手続きおよびその時期が極めて重要となります。雇用主および外国人労働者は、認証の要件と時間枠を認識の上、これに従って 計画を策定すべきでしょう。さらに、雇用主は、外国人を採用する場合または 外国からベトナムへ人材を派遣する場合、各ポジションの資格要件および職務 経歴要件を考慮する必要があります。

実務上、短期労働者は、専門家または技術者の適格要件である専門資格要件 または最低3年間の職務経歴要件を充足しない可能性があります。資格要件と 職務経歴要件の双方を充足しない外国人は、短期間であってもベトナムでの就労が認められないものと解釈されます。この解釈は厳格すぎるでしょうか?

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輸入ソフトウェアに関連するサービスに適用されるVAT税率に関する2016年4月22日付オフィシャルレター第22862/CT-HTr号(OL 22682)

ハノイ税務署が発行したOL 22682によれば、輸入ソフトウェアに関連するサービスは、源泉税(みなし法人所得税率5%、みなしVAT税率5%)の課税対象となります。 みなしVAT税率5% は通常のサービスに対して適用される税率です。

通達第219/TT-BTCによれば、ソフトウェア・サービスはVATの課税対象外の項目として分類されています。従って、OL 22682は、通常のVAT税制に基づくガイダンス とは異なります。

輸入ソフトウェア・サービスに対する支払いを行っている企業は、当該取引を 再確認の上、本件に関する現地税務署の見解をさらに確認することが推奨 されます。

支店が本店に現金を支払う購入取引における仕入VATの控除可否に関する2016年5月23日付オフィシャルレター第2184/TCT-DNL号(OL 2184)

OL 2184によれば、支店が本店に現金の支払いを行う場合、当該支払方法が グループの内部方針に規定され、かつ、本店がこれに対応する売上VATを申告の上で納税を行う場合、支店には仕入れVAT控除の請求が認められます。

外国企業が保税倉庫で他の外国企業に物品を売却する場合のFCTに関する2016年6月1日付オフィシャルレター第2389/TCT-CS号(OL 2389)

OL 2389によれば、外国企業が物品をベトナム国内の保税倉庫に保管し、これをベトナム企業又は他の外国企業に販売する場合、当該外国企業の販売収益に 対しFCTが課税されます。

供給者および顧客の双方が外国企業である保税倉庫での販売取引について、 税務当局がFCTの課税関係を確認するのはこれが初めてです。この決定では、 両企業が法的にベトナムに所在していない場合の税務申告の仕組みについては解説されていません。税務当局は、保税倉庫の所在する税関当局と協力し、FCTを徴収する可能性が高いと私たちは見ています。

タックスアップデート 2016年6月

企業の事業開発支援に向けた2020年までの対策に関する2016年5月16日付決定第35/NQ-CP号(決定第35号)

当該決定において、政府はMoFに対し、以下に関して、企業の事業開発を支援する2020年までの税制案の策定を指示しています。

• 中小企業に対する法人税率の引き下げ。MoFの草案によれば、中小企業に 対する法人税率が15%または17%に引き下げられる可能性があります。

• 現在、不動産譲渡損失は、事業所得と相殺することが可能ですが、この逆は 認められません。当該決定により、今後、双方向の相殺、すなわち、不動産 譲渡所得を事業損失と相殺することが認められます。

• ハイテク産業、農業および農産品加工分野で就労する個人に対する個人所得税の50%軽減

加えて、MoFは、租税および関税に関する行政手続きの簡素化に向けた見直しと一定の対応案の策定についても指示を受けています。

2. 地域別ニュースレター l ベトナム

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

インド JBS フラッシュニュース 6月号

【税務】2016年財政法案が法制化

【税務】支店・駐在員事務所・プロジェクトオフィス設立に係る規則および ガイドラインの改正

【税務】インド-モーリシャス租税条約を改正する議定書に調印

【税務】Ind-AS適用企業に対するMATフレームワークを提出

【税務】MEISとSEISの適格要件の変更を通知

【税務】2016年所得申告スキームのFAQを公表

2016年財政法案は2016年5月5日に下院を通過、2016年5月11日に上院で承認、その後当法案は2016年5月14日に大統領の承認を経て法制化されました。これと並行して、さまざまな改正が行われました。本稿では、財政法の成立による主要な変更点の他、支店・駐在員事務所・プロジェクトオフィスの設立に係る 変更、そして、今後インド-シンガポール租税条約にも影響を与えることになる インド-モーリシャスの租税条約の改正に関する動向等をお伝えします。

1.大統領の承認を得て、2016年5月14日に2016年財政法案が 法制化

本稿は、2016年財政法案の成立日、すなわち5月14日から適用される主要な変更点をまとめたものです。

• 公然のサービス(1994年財政法の下で)の範囲に、無線周波数スペクトルの 使用権と、その後の譲渡も含むよう拡大されました。

• 不正、事実の隠蔽、故意の虚偽表示を伴わない事案の調査期限は、物品税 および関税は1年から2年に、サービス税は18カ月から30カ月へ延長。

• 2016年間接税の紛争解決スキームは、2016年3月1日においてコミッショナー(控訴)で係争中の物品税、関税およびサービス税の訴訟を削減させるために導入されました。

• 1962年関税法の下、倉庫品の保管、出荷および移送や倉庫のライセンスに 関する規則が発行されました。

詳細は以下リンクをご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Tax_Alert_FB_16/$FILE/Tax_Alert_FB_16.pdf

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2. インドで支店・駐在員事務所・プロジェクトオフィス設立に係る 規則およびガイドラインの改正

2000年5月3日付No. FEMA 22/2000-RBの従来の通達に代わる、インド準備銀行(RBI)は2016年外国為替管理規則(支店・駐在員事務所・ プロジェクトオフィス・他の事業を行う場所)を発行しました。また、RBIは、 この改正規則を施行するため、2016年5月12日付で手続き上のガイドラインとして、A.P. (DIR Series) 69号通達を発行しました。改正規則および 手続き上のガイドラインの特徴は以下のリンク先で概要を説明しています。 当該規則は官報で公表された2016年3月31日から施行されています。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/BO_PO_alert/$FILE/BO_PO_alert.pdf

3. 2016年5月10日、1982年インド-モーリシャス租税条約を改正

する議定書に調印

本稿は1982年にインドとモーリシャス間で締結された現行の租税条約への主要な改正点について要約したものです。2016年議定書はモーリシャス 政府の公式なウェブサイト上で閲覧可能で、2016年5月10日のインド政府によりプレスリリースされました。キャピタルゲイン条項への改正は、両国においてそれぞれの国内手続きを経た後、両国間で批准書を交換し、2017-18課税年度から施行となります。

意義深いことに、改正議定書は、源泉地国での課税権を拡大するための多くの

規定(サービス恒久的施設課税〈PE〉条項、技術役務料金〈FTS〉条項、株式からのキャピタルゲイン、銀行の利子所得や他の所得に対する源泉地国課税等)を含んでいます。同時に、利子所得に対する源泉地国課税の制限税率は7.5%となりました。

重要なことに、改定議定書はまた、2017年3月31日以前に取得した株式に

ついては、源泉地国課税の対象外とするよう規定しています。株式譲渡に よるキャピタルゲインへの源泉地国課税を削減する経過措置(国内法上の 税率の半減)も2017年4月1日から2019年3月31日までの期間を設けて 規定されています。しかしながら、特典制限条項も、経過措置規定を適用するために設けられています。また、2017年3月31日以前の銀行借入金の利子についても、課税権は及ばないよう規定されています。

情報交換に関する規定も、現行の国際基準に沿って改定されています。

さらに、「租税徴収の共助」の条項も導入されました。 詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/India_Mau_Protocol.pdf/$FILE/India_Ma

u_Protocol.pdf

2. 地域別ニュースレター l インド

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

4. 直接税中央委員会(CBDT)はInd-AS適用企業に対するMAT フレームワークを提案

本稿では、インドにおける直接税の最高行政機関である、直接税中央委員会(CBDT)が設置した委員会により提案されているフレームワークについて 解説しています。この中で、国際財務報告基準(IFRS)に準じた会計基準で ある、新インド会計基準(Ind-AS)に基づいて財務諸表を作成している企業において「帳簿上の利益」に基づいて課される最低代替税(Minimum Alternate Tax、以下「MAT」)に関するインド税法を改正するよう求めて います。

企業省(MCA)は2016年4月1日以降開始する事業年度より段階的にInd-ASの

適用を通知しており、会計基準委員会は2015年6月8日にInd-ASへの移行を考慮したMATフレームワークを提案しています。

委員会による税法および2013年会社法のレビューにおいて、以下の2点が

指摘されています。 (a) 「配当可能利益(税金および配当分配前利益)」とMATの課税標準との

間に間接的な関係があること (b) 配当は過去の実現した利益もしくは未実現であっても当期の利益から

支払うことが認められるということ それに伴い、Ind-ASにおいて新会社法に基づく「任意積立金」の範囲と「配当

可能利益」の決定に関し、公正価値評価を一般的に採用するInd-ASに対し どのような取扱いになるかMCAに意見を求めました。MCAは、Ind-ASにおいて経営者の報酬や配当の上限を決定するための配当可能利益は、Ind-AS内の損益計算書のその他包括利益(OCI)の部に含まれる項目以外を指すと 明確化しました。これにより委員会は、Indo-ASの損益計算書基準に基づく「帳簿利益」を基にMAT課税に対し下記3つそれぞれを提案しています。

1. Ind-ASでは、損益計算書(P&L)とその他包括利益(OCI)の結合計算書が求められる。OCIは主として公正価値評価差額で構成されるため、最低代替税分は、P&LとOCIを合わせた包括利益合計からではなくP&L から算出されるべきである。現在のMAT規定同様、P&Lによる利益は上方または下方修正によって調整される。

2. 最低代替税がP&Lから算出されるべきではあるものの、OCIに含まれる

ような項目も適宜考慮する必要がある。例えば、再評価剰余金・ゲインなどは、資産や投資の実現・除却・廃棄の時点でMAT算出時に考慮 されなければいけない。

3. Ind-AS初度適用に際し、直接未処分利益に振替えられ、将来のP&Lに組替えられない項目は、Ind-AS適用初年度にてMAT算出時に考慮 されなければならない。

CBDTはこれまでの協議のアプローチを継続しながら委員会報告書を作成し、

さらなる明確化やガイドラインを必要とする問題や意見を2016年5月10日までに株主や一般公募から集めています。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/CBDT_MAT_framework/$FILE/CBDT_MA

T_framework.pdf

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5. DGFTはMEISとSEISの優遇税制の適格用件を変更。CBDTはInd-AS適用企業に対するMATフレームワークを提案

本稿は、2016年5月4日にDGFT(外国貿易長官)が発行した、MEIS(インドからの物品輸出スキーム)とSEIS(インドからのサービス輸出スキーム) それぞれの改正に関する公告No.06/2015-2020と07/2015-2020を要約したものです。

DGFTはNo.06/2015-2020の公告で指定された物品について、輸出国に

かかわらず2%または3%の単一の税率を規定するため、国際貿易委員会の優遇率付き製品ごとの(HS)コードリストからなる付属書3Bの表2を改正 しました。これにより、MEISの対象となる市場はすべての国に拡大されました。

改定前は、表2に記載のある5012の物品のうち2787の物品に関し、優遇の

規定があったのはすべての国グループではなく、特定の国グループのみ でした。このことから、このような物品に対する優遇便益を主張する場合、 陸揚の証拠として陸揚報告書が必要でしたが、この度すべての国(市場の)へ 対象市場が拡大され、国別区分が廃止されたため、MEISスキームの優遇を受けるための陸揚報告書は不要となります。

DGFT(外国貿易長官)は、No.07/2015-2020の公告で、インド・ルピーで

支払いを受けるSEISの優遇資格のあるサービスの一覧を公表しました。 このような支払いは、2015~20年度外国貿易政策(FTP)の3.08(C)に従い、2015~20年度FTPの3.08(C)の観点から、RBIのガイドラインにより、 みなし外貨での受領として扱われます。

SEISの特典が、海外の取引先への送金額のうち、関税特別区でインドの

エージェントからインド・ルピーで支払いを受ける外国ライナーへの特定のサービスの提供にまで拡大されました。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/CBDT_Circular_11_alert/$FILE/CBDT_Ci

rcular_11_alert.pdf

6. 2016年所得申告スキームのFAQを公表

CBDTが、2016年所得申告スキームについてFAQの形式で明確化のため、通達を公表しました。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/IDS_FAQ.pdf/$FILE/IDS_FAQ.pdf

コメント

インド中央統計局(CSO)は5月31日、2015~16年度の実質国内総生産(GDP) 伸び率が7.6%だったと発表しました。また、インド産業政策促進局(DIPP)によると、2015~16年度のインドへの海外直接投資(FDI)は、前年度比約30%増加し、2000~01年度以降で最高額となったとのことです。4月の地方選挙でも国政与党のBJPが躍進したことから、今後、上院において国政与党の議席増につながり、 ねじれ国会の解消が期待されます。着実に変わり続ける情勢のなかで、皆様の お役に立てるよう、私たちは情報発信していきます。

2. 地域別ニュースレター l インド

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

JBS フラッシュニュース 7月号

【投資】外国直接投資(FDI)政策の追加緩和を発表

【税務】財務省がモデルGST法案を一般公開

【税務】所得税規則を改正GAARの祖父条項を規定

【税務】非居住者がPANを有しない場合の代替的文書を規定

【税務】間接譲渡規則を発表

【税務】2016年所得申告スキームのFAQ第2、3弾を発表

ラジャン中央銀行総裁が9月の任期満了で退任の意向を表明しました。続いて英国民がEU離脱の決断を下し、歴史の大きな節目を迎えています。そうした なか、インドではモディ政権下で2回目となる外資参入規制の緩和が行われ ました。また、州政府財務大臣で構成される審議委員会で物品・サービス税(GST)モデル法案が承認され、GST導入へ向けて着実に歩を進めています。 本稿では、FDI政策の追加緩和、モデルGST法案アップデートその他の情報をお伝えします。

1. インド政府はFDI政策の追加緩和を発表

インド政府は、プレスリリースを通して、FDI政策をさらに緩和しました。政府が提案した、複数の産業における主要な変更点は、以下の通りです。

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業界 主な変更点

食品販売 インドで製造または産出される食品の電子商取引を含む売買は、100%のFDIが政府事前承認ルートで認められる。

防衛産業 近代的で「最先端」の技術を国にもたらすような場合、49%超のFDIは、事前承認ルートにより認められていたが、100%までのFDIが事前承認ル-トにより特別に認められる。49%超において必要とされる、「近代的で『最先端』の技術を国にもたらすような 場合」という条件は、今回撤廃された。

防衛産業におけるFDIの制限は、1959年に制定された武器法に準じ、小規模な武器や弾薬の製造にも適用される。

詳細はリンク先をご覧ください。 http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Defence_Sector/$FIL

E/Defence_Sector.pdf

放送サービス(テレポート、家庭向け直接放送、有線テレビ放送網、モバイルTV、HITS放送サービス)

放送サービスは、これまで49%超のFDIの場合、政府の事前 承認が必要であったが、100%のFDIが、自動認可ルートで認め られる。

さらに、各省庁からの承認・許可証を保持しない会社への49%超の新規外国投資で、かつその投資が、所有形態の変更や、既存 投資家が新外国投資家への株式譲渡につながる場合、放送 サービスに対する政府の承認が引き続き必要とされる。

民間航空 既存の空港事業については、自動承認ルートでのFDIの上限 比率が、74%から100%に引き上げ。また、定期航空運送事業・ 国内の定期運行機、国内航空運送事業については、FDIの上限比率が、49%から100%に引き上げ。FDIが49%までは自動承認ルートで認められ、49%を超える場合は、政府の承認が必要と される。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Civil_Aviation_Sector.pdf/$FILE/Civil_Aviation_Sector.pdf

製薬業界 既存の製薬会社の場合、74%までのFDIは自動承認ルートで認められ、74%を超える場合、政府の承認が必要となった。

民間警備 FDIの上限比率が、49%から74%まで引き上げ。自動承認ルートで、49%まで認められ、49%超74%までのFDIは、事前承認ルートで、政府の承認が必要となった。

畜産業 畜産業(犬の飼育を含む)、養魚業、水産養殖業、養蜂業への FDIは、これまで、政府管理などの条件で、FDI100%が自動承認ルートで認められていた。今回、これらの政府管理の条件が 撤廃された。

支店の開設(BO・ リエゾンオフィス〈LO〉・ プロジェクトオフィス) 〈PO〉またはインドにおける事業所)

BO・LO・POまたはインドのその他事業所において、申請者の 主要事業が、防衛産業、通信業、警備保障産業、情報放送業 であり、かつ外国投資促進委員会(FIPB)の承認、または関連する官庁や規制団体による許可・認可が既に与えられている場合、 インド準備銀行の承認または、機密情報の利用に対する個別の許可が不要になった。

シングルブランドの小売業

シングルブランドの小売業を展開する企業は、「最先端」および「最新鋭」技術を有する場合、3年間での現地調達率達成基準が緩和され、最長8年間で現地調達率基準を達成することとされた。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/EY_View_Retail/$FILE/EY_View_Retail.pdf

FDI政策の変更は、産業政策促進局(DIPP)が発行するプレスノートの発行日から施行されています。

Radical changes in FDI policy regime http://pib.nic.in/newsite/PrintRelease.aspx?relid=146338

Press Note No. 5 http://cdn.caclub.in/wp-content/uploads/dipp-press-note-5-2016-dt-24-june-2016-changes-in-consolidated-fdi-policy-india.pdf

2. 地域別ニュースレター l インド

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

2. 財務省がモデルGST法案を一般公開

最近中央政府はモデルGST法案を発表しました。インド政府は複数の間接税からなる現行の複雑な構造間接税を見直し、2017年4月1日から包括的な 二本立てのGSTの導入を目指しています

GSTへの移行は段階的に管理しなければなりません。そのためにも、プロアクティブ

かつタイムリーなプランニングが必要になります。会社はビジネスモデルに 影響を受ける主要な領域を理解するところから手を付け、複数のシナリオを 想定して、GSTに適合したビジネスモデルの再設計、運用を検討していかなくてはなりません。変革を推進するには、バリューチェーン全体のさまざまな会社のステークホルダーにわたってしっかりしたプログラムマネジメントを通して管理していく必要があるでしょう。

GSTの影響を受ける主要な領域 一般的に影響を受ける主な領域は以下の通りです。 課税 • 物品やサービスの支店間・社内移動(在庫移動)は課税対象 • 会社が資産を処分する際に課税対象となる • 雇用者が従業員にサービスを提供する際に課税対象となる • 請負契約やITソフトウェアはサービスと見なされ課税される 供給地(Place of Supply) • 情報技術サービスの供給場所が複数拠点で行われる場合、供給地を決定する必要がある

• 輸出の要件については今後再考する必要がある • 複数拠点での複合・請負契約を行う場合、供給地を決定しなければならない 控除 • 物品やサービスの外部供給に使用される仕入税額は控除可能に。なお限定的な運用になる可能性がある

• 現行税制では仕入税額控除できなくてもGST体制では可能な仕入税額(例えば輸入品に支払われる相殺関税)を識別する必要がある

評価 • 物品やサービスの評価に取引価格の概念を導入 • 物品やサービスの無償供給の価格は、特定のGST評価規則で決定される必要がある

システムとコンプライアンス • 各州でそれぞれCGST(中央政府GST)、SGST(州政府GST)、IGST(統合

GST)が必要か? • 各州でそれぞれGGST、SGST、IGSTの申告が必要となる • 照合制度が導入。つまり仕入先からの受領と顧客への供給を月次で照合する必要がある

• 複数の還付手続き。つまり、複数の税務当局に還付申請する必要がある 還付 • CGSTとSGSTを別途還付請求することになれば、還付手続きは二本立てに • GST税率は現行より高くなり、仕入税額控除可能な物品が増大することから、仕入税額や還付が著しく増大

• 非課税サービスの輸出に使用される物品やサービスに対して支払われるGSTの還付は可能だが、非課税物品の輸出については不明確

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3. インド税務当局は2017年4月1日の前日までに行われた投資 譲渡所得にGAARの規定を適用しないよう、所得税規則を改正

インド所得税法にはGAARという租税回避防止条項が規定されており、容認し難い租税回避を行う行為を取り締まれるよう、税務当局に広範な権限を 付与しています。所得税法上のGAARの規定は、2017年4月1日に開始する会計年度から施行となります。本稿は、GAAR規則を取り扱う所得税規則を改正するため、インド直接税の最高行政機関であるCBDTが発行した最近の通知(2016通知)を要約したものです。

通知はGAAR規則を改正し、2017年4月1日の前日までに行われた投資

譲渡所得についてGAAR規定の適用を除外することを規定しています。また、GAARは2017年4月1日以降に得た税務上の恩典 に対して適用されると して、GAAR規則を改正しています。

2015年に、所得税法上のGAAR規定は、2017年4月1日から施行されることに

なりました。しかし、その折、GAAR規則における祖父条項は適切に修正されませんでした。今回、2016年通知によりGAAR規則の改正が行われたことになります。これにより、行為が行われた日に関係なく、2017年4月1日以降に得たすべての税務上の恩典にGAARが適用されることが明確になりました。現行の規則も外国機関投資家(FIIs)や非居住者による一定の投資の場合に、例外を設けていることに留意する必要があります。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Notif_49_GAAR.pdf/$FILE/Notif_49_GA

AR.pdf

4. CBDTは、非居住者がPANを有しない場合の規則を改正し、

代替的な文書を規定

本稿は、非居住者が税務当局発行のPANを入手できない場合、非居住者への一定の支払いに課していた高い源泉税率を緩和することを認めるため、改正された規則についてCBDTが発表した最近の通知を要約したものです。 通知は官報が発行された2016年6月24日から施行となりました。

2016年財政法において、一定の条件を満たせば(CBDTにより別途通知)

206条AAの規定は非居住者に適用されないと改正されました。当改正規定は、2016年6月1日から適用となりましたが、これまで一定の条件に係る関連 規則はCBDTより通知されていませんでした。

ようやく206条AAに関する待望の規則がCBDTより通知されました。通知に

よると、「規則37条BC-法206条AAにおける高率での源泉税の緩和」が1962年所得税規則に挿入されました。そこには、源泉される非居住者が 特定の詳細・文書を提出すれば、利子、ロイヤルティ、技術役務料、資本資産の譲渡に係る支払いについて、206条AAに基づく高率の源泉税率の対象にはならないと規定されています。

2. 地域別ニュースレター l インド

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

5. CBDTは、間接譲渡規則を公表

インド所得税法にはGAARという租税回避防止条項が規定されており、容認し難い租税回避行為を取り締まれるよう、税務当局に広範な権限を付与しています。所得税法上のGAARの規定は、2017年4月1日に開始する会計 年度から施行となります。本稿は、GAAR規則を取り扱う所得税規則を改正 するため、インド直接税の最高行政機関であるCBDTが発行した最近の通知(2016通知)を要約したものです。

CBDTは、最近インド税法の間接譲渡規定に関する規則とフォームを公表しま

した。これは、2016年5月23日にパブリックコメントを求めて公表した間接 譲渡規則のドラフトに続くものです。

所得税法はインドでの間接譲渡課税を規定しています。間接譲渡規定に

おいて、外国会社あるいは外国法人の価値が直接的または間接的にインドに所在する資産から実質的に得られている場合、当該外国会社あるいは 外国法人の株式または持分を譲渡した場合に生ずる所得は、間接譲渡課税の対象とすることと規定しています。間接譲渡規定は2015年にさらに改正 されました。在インド「資産の価格」が当該外国法人の全資産の価値の50% 以上を占める場合等の条件を満たせば、外国法人の株式または持分は、 その実質的価値が在インド資産から形成されたと見なされることになり ました。また、間接譲渡により生じるキャピタルゲインは、割合に応じて課税 されることになりました。さらに、間接譲渡取引に関する報告義務、少数株主除外条項等、規定され、明確化されました。

上記に従って、CBDTは今回、所得税上の間接譲渡規則で求められる規則と

フォームを公表しました。間接譲渡規則は間接譲渡規則に関する評価方法、比例所得の決定方法、報告コンプライアンスのフォーム、そしてインド企業が保管すべき文書の詳細を規定しています。これらの譲渡規則は2016年6月28日から施行となります。

詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/IDT_rules_Alert1/$FILE/IDT_rules_Alert

1.pdf

新規則において非居住者が提供すべき特定の詳細および文書は以下の通りです。

• 非居住者の名前、Eメールアドレス、連絡先 • 被源泉徴収者が居住者である、インド国外の国または特定の地域における住所

• インド国外の国または特定の地域における政府からの居住者証明(当該国または特定の地域の法律でそのような証明書の発行を規定している場合)

• 居住する国または特定の地域における被源泉徴収者の税務識別番号。そのような番号が入手できない場合、当該国又は指定の地域の居住者であることを請求するため、政府が被源泉徴収者を識別可能な固有の番号。

これとは別に、源泉税申告で上記の詳細および文書を取込むためのForm

27Qに関する改正も通知されています。 詳細はリンク先をご覧ください。

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/CBDT_amends_rules_on_non_furnishing_

of_PAN/$FILE/CBDT_amends_rules_on_non_furnishing_of_PAN.pdf

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6. CBDTは2016年所得申告スキームのFAQ第2、3弾を公表

CBDTは、2016年所得申告スキームについてFAQ第2、3弾を公表しました。

詳細はリンク先をご覧ください。

2nd round of FAQs:

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/FAQ_IDS/$FILE/FAQ_IDS.pdf

3rd round of FAQs:

http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/IDS_FAQ_Third/$FILE/IDS_FAQ_Third.pdf

コメント

GSTは、インド財政史上、最大の影響をもたらす税制改革となるといわれています。それはあらゆる業界においてキャッシュフロー、運転資本、原価計算、物品や サービスの価格設定、収益性、財務・税務会計、ビジネスプロセス、契約書・請求書、サプライチェーン、ITシステム設計等、インドビジネスのあらゆる領域において 広範な影響を与えることになるからです。GST環境下における潜在的なベネフィットを最大限に享受するには、全社的にGSTを正しく理解し、効率的に運用できるよう、 多くの担当者にトレーニングを行う必要があります。私たちは、皆様のお役に立てるよう適時に情報発信していきます。

2. 地域別ニュースレター l インド

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

JBS フラッシュニュース 7月号速報

日印社会保障協定が本年10月1日に発効

日印間で2012年11月16日に締結された日印社会保障協定について、本年 7月20日に効力発生のための外交上の公文の交換が行われたため、本年10月1日に発効することになります。

協定が発効されると、以下のベネフィットが生じます。

1. インドで勤務する日本人従業員

a. 派遣期間が5年を超えない場合、インドにおける社会保障関係の拠出を免除

b. インドでの任期満了後、従業員積立基金制度、従業員年金制度への拠出金を早期に引き出す権利を付与(インドで拠出されている場合)

c. 従業員年金制度からの受給資格を付与(インドで拠出されている場合)

d. 外国の銀行口座に、従業員積立基金制度からの還付を直接受ける資格を付与(海外への給付支払条項に基づく)

2. 日本で勤務するインド人従業員

a. 派遣期間が5年を超えない場合、日本における社会保障関係の拠出を免除

b. インドでの「国内従業員」としての取扱いが継続される場合、インドの社会 保障制度に従い、社会保障協定で、派遣先での社会保障拠出を免除される インド人従業員は、「外国籍の労働者」と分類されない。

社会保障関係への拠出を免除請求するための5年の期間は、協定が発効する日、つまり2016年10月1日から始まると、日印社会保障協定で定められています。従って、2016年10月1日以降に、現従業員に対する適用証明書の申請が可能になります。もし派遣が5年を超えて継続される場合には、両締約国の権限ある当局は、免除の延長に同意することができます。

さらに、日印社会保障協定の発効前にインドで勤務してきた日本人従業員も、 インドでの社会保障関係への拠出金を早期に引き出すことができると、社会保障 協定は定めています。

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南アフリカ共和国 Global Tax Alert 2016年6月3日

南アフリカ歳入庁が2016年評価年度の通達を発行 南アフリカ歳入庁(South African Revenue Service、以下「SARS 」 )は官報 第400041号において通達第671号を発行し、2016年評価年度の所得税申告書の提出を呼び掛けています。

非居住者である企業、信託その他の法人は、以下に該当する場合、南アフリカの所得税申告書を提出しなければなりません。 • 共和国内の恒久的施設を通じて取引を実施した場合 • 共和国内の源泉から所得を得た場合 • 共和国内の源泉からキャピタルゲインまたはロスが生じた場合

非居住者がクロスボーダーでの所得を得ている場合、法令違反に対する処罰 (刑事制裁を含む)の可能性を低減させるため、行政上の要件を熟知しておく必要があります。例えば、非居住者が南アフリカの源泉から所得を得ている場合(南アフリカにおけるサービスの提供など)、南アフリカでの所得税登録および所得税申告書の提出が必要となります。非居住者が南アフリカに恒久的施設を有さないことを根拠として、租税条約で保護されている場合であっても、上記手続きが必要となります。 SARSは、一定の内国向けサービスについて、当該取引が報告対象取引となってから45日以内に報告するよう求めているため、当該取引当事者による税務上の 法令遵守状況が、SARSがレビューを行う分野の一つとなる可能性があります。 企業による所得税申告書の提出期限は、当該企業の会計年度が終了してから 12カ月以内となります。

EYグローバル・タックス・アラートは、以下のリンクからご覧ください。 http://www.ey.com/taxalerts

2. 地域別ニュースレター l 南アフリカ共和国

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

ケニア Global Tax Alert 2015年12月4日

ケニアで2015年特別経済区域法が制定 【要旨】 海外からの直接投資を促し、ケニアを東アフリカで最も優れたビジネス拠点に位置付けることを目的として、2015年9月11日、ケニア大統領は2015年特別経済区域法(Special Economic Zones Act, 2015、以下「SEZA」)を承認しました。2015年12月15日より施行される同法では、経済特区(special economic zone、以下「SEZ」)の設置が規定されています。SEZAに基づく免許を取得した企業は、さまざまな恩恵を受けることが可能であり、これには付加価値税、所得税、関税・ 物品税および印紙税の免除、ならびに労働許可割当の不適用が含まれます。

産業化担当大臣は、経済特区庁の推薦に基づき、官報での告示を通じ、あらゆる地域を経済特区として宣言する権限を有すると同時に、同法の実施に関する責任を負います。現在、ケニアには、輸出加工区法(Export Processing Zone Act、 以下「EPZA」)に基づき輸出加工区庁が管理を行う輸出加工区 (Export Processing Zones 、以下「EPZ」)が存在します。EPZの主な目的は、物品の製造またはサービスの提供の誘致、推進および増加です。このため、直近で制定されたSEZはEPZよりも広い概念を有しています。EPZAが撤廃されていないため、EPZが引き続き適用され、SEZと共に実施される可能性が高いと考えられます。ただし、EPZAに基づく免許が新たに発行されるか興味深いところです。 担当大臣は、主務官庁の推薦に基づき、SEZAの下で規定すべきあらゆる事項につき規則を設ける権限を持ちます。こうした規則には、すべてのSEZの指定および官報掲載基準の決定、SEZの指定に関する適用プロセス、基準、条件、期間および手続きの決定、ならびにSEZAに基づく免許付与が含まれますが、これらに限られません。SEZの投資ルール、SEZAに基づき徴収される手数料についても規則が設けられると予想されます。現在までのところ、官報に規則は掲載されていません。 【詳細】 SEZの布告 産業化担当大臣は、主務官庁の推薦に基づき、財務担当大臣と協議の上、官報を通じた告示により、SEZの該当区域を布告します。当該区域には、地域本部、 ビジネス・プロセス・アウトソーシング・センター、経営コンサルティング、助言サービスその他の関連サービスが含まれますが、これらに限られません。当該布告では、特区の制限事項が定義されますが、これは、主務官庁の推薦に基づき、官報への掲載を通じ、担当大臣の命令によって取り消されるまで有効となります。 SEZの種類 本法により設立されるSEZの種類には、ビジネス・サービス区域(例:地域本部)、自由港湾区域、自由貿易区域、工業団地、情報通信技術区域、科学技術区域、 農業区域、畜産区域、観光・娯楽区域等が含まれます。 主務官庁の設置 SEZAに基づき、永続継承権と公印を有する法人として、経済特区庁と呼ばれる 機関が設置されます。同庁は、取締役会により管理され、その議長は大統領が 任命します。同庁は、SEZの設置、運営および規制を所管するほか、SEZに関連する政府の政策および計画の実施を支援します。

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SEZ免許の申請 SEZの開発者、運営者または企業として事業への従事を希望する場合、主務官庁に対し適切な免許の申請を行わなければなりません。当該免許は、関税局長官の 推薦を受け、かつ、所定の手数料を支払うことによって申請書及びその付属資料の受理後30日以内に主務官庁より発行を受けることができます。 SEZの免許を取得するには、申請者は所定の基準および要件に加え、以下の 条件を充足しなければなりません。 • SEZの活動を行うことを目的としてケニアで設立された企業であること • SEZの開発または運営に必要な財務能力、技術・管理能力、ならびに、関連する開発・運営プロジェクトの業績記録を有すること

• 経済特区法の発効から180日以内に法制化される経済特区(土地利用)規則に定める経済特区内の土地または建物を所有またはリースすること

【SEZAの優遇税制】 Tax Benefits 経済特区法では、免許を有する経済特区のすべての企業、開発者および運営者は、 東アフリカ共同体税関管理法 (East African Community Customs Management Act)を含め、国内の税制により納税義務が課されるすべての税金及び関税に ついて免除が認められます。当該優遇税制は、経済特区におけるすべての取引に 適用されます。 ただし、SEZAと同日付けで承認された2015年財政法(Finance Act)によれば、優遇税制は、以下の所得税法(Income Tax Act)および付加価値税(Value Added Tax)の改正にとどまるように見受けられます。 • SEZ企業、開発者および運営者には、創業後10年間は10%、その後の10年間は

15%の軽減税率が適用されます。 • 免許を有するSEZ企業、開発者および運営者が受領する配当は免税されます。 • SEZ企業、開発者および運営者による非居住者宛の専門的サービスおよび 利子(配当を除く)には10%の源泉税が課税されます。

• SEZAの免許を有するSEZ企業、開発者および運営者に対する課税品目の 供給についてはVATが免除されます。

上記改正は、実態として、あらゆる税金につき無制限の免除を認めるSEZAと 一致しないように見受けられます。経済特区法に基づく免許の発行前にこうした 不一致に対処することが極めて重要となります。 労働許可 免許を受けたSEZ企業、開発者および運営者は、フルタイム従業員の20%まで 労働許可を取得する権利を有します。ただし、主務官庁の推薦により、特定分野について追加的な労働許可を取得できる可能性があります。

2. 地域別ニュースレター l ケニア

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

SEZ企業の権利 経済特区法では、免許を受けたSEZ企業は、利益および資本の本国送金、国有化または収用のあらゆるリスクに対する財産権の完全な保護、工業所有権・知的 財産権など、一定の権利を享受します。 規制内容 担当大臣は、官報において、設置認可を受けたすべてのSEZを公表し、経済特区法の発効後180日以内に、SEZ免許の申請、発行、停止、取消および不服申立手続きに関する規則を公表することになっています。 【影響】 ケニアVision 2030の経済対策の柱における基幹プロジェクトの一つとして、経済特区法の法制化は、ケニアが依然として、Vision 2030の達成に向けた道程に あることを投資家に対し改めて示すものです。同法は、海外・国内の両投資家にとって好ましい環境を生み出しています。 EYグローバル・タックス・アラートは、以下のリンクからご覧ください。 http://www.ey.com/taxalerts

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トルコ Tax Agenda May 2016 より

トルコ国際船舶登録制度の下で適用される税制優遇措置

• 法律第4490号によれば、トルコ国際船舶登録制度(Turkish International Ship Registry、以下「TISR」)に登録された船舶の運航または処分から生み 出された利益は法人所得税(以下「CIT」)を免除されます。

• 一方、CIT法によれば、CIT免税の所得を生み出すために生じた費用は、参加持分の取得のために生じた財務費用を除き、CITに関して損金不算入とされています。この点に関し、発生する所得がCIT免税となる資産の取得において生じた財務費用は、CITに関して損金不算入として取り扱うべきです。

• 租税手続法(Tax Procedures Code)によれば、有形資産の取得費用を外部からの融資により調達した場合、取得年度中にこの融資から発生した財務 費用は、取得した有形資産の取得原価に含めなければなりません。それ以後の年度に発生する財務費用は、取得原価に含めるか、費用として直接認識するかを選択できます。ただし、納税者は、これら2つの選択肢のいずれかを選んだ後は、その融資の存続期間にわたりそれを継続して使用することを義務付けられます。

• トルコ国際船舶登録制度(TISR)法(第4490号)は1999年12月16日に承認 された後、1999年12月21日付官報における公布により制定されました。同法に基づき、海事局(Undersecretariat of Maritime Affairs)が管轄するトルコ 国際船舶登録制度に登録される船舶や、観光会社の棚卸資産として計上 される商用ヨットの調達および運航を促進することにより、トルコの海運業の 発展を加速させ、それによる経済貢献を拡大することを目指しています。

• 法律第4490号には、トルコ国際船舶登録制度に関する事項、登録した権利の譲渡、および登録抹消に関する手続きと原則は、適用規則によって決定されるべきことが明記されています。トルコ国際船舶登録制度規則は2000年6月23日付官報で公布されると同時に発効しました。トルコ国際船舶登録簿に登録すべき船舶に関して、関連する財政規定が法律第4490号第12条に定められており、登録船舶の運航および譲渡に関する基本的な税制優遇措置が規定されて います。

• 法律第4490号第4条およびTISR規則第2条には、どんな船舶やヨットが要求に応じてTISRに登録されるべきかに関する規定が定められているのに対し、同法で使用される用語の定義は同法第2条および同規則第4条に定められています。

• トルコ国際船舶登録制度法第12条1項には、「本法に従って定められるトルコ国際船舶登録簿に登録された船舶およびヨットの運航および譲渡により稼得 した所得は、個人・法人所得税および基金を免除される」とする規定が定められています。

• 法人税に関する一般声明(General Communique)シリーズ第1号における 解釈によれば、法律第4490号に従って定められるトルコ国際船舶登録簿に 登録された船舶およびヨットの運航および譲渡により稼得した所得は、その 活動が個人納税者(限定的な納税者〈limited taxpayer〉を含みます)によって行われた場合は所得税を免除され、その活動が法人納税者(限定的な納税者を含みます)によってなされた場合は法人税を免除されるとされています。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

• 同法によれば、どのような船舶が問題になるにせよ、それが国内あるいは外国のいずれで購入されたかを問わず、トルコ国際船舶登録に登録されて運航されている限り、それによって稼得された所得は免税対象になると見なされます。 問題となる船舶がどんな企業の資産の下で登録されているかは重要性を 持ちません。完全に賃貸になじむわけではない企業の勘定科目の下で登録された船舶を運航させた場合でも、それがTISRに登録されていれば、稼得された 所得は免税対象と見なされます。

• 同法のこの条項には、免税がTISRに登録された船舶の運航および譲渡に 関連しているという規定が含まれています。TISRに登録された船舶の運航に より稼得された所得を免税対象と見なすことについては、さほど多くの疑わしい問題は生じていないのに対し、当該船舶の譲渡により稼得された所得の免税は、議論の分かれる問題となっています。同法には規定がないにもかかわらず、 歳入庁は追加的な条件を提案しています。

• 声明や同法には明示的な規定がないにもかかわらず、歳入庁の2012年2月 2日付通達第B.07.1. GİB.4.34.16.01-KVK 5-406号によれば、譲渡の場合に免税措置を受けるには、上記登録が譲渡後も継続している必要があります。

• 歳入庁の2006年7月19日付通達第B.07.1.GİB.4.34.16.01 KVK-6-7168号に よれば、同法に定義されていない海洋船舶の運航により稼得された所得は 税制優遇措置対象とはなりません。

• 法人税法第5条3項によれば、関連会社の株式の買付により発生する財務 費用を除き、法人税の免除対象となる所得から発生する費用、および免税 対象の法人所得に関連する、免税の適用範囲内にある活動から発生する 欠損は、損金算入を認められません。

• これとの関連で、免税措置を適用する際、免税所得は、船舶の運航および譲渡により稼得された所得から、当該活動に関連する費用を控除することによって 算定します。

• TISRに登録した船舶の運航中に損失が発生した場合、この損失は、他の活動により稼得された所得から控除することはできません。

• 企業が船舶の運航以外の活動に従事している場合、それらの活動に関連する所得および費用は、別個の勘定として算定するべきであり、TISRの対象と なる非課税所得またはTISRに関連する所得から控除される費用とは見なされません。

• TISRの対象になる活動と対象にならない活動に従事する企業では、管理費のように、両方の活動で共通に費やされる他の費用が発生します。これらの費用は、一般的に売上高比率に基づいて共通費用はTISRの活動とそれ以外に配賦 されます。

• TISRの活動かそれ以外の活動かに関する最も重要な問題は、満期到来した預貯金により稼得した利息および為替差損益の所得が非課税所得と 見なされるか否かということです。歳入庁の2012年1月25日付通達 第B.07.1.GİB.4.34.16.01-KVK 5-305号によれば、TISRから発生した 収益を預貯金勘定に保有することにより、利息および利益を得た場合、 この所得も非課税所得の範囲内に入ると見なすことができます。

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• 運航を目的としてTISRの適用範囲内で購入された船舶は、固定資産の取得に適用されるものと同一の規則に従い資産に加えられ、初年度の財務費用(利息、為替差損益など)は資産化されます。それ以後の年度に発生する財務費用については、それを資産化するかまたは償却するかは納税者の選択権に 委ねられます。

• これまで一般に公正妥当と認められた原則が適用されていることから、TISRの適用対象となる課税から生じている具体的な状況としては、資産として計上された財務費用に関して減価償却の引当てが行われていると思われます。問題となる減価償却費は、課税額の算定において非課税所得を減額する項目と見なされるべきです。初年度以後の年度の財務費用については、資産化ではなく償却法が選択された場合、財務費用および引き当てられた減価償却費の全体が、非課税所得を減額させる事項として考慮に入れられるべきです。

• 一方、納税者が第2年度に財務費用の資産化または償却の選択権のいずれを使用するかに影響する規定がTISR法に定められています。TISRの適用対象外の売却が実行された場合、納税者は、その売却によって稼得される所得を最小限にとどめるために、第2年度に資産化の方法を選択しています。歳入庁の2011年12月20日付通達第B.07.1.GİB.4.34.16.01-KVK 5-2238によれば、廃棄の目的で船舶を売却することにより発生する損益は、TISRの適用対象と見なすことができません。

• 海運業に従事する企業は、自社の資産として計上された船舶以外に、賃借した船舶を使用して業務を行うこともあります。当該船舶がTISRに登録されている場合、その輸送業務により稼得した所得は、法人税の算定上非課税所得と 見なすことが可能です。

• 船舶の賃借人が輸送業務から稼得した所得が、税制優遇措置に関してどの ように取り扱われるかは明白なのに対して、当該船舶の船主の所得が免税 対象となるか否かは議論の分かれる問題となっています。

• 国内納税者が賃貸した場合、その賃貸から納税者が稼得した所得が非課税 所得と見なされるか否かに関しては、当該所得の内容を特定することが重要になります。つまり、それが定期用船契約または賃貸借契約のいずれと みなされるかの判断を要求されます。

• 歳入庁の見解によれば、TISRに登録された船舶が賃貸された場合、定期用船契約を除き、法人税免税措置は適用されません。その理由は、運航業務と 見なされないためです。こうした形で船舶を賃貸した企業の所得は、資本収益として表示されるべきです。この見解は、歳入庁の2007年3月28日付通達 第 B.07.1.GİB.4.34.16.01/KVK-8号および 2007年 2月 11日付通達 第B.07.1. GİB.4.34.16.01/KVK-4/7535号によって裏付けられています。船舶の所有権の譲渡は、船舶の運航業務ではないものの、税制優遇措置の 適用を受けることができます。しかしながら、運航権の譲渡に関連する賃貸借契約に対しては免税措置は適用されません。この点は、トルコ国際船舶 登録制度法の規定における不整合部分と思われます。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

• 船舶が国際的に賃貸借され、かつ当該船舶がTISRに登録されている場合、 外国に居住する納税者がその運航によって稼得する所得は、法人税課税に 関してTISRの適用対象となる免税所得と見なされます。

• 外国企業との契約内容を検討した結果、その契約が定期船契約ではなく賃貸借契約とみなされた場合、限定的な納税者である当該企業が稼得した所得が 課税対象になるか否かについての評価が以下のようになされます。

• 所得税法第70条により船舶は固定資産と見なされるため、稼得された所得は不動産から発生した所得と見なされます。

• 法人税法第30条により、限定的な納税者である企業が取得した不動産から発生した所得に対応する支払いに対しては20%の源泉徴収税が課され ます。

• 一方、限定的な納税者である企業の居住国との間で二重課税防止条約が 締結されている場合、問題となるこの状況が当該条約でどのように規定されているかを調べてみるべきです。

• まず第一に、二重課税防止条約第6条によれば、船舶は不動産とは見なされないことから、船舶の賃貸借は機械・設備のリースと見なされる可能性が あります。

• 二重課税防止条約第12条との関連で、機械・設備のリースは無体財産権のリースと見なされる可能性があります。

• こうした状況において、支払いに対して二重課税防止条約第12条に明記された一定のレベルで源泉徴収を行う義務が生じると思われます。歳入庁の見解も これに沿ったものと見られます。

• 以上を要約すれば、船舶の賃貸借に関して賃借料が支払われた場合、その契約が内容の点から見て、賃貸借契約または定期船契約のどちらなのかを最初に 判断すべきことに触れました。その理由は、契約条件を特定することが、課税 対象となる稼得所得を理解する上で極めて重要であるからです。契約条件の 法的側面を確実に評価し、法律顧問の監督の下で検討するべきです。

不良債権および引当金の設定時点

不良債権は租税手続法(Tax Procedure Law)第323条に定義されており、それによれば、商業および農業所得の稼得および維持に関連していることを条件として、以下の売上債権が不良債権とみなされます。

• 訴訟または担保権行使の段階にある債権

• 書面による数回の通知により主張または要求したにもかかわらず支払われない債権のうち、非常に少額のため訴訟または法執行手続きに値しないもの

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この種の債権については、評価日における回収可能率に応じて負債勘定に 引当金を設定できます。部分的に担保権が設定された債権の場合、この引当金は担保によって補償されない金額に限定されます。

租税手続法に関する一般声明シリーズ第334号によれば、関連する条項に定め られた条件が満たされ、かつ債権がその期間の記録簿に記入され、VAT申告書に表示されている場合、VATから発生する不良債権の引当金を設定することが できます。

貸借対照表ベースにより帳簿を管理している企業は、不良債権に関する引当金を設定するために、租税手続法の関連条項に定められた条件を満たすことを要求されます。この条件は以下のように要約できます。

a. 債権は、商業および農業所得の稼得および維持に関連していることが必要 です。特別な理由に基づく第三者への貸出から発生した債権については不良債権に係る引当金を設定することはできません。注文の前払金の償却が依然として議論の分かれる問題の1つになっています(引当金を設定する不良債権が商業債権である場合)。しかし、歳入庁の通達によれば、後日履行される サービスの見返りである注文の前払金の支払いが、その商業活動の継続の ためになされたものであり、かつ租税手続法第323条に定められた他の条件を満たしていれば、この前払金についても引当金を設定することが可能です。

b. その債権は訴訟または担保権行使の段階にあることが必要です。さらに、 債務者が破産している場合、納税者は、自身の債権が破産財団に登録されていることを条件として債権に引当金を設定することが可能です。同様に、破産企業に関して破産手続きの一時停止の決定が発表された場合、当該企業から回収できず、法的監視が不可能な債権についても、裁判所が破産手続きの 一時停止を決定した会計期間に関して不良債権の引当金を設定することが できます。

c. 非常に少額のため訴訟または担保権行使による対応に値しない債権は、 書面による複数回の通知により要求したにもかかわらず回収されない 債権であることが必要である。

d. 担保付債権については注意が必要です。担保については、公的債権回収 手続法シリーズ第6183号第10条および第11条に定められており、金員、 銀行の信用保証状、財務省長期債券および短期証券、株式および債券、動産、不動産ローンならびに個人保証などが当該条項に担保として挙げられて います。しかしながら、租税手続法第323条には担保の概念の定義や制限が明記されていないため、不良債権の引当金を設定する際はその条件が 満たされているか否かを判断することが極めて重要です。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

e. 納税者は貸借対照表ベースにより帳簿を管理していなければなりません。 業務勘定ベース(operation account method)により帳簿を管理している 商人および農家は不良債権の引当金を設定することができません。

f. 引当金設定の対象となる債権は支払期日が到来していなければなりません。支払期日前の債権は引当金を設定することができません。

g. 債権は評価日時点で不良債権となっている必要があります。債権が期中に 不良債権になったとしても、支払期日の延長や分割返済などの返済計画の 修正がなされた場合には、その債権の引当金を設定することはできません。

論争を引き起こし、不良債権の取扱いに不確実性をもたらしている別の重要な 問題は、不良化した債権の引当金を設定する時期に関連しています。この問題に関しては、債権が不良化した日に引当金を設定しなければならないとする意見と、債権が不良化した日の後に引当金を設定すべきであると主張する意見が対立しています。 この問題に関して、イズミル税務署の2011年5月25日付通達シリーズ 第B.07.1.GİB.4.35.18.02-1744-179号およびイスタンブール税務署の2012年6月21日付通達シリーズ第B.07.1.GİB.4.34.19.02-105[323-2012/VUK-1- . . .]-1942号では、債権が不良化した期間に関して引当金を設定することが要求され、それ以後の期間に引当金を設定することは不可能であると指摘されて います。しかしながら、最高行政裁判所第4部は規則に基づく2010/3320評決に従い2014年2月13日付シリーズ第2014/805号により、この問題に関して、 債権が不良化した期間後に引当金を設定できると判示しています。

要約すれば、企業は、期限内に回収されていない債権や回収不能な債権に かかわる引当金の設定に関して一定の不確実性や困難に直面しており、中でも、どの期間に引当金を設定するかということが、依然として最たる問題となっています。近年この問題に関して歳入庁が公布した通達や裁判所が下した評決は互いに 食い違っており、不良債権の概念についての異なる解釈を解消するにはほど遠い状況です。法律に定められた条件の再評価が必要であり、納税者にとってそれらの概念の実行や理解がより容易になるようにすることが、納税者による不良債権 回収の困難性を解消するために必要不可欠と言えます。

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Tax Agenda June 2016 より

石油探査および生産活動を行う企業に関する税制

I.はじめに

石油は、その幅広い用途から今日の経済および政治に対して極めて大きい 影響を及ぼし、その依存度の高まりから、石油は戦略的に位置付けられるようになっています。本稿では、これを踏まえ、石油探査、生産活動に従事する企業に 関する税制、ならびに石油関連の税法および規制の概念に含まれる事項の 評価に関するレビューを行います。

II.石油探査および生産業界に対する法規制

石油業界に対する主な規制であるトルコ石油法(法律第6491号)が2013年 5月30日に法制化され、その後、トルコ石油法の実施に関する手続きと原則を定めたトルコ石油法実施通達が2014年1月22日付の官報を通じて発布され、発効しました。

上記に基づき、以下、本稿で取り上げる業界の評価は、トルコ石油法および その下位規則、ならびに税法の2部構成で行います。

III.トルコ石油法(法律第6491号)と旧石油法(法律第6326号)の比較、 ならびにトルコ石油法とその下位規則に関連する石油探査・生産業界の評価

トルコ石油法第6条および第8条では、石油探査免許、免許申請、付与手続きおよび操業免許に関する規定を定めています。旧石油法(法律第6326号) 第6条では、認可、探査および操業免許の取得権はTPAO(国営石油会社)に帰属していましたが、トルコ石油法には当該規定は含まれず、同法におけるTPAOの権利が削除されています。従って、いかなる油田であれ、民間企業もTPAOと対等の立場で免許の取得申請を行うことが可能となるでしょう。

一方、石油探査・生産行為を行う企業は、生産する石油の8分の1を国庫帰属分として支払う義務を負います。この関係では、旧石油法ではバレル当たりの 国庫帰属分は井戸元価格に基づき算定されていましたが、石油法の施行に 伴い、国庫帰属分は市場価格により算定されることになっています。

このほか、石油探査・生産行為を行う企業にとって不可欠の事項として「移転」があります。移転に関する事項について、石油法と旧石油法の間には注目 すべき相違点が存在するように見受けられます。移転の条件を定めた旧法の条文によれば、権利所有者は資本の移転を必ずしも求めることはできませんでしたが、石油法には、権利所有者が随時移転を求める権利を認める条文が含まれ、資本移転後、権利所有者は直近年度の各四半期末において純資産の移転を行うことが可能となっています。

IV. 石油探査・生産業界の税務面の評価

トルコ石油法第12条において、税制面の事項が定められています。

これに関連し、本セクションでは、税法に関する石油探査・生産業界の評価を解説します。

a. 租税手続法 の評価

租税手続法に関連して石油探査・生産業界を検証する場合、減価償却が最も議論の多い論点と見られ、本件について多くの異なる見解が存在することは明らかです。

上記説明に関連し、旧石油法(法律第6326号)、トルコ石油法(法律第6491号) および両者の比較の3つの項において減価償却をレビューします。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

減価償却に関する旧石油法(法律第6326号)およびトルコ石油法(法律第6491号)の比較

旧石油法(法律第6326号)およびトルコ石油法(法律第6491号)における減価償却の任意・法定の別を、支出種類別に下表に要約しています。

減価償却に関する任意・法定の別 旧石油法(法律第6326号) トルコ石油法(法律第6491号)

掘削の二次的コスト 任意 任意

非経済的な油井の開坑コスト 任意 任意

探鉱コスト 任意 任意

その他の経済的価値 法定 任意

上記解説および図表のとおり、旧石油法(法律第6326号)およびこれに関連する 旧ルールでは、探査、二次的掘削コストおよび非経済的油井の開坑・閉鎖コストの 減価償却は任意である一方、残存経済価値については減価償却を行う必要があります。

一方、トルコ石油法では、探査、二次的掘削、非経済的油井の開坑・閉鎖コストを除く価値を費用に算入するか、または、減価償却の対象とするかは権利保有者に委ねられています。

関連する納税者にとっては、全体的なオーバーホールを行う前に、事例に基づいた 事前確認を要求することが有益と考えられます。

b. 法人税法に関する評価

課税関係はトルコ石油法の第12条で取り扱われています。関連条文では以下の条件が規定されています。

• 石油の権利保有者が純利益について納税義務を負う税額と、株主から 源泉徴収する所得税の合計額は税率55%以内とする。

• 法人税法第30条第1項(b)によれば、石油探査行為に関連して自営所得として限定納税者に支払われる金額には5%の源泉徴収税率を適用する。

• 法に定める石油事業と同様に、一般条項に紐づく他の業務を営む権利保有者が行う石油事業についても、会計記録上分離して管理し課税を行う。

• 法律第5520号第3条第3項(a)の規定は、石油事業により得た所得および 収益には適用されない。

• 上記の規定によれば、権利保有者に対する法人税の課税額は55%に制限され、石油探査行為に関連して自営所得として限定納税者に支払われる金額には 5%の源泉徴収税率が適用されます。

一方、権利保有者が石油以外の事業を行っている場合、石油事業は会計記録上分離して管理の上、当該行為には別個に課税が行われることとなります。

c. 付加価値税法に関する評価

付加価値税一般実施通達では、トルコ石油法第13条に規定する石油権利保有者、代表者、または、権利保有者に代わり石油サービス局 の認証を受けた請負業者への搬送およびサービスについては付加価値税の免除が適用されます。一方、 上記の請負業者に対する配送およびサービスは石油探査行為に関連するものに限定されます。

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この関係では、石油探査行為のみを取り扱うのではなく、生産、輸送および荷揚げ行為を取り扱う企業については、建物・設備の設置・稼働に関連する搬送およびサービスに対する付加価値税の免除規定は適用されません。

d. 特別消費税法 に関する評価

特別消費税法第7条によれば、トルコ石油法(法律第6491号)の条件に従い、 石油探査および生産行為を取り扱う企業向けの石油製品の搬送については特別消費税の免除も適用されます。

これに従い免除の適用を受けるには、石油の権利保有者、権利保有者を代理する代表者または石油サービス局の認証を受けた請負業者は、購入予定の石油製品を含むリストを石油サービス局に提示するか、認可を受ける必要があります。

e. 印紙税法に関する評価

トルコ石油法の範囲に含まれる権利保有者が、石油の探査および生産行為に 関連して作成した契約に適用される印紙税の免除規定は、トルコ石油法(法律 第6491号)第27条および印紙税法(法律第488号)添付の図表(2)および「IV-商業および公共事業に関連する文書」と題するセクションに追加された条文(42)に 定められています。

V.結論

本件に関する司法上の判決および決定は相当程度限定され、ほぼ利用不可能であるため、本件に多くの争点が含まれることは明らかといえるでしょう。

このようななか、実施に際して直面する不明点を取り除く上で、ここで私たちが取り上げた事項に関するトルコ石油法の詳細な説明が必要であり、石油サービス局 および財務省が情報提供を目的として共同で公布する通達が重要な役割を果たすでしょう。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

所有権に関連する税法の取扱いについて個人が申立てた裁判において、欧州人権裁判所および最高裁判所が下した判決の評価

税は国家にとって最も不可欠な収入源と見なされ、納税者から徴税を行う合法性は国家の統治権から生じています。国家の優越的権力に基づいた公法に関連する税においては、武器対等の原則は問題ではなく、公益と個人の重要な利益との 間で論争が存在します。

「公益」を主張し、国家が納税者に対し圧力をかけていることは明白です。この圧力は、一定の状況下においては不均衡や権利侵害につながります。国家にとって「絶対的な統治権」の領域と見なされる税法においても個人の基本的権利と自由が存在 します。

現状、国家行政の透明性の向上、説明責任、さらには徐々に定着している良好なガバナンスの概念によって、税についても政治的、司法的に疑問を差しはさむ余地のない議題ではなくなっています。こうした新しい見方の影響は、欧州人権裁判所の判決においても見られます。

こうした見方がトルコの法体系において税法や所有権に与える影響を検証すると共に、個人の申立てに対する最高裁判所の判決についても分析を行う必要があります。個人申立権とは、憲法、欧州人権条約(条約)、その他トルコが当事者である協定によって保障された基本的権利や自由が、執行権、立法権および司法権に 基づく行為または判断により侵害された場合に、その違反行為を阻止するために最高裁判所に訴える権利と定義することができます。

このような申立ての結果として下された判決の中で、欧州人権裁判所の決定を 参照すると、税法に関する裁判所の慣行が相互に類似していることが改めて確認されました。こうした判決をまとめて検証することにより、裁判所が侵害行為を どのように評価するかが理解できると共に、国家が税の執行において踏襲すべき方法が見えてきます。

国家の租税政策およびその執行に関する権利侵害の申立てにおいて、最も侵害が主張される権利の一つは所有権となっています。このような背景を踏まえ、税の 執行に関連する侵害行為に関する個人の申立てに対する最高裁判所の判決と、それらの判決において参照された欧州人権裁判所の判決を、所有権の観点で まとめて評価することが本稿の主旨となります。

所有権に関する規定は、欧州人権裁判所協定第1編第1条(P1-1)および憲法 第35条に定められています。これらの規定のいずれにおいても所有権の具体的な定義は含まれていません。この概念の内容は、裁判所の慣行によって補われて きました。明確な定義が規定されていなくとも、欧州人権裁判所は所有権の内容について幅広い解説集を有しています。ただし、P1-1の範囲において所有権を 主張するためには、申立人は自身の持分に経済的価値があることを証明する必要があります。内在的な価値は認められず、実質的な経済的価値の存在を証明する 必要があります。

所有権の概念の詳細を説明する際、最高裁判所は以下の判決を頻繁に引用しています。

ECHR’s Kopecky/Slovakia (B. No: 44/912/98, 28/9/2004, §§ 45-52), Saghinadze and Others/Georgia (B. No: 18768/05, 27/5/2010, § 103), Burdov/Russia (B. No: 59498/00, 7/5/2002, § 28) Moskal/Poland (B. No: 10373/05, 15/9/2009, § 45)。

これらの判決において所有権の完全な定義は示されていませんが、いずれにおいても同様に、所有権に経済的価値が存在することの証拠が求められています。

P1-1または憲法第35条に見られるとおり、個人が所有する持分は絶対的なものではなく、政府の干渉の対象であり、従って制限が加えられる可能性があります。

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条約、憲法の双方において、公益の確保を目的とする所有権の制限が可能とされています。ただし、これは、国家の裁量により所有権に制限を加えることができるということではありません。

条約、憲法とも、財産権の制限が合法性をもって行われるよう求めています。 所有権に関する両者の解説集においては、個人の権利と公益との公平なバランスを確保したうえで制限が行われるべきであるとの要件を示しています。

所有権への干渉がどのようにあるべきかを規制する法令について、憲法と欧州人権裁判所を併せて検証することで、以下の共通する評価にたどり着くことができます。

干渉は公益を目的とし、法に基づき、かつ、慎重に行われるべきである。(James and Others/United Kingdom, B. No: 8793/79, 21/2/1986, § 37; Iatridis/ Greece, B. No: 31107/96, 25/3/1999, § 58; Sporrong and Lönnroth/Sweden, B. No: 7152/75, 23/9/1982, § 69; Ashingdane/United Kingdom, B. No: 8225/78, 28/5/1985, § 57; Sporrong and Lönnroth/ Sweden, B. No: 7152/75, 23/9/1982, § 69)

行政行為が、所有権に対する侵害行為に当たるかを、上述の評価基準により 評価することにより、国家裁量による無法な所有権への干渉が防止されるでしょう。最高裁判所、欧州人権裁判所はいずれも税の問題に関する受動的傾向を改め、個人の損害の程度によって事例を取り扱うようになっています。

このように、税法および課税関係に関する個人の申立てに対する最高裁判所の 判決は、国家に対する個人の立場を引き上げる性質となっています。このような 動きを通じて、税に関する権利侵害が防止される可能性があります。

2. 地域別ニュースレター l トルコ

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

ブラジル EY Brazil Japan Business Services News Letter - 2016年7月1日 より

【TOPIC 1. 金融取引税(IOF)に関する政令公布 (Decreto 8,731/2016)】

(日本語版概要) 2016年5月2日、政令Decreto 8,731/2016が公表され、為替取引(IOF-FX)や債券および投資等の取引(IOF-Securities)に関する金融取引税の改正がなされました。当該政令は、以下のb)を除き2016年4月30日から発効となっています。 a) 上場有価証券(ポートフォリオ投資もしくはResolução 4,373/2014規定)に 対する直接投資(法令4,131/1962)に係る為替取引 上場有価証券への直接投資に関する外貨同時決済取引について、ゼロ税率を適用されます。

b) 外国通貨の取得取引 これまで0.38%であった外国通貨の取得取引税率が1.1%に引き上げられ ました。この税率は2016年5月3日から適用されます。

c) 外貨建て借入金 ブラジルへ資金流入される外貨建借入金については、借入期間が「短期 (*現在は180日まで)」のものは6%、これを超える「長期」は0%という運用がなされています。当該政令によれば、「長期」として0%で借入れを実行した外貨建て借入金につき、満期日前かつ「短期」に該当する期間中に返済した場合、6%のIOF、金利および罰金が課されることになります。

*「短期」および「長期」の概念は、借入が実行された年に施行されていた政令により異なりますので、留意が必要です。

d) サービスの輸出 現在、ブラジルからの財およびサービスの輸出に起因して資金流入する外貨建て取引に対して、IOF税率はゼロとなっています。当該政令によれば、ゼロ税率が適用されるサービスが明示されたほか、新たに無形資産取引、その他の純資産変動をもたらす一部の取引についても、原則ゼロ税率とすることが明示されました。

TOPIC 1: 金融取引税(IOF)に関する政令公布 (Decreto 8,731/2016)

TOPIC 2: DIPJに関する規制強化 (IN 1,634/2016)

TOPIC 3: SISCOSERVに関する新たなマニュアルの公表(Portaria Conjunta RFB/SCS nº 768/2016)

TOPIC 4: Bloco Kに関する新レイアウトの公表(ATO COTEPE nº 7/2016)

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【TOPIC 2. DIPJに関する規制強化 (IN 1,634/2016) 】

(日本語版概要) ブラジル国税庁は、規範的指針IN 1,634/2016を公表し、ブラジル法人税務番号(CNPJ)に関する規制を強化し、ブラジル法人の「最終受益者」に関する情報を要求することになりました。「最終受益者」とは、直接ないし間接に会社を所有、支配、 もしくは重要な影響を有する法人もしくはその代理で取引を実施する自然人として定義されています。 当該INは、2016年6月1日より発効されていますが、この最終受益者に関する情報の提出開始は以下の通りの運用となります。

a) 2017年1月1日以降に新規CNPJ登録を行ったブラジル企業(外資企業含む):当該CNPJ登録日に最終受益者情報も登録

b) 2017年1月1日までに既にCNPJを取得しているブラジル企業(外資企業 含む):2017年1月1日から2018年12月31日の間に登録(ただし、登録情報の変更が生じた場合には、当該変更日に合わせて最終受益者情報も登録が 必要)

【TOPIC 3. SISCOSERVに関する新たなマニュアルの公表 (Portaria Conjunta RFB/SCS nº 768/2016)】

(日本語版概要) 2016年5月13日、*SISCOSERVの販売・購入モジュールにおける11版マニュアルがPortaria Conjunta RFB/SCS nº 768/2016にて承認、公表され、既に国税庁HP(http://rfb.gov.br)および開発商工省HP(http://www.mdic.gov.br)にて 閲覧可能となっています。このマニュアルは、2016年6月1日より発効となっています。

*SISCOSERV(シスコセルビ)とは2013年より開始されているサービスおよび無形資産の輸出入を登録・申告するシステムです。Simplesと呼ばれる一部の小規模事業者を除き、すべての在ブラジル企業に義務付けられています。

当該マニュアルによれば、SISCOSERVに関するいくつかの重要な点が修正もしくは変更となっていますので、業務担当者と確認を行うことをお勧めいたします。

2. 地域別ニュースレター l ブラジル

【TOPIC 4. Bloco Kに関する新レイアウトの公表(ATO COTEPE nº 7/2016)】

(日本語版概要) 導入が延期されている*Bloco Kについて、5月13日付けATO COTEPE nº 7/2016 において、重要なレイアウト変更が示されました。この変更は、新規の登録義務に言及している項目もあり、具体的には、商品の解体・再加工・修理に係る登録処理や要修正事項や欠落情報の是正処理に関するものが含まれます。

*Bloco K(ブロッコ・カー)とは生産および在庫に関する電子的管理帳簿(EFD ICMS/IPI内にて 管理)

であり、工業施設、工業施設と見なされる施設、および卸売業者に対して提出が課されるものです。2017年1月より順次導入予定であり、対象会社(CNAEコードおよび会社規模)ごとに導入開始義務付け時期が異なっています。なお、2017年1月から適用される企業は、以下の通りです。なお、以下に該当しない会社は2018年1月以降の適用となります。

• 全国経済活動分類(Classificação Nacional de Atividades Econômicas; “CNAE”, 以下参照)の10から32のいずれかに分類される工業施設を所有 する会社であって、年間売上高が3億ブラジル・レアル以上の会社

• RECOF(工業保税倉庫向けの特別関税制度)、もしくはこれに代わる特別制度 を利用している工業施設を所有する会社

CNAE 10-32(製造業)分類 http://cnae.ibge.gov.br/busca-online-cnae?view=secao&tipo=cnae&versaosubclasse=9&versaoclasse=7&secao=C

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新興国アップデート l August 2016 Issue 5

EY Brazil Japan Business Services News Letter - 2016年7月21日 より

【TOPIC. 国税庁調査官によるストライキでCARF税務審議に影響発生】

(日本語版概要)

2016年7月14日(水)午前中より、CARF(国税審判審議会)の税務調査官の代表は、「greve branca」と呼ばれる任意ストライキに入っており、現在国税庁による税務調査が停止されているほか、港湾、空港、および国境における税関処理にも影響がでています。

税務調査官組合によれば、これは、Dilma Rousseff氏在任期間中であった2016年3月に国税庁と給与改定を合意したものの、依然としてそれが実行されていないことを不服とするストライキとされています。CARF税務調査官の23名の代表者は、CARF審議会長Carlos Alberto Barreto氏に対して、「当該要求が受理されない場合には役職を辞する」旨の書簡を送付しています。

税務調査官の要求が政府に受理されない場合、CARFの機能に直接影響を及ぼし、特に、税務調査官から構成される審議官の集団辞職が行われた場合、案件を採決する定足数を充たすことができなくなり、審議機能が停止します。この場合の審議停止は、新しい審議官(評議員)が選任されるまで続くこととなります。

現在* CARFにて審議中の案件がある会社は、上記影響を受け、審議期間が長引くことが予想されます。

* CARFとは:国税庁による税務調査によって課税処分を受けた会社が、処分を不服として審査請求(行政

手続き)を行う審議会

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