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水平構面にディメンションランバーを用いた木造軸組工法住宅 床構面・勾配屋根構面の構造設計マニュアル 2018 年評定更新対応・追補版) 平成 30 12

水平構面にディメンションランバーを用いた木造軸組工法住 …2018/12/28  · 監修のことば 本冊子は、枠組壁工法構造用製材(ディメンジョンランバー)を用いた床水平構面および勾配屋根水

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水平構面にディメンションランバーを用いた木造軸組工法住宅

床構面・勾配屋根構面の構造設計マニュアル

(2018 年評定更新対応・追補版)

平成 30 年 12 月

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監修のことば

本冊子は、枠組壁工法構造用製材(ディメンジョンランバー)を用いた床水平構面および勾配屋根水

平構面の許容せん断耐力等の設計情報が取り纏められたものである。 木造軸組工法住宅は、その階数が3以上となった場合等、一定の規模を超えた場合、許容応力度計算

が要求される。しかし、それ以下の規模のものでも、より合理性のある構造安全性を実現するには、許

容応力度計算を行うのが望ましい。そこで、(公財)日本住宅・木材技術センターでは、「木造軸組工法

住宅の許容応力度設計」を編集、出版、発行して、許容応力度計算の普及、啓発に努めてきている。し

かしながら、同書は在来軸組工法住宅を扱うという立場から、日本農林規格の構造用製材を用いること

を念頭として記述されている。そのため、枠組壁工法構造用製材を用いた場合という観点からの記述が

欠如している。ところが実際には、在来軸組工法住宅でもしばしば、特に水平構面では、枠組壁工法構

造用製材が使われている。構造的に適切な水平構面を実現するには、詳細部分の仕様をどうするのかと

いった情報が必要である。加えて、水平構面の許容応力度計算を行うには、その許容せん断耐力が必要

である。 今回、カナダ林産業審議会(COFI)が、その点を補うべく、枠組壁工法構造用製材を用いた水平構面

の詳細部分の仕様を著すとともに、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」2017 年版を基に、その許容

せん断耐力をまとめた冊子を編集、発行するということになった。その編集にあたって、(公財)日本住

宅・木材技術センターに監修の依頼があった。(公財)日本住宅・木材技術センターでは、ご依頼を受け、

技術的な内容について適切であるか、慎重に吟味し、必要な助言等をさしあげること等で、より良い冊

子とするために、十分な監修をさせていただいた。その結果、枠組壁工法構造用製材を用いて、水平構

面を設計するため必要な設計情報を盛り込んだ小冊子を作製することができたと考えている。 監修者として、枠組壁工法構造用製材による水平構面のより確かな構造安全性が実現するため、「木

造軸組工法住宅の許容応力度設計」2017 年版とともに、本冊子の利用をお薦めする。

公益財団法人 日本住宅・木材技術センター 理事長 古久保 英嗣

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マニュアル目次

1. はじめに

1.1 本書について .................................................................................................................................................................. 1

1.2 本書が対象とする建築物 .............................................................................................................................................. 3

1.3 水平構面の構造安全確認の重要性 ............................................................................................................................... 4

2. 適用範囲

2.1 評定概要と用語の定義 .................................................................................................................................................. 6

2.2 使用材料一覧 .................................................................................................................................................................. 8

2.3 使用材料の組合せ .......................................................................................................................................................... 9

2.4 部材配置要件 .................................................................................................................................................................. 11

3. 詳細計算法による許容耐力評価

3.1 計算に用いる数値データ等 .......................................................................................................................................... 16

3.2 計算方法 .......................................................................................................................................................................... 19

3.3 詳細計算法の適用例(許容耐力の算定例) ............................................................................................................... 24

4. 詳細計算法補助ツールの利用方法

4.1 補助ツールの概要 ............................................................................................................................................................ 27

4.2 床構面の補助ツール ........................................................................................................................................................ 28

4.3 勾配屋根面の補助ツール ................................................................................................................................................ 31

5. 設計例

5.1 モデルプラン 1 ............................................................................................................................................................... 34

5.2 モデルプラン 2 ............................................................................................................................................................... 36

6. 参考資料<構造用パネルを用いた水平構面の許容耐力の推定>

6.1 検討概要 .......................................................................................................................................................................... 38

6.2 2×4 指針の設計用データに基づく考察 ...................................................................................................................... 39

6.3 枠組壁工法構造用製材と OSB による釘の一面せん断性能について ...................................................................... 39

6.4 検討結果まとめ .............................................................................................................................................................. 43

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1. はじめに

1.1 本書について

本書は、床水平構面および勾配屋根水平構面に枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー:2×4 材、2×6 材、

2×8 材)を用いた木造軸組工法住宅について、許容応力度計算により水平構面の検討を行う際に必要となる設計情報を

取りまとめたマニュアルです。本マニュアルは、「日本住宅・木材技術センター:軸組工法住宅の許容応力度計算 2008 年

版」(以下「グレー本(2008)」)に準拠するかたちで 2014 年に初版発行となり

ましたが、2017 年 4 月に同書の全面改定版「軸組工法住宅の許容応力度計

算 2017 年版①」(以下、「グレー本(2017)」)が発刊されたことに伴い、本マ

ニュアルも解説等を充実させ、2017 年版として改訂することとなりました。

許容応力度計算による構造設計において、水平構面の検討が求められます

が、床水平構面や勾配屋根水平構面の仕様に応じた許容耐力を設定し、床面

に生じるせん断力に対して検定を行う必要があります。

一般的な構成による水平構面の短期許容せん断耐力は、グレー本(2017)に

記載されており、部材寸法などの各規定を満足する場合には、水平構面の仕

様に応じた記載値を使用することができます。一方、枠組壁工法構造用製材

では、部材幅が 38mm と細く、グレー本(2017)に記載された仕様の範囲から

外れるため、許容せん断耐力を設定することができません(図 1.1.2 参照:

部材幅 45mm 以上が必要)。

図 1.1.2 水平構面の許容耐力が与えられる部材の要件(グレー本より抜粋)

図 1.1.1 グレー本表紙(2017 年版)

勾配屋根 水平構面

床水平構面

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また、図 1.1.2 に示されるような水平構面の構成方法に応じた許容耐力のほか、「詳細計算法」による水平構面の耐力

計算方法について規定されており、根太や垂木のピッチ、釘打ちの形状から、許容せん断耐力を設定することも可能で

す。詳細計算法により水平構面の耐力を評価する場合、計算の前提となる適用範囲が定められていますが、グレー本

(2017)では主に表 1.1-1 のように更新されました。

表 1.1-1 床水平構面・勾配屋根水平構面の詳細計算法に関する主な適用範囲(対応表)

項目 グレー本(2017) 本マニュアル※1

(1) 面材厚 12mm 以上 9mm※2, 12mm, 15mm

(2) 釘のピッチ 75mm 以上 75mm 以上

(3) 面材の釘列に対するへりあき 10mm かつ 0.8t 以上※3 10mm

(4) 根太(垂木)の釘列に対する縁端距離 10mm かつ 0.8t 以上※3 2.1]mm[

]mm[150 t

q

釘ピッチ

※3

(5) 根太(垂木)の断面 見付幅 45×60mm 以上 見付幅 38×89mm 以上

※1:本マニュアルの適用範囲は、原則としてグレー本(2008)に準拠している。

※2:9mm は勾配屋根水平構面のみ使用できる。

※3:t は面材厚[mm]を示す。

グレー本(2017)の適用範囲に関して、2008 年版からの主な変更点は、面材厚の限定、釘列に対する面材のへりあきや根

太(垂木)の縁端距離、部材幅に関するものであり、これらの規定が追加された目的はいずれも計算による耐力評価の前提

として脆性的な破壊を防止することと解説されています。

一方、本書が参照する任意評定では、国土交通省の指定性能評価機関にて水平構面の面内せん断試験の結果にもとづ

き、グレー本(2017)で適用範囲外となった面材厚 9mm の構造用合板や見付幅 38mm のディメンションランバーを組合わ

せた場合でも詳細計算法の適用範囲に含めることができることについて審査を受けています。ただし、構造用合板の厚さ

については、性能安定の観点からグレー本(2017)で規定された 12mm を用いることが望ましいと考えられます。

本書では、任意評定の内容を紹介するとともに、グレー本(2017)の適用範囲の改訂と任意評定の適用範囲と間に食い違

いが生じている箇所については必要に応じて解説を追加しています。また、詳細設計法を実行する際は、附属の補助ツー

ル(Microsoft Excel を利用)を用意しており、より簡便にご検討いただけるよう配慮しました。

本書ならびに補助ツールが、水平構面にディメンションランバーを用いた木造軸組工法住宅の設計の一助となること

を期待しています。

【2018 年評定対応・追補版】

本書が参照する任意評定の更新に伴い、本マニュアルの内容も任意評定に対応しました。本マニュアルの主な更新内

容は下記のとおりです。

・床根太(床構面)及びたるき(勾配屋根構面)の材料に 210 材及び 212 材を追加

・勾配屋根構面の構成方法に「落し込み」仕様を追加

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1.2 本書が対象とする建築物

本書では、任意評定を適用して水平構面の検討をおこなう建築物として、以下の①②に該当する建築物を対象にしてい

ます。基本的には、許容応力度計算による構造安全性の確認を行う建築物が該当します。

反対に、四号建築物かつ下記ⅰ),ⅱ)に該当する場合は、法的には構造計算が求められないため、ディメンションラン

バーを用いた床構面、勾配屋根構面を設計することは可能です。ただし、後述の 1.3 節に示すような観点から、構造計算

により安全性を確認することの重要性は言うまでもありません。

ⅰ) 施行令第 46 条 3 項(火打材を設ける床構面、振れ止めを設ける勾配屋根構面)に定める仕様規定を満足する場合

→昭和 62 年建設省告示第 1899 号の許容応力度計算が求められないため。

ⅱ) 品確法床倍率による性能評価のみ(構造計算不要)を行う場合

→構造計算が不要な場合で、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」の性能評価のみを行う場合、

床倍率については表 1.2.1 に示すように、面材仕様,床根太又はたるきの間隔,くぎ種類とピッチの規定によって

床倍率が与えられ、床根太やたるきの寸法に関する制限がないため(表 1.2.1 参照)。

表 1.2.1 品確法の存在床倍率の仕様表示

(平成 13 年国交省告示第 1347 号第 5「1-1 耐震等級」(3)評価基準 表より一部抜粋)

(い) (ろ)

床組等の構造方法 存在床倍率

(1) 厚さ 12mm 以上の構造用合板又は構造用パネル(1 級又は 2 級のものに限る。)を、根太(根太相互の間隔が

340mm 以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘 N50 を用いて 150mm 以下の間隔で打ち付けた床組等 1

(2) 厚さ 12mm 以上の構造用合板又は構造用パネル(1 級又は 2 級のものに限る。)を、根太(根太相互の間隔が

500mm 以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘 N50 を用いて 150mm 以下の間隔で打ち付けた床組等 0.7

(11) 厚さ 9mm 以上の構造用合板又は構造用パネル(1 級、2 級又は 3 級のものに限る。)を、たる木に対し、鉄丸釘

N50 を用いて 150mm 以下の間隔で打ち付けた屋根面で、勾配が 45 度以下のもの 0.5

(12) (11)の屋根面において、勾配が 30 度以下のもの 0.7

この表において、「構造用合板」は構造用合板の日本農林規格(昭和 44 年農林省告示第 1371 号)に規定する特類又は 1 類を、「構

造用パネル」は構造用パネルの日本農林規格(昭和 62 年農林水産省告示第 360 号)に規定する 1 級、2 級又は 3 級を、「鉄丸釘 N50」

は日本工業規格 A5508 に定める N50 又はこれと同等の品質を有するくぎをいう

① 構造計算により構造耐力上安全であることについて確認が必要な建築物

⇒法第 20 条 4 号以外に該当する場合、令第 46 条 3 項ただし書きを適用する場合など

② 法令上は構造計算が不要であるが、設計者判断により構造安全性の確認を行う建築物

⇒法第 20 条 4 号に該当し、令第 3 節の各仕様規定を満足するが、自主的に構造計算を行う場合など

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1.3 水平構面の構造安全確認の重要性

(1) 水平構面の機能

地震力や風圧力など、建物に作用する水平荷重に対して、耐力壁などの水平抵抗要素をバランスよく配置し、建物全

体として均等に荷重を伝達させるよう計画することが望まれます。しかし、実際には耐力壁の偏在や上階のセットバッ

クなどにより、建物全体として水平抵抗要素のバランスが崩れているプランの建物が多いのが実情です。

特に、四号建築物のように構造計算を行わない建物の場合、上記のような水平抵抗要素の配置バランスが悪い建物で

は、令 3 章 3 節の仕様規定を満足する場合でも、建物重量、耐力壁の配置、水平構面の区画面積の組合せによっては、

次のような問題が考えられます。

・「四分割法」や「偏心率≦0.3」の前提条件(剛床仮定)の不成立

・建物全体のねじれ挙動

・水平抵抗要素が配置していない通りの変形の増大、損傷

【剛性不足】通り毎の変形量に差が発生 【剛床】建物全体の変形量が均一

図 1.3.1 水平構面の面内剛性の違いによる建物変形の比較

(建築技術 2003 年 11 月号より引用)

水平構面の仕様規定については、令第 46 条 3 項に「火打材・振れ止め」の配置があります。この規定は、令第 46 条

の「壁量計算」や令第 47 条の「N 値計算」と比較して、構造的な観点からは規定内容に曖昧な部分を含むものと考えら

れます。例えば、水平構面の区画ごとの構造性能については、区画面積の増大に応じて必要となる水平構面の耐力も増

減します。しかし、上記の仕様規定においては面積に関する規定がないため、区画ごとに構造性能に大きなばらつきが

生じることが推測されます。なお、区画面積に応じた水平構面の耐力については、品確法で床倍率が与えられており、水

平構面を計画する際は、少なくとも床倍率を参考に検討を行うことが望ましいと言えます。

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(2) 水平構面の性能不足による地震被害例

水平構面の構造性能の不足が原因と推測される建物地震被害例を紹介します。水平構面の地震被害は、床構面より勾

配屋根面の被害のほうが多く報告されています。図 1.3.2、図 1.3.3 は、いずれも桁行方向が長い切妻屋根の建物です。こ

れらの建物に共通する特徴として、勾配屋根面の剛性および耐力が低く、さらに耐力壁線の間隔が大きいことが考えら

れます。図 1.3.1 のように屋根面の変形が増大し、建物が大きく振られて倒壊に至ったものと考えられます。

また、建物のねじれ挙動によるとみられる倒壊被害も過去の地震被害調査報告に数多くあります。水平耐力要素の配

置バランスの不均衡が主な要因と考えられますが、水平構面の性能不足が被害を助長している場合も多く含まれるもの

と推測されます。

これらの地震被害からも、水平荷重に対して建物全体として一体に抵抗させるために、水平構面を適切に設計するこ

とが重要です。

図 1.3.2 勾配屋根面の地震被害例①

(新潟県中越沖地震被害報告/第1部 地震被害の検証/建物被害の概要/長岡技術科学大学)

図 1.3.3 勾配屋根面の地震被害例②

(新潟県中越沖地震/朝日新聞 DIGITAL「災害史」/http://www.asahi.com/special/saigaishi/)

変形大

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2. 適用範囲

2.1 評定概要と用語の定義

(1) 評定概要

本書で扱う評定の概要を表 2.1 に示します。

表 2.1 一般評定の概要

件名 木造軸組工法住宅の床根太及びたるきに所定の枠組壁工法構造用製材を用い、所定の

面材を所定のくぎで緊結した水平構面の許容せん断耐力詳細計算法

評定事項 木造軸組工法住宅の床根太及びたるきに所定の枠組壁工法構造用製材を用い、所定の

面材を所定のくぎで緊結した面材張り床水平構面及び面材張り勾配屋根水平構面の許

容せん断耐力は、申請された詳細計算法を用いて算出することができる。

評定区分 一般評定

評価機関 一般財団法人 ベターリビング

評定番号/有効期限 CBL TS001-13 号 / 2023 年 12 月 23 日

図 2.1 評 定 書

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(2) 用語の定義

本書に掲載する各用語の定義を以下に示します。

床構面 .................................... 評定を適用して面内せん断耐力の評価対象とする水平構面のうち、床水平構面。

勾配屋根面 ............................ 評定を適用して面内せん断耐力の評価対象とする水平構面のうち、勾配屋根水平構面。

床根太 .................................... 床構面を構成する枠組壁工法構造用製材で、寸法形式が 204,206,208 のいずれかの材。

たるき .................................... 勾配屋根構面を構成する枠組壁工法構造用製材で、寸法形式が 204,206,208 のいずれかの材。

受け材 .................................... 床根太又はたるきの直行方向に配置する部材で、面材釘を打ちつける材。

転び止め ................................ 床根太又はたるきの直行方向に配置する部材で、床根太又はたるきの転びを抑制する機能を

有する材。ここで、転びを抑制する機能とは、床根太又はたるきを受ける軸組材の上面また

は側面に固定される部材が配置されることに伴い、床面又は勾配屋根面を支持する¥軸組材

の位置において、床根太又はたるきの面外方向の転倒を抑制する働きをいう。なお、転び止

めには、面材釘を打ちつける「受け材」の役割を兼ねる場合を含む。

軸組材 .................................... 床構面又は勾配屋根構面を支持又は構成するはり、桁、棟木、母屋材。

枠組材 .................................... 床構面又は勾配屋根構面を構成する枠組壁工法用製材の総称。

面材 ........................................ 床構面又は勾配屋根構面を構成する構造用合板。

面材釘 .................................... 面材と床根太、たるき、受け材、転び止め、軸組材の相互に接合するために用いる接合具で、

適用範囲に定める鉄丸くぎ N50。

床構面 勾配屋根面

(カナダ林産業審議会「SPF in Post & Beam (SPF ディメンションランバーがひらく木造軸組建築)」より転載)

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2.2 使用材料一覧

床構面、勾配屋根構面の構成部材について、使用材料の規格を表 2.2.1~表 2.2.3 に示します。

表 2.2.1 木材の規格等

部位 断面寸法 樹 種 区分・等級等 準拠規格等

枠組材

(床根太 たるき 受け材

転び止め)

38mm×89mm (寸法形式 204) 38mm×140mm (寸法形式 206) 38mm×184mm (寸法形式 208) 38mm×235mm (寸法形式 210) 38mm×286mm (寸法形式 212)

D Fir-L Hem-Fir S-P-F 又は Spruce-Pine-Fir

枠組壁工法構造用製材のうち、区分等級が甲種

2 級以上、かつ、曲げ基準強度 Fb が 21.6N/mm2

以上であるもの、 又は、機械等級区分の枠組壁工法構造用製材

(MSR 製材)のうち、曲げ応力等級の呼び名の組

合せが 1500Fb 以上、かつ、1.4E 以上であるも

平成 12 年建設省告示第 1452 号第三

号及び第五号

D Fir-L(N) Hem-Fir(N) S-P-F

右記の告示に基づき、基準強度指定を受けた

NLGA(National Lumber Grades Authority)の

NLGA 格付製材のうち、枠組壁工法構造用製材

で、等級が SS, No.1, 又は No.2 で、かつ、曲げ

基準強度 Fb が 21.6N/mm2以上であるもの、 又は、NLGA 格付製材のうち、機械による曲げ

応力等級区分を行う枠組壁工法構造用製材で、

等級が 1500Fb-1.4E 以上であるもの

平成 12 年建設省告示第 1452 号第六

号(平成 21 年 3 月 13 日付け国土交

通省住指第 3841 号)

軸組材 105mm×105mm以上

針葉樹※1 構造用製材のうち、目視等級区分又は機械等級

区分に適合するもの 平成 12 年建設省告示第 1452 号第一

号及び第二号

「集成材のせん断の基準強

度」が与えられる樹種※2

対称異等級構成集成材 平成 13 年国土交通省告示第 1024 号

第 3 第二号イ表 1

同一等級構成集成材 平成 13 年国土交通省告示第 1024 号

第 3 第二号イ表 4

※1 製材の日本農林規格に適合する針葉樹(あかまつ、べいまつ、からまつ、ダフリカからまつ、ひば、ひのき、べいつが、えぞまつ及びとどまつ、すぎ)のいずれかとする。 ※2 平成 13 年国土交通省告示第 1024 号第 3 第二号表 7「集成材のせん断の基準強度」に示される樹種のいずれかとする。

表 2.2.2 面材の規格等

部位 仕様 面材の仕様 接着の程度による分

類 等級 準拠規格等

床構面 床根太仕様 構造用合板厚 12mm, 15mm 特類, 1 類 1 級, 2 級 平成 20 年農林水産省告示第 1751号

勾配屋根面 たるき仕様 構造用合板厚 9mm※1

特類 1 級 平成 20 年農林水産省告示第 1751

号 構造用合板厚 12mm, 15mm 1 級, 2 級※2

※1:グレー本(2017)の適用範囲外であるため使用しないことが望ましい。 ※2:2 級合板を用いる場合について、グレー本(2017)で「表層単版を J1 もしくは J2 グループとする」旨の規定が新たに追加され

たため、グレー本(2017)の規定を遵守することが望ましい。

表 2.2.3 接合具の規格、接合方法等

接合具 接合部位 特記事項 準拠規格等

鉄丸くぎ N50 面材釘 面材と接合具の縁端距離を 10mm とする。 鉄丸くぎ :JIS A 5508 縁端距離 :グレー本

鉄丸くぎ N75 軸組材と枠組材、枠組材相

互 接合方法の詳細は「2.4 部材配置要件」参

照。 鉄丸くぎ :JIS A 5508

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2.3 使用材料の組合せ

(1) 床構面

床構面の使用材料に関する適用範囲は、表 2.3.1 に示す枠組材、面材、面材釘の組合せ(○印)とすることができま

す。ここで、構造用合板の厚さは図 1.1.2 の床水平構面の仕様規定(グレー本)に準拠して 12mm~15mm、面材釘のピ

ッチは表 1.1.1 に示す評定の適用範囲に対応しています。ヤング係数 E は使用する枠組材に応じて 9600N/mm2 以上の数

値を設定できます(S-P-F 甲種 2 級以上,表 3.1.4 参照)。また、表中☆印の組合せについては、計算例として本書 3.3 節

に耐力評価結果を示しています。

表 2.3.1 床構面の適用範囲(使用材料の組合せ)

枠組材のヤング係数 E による 計算条件の区分

構造用合板の厚さと面材釘の組合せ

厚 12mm 厚 15mm

E (N/mm2) 代表的な枠組材の規格 N50 釘

@150mm N50 釘

@125mm N50 釘

@150mm

9600以上 ~10000未満

・S-P-F 甲種 2 級 ・機械等級区分 1500Fb-1.4E

☆本書掲載 (3.3 節)

○ ○

10000以上 ~10500未満

・S-P-F 甲種 1 級 ・機械等級区分 1650Fb-1.5E ○ ○ ○

10500以上 ~11000未満

・S-P-F 甲種特級 ・Hem-Fir 甲種特級 ○ ○ ○

11000以上 ~11500未満

・Hem-Fir(N) No.2 ・機械等級区分 1800Fb-1.6E ○ ○ ○

11500以上 ~12000未満

・Hem-Fir(N) No.1 ・機械等級区分 1950Fb-1.7E ○ ○ ○

12000以上 ~13500未満

・Hem-Fir(N) SS ・機械等級区分 2100Fb-1.8E ○ ○ ○

12500以上 ~13000未満

・D Fir-L 甲種特級 ○ ○ ○

13000以上 ~13500未満 ・機械等級区分 2250Fb-1.9E ○ ○ ○

13500以上 ~14000未満 ・機械等級区分 2400Fb-2.0E ○ ○ ○

14000以上 ~14500未満 (該当なし) - - -

14500以上 ~15000未満 ・機械等級区分 2550Fb-2.1E ○ ○ ○

15000以上 ~15500未満

・機械等級区分 2700Fb-2.2E ○ ○ ○

15500以上 ~16000未満 ・機械等級区分 2850Fb-2.3E ○ ○ ○

16000以上 ~16500未満

(該当なし) - - -

16500以上 ~17000未満 ・機械等級区分 3000Fb-2.4E ○ ○ ○

17000以上 ~17500未満 ・機械等級区分 3150Fb-2.5E ○ ○ ○

17500以上 ~18000未満

・機械等級区分 3300Fb-2.6E ○ ○ ○

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(2) 勾配屋根面

勾配屋根面の使用材料に関する適用範囲は、表 2.3.2 に示す枠組材、面材、面材釘の組合せ(○印)とすることができ

ます。ここで、構造用合板の厚さは図 1.1.2 の勾配屋根水平構面の仕様規定(グレー本)に準拠して 9mm~15mm、面材

釘のピッチは表 1.1.1 に示す評定の適用範囲に対応しています。ヤング係数 E は使用する枠組材に応じて 9600N/mm2以

上の数値を設定できます(S-P-F 甲種 2 級以上,表 3.1.4 参照)。また、表中☆印の組合せについては、計算例として本

書 3.3 節に耐力評価結果を示しています。

表 2.3.2 勾配屋根面の適用範囲(使用材料の組合せ)

枠組材のヤング係数 E による 計算条件の区分

構造用合板の厚さと面材釘の組合せ

厚 9mm※ 厚 12mm 厚 15mm

E (N/mm2) 代表的な枠組材の規格 N50 釘

@150mm N50 釘

@125mm N50 釘

@100mm N50 釘

@150mm N50 釘

@125mm N50 釘

@150mm

9600以上 ~10000未満

・S-P-F 甲種 2 級 ・機械等級区分 1500Fb-1.4E ○ ○ ○

☆本書掲載 (3.3 節)

○ ○

10000以上 ~10500未満

・S-P-F 甲種 1 級 ・機械等級区分 1650Fb-1.5E ○ ○ ○ ○ ○ ○

10500以上 ~11000未満

・S-P-F 甲種特級 ・Hem-Fir 甲種特級 ○ ○ ○ ○ ○ ○

11000以上 ~11500未満

・Hem-Fir(N) No.2 ・機械等級区分 1800Fb-1.6E ○ ○ ○ ○ ○ ○

11500以上 ~12000未満

・Hem-Fir(N) No.1 ・機械等級区分 1950Fb-1.7E ○ ○ ○ ○ ○ ○

12000以上 ~13500未満

・Hem-Fir(N) SS ・機械等級区分 2100Fb-1.8E ○ ○ ○ ○ ○ ○

12500以上 ~13000未満 ・D Fir-L 甲種特級 ○ ○ ○ ○ ○ ○

13000以上 ~13500未満 ・機械等級区分 2250Fb-1.9E ○ ○ ○ ○ ○ ○

13500以上 ~14000未満

・機械等級区分 2400Fb-2.0E ○ ○ ○ ○ ○ ○

14000以上 ~14500未満 (該当なし) - - - - - -

14500以上 ~15000未満

・機械等級区分 2550Fb-2.1E ○ ○ ○ ○ ○ ○

15000以上 ~15500未満 ・機械等級区分 2700Fb-2.2E ○ ○ ○ ○ ○ ○

15500以上 ~16000未満 ・機械等級区分 2850Fb-2.3E ○ ○ ○ ○ ○ ○

16000以上 ~16500未満 (該当なし) - - - - - -

16500以上 ~17000未満 ・機械等級区分 3000Fb-2.4E ○ ○ ○ ○ ○ ○

17000以上 ~17500未満

・機械等級区分 3150Fb-2.5E ○ ○ ○ ○ ○ ○

17500以上 ~18000未満 ・機械等級区分 3300Fb-2.6E ○ ○ ○ ○ ○ ○

※:グレー本(2017)の適用範囲外であるため使用しないことが望ましい。

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2.4 部材配置要件

床構面、勾配屋根構面の部材配置要領を①~⑤に示します。

① 床根太・たるきの相互間隔は 500mm 以下となるよう配置します。

図 2.4.1 床構面・勾配屋根面の構成要領

② 面材の継目における面材釘の縁端距離は、面材に対して 10mm、枠組材に対して 9mm 以上を確保します※。

※:へりあき及び縁端距離はグレー本(2017)の適用範囲外となるが、構造安全性が担保されることを実験により確認。

図 2.4.2 面材釘接合部の構成要領

≦500

≦500

≦500

はり・桁

床根太

≦500

≦500

≦500

はり, 桁, 母屋, 棟木

たるき

10 10

50

12

89

9 9

3 8

204材

N50

89

9 9

3 8

204材

1 0 1 0

50

N 5 0

9

89

9 9

3 8

50

15

2 04材

N5010 10

合板厚15mm 合板厚 9mm 合板厚12mm

床構面 勾配屋根面

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③ 床根太・たるきの端部の軸組材への接合は、鉄丸釘 N75 を用いて下図のように行います。

図 2.4.3 床根太・たるき端部の接合要領

④ 床根太・たるき間に受け材又は転び止めを設ける場合は、面材の継目ごとに配置し、鉄丸釘 N75 を用いて下図のよ

うに行います。

図 2.4.4 受け材および転び止めの配置要領

≦20

軸組材 の 掘り込 み

2-N75斜め打 ち (両側面 ) ≦20

軸組材 の 掘り込 み

1-N75斜 め 打ち (上面 )2-N75斜 め打 ち (両側 面 )

たるき

2-N75斜 め打 ち (両 側 面 )

はり, 桁, 母屋, 棟木

軸組材

床根太

受け材 転び止め

(床根太端部の受け材)

床根太

軸組材

受け材 転び止め

(床根太端部の受け材)

床根太

受け材

軸組材

≦500

≦500

≦500

はり, 桁, 母屋, 棟木

受け材転び止め

たるき

床構面 (左から順に、転ばし、1/2 落とし込み、落とし込み) 勾配屋根面

床構面 (左から順に、転ばし、1/2 落とし込み、落とし込み)

勾配屋根面

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⑤ 床根太・たるきに 210 材,212 材を用いる場合は、下表の範囲内で適用できます。

表 2.4.1 床根太・たるきに 210 材または 212 材を用いる場合の適用条件

210 材,212 材

の適用条件 転ばし仕様 落し込み仕様

床構面 適用できません

軸組材の上端と床根太上端の差を 92mm

(208 材のせいの 1/2)以下とすることを

要件として適用できます※2 勾配屋根構面

転ばし寸法を 208 材の高さ以下とし、か

つ、軸組材との接合部における切欠きに

よる欠損部分の高さを非構造部分として

扱うことを要件として適用できます※1

※1 勾配屋根の水平構面耐力評価のみならず、鉛直荷重に関するたるきの断面検討においても、非構造部分を無視した断

面寸法のみ有効として検討します(図 2.4.5 参照)。

※2 納まりは図 2.4.6 参照。

図 2.4.5 勾配屋根構面の転ばし仕様に 210 材,212 材を適用する場合の構成例

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床根太・たるきの断面寸法について、初版の評定では 208 材以下に限られていましたが、今般の評定更新にともない

210 材及び 212 材が追加されました。部材断面のアスペクト比が大きくなることで床根太やたるきの倒れ等による水平

構面の剛性低下(耐力低下)の要因となりますが、追加の実験等による検証を行っていないことから、表 2.4.1 のような

適用条件を設定して初版評定で構造性能が確認された範囲の使い方に留めています。

また、屋根勾配部分を利用して断熱材などを納めるために、図 2.4.5 のように切欠き部分の高さの範囲を非構造として

扱うことで 210 材または 212 材による転ばしたるきを構成できるものとしていますが、38mm×155mm 以下の木材(204

材,206 材等)を当該部材の高さに応じた長ビス(タルキックⅡ,シネジック株式会社)を用いて 500mm 以下の間隔、

またはこれと同等耐力以上が確認できる接合方法で、固定して構成することも可能としています。

⑥ 勾配屋根構面の落し込み仕様は、たるきの断面寸法に応じて下図の要領で構成します。

図 2.4.6 勾配屋根構面・落し込み仕様の構成例

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⑦ その他、詳細計算法の適用に際して必要なパラメータを以下に示します。

◆床構面の詳細計算法

1) 床根太間隔 ........................................................... 500mm 以下の範囲で任意に設定可

2) 面材釘の配列 ....................................................... 「川の字」,「日の字」,「ロの字」から選択

3) 転ばし寸法 ........................................................... 「床根太の高さ」,「床根太の高さの 1/2」,「なし(=0)」から選択

4) 構造用合板の樹種 ............................................... 「ベイマツ」,「ラワン(その他)」から選択

◆勾配屋根面の詳細計算法

1) 屋根の勾配 ........................................................... 60 度以下の範囲で任意に設定可

2) 母屋の間隔(水平投影) ................................... 任意に設定可

3) たるき間隔 ........................................................... 500mm 以下の範囲で任意に設定可

4) 面材釘の配列 ....................................................... 「川の字」、「日の字」,「ロの字」から選択

5) 転び止め ............................................................... 「有り」、「無し」から選択

6) 構造用合板の樹種 ............................................... 「ベイマツ」、「ラワン(その他)」から選択

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3. 詳細計算法による許容耐力評価

3.1 計算に用いる数値データ等

(1) 面材釘の一面せん断データ

詳細計算法に用いる面材釘の 1 面せん断性能は、表 3.1.1 の

数値を用います。本表の数値は、グレー本に記載の「合板 12mm,

鉄丸釘 N50」のデータと同一で、そのまま転用しています。こ

のデータは、軸組材(主材)にスギを用いた場合のせん断性能

ですが、主材に SPF を用いて実施した構面試験の結果を分析し

た結果、図 3.1.1 に示すように双方の 1 面せん断性能がほぼ同

等であったことを設定根拠にしています。

本評定において、主材の樹種は、SPF 以外も適用可能です。

ここで、釘の保持力は一般的に主材の比重に比例して向上する

ことから、D Fir-L や Hem-Fir を用いる場合、1 面せん断性能は

より高くなるものと推定されます。しかし、本評定では設計の

簡便性を優先し、安全側の設定として共通のデータを用いることとしています。また、構造用合板の厚さについても、本

評定での範囲内においては、同等の性能であるものとして、共通のデータを用いています。

表 3.1.1 面材釘 1 本あたりの 1 面せん断性能の数値

※1:グレー本(2017)の適用範囲外であるため使用しないことが望ましい。 ※2:2 級合板を用いる場合について、グレー本(2017)で「表層単版を J1 もしくは J2 グループとする」旨の規定が新たに追加され

たため、グレー本(2017)の規定を遵守することが望ましい。

(2) 床根太(たるき)端部の接合部データ

床根根太(たるき)の端部の接合部せん断データについても、面材釘のせん断性能と同様の方針で、樹種に拠らず共通

の性能として表 3.1.2 の数値を用いています。当該接合部のデータについては、枠組材を SPF とした試験等による比較検

討は行っていませんが、前項での検討結果での傾向から、概ね同等程度の性能であろうとの判断によるものです。

表 3.1.2 床根太(たるき)端部の接合部せん断性能の数値

くぎ 面材(構造用合板) k (kN/cm) δv (cm) δu (cm) ΔPv (kN)

鉄丸くぎ N50

9mm -JAS1 級※1 12mm-JAS1 級又は 2 級※2 15mm-JAS1 級又は 2 級※2

4.80 0.21 1.53 0.98

床根太(たるき) 端部接合仕様

床根太(たるき)直交方向接合 たるき軸方向接合

kj kN/cm

δjv cm

δju cm

kx kN/cm

δxv cm

δxu cm

転ばし根太(たるき)を 梁に 2-N75 斜め釘止め

5.87 0.35 1.74 9.39 0.28 3.44

転ばし根太(たるき)を 梁に 3-N75 斜め釘止め

8.76 0.31 1.60 9.67 0.36 3.28

根太(たるき)を梁の根太堀に

半分落し、2-N75 斜め釘止め 18.8 0.28 0.74 - - -

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

0 0.5 1 1.5 2 2.5

くぎ

1本

当り

のせ

ん断

力[kN]

くぎ1本のせん断変形[cm]

試験体A‐N2(1体目)

試験体A‐N1(2体目)

試験結果(合板12mm/N50/SPF)

表6.2.2(合板12mm/N50)

表6.2.2(文献1の補正値)

試験結果による完全弾塑性モデル

k = 4.18  [kN/cm]

δv = 0.26 [cm]

δu = 1.69 [cm]

⊿Pv = 1.08 [kN]

図 3.1.1 1 面せん断性能の比較

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(3) 面材のせん断弾性係数

構造用合板のせん断弾性係数は、樹種に応じて 2 種類に分類されるグレー本の計載値を採用し、表 3.1.3 に示す数値を

用います。

表 3.1.3 構造用合板のせん断弾性係数

※グレー本(2017)では、木質構造設計規準・同解説(日本建築学会)に基づき樹種に拠らず 40 kN/cm2と変更されたため、グレー本

(2017)の値を適用することが望ましい。

(4) 床根太(たるき)のヤング係数

枠組材のヤング係数 E は、枠組壁工法構造用製材の分類、樹種、区分等級に応じて表 3.1.4 の値を用います。

表 3.1.4 床根太(たるき)のヤング係数

※1「木質構造設計規準・同解説」(日本建築学会),「巻末設計資料Ⅰ 製材の基準特性値」を参照。

構造用合板のせん断弾性係数 ベイマツ ラワン(その他)

GB (kN/cm2) 58.8※ 39.2※

枠組壁工法構造用製材の分類 樹種 区分・等級 ヤング係数※1

E (N/mm2)

平成 12 年建設省告示第 1452 号第三号

枠組壁工法構造用製材の日本農林規格に

適合するもの

D Fir-L

甲種・特級 12600

甲種・1 級 11700

甲種・2 級 10700

Hem-Fir 甲種・特級 10600

甲種・1 級 9800

SPF S-P-F Spruce-Pine-Fir

甲種・特級 10500

甲種・1 級 10000

甲種・2 級 9600

平成 12 年建設省告示第 1452 号第五号

機械による曲げ応力等級区分を行う枠組

壁工法構造用製材の日本農林規格に適合

するもの

D Fir-L Hem-Fir SPF S-P-F Spruce-Pine-Fir

1500 Fb-1.4E 9600

1500 Fb-1.8E 12400

1650 Fb-1.4E 9600

1650 Fb-1.5E 10400

1650 Fb-1.8E 12400

1800 Fb-1.6E 11100

1800 Fb-2.1E 14500

1950 Fb-1.5E 10400

1950 Fb-1.7E 11800

2100 Fb-1.8E 12400

2250 Fb-1.6E 11100

2250 Fb-1.9E 13400

2400 Fb-1.7E 11800

2400 Fb-2.0E 13800

2550 Fb-2.1E 14500

2700 Fb-2.2E 15200

2850 Fb-2.3E 15900

3000 Fb-2.4E 16600

3150 Fb-2.5E 17200

3300 Fb-2.6E 17900

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表 3.1.4(つづき) 床根太(たるき)のヤング係数

※2「2007 年枠組壁工法建築物 構造計算指針」(発行:社団法人 日本ツーバイフォー協会),P.137-138 を参照。

枠組壁工法構造用製材の分類 樹種 区分・等級 ヤング係数※2

E (N/mm2)

平成 12 年建設省告示第 1452 号第七号に

規定する木材のうち、平成 21 年 3 月 13

日付け国土交通省住指第 3841 号で基準強

度指定を受けた NLGA(National Lumber

Grades Authority)の NLGA 格付製材の

うち、枠組壁工法用製材に適合するもの

D Fir-L (N) SS 12800

No.1 11900

Hem-Fir (N)

SS 12000

No.1 11500

No.2 11000

S-P-F

SS 10500

No.1 10000

No.2 9600

平成 12 年建設省告示第 1452 号第七号に

規定する木材のうち、平成 21 年 3 月 13

日付け国土交通省住指第 3841 号で基準強

度指定を受けた NLGA(National Lumber

Grades Authority)の NLGA 格付製材のう

ち、機械による曲げ等級区分を行う枠組

壁工法用製材に適合するもの

D Fir-L (N) Hem-Fir (N) S-P-F

1500 Fb-1.4E 9700

1650 Fb-1.5E 10300

1800 Fb-1.6E 11000

1950 Fb-1.7E 11700

2100 Fb-1.8E 12400

2250 Fb-1.9E 13100

2400 Fb-2.0E 13800

2550 Fb-2.1E 14500

2700 Fb-2.2E 15200

2850 Fb-2.3E 15900

3000 Fb-2.4E 16500

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3.2 計算方法

(1) 計算の流れ

詳細計算法による水平構面の許容耐力の計算は、つぎの[1]~[4]の手順で行います。

[1] 適用範囲の確認

水平構面を構成する材料の組合せが、「2.3 使用材料の組合せ」の表 2.3.1(床構面)、表 2.3.2(勾配屋根

面)に適合することを確認します。

[2] 部材の配置要領の確認

水平構面を構成する材料の配置が、「2.4 部材配置要領」の①~⑦の範囲に含まれることを確認します。

[3] 計算に用いる数値データの準備

上記[1],[2]をもとに、使用する材料の配置間隔、部材寸法、各種接合部等の数値データを用意します。

Ixy, Zxy, Cxy:釘配列諸定数,計算又はグレー本の記載値(合致する場合のみ)

k, δv, δu, ΔPv,:面材釘の一面せん断データ(kN/cm, cm, kN)【表 3.1.1】

kj, δjv, δju, kx, δxv, δxu:床根太(たるき)端部の接合部データ(kN/cm, cm)【表 3.1.2】

t:面材厚(cm), B:面材の根太方向の幅(cm), GB:面材のせん断弾性係数(kN/cm2)【表 3.1.3】

b:床根太(たるき)の幅(cm), d:床根太(たるき)のせい(cm),e:転ばし寸法(cm)

p:床根太(たるき)のピッチ(cm), q:面材釘のピッチ(cm)

L:床根太の長さ(床構面の場合)、計算上の梁間長さ(勾配屋根面の場合)(cm)

H:計算上の桁行長さ(勾配屋根面の場合)で、p の整数倍かつ 400cm に最も近い値(cm)

O:水平投影時の母屋ピッチ(勾配屋根面の場合)(cm)

[4] 許容せん断耐力の計算

上記[3]で用意した数値データを、水平構面の種類(床構面、勾配屋根面)に応じた計算式に順次代入

し、許容耐力を計算します。

[5] 耐力計算値に対する上限値の確認

上記[4]の計算結果に対し、206 材又は 208 材を用いた一部仕様を対象とした耐力の規定を設けていま

す。計算値が上限値を超えている場合は、規定の上限値を許容せん断耐力とします(表 3.2.1)。

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(2) 釘配列諸定数の設定

詳細計算法に用いるパラメータ釘配列諸定数 Ixy, Zxy, Cxyは、グレー本の計算方法(=評定の計算方法)に準拠して算定

します。また、グレー本の表 3.2.1 に掲載される標準的な釘配列諸定数を選択することもできます。本書では、具体的な

計算式の掲載は割愛し、各パラメータの意味について解説を行います。

◆パラメータの解説

釘配列諸定数は、水平構面の面内せん断性能を決定づける主要因のひとつです。特に、床構面で根太のころびや、床根

太端部の接合が強固な“落とし込み仕様”の場合は、釘の配列諸定数が大きいほど性能の高い水平構面となります。

Ixy : 単位面積あたりの釘配列二次モーメント(cm2/cm2)

床水平構面の場合、床根太と軸組材で構成される床フレ

ームが、勾配屋根面の場合、たるきと母屋等で構成され

る屋根フレームが、それぞれ平行四辺形に変形するのを

抑える面材釘群の抵抗の程度を表す指標で、ロの字、日

の字など、面材釘群の図心から遠い釘が多いほど大きい

数値となります。床フレームの変形 γ,床フレームに作

用する曲げモーメント M,面材釘 1 本のせん断剛性 k,

面材の面積を Aw とすると、以下の関係が成り立ちます。

xyw IkAM

Zxy : 単位面積あたりの釘配列係数 (cm/cm2)

面材釘群のせん断変形を仮定する場合の釘の配列の隅角部における釘配列の断面係数で、Ixy と同様に面材

釘群の図心から遠い釘が多いほど大きい数値となります。面材釘の抵抗による耐力評価に関する指標です。

Cxy : 釘配列終局降伏比 ( - )

釘の終局時の抵抗力を評価するための指標で、降伏時の抵抗力に対する比率として表されます。数値が大

きいほど、短期に対する終局時の性能が高い水平構面となります。算定結果が 1 以下となる場合は 1 とし

て扱います。面材を「横置き」とする場合、「日型」より「川型」のほうが高い傾向にあります。

◆代表的な釘配列と諸定数の例 (グレー本表 3.2.1 より一部抜粋)

水平力

水平力

反力

反力

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(3) 床構面の許容せん断耐力の詳細計算法の解説

床構面の単位長さ当たりの許容せん断耐力 aQ [kN/cm]は、グレー本の計算式(=評定の計算方法)を適用して算定

し、式(3.2.1)の 3 つの耐力指標のうち、最小値となるもので決定します。詳細計算法による各指標の算定方針について以

下解説を行います。

u

y

a

P

P

P

Q

122.0

min 150

...................................................................................................................... (3.2.1)

① 降伏耐力yP

降伏耐力は、さらに以下[1][2]の項目に細分化して最小値を計算します。

[1] 面材釘の降伏による耐力

釘配列係数 Zxy,面材釘 1 本あたりの耐力⊿Pv を用いて算定する指標で、Zxy が大き

い仕様の場合に高い評価結果となります。

[2] 床根太端部接合部の降伏による耐力(床根太あり工法の場合のみ)

床根太を設ける床構面の場合、床根太端部の接合についても併せて検討する必要が

あります。床構面では、床根太軸方向の変形は、壁や梁等により拘束されるものと

考えられるため省略することができ、床根太直交方向のみを検討対象とします。

② 変形角 1/150rad 耐力150P

変形角 1/150rad 時耐力は、面内剛性が低い仕様について、床構面全体の変形角の上限として 1/150rad のクライテリ

アを設け、耐力を制限することを目的とした指標です。計算においては、下記[1]~[3]の各バネ要素と見なし、各項

目は相互に直列接続として扱います。特に、床根太あり工法の場合、直列接続バネの要素が多いため、耐力評価は

低くなる傾向があります。

[1] 面材釘のせん断すべり剛性と面材のせん断剛性の直列接続バネ

[2] 床根太端部における接合部せん断バネ(床根太あり工法の場合のみ)

[3] 床根太端部における床根太の転びによる回転バネの面内方向置換せん断バネ(床根太あり工法の場合のみ)

③ 靱性を考慮した耐力uP122.0

靱性を考慮した耐力は、さらに以下[1][2]の項目に細分化して最小値を計算します。

[1] 面材釘の終局状態における耐力

釘配列係数 Cxy,Zxy,面材釘 1 本あたりの耐力⊿Pvを用いて算定する指標で、Cxy,Zxy,が大きい仕様で耐力

評価が高くなります。塑性率 μは、上記①②の結果を用いて計算する降伏耐力時の変形角 Ryに対し、面材釘

の靱性、釘配列係数 Ixy、面材のせん断変形を考慮して計算する終局変形角 Ru の比として評価します。

[2] 床根太端部接合部の終局状態における耐力(床根太あり工法の場合のみ)

床根太直行方向の接合部における終局耐力 PVj を用いて計算する指標で、単位接合部の耐力の和として計算

されます。塑性率 μは、上記と同様の Ryに対し、当該接合部の塑性変形による床構面の回転角を考慮した終

局変形角 Ru の比として評価します。

壁等による床根太 軸方向の変形拘束

床根太直交方向の 接合部性能を考慮

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(4) 勾配屋根面の許容せん断耐力の詳細計算法の解説

勾配屋根面の単位長さ当たりの許容せん断耐力 aQ [kN/cm]は、床構面と同様に、グレー本の計算式(=評定の計算

方法)を適用して算定し、式(3.2.1)の 3 つの耐力指標の最小値として評価します※。ここでは、耐力指標①~③のうち、

主に床構面と異なる扱いをする部分について解説を行います。

※グレー本(2017)では一部の計算式やパラメータ設定値に変更がありますが、計算内容に本質的な変更はないため、旧版のグレー本

(2008)に基づく評定の計算方法をそのまま適用できるものとして扱っています。

① 降伏耐力yP

降伏耐力は、[1]~[3]の項目に細分化して最小値を計算します。

[1] 面材釘の降伏による耐力

床構面の計算方法と同じです。

[2] たるき端部接合部の降伏による耐力(たるき直交方向)

床構面の計算方法と同じです。ただし、転び止めを設ける場合は、その耐力を加算

することができます。

[3] たるき端部接合部の降伏による耐力(たるき軸方向)

勾配屋根面の計算で転ばし仕様の場合に検討に含める指標です。たるき端部の軸方

向の接合耐力によって、水平構面の耐力が決定される場合があるため、耐力決定指

標に含まれています。検討においては屋根勾配に応じた補正を行います。

また、落し込み仕様の場合は、当該方向は軸組材により拘束されることから検討不要としています。

② 変形角 1/150rad 耐力150P

変形角 1/150rad 時耐力は、床構面と同様、変形による耐力制限を目的とした指標です。剛性に考慮する項目や係数

の設定などパラメータの定義は床構面の算定式と異なりますが、主たる違いは、たるき軸方向の変形による剛性を

検討対象に追加していると捉えることができます。

[1] 面材釘のせん断すべり剛性と面材のせん断剛性の直列接続バネ

[2] たるき直交方向における接合部せん断バネとたるき断面による回転バネによる直列接続バネ

[3] たるき軸方向における接合部せん断バネ

③ 靱性を考慮した耐力uP122.0

靱性を考慮した耐力は、[1]~[3]の項目に細分化して最小値を計算します。

[1] 面材釘の終局状態における耐力

床構面の計算と同様です。ただし、屋根勾配による補正を行います。

[2] たるき直交方向の接合部終局状態における耐力

計算方針は床構面と同様です。ただし、②の[2]でパラメータの定義や剛性の評価方法を変更していることか

ら、計算式の係数などが異なります。

[3] たるき軸方向の接合部終局状態における耐力

勾配屋根の計算で新たに検討項目に含める指標です。考え方は上記[2]の方法と同じですが、水平構面の長さ

の取り方、屋根勾配を含めるなど、計算式は異なります。

たるき軸方向の 接合部性能も考慮

たるき直交方向の 接合部性能を考慮

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(5) 詳細計算法による耐力計算値に対する上限値の確認

評定では、詳細計算法による床構面・勾配屋根面の耐力評価結果

に対し、一部仕様を対象として許容耐力の上限値を規定しています。

この規定は、206 材,208 材等を用いた床構面、勾配屋根構面の「1/2

落し込み仕様」など、図 3.2.1 に例示するようなディメンションラン

バーの片持ち区間の長さ(出寸法)e’が 44.5mm(=204 材のせいの

1/2 として設定)を超える仕様を対象としています。該当する仕様で

は、床根太の曲げせん断破壊の可能性が高くなるため、評定におい

ては実験で安全性が確認された範囲のみを適用可として制限を設け

ることとしています。

■許容耐力の上限規定に該当する水平構面の仕様

床根太又はたるきに 206 材、208 材、210 材又は 212 材を使用する水平構面で、下記のいずれかに該当するもの

① 床構面の場合

・床根太を軸組材に対して落し込み接合する仕様で、軸組材上端と床根太上端の高さの差 e’が 44.5mm を超える仕様

・転ばし根太に転び止めを用いる仕様で、転び止め上端と床根太上端の高さの差 e’が 44.5mm を超える仕様(ただし、

床根太を 206 材または 208 材とする用いる場合に限る)

② 勾配屋根面の場合

・たるきを軸組材に対して落し込み接合する仕様で、軸組材上端とたるき上端の高さの差 e’が 44.5mm を超える仕様

・たるきの転び止めを用いる仕様で、転び止め上端と床根太上端の高さの差 e’が 44.5mm を超える仕様

表 3.2.1 床根太・たるきの断面寸法と配置間隔に応じて定める水平構面の短期許容せん断耐力の上限値

水平構面の短期許容せん断耐力⊿Qa の上限値

床根太・たるき相互の配置間隔

340mm 以下 340mm を超え

500mm 以下

床根太・たるきの 断面寸法※

206 材 (38mm×140mm)

1.92 (kN/m) 1.34 (kN/m)

208 材 (38mm×184mm)

1.46 (kN/m) 1.02 (kN/m)

※床根太又はたるきに 210 材または 212 材を用いる場合、⊿Qa の上限値は、出寸法 e’が 44.5mm を超え 70.0mm 以下の場合、

「206 材」欄を、e’が 70.0mm を超え 92.0mm 以下の場合、「208 材」欄のそれぞれの数値を適用する。

出寸法 e’

44.5mm 超え

軸組材または転び止め

面材

床根太又はたるき(206 材, 208 材)

曲げせん断破壊の恐れ

せん断力

図 3.2.1 出寸法 e’の高い仕様の部材応力

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3.3 詳細計算法の適用例(許容耐力の算定例)

床構面、勾配屋根面の代表的な仕様について、詳細計算法の適用結果を例示します。

(1) 床構面

代表的な仕様の床構面について、詳細計算法による耐力評価結果を示します。ここで、表中の括弧内の数値は、詳細計

算法による計算値、下線の数値は表 3.2.1 の上限値の規定により設定した耐力値です。206 材、208 材を用いた半欠き(1/2

落し込み)仕様では、結果的に転ばし仕様と同等程度の耐力設定となります。

表 3.3.1 床構面の許容せん断耐力⊿Qa一覧(単位:kN/m)

床構面の仕様 許容せん断耐力⊿Qa (kN/m)

面材および釘 床根太(枠組材)の規格

配置間隔 転ばし (e=d)

半欠き (e=d/2)

落し込み (e=0)

構造用合板 12mm

特類 1 級又は 2 級

鉄丸くぎ N50

@150mm

S-P-F 甲種 2 級

204 材

@500mm 1.31  2.79  3.51 

@333mm 1.99  3.89  4.78 

S-P-F 甲種 2 級

206 材

@500mm 1.14  1.34 (2.62)  3.51 

@333mm 1.66  1.92 (3.67)  4.78 

S-P-F 甲種 2 級

208 材

@500mm 0.99  1.02 (2.41)  3.51 

@333mm 1.44  1.46 (3.38)  4.78 

① 床根太の仕様 ........ S-P-F 甲種 2 級 (1 種) ⑤ 面材釘の配列形状 ....... 横置・川型 (1 種)

② 面材の仕様 ........ ベイマツ,2000mm×1000mm (1 種) ⑥ 釘配列諸定数 ............... グレー本に準拠した算定値 (2 種)

③ 床根太の標準長さ ........ 2000mm (1 種) 床根太@500mm ......... Ixy=1.690, Zxy=0.038, Cxy=1.331

④ 転び止めの有無 ........ なし (1 種) 床根太@333mm ......... Ixy=2.319, Zxy=0.053, Cxy=1.341

図 3.3.1 勾配屋根構面の仕様別許容せん断耐力の比較

1.31  1.99 

1.14  1.66 

0.99  1.44 

2.79 

3.89 

1.34  1.92 

1.02 

1.46 

3.51 

4.78 

3.51 

4.78 

3.51 

4.78 

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

@500mm @333mm @500mm @333mm @500mm @333mm

204材 206材 208材

許容

せん

断耐

力ΔQa(kN

/m)

転ばし

半欠き

落とし込み

■表 3.3.1 の算定条件

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(2) 勾配屋根面

代表的な仕様の勾配屋根面について詳細計算法による耐力評価結果を示します。

表 3.3.2 勾配屋根面の許容せん断耐力⊿Qa一覧(単位:kN/m)

母屋の間隔 たるきの仕様 屋根勾配なし 0 度 屋根勾配 30 度(以下) 屋根勾配 45 度(以下)

寸法形式 間隔 転び止め無し 転び止め有り 転び止め無し 転び止め有り 転び止め無し 転び止め有り

母屋

@910mm

204 材 @455mm 1.33    1.70    1.27    1.44    1.04    1.10   

@303mm 1.89    2.13    1.63    1.75    1.30    1.38   

206 材 @455mm 1.12    1.32    1.08    1.26    1.00    1.04   

@303mm 1.61    1.87    1.55    1.62    1.25    1.30   

208 材 @455mm 0.99    1.11    0.95    1.07    0.90    0.99   

@303mm 1.42    1.60    1.37    1.53    1.21    1.24   

母屋

@1820mm

204 材 @455mm 1.18    1.28    1.01    1.09    0.81    0.86   

@303mm 1.57    1.69    1.33    1.44    1.06    1.14   

206 材 @455mm 1.10    1.18    0.96    1.01    0.77    0.80   

@303mm 1.49    1.56    1.27    1.33    1.02    1.06   

208 材 @455mm 0.97    1.09    0.92    0.96    0.74    0.77   

@303mm 1.40    1.48    1.22    1.27    0.98    1.01   

母屋

@2730mm

204 材 @455mm 1.06    1.16    0.91    0.98    0.72    0.78   

@303mm 1.44    1.57    1.23    1.33    0.98    1.05   

206 材 @455mm 1.01    1.06    0.86    0.91    0.69    0.72   

@303mm 1.37    1.44    1.17    1.23    0.94    0.98   

208 材 @455mm 0.96    1.00    0.83    0.86    0.67    0.69   

@303mm 1.32    1.36    1.13    1.17    0.90    0.93   

母屋

@3660mm

204 材 @455mm 1.00    1.09    0.86    0.93    0.68    0.73   

@303mm 1.38    1.50    1.18    1.27    0.94    1.00   

206 材 @455mm 0.95    1.00    0.81    0.85    0.65    0.68   

@303mm 1.31    1.38    1.12    1.17    0.89    0.93   

208 材 @455mm 0.91    0.95    0.78    0.81    0.63    0.65   

@303mm 1.26    1.31    1.08    1.12    0.86    0.89   

① 屋根勾配 ....... 0 度, 30 度, 45 度 (3 種) ⑧ 垂木端部接合 ............. 2-N75 斜め打ち (1 種)

② 母屋の間隔 ....... 910mm, 1820mm, 2730mm, 3640mm (4 種) ⑨ 転び止め接合 ............. 4-N75 斜め打ち (1 種)

③ たるきの仕様 ....... S-P-F 甲種 2 級, 204 材, 206 材, 208 材 (3 種) ⑩ 面材釘の配列形状 ..... 横置・川型 (1 種)

④ たるきの間隔 ....... 455mm, 303mm (2 種) ⑪ 釘配列諸定数 ............. グレー本に準拠した算定値 (2 種)

⑤ 面材の仕様 ....... 厚 12mm,ベイマツ,1820mm×910mm (1 種) たるき@455mm ....... Ixy=1.558, Zxy=0.039, Cxy=1.295

⑥ 転び止めの有無 ....... あり,なし (2 種) たるき@303mm ....... Ixy=2.134, Zxy=0.054, Cxy=1.308

⑦ 転ばし寸法 ....... たるきせいと同寸 (1 種)

■表 3.3.2 の算定条件

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26

図 3.3.2 勾配屋根構面の仕様別許容せん断耐力の比較

1.33

 

1.89

 

1.12

 

1.61

 

0.99

 

1.42

 

1.18

 

1.57

 

1.10

 

1.49

 

0.97

 

1.40

 

1.06

 

1.44

 

1.01

 

1.37

 

0.96

 

1.32

 

1.00

 

1.38

 

0.95

 

1.31

 

0.91

  1.26

 

1.70

 

2.13

 

1.32

 

1.87

 

1.11

 

1.60

 

1.28

 

1.69

 

1.18

 

1.56

 

1.09

 

1.48

 

1.16

 

1.57

 

1.06

 

1.44

 

1.00

 

1.36

 

1.09

 

1.50

 

1.00

 

1.38

 

0.95

 

1.31

 

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材

母屋@910mm

母屋@1820mm

母屋@2730mm

母屋@3660mm

許容

せん

断耐

力ΔQa(kN

/m)

屋根勾配0度 屋根勾配 0度 転び止め無し

屋根勾配 0度 転び止め有り

1.27

 

1.63

 

1.08

 

1.55

 

0.95

 

1.37

 

1.01

  1.33

 

0.96

  1.27

 

0.92

  1.22

 

0.91

  1.23

 

0.86

  1.17

 

0.83

  1.13

 

0.86

  1.18

 

0.81

  1.12

 

0.78

  1.08

 

1.44

  1.75

 

1.26

 

1.62

 

1.07

 

1.53

 

1.09

  1.44

 

1.01

  1.33

 

0.96

  1.27

 

0.98

  1.33

 

0.91

  1.23

 

0.86

  1.17

 

0.93

  1.27

 

0.85

  1.17

 

0.81

  1.12

 

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材

母屋@910mm

母屋@1820mm

母屋@2730mm

母屋@3660mm

許容

せん

断耐

力ΔQa(kN

/m)

屋根勾配30度以下 屋根勾配30度以下 転び止め無し

屋根勾配30度以下 転び止め有り

1.04

  1.30

 

1.00

  1.25

 

0.90

  1.21

 

0.81

  1.06

 

0.77

  1.02

 

0.74

  0.98

 

0.72

  0.98

 

0.69

  0.94

 

0.67

  0.90

 

0.68

  0.94

 

0.65

  0.89

 

0.63

  0.86

 1.10

  1.38

 

1.04

  1.30

 

0.99

  1.24

 

0.86

  1.14

 

0.80

  1.06

 

0.77

  1.01

 

0.78

  1.05

 

0.72

  0.98

 

0.69

  0.93

 

0.73

  1.00

 

0.68

  0.93

 

0.65

  0.89

 

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

@45

5mm

@30

3mm

204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材 204材 206材 208材

母屋@910mm

母屋@1820mm

母屋@2730mm

母屋@3660mm

許容

せん

断耐

力ΔQa(kN

/m)

屋根勾配45度以下 屋根勾配45度以下 転び止め無し

屋根勾配45度以下 転び止め有り

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27

4. 詳細計算法補助ツールの利用方法

4.1 補助ツールの概要

詳細計算法を簡便に行うための補助として計算ツール(Microsoft Excel 2007 以降のバージョンに対応)を用意していま

す。補助ツールは、水平構面の仕様・寸法等の必要情報を入力することで、当該水平構面の許容せん断耐力を自動的に計

算することができます(入力欄:図 4.1.1 の A)。また、計算過程も項目ごとに表示するため、算定根拠を確認することも

可能です(計算過程の出力:図 4.1.1 の B, C)。補助ツールには「床構面用」「勾配屋根面用」の 2 種があり、ワークシー

ト毎にツールを分けて用意しています。

図 4.1.1 詳細計算法補助ツールの構成(床構面のツール(例))

A:入力欄 B:詳細計算法の計算過程

C:釘配列諸定数の計算過程 4. 釘配列諸定数の計算過程(1.において①を選択した場合のみ表示)

記号 単位 値

面材の長辺 l [cm] 200.0

面材の短辺 h [cm] 100.0

面材の面積 Aw [cm2] 20000

Y方向の弾性中立軸位置 y0 [cm] 100.0

X方向の弾性中立軸位置 x0 [cm] 50.0

Y方向中立軸に対する釘配列2次モーメント Ix [cm2] 196816

X方向中立軸に対する釘配列2次モーメント Iy [cm2] 40823

Y方向弾性中立軸から端部の釘までの最大距離 (yj-y0) max [cm] 99.0

X方向弾性中立軸から端部の釘までの最大距離 (xi-x0) max [cm] 49.0

Y方向弾性中立軸に対する釘配列係数 Zx [cm] 1988

X方向弾性中立軸に対する釘配列係数 Zy [cm] 833

単位面材の降伏変形角 Ry0 [1/cm] 0.023

下端の釘から上端の釘までの距離 H [cm] 198.0

左端の釘から右端の釘までの距離 L [cm] 98.0

Y方向の塑性中立軸位置 yp0 [cm] 100.0

X方向の塑性中立軸位置 xp0 [cm] 50.0

回転角の比1(計算過程の指標) θpx/θpy [ - ] 0.161

回転角の比2(計算過程の指標) θpy/θpx [ - ] 6.195

回転角の比1の二乗(計算過程の指標) (θpx/θpy )2 [ - ] 0.03

回転角の比2の二乗(計算過程の指標) (θpy/θpx )2 [ - ] 38.38

Y方向塑性中立軸に対する釘配列係数 Zpx [ - ] 1192

X方向塑性中立軸に対する釘配列係数 Zpy [ - ] 1036

Zpxyを計算するための指標1 Xerr [ - ] 0.139

Zpxyを計算するための指標2 Yerr [ - ] 1.025

単位面積あたりの塑性釘配列係数 Zpxy [cm/cm2] 0.051

項目

釘の

配列

諸定

数の

計算

過程

3. 勾配屋根面の許容耐力算定の過程

番号 項目 記号 単位 値

1) 面材釘の剛性 k [kN/cm] 4.80

面材釘の降伏変位 δ v [cm] 0.21

面材釘の終局変位 δ u [cm] 1.53

面材釘の終局耐力 ΔP v [kN] 0.98

2) 面材のせん断弾性係数 G B [kN/cm2] 58.8

面材の厚さ t [cm] 1.2

面材の垂直方向の幅 B [cm] 100.0

3) 釘配列2次モーメント I xy [cm2/cm2] 1.69

釘配列係数 Z xy [cm/cm2] 0.038

釘配列降伏終局比 C xy 1.33

4) 根太端接合部の根太直交方向せん断剛性 k j [kN/cm] 18.80

根太端接合部の根太直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm] 0.28

根太端接合部の根太直交方向せん断終局変位 δ ju [cm] 0.74

5) 根太のピッチ p [cm] 50.0

根太の幅 b [cm] 3.8

根太のせい d [cm] 8.9

転ばし寸法 e [cm] 0.0

根太のヤング係数 E [kN/cm2] 960

根太のせん断弾性係数 G w [kN/cm2] 64.0

根太断面のサンブナンねじり定数 I p [cm4] 119.1

6) 根太の標準長さ L [cm] 200.0

根太と床梁の接合配列二次M jIy 2.000

7-1) 面材釘のピッチ q [cm] 15.0

面材釘1本あたりの引抜剛性 k m [kN/cm] 0.0

面材釘の引抜抵抗と転び止めによる剛性 k y2 [kN/cm] 0.000

7-2) 根太の転びによる剛性 k y [kN/cm] 0.000

8) 回転剛性 ΔK 0 [kN・cm/rad.・cm2] 7.277

9) せん断剛性 K R [kN/rad.・cm] 7.277

10) 1/150時の耐力 P 150 [kN/cm] 0.0485

11) 面材釘による降伏耐力 ΔM y [kN/cm] 0.0377

12) 軒桁と根太直交方向接合の降伏せん断耐力 ΔQ j [kN] 5.264

13) 根太端部接合で決まる終局耐力 P Vj [kN/cm] 0.1053

14) 降伏耐力 P y [kN/cm] 0.0377

15) 降伏変形角 R y [rad.] 0.00517

16) 面材釘による終局モーメント ΔM u [kN/cm] 0.0501

17) 終局耐力 Pu [kN/cm] 0.0501

18) 面材釘による塑性率 μ 0 6.637

19) 面材釘による降伏変形角 R y0 [rad.] 0.005

終局変形角 R u [rad.] 0.03434

20) 塑性率 μ 6.637

21) 構造特性係数 Ds 0.2854

靭性を考慮した耐力 P JIN [kN/cm] 0.0351

22) 許容せん断耐力 ΔQ a [kN/cm] 0.0351

許容せん断耐力 ΔQ a [kN/m] 3.51

1. 釘配列諸定数の計算

釘の配列諸定数の入力方法の選択

記号 単位 値

根太の間隔 p [mm] 500

面材の長辺 l [mm] 2000

面材の短辺 h [mm] 1000

くぎ配列の形状 - [ - ] 横置・川型

くぎの間隔 p Nail [mm] 150

釘配列2次モーメント Ixy I xy [cm2/cm2]

釘配列係数 Zxy Z xy [cm/cm2]

釘配列降伏終局比 Cxy C xy [ - ]

※選択以外の項目に入力されている数値等は無効として扱います(計算結果に反映されません)。

2. 床構面の仕様・各部寸法の入力

記号 単位 値

根太の幅 b [mm] 38

根太のせい d [mm] 89

根太の転ばし寸法 e [mm] 0

根太のヤング係数 E [N/mm2] 9600

根太の標準長さ L' [mm] 2000

面材の厚さ t [mm] 12

面材のせん断弾性係数 Gw [kN/cm2] 58.8

根太端接合部の根太直交方向せん断剛性 k j [kN/cm]

根太端接合部の根太直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm]

根太端接合部の根太直交方向せん断終局変位 δ ju [cm]

面材

接合部

入力項目

①釘配列の仕様を入力

共通

①を

選択

②を

選択

入力項目

根太

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28

4.2 床構面の補助ツール

(1) 入力項目

1) 共通事項

計算に用いる数値データ等の入力は、ツールの太四角枠のセルに

対して行います。右図の凡例ように、白抜き枠のセルについては、

数値を直接入力します。色付き枠のセルについては、該当する項目

をプルダウンから選択します。なお、数値入力の範囲に一部制限を

設けており、評定の適用範囲外の入力はできません。また、入力対

象のセル以外についても編集など制限しています。

2) 釘配列諸定数の計算

釘配列諸定数は、以下①②のいずれかの方法で設定することができます。

①釘配列に関する仕様を入力(釘配列の形状、釘ピッチ)

②釘配列諸定数を直接入力(Ixy, Zxy, Cxy)

釘配列諸定数の設定は、図 4.2.1 の入力シートの該当する部分に入力することで行います。方法①を選択した場合、釘

配列の形状とそのピッチを入力します。本ツールでは面材を横置きとし、釘配列の形状が対称形の場合(川の字型、日の

字型、ロの字型)に対応しています。これらの釘配列に対しては、任意の釘ピッチに対して自動的に Ixy, Zxy, Cxy を計算

することができます。面材の寸法や釘ピッチの違いによる釘配列諸定数の比較検討に有用です。方法②では、グレー本の

計載値を用いる場合や、非対称系の場合など本ツールを用いずに計算した場合などに対応しています。

STEP1:[釘配列諸定数の入力方法の選択] ⇒ ①又は②を選択します。

STEP2:[共通] ⇒ 床根太の間隔、面材の寸法を入力します。

STEP3:[①を選択]/[②を選択] ⇒ STEP1 で選択した番号に対応する入力項目を入力します。

その際、STEP1 で選択した番号以外の入力項目の情報は無効として扱います。

図 4.2.1 釘配列諸定数の設定に関する情報の入力

1. 釘配列諸定数の計算

釘の配列諸定数の入力方法の選択

記号 単位 値

根太の間隔 p [mm] 500

面材の長辺 l [mm] 2000

面材の短辺 h [mm] 1000

くぎ配列の形状 - [ - ] 横置・川型

くぎの間隔 p Nail [mm] 150

釘配列2次モーメント Ixy I xy [cm2/cm2]

釘配列係数 Zxy Z xy [cm/cm2]

釘配列降伏終局比 Cxy C xy [ - ]

※選択以外の項目に入力されている数値等は無効として扱います(計算結果に反映されません)。

①釘配列の仕様を入力

共通

①を

選択

②を

選択

入力項目

:数値を直接入力

:項目をプルダウンから選択して入力

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29

3) 床構面の仕様・各部寸法の入力

図 4.2.2 の入力シートに、床根太、面材(構造用合板)、床根太端部の情報を順次入力します。

STEP1:[根太] ⇒ 根太の断面、転ばし寸法、ヤング係数(表 3.1.4)、根太の標準長さを入力します。

STEP2:[面材] ⇒ 面材の厚さ、せん断弾性係数を入力します(表 3.1.3)。

STEP3:[接合部] ⇒ 床根太端部の接合部のせん断剛性、せん断降伏変位、せん断終局変位を入力します(表 3.1.2)。

根太の転ばし寸法 e は、全断面落とし込み仕様の場合は 0、半欠き仕様の場合は d/2、転ばし仕様の場合は d を入力しま

す。床根太のヤング係数、面材のせん断弾性係数、接合部の各データは表 3.1.2~表 3.1.4 から引用して入力します。

図 4.2.2 床構面の仕様・寸法などに関する情報の入力

(2) 計算結果の出力

上記の各入力項目をもとに自動的に計算し、床構面の許容せん断耐力を出力します(図 4.2.3)。本ツールでは計算結果

のみではなく算定過程についても出力しています。また、「番号」欄はグレー本「4.4 面材張り水平構面の詳細計算法」【解

説】(3)の計算例と対応しており、比較検討を行いやすいよう配慮しています。

また、釘配列諸定数の設定方法で①を選択した場合は、その算定過程についても出力します(図 4.2.4)。

記号 単位 値

根太の幅 b [mm] 38

根太のせい d [mm] 89

根太の転ばし寸法 e [mm] 0

根太のヤング係数 E [N/mm2] 9600

根太の標準長さ L' [mm] 2000

面材の厚さ t [mm] 12

面材のせん断弾性係数 Gw [kN/cm2] 58.8

根太端接合部の根太直交方向せん断剛性 k j [kN/cm]

根太端接合部の根太直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm]

根太端接合部の根太直交方向せん断終局変位 δ ju [cm]

面材

接合部

入力項目

根太

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30

図 4.2.3 床構面の許容せん断耐力と算定過程の出力

番号 項目 記号 単位 値

1) 面材釘の剛性 k [kN/cm] 4.80

面材釘の降伏変位 δ v [cm] 0.21

面材釘の終局変位 δ u [cm] 1.53

面材釘の終局耐力 ΔP v [kN] 0.98

2) 面材のせん断弾性係数 G B [kN/cm2] 58.8

面材の厚さ t [cm] 1.2

面材の垂直方向の幅 B [cm] 100.0

3) 釘配列2次モーメント I xy [cm2/cm2] 1.69

釘配列係数 Z xy [cm/cm2] 0.038

釘配列降伏終局比 C xy 1.33

4) 根太端接合部の根太直交方向せん断剛性 k j [kN/cm] -

根太端接合部の根太直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm] -

根太端接合部の根太直交方向せん断終局変位 δ ju [cm] -

5) 根太のピッチ p [cm] 50.0

根太の幅 b [cm] 3.8

根太のせい d [cm] 8.9

転ばし寸法 e [cm] 0.0

根太のヤング係数 E [kN/cm2] 960

根太のせん断弾性係数 G w [kN/cm2] 64.0

根太断面のサンブナンねじり定数 I p [cm4] 119.1

6) 根太の標準長さ L [cm] 200.0

根太と床梁の接合配列二次M jIy 2.000

7-1) 面材釘のピッチ q [cm] 15.0

面材釘1本あたりの引抜剛性 k m [kN/cm] 0.0

面材釘の引抜抵抗と転び止めによる剛性 k y2 [kN/cm] 0.000

7-2) 根太の転びによる剛性 k y [kN/cm] 0.000

8) 回転剛性 ΔK 0 [kN・cm/rad.・cm2] 7.277

9) せん断剛性 K R [kN/rad.・cm] 7.277

10) 1/150時の耐力 P 150 [kN/cm] 0.0485

11) 面材釘による降伏耐力 ΔM y [kN/cm] 0.0377

12) 軒桁と根太直交方向接合の降伏せん断耐力 ΔQ j [kN] -

13) 根太端部接合で決まる終局耐力 P Vj [kN/cm] -

14) 降伏耐力 P y [kN/cm] 0.0377

15) 降伏変形角 R y [rad.] 0.00517

16) 面材釘による終局モーメント ΔM u [kN/cm] 0.0501

17) 終局耐力 Pu [kN/cm] 0.0501

18) 面材釘による塑性率 μ 0 6.637

19) 面材釘による降伏変形角 R y0 [rad.] 0.005

終局変形角 R u [rad.] 0.03434

20) 塑性率 μ 6.637

21) 構造特性係数 Ds 0.2854

靭性を考慮した耐力 P JIN [kN/cm] 0.0351

22) 許容せん断耐力 ΔQ a [kN/cm] 0.0351

許容せん断耐力 ΔQ a [kN/m] 3.51

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31

図 4.2.4 釘配列諸定数の算定過程の出力(入力方法①を選択の場合)

4.3 勾配屋根面の補助ツール

(1) 入力項目

1) 釘配列諸定数の計算

釘配列諸定数の設定方法については、床構面の場合と同様です。図 4.2.1 の入力項目に従い設定します。

2) 勾配屋根面の仕様・各部寸法の入力

図 4.2.5 の入力シートに、たるき、面材(構造用合板)、たるき端部の情報を順次入力します。

STEP1:[勾配] ⇒ 屋根勾配の入力単位(寸、度)を選択し、選択した単位に対応する数値を入力します。

STEP2:[たるき] ⇒ たるきの断面、転び止めの有無、ヤング係数(表 3.1.4)を入力します。

STEP3:[面材] ⇒ 面材の厚さ、せん断弾性係数を入力します(表 3.1.3)。

STEP4:[接合部] ⇒ たるき端部の接合部データ、転び止めの接合部データを入力します(表 3.1.2)。

STEP5:[構面] ⇒ 計算上の張間長さ、計算上の桁行長さ、水平投影の母屋ピッチを入力します。

勾配屋根面の計算において、たるきの転ばし寸法 e は、たるき端接合部の仕様にかかわらず、当該たるきのせいと同じ

(e=d)として設定されます。転び止めによる効果は、転び止めによる拘束効果によって評価されます。

記号 単位 値

面材の長辺 l [cm] 200.0

面材の短辺 h [cm] 100.0

面材の面積 Aw [cm2] 20000

Y方向の弾性中立軸位置 y0 [cm] 100.0

X方向の弾性中立軸位置 x0 [cm] 50.0

Y方向中立軸に対する釘配列2次モーメント Ix [cm2] 196816

X方向中立軸に対する釘配列2次モーメント Iy [cm2] 40823

Y方向弾性中立軸から端部の釘までの最大距離 (yj-y0) max [cm] 99.0

X方向弾性中立軸から端部の釘までの最大距離 (xi-x0) max [cm] 49.0

Y方向弾性中立軸に対する釘配列係数 Zx [cm] 1988

X方向弾性中立軸に対する釘配列係数 Zy [cm] 833

単位面材の降伏変形角 Ry0 [1/cm] 0.023

下端の釘から上端の釘までの距離 H [cm] 198.0

左端の釘から右端の釘までの距離 L [cm] 98.0

Y方向の塑性中立軸位置 yp0 [cm] 100.0

X方向の塑性中立軸位置 xp0 [cm] 50.0

回転角の比1(計算過程の指標) θpx/θpy [ - ] 0.161

回転角の比2(計算過程の指標) θpy/θpx [ - ] 6.195

回転角の比1の二乗(計算過程の指標) (θpx/θpy )2 [ - ] 0.03

回転角の比2の二乗(計算過程の指標) (θpy/θpx )2 [ - ] 38.38

Y方向塑性中立軸に対する釘配列係数 Zpx [ - ] 1192

X方向塑性中立軸に対する釘配列係数 Zpy [ - ] 1036

Zpxyを計算するための指標1 Xerr [ - ] 0.139

Zpxyを計算するための指標2 Yerr [ - ] 1.025

単位面積あたりの塑性釘配列係数 Zpxy [cm/cm2] 0.051

項目釘

の配

列諸

定数

の計

算過

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32

図 4.2.5 勾配屋根面の仕様・寸法などに関する情報の入力

(2) 計算結果の出力

上記の各入力項目をもとに自動的に計算し、勾配屋根構面の許容せん断耐力を出力します(図 4.2.6)。本ツールでは計

算結果のみではなく算定過程についても出力しています。また、「番号」欄はグレー本「4.5 面材張り勾配屋根水平構面の

詳細計算法」【解説】(3)の計算例と対応しており、比較検討を行いやすいよう配慮しています。また、釘配列諸定数の設

定方法で①を選択した場合は、床構面と同様に、その算定過程についても出力します(図 4.2.4)。

2. 勾配屋根面の仕様・各部寸法の入力

記号 単位 値

屋根勾配の入力単位選択 - [-] 度

屋根勾配の入力(上記の単位選択に対応した数値) 寸, θ [寸],[°] 30.0

方向余弦(cos) cosθ [ - ] 0.866

たるきの幅 b [mm] 38

たるきのせい d [mm] 89

たるき端接合部の仕様 - [ - ] 転び止めなし

たるき上端と転止め上端の差(「転び止めなし」の場合入力値無効) e' [mm] 0.0

たるきの転ばし寸法 e (=d ) [mm] 89

たるきのヤング係数 E [N/mm2] 9600

面材の厚さ t [mm] 12

面材のせん断弾性係数 G B [kN/cm2] 58.8

たるき端接合部のたるき直交方向せん断剛性 k j [kN/cm] 5.87

たるき端接合部のたるき直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm] 0.35

たるき端接合部のたるき直交方向せん断終局変位 δ ju [cm] 1.74

たるき端接合部のたるき軸方向せん断剛性 (a) k x [kN/cm] 9.39

たるき端接合部のたるき軸方向せん断降伏変位 (b) δ xv [cm] 0.28

たるき端接合部のたるき軸方向せん断終局変位 (c) δ xu [cm] 3.44

転び止め端接合部の転び止め軸方向せん断剛性 (=a×2) k x2 [kN/cm] -

転び止め端接合部の転び止め軸方向せん断降伏変位 (=b) δ xv2 [cm] -

転び止め端接合部の転止め軸方向せん断終局変位 (=c) δ xu2 [cm] -

計算上の桁行長さ ※1 H [cm] 364.0

計算上の張間長さ ※1 L [cm] 364.0

母屋のピッチ(水平投影) O [cm] 91.0

※1 :

   

入力項目

H は、たるきの間隔p の整数倍で、4m以内で4mに最も近い値(p =455mmのときH =364cm)を自動計算にて入力します。L は、当

該建築物の小屋組みの振れ止め(小屋束に打ち付けたくも筋かいや面材を張った小屋壁)の最大間隔が4m以内の場合には、

H と同じ値を入力し、4mを超える場合にはその値を入力します。

勾配

たるき

面材

接合部

構面

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33

図 4.2.6 勾配屋根面の許容せん断耐力と算定過程の出力

3. 勾配屋根面の許容耐力算定の過程

番号 項目 記号 単位 値

1) 面材釘の剛性 k [kN/cm] 4.80

面材釘の降伏変位 δ v [cm] 0.21

面材釘の終局変位 δ u [cm] 1.53

面材釘の終局耐力 ΔP v [kN] 0.98

2) 面材のせん断弾性係数 G B [kN/cm2] 58.8

面材の厚さ t [cm] 1.2

面材の垂直方向の幅 B [cm] 91.0

3) 釘配列2次モーメント I xy [cm2/cm

2] 1.56

釘配列係数 Z xy [cm/cm2] 0.039

釘配列降伏終局比 C xy 1.29

4) たるきのピッチ p [cm] 45.5

たるきの幅 b [cm] 3.8

たるきのせい d [cm] 8.9

転ばし寸法 e [cm] 8.9

たるきのヤング係数 E [kN/cm2] 960

たるきのせん断弾性係数 G w [kN/cm2] 64.0

たるき断面のサンブナンねじり定数 I p [cm4] 119.1

5) たるき端接合部のたるき直交方向せん断剛性 k j [kN/cm] 5.87

たるき端接合部のたるき直交方向せん断降伏変位 δ jv [cm] 0.35

たるき端接合部のたるき直交方向せん断終局変位 δ ju [cm] 1.74

たるき端接合部のたるき軸方向せん断剛性 k x [kN/cm] 9.39

たるき端接合部のたるき軸方向せん断降伏変位 δ xv [cm] 0.28

たるき端接合部のたるき軸方向せん断終局変位 δ xu [cm] 3.44

転び止め端接合部の転止め軸方向せん断剛性 k x2 [kN/cm] -

転び止め端接合部の転止め軸方向せん断降伏変位 δ xv2 [cm] -

転び止め端接合部の転止め軸方向せん断終局変位 δ xu2 [cm] -

6) 梁間長さ L [cm] 364.0

桁行長さ H [cm] 364.0

母屋のピッチ(水平投影) O [cm] 91.0

接合部配列2次モーメント j Ix 3.375

〃 j Iy 4.000

7) 面材釘のピッチ q [cm] 15.0

面材釘1本あたりの引抜剛性 k m [kN/cm] -

面材釘の引抜抵抗と転び止めによる剛性 k y2 [kN/cm] -

8) たるきの転びによる剛性 k y [kN/cm] 0.777

9) 回転剛性 ΔK 0 [kN・cm/rad.・cm2] 6.761

10) せん断剛性 K R [kN/rad.・cm] 1.909

11) 1/150時の耐力 P 150 [kN/cm] 0.0127

12) 面材釘による降伏耐力 ΔM y [kN/cm] 0.0382

13) 軒桁とたるき軸方向接合の降伏せん断耐力 ΔN x [kN] 2.63

14) たるき軸方向接合で決まる終局耐力 P Vx [kN/cm] 0.0422

15) 軒桁とたるき直交方向接合の降伏せん断耐力 ΔQ j [kN] 2.055

16) たるき直交方向接合で決まる終局耐力 P Vj [kN/cm] 0.0452

17) 降伏耐力 P y [kN/cm] 0.0382

18) 降伏変形角 R y [rad.] 0.02003

19) 面材釘による終局モーメント ΔM u [kN/cm] 0.0495

20) 終局耐力 Pu [kN/cm] 0.0422

21) 面材釘による塑性率 μ 0 -

22) 面材釘による降伏変形角 R y0 [rad.] 0.006

終局変形角 R u [rad.] 0.03507

23) 塑性率 μ 1.751

24) 構造特性係数 Ds 0.6323

靭性を考慮した耐力 P JIN [kN/cm] 0.0134

25) 許容せん断耐力 ΔQ a [kN/cm] 0.0127

許容せん断耐力(計算値) ΔQ a [kN/m] 1.27

ΔQ a [kN/m] 1.27表3.2.1の耐力上限規定を考慮した許容せん断耐力

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34

5. 設計例

床構面および勾配屋根面にディメンションランバーを用いた木造軸組工法住宅について、グレー本に掲載されるモデ

ルプラン 2 棟を対象に、許容応力度計算を満足するために必要な仕様について検討を行います。本章では、各モデルプラ

ンの水平構面の床根太・たるきをディメンションランバーに置き換える場合に必要な仕様について、設計例において水平

構面に与えられる許容耐力を目標耐力として検討を行います。その際、建物重量や外力、その他の各部の検定などは、グ

レー本の記載内容から変わらないものと仮定し、検討を省略しています。

5.1 モデルプラン 1

(1) 建築物概要

モデルプラン 1 は、木造軸組工法による 3 階建て住宅で、セットバックのある形状ですが、比較的整形で耐力壁もバラ

ンスよく配置された建物です。屋根は寄棟形式の勾配屋根です。

図 5.1.1 平面図

図 5.1.2 立面図

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(2) 現有の床構面、屋根構面の仕様

モデルプラン 1 の床構面、勾配屋根面の仕様及び耐力は表 5.1.1 の通りです。

表 5.1.1 既存モデルプラン 1 の水平構面の仕様と耐力

分類 仕様 耐力値

ΔQa 備考

面材 :構造用合板 9mm

くぎ :N50@150mm 以下

たるき :45×60@455mm

たるき接合方法 :くぎ 3-N75

転び止め :なし

くぎ配列 :川型

母屋ピッチ :1000mm

屋根勾配 :26.6 度

1.37 kN/m ・グレー本の

表 2.4.5.1 で

仕様ごとに

与えられる

耐力値。

面材 :構造用合板 24mm

くぎ :N75@150mm 以下

床根太 :なし(直張り仕様)

床根太接合方法 :―

転ばし寸法 :―

くぎ配列 :川型(面材短辺外周+中

部)

3.53 kN/m ・グレー本の

表 2.4.5.1 で仕

様ごとに与え

ら れ る 耐 力

値。

(3) ディメンションランバーに置き換え後の仕様

詳細計算法による水平構面の耐力計算結果と仕様を表 5.1.2 に示しています。

表 5.2 ディメンションランバー仕様の水平構面とその耐力

類 仕様

耐力値

ΔQa 備考

面材 :構造用合板 9mm

くぎ :N50@150mm

たるき :38×89@455mm(S-P-F)

たるき接合方法 :くぎ 3-N75

転び止め :あり

くぎ配列 :横置・川型

母屋ピッチ :910mm

屋根勾配 :30 度以下

1.44 kN/m ・本書表 3.3.2の代表仕様に対す

る算定例を参照し、元のモデ

ルプランに最も近い仕様を設

定している。たるきピッチを

303mm などに変更するとさ

らに高い耐力を仕様をでき

る。

面材 :構造用合板 12mm

くぎ :N50@150mm

床根太 :38×89@333mm(S-P-F)

床根太接合方法 :全断面落とし込み(転ばし根太なし)

転ばし寸法 :―

くぎ配列 :横置・川型(面材短辺外周+中部)

4.78kN/m ・床構面の詳細計算法を適用し

て計算。転びによる影響が小

さい落とし込み仕様で、釘配

列係数を大きい仕様とすれ

ば、床倍率換算で 2 倍程度の

仕様は実現可能である。

※下線部の仕様を変更。

たるき:スギ製材甲 3:45×60@455

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5.2 モデルプラン 2

(1) 建築物概要

モデルプラン 2 は、木造軸組工法による 3 階建て住宅で、モデルプラン 1 の計算例に含まれない検討項目を示すことを

目的として、特殊な条件での設計例です。耐力壁が建物中央部に集中し、ねじり剛性が低い建物です。このような形式の

建物の場合、水平構面に要求される性能は高くなります。

図 5.2.1 3 階耐力壁の配置(左)と切妻形式の勾配屋根の仕様(右)

(2) 現有の床構面、屋根構面の仕様

モデルプラン 2 の床構面、勾配屋根面の仕様及び耐力は表 5.2.1 の通りです。

表 5.2.1 既存モデルプラン 2 の水平構面の仕様と耐力

類 仕様

耐力値

ΔQa 備考

面材 :構造用合板 12mm

くぎ :N50@150mm 以下

たるき :45×75@455mm

たるき接合方法 :くぎ 3-N75

転び止め :あり

くぎ配列 :川型

母屋ピッチ :910mm

屋根勾配 :21.8 度以下

1.96 kN/m ・グレー本の表 2.4.5.1 で仕様ご

とに与えられる耐力値。

面材 :構造用合板 24mm

くぎ :N75@150mm 以下

床根太 :なし(直張り仕様)

床根太接合方法 :―

転ばし寸法 :―

くぎ配列 :川型(面材短辺外周+中部)

3.53 kN/m ・グレー本の表 2.4.5.1 で仕様ご

とに与えられる耐力値。

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(3) ディメンションランバーに置き換え後の仕様

詳細計算法による水平構面の耐力計算結果と仕様を表 5.2.2 に示しています。

表 5.2.2 ディメンションランバー仕様の水平構面とその耐力

類 仕様

耐力値

ΔQa 備考

面材 :構造用合板 9mm

くぎ :N50@100mm

たるき :38×89@303mm(S-P-F)

たるき接合方法 :くぎ 3-N75

転び止め :あり

くぎ配列 :横置・川型

母屋ピッチ :910mm

屋根勾配 :21.8 度

2.34 kN/m ・本書表 3.3.2の代表仕様に対す

る算定例では耐力が不足する

ため、左記の仕様について補

助ツールを用いて別途計算し

た結果を耐力値の欄に記載し

ている。釘の配列諸定数の数

値を上げるため、くぎピッチ

及びたるきピッチを密な仕様

に変更している。

面材 :構造用合板 12mm

くぎ :N50@150mm 以下

床根太 :38×89@340mm 以下(S-P-F)

床根太接合方法 :全断面落とし込み(転ばし根太なし)

転ばし寸法 :―

くぎ配列 :横置・川型(面材短辺全周+中部)

4.78kN/m ・床構面の要求性能はモデルプ

ラン 1 と同じである。

5.3 検討結果のまとめ

モデルプラン 1,2 のいずれについても、水平構面に要求される面内せん断耐力についてディメンションランバーを用い

た場合でも確保できることを確認しました。勾配屋根面では、たるきピッチ、釘ピッチをともに密に配置することで対応

できるものと思われます。また、床構面で厚物合板仕様の置き換えついては、落とし込み仕様、釘配列「日の字」、釘ピッ

チを密に打つなど釘配列諸定数が高い仕様を選択することで対応可能です。

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38

6. 参考資料<構造用パネルを用いた水平構面の許容耐力の推定>

6.1 検討の概要

評定において、水平構面に用いる面材は構造用合板のみに限定されており、構造用パネル(OSB)など、構造用合板以

外の面材を使用した水平構面の許容耐力を詳細計算法により設定することは評定の対象外となります。一方、「グレー本」

表 2.4.5.1 において、構造用合板と構造用パネルは同じせん断耐力が与えられるものとして併記されています。さらに、

「枠組壁工法建築物構造計算指針(2007 年版)」(以下、「2×4 指針」)においても、構造用パネルは構造用合板と同等の

力学的特性を有するものとして与えられています。

そこで本検討では、水平構面に用いる面材として、構造用パネル(OSB)を用いた仕様に想定される許容せん断耐力に

ついて、「2×4 指針」等の文献に記載される力学的特性のデータ、面内せん断試験のデータ等を参照し、OSB を用いた水

平構面の耐力に対して推定を行っています。ただし、本検討は評定等において耐力評価・検討方法の妥当性について確

認されたものではないため、本マニュアルでは参考資料として位置づけています。

図 6.1.1 構造用合板(左)と構造用パネル OSB(右)

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6.2 2×4 指針の設計用データに基づく考察

(1) 面材種に関する力学的特性データの整理

詳細計算法による耐力評価において、面材の種類の違いによる影響は、次の①②の各要素の力学的特性データにより

考慮されます。

要素①:面材釘 1 本当たりの 1 面せん断性能(完全弾塑性モデル)

要素②:面材のせん断弾性係数 GB

(2) 力学的特性データの比較

要素①について、「2×4 指針」に各面材を側材とするくぎ接合部の 1 面せん断耐力及びすべり剛性のデータが記載さ

れています(同書の表 3.3.9、表 3.3.11)。これらのくぎ接合部のデータは、各部材のめり込み試験の結果に基づき設定さ

れた力学的特性で、枠組壁工法建築物の設計においては耐力壁及び水平構面の構造計算で一般的に使用されています。

要素②についても①と同様、「2×4 指針」に各種面材のせん断弾性係数 GBが示されています(表 3.3.19)。同表より、

構造用パネルの GB は、構造用合板と比較して 2.3~3.5 倍程度高い値になっており、詳細計算法で計算される水平構面

のせん断剛性は、構造用パネル仕様の方が高く、耐力評価上は構造用合板よりも有利になります。

(3) 考察

要素①②のデータ比較より、水平構面の許容耐力は、耐力評価指標(降伏耐力 P1、靱性を考慮した耐力 P2、水平構

面 1/150rad 変形時の耐力 P3)のうち、耐力に関する指標(P1 又は P2)により耐力が決定されている場合は、構造用パ

ネルと構造用合板の耐力評価結果は同じになります。

剛性に関する指標(P3)により決定されている場合は、OSB の面材のせん断剛性が高く、許容耐力は向上します。た

だし、OSB のせん断剛性と直列接続となるその他の剛性(面材釘のすべり剛性、床根太やたるきの転びによる剛性、た

るき端部接合部の剛性など)が総じて低いため、全体剛性の上昇は 5%未満にとどまり、結果として耐力は同等程度と

なります。

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40

6.3 枠組壁工法用製材と OSB による釘の一面せん断性能について

本評定において、詳細計算法に用いる面材釘の一面せん断性能は、設計の簡便性を考慮して主材の樹種の違いはパラメ

ータに含めないものとして、グレー本での計算方法と同様に、SPF, Hem-Fir, D Fir-L など異なる樹種のディメンションラン

バーを主材とする場合も同じ数値を用いることとしています。同様に、グレー本においては面材についても合板と OSB は

同じ性能として用いることができることとされています。この規定について、面材釘の力学的特性のデータをもとに検証

を行いました。

ここで、ディメンションランバーと OSB の組合せによる面材釘の一面せん断耐力については、「Wood Design Manual 2010」

(Canadian Wood Council)7.2 節に掲載されています。くぎの径や長さ、面材厚さなどの組合せは日本仕様のものとは異な

りますが、側材を合板とした場合や、主材の樹種による影響を比較することが可能です。表 6.2.1~表 6.2.3 に面材 3 種×

側材の樹種 3 種、合計 9 種の組合せによる面材釘の一面せん断性能のデータを示しています。同表では、面材の厚さ、釘

径や打ち込み長さについてもパラメータとなっています。

本検討では、面材種の違いが 1 面せん断性能に与える影響を抽出するため、同表のデータを用いて面材釘の側面抵抗に

よる単位支圧面積あたりのせん断耐力(表の耐力値を面材厚に釘径を乗じたもので除した値)を指標としたグラフを作成

しています。図 6.2.1 に示しています。

表 6.2.1 面材を OSB(構造用パネル)とした面材釘の一面せん断耐力(Wood Design Manual 2010 より抜粋)

面材厚 くぎ

種類

くぎ

長さ

くぎ

胴部径

くぎ 1 本の耐力 (kN)

最小打込み時 【くぎ胴部径×5 倍】 最大打込み時 【くぎ長さ-面材厚】

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

mm inch mm mm mm

11

Common

wire nails

2.5 3.25 16 0.369 0.357 0.340 53 0.503 0.493 0.479

11 3 3.66 18 0.431 0.416 0.395 65 0.589 0.577 0.560

15 3.5 4.06 20 0.563 0.544 0.518 74 0.740 0.727 0.707

15 4 4.88 24 0.706 0.679 0.642 87 0.913 0.897 0.872

18 5 5.89 29 0.944 0.905 0.853 109 1.150 1.130 1.100

22 6 7.01 35 1.220 1.160 1.090 130 1.340 1.320 1.290

22 Common

spikes

4 6.4 32 1.110 1.060 1.000 80 1.290 1.270 1.240

28.5 6 7.62 38 1.410 1.350 1.260 124 1.430 1.410 1.390

9.5

Common

spiral

nails

2.5 2.77 14 0.279 0.270 0.258 54 0.385 0.377 0.366

9.5 3 3.1 16 0.325 0.313 0.298 67 0.450 0.441 0.428

12 3.5 3.86 19 0.480 0.462 0.439 77 0.647 0.635 0.617

15 4 4.33 22 0.609 0.587 0.559 87 0.799 0.784 0.763

15 5 4.88 24 0.706 0.679 0.642 112 0.913 0.897 0.872

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41

表 6.2.2 面材を DFP(ダグラスファー合板)とした面材釘の一面せん断耐力(Wood Design Manual 2010 より抜粋)

面材厚 くぎ

種類

くぎ

長さ

くぎ

胴部径

くぎ 1 本の耐力 (kN)

最小打込み時 【くぎ胴部径×5 倍】 最大打込み時 【くぎ長さ-面材厚】

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

mm inch mm mm mm

12.5

Common

wire nails

2.5 3.25 16 0.424 0.412 0.395 51 0.571 0.560 0.554

12.5 3 3.66 18 0.489 0.474 0.453 64 0.663 0.650 0.631

12.5 3.5 4.06 20 0.556 0.537 0.511 76 0.753 0.738 0.716

15.5 4 4.88 24 0.760 0.733 0.696 86 1.000 0.977 0.949

18.5 5 5.89 29 1.010 0.966 0.914 109 1.250 1.230 1.200

22.5 6 7.01 35 1.280 1.230 1.150 130 1.460 1.430 1.400

20.5 Common

spikes

4 6.4 32 1.140 1.090 1.030 81 1.360 1.340 1.310

25.5 6 7.62 38 1.430 1.360 1.280 127 1.360 1.490 1.460

9.5

Common

spiral

nails

2.5 2.77 14 0.301 0.292 0.280 54 1.510 0.408 0.396

9.5 3 3.1 16 0.348 0.337 0.322 67 0.416 0.475 0.460

12.5 3.5 3.86 19 0.522 0.505 0.482 76 0.485 0.694 0.674

12.5 4 4.33 22 0.662 0.640 0.612 86 0.708 0.858 0.834

15.5 5 4.88 24 0.760 0.733 0.696 112 0.874 0.977 0.949

表 6.2.3 面材を CSP(カナディアンソフトウッド合板)とした面材釘の一面せん断耐力(Wood Design Manual 2010 より抜粋)

面材厚 くぎ

種類

くぎ

長さ

くぎ

胴部径

くぎ 1 本の耐力 (kN)

最小打込み時 【くぎ胴部径×5 倍】 最大打込み時 【くぎ長さ-面材厚】

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

打込み D Fir-L Hem-Fir S-P-F

mm inch mm mm mm

12.5

Common

wire nails

2.5 3.25 16 0.392 0.380 0.363 51 0.526 0.516 0.502

12.5 3 3.66 18 0.456 0.440 0.420 64 0.613 0.601 0.584

12.5 3.5 4.06 20 0.521 0.502 0.476 76 0.698 0.685 0.665

15.5 4 4.88 24 0.715 0.687 0.651 86 0.922 0.906 0.881

18.5 5 5.89 29 0.953 0.914 0.861 109 1.160 1.140 1.110

22.5 6 7.01 35 1.230 1.170 1.100 130 1.350 1.330 1.300

20.5 Common

spikes

4 6.4 32 1.080 1.040 0.974 81 1.260 1.240 1.210

25.5 6 7.62 38 1.370 1.310 1.220 127 1.390 1.380 1.350

9.5

Common

spiral

nails

2.5 2.77 14 0.279 0.270 0.258 54 0.385 0.377 0.366

9.5 3 3.1 16 0.325 0.313 0.298 67 0.450 0.441 0.428

12.5 3.5 3.86 19 0.488 0.471 0.448 76 0.656 0.643 0.625

12.5 4 4.33 22 0.618 0.596 0.567 86 0.807 0.793 0.771

15.5 5 4.88 24 0.715 0.687 0.651 112 0.922 0.906 0.881

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42

図 6.2.3 釘の面材への支圧面積あたりのせん断耐力一覧

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

2.5 3 3.5 4 5 6 4 6 2.5 3 3.5 4 5

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支圧

面積

あた

りの

せん

断力

(N/m

m2)

D‐Fir‐L

Hem‐Fir

S‐P‐F

面材OSB

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

2.5 3 3.5 4 5 6 4 6 2.5 3 3.5 4 5

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支圧

面積

あた

りの

せん

断力

(N/m

m2)

D‐Fir‐L

Hem‐Fir

S‐P‐F

面材DFP

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

2.5 3 3.5 4 5 6 4 6 2.5 3 3.5 4 5

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支圧

面積

あた

りの

せん

断力

(N/m

m2)

D‐Fir‐L

Hem‐Fir

S‐P‐F

面材CSP

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43

6.4 検討結果まとめ

水平構面の面材に OSB を用いた仕様の耐力評価についての検討結果について、図 6.2.3 のグラフより以下の傾向を確

認することができます。

・主材の樹種による違いは、比重に応じて D Fir-L→Hem-Fir→SPF の傾向がみられるが、その差は 5%程度である。

・面材の種類による違いは、くぎの種類によって前後する場合があるが、概ね CSP と OSB が同等程度である。

(特に、くぎ長さ 75mm 程度以下の場合は CSP より OSB のせん断性能の方が高い)

これらの分析結果より、一般的な水平構面に用いる面材とくぎの組合せの範囲では、OSB と CSP は同等以上の耐力

を有していることが分かります。ただし上記の検討は本マニュアルで独自に行ったものであり、評定において妥当性を

確認されたものではないため、適用範囲外であることに留意しておく必要がありますが、床版の材料として OSB を用

いることは構造計算の観点からに同等程度以上の性能を有しているものと推察できます。

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<免責事項>

本マニュアルに掲載されている情報の一切には、正確を期するために細心の注意が払われていますが、カナダ林産業

審議会、(株)日本システム設計、Canada Wood、Forest Innovation Investment およびその役員、被用者、代理人は、本マ

ニュアル中のいかなる誤謬、欠陥あるいはこれに基づく設計ないし仕事上の不都合に対して、いかなる責任も負うもの

ではありません。また、本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。