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新興国の 政策・ビジネス環境・企業動向 を分析、 インフラ産業の行方 を予測します。 本レポートの目的は、新興国へのインフラ輸出または拠点進出を検討する日本企業に対し、インフラ産業に関連す る基本情報を提供することにあります。この目的に合わせて、以下の三つの点に配慮しました。 (1)インフラ産業に影響を与える外的な環境要因を整理すること (2)インフラ輸出に影響を与える国際機関の動向に言及すること (3)インフラ市場に当たる新興国のインフラ政策と計画を明らかにすること 新興国へのインフラ輸出を想定する際に重要な要素は、「産業構造」と「国策の変化」です(図1)。「産業構造 の破壊」とは、川上にいたプレーヤーが川下に進出したり、新規参入者が川下を押さえたビジネスを行ったりするな ど、既存の産業構造が変化することを指します。「国策の変化」とは、国の政策によって規制や補助金等が導入さ れて既存プレーヤーがその地位を脅かされたり、新規参入者が登場したりすることを指します。これらから、インフラ 産業は一般的な産業材と異なり、目先のユーザー・ニーズに応えるだけでは不十分といえます。 この大きな課題を解決するために日本企業が考えるべきことは、現地の要求仕様に合った 「倹約な」 製品開発 フルーガル・イノベーションに本気で取り組むことです。フルーガル・イノベーションでは、白紙の状態で未知の事項 解明に取り組む枠組みが重要となります。自分たちが何を行っていくのかという強いコンセプト、必ず成功させると いう人材の強いこだわりが必要です。新興国ではモノが不足しており、新しい商品を作ろうとしています。その考え 方を日本人や日本の企業が共有できるかどうかがその市場で勝つための鍵となるでしょう。 インフラ輸出戦略で掲げた目標を達成するためには、確からしい近未来を直視しなければなりません。具体的に は、新興国における産業構造や主要なプレーヤーの動向、国の政策・計画です。本レポートはそれら重要な情報を 網羅しています。この情報を基に、世界から受け入れられるインフラ・ビジネスを日本企業が展開できるようになるこ とを期待します。 1 新興国へのインフラ輸出戦略立案時の留意点 国策の変化 技術イノベーション インフラ輸出戦略 ユーザー・ニーズの変化 産業構造の破壊 2013 12月刊行

渾身の新シリーズ未来予測、新興国の「 政策・ビジネス環境・企業動向」を分析、 「 インフラ産業の行方」を予測します。本レポートの目的は、新興国へのインフラ輸出または拠点進出を検討する日本企業に対し、インフラ産業に関連す

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Page 1: 渾身の新シリーズ未来予測、新興国の「 政策・ビジネス環境・企業動向」を分析、 「 インフラ産業の行方」を予測します。本レポートの目的は、新興国へのインフラ輸出または拠点進出を検討する日本企業に対し、インフラ産業に関連す

新興国の 「政策・ビジネス環境・企業動向」を分析、 「インフラ産業の行方」を予測します。本レポートの目的は、新興国へのインフラ輸出または拠点進出を検討する日本企業に対し、インフラ産業に関連す

る基本情報を提供することにあります。この目的に合わせて、以下の三つの点に配慮しました。

(1)インフラ産業に影響を与える外的な環境要因を整理すること

(2)インフラ輸出に影響を与える国際機関の動向に言及すること

(3)インフラ市場に当たる新興国のインフラ政策と計画を明らかにすること

 新興国へのインフラ輸出を想定する際に重要な要素は、「産業構造」と「国策の変化」です(図1)。「産業構造

の破壊」とは、川上にいたプレーヤーが川下に進出したり、新規参入者が川下を押さえたビジネスを行ったりするな

ど、既存の産業構造が変化することを指します。「国策の変化」とは、国の政策によって規制や補助金等が導入さ

れて既存プレーヤーがその地位を脅かされたり、新規参入者が登場したりすることを指します。これらから、インフラ

産業は一般的な産業材と異なり、目先のユーザー・ニーズに応えるだけでは不十分といえます。

 この大きな課題を解決するために日本企業が考えるべきことは、現地の要求仕様に合った「倹約な」製品開発

フルーガル・イノベーションに本気で取り組むことです。フルーガル・イノベーションでは、白紙の状態で未知の事項

解明に取り組む枠組みが重要となります。自分たちが何を行っていくのかという強いコンセプト、必ず成功させると

いう人材の強いこだわりが必要です。新興国ではモノが不足しており、新しい商品を作ろうとしています。その考え

方を日本人や日本の企業が共有できるかどうかがその市場で勝つための鍵となるでしょう。

 インフラ輸出戦略で掲げた目標を達成するためには、確からしい近未来を直視しなければなりません。具体的に

は、新興国における産業構造や主要なプレーヤーの動向、国の政策・計画です。本レポートはそれら重要な情報を

網羅しています。この情報を基に、世界から受け入れられるインフラ・ビジネスを日本企業が展開できるようになるこ

とを期待します。

図1 新興国へのインフラ輸出戦略立案時の留意点

国策の変化

技術イノベーション

インフラ輸出戦略 ユーザー・ニーズの変化産業構造の破壊

未来予測、

渾身の新シリーズ

2013年12月刊行

Page 2: 渾身の新シリーズ未来予測、新興国の「 政策・ビジネス環境・企業動向」を分析、 「 インフラ産業の行方」を予測します。本レポートの目的は、新興国へのインフラ輸出または拠点進出を検討する日本企業に対し、インフラ産業に関連す

■ 主要なインフラ産業の行方を予測

『電力・ガス』、『水』、『運輸交通』、『情報通信』、『静脈』の産業分野について、市場、商品、技術のロードマップを示す。さらに産業ごとに、「プロダクト予測と注目技術」を解説、中長期の目線での「業界予測、再編の行方」とともにキーとなる「企業の動向」を解説する。

■ 水産業

業界構造と参入プレーヤー

■ 電力・ガス産業

地域別の発電種別割合の見通し

■ 運輸交通産業

鉄道の分業体制

■ 情報通信産業

ICTの役割の進化

■ 静脈産業

産業廃棄物処理事業 海外企業進出地

前提となる事象(PEST)マクロ経済環境天然資源の偏在新興国への投資資本流入グローバル・サプライチェーン

都市化複合型都市開発環境配慮型社会気候変動

インフラ形成の系譜インフラ産業形成の条件

制約条件の解消技術開発の進展新興国の高度人材の増加インフラ金融の動向PPP/PFIの新たなトレンド

インフラ産業の進展

インフラ形成ニーズ

インフラ産業を理解するためには、前提となる外部環境の変化を把握する必要がある。外部環境の変化について、インフラ形成の前提条件となる事象とインフラ形成の制約条件となる事象を解説する。

■ 前提となる外部環境の変化を分析

具体的なインフラ形成、整備状況を理解するために、新興国がどのようなインフラ政策を策定しており、具体的にどのようなインフラ関連のプロジェクトが計画されているかを解説する。

■ 新興国のインフラ政策を調査

■ 中国+ASEAN諸国

■ 環インド洋諸国

■ アフリカ諸国

■ 南米諸国

中国 マレーシア

インドネシア

ミャンマー

フィリピン

カンボジア

タイ

ベトナム

ラオス

バングラデシュ

アフガニスタン

インド

トルコ

パキスタン

イラン

ナイジェリア南アフリカ

エジプト

ケニア

アルジェリア

アルゼンチンブラジル

コロンビア

メキシコ

ペルー

インド中国 アフリカASEAN 南米

新興国の政策とビジネス環境は?

産業構造の変化は?

業界再編の行方は?

スマートコミュニティの課題は?

市場・商品・技術のロードマップは?

プロダクトと注目技術は?

クラウドの進展は?

マーケット予測は?

EVの普及は?

エネルギー問題は?

※目次の内容・構成は変更になる場合があります。

『インフラ産業2014-2023』目次

1. はじめに2. サマリー

序章

インフラ形成の前提条件 1. 先進国と新興国のインフラ整備 2. インフラ産業の構造 3. マクロ経済環境 4. 天然資源の偏在 5. 新興国の投資資本の流入 6. グローバル・バリューチェーン 7. 都市化 8. 複合型都市開発 9. 環境配慮型社会 10. 気候変動インフラ形成の制約条件 1. 技術開発の進展 2. 新興国の高度人材の増加 3. インフラ金融 4. PFI/PP

第1章前提となる外部環境の変化

 6. インドネシア 7. カンボジア 8. ラオス 9. ミャンマー環インド洋諸国(6カ国) 1. インド 2. パキスタン 3. バングラデシュ 4. トルコ 5. イラン 6. アフガニスタンアフリカ諸国(5カ国) 1. 南アフリカ 2. ケニア 3. ナイジェリア 4. エジプト 5. アルジェリア南米諸国(5カ国) 1. ブラジル 2. メキシコ 3. アルゼンチン 4. コロンビア 5. ペルー

中国+ASEAN諸国(9カ国) 1. 中国 2. タイ 3. マレーシア 4. フィリピン 5. ベトナム

第3章新興国のインフラ政策とインフラ整備ロードマップ

インフラ輸出国の動向国際機関の動向

第4章インフラ輸出国と国際機関の動向

水産業 ■ ロードマップ(市場・商品・技術) ■ プロダクト予測と注目技術 ■ マーケット予測 ■ 業界予測 ■ 再編の行方 ■ 企業動向運輸交通産業 ■ ロードマップ(市場・商品・技術) ■ プロダクト予測と注目技術 ■ マーケット予測 ■ 業界予測 ■ 再編の行方 ■ 企業動向情報通信産業 ■ ロードマップ(市場・商品・技術) ■ プロダクト予測と注目技術 ■ マーケット予測 ■ 業界予測 ■ 再編の行方 ■ 企業動向静脈産業 ■ ロードマップ(市場・商品・技術) ■ プロダクト予測と注目技術 ■ マーケット予測 ■ 業界予測 ■ 再編の行方 ■ 企業動向

電力・ガス産業 ■ ロードマップ(市場・商品・技術) ■ プロダクト予測と注目技術 ■ マーケット予測 ■ 業界予測 ■ 再編の行方 ■ 企業動向

第2章主要なインフラ産業の行方

石油化学メーカーで新規顧客開拓、新規事業の企画・開発、海外マーケティング・アライアンス交渉などに従事後、株式会社日本総合研究所入社。グループディレクターとして、インドを中心とした環インド洋諸国・環ベンガル湾諸国に焦点を当て、日本企業の事業化を促進するために、日本の制度輸出、事業案件発掘、2国間の相互理解の運営などを支援。プリンシパルとして、大手BtoBメーカーの成長戦略策定と実行支援、特にコーポレート部門の研究開発戦略、新規事業開発戦略、技術経営人材育成などを支援。英国国立ウェールズ大学経営大学院「技術経営戦略」「イノベーションマネジメント」講師。

株式会社日本総合研究所総合研究部門 社会・産業デザイン事業部 グローバルマネジメントグループディレクター 兼 プリンシパル

時吉康範(ときよし・やすのり)[監修・著者(代表)]電力、ガス、水道、環境、道路、空港、鉄道、情報通信、ごみ処理、リサイクル…新興国の人口増加と経済発展で「インフラ産業」が爆発的に成長、次世代インフラが巨額投資と新たなビジネスチャンスをもたらす。