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- 72 - e.航空写真画像の二値化処理 2006年撮影のカラー・モザイク画像において、 Adobe Photoshopによる二値化処理を行った。 はじめに、2006年撮影のカラー・モザイク画像をグレースケールに変換した。次に、画像全 体の濃淡を消去するため、オリジナルのモザイク画像とそのぼかし処理(ガウス)の差を取る 演算により平均化処理を行った(図Ⅱ-3-9)。さらに、上記の結果を元に二値化変換した。閾値 はヒストグラムの変極点に設定した。画像の中で海面が主たる面積を占める場合は、変極点に 閾値を設定すると海面取り除くことができた。 図Ⅱ-3-9.二値化処理の手順イメージ f.解析範囲メッシュポリゴン毎の面積計算 ArcGISを用いて、前述の解析メッシュポリゴン毎に抽出したカキ礁の面積集計を行った。 100mメッシュ面積集計処理 ①の 500mメッシュ面積集計処理と同様に、2007 年度撮影のカラーオルソ画像、2006 年度 撮影のカラーモザイク画像、1977 年撮影のモノクロ・モザイク画像について、それぞれ 100 mメッシュによるカキ礁分布面積の抽出作業を行った。作業手順については、500mメッシュ と同様である。 a.処理対象図郭 各年の画像処理の対象図郭を図Ⅱ-3-10~図Ⅱ-3-12 に示す。

e.航空写真画像の二値化処理 - maff.go.jp...e.航空写真画像の二値化処理 2006年撮影のカラー・モザイク画像において、Adobe Photoshop による二値化処理を行った。

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- 72 -

e.航空写真画像の二値化処理

2006年撮影のカラー・モザイク画像において、Adobe Photoshopによる二値化処理を行った。

はじめに、2006年撮影のカラー・モザイク画像をグレースケールに変換した。次に、画像全

体の濃淡を消去するため、オリジナルのモザイク画像とそのぼかし処理(ガウス)の差を取る

演算により平均化処理を行った(図Ⅱ-3-9)。さらに、上記の結果を元に二値化変換した。閾値

はヒストグラムの変極点に設定した。画像の中で海面が主たる面積を占める場合は、変極点に

閾値を設定すると海面取り除くことができた。

図Ⅱ-3-9.二値化処理の手順イメージ

f.解析範囲メッシュポリゴン毎の面積計算

ArcGISを用いて、前述の解析メッシュポリゴン毎に抽出したカキ礁の面積集計を行った。

②100mメッシュ面積集計処理

①の 500mメッシュ面積集計処理と同様に、2007 年度撮影のカラーオルソ画像、2006 年度

撮影のカラーモザイク画像、1977 年撮影のモノクロ・モザイク画像について、それぞれ 100

mメッシュによるカキ礁分布面積の抽出作業を行った。作業手順については、500mメッシュ

と同様である。

a.処理対象図郭

各年の画像処理の対象図郭を図Ⅱ-3-10~図Ⅱ-3-12 に示す。

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図Ⅱ-3-10.2007年度撮影カラー・オルソ画像処理対象図郭

図Ⅱ-3-11.2006 年度撮影カラー・モザイク画像処理対象図郭

図Ⅱ-3-12.1977年度撮影モノクロ・モザイク画像処理対象図郭

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③500mメッシュによるカキ礁分布面積の集計結果

a.カキ礁の空間分布 2006 年撮影の航空写真と 1977 年撮影の航空写真による 500mメッシュのカキ礁面積の集計

結果を図Ⅱ-3-13 及び図Ⅱ-3-14 に示す。 佐賀空港沖から早津江川河口沖までのメッシュにおいて2006年及び1977年ともに、カキ礁が

分布した。しかし、沖合域については、1977年にはカキ礁が分布していたが、2006年にはほと

んど分布していない。

図Ⅱ-3-13.2006年撮影カラーモザイク画像からのカキ礁面積集計結果

図Ⅱ-3-14.1977年撮影モノクロモザイク画像からのカキ礁面積集計結果

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b.1977年と2006年のカキ礁の分布の比較

1977年度から2006年度の変化量を500mメッシュ毎に計算した。変化量の計算範囲は、赤セ

ルで示した図郭とした。結果を図Ⅱ-3-15と、表Ⅱ-3-1に示した。

集計範囲全域でカキ礁面積が減少している。特に沖合域のカキ礁は大きく減少している。

図Ⅱ-3-15.1977年と2006年のカキ礁の分布の比較

(赤・黄色のメッシュで減少量が大きい)

④100mメッシュによるカキ礁分布面積の集計結果

a.カキ礁の空間分布

2006 年及び 2007 年撮影の航空写真と 1977 年撮影の航空写真における 100mメッシュ面積

集計結果を図Ⅱ-3-16~図Ⅱ-3-18 に示す。

鹿島川、塩田川河口域から飯田漁港沖あたりまでのメッシュにおいて、2007年及び1977年と

もにカキ礁が多く分布した。また、六角川河口域もカキ礁が多い部分があった。佐賀空港沖か

ら早津江川河口沖までのメッシュにおいては、2006年は1977年に比べて減少しているが、カキ

礁が分布した。また、沖合のカキ礁については、1977年には分布したカキ礁が2006年ではほと

んど確認できなかった。これらの結果は、2008年度及び本年度業務で実施した500mメッシュ

の結果と同様である。

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図Ⅱ-3-16.2007年撮影カラー・オルソ画像により抽出したカキ礁面積の集計結果

図Ⅱ-3-17.2006年撮影カラー・モザイク画像により抽出したカキ礁面積の集計結果

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図Ⅱ-3-18.1977年撮影モノクロ・モザイク画像により抽出したカキ礁面積の集計結果

表Ⅱ-3-1.佐賀県有明海東部海域の1977年と2007年のカキ礁の分布面積の比較

b.1977年と、2006年及び2007年のカキ礁の分布の比較

1977年から2006年及び2007年のカキ礁の分布面積の変化量を100mメッシュ毎に計算した。

変化量の計算範囲は、赤セルで示した図郭とした。結果を図Ⅱ-3-19及び図Ⅱ-3-20に示した。

佐賀県有明海西部海域の変化量計算結果では、鹿島川、塩田川河口域から飯田漁港沖では、

沿岸域のメッシュでカキ礁面積が増加、沖合で減少の傾向が見られた。また、六角川河口域は

大幅に減少した箇所があった。

また、佐賀県有明海東部海域の変化量計算結果では、計算範囲全域で、カキ礁分布面積が減

少した。特に沖合のカキ礁は、大幅に減少していた。

カキ礁面積

(ha)

2006・2007年

カキ礁面積

(ha)

1977年

カキ礁面積

増減

(ha)

2006・07/1977年

(%)

佐賀県東部(2006年)

佐賀県西部(2007年)

16.12

71.43

184.28

107.59

-168.15

- 36.16

8.7

66.39

佐賀県 87.55 291.87 -204.31 30.0

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図Ⅱ-3-19.1977年と2007年のカキ礁の分布の比較(赤・黄色のメッシュで減少量が大きい)

図Ⅱ-3-20.1977年と2006年のカキ礁の分布の比較(赤・黄色のメッシュで減少量が大きい)

参考文献

水産総合研究センター(2009)環境省請負業務報告書.平成20年度有明海貧酸素水塊発生機

構実証調査,124pp.

西海区水産研究所(1981)沿岸海域藻場調査.九州西岸海域藻場・干潟分布調査報告,391pp.

佐賀県有明水産試験場(1979)大規模漁場保全事業報告書,44pp.

古賀秀昭・杠 学(1989)ウオータージェット工法によるカキ礁除去後の底質、底生生物の

変化について.佐賀有明水試研報.11,79-90.

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(4)航空写真のアナログ的処理よるカキ礁面積の集計

カキ礁面積の3.1)~(3)においては、航空写真のデジタル処理によるカキ礁の分布面

積を把握したが、これと並行して、航空写真に撮影されているカキ礁の一つ一つの縁辺を線で

囲んでアナログ的に処理し(以下、アナログ的処理という)、過去と現在のカキ礁の分布面積

とその変化量を検討した。

1977 年に水産庁により撮影された航空写真及び佐賀県有明海大規模漁場保全事業カキ殻等

深浅図(佐賀県水産課、1978 年)をもとに、1977 年のカキ礁の分布をGIS上で整理した(図

Ⅱ-3-21、図Ⅱ-3-23)。現在のカキ礁の分布は、2006 年及び 2007 年に撮影された航空写真と

2008年及び2009年にカキ礁静物分布調査による現地調査によりカキ礁の分布の確認に基づい

て、GIS上でカキ礁の分布を整理した(図Ⅱ-3-22、図Ⅱ-3-24)。さらに、両者のカキ礁の分

布の比較を図Ⅱ-3-25、図Ⅱ-3-26 に示した。

図Ⅱ-3-21.航空写真等により判別した鹿島市地先のカキ礁の分布(1977 年)

図Ⅱ-3-22.航空写真等により判別した鹿島市地先のカキ礁の分布(2007 年)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 km

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