8
October 2 0 1 3 8 Impacting Society By solving Problems Energy Earth Science Engineering Solution Experimentation

Energy Solution Engineering Impacting Society By solving ...i2cner.kyushu-u.ac.jp/upload_file/prpub/helloi2cner_vol.8_ja_7.pdf · just one favorite memory: Iʼve gone to a baseball

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October 2013

8

ImpactingSocietyBy solvingProblems

Energy

Earth

Science

Engineering

Solution

Experimentation

Hello! I2CNER 表紙 A4 210×297mm

Page 2: Energy Solution Engineering Impacting Society By solving ...i2cner.kyushu-u.ac.jp/upload_file/prpub/helloi2cner_vol.8_ja_7.pdf · just one favorite memory: Iʼve gone to a baseball

CO2を増やさない、グリーン&クリーンな 「低炭素社会」 を目指し、世界最先端の研究に取り組む

I2CNERの9つの研究部門 をご紹介します!

二酸化炭素を

あつめる

へらす

とじこめる

水素適合材料研究部門水素が金属の強度を弱めるメカニズムを詳しく調べ、水素を安全に扱うために適した材料を研究しています。水素を

つくる たくわえる ひろめる つかう

CO2貯留研究部門分離・濃縮したCO2を深い地中、もしくは海底へ安定して貯留する(閉じ込める)方法を研究しています。

水素貯蔵研究部門より多くの水素をコンパクトかつ安全に貯めることのできる材料の研究を行っています。

触媒的物質変換研究部門廃棄物の副生をともなわずに物質変換ができるグリーン化した化学反応を研究しています。

エネルギーアナリシス研究部門エネルギーを作り出し、利用する化学・技術の研究について将来展望を行います。

熱科学研究部門高圧などの様々な状態における水素・CO2の熱物性や熱の伝わり方などの伝熱特性を研究しています。

燃料電池研究部門高い効率で水素等から直接発電ができる次世代燃料電池の研究および新しいコンセプトを提案しています。

水素製造研究部門太陽光の利用などにより、CO2を出さない水素の製造方法を研究しています。

CO2分離・転換研究部門CO2を効率良く低コストで分離・転換する方法を研究しています。

01 02

カーボンニュートラルな社会とは?

エネルギー利用で排出するCO2の量を極力少なくし、

自然界で吸収・貯蔵される量とのバランスが保ち続けられるような社会

My favorite thing to do in Japan is explore and learn about the fascinating culture. It is really hard to pick just one favorite memory: I’ve gone to a baseball game, learned how to make a tea bowl, went to the mariner’s parade, visited a cat cafe, and browsed through many, many museums. On the weekend I’ve also been to Kyoto, Yanagawa, and Kumamoto. My favorite memory is of my visit to Karatsu. I saw many places in the town but when I went to the Takatori House, a tour guide offered to show Kelly and me around. We learned many things about Japanese architecture and artwork, including the meanings behind paintings, the design of a garden with borrowed scenery (shakkei), and the special properties of Japanese paper. It was an amazing experience. I am going to miss the rich culture, ho sp i -t a l i t y , and the amazing fresh seafood in Japan. I am incredibly grateful for the experience and I hope I will have the opportunity to come back very soon.

My research focuses on the effects of hydrogen on the microstructure of metals subject to high strains, as well as rolling contact fatigue. When I return to University of Illinois at Urbana-Champaigne(UIUC), I will measure the hardness of my samples, use a focused ion beam to create small specimens, and observe the microstructure in a transmission electron microscope.

ミーガン・エミットPh.D Student, University of I l l inois Urbana-Champaigne (UIUC)

イリノイ大学で博士号を取得して研究者として学術的な分野で働きたい。夢は世界中を旅すること。

Megan Emigh

九州大学大学院工学研究院に2ヶ月ほど留学していたイリノイ大学大学院博士課程 Megan Emigh さんの一日と日本での思い出をご紹介します。

hydrogen →水素 microstructure →マイクロ構造 ro l l ing contact fat igue → 転がり接触疲労 spec imen →試験片 ion beam →イオンビーム t ransmiss ion e lectron microscope(TEM)→透過型電子顕微鏡

Words

Megan Emigh

研究者への道

Research Division

Introductions

The Japan Experience

・九州大学伊都キャンパスへ登校・メールや論文の確認9:00

10:00

11:00

12:0013:0014:0015:0016:0017:0018:00

19:00

20:00

21:00

・ランチ 学生食堂『Big Dora』

・実験レポート作成 → 帰宅

・ディナー・友人と外食、繁華街まで出かけることも

・資格の勉強やメールで友達と連絡・日本語の勉強にもチャレンジ

・実験に使う試験片の製作

<実験>・水素の影響を受けた金属の ミクロ構造上の変化を調べる

※水素が金属に及ぼす影響を解明することは、 水素エネルギー社会の実現には欠かせません。

Schedule

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CO2を増やさない、グリーン&クリーンな 「低炭素社会」 を目指し、世界最先端の研究に取り組む

I2CNERの9つの研究部門 をご紹介します!

二酸化炭素を

あつめる

へらす

とじこめる

水素適合材料研究部門水素が金属の強度を弱めるメカニズムを詳しく調べ、水素を安全に扱うために適した材料を研究しています。水素を

つくる たくわえる ひろめる つかう

CO2貯留研究部門分離・濃縮したCO2を深い地中、もしくは海底へ安定して貯留する(閉じ込める)方法を研究しています。

水素貯蔵研究部門より多くの水素をコンパクトかつ安全に貯めることのできる材料の研究を行っています。

触媒的物質変換研究部門廃棄物の副生をともなわずに物質変換ができるグリーン化した化学反応を研究しています。

エネルギーアナリシス研究部門エネルギーを作り出し、利用する化学・技術の研究について将来展望を行います。

熱科学研究部門高圧などの様々な状態における水素・CO2の熱物性や熱の伝わり方などの伝熱特性を研究しています。

燃料電池研究部門高い効率で水素等から直接発電ができる次世代燃料電池の研究および新しいコンセプトを提案しています。

水素製造研究部門太陽光の利用などにより、CO2を出さない水素の製造方法を研究しています。

CO2分離・転換研究部門CO2を効率良く低コストで分離・転換する方法を研究しています。

01 02

カーボンニュートラルな社会とは?

エネルギー利用で排出するCO2の量を極力少なくし、

自然界で吸収・貯蔵される量とのバランスが保ち続けられるような社会

My favorite thing to do in Japan is explore and learn about the fascinating culture. It is really hard to pick just one favorite memory: I’ve gone to a baseball game, learned how to make a tea bowl, went to the mariner’s parade, visited a cat cafe, and browsed through many, many museums. On the weekend I’ve also been to Kyoto, Yanagawa, and Kumamoto. My favorite memory is of my visit to Karatsu. I saw many places in the town but when I went to the Takatori House, a tour guide offered to show Kelly and me around. We learned many things about Japanese architecture and artwork, including the meanings behind paintings, the design of a garden with borrowed scenery (shakkei), and the special properties of Japanese paper. It was an amazing experience. I am going to miss the rich culture, ho sp i -t a l i t y , and the amazing fresh seafood in Japan. I am incredibly grateful for the experience and I hope I will have the opportunity to come back very soon.

My research focuses on the effects of hydrogen on the microstructure of metals subject to high strains, as well as rolling contact fatigue. When I return to University of Illinois at Urbana-Champaigne(UIUC), I will measure the hardness of my samples, use a focused ion beam to create small specimens, and observe the microstructure in a transmission electron microscope.

ミーガン・エミットPh.D Student, University of I l l inois Urbana-Champaigne (UIUC)

イリノイ大学で博士号を取得して研究者として学術的な分野で働きたい。夢は世界中を旅すること。

Megan Emigh

九州大学大学院工学研究院に2ヶ月ほど留学していたイリノイ大学大学院博士課程 Megan Emigh さんの一日と日本での思い出をご紹介します。

hydrogen →水素 microstructure →マイクロ構造 ro l l ing contact fat igue → 転がり接触疲労 spec imen →試験片 ion beam →イオンビーム t ransmiss ion e lectron microscope(TEM)→透過型電子顕微鏡

Words

Megan Emigh

研究者への道

Research Division

Introductions

The Japan Experience

・九州大学伊都キャンパスへ登校・メールや論文の確認9:00

10:00

11:00

12:0013:0014:0015:0016:0017:0018:00

19:00

20:00

21:00

・ランチ 学生食堂『Big Dora』

・実験レポート作成 → 帰宅

・ディナー・友人と外食、繁華街まで出かけることも

・資格の勉強やメールで友達と連絡・日本語の勉強にもチャレンジ

・実験に使う試験片の製作

<実験>・水素の影響を受けた金属の ミクロ構造上の変化を調べる

※水素が金属に及ぼす影響を解明することは、 水素エネルギー社会の実現には欠かせません。

Schedule

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西原 ここは、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所

略して I2CNER(アイスナー)です。こ

こで私達が何を研究しているか知っ

ていますか。

内田 カーボンと付いているから炭素に関する研究でしょうか。

西原 さすがに内田さんはサイエンス同好会に所属しているだけあって、

目の付け所が鋭いね。初めに少し

I2CNER について説明します。ここで

は、CO2排出削減と非化石燃料による

エネルギーシステムの構築を目的と

した基礎科学の研究を行っています。

惣慶 ということは地球温暖化問題に取り組んでいるのですね。

西原 そのとおりです。今日は地球温暖化問題解決の切り札である燃料

電池について、いろいろな側面から

考えていこうと思います。さて、この

模型の自動車には燃料電池が使われ

ています。

牧山 イメージしていたものよりずいぶんと小さいですね。インター

ネットで調べた燃料電池は、もっと

大きなサイズでした。

西原 それはたぶん自動車用でしょう。この燃料電池自動車の模型は

20,000 円程しますが、模型に使われ

ているこの小さな燃料電池がいくら

くらいするかわかりますか。

堀下 2,000 円くらいですか。西原 20,000 円です。模型代のほとんどが燃料電池代です。

全員 そんなに高いのですか!西原 そうなんです。価格が高いことが燃料電池の課題の一つでもあり

ます。

内田 他にも課題があるのですか。西原 燃料電池を普及させるためには、まだいくつか解決しなければな

らないことがあります。それは追々

説明します。では、今どのように燃料

電池が使われているでしょうか。

菅谷 確 か エ ネ フ ァ ー ム に は燃料電池が使われていますね。

吉川 ちょっと待って、エネファームって給湯器じゃなかった?

西原 エネファームはガスから水素を取り出して、燃料電池で発電して

います。水素を取り出す時に熱が出

るので、それを有効利用しています。

内田 冷却水をお湯にして活用するわけですね。

西原 よく勉強していますね。他には倉庫用のフォークリフトに

燃料電池が使われています。なぜだ

かわかりますか。

惣慶 排気ガスが出ないからでしょう。西原 狭い倉庫の中で排気ガスがたまると労働環境が悪くなります。

このようにエネルギーを生み出す時

に CO2を出さないのが燃料電池の良

い点です。

西原 福岡県糸島市には、150 世帯規模の水素タウンがあることを皆さ

んは知っていますか。

内田 水素タウンの話は聞いたことがあります。

西原 福岡県とエネルギー会社数社が共同でエネファームを使った

省エネ効果などの検証を行い、電気

の自給自足を行う未来の家造りに

挑戦しています。将来、皆さんが家を

買うときには、水素タウンにあるよ

うな、環境に配慮した住宅もきっと

選択肢になっているでしょう。

牧山 燃料電池の時代が、すぐそこまで来ているのですね。そういえば

新聞に、2015 年に燃料電池自動車が

発売されるとありました。

西原 そのために来年から水素を充填する水素ステーションの整備が

本格的に始まります。では、なぜ今

燃料電池に注目が集まっていると思

いますか?

堀下 もしかすると石油がなくなってきたから?

内田 おそらく、技術的に実用化のメドが立ったからではないでしょうか。

西原 どちらも正解です。まず燃料電池の技術が成熟してきたことは

間違いありません。石油の枯渇問題

に関しては、当分の間は心配しなく

ても大丈夫と言われています。しか

し、石油を取り巻く状勢が不安定な

ため、価格が上がる可能性が大いに

あります。

菅谷 今のような勢いで石油を使い続ければ、地球温暖化問題がさらに

加速する恐れもありますよね。

西原 そこで石油の替わりに水素が使えるようになれば地球温暖化解消

につながる。しかも水素はほぼ無限

に使えるクリーンなエネルギーなの

です。

西原 皆さんは、燃料電池の仕組みを知っていますか。

菅谷 水の電気分解の逆の反応だと聞いたような………。

吉川 電気分解といえば、電解質を含む水に電気を流して水素と酸素を

発生させる実験のことですか?

西原 そのとおりです。だから、その逆、つまり白金を触媒として水素と

酸素を反応させると、水ができて

電気が発生する。仕組みはとても

シンプルです。

じゅうてん

03 04

燃料電池は本当にすごい?

主要自動車メーカー各社が、2015年に燃料電池自動車を発売すると発表しています。日本もいよいよ燃料電池社会に向けて大きな一歩を踏み出します。今回は燃料電池の材料を研究する西原助教と福岡市立福岡西陵高等学校の生徒たちで、「燃料電池は本当にすごい?」をテーマにディスカッションを行いました。

燃料電池の現状

なぜ今、燃料電池が注目されているのか 燃料電池の仕組み

Masamichi Nishihara西原 正通九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所燃料電池研究部門 助教

Masamichi Nishihara西原 正通九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所燃料電池研究部門 助教

福岡市立福岡西陵高等学校

2年 内田 大智さん 1年 惣慶 拓也さん

1年 牧山 充喜さん 1年 堀下 和磨さん

1年 菅谷 仁志さん 1年 吉川 友裕さん 

 

 

 

うちだ だいちそうけい たく

まきやま みつき

ほりした  かずま

すがや  ひとし

よしかわ ともひろ

西原 正通九州大学カーボンニュート

ラル・エネルギー国際研究所

燃料電池研究部門 助教

VS

Discussion

に し は ら ま さ み ち

Page 5: Energy Solution Engineering Impacting Society By solving ...i2cner.kyushu-u.ac.jp/upload_file/prpub/helloi2cner_vol.8_ja_7.pdf · just one favorite memory: Iʼve gone to a baseball

西原 ここは、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所

略して I2CNER(アイスナー)です。こ

こで私達が何を研究しているか知っ

ていますか。

内田 カーボンと付いているから炭素に関する研究でしょうか。

西原 さすがに内田さんはサイエンス同好会に所属しているだけあって、

目の付け所が鋭いね。初めに少し

I2CNER について説明します。ここで

は、CO2排出削減と非化石燃料による

エネルギーシステムの構築を目的と

した基礎科学の研究を行っています。

惣慶 ということは地球温暖化問題に取り組んでいるのですね。

西原 そのとおりです。今日は地球温暖化問題解決の切り札である燃料

電池について、いろいろな側面から

考えていこうと思います。さて、この

模型の自動車には燃料電池が使われ

ています。

牧山 イメージしていたものよりずいぶんと小さいですね。インター

ネットで調べた燃料電池は、もっと

大きなサイズでした。

西原 それはたぶん自動車用でしょう。この燃料電池自動車の模型は

20,000 円程しますが、模型に使われ

ているこの小さな燃料電池がいくら

くらいするかわかりますか。

堀下 2,000 円くらいですか。西原 20,000 円です。模型代のほとんどが燃料電池代です。

全員 そんなに高いのですか!西原 そうなんです。価格が高いことが燃料電池の課題の一つでもあり

ます。

内田 他にも課題があるのですか。西原 燃料電池を普及させるためには、まだいくつか解決しなければな

らないことがあります。それは追々

説明します。では、今どのように燃料

電池が使われているでしょうか。

菅谷 確 か エ ネ フ ァ ー ム に は燃料電池が使われていますね。

吉川 ちょっと待って、エネファームって給湯器じゃなかった?

西原 エネファームはガスから水素を取り出して、燃料電池で発電して

います。水素を取り出す時に熱が出

るので、それを有効利用しています。

内田 冷却水をお湯にして活用するわけですね。

西原 よく勉強していますね。他には倉庫用のフォークリフトに

燃料電池が使われています。なぜだ

かわかりますか。

惣慶 排気ガスが出ないからでしょう。西原 狭い倉庫の中で排気ガスがたまると労働環境が悪くなります。

このようにエネルギーを生み出す時

に CO2を出さないのが燃料電池の良

い点です。

西原 福岡県糸島市には、150 世帯規模の水素タウンがあることを皆さ

んは知っていますか。

内田 水素タウンの話は聞いたことがあります。

西原 福岡県とエネルギー会社数社が共同でエネファームを使った

省エネ効果などの検証を行い、電気

の自給自足を行う未来の家造りに

挑戦しています。将来、皆さんが家を

買うときには、水素タウンにあるよ

うな、環境に配慮した住宅もきっと

選択肢になっているでしょう。

牧山 燃料電池の時代が、すぐそこまで来ているのですね。そういえば

新聞に、2015 年に燃料電池自動車が

発売されるとありました。

西原 そのために来年から水素を充填する水素ステーションの整備が

本格的に始まります。では、なぜ今

燃料電池に注目が集まっていると思

いますか?

堀下 もしかすると石油がなくなってきたから?

内田 おそらく、技術的に実用化のメドが立ったからではないでしょうか。

西原 どちらも正解です。まず燃料電池の技術が成熟してきたことは

間違いありません。石油の枯渇問題

に関しては、当分の間は心配しなく

ても大丈夫と言われています。しか

し、石油を取り巻く状勢が不安定な

ため、価格が上がる可能性が大いに

あります。

菅谷 今のような勢いで石油を使い続ければ、地球温暖化問題がさらに

加速する恐れもありますよね。

西原 そこで石油の替わりに水素が使えるようになれば地球温暖化解消

につながる。しかも水素はほぼ無限

に使えるクリーンなエネルギーなの

です。

西原 皆さんは、燃料電池の仕組みを知っていますか。

菅谷 水の電気分解の逆の反応だと聞いたような………。

吉川 電気分解といえば、電解質を含む水に電気を流して水素と酸素を

発生させる実験のことですか?

西原 そのとおりです。だから、その逆、つまり白金を触媒として水素と

酸素を反応させると、水ができて

電気が発生する。仕組みはとても

シンプルです。

じゅうてん

03 04

燃料電池は本当にすごい?

主要自動車メーカー各社が、2015年に燃料電池自動車を発売すると発表しています。日本もいよいよ燃料電池社会に向けて大きな一歩を踏み出します。今回は燃料電池の材料を研究する西原助教と福岡市立福岡西陵高等学校の生徒たちで、「燃料電池は本当にすごい?」をテーマにディスカッションを行いました。

燃料電池の現状

なぜ今、燃料電池が注目されているのか 燃料電池の仕組み

Masamichi Nishihara西原 正通九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所燃料電池研究部門 助教

Masamichi Nishihara西原 正通九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所燃料電池研究部門 助教

福岡市立福岡西陵高等学校

2年 内田 大智さん 1年 惣慶 拓也さん

1年 牧山 充喜さん 1年 堀下 和磨さん

1年 菅谷 仁志さん 1年 吉川 友裕さん 

 

 

 

うちだ だいちそうけい たく

まきやま みつき

ほりした  かずま

すがや  ひとし

よしかわ ともひろ

西原 正通九州大学カーボンニュート

ラル・エネルギー国際研究所

燃料電池研究部門 助教

VS

Discussion

に し は ら ま さ み ち

Page 6: Energy Solution Engineering Impacting Society By solving ...i2cner.kyushu-u.ac.jp/upload_file/prpub/helloi2cner_vol.8_ja_7.pdf · just one favorite memory: Iʼve gone to a baseball

惣慶 そんな簡単な仕組みなら、どうしてもっと早く実用化しなかった

のですか。

西原 とても良い質問ですね、皆さんはどうしてだと思いますか。この

模型の燃料電池自動車も、以前まで

はちゃんと走っていたのに動かなく

なりました。

牧山 それは電池を使いきってしまったからでしょう。

内田 いや、それはおかしいよ。何度でも繰り返し使えるのが燃料電池の

良いところなんだから。

西原 確かに、そうなんだけどパーツが傷んでくるのです。触媒に使って

いる白金が劣化したり、電極に使っ

ている炭素が剥がれたりしてしまう

からです。

堀下 実際の燃料電池自動車が、も

し短時間で壊れるなら誰も買いませ

んよね。白金をたくさん使い、炭素も

丈夫なものにしたら良いのでは。

西原 それこそが実用化に際しての問題点なのです。白金はとても高価

で 1 グラムあたり 5,000 円程度しま

す(2013 年 8 月現在)。例えば、燃料

電池自動車を造るには 1 台あたり

100 グラム程度の白金が必要となる

と、白金代だけで 50 万円もかかって

しまうことになります。

内田 ものすごく高価な車になりそう。菅谷 再来年に発売予定の燃料電池自動車は、いくらくらいなんですか。

西原 10 年程前は 1 億円以上しま

したが、今後量産体制に入れば 500

万円以下で発売されるのではないか

と言われています。そこから、さらに

どれくらい価格を下げられるかが、

燃料電池自動車普及のカギとなって

います。

吉川 ところで燃料電池に必要な水素はどうやって作るのですか。

西原 エネファームの話で少し触れたように、今のところはガスや石油

から水素を取り出しています。ただ

し、その時には電気が必要です。その

電気を火力発電に頼っていては、

結局 CO2削減にはなりません。他に

何か良い方法はありませんか。

惣慶 太陽光発電は使えませんか。内田 風力に波力、地熱発電もあります。

西原 そうですね。では、そのようなエネルギーをまとめて何と呼びますか。

菅谷 再生可能エネルギーでしょう。西原 そのとおり。自然にはいろいろなエネルギー源があるから、これ

らを組み合わせて発電して水素を作

れば、CO2を一切出さない理想的な

エネルギーシステムができます。

でも、現実はそうは上手くいきません。

どうしてでしょうか。

牧山 効率とか場所の問題があるからではないですか。

西原 それに加えて、もう一つ理由があります。コストの問題です。再生

可能エネルギーは、まだシステムが

確立されていないので、石油やガス

よりコストが高くつきます。

吉川 水素は扱いにくい気体だと教わった記憶があります。

西原 水素は空気の 10 分の 1 程度の軽い気体です。さらに周期表の

一番上にあるということは、何を

意味しますか。

惣慶 すごく小さいのでしょう。西原 そう、一番小さな元素だから、いろいろな物質をすり抜けてしまう

のです。だから水素が漏れるのを防ぐ

仕組みを考えなければなりません。

堀下 水素が簡単に漏れるのなら、燃料電池自動車に水素を充填する

水素ステーションは、とても危険な

場所ということになりませんか。

西原 もし、燃料電池自動車に搭載している水素タンクが衝突により

破損したとしても、水素は軽いので

あっという間に上空に拡散します。

だから、現実問題として水素に引火

することはそうないと思います。

西原 燃料電池自動車の普及に向けて、自動車メーカーが取り組んでい

ることは、燃料電池の価格を下げる

こと、効率よく水素をエネルギーに

変換すること、長期間安心して使え

るようにシステムの信頼性を高める

ことです。I2CNER では、水素を効率的

に作り出す方法や燃料電池の発電効率

を高めて、コストを抑えることがで

きる材料などの開発の研究に取り組

んでいます。

菅谷 常にコストが絡んでくるわけですね。

西原 そのとおり。効率を高めるだけなら白金を大量に使えばいい。け

れど、それでは費用がかかり過ぎる。

丈夫な材料を作るのもお金さえかけ

れば、それほど難しいことではあり

ません。

吉川 コストと品質のバランスを取りながら、最良の組み合わせを探す

のは難しいことですね。

西原 そうなんですよ。このような基礎研究は、効率が求められる企業

では対応が難しいでしょう。だから、

私達のような研究機関が頑張らなけ

ればならないのです。もう一つ、

忘れてはいけないのが、画期的な

アイディアを出すこと。従来の延長

線上にはない考え方から、斬新な

発明が生まれることもあります。

惣慶 未来を作り出す研究って、何だかわくわくしますね。

西原 I2CNER ではアメリカ人の所長のもと世界中から研究者が集ま

り、水素エネルギー社会の実現に向

けて日々研究に励んでいます。皆さ

んもエネルギー問題に興味を持って

くれたなら、ぜひ将来は研究者とし

て、I2CNERで一緒に研究しましょう。

じゅうてん

05 06

内田 大智さん

惣慶 拓也さん

牧山 充喜さん

堀下 和磨さん

菅谷 仁志さん

吉川 友裕さん

毎日新しい

アイディアを

考える!

夢は大学教授

燃料電池で動く

飛行機を

造って飛ばすぞ

燃料電池の

すごさが

わかりました

CO2に

何かを加えると

どうなる

将来、絶対に

燃料電池車を

手に入れる

水素の驚くべき

可能性に

気がつきました

Impression of the discussionImpression of the discussionImpression of the discussion

燃料電池の課題

今後の課題

 今回ご協力頂いたのは、福岡市立福岡西陵高等学校の皆さんです。福岡西陵高等学校は緑あふれる山間部に位置しているので、学生の皆さんは四季を感じながら勉強に励んでいます。国際交流が盛んで、韓国の姉妹校との交流やオーストラリアへの語学研修などが行われています。 本年度設立したばかりのサイエンス同好会は、関心のある分野の探求活動や共同研究、面白実験の作成、理科研究大会への参加など精力的に活動していくそうです。

福岡市立福岡西陵高等学校

九州大学水素ステーション九州大学水素ステーション

H2 2H+ 1/22H+ 022e-

H H:水素

OO :酸素

e- :電子

H

HO:水

H202e-

電解質

導線触媒

水素イオン

空気極燃料極+-

HH

O

O O

OH+

H+

H+H+e-e-

e-

e-

H2 O2

H2

e-e-

e-e-

媒体…白金など 電極…炭素など 電解質…イオン交換膜

燃料電池の仕組み

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惣慶 そんな簡単な仕組みなら、どうしてもっと早く実用化しなかった

のですか。

西原 とても良い質問ですね、皆さんはどうしてだと思いますか。この

模型の燃料電池自動車も、以前まで

はちゃんと走っていたのに動かなく

なりました。

牧山 それは電池を使いきってしまったからでしょう。

内田 いや、それはおかしいよ。何度でも繰り返し使えるのが燃料電池の

良いところなんだから。

西原 確かに、そうなんだけどパーツが傷んでくるのです。触媒に使って

いる白金が劣化したり、電極に使っ

ている炭素が剥がれたりしてしまう

からです。

堀下 実際の燃料電池自動車が、も

し短時間で壊れるなら誰も買いませ

んよね。白金をたくさん使い、炭素も

丈夫なものにしたら良いのでは。

西原 それこそが実用化に際しての問題点なのです。白金はとても高価

で 1 グラムあたり 5,000 円程度しま

す(2013 年 8 月現在)。例えば、燃料

電池自動車を造るには 1 台あたり

100 グラム程度の白金が必要となる

と、白金代だけで 50 万円もかかって

しまうことになります。

内田 ものすごく高価な車になりそう。菅谷 再来年に発売予定の燃料電池自動車は、いくらくらいなんですか。

西原 10 年程前は 1 億円以上しま

したが、今後量産体制に入れば 500

万円以下で発売されるのではないか

と言われています。そこから、さらに

どれくらい価格を下げられるかが、

燃料電池自動車普及のカギとなって

います。

吉川 ところで燃料電池に必要な水素はどうやって作るのですか。

西原 エネファームの話で少し触れたように、今のところはガスや石油

から水素を取り出しています。ただ

し、その時には電気が必要です。その

電気を火力発電に頼っていては、

結局 CO2削減にはなりません。他に

何か良い方法はありませんか。

惣慶 太陽光発電は使えませんか。内田 風力に波力、地熱発電もあります。

西原 そうですね。では、そのようなエネルギーをまとめて何と呼びますか。

菅谷 再生可能エネルギーでしょう。西原 そのとおり。自然にはいろいろなエネルギー源があるから、これ

らを組み合わせて発電して水素を作

れば、CO2を一切出さない理想的な

エネルギーシステムができます。

でも、現実はそうは上手くいきません。

どうしてでしょうか。

牧山 効率とか場所の問題があるからではないですか。

西原 それに加えて、もう一つ理由があります。コストの問題です。再生

可能エネルギーは、まだシステムが

確立されていないので、石油やガス

よりコストが高くつきます。

吉川 水素は扱いにくい気体だと教わった記憶があります。

西原 水素は空気の 10 分の 1 程度の軽い気体です。さらに周期表の

一番上にあるということは、何を

意味しますか。

惣慶 すごく小さいのでしょう。西原 そう、一番小さな元素だから、いろいろな物質をすり抜けてしまう

のです。だから水素が漏れるのを防ぐ

仕組みを考えなければなりません。

堀下 水素が簡単に漏れるのなら、燃料電池自動車に水素を充填する

水素ステーションは、とても危険な

場所ということになりませんか。

西原 もし、燃料電池自動車に搭載している水素タンクが衝突により

破損したとしても、水素は軽いので

あっという間に上空に拡散します。

だから、現実問題として水素に引火

することはそうないと思います。

西原 燃料電池自動車の普及に向けて、自動車メーカーが取り組んでい

ることは、燃料電池の価格を下げる

こと、効率よく水素をエネルギーに

変換すること、長期間安心して使え

るようにシステムの信頼性を高める

ことです。I2CNER では、水素を効率的

に作り出す方法や燃料電池の発電効率

を高めて、コストを抑えることがで

きる材料などの開発の研究に取り組

んでいます。

菅谷 常にコストが絡んでくるわけですね。

西原 そのとおり。効率を高めるだけなら白金を大量に使えばいい。け

れど、それでは費用がかかり過ぎる。

丈夫な材料を作るのもお金さえかけ

れば、それほど難しいことではあり

ません。

吉川 コストと品質のバランスを取りながら、最良の組み合わせを探す

のは難しいことですね。

西原 そうなんですよ。このような基礎研究は、効率が求められる企業

では対応が難しいでしょう。だから、

私達のような研究機関が頑張らなけ

ればならないのです。もう一つ、

忘れてはいけないのが、画期的な

アイディアを出すこと。従来の延長

線上にはない考え方から、斬新な

発明が生まれることもあります。

惣慶 未来を作り出す研究って、何だかわくわくしますね。

西原 I2CNER ではアメリカ人の所長のもと世界中から研究者が集ま

り、水素エネルギー社会の実現に向

けて日々研究に励んでいます。皆さ

んもエネルギー問題に興味を持って

くれたなら、ぜひ将来は研究者とし

て、I2CNERで一緒に研究しましょう。

じゅうてん

05 06

内田 大智さん

惣慶 拓也さん

牧山 充喜さん

堀下 和磨さん

菅谷 仁志さん

吉川 友裕さん

毎日新しい

アイディアを

考える!

夢は大学教授

燃料電池で動く

飛行機を

造って飛ばすぞ

燃料電池の

すごさが

わかりました

CO2に

何かを加えると

どうなる

将来、絶対に

燃料電池車を

手に入れる

水素の驚くべき

可能性に

気がつきました

Impression of the discussionImpression of the discussionImpression of the discussion

燃料電池の課題

今後の課題

 今回ご協力頂いたのは、福岡市立福岡西陵高等学校の皆さんです。福岡西陵高等学校は緑あふれる山間部に位置しているので、学生の皆さんは四季を感じながら勉強に励んでいます。国際交流が盛んで、韓国の姉妹校との交流やオーストラリアへの語学研修などが行われています。 本年度設立したばかりのサイエンス同好会は、関心のある分野の探求活動や共同研究、面白実験の作成、理科研究大会への参加など精力的に活動していくそうです。

福岡市立福岡西陵高等学校

九州大学水素ステーション九州大学水素ステーション

H2 2H+ 1/22H+ 022e-

H H:水素

OO :酸素

e- :電子

H

HO:水

H202e-

電解質

導線触媒

水素イオン

空気極燃料極+-

HH

O

O O

OH+

H+

H+H+e-e-

e-

e-

H2 O2

H2

e-e-

e-e-

媒体…白金など 電極…炭素など 電解質…イオン交換膜

燃料電池の仕組み

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「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」は、高いレベルの研究者を中核とした世界トップ

レベルの研究拠点を形成するため、文部科学省が 2007 年度より開始した事業です。第一線の

研究者が世界から多数集まってくるような、優れた研究環境と極めて高い研究水準を誇る「目に見

える研究拠点」の形成を目指しています。

九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)

低炭素社会の実現に向けて、水素エネルギー利用と CO2 の回収・貯留に関する課題を、原子レベルから地球規模の科学の融合により解決する研究拠点です。

大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)

様々な生体イメージング(画像化)の技術と免疫反応を予測する生態情報学を用いて、体を病原体から守る免疫システムの全貌解明を目指す新しい免疫学の研究拠点です。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)

「眠る」という現象のメカニズムや役割の解明を行い、睡眠障害および関連する疾患の制御を通して人類の健康増進に貢献することを目指した睡眠研究拠点です。

東京工業大学地球生命研究所(ELSI)

地球惑星科学および生命科学分野の世界一線の研究者を結集し、「生命の起源に関する研究は生命が生まれた初期地球環境の研究と不可分である」というコンセプトのもと、地球、さらには地球-生命システムの起源と進化の解明に挑みます。

名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)

世界屈指の分子合成力を推進力とし、合成化学者と動植物分子生物学者の連携により、生命科学・技術を根底から変える革新的機能分子「トランスフォーマティブ生命分子」を生み出す研究拠点です。「分子をつなげ、価値を生み、世界を変える」、これが我々の思いです。

京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)

細胞科学と物質科学を統合した新たな学際領域の創出を目標とし、幹細胞研究(ES/iPS 細胞など)やメゾ科学を発展させ、医学・創薬・環境・産業に貢献する研究拠点です。

物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)

東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)

従来のナノテクノロジーを革新した材料開発の新しいパラダイム「ナノアーキテクトニクス」のもと、画期的な材料を開発する研究拠点です。

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)

物理学、化学、材料化学、バイオエンジニアリング、電子・機械工学の領域を融合させ、革新的な機能性材料を創製・開発します。さらに、材料科学の統一的学理の創成のため、2011 年度より数学ユニットが加わり、国際材料科学研究拠点の形成を目指しています。

数学、物理学、天文学等の研究者が集まり、宇宙の始まり、進化の解明など、宇宙の謎に迫る研究拠点です。

07

Hello! I2CNER vol.8 October 2013I²CNERでは、さまざまなイベントを開催しています。 詳しくは ➡ http://i2cner.kyushu-u.ac.jp/ja/results/seminar.php (I2CNERのイベント情報)

[発 行] 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER)    〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744 I²CNER支援部門(九州大学伊都キャンパス)    Tel. +81-(0)92-802-6935 Fax. +81-(0)92-802-6939    Email:[email protected]    URL: http://i2cner.kyushu-u.ac.jp    Facebook: https://www.facebook.com/I2CNER.news    Twitter: https://twitter.com/I2CNER [編集・デザイン] 株式会社 石田大成社 [取材文] 竹林 篤実 [カメラ] 入江 修[企画・編集] I²CNER支援部門(増本 有美子・髙田 智美・藍谷 早苗)

I2CNER で 検 索

編集後記

"Hello! I2CNER”は発刊から3年目を迎えました。これからも、皆さんと共にエネルギー問題について考えていきたいと思っております。皆様のご意見・ご感想お待ちしております。

西南学院高等学校2013年度西南祭にて藤川准教授が講演2013年7月12日(金)、13日(土)の2日間、西南学院高等学校

(福岡市早良区百道浜1-1-1)において『2013年度西南祭』が

行われました。

初日の文化講演会では、九州大学カーボンニュートラル・

エネルギー国際研究所CO2分離・転換研究部門長 藤川 茂紀准教授が

『職業:科学者、世界で一番最初に発見者になる魅力!』をテーマに講演を行いま

した。地球温暖化の一つの要因と考えられる二酸化炭素排出量の上昇についてや、

世界最薄の人工膜を利用して二酸化炭素の排出を抑える研究について、参加した

全校生徒約1,300名に分かりやすく説明しました。また、科学者という職業を選んだ

理由や、研究の道を歩むきっかけとなった恩師の言葉を紹介しながら、科学者の

魅力について語りました。最後に学生から寄せられた様々な質問に答え、学生との

交流を深めました。

第67回(平成24年度)日本セラミックス協会学術賞石原 達己 教授

(副所長 水素製造研究部門長 主任研究者)

「ペロブスカイト類縁化合物のイオン伝導性と燃料電池への応用」の研究成果が、セラミックスの科学・技術に関する貴重な研究であり、その業績が特に優秀であるとして、学術賞を受賞しました。

第39回(平成24年度)繊維学会学会賞田中 敬二 教授

(水素製造研究部門)

「固体界面における高分子の凝集状態と熱運動特性に関する研究」の研究成果が、繊維科学において独創的で優秀な研究であり、今後の研究の発展が期待されるとして、学会賞を受賞しました。

2012-2013 Hydrogen Student Design Contest Grand Prize

木村 誠一郎 ポスドク研究員(エネルギーアナリシス研究部門)

本学大学院工学府水素エネルギーシステム専攻の修士課程の学 生 が、Hydrogen Education Foundation が 主 催 す るHydrogen Student Design Contest で Grand Prize(最優秀賞)を受賞しました。木村ポスドク研究員はアドバイザーとして参画し、チームの受賞に貢献しました。

第10回本多フロンティア賞堀田 善治 教授

(水素貯蔵研究部門 主任研究者)

「巨大ひずみ加工による高性能材料の創製」の研究成果が、金属材料などの無機材料、有機材料及びこれらの複合材料の分野で学術面・技術面において画期的な発見・発明を行ったとして、本多フロンティア賞を受賞しました。

日本物理探査学会奨励賞

辻 健 准教授(CO2貯留研究部門長 主任研究者)

日本物理探査学会の会誌に発表した「Global optimization by simulated annealing for common reflection surface stacking and its application to low-fold marine data in southwest Japan」が、若手会員の論文等の中でも特に今後の研究成果が期待されるとして、奨励賞を受賞しました。

07Energy Outlook

Awards

BreakingNews!!

01Event

02Event E

ventR

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International Symposium on Innovative Materials for Processes in Energy Systems (IMPRES) 2013

2 0 1 3 年 9 月 4 日(水)から 9 月 6 日(金)の 3 日間、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)にお い て「Internat ional Symposium on Innovat ive Mater ials f o r P r o c e s s e s i n E n e r g y S y s t e m s (IMPRES) 2013」が開催されました。このシンポジウムは、エネルギー変換における多相プロセスの様々な側面に着目し、研究分野を超えた活発な意見・アイディアの交換を促進することを目的として開催されています。IMPRES は、2007 年に京都、2010 年のシンガポールに続き、今回で 3 度目の開催となりました。実 行 委 員 長を髙田保之教授(副所長、熱科学研究部門長)が務め、各分科会・ポスターセッション等を催しました。1 8 0 名 以 上 の 国内 外 の 研 究 者・学 生 が 参 加し、大盛況のうちに閉会しました。

2013 年 9 月 13 日(金)、米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校において I2CNER サテライトが主催した「Catalytic Concepts for Energy」を開催しました。このシンポジウムは、触媒を利用したエネルギーについて、最新の研究成果を発表することを目的としており、英国オックスフォード大学 Fraser Armstrong 教授の基調講演をはじめ、米国内外の著名な研究者が講演しました。I2 CNER からは中嶋直敏教授(燃料電池研究部門主任研究者)、Aleksandar Staykov 助教(水素製造研究部門)、松本崇弘助教(触媒的物質変換研究部門)が参加し、I2 CNER での研究実績を発表しました。 参加した 50 名以上の研究者・学生は、活発な質疑応答、意見交換を行いました。

Catalytic Concepts for Energy