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法施行を踏まえた 再生医療の産業化に向けた取組 平成27年8月 経済産業省 生物化学産業課

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法施行を踏まえた 再生医療の産業化に向けた取組

平成27年8月 経済産業省

生物化学産業課

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0

10

20

30

40

2012 2020 2030 2040 2050

(兆円)

再生医療の将来市場規模予測(世界)

2020年 1.0兆円

2030年 12兆円

2050年 38兆円

その他

(新興国等)

日本

欧州

米国

2020年

1.0兆円

2030年

12兆円

2050年

38兆円

2012年

1000億円

年 年 年 年

国内外の再生医療の将来市場規模予測 ○ 再生医療の市場規模は、2050年には国内市場2.5兆円、世界市場38兆円となり、今後我が国にとって非常に大きな経済効果が期待される。

1

歯槽骨

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2012年 2020年 2030年 2040年 2050年

再生医療の将来市場規模予測(国内)

2020年

950億円

2030年

1.0兆円

2050年

2.5兆円

2012年

90億円

2030年 1.0兆円

2020年 950億円

2050年 2.5兆円

がん免疫

膵臓(糖尿病等)

肝臓

血管

神経

心臓 眼

軟骨 皮膚

(億円) その他

(毛髪再生等)

腎臓

血液

0

5000

10000

15000

再生医療周辺産業の将来市場規模予測(国内)

2020年 950億円

2030年 5500億円

2050年 1.3兆円

2012年 170億円

2012年 170億円

2020年 950億円

2030年 5500億円

2050年 1.3兆円

サービス

消耗品類

装置類

再生医療周辺産業の将来市場規模予測(世界)

2020年 1.1兆円

2030年 5.2兆円

2050年 15兆円

2012年 2400億円

欧州

米国

日本

その他

(新興国等)

02468

10121416

2012年 2020年 2030年 2040年 2050年

(兆円)

2012年 2400億円

2020年 1.1兆円

2030年 5.2兆円

2050年 15兆円

(億円)

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肝臓

膵臓

・・・

骨格筋

心筋

血液

・・・

神経

皮膚

・・・

幹細胞は、各組織に応じた細胞に分化可能

組織に応じた細胞に分化

幹細胞

将来、研究が進むにつれ、再生医療により多様な治療が可能に

骨髄損傷による障害等は、現在治療不可能

幹細胞で損傷した中枢神経を再生

身体機能の回復

<脊髄損傷治療の例>

① 他に治療法のない疾患の治療が可能になり、 患者の生活の質が向上

② 家族など介護する側の負担・費用軽減に寄与

再生医療への期待

○ 再生医療は、手術・投薬など従来の手法では治療困難とされる疾患の根本治療に路を開くもの。

○ 将来的には、慢性疾患や高齢化に伴う疾患等の治癒により、拡大の一途をたどる社会保障費の抑制にも貢献する可能性。

2

☆ 糖尿病や腎臓疾患などのように膨大な数の患者が存在し、かつ、生涯に亘って治療が必要となっている状況を改善することができれば、社会的メリットは極めて大。

幹細胞の種類

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

実用化 治験中 実用化 治験中 実用化 治験中 実用化 治験中 実用化 治験中

米国 欧州 日本 韓国 その他

軟骨・皮膚・骨 血管・心臓・神経・膵臓・眼 がん免疫 その他

米国(9品目)治験中(88品目) Epicel(自家培養皮膚)

Dermagraft(同種培養真皮)

OrCel(同種人工皮膚)

Carticel(自家培養軟骨) 等

韓国(14品目)治験中(31品目) Holoderm(自家培養表皮) Articell(自家培養軟骨) Ossron(自家骨) 等

日本(2品目) 治験中(4品目※) 将来的な治験候補となる臨床研究は、65件

JACE(自家培養表皮)、JACC(自家培養軟骨)

その他(6品目) 治験中 (23品目)

Chondrotransplant(自家培養軟骨) CARTOGEN(自家培養軟骨) 等

再生医療製品の国内外における実用化の動向

【各国における再生医療製品の上市製品数及び治験中の製品数(2012年12月時点)】

欧州(20品目) 治験中(42品目) Bioseed-S(自家培養表皮細胞) Chondrotransplant(自家培養軟骨) Cellactive(自家培養軟骨) ChondroCelect(自家培養軟骨) Hyalograft (自家培養軟骨) 等

再生医療製品の各国の開発状況(2012年12月時点)

※日本における治験中4品目の内訳

・自家骨格筋筋芽細胞シート テルモ 心不全

・他家間葉系幹細胞 日本ケミカルリサーチ GVHD予防

・自家培養軟骨 先端医療振興財団 軟骨欠損

・自家培養表皮 ジャパンティッシュエンジニアリング 表皮水疱症

【適応される疾患例】 神経:パーキンソン病

心臓:虚血性心疾患、心不全

血管:慢性閉塞性動脈硬化症

膵臓:I型糖尿病 等

再生医療製品の上市状況、開発動向の集計の考え方

①本集計は、上市/治験の実施国でカウント。

②上市製品とは、各国/地域の薬事承認を通過し製造販売承認を得た、細胞加工を伴う医薬品・医療機器を示す。細胞加工を伴わない同種/異種移植片や、細胞バンク(臍帯血・造血幹細胞等)は含まない。また、以下については上市製品としてカウントする。

・米国におけるHumanitarian Device Exemption (HDE) programによる承認製品。

・欧州における、中央審査方式以前に各国にて承認された製品。

出展:(株)シード・プランニングによる調査

○ 我が国の再生医療は、iPS細胞等の研究レベルでは世界のトップレベルにあるものの、再生医療製品の実用化件数が欧米や韓国と比べ著しく少ない。

○ 将来治療対象となる患者数が多いと見込まれる神経や心臓疾患等についての再生医療製品の開発においても大きく後れをとっている。

3

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3省連携した医療分野の研究開発

4

文部科学省

厚生労働省、PMDA

経済産業省

教育の実施 基礎研究の推進

企業支援 産業化の推進

迅速

高品質

低コスト

国立研究開発法人日本医療研究開発機構

医療研究推進のための

戦略策定

基礎~実用化・産業化

までの一貫した推進体制

医療提供体制の整備 医薬品等の承認

日本国内における再生医療の推進体制

2015年4月1日 設立

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( 2013年5月施行) 再生医療推進法(議員立法)

医薬品医療器機等法

新規導入

早期承認制度(条件及び期限付承認制度)

細胞培養の外部委託の実現

< 企業による製品の製造・販売 >

< 自由診療等 >

再生医療等安全性確保法

< 基本方針 >

( 2014年11月施行)

再生医療の新たな法制度

( 2014年11月施行)

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治験 承認審査

治験 承認 審査

従来の医薬品等での承認プロセス(2014.11以前)

非臨床試験

非臨床試験

現在の再生医療等製品の承認プロセス(2014.11以後)

開発期間の短縮

医薬品医療機器等法による再生医療製品の上市プロセス

市販後安全性調査の実施 患者に対し、リスクへの理解を求める インフォームドコンセントは必須。 最大7年とし、再審査を行う。

条件及び期限付き承認(保険償還)

承認 (保険償還)

(有効性が推定され、 安全性が担保された場合)

再生医療等製品のカテゴリを新設 早期承認制度の導入

公的保険の対象 外資系企業も利用可 多数の製品が治験中

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従来の制度

~2014年11月

新制度

2014年11月~

再生医療等

安全性確保等

細胞培養は ・病院・クリニックの中のみ ・医師によって実施

7

医療機関A 医療機関B

医療機関A 医療機関B

細胞加工事業者

細胞 細胞

細胞 細胞

細胞

新たに、細胞培養の外部委託が可能となった

細胞培養の外部委託の実現

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World pharmaceutical market. IMS Health Market Prognosis, June 2013.

日本 12% 北米 38%

欧州 24%

東京圏

関西圏

国家戦略特区

医薬品の世界市場(地域別割合)(2012)

日本の市場環境の優位性

国家戦略特区の設置

世界第2位の市場規模

世界トップレベルの基礎研究

高度な技術を持つ企業

高品質の治験環境

世界一の高齢化国

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自家移植 他家移植

角膜、表皮、軟骨

心筋細胞シート

培養表皮

心筋細胞シート

①培地 (細胞の培養環境)

②試薬等 (足場材料、細胞増殖因子等)

③培養容器 (細胞培養時に用いる容器)

消耗品類 (細胞培養のための試薬等)

○培養した細胞・ 組織の輸送

輸送サービス

①設計、施工

②保守、メンテナンス

iPS細胞 心筋細胞 心筋細胞を配置した

医薬品評価システム

(医薬品を心筋細胞に作用させ、反応を測定)

①インキュベータ (細胞培養時の温度保持)

②自動培養装置 (細胞を自動培養)

細胞培養機器 (細胞の調製、加工に利用)

①フローサイトメーター (細胞表面情報等を分析)

②画像解析装置 (画像解析による品質評価)

関連産業とバリューチェーンのイメージ

再生医療製品・サービス

における先進企業

創薬応用

医薬品評価システム・装置 (医薬候補の安全性評価)

サポーティング・ インダストリー

採 取

搬 送

遺伝子導入

細胞加工施設(セルプロセッシングセンタ-) (無菌性を担保した専用設備)

培 養

組織形成

細胞評価機器 (調製・加工した細胞の品質検査)

搬 送

再生医療 再生医療は、様々な関連産業が支えており、我が国が強みとするものづくり技術を活かすことが期待される。

9

網膜細胞シート (がん免疫)

細胞製剤

iPS細胞由来

網膜細胞シート

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再生医療の関連事業者 (FIRM会員一覧)

出典: FIRM Websiteより経済産業省作成(2015年1月26日時点情報)

iHeart Japan アステラス製薬 アスビオファーマ エーザイ 大塚製薬工場 カン研究所 協和発酵キリン グランソール免疫研究所 医療法人社団滉志会 再生医療推進機構 サイフューズ JCRファーマ

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 生命科学インスティテュート ゼノアックリソース セルシード セルジェンテック セルバンク 大日本住友製薬 武田薬品工業 帝人ファーマ テラ テルモ ニプロ

日本製薬 ノバルティスファーマ 富士ソフト ヘリオス メディネット ヤンセンファーマ UMNファーマ リプロセル リンフォテック レジエンス ロート製薬

再生医療・製薬(35社)

IHI アイエステクノロジージャパン 大阪サニタリー オリンパス 片岡製作所 川崎重工業 コアフロント サイトリ・セラピューティクス ジェイテック GEヘルスケア・ジャパン シスメックス

澁谷工業 島津製作所 東洋製罐グループホールHD ニコン パナソニックヘルスケア 日立製作所 丸菱バイオエンジ 横河電機 リコー ワケンビーテック

機械・装置(21社)

iPSアカデミアジャパン iPSポータル 池田理化 イーソリューションズ イプソスヘルスケアジャパン カイトー サトーホールディングス 三機工業 シード・プランニング 清水建設 新日本有限責任監査法人 360ip ジャパン セルート 損害保険ジャパン

大成建設 ダイダン Tメディカルサービス 東京海上日動火災保険 日本食品分析センター 三井住友海上火災保険 三井住友銀行 三菱総合研究所 メディパルホールディングス 薬物安全性試験センター 横浜バイオリサーチアンドサプライ ライフテクノロジーズジャパン リバネス ロジ・ソリューションズ

物流・サービス(28社)

旭化成 旭硝子 味の素 天野エンザイム カネカ 京セラ 極東製薬工業 クラレ コージンバイオ 細胞科学研究所 JX日鉱日石エネルギー 資生堂

住友化学 住友ベークライト 積水成型工業 ダイキン工業 大日本印刷 タカラバイオ 帝人 東京応化工業 東ソー 東洋紡 ナカライテスク 日水製薬

ニッピ ニチレイバイオサイエンス ノボザイムズジャパン バイオミメティクス シンパシーズ 日立化成 富士フイルム ベリタス ムトウ UNIGEN ロンザジャパン 和光純薬工業

化学・材料(35社)

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○ 経済産業省は、研究開発の支援、産業基盤整備、事業環境整備、国際連携の推進などの施策により、再生医療の産業化を支援。

外国企業との提携

製品開発の加速化

製造の低コスト化 対日投資の拡大

国際標準の獲得

企業間連携の促進

製造機器や消耗品等の研究開発を支援。

再生医療等製品の研究開発を支援。

関連企業が集積する産業拠点整備を支援。

川崎市殿町地区ライフイノベーションセンター

(平成28年度稼働予定)

海外イベントに当省が招待演者として出席

すると共に、日本パビリオンを出展。

外国企業との提携を支援する

コーディネーターを配置。

周辺産業の国際標準獲得のための

調査等を支援。

検査機器 自動培養装置 アイソレーター 培地 フラスコ

研究開発 産業基盤整備

国際連携

• 規制当局による承認審査等において、事業者が示すべき安全性等の論拠作成に資する評価手法の開発。

• 原料細胞としての他家(同種)細胞の入 手方法、製造工程への組み入れ、有用性評価等の検討。

再生医療の産業化に向けた

評価基盤技術開発事業

事業環境整備

産業化に向けた課題・対応策等を整理。

• 再生医療の実用化・産業化に関する研究会(平成24年度)

→ 再生医療関連法制度の整備

• 再生医療の普及のために必要な保険制度に関する調査(平成25年度)

• 再生医療の産業化に向けた原料細胞の入手等に関する調査(平成26年度)

再生医療分野における経産省の取組

11

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再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業 平成27年度予算額 25.0億円(25.0億円)

事業の内容

条件(対象者、対象行為、補助率等)

国 民間企業等

委託

事業イメージ

事業目的・概要

iPS細胞等を用いた再生医療は、臨床現場の新たな治療の選択肢となり、国

民の健康増進に大きく寄与することから、市場の急速な拡大が予想され、国際

競争も激化。

現在未確立であるiPS細胞等を高品質かつ大量に培養する技術を開発し、こ

れら技術の標準化を推進することにより、iPS細胞等の再生医療への産業応用

の促進及び培養装置等の再生医療を支える周辺製品市場での我が国企業

の国際競争力を強化。

一方、我が国の再生医療製品の開発主体は、再生医療についての規制当局

の審査手法が確立していないこと、前例がなく規制当局の審査への対応に多大

なコスト・時間がかかること等から、ハイリスクかつ高コストの中でビジネス化を強い

られているのが現状。本事業では、個々の再生医療製品に特有となる安全性、

有効性に関する試験項目を明確にし、必要な評価手法を開発することで後続

の再生医療製品の実用化を促進。

成果目標

平成26年度から平成30年度までの5年間の事業であり、平成31年度には

①当事業で開発した再生医療製品の製造機器等の論文等への引用20件、

②再生医療製品の評価手法の対象品目の薬事申請3件を目指します。

(独)日本医療研究開発機構

安全性・有効性に関する試験項目

審査

評価手法 の開発

評価手法 フィードバック

審査への対応

再生医療製品開発主体 (研究機関・メーカー)

自動培養装置 培地 等

試験項目・評価手法 規制対応等のノウハウ

規制に対応した 技術の提供

経済産業省 支援・情報共有

高品質の幹細胞を安定的に大量供給することにより、幹細胞の再生医療への産

業応用の促進及び周辺製品の国際競争力強化を図る。

規制に対応した一連の技術を開発し、これらの技術の標準化を推進

再生医療を支える周辺製品開発主体

規制当局

再生医療製品等の開発成功事例を創出しつつ、その開発、実証を通じて規制

をクリアするために必要な評価手法を確立

補助

定額

研究開発

12

解決に向けた具体的な取組

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複数の患者

イメージ

近い将来:自動化による細胞製造 現状:手培養による細胞製造

患者

自家移植

13

製造工程の課題と取組

<現状> <取組の方向性>

◯再生医療を産業化し、国際競争力のある製品を作り上げるためには、コストの低減された製造工程の確立(大量製造、一定の品質の担保など)が必須。また、確立されパッケージ化した製造工程が規制対応したという実績が製造工程の販売戦略上重要。

多くは手培養による製造であり、製造コストが高い。また、大量製造が困難。

細胞製造施設などの管理コストが高い。

生細胞を含む製品のため、最終滅菌できない。

当初は、コスト的に優位な他家細胞による製品が先行して普及すると考えられる。

世界的にも製造の自動化は確立されていない。

規制対応の実績が販売戦略上重要。

大量製造プロセスの開発による製造コストの低減。

アイソレータなど密閉系による製造場所の管理コストの低減。

全製造工程で無菌性を担保するため、製造を一貫したパッケージでの開発。

開発してきた製造工程を我が国で先行する臨床事例で規制対応の実績作り。

オーダーメード

細胞の採取

他家移植

大量 製造

研究開発

障壁

ポテンシャル

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○ 細胞提供者、採取医療機関など複数の主体の緊密な連携と、それぞれの主体の役割、責任の明確化・

整理等が必要。細胞提供者、採取医療機関、再生医療製品製造企業等の関係者の間に立ち、関係者の負担を軽減する仕組みが望まれる。

他家細胞の利活用等に関する調査[ポイント]

○ 他家細胞(患者本人以外の細胞)は、自家細胞(患者本人の細胞)にないメリットを有するにもかかわらず、

他家細胞由来の再生医療製品の開発は、海外に遅れ。国内での製品開発を進めるためには、国内で採取された他家細胞の安定的な入手が重要。

○有識者会議(座長:同志社大学特別客員教授 位田 隆一)を設置し、国内で他家細胞を入手する際の課題を明確化するとともに、対応策について検討し、報告書をとりまとめ(5月16日公表)。

14

<法規制との関係>

<社会的な認知の向上>

<実務上の課題>

○再生医療の新法制は他家細胞の利用も見据えて構築され、細胞採取の際の最低限必要な要件が規定。

○ 再生医療のための細胞提供について、社会的な認知の向上、細胞提供者の理解・協力を得るための取組が必要。そのためには、細胞の採取から製品製造までのプロセスの透明性を高めることが必要。

• 再生医療の新法制は、自家細胞のみならず他家細胞の利用も前提とし、同意の取得・撤回、無償提供、ドナースクリーニング等、原料となる細胞・組織を採取する際の要件が定められている。

• 手術摘出物を利用する限りは、刑法(傷害罪)上の問題は生じない。

• 適切に同意が取得されていれば、民法上の所有権等の問題は生じない。

事業環境整備

報告書の概要

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再生医療の産業化拠点の整備

ライフイノベーションセンター(仮称)(川崎市)

15

産業基盤整備

外観イメージ

写真図表出典:神奈川県資料

立地

フロアプラン

FIRM、再生医療関連企業、ベンチャー支援機関、産学連携研究プロジェクト、医療機関等が入居予定

(平成28年度稼働予定)

Page 17: 法施行を踏まえた 再生医療の産業化に向けた取組...法施行を踏まえた 再生医療の産業化に向けた取組 平成27年8月 経済産業省 生物化学産業課

羽田空港、近隣関係機関との連携

16

産業基盤整備

出典:神奈川県資料

羽田空港

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日本を再生医療の拠点に

アイソレーター 保存装置

インキュベーター

輸送容器

温度ロガー 輸送のSOP

輸送

培養フラスコ

シャーレ

培養バッグ

器材

試薬

試薬

培地

遠心チューブ

17

検査機器

再生医療等 製品

機器

各国企業が集う 再生医療の拠点に

世界で最も早く 日本で上市

国際連携

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BIO International Convention等への参加

BIOにおける講演

カナダ政府主催セッション

におけるスピーチ

スタンフォード大での講演

6月15日(月)~18日(木) 米国・フィラデルフィアで開催

※ 毎年1万5000人以上が参加する

世界最大級の国際会議

6月17日(水)(BIO内で開催) カナダ政府主催

6月19日(金) スタンフォード大、JETRO、NEDO共催

BIO International Convention等の国際会議に経済産業省が参加

し、日本の新たな再生医療法制度や、日本の再生医療ビジネス環境を講演し、同分野への対日投資を呼びかけ。

BIOでは、会場内は人で溢れ、立ち見の聴衆が出るなど、日本に対する期待の高さが伺えた。

講演後には、具体的な投資を検討してみたいとの企業も現れるなど、新たな対日投資が期待される。

国際連携

参加した海外企業の声

この制度で日本の市場はより開かれたものになり、急激に成長している再生医療の市場を一体化させる、非常に良い動きだと思う。

今後、日本の市場をしっかりウォッチしたいし、できれば参入したい。

新しい制度は画期的だ。海外との連携に取り組む日本政府の方針に感銘を受けた。

(今回の新制度は)再生医療分野で日本がリーダーシップをとる上で、価値あることではないか。

18

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企業間連携促進のためのFIRMと近畿経産局の取組

○ 我が国が再生医療の研究開発拠点になるためには、①先進的なシーズや技術を持つ国内外の再生医療関連企業、②再生医療に応用可能な技術を持つ異分野の企業、が持つ力を総動員することが必須。

○ FIRMのRMIT(再生医療産業化拠点実証タスクフォース)と近畿経済産業局のKRIC(関西再生医療産業コンソーシアム)が、それぞれの強みを活かして企業間連携の促進に取り組む。

国内関連企業 国内外関連企業 異業種の もの作り企業等

関西再生医療産業コンソーシアム 再生医療産業化拠点実証タスクフォース

新たな技術の掘り起こし 国内外企業の連携促進 日本を再生医療の

R&D拠点に

ARM(欧米再生医療業界団体)とのネットワーク等を活用し、優れたシーズや技術を持つ海外企業と日本企業との連携や、国内企業間連携を支援。

地元企業とのネットワーク等を活用し、

独自の技術を持つもの作り中小企業等と

再生医療関連企業の連携を支援。 19