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AssociationofAdverseEvents WithAntibioticUseinHospitalizedPatients
【⽬的】抗菌薬投与期間と有害事象の発⽣の関連の調査
【デザイン】単施設後ろ向き観察研究
【対象】⼊院中に24時間以上経静脈もしくは経⼝での抗菌薬投与が⾏われた患者(⾮ICU含む)
【⽅法】抗菌薬投与開始から30⽇後の臓器別の有害事象、90⽇後のCD感染症および多剤耐性菌感染症の有無について2名の感染症専⾨医が判定
JAMA Intern Med 2017; 177: 1308-1315.
1488⼈が対象となり、投与期間の中央値は7⽇間全有害事象は324件 (22.9-10000person-days)投与期間が10⽇間延びる毎に有害事象を⽣じるリスクが3%上昇
30⽇後までの有害事象発⽣数
EvaluatingtheImpactofAntibioticExposuresasTime-DependentVariablesontheAcquisitionofCarbapenem-ResistantAcinetobacterbaumannii
CritCareMed2016;44: e949–e956.
カルバペネムの投与とカルバペネム耐性A.baumanii発⽣の関連を検討した単施設後ろ向き観察研究2011年11⽉から1年間にtraumaICUに⼊室した患者が対象
カルバペネムの投与が耐性菌発⽣を4倍にする
カルバペネム耐性腸内細菌Carbapenem-resistantEnterobacteriaceae(CRE)
• 世界的な広がりがみられており、公衆衛⽣上の脅威となっている
• 本邦でも2014年9⽉から感染症法5類(全数報告)に指定された
• 2015年は1669例、2016年は1581例が報告されている
• Carbapenemase産⽣菌の保菌者は⼊院が⻑期化しICU死亡率が⾼い(HR1.79(1.31–2.43))
CritCareMed2015;43: 1170-77.
JInfectDis2017;215(suppl 1):S28-S36.
Long-termuseofantibioticsandriskofcolorectaladenoma
Gut 2017; 0: 1–7. doi:10.1136
【⽬的】抗菌薬投与期間と⼤腸腺腫の発⽣の関連の調査
【デザイン】前向き観察研究
【対象】アメリカNHSの⼥性看護師121700⼈を対象とした観察研究の参加者のうち、開始時点で30-55歳であり60歳以上で1度でも⼤腸内視鏡検査を受けた16642⼈
【⽅法】20-39歳、40-59歳および最近4年間に期間を分け抗菌薬を投与された期間および、その後の⼤腸内視鏡検査で⼤腸腺腫と診断されたか否かを聴取し、その関連を解析
Antibioticstewardshipintheintensivecareunit
Crit Care 2014; 18:480.
üStewardship=財産管理の職務
ü新規の抗菌薬の開発が滞っており、現存する抗菌薬を適切に使⽤することは極めて重要
üICUで処⽅される抗菌薬のうち30-60%は不要とされる
ü投与期間の短縮は抗菌薬使⽤量を減らすのに最も有効な⼿段
① 重症感染症が多いため治療の先送りや終了の判断がしづらい
② 専⾨領域が異なる複数の医師が⽅針決定に関わる
③ 治療期間すべてを単⼀のチームが担うことが難しい
ICUでの抗菌薬使⽤を減らしにくい理由
レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版の記載
Ø抗菌薬の投与期間ほど感染症専⾨医の間でバラツキがあるものは珍しい
Ø「投与期間」を研究対象としている論⽂も意外に少ないものである
Ø最も重要なのは各症例ごとの適切な臨床的判断である
⻘⽊ 眞 (2015)『レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版』医学書院
サンフォード感染症治療ガイド2017の記載
多くの要因が関わるため、通常は治療期間の推奨は可能でない
したがって、多くの状況で、個々の状態に応じて対応するとともに、患者が臨床的に安定し⽣物学的マーカーが正常化するまで治療を⾏う
⽇本語版 サンフォード感染症治療ガイド2017より
サンフォード2017に記載されている治療期間
感染巣 投与期間 Refference菌⾎症 10-14⽇間 ?市中肺炎 最短5⽇ 解熱後2-3⽇ ?
⾮定型肺炎 5⽇間 Chest 2004メタ解析
肺炎(緑膿菌) 14-21⽇間 ?
腎盂腎炎 14⽇もしくはCFPM7⽇ Lancet2012多施設RCT
髄膜炎 7⽇間 ?
Ø⽇本化学療法学会と外科感染症学会合同で作成のガイドライン
Ø強い根拠に基づいて推奨されたものは⾮常に少ない
Ø⼼臓外科術後についてはそれなりに強い根拠がありそう (AnnSurg 2011のメタ解析他 )
SSI予防ガイドライン
SSCG2016での推奨投与期間最重症の敗⾎症もしくは敗⾎症性ショックの治療には7-10⽇間の抗菌薬投与を推奨(weakrecommendation,low qualityofevidence)
⼗分なソースコントロールが⾏われた腹腔内感染症や尿路感染症で、治療への反応が早い場合は投与期間の短縮を推奨(weakrecommendation,lowqualityofevidence)
IntensiveCareMed2017;43:304-377
ここまでのまとめ• 様々なガイドラインや成書で⽰される投与期間は⼗分な根拠に基づくとは⾔い難い
• 標準的に⽤いられるガイドラインごとに推奨期間が異なる
• 個々の患者で状況が異なるため、画⼀的な投与期間を⽰すことは極めて難しい
抗菌薬終了をためらう状況• 推奨される投与期間を過ぎたけど⽩⾎球や体温が上がってきた…
• 良くなっていそうだけどICU⼊室時の状態があまりにも悪かったので終了するのが気持ち悪い…
• これまでの臨床経験に則って…
そもそもCRPって何?• 肺炎球菌感染者の⾎清から細胞壁のC多糖体に結合する蛋⽩質として1930年に発⾒された
• IL-6をシグナルとして肝細胞で合成される
• 健康な成⼈の⾎清中濃度は0.08mg/dL未満であり年齢や薬剤の影響を受けにくい
• 炎症の結果⽣じるものであり、⾼値は必ずしも感染症の存在を⽰唆しない
Anaesth IntensiveCare2009;37: 234-241
CRPをミスリードする状況
• 急性の肝障害+感染症よりも重症肝障害で⾼値を⽰す
• 輸⾎後に上昇する可能性がある
• ⾎栓症や癌による上昇も起こり得る
• ステロイドの全⾝投与を受けると炎症の抑制によって低下する可能性がある
CriticalCare2012;16:130
CRPの有⽤性• よくカンファレンスで聞くCRPが上がってきているからまだ続けたい…
• 連⽇測定する項⽬なので変化を追いやすいものではあるが…
• 感染症以外の炎症反応によっても増加するCRPは抗菌薬投与の終了の基準として適切なのか?
C-ReactiveProteinKineticsAfterMajorSurgery
Anesth Analg 2014; 119:624-9
【⽬的】術後患者のCRP濃度および⽩⾎球数と感染症の有無の関連の検討
【デザイン】前向き観察研究
【対象】⼼臓、神経、腹部などの術後ICUに⼊室した患者151⼈
【⽅法】⼿術から7⽇間(ICU退室後も)連⽇CRPとWBCを測定して感染症の有無との関連を解析感染症はInternational SepsisForum ConsensusConferenceonDefinitionsofInfectionintheICUに基づき感染症コンサルタントが診断
POD5でCutoff値を100mg/L(本邦では10mg/dL)とすると術後感染症の診断能は感度64%(95%CI,50%–76%)特異度69%(95%CI,51%–81%)
感度、特異度は⾼くないが術後3⽇⽬でのCRPの上昇は起こり得ることであり、投与継続の根拠とはならない
PatternsofC-reactiveproteinRATIOresponseinseverecommunity-acquiredpneumonia
CriticalCare2012;16:R53
【⽬的】重症市中肺炎患者の抗菌薬治療への反応とCRP値の推移との関連の検討
【デザイン】単施設前向き観察研究
【対象】重症肺炎と診断されICUに⼊室した患者191⼈
【⽅法】CRPがday4までに40%以下に低下した群をrapid、それ以外でDay7までに80%以下に低下した群をslow、80%より⾼かった群をnonresponseとして、ICU死亡率を⽐較
Rapid-response群:4.8%Slow-response群 :17.3%Nonresponse群 :36.4%CRPの低下が遅いと死亡率が⾼い
Day4のCRP50%以下をcutoffとするとAUROC 0.73(95%CI0.64-0.82)感度 0.81 特異度 0.58
CRPまとめ• 特異的なマーカーではないものの、感染症の診断、治療効果の判定に⻑年⽤いられてきた
• 術後CRPの上昇は多くの⼿術において推奨される投与期間を超えて上昇する
• 感染症が証明された患者においては重症度と低下の速度は関連がありそう
プロカルシトニン(PCT)とは
• アミノ酸116個からなる分⼦量約130kDaのペプチドで正常ではカルシトニンの前駆体として甲状腺C細胞で合成される。
• 細菌感染症ではTNFα等の炎症性サイトカインの増加により、肺・肝臓・腎臓・筋⾁といった全⾝の臓器で産⽣され値が上昇する。⼀⽅ウイルス感染症で はINF-γが増加するため産⽣が抑制される。
• 細菌感染症で特異的に値が上昇するものではなく、熱傷、外傷、外科⼿術、 膵炎といった⾮感染症においても上昇する。
JClin Endocriol Metab 2004; 89:1512-25
Endocrinology2003;144:788-84
Crit CareMed2008;36:941-52
2011年12⽉23⽇ ICU勉強会より改変
診断としての有⽤性
• ウイルス感染、あるいは真菌感染のみで、PCTが⾼値を呈する可能性は⾮常に低い。
• PCT測定によって92%と⾼い感度で細菌感染症とウイルス感染症の鑑別が可能であった。
• 細菌感染症の鑑別診断において、少なくとも既存マーカー(CRPなど)よりも優れている。
Crit CareMed2000;28: 1828-32
Clin InfectDis2004;39:206-217
Crit CareMed2006;34:1996-2003
2011年12⽉23⽇ ICU勉強会より改変
PCT(ng/ml)
<0.05 健常成⼈<0.5 sepsisは否定的だが局所感染の可能性がある。
sepsisの発症6時間以内ではこのレベルにとどまることもある。
0.5〜2.0 sepsisの可能性がある。ただし外傷、⼿術、熱傷、真菌症等の病態の可能性がある。
2.0〜10 sepsisの可能性が⾼い。severesepsisのハイリスクである。
>10 severe sepsisまたはsepticshockの以外である可能性が低い。またはこれらの病態になるリスクが⾮常に⾼い。
PCT値と病態
http:www.procalcitonin.com
2011年12⽉23⽇ ICU勉強会より
Useofprocalcitonintoreducepatients’exposuretoantibioticsinintensivecareunits(PRORATAtrial):amulticentre randomised controlledtrial
Ø フランスの8つのICU で細菌感染症が疑われた630⼈を対象に⾏われたRCT
Ø 28⽇死亡率、60⽇死亡率、28⽇までの抗菌薬不使⽤⽇数が⼀次エンドポイント
Ø PCTがピークの値の80%以下もしくは0.5㎍/L以下となった場合に抗菌薬投与終了が推奨される群と、医師の裁量によって終了が決定される群とにランダムに1:1に割り付け
Lancet 2010;375:463-74
2011年12⽉23⽇ ICU勉強会より改変
Procalcitoninforreducedantibioticexposureinthecriticalcaresetting:Asystematicreviewandaneconomicevaluation
・systematicreviewof5 studies(inICU)
・primaryoutcomes:28日死亡率、感染再発率
・secondaryoutcomes:ICU滞在期間、入院日数、多剤耐性菌の発生率、抗菌薬投与期間
・上記に加えて経済的な評価をしている(PCTの検査費用、抗菌薬の費用、入院費、総治療費な
どを含めて検討している)
primaryoutcomes
secondaryoutcomes
2011年12⽉23⽇ ICU勉強会より改変
Crit CareMed2011;39:1792-99
PCTを指標としたアルゴリズムよる影響はなしriskratio1.06(95%CI0.86-1.3,P=0.59)
PCT指標群で有意に短かったweightedmeandifference-2.14days(95%CI-2.15to-1.78,p<0.00001)
・28⽇死亡率
・抗菌薬投与期間
Procalcitonin-guidedtherapyinintensivecareunitpatientswithseveresepsisandsepticshock-asystematicreviewandmeta-analysis
CriticalCare 2013;17:R291
2013年6⽉までに発表された⽂献のメタ解析重症敗⾎症患者を対象として、28⽇死亡率や抗菌薬投与期間をアウトカムに含む研究が対象
28⽇死亡率
抗菌薬投与期間
28⽇死亡率や院内死亡率に有意差はない
PCTガイド群で抗菌薬投与期間が短い
Procalcitoninasadiagnosticmarkerforsepsis:asystematic reviewandmeta-analysis
LancetInfectDis 2013; 13:426–35
【⽬的】重症患者におけるPCTの敗⾎症の診断マーカーとしての性能の検討
【デザイン】メタ解析
【対象】2012年2⽉21⽇までに発表されたPCTの敗⾎症の診断能について検討した原著論⽂
30の研究、3244⼈のデータを解析サブグループ解析なし
AUROC 0.85(95%CI0.81-0.88)感度 0.77(95%CI0.72-0.81)特異度 0.79(95%CI0.74-0.84)
Sepsis診断のマーカーとして有効抗菌薬投与開始の判断の補助にも有効としている
ただし元となった⽂献のPCTのcutoff値や測定⽅法は⼀定しておらず、明確な基準値は⽰されていない
Efficacyandsafetyofprocalcitoninguidanceinreducingthedurationofantibiotictreatmentincriticallyillpatientsarandomised,controlled,open-labeltrial
LancetInfectDis2016;16:819–27【⽬的】
ICUの患者に対するPCTをガイドにした抗菌薬投与が抗菌薬使⽤量を減少させるかの検討
【デザイン】多施設前向きopen-label介⼊研究
【対象】ICU⼊室患者のうち、割り付け前24時間以内に抗菌薬の投与が開始された者
【⽅法】PCTがピークの値の80%以下もしくは0.5㎍/L以下となった場合に抗菌薬投与終了が推奨される群と、医師の裁量によって終了が決定される群とにランダムに1:1に割り付け
Procalcitoninguidanceforreductionofantibioticuseinpatientshospitalizedwithsevereacuteexacerbationsofasthma:arandomizedcontrolledstudywith12-monthfollow-up
Crit Care2014;18:471
【⽬的】PCTガイドによって喘息の急性増悪を起こした患者への抗菌薬投与が減少するかの検討
【デザイン】単施設ランダム化⽐較研究
【対象】2009年1⽉-2011年12⽉に喘息の急性増悪で⼊院した患者
【⽅法】⼊院時にPCT群と対照群に割り付け、PCT群にはPCT値0.1㎍/l>,0.1-0.25㎍/l,0.25㎍/l<で抗菌薬の投与推奨度を⽰し抗菌薬への曝露が減少するかを解析
PCTまとめ• PCTガイド下での抗菌薬投与終了が、投与期間を短くするとした研究結果が積み上げられている
• 感染症の診断のマーカーとしても有⽤性が追認されている
• しかしながら未だに明確な基準値やプロトコルが⽰されたとは⾔い難い
SSCG2016でのPCTの推奨抗菌薬投与期間短縮のためPCT値を判断の⼀助とすることを推奨(weakrecommendation,low qualityofevidence)
Empiricな抗菌薬投与の開始後に感染症の診断の根拠が薄弱となった場合、PCT値を判断の⼀助とすることを推奨(weakrecommendation,lowqualityofevidence)
DurationofAntibioticTreatmentinCommunity-AcquiredPneumoniaAMulticenterRandomizedClinicalTrial
JAMAInternMed 2016; 176:1257-1265
【⽬的】2007年に発表されたアメリカ感染症学会、胸部学会合同のガイドラインに基づいた市中肺炎治療の有効性の検討
【デザイン】多施設ランダム化⽐較研究
【対象】市中肺炎と診断された成⼈の⼊院患者
【⽅法】抗菌薬を最短で5⽇間、37.8度以下への解熱から48時間投与する群と、医師が臨床判断で投与期間を決定する群にランダムに割り付け、10⽇後、30⽇後の治療成功率を⽐較
TrialofShort-CourseAntimicrobialTherapy forIntraabdominalInfection
NEngl JMed2015;372:1996-2005.
【⽬的】ソースコントロールが適切に⾏われた腹腔内感染症に対する適切な抗菌薬投与期間の検討
【デザイン】多施設ランダム化open-label介⼊研究
【対象】⽩⾎球の増多、発熱、イレウスのいずれかを伴う腹腔内感染症が証明され、ソースコントロールが⾏われた患者
【⽅法】適切なソースコントロールの後、⽩⾎球数の減少、解熱、栄養の摂取が可能の条件を満たしてから2⽇間の抗菌薬投与を⾏う群と4⽇間の投与を⾏う群に割り付け、30⽇間のSSI、感染症の再発率、死亡率を⽐較
両群での死亡率や感染症の発⽣率に有意差なし
抗菌薬投与期間および30⽇間の抗菌⾮投与期間は介⼊群で短かった
→適切なソースコントロールが⾏われていれば特別にマーカーの測定なしに抗菌薬投与を終了してしまってよさそう
ClinicalrelevanceofprocalcitoninandC-reactive proteinasinfectionmarkersinrenalimpairment:across-sectionalstudy
【⽬的】腎機能の⾼低によるPCTとCRPの感染症診断能の違いの検討
【デザイン】単施設横断研究
【対象】⼊院患者のうちPCTとCRPがほぼ同時(6時間以内)に測定された患者
【⽅法】腎機能正常群(eGFR60以上)と腎機能低下群でPCT,CRPそれぞれのAUROCを⽐較感染症の診断は各種細菌検査の結果で下された
CriticalCare2014;18:640
全体、腎機能正常群、腎機能低下群でAUROCに有意差は認められず
→特に腎機能低下症例では感染症診断能はPCT,CRPが同程度である可能性がある
腎機能低下
腎機能正常全体
Cutoff値CRP:3.08mg/dLPCT:1.1ng/mL
Cutoff値CRP:2.49mg/dLPCT:0.08ng/mL
Cutoff値CRP:3.08mg/dLPCT:1.1ng/mL
ProcalcitoninVersusC-ReactiveProteinforGuidingAntibioticTherapyinSepsis:ARandomizedTrial
Crit CareMed2013;41:2336-43
【⽬的】PCTとCRPを抗菌薬投与終了の基準とした際の抗菌薬投与期間の⽐較
【デザイン】⼆施設ランダム化⽐較研究
【対象】敗⾎症でICUに⼊室した18歳以上の患者
【⽅法】⼊室時点でのPCT群とCRP群に割り付け、基準値を下回った時点で抗菌薬投与を終了(7⽇が上限)し、両者の抗菌薬投与期間を⽐較
PCT
1.0ng/mL以上ならDay4に0.1ng/mL未満1.0ng/mL以上ならDay5に90%以上の低下
CRP
100mg/mL以上ならDay4に25mg/L未満100mg/mL以上ならDay5に50%以上の低下
が認められるまでDay7を上限として投与
PCT群とCRP群で抗菌薬投与期間に差は認められなかったその他28⽇死亡率などのsecondary outcomeにも差は認められなかった全体の死亡率は対象となった患者の重症度から予測された死亡率から乖離はなかった→CRPはPCTと同程度に使える?
Prosandconsofusingbiomarkersversusclinicaldecisionsinstartandstopdecisionsforantibioticsinthecriticalcaresetting
Intensive Care Med 2015; 41: 1739–1751
ICU患者に対するバイオマーカーガイド下の抗菌薬投与についてのレビュー
Ø 有効性を⽰したRCTの対照群での抗菌薬投与期間が推奨期間よりも⻑い
Ø 偽陰性、偽陽性率が⾼くコストに⾒合った情報が得られない
などの理由からバイオマーカーのみを基準とすることに反対している
PracticePatternsandOutcomesAssociatedWithProcalcitoninUseinCriticallyIllPatientsWithSepsis
【⽬的】敗⾎症患者のPCTを測定することで抗菌薬投与期間および抗菌薬の有害事象が減少するかを検討
【デザイン】後ろ向き観察研究
【対象】敗⾎症と診断されICU⼊室し、初⽇に抗菌薬投与が開始された患者
【⽅法】全⽶の約20%の⼊院患者が登録されるデータベースから⼀度でもPCT測定が⾏われた群と⾏われなった群を分け抗菌薬投与期間とCD感染症の発⽣
Clin InfectDis2017;64:1509–15
PCT測定が⾏われた群の抗菌薬投与期間が⻑かったCD感染症もPCT測定が⾏われた群で多かった
PCTが測定が⾏われたかのみでグループ分けがされており、実際にどういった介⼊が⾏われたかは不明
PCT測定を否定してはおらず、結果に基づいていかに治療⽅針を⽴てるかが重要と結論付けている
CochraneDatabaseSyst Rev 2017
【⽬的】敗⾎症もしくは敗⾎症性ショック患者のPCT測定が死亡率の低下および抗菌薬投与期間の短縮に及ぼす効果の評価
【デザイン】メタ解析
【対象】2015年7⽉までに発表された成⼈の敗⾎症患者を対象としたRCTPrimaryoutcomeは抗菌薬投与期間や死亡率、⼊院期間など様々
EffectofProcalcitoninTestingonHealth-careUtilizationandCostsinCriticallyIllPatientsintheUnitedStates
Chest 2017;151:23-33
【⽬的】ICU⼊室時のPCT測定が治療に関する費⽤に及ぼす影響の検討
【デザイン】後ろ向き観察研究
【対象】敗⾎症と診断されICUに⼊室した成⼈患者
【⽅法】アメリカの550以上の病院から登録があるデータベースからICU⼊室初⽇に少なくとも1回のPCT測定を受けた群と受けなかった群に分けて⼊院期間や全体の費⽤の違いについて解析
ICU⼊室初⽇にPCT測定が⾏われた群でICU⼊室期間、⼊院期間が短く、全体の費⽤、抗菌薬使⽤量なども抑えられていた
後ろ向きの観察研究ではあるが、ICU⼊室時にPCTを測定することにコスト⾯での実害はなさそう?
まとめ• PCT測定が抗菌薬投与期間を短縮する可能性を疑問視する研究も
• ただし少なくともプロトコルが設定されたRCTなどでPCTガイドが有害とする根拠は⾒つけられなかった
• 検討が⼗分とは⾔えないがPCTの測定が全体のコストに及ぼす影響は⼤きくはない
全体のまとめ
• 肺炎や腹腔内感染症など感染部位によっては投与期間を⽰した研究が散⾒される
• PCTに関する研究に投与終了の明確な基準を⽰したものはなく、ガイドラインでも明確な推奨はされていない
• PCTガイドによる投与期間の決定が有害とする根拠は⾒当たらない
私⾒• 特に広域抗菌薬を使⽤する機会が多いICUにおいて抗菌薬投与期間の延⻑は治療⼿段の喪失につながり得る
• PCTガイドで抗菌薬を終了することが予後を悪化させるとした⽂献は少なく、投与終了の根拠の⼀つとしては使えそう
• 基準値とコストの問題は残されているが、感染症が鑑別診断に挙がる症例ではPCTを測定しても良いのではないか※例えば⾎液培養検体提出時など