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「医療的ケア児者とその家族の⽣活実態調査」
令和元年度障害者総合福祉推進事業
【調査結果概要】
1 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【調査実施概要】
○ 日常的にたんの吸引や経管栄養、⼈⼯呼吸器使⽤などの医療的ケアが必要な児童(以下、「医療的ケア児」)は、全国に約1.8万⼈と推計されているが、医療的ケア児者とその家族の⽣活における課題の所在は明確になっていない。また、医療的ケア児者および家族の⽣活の質の確保に向けて、具体的に必要とされる支援やサービス等について各自治体で調査されているが、自治体によってその進捗には濃淡があり、全国的に議論を⾏うための情報が整理されていない。
○ 本調査研究事業では、上記背景を踏まえ、⽣活実態調査を通して、医療的ケア児者およびその家族が日常⽣活を⾏う上で困難に感じていることや不安に感じていること、既存のサービス利⽤の際の課題や制度に関する課題等を包括的に整理し、また、自治体の取組状況を調査・整理することで、医療的ケア児者とその家族の将来に向けて、社会的支援、制度のあり⽅を検討していくための材料を提供することを目的として実施した。
(2) 調査方法
<生活実態調査>○WEB調査(定量調査)
医療的ケア児者が受けている療育・サービス等の状況、家族等によるケアの提供状況、日常⽣活上の負担感や家族の心身状況、希望する⽣活など、ケア以外の実態を含めて、医療的ケア児者の家族が抱える課題等を包括的に把握することを目的として実施。
○事例調査(定性調査)家族等によるケアの提供状況、サービスの利⽤状況、ケア以外の過ごし⽅といった1 日のスケジュール、
今までの⽣活で困ったこと、将来に向けた課題等についてインタビュー調査を実施。
<自治体調査>都道府県、市区町村における医療的ケア児者とそ
の家族に関するニーズや資源等の把握状況、支援体制の整備状況、独自施策・取組の実施状況等を把握することを目的として実施。
(1) 調査目的
<検討委員会の設置>○ 医療的ケア児者とその家族の実態、制度、施策
等に精通した委員による委員会を設置。⽣活実態調査、自治体調査、報告書について検討を実施。(計4回開催)
○ ワーキンググループを設置し、⽣活実態調査の実施⽅法の検討を実施。(計3回開催)
調査対象 在宅で暮らす20歳未満の医療的ケア児者の家族
調査手法 医療的ケア児者の主たる介護者を回答者としてWEB調査を実施※
実施期間 令和元年11月18日〜令和元年11月30日
回収状況 843件
※本事業の委員会委員の紹介に基づき 、 患 者 団 体 等(全国16団体)に調査対象者へ調査協⼒を依頼し、回答者を募った。
調査対象 47都道府県、1,741市区町村
調査手法 メール等による配布・回収
実施期間 令和元年12月6日〜令和2年2月29日
回収状況 都道府県︓47件(100%)市区町村︓1,108件(58.4%)
調査対象WEB調査で困りごとが明らかとなった家族の状況に該当する家庭(計5事例)
①きょうだい児のいる家庭 ②ひとり親家庭 ③動ける医療的ケア児④⼈⼯呼吸器管理が必要な医療的ケア児者 ⑤18歳以上の医療的ケア者
調査手法 ・ 事前の自記式調査票(1 週間の⽣活状況について記入)・ WEBによるテレビ会議または電話による調査
実施期間 令和2年2月〜3月
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
2 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【WEB調査】 1.回答者の基本情報
① 回答者の属性、家族形態○ 回答者は、「⺟」が94.0%で最も多く、次いで、「父」(5.3%)であった。○ 家族形態をみると、「夫婦と子のみの世帯」が76.6%で最も多く、次いで「三世代世帯」(14.1%)、「ひとり親と子のみの世帯」(6.8%)であった。WEB調査
対象と⼀般的な児童のいる世帯の家族形態に差が⾒られなかった。○ 家庭における児童数は、WEB調査対象と⼀般的な児童のいる世帯の児童数に差は⾒られなかった。
図表3 家族形態(n=843) (報告書p.16)
図表4 【参考】(平成30年国民生活基礎調査)児童のいる世帯の家族形態(報告書p.16)
5.3% 94.0%
0.2%0.1%0.4%(n=843)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
父 母 きょうだい 祖父母 その他
図表1 回答者の属性(n=843)(報告書p.15)
※三世代世帯は、同居家族に「祖父⺟」及び「父」または「⺟」のいる世帯とした。
(1) 回答者の属性
(2) 家族形態
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
6.8% 76.5% 13.6% 3.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=11267)
ひとり親と未婚の子のみの世帯 夫婦と未婚の子のみの世帯
三世代世帯 その他・単独世帯
6.8% 76.6% 14.1% 2.5%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=843)
ひとり親と子のみの世帯 夫婦と子のみの世帯 三世代世帯 その他
※児童は、18歳未満の未婚の者をいう。(出所)平成30年国⺠⽣活基礎調査(厚⽣労働省)よりMURC作成
37.4% 40.6% 16.6% 5.5%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=843)
0人 1人 2人 3人以上
図表5 同居しているきょうだいの人数(n=843) (報告書p.16)
図表6 【参考】(平成30年国民生活基礎調査)児童のいる世帯の児童数(報告書p.16)
45.4% 40.4% 12.5%1.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=11267)
1人 2人 3人 4人以上
※児童は、18歳未満の未婚の者をいう。(出所)平成30年国⺠⽣活基礎調査(厚⽣労働省)よりMURC作成
16.1% 16.1% 67.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=843)
特別区 指定都市 その他
図表2 (特別区・政令都市別)地域(n=843)(報告書p.15)
3 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
1.回答者の基本情報
② 医療的ケア児者の属性○ 医療的ケア児者の年齢は、「3~6歳」が34.6%が最も多かった。○ 必要な医療的ケアをみると、「経管栄養(経⿐・胃ろう・腸ろう)」が74.4%で最も多く、次いで、「吸引(気管内、口腔・⿐腔内)」(69.0%)であった。
33.0%
41.8%
2.3%
37.5%
69.0%
40.1%
1.1%
74.4%
14.0%
0.4%
8.4%
1.3%
12.0%
0% 20% 40% 60% 80%
人工呼吸器管理
気管内挿管、気管切開
鼻咽頭エアウェイ
酸素吸入
吸引(気管内、口腔・鼻腔内)
ネブライザー
IVH(中心静脈栄養)
経管栄養(経鼻・胃ろう・腸ろう)
持続注入ポンプ使用
継続する透析(腹膜灌流を含む)
定期導尿
人工肛門
その他
(3) 医療的ケア児者の属性
図表9 必要な医療的ケアの内容(複数回答)(n=843)(報告書p.24)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
図表7 医療的ケア児者の年齢(n=843)(報告書p.18)
※報告書p.18 図表25を基に作成
17.6% 34.6% 28.9% 18.9% 0.0%(n=843)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0~2歳 3~6歳 7~12歳 13~20歳 無回答
3.0%
6.4%
8.2%
9.6%
9.4%
7.8%
7.8%
5.7%
5.7%
5.2%
4.0%
4.3%
4.0%
3.4%
3.4%
3.0%
2.6%
2.7%
1.8%
1.9%
0% 20%
0歳
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
10歳
11歳
12歳
13歳
14歳
15歳
16歳
17歳
18歳
19歳
図表8 医療的ケア児者の年齢構成(n=843)※
4 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.医療的ケア児者とその家族の現状
① ⽇々の生活上の課題や困りごと、⾏いたいが⾏えていないこと○ 課題や困りごとでは、特に、「慢性的な睡眠不⾜である」、「自らの体調悪化時に医療機関を受診できない」、「医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は
困難を極める」は、回答者の6割以上が「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答しており、医療的ケア児者の家族の多くが抱える共通の課題となっている。
図表10 日々の生活上の課題、困りごと(n=843)(報告書p.219)
13.5%
14.5%
15.3%
15.5%
26.7%
28.8%
39.0%
46.3%
19.0%
23.5%
22.7%
24.2%
23.3%
36.5%
30.7%
24.8%
22.1%
14.9%
19.5%
19.5%
19.0%
16.1%
13.2%
12.2%
23.3%
23.8%
21.4%
20.5%
18.5%
10.6%
10.7%
10.2%
21.7%
23.3%
20.8%
19.3%
12.3%
7.9%
6.3%
6.2%
0.5%
0.0%
0.2%
0.9%
0.2%
0.0%
0.1%
0.4%
家族団らんの時間がない
医療的ケアを必要とする子どものそばからひと時も離
れられない、トイレに入るのにも不安がつきまとう
きょうだい児の用事(予防接種等)にあてる時間がない
(n=528)
きょうだい児の授業参観や学校行事に参加できない
(n=528)
自分の食事を楽しむ余裕がない
医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は困難
を極める
自らの体調悪化時に医療機関を受診できない
慢性的な睡眠不足である
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない
あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
(1) ⽇々の生活上の課題や困りごと
※「きょうだい児の授業参観や学校⾏事に参加できない」、「きょうだい児の⽤事(予防接種等)にあてる時間がない」は、同居家族にきょうだい児が含まれる⼈のみに尋ねている。
<⺟親> 命の危険と隣り合わせで、目が離せない。慢性的な不眠で、とてもきつい。 夜中数回起きて寝返りさせたり、体調が悪い時に常時ケアをしてあげたり
して、心身の疲れが溜まっている。毎日子どものケアにあたって、徐々に社会から孤⽴している感じがする。
自分自身の持病が悪化しているなかで、治療に専念する環境を作れない。急に入院治療が必要になったときに子どもの対応をできる⼈が著しく少ないので、入院するわけにいかない。
医療的ケアが必要な子どもが産まれたことで仕事を辞めなければならなくなった。 その事で家計が圧迫され、将来にとても不安を感じている。
<父親> 仕事帰りや休日は休みたいが日中⼀⼈で⾒ている妻のことを考えると休
むわけにはいかないと感じる。それぞれ疲弊して家の中が荒んでいる。 公共交通機関での移動が困難。エレベーターがなく乗り換えができない。
バスの乗⾞拒否、タクシーもバギーを畳んで乗せられず⾞種を限定せざるを得ない。
<きょうだい> 多少の体調不良は放って置かれる。⺟に⽢えたくても次にされて相手にさ
れない。 今までも弟の入院で両親が色々付いていて、自分たちは病院の控え室
で待つ週末を過ごしたりしてたけど、今度は両親がずっと弟のために⼩学校へ⾏くので、どうして自分たちの学校にはきてもらえないのかさみしい。
※自由回答については、「最後に、医療的ケアを必要とするお子様と同居されているご家族の⽅、全員にお伺いします。それぞれのお⽴場で、⽣活の困りごとなどがあれば、自由にご記入ください。」との設問文で伺った内容である。きょうだい児の回答については、親による代理入⼒の可能性があるが、きょうだい児本⼈が本⼈の⽴場で回答としたものとして掲載する。
図表11 自由回答※(報告書p.220-21)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
5 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
○ ⾏いたいが⾏えていないことでは、いずれも「問題なく⾏えている」と回答した家族の割合は2割未満となっており、自分の時間、家族の時間を確保することの難しさを示している。また、「希望する形態で仕事につく」は9割弱の家族が希望しているのに対し、「問題なく⾏えている」は1割未満、「⾏えていない」が7割以上となっており、就労の機会が制限されていることも明らかとなった。
○ 医療的ケア児者の家族が抱える日々の⽣活上の課題や困りごと、⾏いたいが⾏えていないことをみると、⼀般的な家庭では当たり前にできることが、当たり前の事としてできていない現状が明らかとなった。
図表12 日々の生活で行いたいこと/行えていること・行えていないこと(n=843)(報告書p.220)
2.医療的ケア児者とその家族の現状
① ⽇々の生活上の課題や困りごと、⾏いたいが⾏えていないこと
(2) ⽇々の生活で⾏いたいこと/⾏いたいが⾏えていないこと
8.0%
4.9%
4.2%
9.2%
12.9%
7.0%
10.8%
8.7%
17.4%
11.6%
11.4%
14.1%
9.8%
17.2%
32.7%
16.6%
12.0%
25.4%
45.7%
17.4%
59.0%
30.6%
59.3%
35.2%
38.8%
55.5%
46.7%
55.0%
59.4%
78.5%
83.9%
65.4%
41.3%
75.6%
30.1%
60.7%
23.3%
53.3%
49.8%
30.4%
43.4%
27.8%
(n=352)
(n=391)
(n=601)
(n=673)
(n=726)
(n=742)
(n=481)
(n=771)
(n=771)
(n=796)
(n=799)
(n=802)
(n=815)
(n=816)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
問題なく行えている
かろうじて行えている
行えていない
41.8%
46.4%
71.3%
79.8%
86.1%
88.0%
91.1%
91.5%
91.5%
94.4%
94.8%
95.1%
96.7%
96.8%
58.2%
53.6%
28.7%
20.2%
13.9%
12.0%
8.9%
8.5%
8.5%
5.6%
5.2%
4.9%
3.3%
3.2%
地域の役割(PTAや町内会等)を担う
ボランティア活動をする
資格取得のための学習をする
映画を観に行く
新聞、テレビ、本をゆっくり見る時間をとる
希望する形態で仕事につく
きょうだい児だけと過ごす時間を持つ
何も考えずにいられる時間を持つ
美容院に行く
趣味を楽しむ
健康診断にいく
家中の掃除をする
自分のための時間を持つ
家族一緒に外出や旅行する
0% 20% 40% 60% 80% 100%
行いたい
行わなくてもよい
「希望する形態で仕事につく」ことが「問題なく⾏えている」と回答した割合は、
7.0%
※日々の⽣活で⾏いたいことについて、「⾏いたい」と回答した項目について、現在の実施状況を尋ねているため、設問によってn数が異なる
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
6 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
20.6%
24.7%
22.7%
29.9%
28.4%
43.5%
29.2%
26.6%
30.8%
29.4%
39.6%
26.9%
25.7%
23.5%
23.7%
22.2%
13.3%
14.0%
15.7%
14.5%
13.3%
12.3%
14.6%
10.3%
8.5%
10.7%
9.0%
5.7%
4.0%
5.0%
0.2%
0.1%
0.5%
0.6%
0.1%
0.2%
家族がケアを担うことに限界を感じている
社会から孤立していると感じる
ケアに追われて“子育て”ができていない
きょうだい児がストレスを抱えているように感じる
(n=528)
日々の生活は、緊張の連続である
いつまで続くかわからない日々に強い不安を感じる
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない
あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
2.医療的ケア児者とその家族の現状
② 抱えている悩みや不安○ 特に、「いつまで続くかわからない日々に強い不安を感じる」、「日々の⽣活は、緊張の連続である」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した割合はそれ
ぞれ7割前後と⾼く、家族の日常における精神的な負担の⼤きさが伺える⼀⽅、医療的ケア児者への「子育て」、きょうだい児へのケアについては、親として家族として当たり前に接することができていないことに対する思いが明らかとなった。
○ また、「社会から孤⽴していると感じる」に対して、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答したとした家族は5割に達しており、日々の不安の中、社会との接点を持てない家族が多いことも明らかとなった。
図表13 抱えている悩みや不安(n=843)(報告書p.222)
(1) 抱えている悩みや不安
図表14 自由回答※(報告書p.222-23)
<⺟親> 子どもの体が成⻑すると体⼒的に厳しいことが増える。先が⾒えなくて不
安が⼤きい。 常に気が張った状態で、イライラがおさまらない。⼀⼈になりたくてもなれな
い。発狂しそうになる。 きょうだいを公園に連れていってあげたくても、ケア児とともに外で⾒るのは
難しく、きょうだいともに外で遊ぶということをさせてあげられない。<父親> 父親が主で介護することにまだ偏⾒を感じる。家族が支援するのが当然
という風潮を変えたい。 こどもの通院、入院、手術などの時に毎回は休みが取れない。社会全体
が休みを取りにくい中で取れている⽅だろうけど必要な時はそばにいてあげたい。
<きょうだい> 家族で旅⾏に⾏きたい。習い事がしたいけど、親が送り迎えしないとダメだ
からできない。 お風呂に入っているときや寝るときに弟のアラームが鳴るとお⺟さんが⾶び
出して⾏くのが落ち着かない。⽤があって呼んでもいつも弟の世話をしていて自分を構ってもらえないと感じる。
※自由回答については、「最後に、医療的ケアを必要とするお子様と同居されているご家族の⽅、全員にお伺いします。それぞれのお⽴場で、⽣活の困りごとなどがあれば、自由にご記入ください。」との設問文で伺った内容である。きょうだい児の回答については、親による代理入⼒の可能性があるが、きょうだい児本⼈が本⼈の⽴場で回答としたものとして掲載する。
※「きょうだい児がストレスを抱えているように感じる」は、同居家族にきょうだい児が含まれる⼈のみに尋ねている。
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
7 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
29.9%
15.2%
3.4%
4.5%
35.2%
1.7%
4.7%
33.2%
6.3%
18.5%
32.4%
4.2%
51.8%
28.4%
15.9%
16.6%
24.2%
3.1%
12.2%
1.5%
10.6%
21.7%
22.7%
22.5%
22.7%
45.4%
19.8%
21.1%
19.6%
26.8%
32.6%
33.7%
23.4%
14.9%
24.3%
41.0%
32.0%
45.4%
69.5%
45.3%
4.2%
7.7%
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
重度障害者等包括支援
短期入所
療養介護
生活介護
児童発達支援
居宅訪問型児童発達支援
医療型児童発達支援
放課後等デイサービス
保育所等訪問支援
計画相談支援
障害児相談支援
移動支援
訪問入浴サービス
日中一時支援
緊急一時預かり支援
訪問レスパイト
その他
当てはまるものはない
現在使用しているサービス
身近にあったら利用したい、現在利用
しているがもっと利用したいサービス
3.医療的ケア児者を抱える家族特有の課題
① 急病や緊急の用事ができた時に子どもの預け先がない○ 「急病や緊急の⽤事ができた時に子どもの預け先がない」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した家族は8割を超えており、医療的ケア児者を抱える
家族にとって解決すべき喫緊の課題となっている。○ 「緊急⼀時預かり」を利⽤している家族はわずか3.1%であり、69.5%が「身近にあったら利⽤したい、現在利⽤しているがもっと利⽤したいサービス」と回答してい
る。利⽤ニーズは、家族形態や医療的ケア児者の年齢階級、⼈⼯呼吸器管理の有無といった医療デバイスの状況に因らず、他のサービスと⽐べてもそのニーズの⾼さが明らかとなっており、早急なサービス整備が求められている。
図表15 急病や緊急の用事ができた時に子どもの預け先がない(n=843)
(報告書p.224)
63.1% 19.6% 9.0%5.3%
3.0%
0.0%急病や緊急の用事ができた時に、
医療的ケアを必要とする子どもの預け先がない
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
図表16 現在利用しているサービスと身近にあったら利用したい、現在利用しているがもっと利用したいサービス(n=843)(報告書p.224)
(1) 急病や緊急の用事ができた時に子どもの預け先がない (2) 利用したいサービス
「緊急⼀時預かり支援」をもっと利⽤したいと回答した割合
69.5%
緊急一時預かり支援
n 69.5%ひとり親と子のみの世帯 57 77.2%夫婦と子のみの世帯 646 68.7%三世代世帯 119 68.1%その他 21 81.0%0~2歳 148 66.2%3~6歳 292 74.7%7~12歳 244 66.8%13~19歳 159 67.3%人工呼吸器管理あり 278 74.8%人工呼吸器管理なし 565 66.9%
合計
家族形態
年齢階級
人工呼吸器管理の有無
図表17 (家族形態、年齢階級、人工呼吸器管理の有無別)身近にあったら利用したい、現在利用しているがもっと利用したいサービス(報告書p.224)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
8 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
3.医療的ケア児者を抱える家族特有の課題
② 家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない○ 「家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した家族は半数を超えており、①の急病や
緊急の⽤事だけでなく、日常的に預けられる場所が不⾜していることが明らかとなった。○ 特に、「0〜2歳」の乳幼児のいる家庭や、身体障害者手帳が「2級〜6級」、「なし」、重症心身障害児者の認定を受けていない、いわゆる「動ける医療的ケア
児者」を抱える家庭にて、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した割合が⾼くなっている。○ また、「7〜12歳」、「13〜19歳」では、「0〜2歳」に⽐べ、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した割合は低いが、日々の負担を軽減するために必要なサー
ビスをみると、「7〜12歳」、「13〜19歳」では「宿泊でのあずかり支援」ニーズが⾼く、「0〜2歳」の「日中のあずかり支援」ニーズとは異なっている。
図表18 家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない(n=843)(報告書p.226)
33.0%
28.1%
34.5%
23.5%
52.4%
56.8%
35.3%
20.5%
25.8%
33.8%
32.6%
29.3%
42.4%
50.5%
28.6%
42.4%
24.0%
17.5%
24.5%
24.4%
23.8%
21.6%
23.6%
27.5%
21.4%
25.2%
23.4%
24.7%
24.7%
18.3%
23.8%
24.8%
14.8%
17.5%
13.6%
21.8%
4.8%
9.5%
13.0%
17.2%
19.5%
14.0%
15.2%
16.1%
10.6%
9.7%
16.8%
10.3%
15.8%
22.8%
15.2%
16.0%
14.3%
4.7%
14.7%
21.7%
18.9%
14.7%
16.3%
17.0%
12.9%
9.7%
17.7%
10.9%
12.5%
14.0%
12.2%
14.3%
4.8%
7.4%
13.4%
13.1%
14.5%
12.2%
12.6%
12.9%
9.4%
11.8%
13.1%
11.5%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(n=843)
ひとり親と子のみの世帯(n=57)
夫婦と子のみの世帯(n=646)
三世代世帯(n=119)
その他(n=21)
0~2歳(n=148)
3~6歳(n=292)
7~12歳(n=244)
13~19歳(n=159)
あり(n=278)
なし(n=565)
1級(n=665)
2~6級(n=85)
なし(n=93)
認定あり(n=542)
認定なし(n=165)
合計
家族形態
年齢階級
人工呼吸
器管理
身体障害者手帳
重症心身
障害児・者
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 当てはまらない
70.3%
39.2%
59.6%
38.4%
48.8%
53.7%
46.5%
64.8%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%
日中のあずかり支援
宿泊でのあずかり支援
0~2歳(n=148) 3~6歳(n=292) 7~12歳(n=244) 13~19歳(n=159)
33.0% 24.0% 14.8% 15.8% 12.5% 0.0%家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを
預けられるところがない(学校を除く)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
(1) 家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない
(2) ⽇々の負担を軽減するために必要なサービス
図表19 (家族形態、年齢階級、人工呼吸器管理の有無、身体障害者手帳の有
無、重症心身障害児者認定の有無別)家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない(報告書p.226)
図表20 日々の負担を軽減するために必要なサービス(日中のあずかり支援、宿泊での預かり支援)(報告書p.227)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
9 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
23.0%
33.1%
31.8%
40.4%
35.2%
43.9%
30.2%
23.3%
0% 20% 40% 60% 80%
送迎等の移動支援
学校や通所サービスにおける
看護の支援
0~2歳(n=148) 3~6歳(n=292) 7~12歳(n=244) 13~19歳(n=159)
3.医療的ケア児者を抱える家族特有の課題
③ 登校や施設・事業所を利用するときに付き添いが必要である○ 「登校や施設・事業所を利⽤するときに付き添いが必要である」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した家族は6割を超えており、特に、「3〜6歳」
の未就学児のいる家庭や、「⼈⼯呼吸器管理が必要」、身体障害者手帳が「2級〜6級」(いわゆる「動ける医療的ケア児者」)を抱える家庭にて、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した割合が⾼い傾向が⾒られた。
○ 日々の負担を軽減するために必要なサービスをみると、「3〜6歳」、「7〜12歳」では「送迎等の移動支援」や「学校や通所サービスにおける看護の支援」ニーズが⾼い。医療的ケアを有することで、通園、通学時の送迎付き添い、幼稚園や保育園、学校での付き添い(園や学校での待機)を求められる場合が多いことが要因と考えられる。
43.2%
42.1%
43.5%
41.2%
47.6%
40.5%
52.1%
39.8%
34.6%
52.9%
38.4%
44.5%
50.6%
26.9%
17.7%
19.3%
18.1%
13.4%
23.8%
15.5%
16.8%
20.9%
16.4%
18.0%
17.5%
18.0%
17.6%
15.1%
12.2%
12.3%
10.8%
19.3%
14.3%
17.6%
11.3%
10.2%
11.9%
9.7%
13.5%
11.1%
9.4%
22.6%
9.4%
8.8%
9.1%
11.8%
4.8%
7.4%
6.2%
12.7%
11.9%
6.1%
11.0%
10.1%
7.1%
6.5%
17.6%
17.5%
18.4%
14.3%
9.5%
18.9%
13.7%
16.4%
25.2%
13.3%
19.6%
16.2%
15.3%
29.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(n=843)
ひとり親と子のみの世帯(n=57)
夫婦と子のみの世帯(n=646)
三世代世帯(n=119)
その他(n=21)
0~2歳(n=148)
3~6歳(n=292)
7~12歳(n=244)
13~19歳(n=159)
あり(n=278)
なし(n=565)
1級(n=665)
2~6級(n=85)
なし(n=93)
合計
家族形態
年齢階級
人工呼吸
器管理
身体障害者手帳
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 当てはまらない
図表21 登校や施設・事業所を利用するときに付き添いが必要である(n=843)(報告書p.228)
(1) 登校や施設・事業所を利用するときに付き添いが必要である
(2) ⽇々の負担を軽減するために必要なサービス
図表22 (家族形態、年齢階級、人工呼吸器管理の有無、身体障害者手帳の有無別)登校や施設・事業所を利用するときに付き添いが必要である
(報告書p.228)
43.2% 17.7% 12.2% 9.4% 17.6% 0.0%登校や施設・事業所を利用するときに
付き添いが必要である
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
図表23 日々の負担を軽減するために必要なサービス(送迎等の移動支援、学校や通所サービスにおける看護の支援)(報告書p.229)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
10 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
3.医療的ケア児者を抱える家族特有の課題
④ 子どもの⽀援に関することで何度も⾏政窓⼝や事業所に⾜を運ぶ○ 「医療的ケアを必要とする子どもの支援に関することで何度も⾏政窓口や事業所に⾜を運ぶ」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した家族は5割を
超えており、特に「0~2歳」、「3~6歳」といった未就学児までの子どもを抱える家庭でその割合が⾼い傾向が⾒られた。○ 前述した「1.医療的ケア児者とその家族の現状_①日々の⽣活上の課題、困りごと」(調査結果概要p.4)にて「医療的ケアを必要とする子どもを連れての外
出は困難を極める」に該当する家庭が6割以上、また、「家族以外に医療的ケアを必要とする子どもを預けられるところがない」に該当する家庭が5割を超えているなか(調査結果概要p.8) 、何度も⾜を運ぶことの負担感は非常に⼤きいことから、医療的ケア児者を抱える家庭の不自由さを認識し、相談、申請⽅法の⼯夫や必要な書類の事前調整といったきめ細やかな対応が求められる。
29.9%
35.1%
39.4%
25.8%
13.8%
28.9%
40.0%
28.0%
26.0%
31.8%
24.0%
24.2%
27.0%
27.4%
22.4%
19.4%
20.2%
18.9%
17.8%
20.5%
25.2%
20.0%
17.6%
23.7%
17.1%
12.2%
13.0%
20.9%
23.3%
18.3%
9.4%
15.1%
6.9%
2.0%
5.8%
8.6%
10.7%
5.4%
10.6%
14.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(n=843)
0~2歳(n=148)
3~6歳(n=292)
7~12歳(n=244)
13~19歳(n=159)
1級(n=665)
2~6級(n=85)
なし(n=93)合計
年齢階級
身体障害者手帳
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない
あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
(1) 医療的ケアを必要とする子どもの⽀援に関することで何度も⾏政窓⼝や事業所に⾜を運ぶ
29.9% 26.0% 20.2% 17.1% 6.9%0.0%医療的ケアを必要とする子どもの支援に関すること
で、何度も行政窓口や事業所に足を運ぶ
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
図表24 医療的ケアを必要とする子どもの支援に関することで何度も行政窓口や事業所に足を運ぶ(n=843)(報告書p.230)
図表25 (年齢計階級、身体障害者手帳別)医療的ケアを必要とする子どもの支援に関することで何度も行政窓口や事業所に足を運ぶ(報告書p.230)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
11 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
3.医療的ケア児者を抱える家族特有の課題
⑤ 医療的ケアを必要とする子どもの⽀援サービス・制度がよく分からない○ 「医療的ケアを必要とする子どもの支援サービス・制度がよく分からない」について、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した家族は約4割となっているが、特に年
齢階級による違い(年齢階級が低い子どもの家庭ほど⾼い)、「動ける医療的ケア児者」を抱える家庭、「計画相談支援・障害児相談支援」を利⽤していない家庭の割合が⾼い傾向が⾒られた。
○ 市区町村調査では、「医療的ケア児者に対象を限定した情報提供は⾏っていない」とした自治体が半数を占め、「障害児支援サービス・障害福祉サービスの利⽤プロセス」といったサービス利⽤の初期段階にニーズが⾼いと思われる情報提供を⾏っている自治体は約3割に留まっていることが明らかとなった。
図表26 医療的ケアを必要とする子どもの支援サービス・制度がよく分からない(n=843)(報告書p.231)
19.9%
30.9%
25.6%
13.4%
9.6%
16.8%
26.2%
34.8%
16.7%
30.7%
14.1%
28.5%
25.2%
33.0%
27.5%
23.8%
16.5%
26.5%
21.3%
20.3%
24.9%
21.9%
23.6%
27.6%
30.7%
25.8%
26.5%
37.2%
33.0%
31.7%
31.1%
23.2%
34.7%
22.8%
32.8%
27.6%
16.9%
9.3%
14.7%
17.1%
27.0%
17.7%
16.4%
11.6%
15.9%
15.8%
21.8%
9.6%
7.3%
1.0%
5.7%
8.5%
13.9%
7.2%
4.9%
10.1%
7.9%
8.8%
7.8%
6.7%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(n=587)
0~2歳(n=97)
3~6歳(n=211)
7~12歳(n=164)
13~19歳(n=115)
1級(n=457)
2~6級(n=61)
なし(n=69)
認定あり(n=378)
認定なし(n=114)
利用あり(n=348)
利用なし(n=239)
合計
年齢階級
身体障害者手帳
重症心身
障害児・者
計画相談
支援・障害
児相談支
援
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない
あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
(1) 医療的ケアを必要とする子どもの⽀援サービス・制度がよく分からない
19.9% 25.2% 30.7% 16.9% 7.3%0.0%医療的ケアを必要とする子どもの
支援サービス・制度がよくわからない
0% 20% 40% 60% 80% 100%
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
図表27 (年齢階級、身体障害者手帳、重症心身障害児者の認定の有無、計画
相談支援・障害児相談支援の利用の有無別) 医療的ケアを必要とする子どもの支援サービス・制度がよく分からない(報告書p.231)
図表28 (市区町村調査)医療的ケア児者とその家族に対して提供している情報の内容(n=1,108)(報告書p.232)
【参考】 医療的ケア児者と家族に対して提供している情報の内容
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
32.8%
26.5%
11.1%
34.7%
5.9%
3.0%
2.3%
52.7%
5.4%
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%
相談窓口の連絡先・設置場所等の情報
医療的ケアに対応可能な事業所の情報
医療的ケアに対応可能な保育所や学校等の情報
障害児支援サービス・障害福祉サービス等の利用プロセス
医療的ケア児者やその家族が利用できるインフォーマル資源
の情報
医療的ケア児者の兄弟姉妹に対する支援の情報
その他
医療的ケア児者に対象を限定した情報提供は行っていない
無回答
12 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
4.ひとり親家庭、きょうだい児のいる家庭の状況
① ひとり親家庭の状況○ ひとり親家庭の状況をみると、他の家族形態と⽐較し、ケアを依頼できる⼈や家事等を依頼できる⼈がいるとした割合が低く、「日々の⽣活は緊張の連続である」、
「社会から孤⽴しているように感じる」に対し「当てはまる」とした割合が⾼いなど、日常の⽣活において他の⼈に頼れず孤⽴している状況が⾒て取れる。○ 事例調査(調査結果概要p.17参照)では、すべての管理が家族⼀⼈に掛かっており、睡眠不⾜や自身の体調不安もある中、緊張感のある⽣活が日々続い
ていることが明らかとなった。ひとり親家庭の場合、家族に何か起こった時の預け先確保の重要性はもちろん、⽣活していくための就労を制限せざるを得ないことも容易に想定され、医療的ケア児者へのサービス提供だけではなく、⽣活全体を支えるための包括的な支援がより求められる。
図表29 (家族形態別)主にケアを行っている人以外に、ケアを依頼できる人の有無(報告書p.233)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
(1) ケアを依頼できる人や家事等を依頼できる人の有無 (2) 抱えている悩みや不安
62.4%
33.3%
63.5%
70.6%
61.9%
37.6%
66.7%
36.5%
29.4%
38.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計
ひとり親と子のみの世帯
夫婦と子のみの世帯
三世代世帯
その他
(n=843)
(n=57)
(n=646)
(n=119)
(n=21)
いる いない
図表30 (家族形態別)主にケアを行っている人以外に、家事等を依頼できる人の有無(報告書p.233)
50.4%
17.5%
48.0%
74.8%
76.2%
49.6%
82.5%
52.0%
25.2%
23.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計
ひとり親と子のみの世帯
夫婦と子のみの世帯
三世代世帯
その他
(n=843)
(n=57)
(n=646)
(n=119)
(n=21)
いる いない
28.4%
42.1%
28.2%
21.0%
39.6%
29.8%
40.6%
40.3%
13.3%
10.5%
12.8%
15.1%
14.6%
14.0%
13.9%
20.2%
4.0%
3.5%
4.3%
3.4%
0.1%
0.0%
0.2%
0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計
ひとり親と子のみの世帯
夫婦と子のみの世帯
三世代世帯
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
図表31 (家族形態別)日々の生活は、緊張の連続である(報告書p.233)
図表32 (家族形態別)社会から孤立していると感じる(報告書p.234)
24.7%
36.8%
23.8%
22.7%
26.6%
14.0%
27.2%
26.1%
23.5%
19.3%
23.5%
25.2%
14.5%
14.0%
15.0%
13.4%
10.7%
15.8%
10.2%
12.6%
0.1%
0.0%
0.2%
0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計
ひとり親と子のみの世帯
夫婦と子のみの世帯
三世代世帯
当てはまる まあ当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 当てはまらない 無回答
13 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
4.ひとり親家庭、きょうだい児のいる家庭の状況
② きょうだい児のいる家庭の状況○ きょうだい児のいる家庭の状況をみると、「きょうだい児がストレスを抱えているように感じる」に対し、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した割合は約6割を占め、
授業参観等の⾏事やきょうだい児の⽤事に時間を割けない状況にあることも⾒て取れる。○ きょうだい児のストレスの⾯では、特に、ひとり親世帯や乳幼児/未就学児を抱える家庭、動ける医療的ケア児のいる家庭で親がきょうだい児のストレスを感じ取っ
ており、親側の余裕のない状況がきょうだい児へのしわ寄せとなって現れている。○ 子どもが子どもらしく、時に⽢え、反発しながら自⽴に向けて成⻑していく過程は、親にとって何ものにも代えがたい時間であり、それは医療的ケア児者を抱える家族
にとっても同じである。医療的ケア児者に対するサービスの充実をより加速させていく⼀⽅で、家族がきょうだい児と当たり前にふれあえる時間を確保できるよう、きょうだい児がストレスを抱えることなく日々を送ることができるよう、「きょうだい児」の目線で支援のあり⽅を検討していくことが求められる。
図表33 家族の抱える生活上の悩みや不安等(n=528)(報告書p.236)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
(1) 家族の抱える生活上の悩みや不安等
29.9%
15.5%
15.3%
29.4%
24.2%
22.7%
22.2%
19.5%
19.5%
12.3%
20.5%
21.4%
5.7%
19.3%
20.8%
0.6%
0.9%
0.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
きょうだい児がストレスを
抱えているように感じる
きょうだい児の授業参観や
学校行事に参加できない
きょうだい児の用事(予防
接種等)にあてる時間がない
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
図表34 (家族形態、年齢階級、身体障害者手帳別)きょうだい児がストレスを抱えているように感じる(報告書p.236)
29.9%
42.9%
29.3%
26.7%
41.7%
40.3%
34.6%
26.3%
21.4%
27.7%
46.9%
32.7%
29.4%
14.3%
31.0%
28.0%
16.7%
23.9%
35.2%
27.9%
25.2%
31.2%
18.4%
24.5%
22.2%
21.4%
22.3%
22.7%
16.7%
25.4%
15.6%
24.6%
27.2%
23.5%
14.3%
18.4%
12.3%
7.1%
11.4%
17.3%
25.0%
6.0%
10.6%
14.0%
16.5%
12.1%
12.2%
14.3%
5.7%
14.3%
5.6%
4.0%
0.0%
4.5%
3.9%
6.1%
8.7%
5.1%
8.2%
8.2%
0.6%
0.0%
0.5%
1.3%
0.0%
0.0%
0.0%
1.1%
1.0%
0.5%
0.0%
2.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(n=528)
ひとり親と子のみ
の世帯(n=28)
夫婦と子のみの世帯
(n=413)
三世代世帯(n=75)
その他(n=12)
0~2歳(n=67)
3~6歳(n=179)
7~12歳(n=179)
13~19歳(n=103)
1級(n=430)
2~6級(n=49)
なし(n=49)
合計
家族形態
年齢階級
身体障害者手帳
当てはまる まあ当て
はまる
どちらとも
いえない
あまり当て
はまらない
当てはまら
ない
無回答
※ 「きょうだい児がストレスを抱えているように感じる」 「きょうだい児の授業参観や学校⾏事に参加できない」、「きょうだい児の⽤事(予防接種等)にあてる時間がない」は、同居家族にきょうだい児が含まれる⼈のみに尋ねている。
14 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
5.その他、家族が抱える生活上の悩みや不安等(自由回答)○ 医療的ケアを必要とする子どもと同居する家族(父親、⺟親、きょうだい等)に、⽣活の困りごとを自由記述式で回答いただいた。(報告書p.75‐85)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
※自由回答については、「最後に、医療的ケアを必要とするお子様と同居されているご家族の⽅、全員にお伺いします。それぞれのお⽴場で、⽣活の困りごとなどがあれば、自由にご記入ください。」との設問文で伺った内容である。きょうだい児の回答については、親による代理入⼒の可能性があるが、きょうだい児本⼈が本⼈の⽴場で回答としたものとして掲載する。
自分やきょうだい児の体調不良の時など、緊急を要する時などに預け先や⾒てもらう⼈がいない。
呼吸器など重い荷物が多いため、⼀⼈で子どもを連れて外出が難しいので、家から出られないことがストレスになることがある。
医療的ケア児を抱え就労しているが、かなり困難である。なぜ、重心児かつ医療的ケア児であるだけで、保育園と同じ扱いにならないのか。
学校に医療的ケアをできる看護師が付けられず、登校〜下校まで常に待機していること。
我が子は気管切開児だが、知的運動は問題ない。障害者手帳は当てはまる項目なし。療育手帳もない。しかし、気管切開があることで健常者でもない。狭間の子なので、経済的支援もなく受け入れの支援もなく、今まで苦労してきた。
市役所に聞いても情報がほとんどない。◯◯に聞いてみてくださいとたらい回し。結局同じように悩んでいる親の会でしか情報が得られないが、そこに出会えるのも奇跡。
○きょうだい児 きょうだいを公園に連れていってあげたくても、ケア児とともに外で⾒るのは難しく、
きょうだいともに外で遊ぶということをさせてあげられない。 両親揃ってきょうだい児の学校⾏事、外出をしてあげられない。送迎ができな
いので、習い事をさせてあげられない。医ケア児対象のサービスよりもきょうだい児へのサービス、支援を考えてくれたらと思う。
○ひとり親家庭 ⺟子家庭なので私に何かあったらどうしたらいいのか不安。 1⼈で介護しているので、やはり何かあったりした時の事を考えるととても不安。
学校からの呼び出しも多くて、仕事に就けず経済的にも余裕が無く困っている。 シングルマザーで子育てをしており、自分に何かあった時に急にお願いできるレ
スパイト先がないため、毎日不安を抱えて過ごしている。レスパイト先が増え、緊急時にも安心して夜間も預けられる事業所が増えて欲しい。
海外出張をこなさないといけないが、子どものショートステイをとれないと出張に⾏けない。
リハビリや看護のサービス時間が17時までなので、利⽤するとなると早退して対応せざるをえず、仕事に支障が出る。
医療的ケア児は支援学校の通学バスにのることができない。⺟親の毎日の送迎は負担が⼤きすぎる。
○きょうだい児 他の兄弟児のための時間が取れないのが悲しく思う。 ちょっとした外出などでも、要所で時間や手間を要すことが多く、外出を躊躇
いがちになり、下の子どもに我慢させてしまうことが多々ある。
父親
⺟親
旅⾏に⾏きたいところになかなか⾏けない。⾏っても親が医ケア児の世話が⼤変で落ち着けない。どこかに連れていって欲しくてもすんなり⾏けないことが多い。
いつまでも赤ちゃんみたいでかわいいけれど、僕はよく怒られて妹ばかりかわいがられている気がする。
習い事や、お友達と遊ぶ時間、全ての時間にママが時間に追われていて僕との時間がゆっくりとれない。いつも、訪問看護の終了時間を気にして外にでているからもっとゆっくりしたい。
妹が入院するとママが付き添いでいなくなって、私は、おばあちゃん家に⾏かなければならなくなる。とても寂しい。嫌だ。
きょうだい※
15 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【事例調査】
1.事例調査結果概要
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
○ 医療的ケア児者とその家族の⽣活実態を事例として把握・整理することを目的として、5家族を対象に、医療的ケア児者の同居家族の⽣活状況等を把握する自記式調査票とインタビュー調査を⾏った。
○ 医療的ケア児者の年齢、必要な医療処置、家族形態、サービスの充⾜状況等によって、⽣活の状況や負担の在り⽅は多様であり、個別性に対応可能な柔軟な支援が求められていた。⼀⽅で、多くの事例において、緊急時の預け先の確保、⾏政の理解・相談支援の充実、医療的ケアに対応可能なサービス・⼈材の拡充は、共通課題として挙げられた。
医療的ケア児者、家族の状況
医療的ケア児者の年齢 事例のポイント
事例① きょうだい児のいる家庭2歳
(きょうだい10歳、8歳)
⺟親が医療的ケアを優先せざるを得ず、近隣住⺠等がきょうだい児の気持ちや⽣活をフォローしている
相談支援専門員を中心に連携した支援ができているが、保育園の利⽤手続きができない等の問題が⽣じた
事例② ひとり親家庭 4歳 近隣在住の祖父⺟のサポートがあるものの、⺟親は睡
眠時間2~3時間の状況で、子どものケアを24時間担っている
経済的な負担や将来について⼤きな不安を抱えている
事例③ 動ける医療的ケア児 7歳 動けるために利⽤できるサービスが少なく、サービスが充
実している地域に引越しをした 学校での⻑時間の付添や頻回の医療的ケアによって、
毎日は入浴できない⽣活である
事例④ ⼈⼯呼吸器管理が必要な医療的ケア児者 14歳
診療所や事業所の支援の下、必要なサービスを組み合わせることで、⺟親の就業や家族旅⾏の実施を実現
中途障害は対象外となる制度があることや18歳以降の⽣活について課題意識を感じている
事例⑤ 18歳以上の医療的ケア者 19歳 18歳前後で、訪問診療の開始、居宅サービスの拡充
などを⾏い、⾼等部卒業後の⽣活スタイルを構築した 医療費助成など年齢による制度変化への対応や相談
窓口がないことに不安がある
調査項目
1.家庭の状況• 家族構成、家族の年齢、就労の状況、健康状態• 公的サービス、インフォーマルサービスの利⽤状況• 地域との交流や当事者団体への参加状況
2.生活の状況・負担感• ケア児者の通学状況、日々の過ごし⽅• サービス利⽤時以外の家族によるケアの実施状況、
負担感• 日々の⽣活において特に課題や不安を感じていること• 現在は実施できていないが、おくりたい⽣活のイメージ
3.必要な⽀援• 公的サービスの利⽤は⼗分か(質・量)• 利⽤しているサービスについて課題・改善点はあるか• サービス・事業所の利⽤調整に手間はないか• 困ったときの相談先はあるか• あったらいいと思うサービス・サポートはあるか
4.その他• 今後のライフステージの変化を考えたときに不安な点• 自治体に対して望むこと、社会に対して望むこと
事例の概略
16 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.事例① -きょうだい児のいる家庭-三男(医療的ケア児) ⺟親 ⻑男・次男
0時1時2時3時4時5時 起床・洗濯・朝食の準備6時 起床・朝食
吸引←朝⾷の準備をしつつ、吸引、おむつの交換などを⾏う
⻑男と次男を起こし、朝ごはんを⾷べさせる→起床・朝食
7時 三男にテレビを⾒せている間に、⻑男・次男を送り出す→ 着替え・登校の準備8時 朝食の片づけ 登校9時 訪問看護
入浴家事・買い物
10時
11時 三男の⾒守り・育児訪問看護の利⽤後は、呼吸の様子を⾒ながら、子どもと遊んだり、お昼寝をしたりする
12時 昼食 昼食
13時14時 お昼寝15時 帰宅16時 三男の様子を⾒ながら、⻑男・次男が遊んでいる様子も⾒守る 庭などで遊ぶ
17時 夕食の準備18時 夕食 夕食 夕食19時 入浴 入浴
←⺟親の入浴中は、三男の⾒守りを⾏う
20時 吸引就寝
←子どもの就寝前に、吸引を⾏う
21時 就寝22時 就寝23時
訪問看護の利⽤中は、家事をしたり、家から離れて買い物をしたりできる
元気な時は、日中の吸引が不要風邪をひいたときなどは付きっきりで吸引をする
訪問看護が利⽤できない⼟日に⺟親の⽣理が重なると、入浴が難しくなる
きょうだいは三男の状態を理解し、⾒守りなどの手伝いをしてくれる
医療的ケア児の状況
生後に気管切開を⾏い、酸素吸入や吸引が必要だった1歳児(1歳5か月で抜管) 気管切開、吸引 寝返り、四つんばい(はいはい)ができる ⼩児慢性特定疾病医療費助成制度を利⽤ 訪問診療(週1回)、訪問看護(週5回)、計画相談支援※上記の情報は気管切開を⾏っていた1歳4か月時点
家族の状況
⺟、⻑男、次男、三男(医療的ケア児)の4人家族 ⺟親はフルタイムで就業しているが、現在育休中 ⻑男と次男は⼩学⽣
生活の状況(生活の状況)○ 病院、訪問看護、自治体、相談員等が連携すること
で、 NICUからスムーズに在宅移⾏できた○ ⺟親は医療的ケアを優先せざるをえず、近隣住⺠など
が、きょうだい児の気持ちや⽣活をサポートしている○ 成⻑とともに吸引の頻度が減少し、1歳5か月で抜管。
相談支援専門員が⺟親の相談相手となり、その時々の状況に合わせて適切にサービスにつないでいる
(負担・課題)○ 三男の預け先がなく、きょうだい児と向き合う時間の確
保、所属するスポーツチームへの付き添いができない○ 医療的ケアを理由に保育園の利用⼿続きが受けられ
ず、待機児童証明書の発⾏にも手間を要した○ 自治体に相談した際にたらい回しのような対応を受け
たため、⾏政の理解と情報提供の充実を望んでいる
※気管切開を⾏っていた1歳4か月時点
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
17 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.事例② -ひとり親家庭-医療的ケア児の状況
人⾒知りが強く、体調を崩しやすい4歳の重症⼼⾝障害児 ⼈⼯呼吸器管理、気管切開、酸素吸入、吸引、経管栄養 支えれば座ることができる、寝返り・移動は困難 ⼩児慢性特定疾病医療費助成制度を利⽤ 外来診療(月1回、子ども病院)、訪問診療(月2回)、
訪問看護(週5回)
家族の状況⺟、子の2人家族 近隣に住む祖父⺟が可能な範囲でサポートをしているが、
⺟親がほぼすべてのケアを担っている 移動は公共交通機関を利⽤している
生活の状況(生活の状況)○ 初めての⼈からのケアは緊張して体調を崩しやすい子
であるため、訪問看護しか利⽤できていない○ ⺟親は、睡眠が2~3時間の状況で、24時間子どもの
体調管理を⾏っている。強い緊張感の中で⽣活しており、体調の不安も抱えている
(負担・課題)○ 環境変化で体調を崩しやすいため、安⼼して預けら
れる先がない。また、自治体の助成があってもタクシーは⾼額であり、気軽に外出ができない
○ ケアのために就労ができず、⼿当と貯⾦を切り崩して生活をおくっている。経済的な不安が⼤きい
○ 事業所に安心してケアをお願いできるまで時間がかかることから、医療的ケアに対応できる人材育成や指導の仕組みづくりが必要と感じている
子ども(医療的ケア児) ⺟親0時 2時間おきに体位交換
30分に1回は吸引
経管栄養①
←自分で動くことができないので、定期的な体位交換が必要←痰は多いときは10分に1回のペースで吸引する
←液化した栄養剤を注入。夜間は入れっぱなし1時
2時3時4時 起床
←オムツ交換、よだれを拭うなど
5時 ←栄養剤の準備6時 起床
経管栄養②経管栄養・朝食・洗濯←数回に分けて栄養剤を注入。2~3時間かかるので、注入をしながら朝⾷、洗濯などを⾏う
7時8時9時10時 訪問看護・入浴 ←お風呂の準備や後⽚付けなどを⾏う。突然の体調変化があるので、訪問看護利⽤中も
⾒守りをする
11時 ←栄養剤の準備12時 経管栄養③13時 昼食・家事
←体位交換や吸引をしながら、洗濯物を取り込んだり、掃除をしたりと家事を⾏うゆっくりできる時間でもあり、仮眠をして夜間のケアに備えることも
14時15時16時17時 ←栄養剤の準備18時 経管栄養④19時 夕食の準備・夕食・後片付け
20時21時
就寝入浴(祖⺟のサポート)←近隣に住む祖⺟がケアを⾏う間に、短時間で入浴する
22時 就寝23時
祖⺟は気管吸引ができないため、入浴は短時間になる
子どもが緊張して体調を崩しやすいので、サービスの利⽤は最低限にし、ほぼすべて⺟親がケアする
睡眠時間は、毎日2〜3時間余裕があるときは、お昼に仮眠する
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
18 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.事例③ -動ける医療的ケア児-医療的ケア児の状況
特別⽀援学校に歩いて通う7歳の医療的ケア児(重症⼼⾝障害児の認定あり) 酸素吸入、吸引、経管栄養、定期導尿 座ること・寝返り・歩くことができる ⼩児慢性特定疾病医療費助成制度を利⽤ 外来診療(月1‐2回、子ども病院等)、訪問診療(月2
回)、訪問看護(週2回程度)、訪問レスパイト(2‐3か月に1回)、短期入所(年1‐2回)、 保育所等訪問支援(年1‐2回) 、計画相談支援
家族の状況
父、⺟、子の3人家族 ⺟親が子どものケアの中心的役割を担い、 毎日学校に付
き添いをしている(父親は夜間・休日にケアを⾏う)
生活の状況(生活の状況)○ 支援が充実している地域に引っ越すことで、幼稚園に
通園できたり、ガイドブック等による充実した情報提供を受けられたりした
○ 頻回の医療的ケアに加え、学校での付添が必要であり、短時間であっても入浴できない日が⽣じている
(負担・課題)○ レスパイトサービスが不⾜しており、⺟親の体調不良
時のケアに⼤きな不安を感じている○ 「動けること」を理由に、デイサービスが利用できなかっ
たり、利用回数が制限されたりした○ 子どもや家族が安心して利⽤できるように、家族の待
機や付添を求める事業所・学校については、サービスの質の向上、学校での⽀援を進めてほしい。
子ども(医療的ケア児) ⺟親 父親0時 吸引1時2時3時 吸引4時5時 起床6時 起床
経管栄養①吸引
起床朝食・経管栄養・吸引←全ての作業を同時進⾏で⾏う。栄養は約30分かけて注入。
朝は痰がたまる ので、登校まで吸引を繰り返す7時 着替え・登校準備 登校の準備
←子どもを着替えさせ、連絡帳記入、持ち物の準備、検温などを⾏う。自分の身支度は10分程度ですませる
<登校時の持ち物>⾞いす、酸素ボンベ2本、子どものランドセル、吸引器、栄養剤、シリンジ、薬剤等
朝食をとらずに出勤
8時 登校 登校←公共交通機関を利⽤して15分程度だが、痰が多いときは通学途中にも
吸引を⾏う
仕事
9時 学校 待機室で待機←1時間に1~2回吸引を⾏い、合間は、仮眠、メールチェック、裁縫などを⾏う←ランチルームに移動して、栄養を注入
10時 吸引11時 吸引12時 吸引・経管栄養②13時 吸引14時 吸引15時 下校
遊び(動画視聴など)入浴
⼈⼯呼吸器管理
下校ケア(・入浴)←下校後に30分ほどかけてお風呂に入れる。自分も5~10分程度で入浴す
るが、毎日は入れない←呼吸器管理で子どもの体調を回復させる。呼吸器使⽤中は、子どもが離れ
ることを嫌がるので、付きっきりになる16時 経管栄養③ ←栄養の準備をして注入17時18時 夕食の準備19時 夕食・後片付け 帰宅・入浴・夕食20時 吸引 子どもの相⼿・吸引21時 吸引・経管栄養④
就寝←栄養の準備をして注入休憩時間
22時 就寝 就寝23時
週に1回の訪問看護利⽤中は、買い物などの外出が可能に
子どもが寝た後が、ゆっくりできる貴重な時間
待機時間が⻑く、家事の時間確保が困難
痰がたまってむせると吸引(夜間は3~4時間おき)
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
19 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.事例④ -人⼯呼吸器管理が必要な医療的ケア児-子ども(医療的ケア児) ⺟親 父親
0時 吸引・体位交換1時2時 吸引・体位交換3時4時5時
吸引・体位交換起床←起きたらすぐに吸引、体位交換、オムツの交換
起床
6時 起床経管栄養①
朝食 朝食・ケア←経管栄養を準備、ベッドを起
こし、1時間程度かけて注入。簡単な朝⾷をつまむ
7時 着替え・⾝⽀度気管切開部ガーゼ交換
吸引・体位交換←ガーゼの交換、口腔ケア、タオルで顔・体を拭く、着替えなどを⾏う
出勤・仕事
8時
吸引・体位交換
洗濯教員や事業所スタッフの訪問前に洗濯する
←吸引、オムツの交換を⾏い、ベッドを起こし訪問学級の準備をする
9時 訪問学級 待機・家事←訪問学級の時間は自宅に待機し、必要に応じて吸引。
合間に家事を⾏う10時 吸引11時 体位交換 ←ベッドを倒し、体位交換、おむつの交換、経管栄養の準備をする12時
経管栄養②開店の準備・ケア←栄養を注入しながら、13時の開店に向けて準備をする←入浴のためのシーツや着替えの準備
13時 入浴(訪問入浴) カフェの開店←子どもの様子(吸引、体位交換、オムツの確認)を⾒ながら、
カフェの対応を⾏う14時 吸引・体位交換15時 居宅介護16時 吸引・体位交換17時 カフェの閉店18時 吸引、体位交換
経管栄養③← 吸引、体位交換、オムツの確認←栄養の準備後、注入
19時 夕食の準備20時
体位交換夕食・後片付け←父親と分担しながらケアを⾏う
帰宅・夕食・ケア
21時 就寝 入浴・カフェのケーキ作り 入浴22時 体位交換・経管栄養④ ←吸引、体位交換、オムツの確認(夜間は1~2時間おき)
←白湯を注入23時 就寝 就寝
日中⼀時支援を利⽤する曜日は、11〜15時が外出可能に
サービス利⽤の前後は、準備・後⽚付けで慌ただしい
喀痰吸引ができるヘルパーの場合は、ケアから離れてカフェに専念
吸引、体位交換、オムツの確認(夜間は1~2時間おき)⺟親と父親で分担しながらケアを⾏う
1日中、痰が上がってきたら、その都度吸引を⾏う
医療的ケア児の状況交通外傷によって24時間の人⼯呼吸器管理が必要になった、14歳の重症⼼⾝障害児 ⼈⼯呼吸器管理、気管切開、吸入、吸引、経管栄養 座ること・寝返り・移動は困難 重度障害者医療費助成制度を利⽤ 訪問診療(月2回)、訪問看護(週3回)、居宅介護
(週3回)、 訪問入浴(週3回)、移動支援(週2回)、日中⼀時支援(週2回) 、計画相談支援
家族の状況
父、⺟、子の3人家族 ⺟親が日中の子どものケアを担っているが、週3日は自宅
でカフェを開いている(父親は夜間・休日にケアを⾏う)
生活の状況(生活の状況)○ 在宅移⾏時に、医療的ケア児の診療・支援経験が豊
富な診療所と障害福祉サービス事業所に出会い、必要なサービスを組み合わせたライフスタイルを構築した
○ ⺟親は、昼夜を問わずケアに追われているが、サービスを活⽤しながら積極的に就労や家族旅⾏を⾏っている
(負担・課題)○ 喀痰吸引ができる介護職不⾜と緊急時の対応(⼈
⼯呼吸器管理であっても利⽤可能なショートステイがないこと)が課題である
○ 成⻑に伴い介護負担が増加するとともに、子どもが18歳を超えた時にどのように社会と関われるかに不安を抱いている
○ 中途障害のため対象外となる制度も多く、必要な支援を受けられずに家計を圧迫している
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
20 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.事例⑤ -18歳以上の医療的ケア者-医療的ケア者の状況
週に1回の通所以外は自宅で生活をおくる19歳の重症⼼⾝障害者 ⼈⼯呼吸器管理、気管切開、吸引、ネブライザー、経管栄養 座ること・移動は困難 ⼩児慢性特定疾病医療費助成制度を利⽤ 外来診療(月1回、子ども病院)、訪問診療(月4回)、
訪問看護(週3回)、居宅介護(週5回)、⽣活介護(週1回) 、訪問入浴(月7回) 、移動支援(年3‐4回)、計画相談支援
家族の状況
父、⺟、子の3人家族 ⺟親が子どものケアの中心的役割を担う(父親は夜間・
休日にケアを⾏う)
生活の状況(生活の状況)○ ⺟親の病気を機に居宅介護を利⽤し始め、⾼等部の
ころから利⽤回数を増やす○ 18歳前後で子ども病院の通院が難しくなり、訪問診
療を併⽤。⾼等部卒業に向けて、医療的ケアに詳しいヘルパーに相談しながら、自宅での⽣活を構築した
(負担・課題)○ 冠婚葬祭や緊急時の預け先や、医療的ケアに対応
できる事業所が不⾜しており、思うように利⽤できない○ 医療費助成など年齢による制度変化への対応や相
談する窓⼝がないことに不安を感じている○ 医療的ケアがあることに対して「かわいそう」「⼤変だろ
う」と⾔われたり、迷惑をかけないように⾏動を制限したりと、葛藤を抱えながら日々の⽣活をおくっている
子ども(医療的ケア者) ⺟親 父親0時 ⼈⼯呼吸器管理1時2時3時4時5時 起床・朝食の準備 起床6時 起床
経管栄養①
←栄養剤と朝⾷の準備を同時並⾏で⾏う←オムツの確認、栄養剤の注入、目薬を4本・5分おきにさす
朝食・出勤
7時 朝食・⾝だしなみを整える掃除・洗濯①←⼈⼯呼吸器を外し、吸引と吸入を⾏う。水分を注入
仕事8時 吸引・吸入・水分
9時 居宅介護⾝⽀度・椅子に移乗 ←ヘルパーと⼀緒に、洗髪・洗顔、着替えなどを⾏う10時
11時吸入・水分
ケア・洗濯②←⾞いすに移乗後、吸入をして水分を注入。子どもの着替えを洗濯
しつつ、ペーストをつくる12時
経管栄養②昼食←ペーストを口から⾷べさせつつ、1時間かけて胃ろうに注入。
⼀緒に昼⾷をとる13時 居宅介護
⻭磨き・⼝腔ケア・排泄・ベッドに移乗
←ヘルパーと⼀緒に、ケアを⾏う
14時 水分 ←水分を注入しながら、ゆっくりする15時 訪問看護(リハ)16時 水分・吸入17時 夕食の準備18時 居宅介護
着替え・排泄・椅子に移乗←夕⾷の準備を中断し、ヘルパーと⼀緒に、パジャマへの着替え、排
泄の確認などを⾏う19時 経管栄養③ ←ペーストをつくり注入。夕⽅は、無呼吸状態になることがあり、バタバ
タしやすい帰宅・夕食
20時 ベッドに移乗 ←移乗・排泄の確認 ←移乗・排泄の確認21時 吸引・⼈⼯呼吸器管理
就寝夕食 ←吸引や⼈⼯呼吸器を付ける
などのケアを⾏う22時 水分 入浴・自分の時間 入浴・ケア23時 排泄の確認
就寝就寝
父親がケアを⾏うので、⺟親はテレビを⾒たりメールチェックをしたり、自分の時間が持てる
事業所の出入りが多いと落ち着かない。訪問リハがないときは、子どもとゆっくり過ごす
サービスの利⽤前後は、ケアの準備で慌ただしい
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
21 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【自治体調査】
1.医療的ケア児者の把握状況○ 医療的ケア児者の⼈数の把握について、「いずれも把握していない」とした市区町村は約2割となっている。特に、中核市や政令指定都市・中核市以外の市と
いった⼀定規模のある自治体で「いずれも把握していない」とした割合が⾼い傾向が⾒られた。○ 課題として最も多いのは、「全数を網羅できているかどうかの判断が難しい」であり、8割以上の市区町村が回答している。また、「調査対象となる医療的ケア児者
の定義設定が難しい」も半数以上の市区町村が回答していることから、各地域における医療的ケア児者の状況、全国の医療的ケア児者の状況を正確に把握するためにも、「医療的ケア」の定義の設定や⼈数を把握する手法の検討/共有を⾏うことが急がれる。
図表35 (市区町村調査)医療的ケア児者の人数の把握状況(報告書p.238)
48.3%
53.2%
36.6%
31.1%
0.0%
0.0%
1.4%
2.7%
41.4%
14.9%
36.6%
26.3%
10.3%
31.9%
23.7%
11.5%
0.0%
0.0%
1.8%
28.4%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
政令指定都市・
特別区(n=29)
中核市(n=47)
それ以外の市
(n=511)
町村(n=521)
医療的ケア児
の人数を
把握している
医療的ケア者
の人数を
把握している
医療的ケア児者
(両方)の人数を
把握している
いずれも
把握していない
医療的ケア児者
に該当する
方がいない
無回答
図表36 (市区町村調査)(市区町村別)医療的ケア児者の人数の把握状況(報告書p.238)
85.9%
55.4%
12.2%
10.6%
11.9%
6.0%
9.1%
0.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
全数を網羅できているかどうかの
判断が難しい
調査対象となる医療的ケア児者の
定義設定が難しい
調査の回答等を依頼すべき関係機関等
の協力を得ることが難しい
調査等に係る予算の確保が難しい
主担当になる課が決まらない
特に課題はない
その他
無回答
図表37 (市区町村調査)医療的ケア児者の人数を把握する上での課題(n=770)(報告書p.239)
(1)医療的ケア児者の人数の把握状況
35.0% 1.9% 31.0% 18.0% 14.2% 0.0%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=1,108)
医療的ケア児
の人数を
把握している
医療的ケア者
の人数を
把握している
医療的ケア児者
(両方)の人数を
把握している
いずれも
把握していない
医療的ケア児者
に該当する
方がいない
無回答
(2)医療的ケア児者の人数を把握する上での課題
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
22 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
2.地域資源の状況○ 市区町村の地域資源(サービス、⼈材)の充⾜感をみると、サービス、⼈材ともに「⼤いに不⾜」、「不⾜」とした自治体が多く、医療的ケア児者を抱える家族の
ニーズに対し⼗分に応えることができていない現状が明らかとなった。○ この結果は家族を調査対象としたWEB調査結果からも⾒て取れ、障害児支援サービスや障害福祉サービスを利⽤するにあたっての課題では、「医療的ケアに対
応可能な事業所が⼗分ではない」と回答した家族が約8割、「医療的ケアに対応できる職員が少ない」と回答した家族が約6割となっている。○ サービスや⼈材の不⾜を解消するためには、国や自治体の積極的な取り組みが欠かせない。現状の課題を共有し、公的制度の充実や医療的ケアの担い手を増
やす仕組み作りが求められる。
図表38 (市区町村調査)地域資源の充足感(n=1,108)(報告書p.240)
24.7%
22.5%
24.2%
13.0%
17.1%
18.7%
24.4%
53.4%
55.5%
47.8%
49.1%
52.6%
52.0%
51.0%
10.0%
10.5%
9.3%
23.1%
17.3%
14.6%
5.4%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
7.2%
6.3%
12.4%
7.5%
6.8%
7.0%
10.6%
4.6%
5.2%
6.3%
7.3%
6.1%
7.7%
8.6%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
障害児支援サービス
障害支援サービス
保育所や幼稚園、認定こども園等
の子ども・子育て支援
小・中学校や特別支援学校
医療的ケア児者に対応可能な
相談支援専門員
医療的ケア児者に対応可能な
医療職
医療的ケア児者に対応可能な
介護職員
(認定特定行為業務従事者)
大いに不足 不足 適切 過剰 該当するサービス・職員はない 無回答
(1) 地域資源(サービス、人材)の充⾜感 【参考】 障害児⽀援サービス等を利用するにあたっての課題
図表39 (WEB調査)サービス利用にあたっての課題(n=843)(報告書p.240)
29.1%
42.3%
78.6%
63.0%
33.1%
27.8%
31.8%
7.4%
4.6%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
支給量が十分でない
利用できるサービスの種類が十分でない
医療的ケアに対応可能な
事業所が十分でない
医療的ケアに対応できる職員が
少ない
サービス利用のための調整が
負担である
利用しているサービスについて
課題・改善点がある
サービスの内容や利用についての周知
が十分でない
その他
課題はない
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
23 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
3.医療的ケア児等コーディネーターの配置状況
① 医療的ケア児等コーディネーターの配置人数・配置場所・属性○ 医療的ケア児等コーディネーターについて、市区町村の配置状況をみると、現在、医療的ケア児等コーディネーターが「1⼈以上」とした市区町村は3割程度、配
置している市区町村のうち「役所」に配置している割合は約3割であった。○ また、配置されている医療的ケア児等コーディネーターの属性は、「相談支援専門員」が7割程度であった。
図表40 (市区町村調査)医療的ケア児等コーディネーターの配置人数(n=1,108)(報告書p.241)
64.2% 31.3% 2.7% 1.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(n=1,108)
0人 1~5人 6人以上 無回答
(1)医療的ケア児等コーディネーターの配置状況
図表41 (市区町村調査)医療的ケア児等コーディネーターの配置場所(n=377)(報告書p.241)
27.1%
10.3%
5.3%
2.4%
4.8%
18.8%
65.0%
0.3%
1.9%
0.5%
6.1%
0.0%
3.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
市区町村役所
障害児支援サービス事業所
障害福祉サービス事業所
障害者支援施設
訪問看護ステーション
基幹相談支援センター
計画相談支援事業所
在宅医療連携拠点
保健所
地域包括支援センター
その他
医療的ケア児等コーディネーターはいない(配置の目
途がたっていない)
無回答
37.7%
23.9%
19.4%
16.2%
15.9%
10.9%
2.1%
74.0%
12.7%
2.7%
0.0%
1.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
社会福祉士
保健師
精神保健福祉士
看護師・準看護師
介護福祉士
介護支援専門員
臨床心理士
相談支援専門員
その他
把握していない
医療的ケア児等コーディネーターはいない
無回答
図表42 (市区町村調査)医療的ケア児等コーディネーターの属性(n=377)(報告書p.204)
※配置場所と属性については、医療的ケア児等コーディネーターが1⼈以上いると回答した自治体のみ集計
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
24 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
3.医療的ケア児等コーディネーターの配置状況
② 配置にあたっての課題と期待する役割○ 課題としては、「位置付けや役割が明確になっていない」と回答した自治体が最も多く、どのような業務を担うか定まっていない自治体が多いことが明らかとなった。○ ⼀⽅で、医療的ケア児等コーディネーターに期待する役割として、「専門的な知識の蓄積・提供」、「相談支援業務」に加え、「多職種連携を実現するための水平
関係(パートナーシップ)の構築」や「地域に必要な資源等の改善、開発に向けての実践⼒」が求められていることが明らかとなった。○ まずは、研修等の実施により医療的ケアを理解した相談支援専門員を増やしていくことが喫緊の課題であるが、併せて、地域の多職種と繋がる仕組み、現場の
ニーズを施策に反映することができる仕組み作り、地域で期待される役割に応じた相談員の資質向上が求められる。
(2)医療的ケア児等コーディネーターを配置にあたっての課題 (3)医療的ケア児等コーディネーターに期待する役割
図表43 (市区町村調査)医療的ケア児等コーディネーターの配置に関する課題(n=1,108) (報告書p.242)
54.5%
52.1%
8.7%
24.2%
6.1%
4.9%
12.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
医療的ケア児等コーディネーターの位置付けや
役割が明確になっていない
医療的ケア児等コーディネーターとなる人材が不
足している
医療的ケア児等コーディネーター養成研修を受
講しても人材の配置場所がない
予算の確保が難しい
特にない
その他
無回答
図表44 (市区町村調査)医療的ケア児等コーディネーターの現在の役割と期待する役割(n=377)(報告書p.242)
47.7%
26.3%
67.4%
37.9%
10.1%
1.6%
9.8%
7.2%
57.0%
54.9%
55.7%
50.1%
43.5%
1.3%
8.0%
11.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
医療的ケア児等に関する専門的な知識の蓄
積・提供
多職種連携を実現するための水平関係
(パートナーシップ)の構築
医療的ケア児等の相談支援業務(基本相
談、計画相談、ソーシャルワークなど)
本人のサービス等利用計画(障害児支援利
用計画)を作成する相談支援専門員のバッ
クアップ
地域に必要な資源等の改善、開発に向けて
の実践力
その他
検討中・未定
無回答
現在の役割 今後の役割
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
※医療的ケア児等コーディネーターが1⼈以上いると回答した自治体のみ集計
25 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
○ 本調査研究事業の調査結果を通じて⾒えてきた医療的ケア児者とその家族の⽣活実態は、当たり前のことが当たり前のこととしてできていない、という実態であった。
○ 就労、社会参加、家族みんなでの外出、きょうだい児(病児ではない兄弟姉妹)と触れ合う時間、自らの睡眠や病院にいくことすら制限を受けながら、目の前の命を守るため、家族が医療的ケアを⾏うという緊張の連続の中、先の⾒えない将来不安を抱えながら日々を送っている。
○ 医療的ケア児者とその家族は特別な存在ではない。また、特別なことを望んでいる訳ではなく、家族が当たり前の⽣活を送ることができる、未来に前向きになれることを望んでいるだけである。
○ 課題は山積している。医療的ケア児者のニーズに対応できる事業所不⾜の解消、ケアを提供できる看護、介護職員不⾜の解消、医療的ケアを理解し家族に寄り添うことができる相談員の養成や家族が求めている制度・サービスに関する情報の提供、それらの課題の地域格差の解消が必要であり、そして何より、医療的ケア児者とその家族が孤⽴しないよう地域住⺠の認識や子どもに関わる専門職、自治体職員の理解を⾼めていくことが必要である。
○ 本調査が医療的ケア児者に関わる多くの関係者だけでなく、広く地域住⺠にも届き、子どもたちと家族の⽣活実態の深い理解へつながること、また、本調査がきっかけとなり、それぞれの「医療的ケア児者とその家族」の希望を叶えることができる新たな⽀援や施策が生まれることを望む。
【提言①】医療的ケアがあっても安⼼して暮らしたい〜⽀えあう社会システムの構築を〜
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
「医療的ケア児者」の定義設定、⼿法の検討 現在、各自治体が⾏っている医療的ケア児者の⼈数やニーズに関する調査
は、定義が⼀律でなく、調査⽅法が定まっていない。正確な実態を把握するため、⽤語の定義、具体的な把握⽅法の検討を⾏うことが必要である。
⾏政窓⼝の対応の⼯夫、必要な情報の提供・共有 医療的ケア児者を抱える家族のアクセスの困難さを認識し、必要な書類を事
前に調整する、利⽤者の相談状況を共有するといったきめ細やかな対応等の相談支援体制の強化・充実が求められる。
必要なサービスや支援、制度に関する情報が⼗分でないことから、医療的ケア児者を抱える家族は不安を抱えている現状がある。基礎自治体レベルでは医療的ケア児者が少ない/いないといった場合もあり、積極的な情報提供が困難な自治体があることが想定されるため、都道府県レベルでの必要な情報の整理と積極的な情報発信が求められる。
なお、自治体が個別に医療的ケア児者とその家族の情報を把握する⽅法として、医療機関との情報連携が考えられる。
「医療的ケア児者」の個別の状況に対応できる専門職の配置、育成 医療的ケア児等コーディネーターを1⼈以上配置している市区町村は3割
程度、配置している市区町村のうち、役所に配置している市区町村は3割未満という状況であることから、まずは、研修等の実施により医療的ケアを理解した相談支援専門員等を増やしていくことが喫緊の課題である。
医療的ケア児等コーディネーターには、「医療的ケア児等の支援を総合調整する」役割が求められていることから、地域の多職種と繋がる仕組み、現場のニーズを施策に反映することができる仕組みを作ることが必要であり、地域のニーズに応じた専門員をどのように養成・定着させるかが喫緊の課題である。
自治体職員や専門職の認識、理解の促進 医療的ケア児者に対する社会的認知は決して⼗分とは⾔えず、医療的ケア
児者とその家族が地域で孤⽴している現状がある。また、障害福祉、医療・介護に関わる自治体の職員や専門職も地域の全容は把握できておらず、自治体によって制度の理解やサービス提供に格差が⽣じている。
障害福祉、医療・介護に関わる自治体の職員や専門職が医療的ケア児者とその家族の実態を認識することが必須であり、国や都道府県レベルでの積極的な周知と、多職種間の連携・協働の推進が求められる。
(1)国、自治体に対する提言
【 要 旨 】
26 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【提言②】医療的ケアがあっても安⼼して暮らしたい〜⽀えあう社会システムの構築を〜
調査実施概要
WEB調査結果
事例調査結果
提言自治体調査結果
サービス資源の充実 医療的ケアに対応できる事業所を増やしていくことは簡単ではなく、すぐに対
応できるものではないことから、地域の状況を正確に把握した上で現状の課題を整理し、国による積極的な誘導、自治体の特性に応じたきめ細やかな対応を早急に進めることが必要である。
緊急時に受入れ可能なサービスの充実 「急病や緊急の⽤事ができた時に子どもの預け先がない」とした家族は8割を
超えており、特に医療型短期入所については整備が追いついていない。国による参入する事業所を増やしていくための報酬の検討、自治体による積極的な周知活動、参入促進活動が求められる。
あわせて、事業所での宿泊や通いが難しい医療的ケア児者を抱える家族に対しては、自宅訪問型サービスの充実が必要であり、地域のニーズに応じてサービス資源を構築していくことが求められる。
「医療的ケア」があることによる「付き添い」負担の軽減 医療的ケアを有することで、通園、通学時の送迎付き添い、幼稚園や保育
園、学校での付き添いを求められる場合が多く、通常の家庭では想定されない対応を強いられている。早急に家族の負担軽減に向けた対応策の検討が必要である。
家族、きょうだい児等の状況に応じた預かり資源の充実 家族のレスパイトやきょうだい児の⾏事参加などを目的に日常的に預けられる
場所が不⾜している。医療的ケア児者を抱える家族のニーズに応じて家族以外の者が預かることができる資源の充実が必須である。
家族の子育てを支援しながら、必要な場⾯で医療的もしくは、社会的サポートを補⾜するといった伴走型の支援が必要であり、資源の充実にあわせて伴走型の支援を⾏うことができる⼈材(医療的ケア児等コーディネーター)を育成していくことが求められる。
「ひとり親家庭」への⽀援体制の構築 ひとり親家庭は、ケアを依頼できる⼈や家事等を依頼できる⼈がなく、日常の
⽣活において他の⼈に頼れず孤⽴しているケースが多い。医療的ケア児者へのサービス提供だけではなく、⽣活全体を支えるための包括的な支援の検討が求められる。
情報の共有 ライフステージの変化によって、支援の担い手が変わっても、親が不在であって
も円滑に情報共有できる⻑期的なライフサイクルを⾒越した体制、仕組みの構築を検討していくことが求められる。
(2)サービスに関する提言
ソーシャルサポートの拡充と孤⽴予防⽀援 社会の中での関わりの中で発⽣するソーシャルサポートにより、子育てを前向
きに捉えられるようになり、うまくストレス対処(コーピング)できるようになるとされている。のためには、早期に気持ちを分かち合え、相談できる等の情緒的サポートを受けることが有効であると考える。
これは、家族会等の当事者ご家族同士のピアサポートがもっとも適しており、効果的役割を担うと推察され、医療的ケア児者の家族が語らう場への参加支援が必要である。
社会、地域の理解の浸透、⽀えあう仕組みの構築 医療的ケア児者を抱える家族は地域から孤⽴する傾向がある。医療的ケア
児者に対する理解を深めていくことは社会全体で必要であり、実態を積極的に周知し理解の輪を広げることで、家族が地域で前向きに⽣活を送ることができると考えられる。
医療的ケア児者も含めた地域共⽣社会の構築を検討していくことで、社会全体に広く医療的ケア児者とその家族の実情を認知してもらえるようになり、それぞれの地域で支え合う仕組みづくりにも発展していくものと期待される。
(3)サービス以外に関する提言
27 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
【検討委員会概要】○ 医療的ケア児者とその家族の実態、制度、施策等に精通した委員による委員会を設置し、⽣活実態調査、自治体調査、報告書について検討を実施した。
(計4回開催)○ ワーキンググループ(WG)を設置し、⽣活実態調査の実施⽅法の検討を実施した。(計3回開催)
委員名簿 委員会開催状況
氏 名 現 職 検討委員会 WG秋山 政明 ⼀般社団法⼈Burano 理事 ○ ○
上野 尚哉 岐阜県 健康福祉部医療福祉連携推進課障がい児者医療推進係課⻑補佐兼係⻑ ○
内多 勝康 国⽴成育医療研究センタ-もみじの家 ハウスマネ-ジャ- ○ ○沖 侑⾹⾥ 静岡きょうだい会 代表 ○片桐 誠 世田谷区 障害福祉部⻑ ○宮川 善章 世田谷区 障害福祉部 障害保健福祉課⻑(代理出席) ○ ○諏訪 亜季子 ⾹川県⽴保健医療⼤学 保健医療学部 看護学科 助教 ○ ◎
高島 友和 公益財団法⼈日本財団 ソーシャルイノベ-ション本部公益事業部国内事業開発チ-ム チ-ムリ-ダ- ○
髙橋 昭彦 特定非営利活動法⼈うりずん 理事⻑ ◎
遠山 裕湖社会福祉法⼈なのはな会 理事児童発達支援センタ- 仙台市なかよし学園施設⻑仙台市あおぞらホ-ム 施設⻑
○ ○
細川 宏美 東京都医療的ケア児者 親の会 代表 ○ ○
光原 ゆき 特定非営利活動法⼈キープ・ママ・スマイリング 理事⻑ ○◎︓委員⻑ ○︓委員(五⼗⾳順、敬称略)
第1回 令和元年7月17日(水)
第2回 令和元年10月10日(木)
第3回 令和2年1月23日(木)
第4回 令和2年3月25日(水)※
第1回 令和元年9月2日(月)
第2回 令和元年9月9日(月)
第3回 令和元年9月10日(火)
▼委員会開催⽇
▼ワーキンググループ開催⽇
※第4回委員会については、新型コロナウイルスの感染拡⼤防止の観点からWEB会議にて実施