88
情報通信審議会 情報通信技術分科会(第143回) 時:令和元年6月18() 1400所:第1特別会議室(8階) 答申事項 「放送システムに関する技術的条件」のうち「放送事業用無線局の高 度化のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン放送のた めの1.2GHz帯及び2.3GHz帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術 的条件」について 【平成18年9月28日付け諮問第2023号】 地域ニーズや個別ニーズに応じて様々な主体が利用可能な第5世代 移動通信システム(ローカル5G)の技術的条件等 【平成281012日付け諮問第2038号】 諮問事項 放送システムに関する技術的条件 【令和元年6月18日付け諮問第2044号】 報告事項 「放送に係る安全・信頼性に関する技術的条件」のうち「地上デジタ ルテレビジョン放送等の安全・信頼性に関する技術的条件」の検討開始に ついて 【平成221221日付け諮問第2031号】 920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件の検討開始に ついて 【平成14年9月30日付け諮問第2009号】

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情報通信審議会 情報通信技術分科会(第143回)

日 時:令和元年6月18日(火)

14:00~

場 所:第1特別会議室(8階)

議 事 次 第

1 開 会

2 議 題

答申事項

① 「放送システムに関する技術的条件」のうち「放送事業用無線局の高

度化のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン放送のた

めの1.2GHz帯及び2.3GHz帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術

的条件」について

【平成18年9月28日付け諮問第2023号】

② 地域ニーズや個別ニーズに応じて様々な主体が利用可能な第5世代

移動通信システム(ローカル5G)の技術的条件等

【平成28年10月12日付け諮問第2038号】

諮問事項

① 放送システムに関する技術的条件

【令和元年6月18日付け諮問第2044号】

報告事項

① 「放送に係る安全・信頼性に関する技術的条件」のうち「地上デジタ

ルテレビジョン放送等の安全・信頼性に関する技術的条件」の検討開始に

ついて

【平成22年12月21日付け諮問第2031号】

② 920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件の検討開始に

ついて

【平成14年9月30日付け諮問第2009号】

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③ 60GHz帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化に向けた技術的

条件の検討開始について

【平成14年9月30日付け諮問第2009号】

④ ICTグローバル戦略について

3 閉 会

< 配 付 資 料 >

資料143-1-1 放送システム委員会報告 概要

資料143-1-2 放送システム委員会報告

資料143-1-3 答申書(案)

資料143-2-1 新世代モバイル通信システム委員会報告 概要

資料143-2-2 新世代モバイル通信システム委員会報告

資料143-2-3 答申書(案)

資料143-3-1 放送システムに関する技術的条件 諮問書

資料143-3-2 放送システムに関する技術的条件 概要

資料143-4 「放送に係る安全・信頼性に関する技術的条件」のう

ち「地上デジタルテレビジョン放送等の安全・信頼性に関

する技術的条件」の検討開始について

資料143-5 920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条

件の検討開始について

資料143-6 60GHz帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化

に向けた技術的条件の検討開始について

資料143-7 ICTグローバル戦略について

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移動通信課企画官

片桐

移動通信課長

荻原

電波政策課長

布施田

基盤局総務課長

竹村

総合通信基盤局長

谷脇

(あんどう)

安藤委員

(いしど)

石戸委員

(いたみ)

伊丹委員

(えむら)

江村委員

(かみじょう)

上條委員

(こくりょう)

國領委員

速記 西尾分科会長

相田分科会長代理

後潟管理室長

放送技術課長

柳島

官房審議官

奈良

国際政策課長

高地

技術政策課長

坂中

戦略局総務課長

藤野

官房審議官

泉 国際戦略局長

吉田

(もりかわ)

森川委員

(むらやま)

村山委員

(ますだ)

増田委員

(ちの)

知野委員

(さんぺい)

三瓶委員

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

ネッ

ト中継

ネッ

ト中継

ネッ

ト中継

ネッ

ト中継

情報通信技術分科会(第143回) 座席表

傍聴席

操作卓 事務局

出入口

日時:

場所:

令和1年6月18日(火) 14:00~

総務省第1特別会議室(8階)

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情報通信審議会 情報通信技術分科会放送システム委員会報告 概要

令 和 元 年 6 月 1 8 日放 送 シ ス テ ム 委 員 会

「放送システムに関する技術的条件」(諮問第2023号)のうち「放送事業用無線局の高度化のための技術的条件」のうち

「超高精細度テレビジョン放送のための1.2GHz帯及び2.3GHz帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」

資料143-1-1

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検討開始の背景 1

◆ 4K・8Kについては「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告(平成27年7月)」を公表し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の数多くの中継が4K・8Kで放送されている」ことなどが目標となされた。

◆ 番組伝送用の放送事業用無線局についても、4K・8K素材伝送に対応した高伝送ビットレートをもつシステムが必要。今般、マラソン等ロードレースにおける移動中継に適した1.2/2.3GHz帯周波数を使用するFPUについて、現行の2Kに加えて、4K・8Kでの伝送が可能とする高度化を図るため、技術的条件の検討を行った。

FPU※の利用イメージ

※ FPU: Field Pick-up Unit

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(参考)FPUで使用する周波数帯

周波数帯の呼称 周波数帯[帯域幅] 周波数幅(代表値)

伝送容量(代表値)

固定利用伝送距離

移動利用伝送距離 見通し外

1.2GHz帯2.3GHz帯

1240-1300 MHz2330-2370 MHz

[60MHz][40MHz] 18MHz 44Mbps 50km 10km 伝送可

マイクロ波帯

Bバンド(6GHz帯) 5.850-5.925 GHz [75MHz]

18MHz 300Mbps

50km 4km

伝送不可

Cバンド(6.4GHz帯) 6.425-6.570 GHz [145MHz]

Dバンド(7GHz帯) 6.870-7.125 GHz [255MHz]

Eバンド(10GHz帯) 10.25-10.45 GHz [200MHz]7km 3km

Fバンド(10.5GHz帯) 10.55-10.68 GHz [130MHz]

Gバンド(13GHz帯) 12.95-13.25 GHz [300MHz] 5km 3kmミリ波帯

42GHz帯 41-42 GHz [1GHz]125MHz 210Mbps 3-5km 50-

100m55GHz帯 54.27-55.27 GHz [1GHz]

120GHz帯 116-134 GHz [18GHz] 18GHz 12Gbps 0.5-1km -

技術的条件の検討状況一部答申時期 制度整備時期 周波数帯 実施内容平成19年1月 平成20年2月 42/55GHz帯 HDの非圧縮映像を伝送できるよう制度化平成25年1月 平成25年4月 1.2/2.3GHz帯 800MHz帯からの周波数移行先として制度化(SISO方式のみ)平成25年7月 平成26年1月 1.2/2.3GHz帯 安定的な伝送が出来るよう高度化(MIMO方式)平成25年7月 平成26年1月 120GHz帯 4K・8Kの非圧縮映像を伝送できるよう制度化平成29年3月 平成29年7月 マイクロ波帯 4K・8K映像を伝送できるよう高度化(多値化・偏波MIMO等)令和元年予定 令和元年予定 1.2/2.3GHz帯 4K・8K映像を伝送できるよう高度化(双方向MIMO方式)

ロードレース中継に必要

4K・8K関連

1.2/2.3GHz帯関連

2

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平成30年度/平成31年/令和元年

5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6

情報通信技術分科会

放送システム委員会

FPU高度化作業班

検討の経緯 3

6/22

7/18・検討の進め方、高度化の要求条件等を検討、スケジュールを確認

5/15検討開始を報告

・作業班報告書案の検討、報告書とりまとめ

#1

調査検討の指示

#2 #3 #4

調査検討結果の報告

・意見募集等検討の進め方、検討体制(作業班の設置)、スケジュールを確認

6/25~7/25意見聴取の募集

10/4・技術的条件、共用条件の検討

12/18・技術的条件(電波防護指針)、共用条件の検討

4/3

聴取要望なし

4/25

4/27~5/31報告書(案)意見募集

6/13報告書のとりまとめ

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41.2/2.3GHz帯FPU高度化のための技術

◆ 占有周波数帯幅及び空中線電力を既存システムと同等※に抑えたまま、伝送容量を増やすため、FPUを双方向化し、伝搬環境の変動に応じて動的に伝送パラメータを変更する仕組みを導入。 ※ 占有周波数帯幅:17.5MHz幅/空中線電力:25W(1.2GHz帯)40 W(2.3GHz帯)

高度化方式

移動局 基地局

○ 移動中継において、4K(映像ビットレート72Mbps以上)・8K(同 140Mbps以上)品質を伝送可能

・4送信4受信 MIMO

※ SVD(Singular Value Decomposition)-MIMO 4アンテナに対し伝送パラメータを適応的に割当て

・双方向通信

※ 時分割複信方式

※ 送信制御情報を基地局から移動局にフィードバック

・変調方式や符号化率を可変

※ 移動中継ではBPSKから1024QAMを適応的に割り当て

※ 符号化率を容易に変更でき、高効率な誤り訂正が可能なターボ符号を採用

ストリーム1

ストリーム2

ストリーム3

ストリーム4

送信ビーム 受信ビーム

従来方式 ○ 移動中継において、HD(2K、映像ビットレート35Mbps以上)品質を伝送可能

・2送信2受信 MIMO

※ MIMO:Multiple-Input Multiple-Output

・片方向通信

・変調方式や符号化率は固定

※ BPSKから64QAMの範囲からあらかじめ設定

片方向通信

制御情報をフィードバック(双方向通信)

移動局基地局

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5適応送信制御SVD-MIMO(高度化技術①)

◆ 伝搬環境に対してフィードバックを受けるため、時分割複信(TDD)による双方向伝送を導入

◆ 変動する伝搬路に応じてMIMOストリーム数や変調多値数等の伝送パラメータを適応的に変更

・伝搬環境が見通しの場合は、少ないMIMOストリームにビット数を集中し、・伝搬環境が反射波の多い場合は、多数のMIMOストリームに変調ビット数を分散、・トータルの変調ビット数は一定、

→ 瞬時瞬時の伝搬路状況に適した伝送パラメータを選択することで、無駄なく大容量伝送を実現

低時間

9 bit (s1)

7 bit (s2)

8 bit (s1)

5 bit (s2)

6 bit (s1)

5 bit (s2)

3 bit (s3)2 bit (s4)

10 bit (s1)

6 bit (s2) 3 bit (s3)

4×4 SVD-MIMO(上り回線) 2×4 STTC-MIMO(下り回線)

本線映像・音声 本線映像・音声 本線映像・音声 本線映像・音声

制御情報

制御情報

制御情報

1.9ms 1.9ms 1.9ms 1.9ms0.3ms 0.3ms 0.3ms

s1

s2

s3

s4s1

s2

s3

s4

基地局移動局

空間相関

受信電力

1024QAM

64QAM

8QAM

256QAM 32QAM 32QAM64QAM

8QAM QPSK 128QAM

512QAM

※見通しがよい場合は空間相関は高い、逆に反射波が多い場合は空間相関は低い

↑見通し環境主体

↓見通し外(反射波が多い)環境主体

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6ターボ符号による符号化率の適応制御(高度化技術②)

◆伝搬環境に応じて誤り訂正符号の符号化率を適応制御(レートマッチング)

・伝搬環境が良い場合、符号化率を高くする(伝送マージンを極力減らし伝送容量を増大)・伝搬環境が悪い場合、符号化率を低くする(伝送容量は下がるが、誤り耐性を高め映像伝送を継続)・誤り訂正符号は、内符号(ターボ符号)の符号化率を、R=0.92~0.33で制御(試験機では、52~

145Mbps)で可変)・符号化後のビット列から、送信しないビットを間引いて(パンクチャ)符号化率を変更

→ 状況に応じてビットレートを制御し、途切れのない映像伝送を実現

映像信号(情報ビット)

時間

伝送容量

パリティビット

誤りが発生しないように符号化率を制御映像信号

(情報ビット)

時間

伝送容量

パリティビット

受信品質が悪くなると誤りが発生

受信品質の変動

符号化率を固定する場合 レートマッチングで符号化率を制御する場合

・フィードバック機能が具備されていない従来方式では、符号化率を固定して使用する。

・中継運用時における最悪の受信品質でも誤らない伝送マージンが必要。

・得られた受信品質に応じて、その時々で誤りが発生しない符号化率を設定。

・伝送マージンを最小限に留めながら、誤りのない伝送を実現。

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7ビームフォーミング(複数アンテナ送信による受信電力の増加)

◆ 一般的に、複数の送信アンテナから信号を送信すると、受信電力は各送信信号を個別に受信した場合の電力の和(電力加算)となるが、アンテナからの送信信号波形が同一の場合、受信信号は受信した信号の電圧波形の和(電圧加算)となり、これら信号波形が同相となる場合(ビームフォーミング)、電力加算の場合に比べて、さらに合成電力は大きくなる。

◆ 高度化方式では、基地局側で同相合成されるよう移動局送信側で位相制御を行う。机上検討において、その利得の増分は最大6dBであり、共用検討におけるFPUからの与干渉や電波防護指針の検討においては、電圧加算として影響電力が6dB増加することを条件とした。なお、野外実験においてゲインの分布を実測し、累積確率99%において3dB以下と確認している。

(送信アンテナの配置例)

ビームフォーミングのパターンイメージ

野外実験(東京都港区、同世田谷区、埼玉県吉見町)におけるゲイン分布を実測した結果、今回の試験において、3dB以下となる累積確率が99%以上であった。

右図:基地局受信点のビームフォーミングゲインの分布の例吉見町周辺、2.3GHz帯、16bit伝送、垂直偏波

6dB※ 青い円:電力加算による利得

(ビームフォーミングなし)

赤い円:電圧加算による最大利得(ビームフォーミングあり)

(放射パターンの例)

FPU基地局におけるビームフォーミングゲインの分布

ビームフォーミングゲイン [dB]

頻度・累積確率

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1.2/2.3GHz帯FPUの要求条件と運用モデル 8

1.伝送

→高品質な4K・8K映像の伝送が可能なこと。

→見通し外の移動中継が可能であること。

→送信アンテナが正確に受信アンテナ方向に向かない場合でも、的確な素材伝送が可能なこと。

→都市部などマルチパス環境下でも的確な素材伝送が可能なこと。

2.伝搬距離

→固定中継において0.1km~50kmの伝送距離を確保できること。

→移動中継において0.1km~10kmの伝送距離を確保できること。

3.その他

→従来の1.2/2.3GHz帯FPUの技術基準との整合を可能な限り図ること。

→2020年を目途として商用実現可能なものであること。

利用用途

送信/受信空中線

伝搬距離

見通し外通信

利用番組

1

固定中継緊急報道で取材現場や中継車から受信基地局へ

八木アンテナ

~50km

無・情報系番組・緊急報道を含

む報道番組電磁ホーン八木アンテナ

2

移動中継ロードレース中継で中継車から受信基地局へ

コーリニアホイップ

10km 有・ロードレース

を含むスポーツ中継八木アンテナ

3

移動中継市街地の比較的近距離の区間で中継車から受信基地局へ

コーリニアホイップ

3km 有

・ロードレースを含むスポーツ中継、イベント中継

八木アンテナ

4

移動中継ロードレース中継で中継車からヘリコプターへ

コーリニアホイップ

~2km

有・ロードレース

を含むスポーツ中継電磁ホーン

平面アンテナ

5

移動中継FPU等の機材をカメラマン等の人が背負い最寄りの中継車へ

コーリニアホイップ

~1km

・情報系番組・緊急報道を含

む報道番組・サッカー等を

含むスポーツ中継

電磁ホーン平面アンテナ八木アンテナコーリニア

6

移動中継

ロードレース中継でバイクから中継車へ

コーリニアホイップ

~1km

無・ロードレース

を含むスポーツ中継

電磁ホーン平面アンテナコーリニア

◆ 1.2/2.3GHz帯のFPUは、ロードレース中継等の移動伝送用途に用いられており、4K・8K対応するにあたっても同じ役割を果せるため、以下の要件や運用形態を満足することが求められる。

要求条件 運用モデル

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伝送容量の検討 9

◆ 電波産業会の素材伝送用HEVCコーデック評価JTGにおいて、ITU-R勧告BT.500-13 (01/2012)に基づく二重刺激連続品質尺度(DSCQS)法による画質評価が行われ、所要ビットレートを検証。

◆ 検証結果に基づき、4K・8K素材伝送に必要な変調パラメータ及びパイロット信号、制御信号を含めた伝送容量について、検討した。

送信モード

モデル 映像ビットレート※1 TSビットレート※2 変調ビット数と符号化率※3

フルモード

(1)8K移動中継 140Mbps 以上 145Mbps 以上16ビット(符号化率:0.92)

(2)8K移動中継(標準品質)

188Mbps 以上 220Mbps 以上24ビット(符号化率:0.92)

(3)4K移動中継 72Mbps 以上 75Mbps 以上10ビット(符号化率:0.76)

(4)4K固定中継(高品質)

135Mbps 以上 145Mbps 以上16ビット(符号化率:0.92)

ハーフモード

(5)4K移動中継 72Mbps 以上 75Mbps 以上18ビット(符号化率:0.87)

(6)4K移動中継(標準品質)

87Mbps 以上 100Mbps 以上24ビット(符号化率:0.87)

※1 ARIBの素材伝送用HEVC コーデック評価JTGによる評価実験の結果

※2 TS: Transport Stream

※3 MIMO運用時。変調方式、符号化率は所要C/Nが可能な限り低くなるものを選択

※4 パイロットシンボル区間やガードインターバル区間などもデータシンボルを連続して伝送するとした理論上の最大伝送容量

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他の無線システムとの共用検討(その1) 10

【検討対象の無線システム】

・1.2GHz帯の特定ラジオマイク、特定小電力・構内無線局、画像伝送用携帯局、アマチュア無線局、準天頂衛星システム、航空路監視レーダーを対象。なお、2.3GHz帯(2.33GHz-2.37GHz)には干渉検討の対象となる無線システムはなかった。

・干渉検討は、一次業務の局に対してはFPUとの被干渉・与干渉を、二次業務の局に対しては被干渉のみ、検討。また、実験条件については、既存FPUの検討条件(放送システム委員会報告(平成25年1月25日)等)を踏襲して実施。

◆ 4K・8K用FPUは、空中線電力、占有周波数帯幅、サイドローブ特性、スプリアス発射、不要発射の強度の許容値等の電波の質に係る主な諸元は、1.2/2.3GHz帯現行FPUの規定を越えていない。

◆ 今回は、キャリア変調方式の追加を踏まえた所要C/Nの見直し、時分割複信方式による信号電力の補正、ビームフォーミングによる合成電力の向上効果を追加要素として、共用条件の検討を実施。

◆ 同一又は隣接周波数を使用する既存の無線システム等を対象として検討した。

(FPU及び検討対象の無線システムに係る周波数の割当て状況)

1.2GHz帯

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他の無線システムとの共用検討(その2) 11

【干渉検討の組み合わせ】

◆ 4K・8K用FPUは、最大で4アンテナから4つの伝送路を構成するとともに、基地局から移動局に送り返す仕組みが加わる。そのため、4つの干渉組み合わせを想定した。

◆ SVD-MIMO方式ではマルチパス伝搬路に対して最適なビット数の配分を求めて送信する。ビット配分のモデルについては、伝送路モデル(郊外部及び都市部)ごとにフェージングシミュレータを用いて実機で実測し、4つのビット数組み合わせを4K・8K用FPUからの送信の代表パターンとして設定した。

4K・8K用FPU(移動局)

他の無線システム(送信)

上り回線

下り回線

RXTX

他の無線システム(受信)

4K・8K用FPU(基地局)

① 他の無線システムからFPU上り回線への干渉

② 他の無線システムからFPU下り回線への干渉

③ FPU上り回線から他の無線システムへの干渉

④ FPU下り回線から他の無線システムへの干渉

【各伝送路モデルにおける代表的なビット数の配分パターン】

・郊外 A/低相関 (7,5,4,0) 128QAM、32QAM、16QAMの組み合わせ

・郊外 A/典型相関 (9,4,3,0) 512QAM、16QAM、 8QAMの組み合わせ

・都市部A/低相関 (7,5,4,0) 128QAM、32QAM、16QAMの組み合わせ

・都市部A/典型相関 (9,4,3,0) 512QAM、16QAM、 8QAMの組み合わせ

※伝送路モデル(一部抜粋):郊外A パス数:11、平均遅延:0.121µs、最大遅延:1.009µs都市部Aパス数:13、平均遅延:0.106µs、最大遅延:4.151µs

なお、伝送路モデルは、総務省委託研究成果から引用した。

※ 相関について、見通しがよい場合は空間相関は高い、逆に反射波が多い場合は空間相関は低い

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他の無線システムとの共用検討(その3) 12

【室内試験】

・検討対象無線システムからの与干渉に関して、4K・8K用FPUの所要D/Uを測定した。

・4K・8K用FPU側の標準的案受信電力については、ロードレースの標準的な運用モデルである運用モデル3(移動中継 3km)において、送信アンテナを4段コーリニア、受信アンテナを12素子八木とした場合の受信電力、-57dBmとした。

・所要D/Uは、検討対象無線システム側の送信レベルを可変として、4K・8K用のFPU側のビット誤り率(BER)が2×10-4となる数値とした。

【離隔距離の計算に用いた4K・8K用FPUの送信諸元】

◆ 離隔距離の算出

・室内実験を実施して4K・8K用FPUの被干渉に係る所要D/Uを求めた。また、4K・8K用FPUの与干渉に係る対象システム側の所要D/Uは、放送システム委員会報告等過去答申から引用している。

・自由空間モデル及び平面大地モデルの計算式から、離隔距離を算出し、結果をまとめた。

運用モデル モデル1 モデル2 モデル3 モデル4 モデル5 モデル6

上り回線

送信周波数[GHz] 1.270 1.270 1.270 1.270 1.270 1.270

送信出力[W] 25.0 25.0 25.0 25.0 0.5 0.5

送信出力[dBm] 44.0 44.0 44.0 44.0 27.0 27.0

送信アンテナ 8素子八木 4段コーリニア 2段コーリニア 2段コーリニア・垂直 2段コーリニア 2段コーリニア

送信アンテナ利得[dBi] 12.0 7.2 5.2 0.0 5.2 5.2

送信アンテナ高[m] 3.5 3.5 3.5 3.5 2.0 2.5

送信給電線損失[dB] 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5

下り回線

送信周波数[GHz] 1.2490 1.2490 1.2490 1.2490 1.2490 1.2490

送信出力[W] 25.0 25.0 25.0 25.0 0.5 0.5

送信出力[dBm] 44.0 44.0 44.0 44.0 27.0 27.0

送信アンテナ 26素子八木 12素子八木 8素子八木 平面 12素子八木 8素子八木

送信アンテナ利得[dBi] 18.1 14.0 12.0 7.2 14.0 12.0

送信アンテナ高[m] 40.0 10.0 10.0 300.0 3.5 3.5

送信給電線損失[dB] 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5

※ 1.2GHz帯のみ引用。モデル5(背負子)及びモデル6(バイク)の送信電力については、現行製品化されている小型機の出力(0.5W)により求めた。

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13他の無線システムとの共用検討の結果(その1)

4K・8K用FPU(運用モデル3)の離隔距離[km] 1.2/2.3GHz帯現行FPUの離隔距離[km]

TX

RX

RX

TX

RX

1.15(B)

1.18(C)1.58 (C)

0.92

0.021(0.07)

1.56

0.220.2

3.76

1.88(A)0.6/1.9(B)

TX

RX

TX

RX

0.12.75(0.769)

0.02(0.05)1.2

0.12

4.0

特定小電力・構内無線局

画像伝送用携帯局

アマチュア無線レピータ

特定ラジオマイク

画像伝送用携帯局

アマチュア無線レピータ

0.29(A)

0.46

0.13(A)0.08/0.26(B)

特定ラジオマイク

0.7

( )内は構内無線局

特定小電力・構内無線局

( )内は構内無線局

A:アナログ 10WB:デジタル 1W/10W

A:デジタル36波B:デジタル38波C:OFDM(16QAM)

0.001(0.004)

ARSR局 3(6.5)

3.3(6.6)8.15

8.15

航空路監視用レーダー(ARSR)

ARSR局 1.5

8.15航空路監視用レーダー(ARSR)

( )内は運用モデル1の場合

RX ( )内はデジタルの場合

準天頂衛星システム

1.9(1.3)

RX

0.04(0.03)

郊外部(都市部)

移動中継で最も一般的なモデルである運用モデル3(伝送距離が3kmの移動中継)での検討結果を記載 現行FPUの離隔距離(準天頂以外) : 情報通信審議会情報通信技術分科会 (第93回)放送システム委員会報告書(平成25年1月25日)から引用 現行FPUの離隔距離(準天頂) :情報通信審議会情報通信技術分科会 (第119回)衛星通信システム委員会報告(平成28年6月30日)から引用

準天頂衛星システム1.2(0.8)

RX 郊外部(都市部)

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14他の無線システムとの共用検討の結果(その2)

干渉対象局移動局との離隔距離 基地局との離隔距離

干渉対策(運用調整により共用可能とする方法)FPU与干渉 FPU被干渉 FPU与干渉 FPU被干渉

特定ラジオマイク 1.58km 0.29km 1.18km 1.15km 現行の1.2GHz/2.3GHz帯FPUと同様に、TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会、(一社)特定ラジオマイク運用調整機構による運用調整

特定小電力局 1.56km 0.001km 0.92km 0.021km ①FPUの使用について十分な周知を行う、あるいは、必要に応じて潜在電界調査を行い、FPUの使用に問題無いことを確認する等の事前調整を行う。周知方法については、次の方法が考えられる。・市報等により該当市町村への周知・販売機器メーカーを通じて使用者に周知・事前にホームページ等で周知・マラソンコース上の潜在電界調査によって確認された特定小電力局を有する工事等に対して文書配布等により周知②事前調整が不十分な場合には、次の様な干渉軽減措置(調整不要)を行い影響を低減させることが可能。・特定小電力無線局の電力密度に合わせて、FPUの送信電力を低減して運用・FPUの送信周波数を調整、周波数帯域の変更して運用

構内無線局 1.56km 0.004km 0.92km 0.07km ①総務省ホームページ掲載の免許情報により、新たに免許人が現れた場合には、放送事業者と事前調整のルールを作成し共用②事前調整が不十分な場合には、特定小電力局の欄に記載の対策により共用が可能

画像伝送用携帯局

0.2km 0.46km 0.22km 3.76km 与干渉についてはロードレースコース近辺の管理を徹底することにより、干渉を未然に防ぐことが可能被干渉が発生した場合には、他の画像に差し替えるなど対策を施した上で、速やかな対応を求める。予め放送事業者から使用者に対してFPUの運用予定を通知し、調整。周知方法は例えば以下の方法が考えられる。・無人ヘリテレ推進協議会の会員に対して周知・TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会のHP等でFPUの運用状況を周知

アマチュア無線局レピータ局

0.08km 0.6km (一社)日本アマチュア無線連盟を通じ、レピータ局の運用担当者と調整し、干渉を避けるように対応を求める。FPU基地局の空中線の指向性の管理を徹底することにより、干渉を防ぐことが可能。無線局の運用状況をホームページ等で周知する。レピータ局は10Wから1Wへの移行が完了しており、より周波数共用が可能となる。

移動局 0.14km 0.9km

月面反射地球局 0.72km 12.13km

航空路監視用レーダー(ARSR)

3.3km 8.15km 3.0km 8.15kmARSRの運用されている地点より6.6km以内、及びARSRの設置場所よりも高い位置でのFPUの運用を行わない。

準天頂衛星受信機 1.9km ー 0.04km ー

4K・8K用FPU基地局送信に対して固定運用される準天頂衛星システム地上系設備に対しては、その設置形態も考慮して、干渉が予想される場合は4K・8KFPU運用者と運用調整等について協議を行うことで共用可能であると考えられる。

※下線は現行FPU導入時に定めた干渉対策から追加したもの

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1.2/2.3GHz帯4K・8K用FPUの技術的条件① 15

検討項目 現行FPU 4K・8K用FPU

1 無線周波数帯 1.2GHz帯及び2.3GHz帯 変更なし2 通信方式 単向通信方式 複信方式(時分割複信)を追加

※ サブフレーム長の組み合わせ例(移動局から基地局へ伝送する回線を上り、基地局から移動局へ伝送する回線を下り)・1.9ms(上り) / 0.3ms(下り)・2.1ms(上り) / 0.3ms(下り)・3.8ms(上り) / 0.4ms(下り)

3 電波の型式 X7W 変更なし

4 最大伝送容量 105 Mbps(フルモード)51 Mbps(ハーフモード)

412 Mbps(フルモード)203 Mbps(ハーフモード)

5 空間多重方式 SISO/STTCーMIMO SVD-MIMOの追加(上り回線に導入。下り回線は現行方式)

6 キャリア変調方式 64QAM、32QAM、16QAM、8PSK、QPSK、BPSK

4096QAM、2048QAM、1024QAM、512QAM、256QAM、128QAM、8QAM を追加

7 周波数の許容偏差 7×10-6以下 変更なし

8 占有周波数帯幅 17.5 MHz以下(フルモード)、8.5 MHz以下(ハーフモード)

変更なし

◆ 現行の技術的条件の改定を要する項目は下表のとおりであり、占有周波数帯幅や送信電力、スペクトル特性等の電波の質を変えずに伝送ビットレートを上げるための検討を実施。

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16

検討項目 現行FPU 4K・8K用FPU

9 誤り訂正 ・内符号畳み込み符号 (R=1/2、2/3、3/4、5/6)

時空間トレリス符号 (R=1/2)

・外符号リードソロモン符号 (204,188) または(204,166)

・内符号ターボ符号を追加(符号化率はレートマッチングにより適応的に選択)

・外符号変更なし。

10 C/N及びC/N配分

・2K固定/移動中継(映像ビットレート35Mbps)フルモード・STTC・16QAM所要C/N:11.8dB

・2K移動中継(映像ビットレート21Mbps)フルモード・STTC・8PSK所要C/N:9.8dB

ハーフモード・偏波MIMO・32QAM・R=1/2所要C/N:15.8dB

※ 映像符号化方式がH264(AVC)の場合

(上り回線)・8K移動中継(映像ビットレート140Mbps)フルモード・16bit変調・R=0.92

所要C/N:21.0dB

・4K固定中継(映像ビットレート135Mbps)フルモード・16bit変調・R=0.92

所要C/N:21.0dB

・4K移動中継(映像ビットレート72Mbps)フルモード・10bit変調・R=0.76

所要C/N:12.0dBハーフモード・18bit変調・R=0.87

所要C/N:21.5dB

※ 映像符号化方式がH265(HEVC)の場合

(下り回線)フルモード/ハーフモード・STTC・16QAM所要C/N:9.8dB

1.2/2.3GHz帯4K・8K用FPUの技術的条件②

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1.2/2.3GHz帯4K・8K用FPUの技術的条件③ 17

検討項目 現行FPU 4K・8K用FPU

11 瞬断率規格、不稼働率規格

年間回線瞬断率 0.5% 変更なし

12 空中線電力 1.2GHz帯 25W(フルモード)12.5W(ハーフモード)

2.3GHz帯 40W(フルモード)20W(ハーフモード)

※各送信機の高周波増幅部出力の総和

変更なし

13 空中線電力の許容値

上限:50 %以内下限:50 %以内

変更なし

14 送信スペクトルマスク

送信スペクトルマスクのブレークポイント等を規定

変更なし

15 スプリアス及び不要発射

変更なし

16 偏波 水平、垂直、円偏波 変更なし17 電波防護指針 電磁界強度指針では、送信機の設

置形態から安全確保可能。局所吸収指針に適合。

電磁界強度指針では中継車による移動中継において最大3.3mの離隔が必要であるが、送信機の設置や運用形態から安全確保可能。アンテナが局所に近接する可能性があるワイヤレスカメラ・背負子(運用モデル5)やバイク(運用モデル6)については、局所吸収指針に適合。

18 測定法 周波数、占有周波数帯幅、空中線電力の許容偏差、スプリアス発射の強度の許容値及び不要発射の強度の許容値、スペクトルマスク

変更なし

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(参考)総合試験について

適応制御MIMO方式等の検討結果の評価のため、屋外での電波伝搬試験を実施した。試験は映像の受信状況(画質、フリーズ頻度、フリーズ箇所等)を確認しながら実施している。

また、伝搬距離、遮蔽物・反射物等による伝搬環境等による伝搬特性の違いが比較できるよう複数のコースを選定し、各コースに対して、一つまたは二つの基地局(固定局)を設置し、移動局(中継車)との電波伝搬試験を行い、高度化方式の検証を行っている。

移動局(中継車)

東京都世田谷区 埼玉県吉見町

中継車(8Kカメラ、変調器、エンコーダ等)

総合試験の伝搬路の特徴等のイメージ

東京都港区

18

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情 通 審 第 号

令 和 年 月 日

総 務 大 臣

石 田 真 敏 殿

情 報 通 信 審 議 会

会 長 内 山 田 竹 志

答 申 書

平成18年9月28日付け諮問第2023号「放送システムの技術的条件」のうち「放

送事業用無線局の高度化のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン

放送のための1.2GHz帯及び2.3GHz帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術

的条件」について、審議の結果、別添のとおり答申する。

(別添は、資料143-1-2とする。)

(案)

資料143-1-3

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情報通信審議会 情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告

概要

新世代モバイル通信システム委員会

「新世代モバイル通信システムに関する技術的条件」のうち「地域ニーズや個別ニーズに応じて様々な主体が利用可能な第5世代移動通信システム(ローカル5G)の技術的条件等」

資料143-2-1

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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ローカル5Gの導入について

5Gにより、「超高速・大容量化」に加え「超低遅延」「多数同時接続」が実現し、多種多様なニーズに応じて、柔軟に無線通信システムの利用環境を提供することが可能となっている。⇒地域のニーズや多様な産業分野の個別ニーズに応じて、様々な主体が柔軟に構築、利用可能な

第5世代移動通信システムである「ローカル5G」について、基本コンセプトや、免許の基本的な考え方及び技術的条件等について検討を行った。

3

出典:新世代モバイル通信システム委員会報告(平成30年7月)

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地域BWA帯域への自営BWA導入について

• 地域BWAについては、「電波有効利用成長戦略懇談会 報告書(平成30年8月)」において、『地域BWAが利用されていない地域・時間帯については、(中略)ホワイトスペースと同様に、周波数共用を推進することが適当である。』と指摘されたところである。

• 5Gについては、導入当初は、4Gのインフラを基盤として動作する無線アクセスネットワーク(NSA:Non Stand Alone)構成で運用が開始され、その後、5Gのみで動作する無線アクセスネットワーク(SA:Stand Alone)構成に移行するシナリオが想定されており、ローカル5Gについても、当初の段階ではNSAと同様のシステム構成を実現できるようにすることが有効である。

• ローカル5Gにより独自ネットワークを構築する上で、5Gが比較的高い周波数帯を利用することから面的なエリアカバーが難しいことが課題となるため、面的なエリアカバーが比較的容易で、4G(TDD-LTE)と互換性のある自営通信システムを構築し、ローカル5Gと組み合わせてネットワークを構築することが有効である。

4

多種多様なニーズに応えるためには、ローカル5Gと4Gによるシステムを組み合わせて自営等ネットワークを構築できるようにすることが有効。

このため、一定の条件のもとで地域BWAの帯域(2575-2595MHz)を利用して4Gによる自営通信システム(自営BWA)の導入に必要な技術的条件等について検討を行った。

NSA

NR基地局

LTE基地局

4Gコアネットワーク(EPC) 5G コアネットワーク

LTE基地局

NR基地局

NR基地局

SA

LTE基地局

マクロセルスモールセル

マクロセルスモールセル

既存周波数帯既存周波数帯

新しい周波数帯新しい周波数帯

制御情報/ユーザ情報 ユーザ情報 制御情報/ユーザ情報

4Gコアネットワーク(EPC)

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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ローカル5Gの基本コンセプト

ローカル5Gの基本コンセプト• 第5世代移動通信システム(5G)を利用• 地域において、ローカルニーズに基づく比較的小規模な通信環境を構築• 無線局免許を自ら取得することも、免許取得した他者のシステムを利用することも可能

出典:ローカル5G検討作業班 第一回会合 田中構成員(日本電気(株))発表資料より抜粋

<ローカル5Gの利用イメージ>

スマートファクトリー 重機遠隔操作

6

ローカル5Gは、地域ニーズや産業分野の個別ニーズに応じて様々な主体が柔軟に構築/利用可能な無線通信システムであり、様々な分野や場所における利用が想定される。

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ローカル5G用の周波数帯について

<ローカル5Gの候補帯域の状況>

7

【4.5GHz帯】

4500 4600

100MHz ↑↓

4800 4900

⑥100MHz ↑↓

100MHz ↑↓

5000

27.4 27.8

④400MHz ↑↓

28.3 29.1 29.528.2

③400MHz ↑↓

②400MHz ↑↓

①400MHz ↑↓

400MHz ↑↓

27.026.6

【28GHz帯等】100MHz ↑↓

置局制限有り(エリア限定/閉空間)

↑↓

置局制限有り(エリア限定/閉空間)↑↓

ローカル5Gに向けた衛星通信事業者との調整事項前回委員会報告で共用について検討済

【3.7GHz帯】

③100MHz ↑↓

②100MHz ↑↓

3600 3700 3800

④100MHz ↑↓

⑤100MHz ↑↓

3900 4000 4100

①100MHz ↑↓

ローカル5Gに向けた公共業務との調整

:ローカル5G用の候補帯域

※番号を付している帯域は全国サービス向けの帯域

ローカル5G用の候補周波数帯と本報告書における取りまとめ範囲• ローカル5Gは、4.6-4.8GHz及び28.2-29.1GHzの周波数を対象に技術的条件等を検討することとする。• その中でも、他の帯域に比べて検討を要する事項が少ない28.2-28.3GHzの100MHz幅について、先行して技術的条件

等を取りまとめた。

ローカル5Gにおける今後の検討事項• 4.6-4.8GHz及び28.3-29.1GHzの周波数における技術的条件等については、今後引き続き検討を行い、共用条件等が

整理された帯域から順次取りまとめを行う。• その際、28.2-28.3GHz帯においても、必要であれば追加の検討を行う。(例えば、非同期運用や「他者の建物又は土地

等」の利用方法など)

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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28.2-28.3GHzの免許主体の範囲と電波の有効利用確保について 9

所有者等利用• 「自己の建物内」又は「自己の土地内」で、建物又は土地の所有者等※に免許することを基本とする。• 建物又は土地の所有者等からシステム構築を依頼された者も、依頼を受けた範囲内で免許取得を可能とすることが望ましい。※ 所有権の他に、賃借権や借地権等を有する者を含むものとする。

他者土地利用• 当面の間は、 「他者の建物又は土地等」(当該建物又は土地の所有者等からシステム構築を依頼されている場合を除く。)で

の利用については、固定通信(原則として無線局を移動させずに利用する形態)の利用のみに限定することが適当である。(移動利用を禁止し、無秩序に面的なエリアカバーが進んでしまうことを防ぐことが目的)

• 「他者の建物又は土地等」での利用については、当該建物又は土地の所有者等によりローカル5Gが利用されていない場合に限定する。

• 他者土地利用の免許取得後に、当該建物又は土地の所有者等が「所有者等利用」としてローカル5Gを利用することとなった場合には、所有者等利用のローカル5G無線局に混信を与えないように協議等を行い、空中線位置や方向の調整等を行う事を他者土地利用のローカル5G無線局の免許の条件とする。なお、その場合においても、所有者等利用のローカル5Gが一方的に参入するのではなく、共用の可能性等について事前に協議を行う場等を設けることとする。

電波の有効利用確保について• 一定期間経過後に、当該帯域の利用度が低い(免許人が少ない、地理的カバー率が低い等)、理由無く非効率な技術を活

用している事が明らかになった場合には、その利用方法の見直し等、電波の有効利用確保に向けた取組みを行う。

28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gについては当面の間、 「自己の建物内」又は「自己の土地内」の利用を基本とする。

他者の建物又は土地等での利用は当面の間、一定の条件の範囲で固定通信の利用に限定する。※ 4.6-4.8GHz及び28.3-29.1GHzにおいては、必ずしも下記考えに縛られずに今後検討することとし、28.2-28.3GHzについても、

今後追加検討をする可能性あり。

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ローカル5Gの利用イメージ 10

土地の所有者による土地内利用 建物の所有者による屋内利用

自己の土地内等で利用

固定通信であればマンションの①依頼を受けて所有者等利用②依頼等なしで他者土地利用

のどちらでもサービス提供することが可能

他者土地利用(固定通信)

他人の土地をまたいで利用する場合は、他者土地利用

他者土地利用(固定通信)

所有者等利用(土地内) 所有者等利用(建物内)

所有者等利用(土地内)

マンションの敷地内に基地局もサービスエリアも収まっているのであれば土地内利用

所有者等利用(土地内)エリアがまたがる工場等(青点線)が所有者等利用を開始する場合にはエリア調整をする必要あり

道路に基地局を設置する場合には、基本的に他者土地利用となる。

所有者等利用/他者土地利用① ②

「所有者等利用」の例

「他者土地利用」の例

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全国キャリア向け帯域との関係について 11

全国キャリア(全国キャリア向け帯域を使用する電気通信事業者)のサービスを補完することを目的として、ローカル5G帯域を利用することは、ローカル5Gの本来の趣旨に反する。• 例えば、ローカル5G帯域と全国キャリア帯域をキャリアアグリゲーションして全国キャリアの利用者向けサービスを提供することは望ま

しくない。• また、基本的に全国キャリアの利用者しか利用できないWi-Fi設置のための伝送路としての利用など、全国キャリアのサービスを実質

的に補完するようなケースも、同様にローカル5Gの本来の趣旨に反するため望ましくない。

ローカル5Gのサービスを補完することを目的として、全国キャリア帯域を利用することは可能。• ローカル5G利用者が敷地外に端末を持ち出した際に、全国キャリア網(4G/5G問わず)を使えることなどを想定。

全国キャリアについては、当面の間、ローカル5G帯域の免許付与はするべきではない。• 全国キャリアについては、開設計画の認定を受けた全国サービス向けの5G帯域の利用をまず優先すべきであること全国キャリア向け帯域で、基本的にローカル5Gと同様のサービスを提供可能であること

等を考慮し、当面の間は、免許付与をするべきではない。• 全国キャリアが、ローカル5Gの免許自体を取得せずに、第三者のローカル5Gシステムの構築を支援することは可能。

全国キャリアのサービスを補完することを目的としてローカル5Gの帯域を利用することは、ローカル5Gの本来の趣旨に反する。

全国キャリアが第三者のローカル5Gの機能を支援することは可能であるが、ローカル5G帯域の免許付与はするべきではない。

※ 4.6-4.8GHz及び28.3-29.1GHzにおいては、必ずしも下記考えに縛られずに今後検討することとし、28.2-28.3GHzについても、今後追加検討をする可能性あり。

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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追加の干渉検討が必要な事例について 13

新世代モバイル通信システム委員会報告(平成30年7月)おける28GHz帯の干渉検討結果を基本的に踏襲した上で、近接するローカル5Gシステム同士の干渉検討を追加で実施。

本報告書においては、他の5Gシステムとネットワーク同期を取ることを前提とした干渉検討を行う。(非同期については今後引き続き検討する。)

■ 免許人の異なるローカル5Gシステム同士が近接するケース

<同期運用※時> <非同期運用時>

■ 隣接周波数を利用する免許人(全国キャリア)と非同期で運用するケース

ローカル5G基地局(ローカル5G免許人)

移動局

携帯電話5G基地局(全国キャリア)

移動局

基地局 基地局

サービスエリア

今回の検討対象

※同期運用:他の基地局と送信・受信のタイミングを同期させて運用すること

ローカル5G基地局(免許人A)

移動局

基地局 基地局

ローカル5G基地局(免許人B)

サービスエリア

ローカル5G基地局(免許人A)

移動局

ローカル5G基地局(免許人B)

基地局 基地局

移動局サービスエリア

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干渉検討モデルについて 14

空中

線高

空中

線高

水平距離基地局 移動局

建物侵入損屋外 屋外

空中線指向特性

基地局 移動局

屋外

基地局 移動局

屋内 屋内屋内建物侵入損

■ 基地局(与干渉)→移動局(被干渉)

屋外 屋外

空中

線高

空中

線高

水平距離基地局移動局

建物侵入損

空中線指向特性

基地局移動局

屋外

基地局移動局

屋内 屋内屋内建物侵入損

■ 移動局(与干渉)→基地局(被干渉)

他の5Gシステムとネットワーク同期させて運用することを前提に「基地局→移動局」及び「移動局→基地局」の組合せについて干渉検討を実施。

それぞれの組合せにおいて屋内と敷地内(屋外)を想定した利用が考えられるため、干渉経路は「屋外→屋外」、「屋外→屋内」及び「屋内→屋内」の3経路を設定。

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電波伝搬モデルについて 15

(注1)勧告ITU-R P.1411-9(06/2017)Propagation data and prediction methods for the planning of short-range outdoor radio communication systems and radio local area networks in the frequency range 300MHz to 100GHz(注2)建物侵入損により、LOS条件下での自由空間電波伝搬式による干渉検討で十分に現実的な離隔距離が算出されることから、over roof-topモデルを用いた干渉検討は行っていない。

干渉の組合せ 屋外→屋外 屋外→屋内 屋内→屋内

基地局→移動局 over roof-topモデル(注1)

over roof-topモデル(注1)

自由空間伝搬式(注2)

移動局→基地局 over roof-topモデル(注1)

自由空間伝搬式(注2)

自由空間伝搬式(注2)

■ 電波伝搬式• 28GHz帯で適用可能なNLOS条件の電波伝搬式として、

勧告ITU-R P.1411のover roof-topモデルを採用

■ 建物侵入損• 建物侵入損として勧告 ITU-R P.2109に基づく値を採用。

場所率は50%に設定し、Traditionalの値を用いた。

干渉検討に用いる見通し外(NLOS※)条件における電波伝搬式及び建物侵入損は、ITU勧告の以下のモデルを採用した。

※NLOS(Non Line Of Sight):干渉検討の対象となる2つの無線局の間に見通しを遮る障害物が存在する状態。見通すことができる状態はLOS(Line Of Sight)という 。

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16干渉検討に用いる基地局の諸元

項目 設定値 備考屋外 屋内空中線電力 5dBm/MHz 0dBm/MHz (注1)

空中線利得 約23dBi素子当たり5dBi、素子数8×8 (注1)

送信系各種損失 3dB (注1、3)等価等方輻射電力(EIRP) 25dBm/MHz 20dBm/MHz (注1)空中線指向特性(水平、垂直) 勧告ITU-R M.2101 (注1)機械チルト(水平方向を0°とする) 10° 90° (注1)

空中線高 6m,15m 3m (注1)送信帯域幅 50MHz - 400MHz

隣接チャネル漏えい電力

下記又は-13dBm/MHzの高い値-28dBc(チャネル帯域幅 MHz離調)※参照帯域幅は当該チャネル帯域幅の

最大実効帯域幅(注2)

スプリアス領域における不要発射の強度 -13dBm/MHz (注1、2)

(注1)ITU-Rにおける共用検討に基づく(Document 5-1/36-E)(注2)3GPPの標準仕様に基づく(注3)同一周波数の干渉検討で考慮。隣接周波数の干渉検討においては、不要発射の強度の

値が総合放射電力(空間に放射される電力の合計値)で規定されているため考慮しない。

<基地局の諸元(送信側)>

項目 設定値 備考屋外 屋内

許容干渉電力(帯域内干渉) -110dBm/MHz(I/N=-6dB、NF=10dB) (注1)

空中線利得 約23dBi素子当たり5dBi、素子数8×8 (注1)

受信系各種損失 3dB (注1)空中線指向特性(水平、垂直) 勧告ITU-R M.2101 (注1)

機械チルト 10° 90° (注1)空中線高 6m,15m 3m (注1)

<基地局の諸元(受信側)>

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

0 30 60 90 120 150 180

←天頂 地表→水平(90度)

利得

(dBi

)

角度θ(度)

基地局の空中線指向特性[チルト10度(下向き)]

基地局の空中線指向特性(垂直面)[チルト90度(下向き)]

干渉検討に用いる基地局の諸元は、新世代モバイル通信システム委員会報告(平成30年7月)を基本的に踏襲。

上記に加え、屋内において天井に配置された基地局の空中線指向特性として、勧告ITU-RM.2101に基づき下向き90度の空中線指向特性を算出した。

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17

<移動局の諸元(送信側)>項目 設定値 備考

空中線電力 23dBm (注2)空中線利得 20dBi (注2)

送信系各種損失 0dB (注2)

等価等方輻射電力(EIRP)26dBm/MHz(50MHz)23dBm/MHz(100MHz)20dBm/MHz(200MHz)17dBm/MHz(400MHz)

(注2)

空中線指向特性(水平、垂直) 勧告ITU-R M.2101 (注1)空中線高 1.5m (注1)

送信帯域幅 50MHz、100MHz、200MHz、400MHz

隣接チャネル漏えい電力 -17dBc (注2)スプリアス領域における不要発射の強度 -13dBm/MHz (注1、2)

その他損失 4dB(人体吸収損) (注1)

項目 設定値 備考

許容干渉電力 -110dBm/MHz(I/N=-6dB、NF=9dB) (注1)

空中線利得 20dBi (注2)受信系各種損失 0dB (注2)

空中線指向特性(水平、垂直) 勧告ITU-R M.2101 (注1)空中線高 1.5m (注1)その他損失 4dB(人体吸収損) (注1)

<移動局の諸元(受信側)>

(注1)ITU-Rにおける共用検討に基づく(Document 5-1/36-E)(注2)3GPPの標準仕様に基づく

移動局の空中線指向特性[チルト0度(水平)]

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

0 30 60 90 120 150 180

移動局の空中線指向特性(垂直面)[チルト90度(上向き)]

干渉検討に用いる移動局の諸元は、新世代モバイル通信システム委員会報告(平成30年7月)を基本的に踏襲。

上記に加え、屋内において天井に配置された基地局と通信を行う移動局の空中線指向特性として、勧告ITU-R M.2101に基づき上向き90度の空中線指向特性を算出した。

干渉検討に用いる移動局の諸元

利得

(dBi

)

角度θ(度)

←天頂 地表→水平(90度)

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28GHz帯におけるローカル5G免許人同士の干渉検討結果 18

(注1)屋内利用での移動局のアンテナ方向が上向き90度(天井方向)の場合(注2)屋内利用での移動局のアンテナ方向が0度(水平方向)の場合

(注1)屋内利用での移動局のアンテナ方向が上向き90度(天井方向)の場合(注2)屋内利用での移動局のアンテナ方向が0度(水平方向)の場合

屋外→屋外 屋外→屋内 屋内→屋内

50MHzシステム

LOS条件離隔51㎞

NLOS条件離隔177m

LOS条件離隔38m

隣室LOS条件

離隔4.7m(注1)離隔38m(注2)

別建物LOS条件

離隔3.0m(注1)離隔6.0m(注2)

100MHzシステム

LOS条件離隔36㎞

NLOS条件離隔143m

LOS条件離隔27m

隣室LOS条件

離隔4.4m(注1)離隔27m(注2)

別建物LOS条件

離隔2.7m(注1)離隔5.0m(注2)

200MHzシステム

LOS条件離隔26㎞

NLOS条件離隔115m

LOS条件離隔19m

隣室LOS条件

離隔4.1m(注1)離隔19m(注2)

別建物LOS条件

離隔2.4m(注1)離隔3.8m(注2)

400MHzシステム

LOS条件離隔18㎞

NLOS条件離隔92m

LOS条件離隔13m

隣室LOS条件

離隔3.7m(注1)離隔13m(注2)

別建物LOS条件

離隔2.1m(注1)離隔3.4m(注2)

屋外→屋外 屋外→屋内 屋内→屋内

LOS条件離隔46㎞

NLOS条件離隔163m

LOS条件離隔90m(注1)離隔4.5㎞(注2)

NLOS条件離隔9m(注1)離隔38m(注2)

隣室LOS条件

離隔4.2m(注1)離隔18.3m(注2)

別建物LOS条件

離隔2.4m(注1)離隔3.7m(注2)

■ 基地局→移動局の干渉検討結果(必要な離隔距離) ■ 移動局→基地局の干渉検討結果(必要な離隔距離)

ネットワーク同期させて運用した場合の28GHz帯におけるローカル5Gシステム同士の「基地局→移動局」及び「移動局→基地局」の組合せについて、干渉検討を行い近接して異なるローカル5Gを導入する場合に必要な離隔距離を算出した。

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28GHz帯におけるローカル5Gシステム同士の干渉検討結果のまとめ 19

基地局(与干渉)

↓移動局

(被干渉)

見通し外(NLOS)条件で、160m程度の離隔で共用可能と考えられる

•サイトエンジニアリングや送信電力、アンテナ利得・指向性等の調整で、更なる離隔の短縮が可能

•屋内利用では、壁による建物侵入損の効果で、より小さな離隔で共用可能

移動局(被干渉)

↓基地局

(与干渉)

見通し外(NLOS)条件で、180m程度の離隔で共用可能と考えられる

•サイトエンジニアリングや通信環境の改善による送信電力の低減等の調整で、更なる離隔の短縮が可能

•屋内利用では、壁による建物侵入損の効果で、より小さな離隔で共用可能

ローカル5G基地局(A免許人)

移動局

163m(NLOS)

ローカル5G基地局(B免許人)

ビル陰

ローカル5G基地局(A免許人)

移動局

ローカル5G基地局(B免許人)

177m(NLOS)

ビル陰

ネットワーク同期させて運用した場合の28GHz帯におけるローカル5Gシステム同士の干渉検討を行った結果、屋外では見通し外(NLOS)条件で最大180m程度の離隔距離が必要となるが、隣接する免許人同士でサイトエンジニアリング等の調整を行うことで共用は可能。

屋内利用では、壁による建物侵入損の効果で、より小さな離隔で共用可能。

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干渉検討に関する今後の主な検討課題 20

衛星通信システムとの共用について• 新世代モバイル通信システム委員会報告(平成30年7月)における干渉検討結果を踏まえ、基地局の設置状況の管理及び

地球局近傍での干渉調整を適切に実施することで共用可能。• 基地局の設置状況の管理方法等について、当初は総務省が基地局数を把握して管理することとし、中長期的な管理方法等に

ついては、将来のローカル5G局の免許状況を踏まえた上で、継続的に検討を行うこととする。

隣接周波数を利用する全国キャリアとの共用について• 28.2-28.3GHz帯においては、当面の間は、隣接周波数を利用する全国キャリアの5Gシステムとネットワーク同期させて運用

することで、ガードバンドなしでローカル5Gを導入することを基本とする。• ただし、個別に協議した結果、非同期で運用可能と関係者間で合意した場合は非同期でも運用可能とする。• 今後、28.2-28.3GHz以外の帯域におけるローカル5Gの導入について検討する中で、 28.2-28.3GHz帯も含めて非同期

運用を行う場合の条件等について検討を行う。

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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ローカル5Gの技術的条件(28.2-28.3GHz) 22

周波数帯 28.2-28.3GHz

通信方式 TDD

多重化方式/多元接続方式

基地局 OFDM及びTDM

移動局 OFDMA又はSC-FDMA

変調方式基地局 QPSK/16QAM/64QAM/256QAM

移動局 π/2-BPSK/QPSK/16QAM/64QAM/256QAM

占有周波数帯幅の許容値

基地局 50MHz/100MHz

移動局 50MHz/100MHz

不要発射強度の値基地局 占有周波数帯幅毎に隣接チャネル漏えい電力、スペクトラムマスク、スプリアスを規定

移動局 占有周波数帯幅毎に隣接チャネル漏えい電力、スペクトラムマスク、スプリアスを規定

最大空中線電力及び空中線電力の許容偏差

基地局 最大電力:原則として、屋外では5dBm/MHz以下、屋内では0dBm/MHz以下注

許容偏差:定格空中線電力の±5.1dB以内

移動局最大電力:定格空中線電力の最大値は23dBm以下許容偏差:定格空中線電力に3.6dBを加えた値以下

空中線絶対利得の許容値基地局 原則として、23dBi以下注

移動局 20dBi以下

周波数の許容偏差基地局 ±(0.1ppm+12Hz)以内

移動局 ±0.105ppm以内

<ローカル5Gの技術的条件>

注:当該諸元を越えた基地局の開設にあたっては、衛星通信事業者等と事前の協議等を行うこととする。

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スプリアス領域における不要発射の強度(28.2-28.3GHz) 23

周波数範囲 許容値 参照帯域幅30MHz以上1000MHz未満 -13dBm 100kHz

1000MHz以上上端の周波数の2倍未満 -13dBm 1MHz

周波数範囲 許容値 参照帯域幅6GHz以上12.75GHz未満 -30dBm 1MHz

12.75GHz以上上端の周波数の2倍未満 -13dBm 1MHz

スプリアス領域における不要発射の強度の許容値(移動局)

スプリアス領域における不要発射の強度の許容値(基地局)

<基地局>

<移動局>

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隣接チャネル漏えい電力(28.2-28.3GHz) 24

<相対値規定>システム帯域幅

参照帯域幅参照帯域幅

離調周波数

参照帯域幅

離調周波数

電力比

<絶対値規定>システム帯域幅

参照帯域幅参照帯域幅

離調周波数

参照帯域幅

離調周波数

隣接帯域内の電力隣接帯域内の電力

※ 絶対値規定における隣接帯域内の電力は、基地局は(dBm/MHz)、移動局は(dBm/参照帯域幅)で規定

• システム帯域幅と周波数差毎に隣接チャネル漏えい電力を規定(相対値及び絶対値)• 移動局において、一の送信装置で隣接する複数の搬送波を同時に送信する場合にあっては、複数の搬送波を一体と見

なした隣接チャネル漏えい電力を規定• それ以外のキャリアアグリゲーションについては、1波毎の規定を適用

システム帯域幅参照帯域幅

参照帯域幅

離調周波数

参照帯域幅

離調周波数

<移動局:同一周波数帯内、連続CAの場合>

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スペクトラムマスク(28.2-28.3GHz) 25

※:送信周波数帯域幅に対する割合

オフセット周波数 (MHz) 許容値 参照帯域幅0.5MHz以上10%※+0.5MHz未満 -2.3dBm 1MHz

10%※+0.5MHz以上 -13dBm 1MHz

スペクトラムマスク(移動局)

スペクトラムマスク(基地局)

<基地局>

<移動局>

オフセット周波数

システム毎の許容値(dBm) 参照帯域幅

50MHz 100MHz

0MHz以上5MHz未満 1.5 1.5 1MHz 5MHz以上10MHz未満 -6.5 1.5 1MHz10MHz以上100MHz未満 -6.5 -6.5 1MHz100MHz以上200MHz未満 -6.5 1MHz

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電波防護指針について 26

• 6 GHzを超える周波数帯の電波を利用する、人体の近くで使用される無線設備における電波防護指針については、情報通信審議会において審議が行われ、平成30年9月、新たに入射電力密度の指針値を適用することとなった※ことから、これを踏まえて対応する必要がある。

(参考)高周波領域における電波防護指針改定に伴う省令改正の概要 (平成31年電波監理審議会 諮問第12号)

● 対象設備:・送信空中線と人体(側頭部及び両手を除く。)との距離が20cmを超えない状態で使用される無線設備・携帯して使用するために開設する無線局のもので、人体側頭部に近接した状態において電波を送信する無線設備

● 入射電力密度の許容値:6 GHzを超え、30 GHz以下の周波数帯のもの …任意の体表面4 cm2当り 2 mW/cm2

30 GHzを超え、300 GHz以下の周波数帯のもの …任意の体表面1 cm2当り 2 mW/cm2

● 以下のものを告示で規定・適用除外となる空中線電力・同一筐体から複数の電波が同時に発射される場合の評価方法・入射電力密度の測定方法 等

※… 情報通信審議会 諮問第2035号「電波防護指針の在り方」のうち「高周波領域における電波防護指針の在り方」(平成30年9月12日)

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1.調査検討の背景

2.ローカル5Gの概要

3.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの免許の基本的な考え方

4.28GHz帯におけるローカル5Gの干渉検討

5.28.2-28.3GHzにおけるローカル5Gの技術的条件

6.地域BWA帯域における自営BWAの導入

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地域BWA帯域における自営BWAの導入 28

免許の基本的な考え方• 自営BWAは、地域BWAで利用されていない場所又は近い将来利用する可能性が低い場所で開設することを基本とする。• 「自己の建物内」又は「自己の土地内」で、建物又は土地の所有者等に免許することを基本とする。また、当該所有者等からシス

テム構築を依頼された者も、依頼を受けた範囲内で免許取得を可能とすることが望ましい。• 建物又は土地の所有者等から依頼を受けて自営BWAの免許を取得できる者は、地域BWAと同様とする。

(全国キャリア(全国キャリア向け帯域を使用する電気通信事業者)及びその子法人等は免許を取得できない。)• 自営BWAの免許取得後に、同じ場所において地域BWAが参入する場合には、地域BWAの無線局に混信を与えないように協

議等を行い、自営BWAの無線局の空中線位置や方向の調整等を行う事を自営BWAの免許の条件とすることが適当である。 ただし、その場合においても、地域BWAが一方的に参入するのではなく、周波数の共用の可能性等について事前に協議を行う場等を設けることとする。

技術的条件及び共用条件• 地域BWAの技術的条件及び共用条件と同等

電波の有効利用確保について• 一定期間経過後に、当該帯域の利用度が低い(免許人が少ない、地理的カバー率が低い等)、理由無く非効率な技術を活

用している事が明らかになった場合には、その利用方法の見直し等、電波の有効利用確保に向けた取組みを行う。

地域BWA帯域における自営BWAへの周波数割当ての対象範囲は以下のとおりとし、技術的条件等については地域BWAと同様とすることとする。

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29

自営BWA利用

地域BWA利用

ビジネス街

宅地

商業地

農地

工場等

工業地帯や農業地帯等の地域BWAが利用されていないエリア/近い将来利用される可能性が低いエリアにおいては、 「自己の建物内」又は「自己の土地内」で自営BWAの利用が可能

地域BWAは、電気通信事業であり、市街地(住宅街や駅・商業地等)を中心にエリア展開

自営BWAの導入後の地域BWA帯域の利用イメージ

牧場 公共施設等

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(参考)地域BWAと自営BWAの相違点の整理

地域BWA 自営BWA周波数帯域 2575-2595MHz

利用通信方式 AXGP又はWiMAX R2.1 AE(TD-LTEと互換性あり)

電波の利用目的 電気通信業務用一般業務用

ただし、建物又は土地の所有者等から依頼を受けて免許を取得するケースにおいては、電気通信業務用となる

免許条件/サービス範囲

公共サービスの提供にかかる同意書等を取得した市区町村の範囲内

「自己の建物内」若しくは「自己の土地内」又は「建物又は土地の所有者等からシステム構築を依頼された場合は、依頼を受けた範囲内」

全国キャリア※及びその子法人等は免許取得不可

技術的条件

周波数の許容偏差 3×10-6以下占有周波数帯幅 20MHz以下

空中線電力 移動局:200mW以下 基地局:40W以下空中線利得 移動局:4dBi以下 基地局:17dBi以下

共用条件

隣接帯域との共用 • 原則として、隣接する全国BWA事業者と同期及び協議が必要。• 同期しない場合には、隣接する全国BWA事業者との協議及び左右に5MHz幅のガードバンドが必要。

地域BWAと自営BWAの共用

優先的利用 二次的利用• 自営BWAは、地域BWAで利用されていない/近い将来利用する可能性が低い範囲で開設すること

を基本とする。• 自営BWAの免許取得後に、同じ場所において地域BWAが参入する場合には、地域BWAの無線局

に混信を与えないように、空中線位置の調整等を行う事を自営BWAの免許の条件とする。• 周波数の共用の可能性等に関する話合いの場等を設けることとする。

30

※ 携帯電話サービス用及び広帯域移動無線アクセスシステム用の周波数(2575-2595MHzを除く。)を使用する電気通信事業者

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本報告の検討経過(概要) 31

第11回委員会(平成30年12月3日)から第13回委員会(令和元年6月3日)において、ローカル5Gに関する技術的条件等について取りまとめを行った。

① 第11回委員会(平成30年12月3日)• ローカル5G検討作業班の設置並びに委員会、技術検討作業班及びローカル5G検討作業班の

今後の検討スケジュールについて検討

(ローカル5G検討作業班を6回開催し、ローカル5G及び自営BWAの技術的条件等について検討を行った。)

② 第12回委員会(平成31年4月12日)• ローカル5G検討作業班における検討状況についての報告

平成31年4月19日~5月23日 委員会報告(案)に対する意見募集

③ 第13回委員会(令和元年6月3日)• ローカル5Gに関する委員会報告案及び報告の概要案の取りまとめ

参考1

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情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会構成員名簿 (敬称略) 32

森川 博之【主任】 東京大学大学院 工学系研究科 教授三瓶 政一【主任代理】 大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授江村 克己 日本電気株式会社 取締役 NECフェロー井伊 基之 日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 技術企画部門長岩浪 剛太 株式会社インフォシティ 代表取締役内田 信行 楽天モバイル株式会社 ネットワーク本部副本部長兼技術開発室長内田 義昭 KDDI株式会社 代表取締役執行役員副社長 技術統括本部長大岸 裕子 ソニー株式会社 R&Dプラットフォーム デバイス&マテリアル研究開発本部 企画部 統括部長大谷 和子 株式会社日本総合研究所 執行役員 経営管理部門 法務部長河東 晴子 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 主管技師長高田 潤一 東京工業大学 環境・社会理工学院 教授田村 穂積 株式会社NTTドコモ 取締役常務執行役員 NW本部長 NW部長兼務福井 晶喜 独立行政法人国民生活センター 相談情報部相談第2課長藤本 正代 情報セキュリティ大学院大学 教授、GLOCOM 客員研究員藤原 洋 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長 兼 社長CEO町田 奈穂 インテル株式会社 技術本部 副本部長松井 房樹 一般社団法人電波産業会 専務理事・事務局長松本 端午 富士通株式会社 執行役員常務

宮川 潤一 ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTO テクノロジーユニット統括 兼 技術戦略統括

三好 みどり NPO法人ブロードバンドスクール協会 講師/シニア情報アドバイザー行武 剛 パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務 CTO

令和元年6月3日現在

参考2

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情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会ローカル5G検討作業班 構成員名簿 (敬称略) 33

平成31年3月14日現在

三瓶 政一【主査】 大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授山尾 泰【主査代理】 電気通信大学 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター 教授石津 健太郎 国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター ワイヤレスシステム研究室 研究マネージャー市川 麻里 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 周波数管理室 室長伊東 克俊 ソニー株式会社 R&Dセンター 基盤技術研究開発第1部門 コネクティビティ技術開発部 統括部長大谷 満 東芝インフラシステムズ株式会社 社会システム事業部 技監大橋 功 株式会社JTOWER 渉外室 シニアマネージャー加藤 典彦 株式会社ブロードバンドタワー 社長室 フェロー加藤 康博 一般社団法人電波産業会 研究開発本部 移動通信グループ 担当部長久保田 啓一 楽天モバイルネットワーク株式会社 ネットワーク本部 技術戦略部 インフラ開発課 課長黒澤 葉子 KDDI株式会社 技術統括本部 モバイル技術本部 次世代ネットワーク開発部 副部長小竹 完治 株式会社地域ワイヤレスジャパン 代表取締役社長小松 大実 スカパーJSAT株式会社 技術運用部門統括部 部長佐野 弘和 ソフトバンク株式会社 電波企画室 制度推進課 課長城田 雅一 クアルコムジャパン合同会社 標準化部長外山 隆行 パナソニック株式会社 要素技術開発センター 開発4部 部長田中 雅士 日本電気株式会社 ネットワークサービスビジネスユニット 新事業推進本部部長玉木 剛 株式会社日立国際電気 事業企画本部 本部長付中村 隆治 富士通株式会社 ネットワークビジネス戦略室 プリンシパルエンジニア中村 武宏 株式会社NTTドコモ 執行役員 5Gイノベーション推進室 室長中村 光則 阪神電気鉄道株式会社 コミュニケーションメディア統括部 課長補佐生田目 瑛子 ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社 デジタルオートメーション事業部事業開発マネージャー長谷川 史樹 三菱電機株式会社 通信システム事業本部 通信システムエンジニアリングセンター 標準化担当部長堀江 弘 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター 企画調査部 副部長本多 美雄 欧州ビジネス協会 電気通信機器委員会 委員長松波 聖文 日本無線株式会社 官公庁事業統括部 官公庁営業推進グループ 専任課長

参考3

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情 通 審 第 号

令 和 年 月 日

総 務 大 臣

石 田 真 敏 殿

情 報 通 信 審 議 会

会 長 内 山 田 竹 志

答 申 書

平成28年10月12日付け諮問第2038号「地域ニーズや個別ニーズに応じて様々

な主体が利用可能な第5世代移動通信システム(ローカル5G)の技術的条件等」

について、審議の結果、別添のとおり答申する。

(別添は、資料143-2-2とする。)

(案)

資料143-2-3

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別 紙

諮問第2044号

放送システムに関する技術的条件

1 諮問理由

我が国では、技術の進展に伴い、平成 12年から BSデジタル放送、平成 15年から地

上デジタル放送を開始し、また平成 30 年には新 4K8K 衛星放送を開始するなど、新た

な技術を順次導入していくことで、放送の高度化を実現してきた。

また、総務省では、平成 31年度から「放送用周波数を有効活用する技術方策に関す

る調査検討(技術試験事務)」を開始するなど、放送用周波数の更なる有効活用を見据

え、映像圧縮方式の高度化、変調方式の多値化及び偏波の活用をはじめとした、デジ

タル放送方式の高度化に関する技術的な検討を進めている。

これを受け、放送システムに関する技術的条件について諮問するものである。

2 答申を希望する事項

放送システムに関する技術的条件

3 答申を希望する時期

技術試験事務等により得られたデータの取りまとめができた技術から、順次一部

答申を希望する。特に、映像圧縮方式の高度化に関する技術的条件については、令和

元年度中の一部答申を希望する。

4 答申が得られたときの行政上の措置

関係省令等の改正に資する。

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「放送システムに関する技術的条件」について

1.映像圧縮方式の高度化に関する技術的条件2.地上デジタル放送方式に関する技術的条件

3.その他関連事項

検討事項

検討体制

情報通信技術分科会 放送システム委員会の下に「地上デジタル放送方式高度化作業班」を設置して検討

我が国は、放送技術の進展を受け、新たな方策を順次導入していくことで放送の高度化を実現。

本検討は、総務省において平成31年度より実施している「放送用周波数を有効活用する技術方策に関する調査検討(技術試験事務)」を受け、地上デジタル放送方式の高度化等に関する技術的条件について、新たに諮問するもの。

技術試験事務等により得られたデータの取りまとめができた技術から順次一部答申を希望する。特に、映像圧縮方式の高度化に関する技術的条件については、令和元年度中の一部答申を希望する。

答申を希望する時期

映像圧縮方式の推移

1.5倍

VVC

(BS/110˚CS 4K/8K)(124˚・128˚ 4K)

(124˚・128˚ 2K)

(BS/110˚CS)

映像表現の高度化

資料143-3-2

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「放送に係る安全・信頼性に関する技術的条件」のうち「地上デジタルテレビジョン放送

等の安全・信頼性基準に関する技術的条件」の検討開始について

1. 検討の背景

地上系の放送、衛星系の放送、有線放送に関し、放送中止事故等を未然に防ぐなどの措

置を行うことを求める観点から、安全・信頼性に関する規定として、予備機器の配備、停

電対策、故障検出、応急復旧機材の配備等を共通に定めている。

サイバーセキュリティの確保については、現在は安全・信頼性に関する規定として明文

化されていないものの、事故原因がサイバーセキュリティに関するものへの対応も含ま

れており、従来、各放送事業者において対策が進められている。

一方、「サイバーセキュリティ戦略」(平成 30年 7月 27日閣議決定)、「重要インフラの

情報セキュリティ対策に係る第 4次計画」(平成 30年 7月 25日サイバーセキュリティ戦

略本部改定)等において「安全等を維持する観点から、サイバーセキュリティ対策を関係

法令等における保安規制として位置づけるなど、制度的枠組みを適切に改善」することと

されている。

これを受け、昨今のサイバー攻撃の多様化や 2020年オリンピック・パラリンピック東

京大会への対応を見据え、放送設備のサイバーセキュリティの確保に関する技術的条件

の検討を開始する。

2. 検討事項

平成 22 年 12月 21日付け諮問第 2031 号「放送に係る安全・信頼性に関する技術的条

件」のうち「地上デジタルテレビジョン放送等の安全・信頼性基準に関する技術的条件」

3. 検討体制

放送に係る安全・信頼性に関する技術的条件を担当する既設の「放送システム委員会」

(主査:伊丹 誠 東京理科大学基礎工学部教授)において検討を行う。また、委員会が必

要とする情報を収集し、委員会の検討を促進させるため、既設の「放送設備安全信頼性検

討作業班」において検討項目の明確化等を行う。

4. 答申を予定する時期

令和元年 11月

資料 143-4

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○サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)

(定義)

第二条 この法律において「サイバーセキュリティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式(以下この条において「電磁的方式」という。)により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置(情報通信ネットワーク又は電磁的方式で作られた記録に係る記録媒体(以下「電磁的記録媒体」という。)を通じた電子計算機に対する不正な活動による被害の防止のために必要な措置を含む。)が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。

第104条 予備機器等

第105条 故障検出

第106条 試験機器及び応急復旧機材の配備

第107条 耐震対策

第108条 機能確認

第109条 停電対策

第110条 送信空中線に起因する誘導対策

放送法施行規則における安全・信頼性に関する規定

「地上デジタルテレビジョン放送等の安全・信頼性に関する技術的条件」のうち「サイバーセキュリティの確保に関する技術的条件」の検討開始について

● 安全・信頼性の技術基準及びそれに対する適合維持義務 (法第111条、第112条、第121条、第136条)

● 重大事故が発生した場合における報告 (法第113条、第122条、第137条)

● 設備状況に関する報告 (法第115条、第124条、第139条)

放送法における安全・信頼性に関する規定

地上系の放送、衛星系の放送、有線放送に関し、放送中止事故等を未然に防ぐなどの措置を行うことを求める観点から、安全・信頼性に関する規定として、予備機器の配備、停電対策、故障検出、応急復旧機材の配備等を共通に定めている。

サイバーセキュリティの確保については、現在は安全・信頼性に関する規定として明文化されていないものの、事故原因がサイバーセキュリティに関するものへの対応も含まれており、従来より各放送事業者において対策が進められている。

一方、「サイバーセキュリティ戦略」(平成30年7月27日閣議決定)、「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次計画」(平成30年7月25日サイバーセキュリティ戦略本部改定)等において「安全等を維持する観点から、サイバーセキュリティ対策を関係法令等における保安規制として位置づけるなど、制度的枠組みを適切に改善」することとされている。これを受け、昨今のサイバー攻撃の多様化や2020年オリンピック・パラリンピック東京大会への対応を見据え、放送設備のサイバーセキュリティの確保に関する技術的条件の検討を開始する。

第111条 防火対策

第112条 屋外設備

第113条 放送設備を収容する建築物

第114条 耐雷対策

第115条 宇宙線対策

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情報通信審議会 情報通信技術分科会

「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」の

検討開始について

令和元年6月18日

資料143-5

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■検討背景

920MHz帯の電子タグシステム等(パッシブ系電子タグシステム及びアクティブ系小電力無線システム)においては、平成23年に制度化され、移動体識別やスマートメーター等に広く利用されている。

近年、パソコンやスマートフォンだけでなく、家電や自動車、ロボット、工場など、あらゆるモノがインターネットにつながり、新たな価値を生み出す IoT( Internet of Things)機器が世界中で普及しており、920MHz帯の電子タグシステム等も多く使用されている。

920MHz帯の電子タグシステム等は、システム間の周波数共用を図るため、我が国ではキャリアセンスの機能を備え付けることとしている一方、諸外国では、周波数ホッピング(FHSS:Frequency Hopping SpreadSpectrum)やLDC(Low Duty Cycle)の機能を備え付けることとしており、これら機器を我が国に輸入する際は機能改修が必要となることから、IoT機器の普及に伴い諸外国との調和を図る必要性が高まっている。

このため、IoT機器を我が国において柔軟に活用できるよう環境を整備するため、諸外国の技術基準を踏まえた技術的条件の検討を行う。

※ 諮問第2009号「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」

920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件の検討開始について

■ 今後の予定

令和元年10月頃 一部答申予定

■ 諸外国のRFID等の周波数割り当て

世界的には、RFIDの周波数は、900MHz帯が割り当てられ、欧州地域等では一部800MHz帯も割り当てられている。

■ 検討事項

周波数共用のため、キャリアセンスの他、FHSSやLDCの機能の導入のための検討を行う。

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日本 米国 欧州 韓国

規定 無線設備規則 FCC §15.247CEPT ERC

Recommendation70-03 ANNEX 11

無線設備規則第30条

周波数共用を図るための機能・方

キャリアセンス※1 ◎ - ○ ○

周波数ホッピングFHSS※2 - ◎ - ○

LDC※3(送信時間の短縮)

- - ○ ○

920MHz帯の諸外国の主な周波数共用条件の比較表

※1 【キャリアセンス】LBT(Listen Before Talk)ともいう。キャリア(搬送波)を受信することによって、自身が発信しようとする周波数・チャネルが空いているかどうかを検知すること。

※2 【 FHSS(Frequency Hopping Spread Spectrum:周波数ホッピング・スペクトラム拡散)】スペクトラム拡散方式の一つで、秘匿性が高

くノイズに強いだけでなく、他システムへ与える影響も少ない。短い時間ごとに周波数帯を切り替えて通信を行う方式で、一部の周波数帯を長く占有することがない。一回ごとの通信の信号強度は高いが、時間を基準に平均すると拡散された信号になる。

※3 【 LDC(Low Duty Cycle) 】ある一定時間に占める電波の発射時間を短くすること。電波の発射時間が短いため、他システムへ与える影響も少ない。

・日本は、キャリアセンスが必須(空中線電力が1mW以下であれば不要)・米国は、周波数ホッピング(FHSS)が必須(空中線電力密度が3kHzあたり8dBm以下であれば不要)・欧州は、キャリアセンス又はLDCのいずれかの機能を有していれば可・韓国は、キャリアセンス又はFHSS又はLDCのいずれかの機能を有していれば可

◎…原則必須 ○…選択可

※ キャリアセンスは周囲の電波を事前に計測する必要があり、機器が高価になる傾向あり

■920MHz帯小電力無線システムの主な周波数共用条件

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情報通信審議会 情報通信技術分科会

「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「 60GHz帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化に向

けた技術的条件」の検討開始について

令和元年6月18日

資料143-6

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60GHz帯の周波数の電波を使用する小電力無線局は、平成7年に制度化された60-61GHzのミリ波レーダー用の特定小電力無線局と、平成12年に制度化された57-66GHzのデータ通信システムの無線局が存在する。

近年、広帯域のレーダーを使用し、離れたところから、モバイル端末やテレビなどを手の動きを使って操作するモーションセンサや、人体表面のわずかな動きを捉え、高精度に心拍数や心拍間隔を計測する生体情報センサ、一つの無線設備でデータ通信と無線標定を行うといった新たな無線システムの導入が期待されている。また、57-66GHzのデータ通信システムの構成要素は、制度の導入当初から大きく変更になっており、近年の無線システムの状況を鑑み、更なる利便性向上に向けて、筐体条件の技術基準を見直すことが要望されている。

このため、新たな無線システムの導入等に向け、 60GHz帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化について、今後の普及予測や他の無線システムへの影響を確認した上で、情報通信審議会諮問第2009号※1に基づき、必要な技術的条件の検討を行う。

■ 主な検討項目

■検討背景

■ 今後の予定令和元年9月 情報通信技術分科会 一部答申予定

(1)60GHz帯の新たな無線システムの導入のための必要な技術基準の検討

周波数帯や空中線電力、占有周波数帯域幅等の技術基準について、他の無線システムへの影響を確認した上で検討する。

(2)その他技術基準の見直し近年の60GHz帯無線システムの状況を鑑み、更なる利便

性向上に向けて、筐体条件の技術基準を見直しについて検討する。

※1 諮問第2009号「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件について」

■ 新たな利用シーン

60GHz帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化に向けた技術的条件の検討開始について

反射されるレーダー波(60GHz帯)を用いてユーザーの手の動きを認識してスマートウォッチ上の画面をスクロール

心臓の鼓動による人体表面のわずかな動きを認識して、心拍数や心拍間隔等の生態情報を取得

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(参考)60GHz帯における周波数割り当て状況について

57検討する周波数帯

64

[ GHz ]

主な共用検討先 60GHz帯ミリ波レーダー(ミリ波踏切障害物検地装置等)

55GHz帯テレビジョン放送用の無線中継伝送装置(FPU)

小電力データ通信システム(通信目的限定)・WiGig、・Wireless HD、・ミリ波画像伝送システム、 など

電波天文 探査衛星業務(米・欧州)

58.2

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ICTグローバル戦略について

令 和 元 年 6 月総 務 省国 際 戦 略 局

資料143-7

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1「デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会」の概要 現在、世界は、AI、IoT、ビッグデータなどが牽引する第四次産業革命によって、狩猟、農耕、工業、情報に続く第5の社会である「Society 5.0」に向けての大きな変革の中にある。

このような背景を踏まえ、AI技術、センシング技術、ネットワーク技術などの世界最先端のICT研究開発を進めるとともに、ICTの社会実装とその海外展開、国際標準化などによる世界の社会課題解決を進めるための戦略を検討。

1. 世界最先端のICT研究開発・Society5.0の実現及び国際競争力の強化に必要なICT基盤技術の確立・国際競争力の強化に向けた重点施策の再編

2. ICTの社会実装・海外展開・社会課題の解決に資する技術開発の推進及び技術開発を促進するための環境整備・研究開発段階からの国際標準化及び国際連携の推進・ICTの海外展開及びそれによるSDGsの実現を通じた社会課題の解決

3. 望ましい国際的なルールの姿の検討及びその形成を推進するための方策4. G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合、その後のG7やG20などの場の活用を含めた、日本の戦略推進の在り方

検討事項

スケジュール

構成員(座長)西尾 章治郎 大阪大学総長

(座長代理)田中 明彦 政策研究大学院大学長相田 仁 東京大学大学院工学系研究科教授デービッド・アトキンソン 株式会社小西美術工藝社代表取締役社長石戸 奈々子 NPO法人CANVAS理事長、慶應義塾大学教授岩田 一政 公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長江田 麻季子 世界経済フォーラム(WEF)日本代表遠藤 信博 一般社団法人日本経済団体連合会情報通信委員長岡 素之 住友商事株式会社名誉顧問桑津 浩太郎 株式会社野村総合研究所研究理事

國分 俊史 多摩大学大学院教授 ルール形成戦略研究所所長坂村 健 INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長徳田 英幸 国立研究開発法人情報通信研究機構理事長中沢 正隆 東北大学電気通信研究機構特任教授中須賀 真一 東京大学大学院工学系研究科教授藤原 洋 株式会社ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO増田 寛也 東京大学公共政策大学院客員教授三友 仁志 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科長・教授室井 照平 福島県会津若松市長

平成30年12月 ~ 令和元年5月

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2ICTグローバル戦略の全体像

1.デジタル化によるSDGs達成戦略地球上の誰一人として取り残さない社会の実現に向け、

官民の各セクターが相互に連携して社会全体の徹底的なデジタル化を進め、日本と世界の社会課題の解決を推進

6つの戦略

人間中心 持続可能性 多様性

基本理念 社会全体のデジタル化を推進し、SDGs達成に貢献する。 また、SDGs達成に向けた取組を通じて、我が国が掲げるSociety 5.0の理念を世界に広げ、持続可能かつ包摂的な社会をグローバルに実現する。

これにより、産業構造・労働環境を効率化し、多様なライフスタイルの実現や新たな価値を創造できる豊かな社会を実現する。

ICTによる社会課題解決モデル(SDGs×ICTモデル)を国内外で展開。 重点分野について、パイロットプロジェクトの実施、国際機関との連携

を推進。 「質の高いICTインフラ」の国際スタンダード化を推進。

国内外のデジタル化の現状を分析した上で、ICTアクセスの確保やICTリテラシーの涵養等によるデジタル格差の解消を推進。

デジタル人材の育成・確保 テレワークの推進等による女性のデジタル経済への参画を促進。 中小企業を含む、あらゆる産業におけるデジタル化を推進。

アジャイル型研究開発(自治体や利用者のニーズを吸い上げるフィールドトライアルによるICTの高度化・汎用化)。

研究開発成果のビジネス化の加速化。 ベンチャー企業の先導的技術の利用を促進。

2.データ流通戦略データの自由な流通の重要性を海外に向けて

発信するとともに、個人によるデータコントローラビリティの確保に向けた取組を推進

データの自由な流通を一層推進するための信頼性(トラスト)の向上(個人情報保護、サイバーセキュリティの強化、知的財産の保護等)。

信頼性に関する国際的な評価指標を検討。 データの特性に応じた分類やその取扱い等を検討。 データの改ざんや送信元のなりすまし等を防止する仕組み(トラストサービス)の 制度

化を推進。 データポータビリティの在り方を検討し、「情報銀行」の社会実装や国際的な

ルール形成、「データ取引市場」における公正な競争、デジタルプラットフォーマーを巡る取引環境の整備を推進。

3.AI/IoT利活用戦略AIを人々のより良い生活につなげていくという

「AI時代の未来像」を国内外に発信

AIによって産業構造・労働環境を効率化することで、人々のライフスタイルが豊かになり、新しい雇用や産業を創出する ことができるという考え方を発信。

人間中心のAI原則の共有やインクルーシブなAI経済社会の実現に向けたデータの役割の検討を推進。

リアルデータ・知識を活用したAI/IoTを推進。

人材の確保・育成を推進。女性人材の育成も重要。

4.サイバーセキュリティ戦略IoT機器・サービスの急速な普及等による社会変化に対応したセキュリティに関する

共通認識を各国と醸成 産学官・市民社会が連携し、サイバーセキュリティの向上

を推進。

実践的な対処能力を有する人材の確保・育成や人材育成のエコシステムの構築を推進。

世界の優れた技術を取り込むとともに、自国技術の育成を推進。

5.ICT海外展開戦略日本が培った信頼性の活用、ルール形成への関与やキャパシティビルディングへの支援等による

海外展開を推進 官・民・支援組織が役割分担し、地域ごとの海外展開事例、課題、ノウハウ

等を共有するなど一体的に海外展開を推進。

海外での展開を前提とした開発や事業化を推進。

「モノ」だけではなく、成長分野である「サービス」や「プラットフォーム」の 海外展開を推進。

我が国が培った「信頼性」を強みとして活用し、海外展開を推進。

6.オープンイノベーション戦略2030年代の具体的な将来像の実現に向けたキーテクノロジーの高度化を推進

キーテクノロジーについて以下の方向性の下で重点的に研究開発を推進。※2025年の大阪・関西万博では、キーテクノロジーやそれを用いた新たなサービスをショーケースとして示すことで、

国内外に我が国技術の先進性を広くアピール。

オープンイノベーションを促進する環境整備(最先端テストベッド、電波エミュレータ)。諸外国との戦略的パートナーシップの構築。ビジネス視点の国際標準化の実現。トップ級の研究開発人材確保に向けた環境整備・人材育成。

① 人間を中心とした次世代コミュニケーション技術等により、身体、言語の能力や時間・空間の壁を超え、 生活の質を向上(次世代AI・ロボット、脳情報通信、超臨場感伝達等)

② 盗聴されない安全性の高い通信技術等により、安全安心なデータ主導社会を実現(センシング・IoT、サイバーセキュリティ、量子ICT等)

③ 現在の数百倍の通信速度を実現する超高速通信技術等により、未来を支える高度なネットワークインフラを構築(革新的ネットワーク、次世代ワイヤレス、宇宙ICT等)

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3G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合及びその後に向けた方向性

基本的な考え方

社会全体のデジタル化によってSDGs達成に貢献するということをG20の共通目標として提示 AIの積極的な利活用によって「デジタル化による生産性の向上」を達成し、その果実を社会全体に行き渡らせることで、経済・社会の包摂的かつ持続的な成長を実現するという我が国発のSociety 5.0の理念を世界に広めていくことが必要

その上で、デジタル化が社会課題の解決に加え、産業構造・労働環境を効率化することで、人々のライフスタイルが豊かになり、新しい雇用や産業を創出することができるという考え方を世界に発信し、共通認識を醸成

① IoT機器・サービスの急速な普及等によるサイバーセキュリティのリスク環境が急激に変化しており、社会・経済の秩序や企業や消費者を含む全てのユーザの信頼を維持するためには、サイバーセキュリティの確保が重要であることを確認

② サイバーセキュリティの確保の在り方について、民間企業・団体、市民社会も含めた幅広い関係者による議論と共通理解が重要であることを確認

③ サイバーセキュリティに関する意識向上や人材の確保・育成が重要であることを確認

① AIによって産業構造・労働環境を効率化することで、人々のライフスタイルが豊かになり、新しい雇用や産業を創出することができるという考え方を世界に発信し、共通認識を醸成

② AIの社会における受容性を向上させるため、AIの自由な活動を守りつつ、倫理面を含む安心・安全なAIの利用環境を提供する 人間中心のAI原則を共有

③ インクルーシブなAI経済社会の実現に向けたデータの役割の検討を開始することを提起

④ G20各国のAI政策・戦略、取組事例等の共有を提起

① データの自由な流通を促進し、デジタル化による恩恵を最大化するため、データが広く利活用されるためのオープンな環境を整備する必要があることを発信し、共通認識を醸成

② データの自由な流通を一層促進するため、信頼性(トラスト)の向上(個人情報保護、サイバーセキュリティの強化、知的財産の保護等)が必要であることを確認

③ 個人によるデータのコントローラビリティの確保に向け、データの特性に応じた分類やそれを踏まえた適切な取扱い等の検討を行うことを提起

Ⅱ. データの自由な流通と利活用の促進 Ⅲ. AI/IoTの利活用の促進と環境整備 Ⅳ. サイバーセキュリティの確保

① SDGsを達成し、社会・経済の包摂的かつ持続的な成長を実現 するためには、デジタルテクノロジーの活用が不可欠であることを確認

② SDGsを達成し、社会・経済の包摂的かつ持続的な成長を実現するためには、インフラ整備の促進、デジタル格差・ジェンダー格差の解消等が必要であることを確認特に2025年までに世界中の人をインターネットに接続するというG20の共通目標の推進を再確認

③ 地球上の誰一人として取り残さず( leave no onebehind)、あらゆる人々がデジタル化の恩恵を共有できるよう、G20(有志国による)が国際機関と協力した行動を起こすことを提起

Ⅰ. デジタル化によるSDGs達成への貢献

今後の我が国の戦略

a. G20有志国が産学官と一体となって、国際機関等とも連携したマルチステークホルダーによる取組を推進し、デジタルテクノロジーを活用した途上国への開発支援を促進

b. ビジネスチャンスの創出を促進するため、KPIの活用やベストプラクティスの共有を促進

c. SDGs達成に向け、他国とオープンな姿勢で連携を推進

a. OECD等の国際機関と連携し、データの特性に応じた分類やそれらを踏まえた適切な取扱い等を検討

b. 慎重な取扱いを要するデータについて、政策的枠組みの相互運用性の向上を推進

c. 信頼性に関する評価指標作り等を検討

a. AIによるライフスタイルの改善、雇用・新産業の創出を主導

b. 格差のないAI時代の社会を実現するため、人間中心のAI原則の普及を推進

c. AIの社会での実用化・利活用を促進するため、他国との政策連携を推進

d. インクルーシブなAI経済社会の実現に向けたデータの役割を検討

a. サイバーセキュリティを向上させ、安心・安全なデジタル社会を構築するため、産学官・市民社会との連携を推進

b. サイバーセキュリティ人材の育成に関する国際協力を通じ、仲間作りを推進するとともに、ビジネスチャンスの創出を促進

i. SDGs達成に向けた取組を推進し、包摂的なデジタル経済の構築に貢献 ⅱ. データの取扱い等に関する議論を主導し、データの自由な流通を促進 ⅲ. AIの倫理や利活用に関する議論を主導し、

格差のないAI時代の社会の実現を推進 ⅳ. サイバーセキュリティに関する議論を主導し、安心・安全なデジタル社会の構築を推進

国際的な合意形成を踏まえたSociety 5.0のグローバルな展開、AI時代に向けた未来像の検討や社会課題解決の方策の具体化等を通じて、「ICTグローバル戦略」を推進

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4

○ G20は、2008年9月のリーマンショックに端を発した世界経済の混乱を受けて、ブッシュ米大統領(当時)が同年11月に金融・世界経済に関する首脳会合をワシントンDCで開催したことから発足。

○ その後、毎年持ち回りで開催。会合と平行して、財務、貿易、農業などの閣僚会合が開催されている。○ 2019年は、日本が開催国。デジタル経済分野については、6月8日・9日、貿易分野と共に、茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合が開催。日本側は、石田総務大臣、世耕経済産業大臣、河野外務大臣、佐藤総務副大臣、國重総務大臣政務官が参加。

○ 9日に、閣僚声明が発表された。

北海道倶知安町観光大臣会合(10/25,26)

茨城県つくば市貿易・デジタル経済

大臣会合(6/8-9)

長野県軽井沢町持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する

関係閣僚会合(6/15,16)

新潟県新潟市農業大臣会合(5/11,12)

愛媛県松山市労働雇用大臣会合

(9/1,2)

福岡県福岡市財務大臣・中央銀行

総裁会議(6/8,9)

岡山県岡山市保健大臣会合(10/19,20)

愛知県外務大臣会合(11/22,23)大阪府大阪市

首脳会合(6/28,29)

G20参加国アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、EU、ロシア、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン

G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合

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5

【日本側】石田総務大臣(共同議長)、世耕経産大臣(共同議長)、河野外務大臣(共同議長)

佐藤総務副大臣、國重総務大臣政務官

【参加国】G20各国、スペイン、シンガポール、オランダ、ベトナム

チリ、エジプト(アフリカ連合議長国)、

セネガル(NEPAD議長国)、エストニア、ナイジェリア(合同セッションのみ)

国際機関(APT、ERIA、世銀、ITU、IMF、WTO、OECD、UNCTAD)

2.参加国・国際機関(デジタル経済パート)

○ 日時:2019年6月8日(土)・6月9日(日)

○ 場所:茨城県 つくば市 つくば国際会議場

1.日時・場所

G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の結果 1/2

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6

① AIの開発や利活用の促進に向け、G20ではじめて「人間中心」の考えを踏まえたAI原則に合意

② AIにより新たな雇用や産業が創出されるとの考えの下、AI時代の新たな社会モデルの検討の必要性を共有

③ IoTを含む新技術の急速な拡大に伴い、G20ではじめてデジタル経済におけるセキュリティの重要性に合意

④ 日本の進める「Society 5.0」の考え方と、人間中心の未来社会を実現するとの方向性に合意

⑤ 国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、デジタル技術の活用が有効であるとの認識を共有

⑥ 信頼を構築し、データの自由な流通を促進するため、データフリーフローウィズトラスト(信頼性のある自由なデータ流通)の概念に合意

4.開催結果のポイント

デジタル経済 午前セッション:DFFT、ガバナンスイノベーション

デジタル経済 午後セッション:人間中心のAI、デジタルセキュリティ、SDGsと包摂性

貿易・デジタル経済合同セッション:データの自由な越境流通、WTO電商、デジタル貿易における途上国の包摂※ なお、6/9の貿易パートでは、現下の国際貿易情勢、市場主導の投資判断を促進する健全なビジネス環境(以上午前)、持続可能・包摂的な成長に貢献する貿易投資促進、WTO改革と二国間・地域貿易(以上午後)が議題となった。

3.議 題(デジタル経済パート)

G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の結果 2/2

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7

①概要:人間中心の未来社会• 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた現実世界と仮想世界の一層の融合を通じて、経済成長と社会課題の解決を実現する「Society5.0」の考えを共有。

• AIや5G、IoTといった新興技術によってもたらされる恩恵は、新たなサービスや雇用等の機会を創出するものであり、個人及び企業の更なる幸福や一層の包摂性に結びつくことを認識。

• 自由、オープン及び安全なインターネットを推進し、暴力過激主義及びテロリスト目的のためのインターネットの利用との戦いへのコミットメントを再確認。特に、デジタル産業が全てのステークホルダーと協働しインターネット及びソーシャルメディアの暴力過激主義及びテロリスト目的のためのインターネットの利用と戦うことを奨励。

②データフリーフローウィズトラスト(Data Free Flow with Trust / 信頼性のある自由なデータ流通)• データ、情報、アイデア及び知識の越境流通は、生産性の向上やイノベーションの増大をもたらすと同時に、データの自由な流通が一定の課題を提起することを認識。

• プライバシー、データ保護、知的財産権、セキュリティに関する課題に引き続き対処することにより、さらにデータの自由な流通を促進し、消費者及びビジネス界の信頼を強化することができる。信頼を構築し、データの自由な流通を促進するためには、国内的及び国際的な法的枠組みの双方が尊重されることが必要である。このようなデータフリーフローウィズトラスト(data free flow with trust / 信頼性のある自由なデータ流通)は、デジタル経済の機会を活かすものである。

③人間中心の人工知能(AI)• AI技術が、包摂的な経済成長を促進し、社会に大きな恩恵をもたらし、個人に力を与えることができることを認識。AIの責任ある利用によってもたらされる恩恵は、労働環境と生活の質を改善し、女性と女児及び社会的弱者を含む全ての人に機会を与える人間中心の未来社会を実現する可能性を生み出すことができる。

• 同時に、AIが他の新興技術と同様に、労働市場の変化、プライバシー、セキュリティ、倫理的問題、新たなデジタル格差及びAIに関する人材育成の必要性を含む社会的課題を提起し得ることも認識。AI技術への人々の信頼と信用を醸成し、その潜在能力を十分に引き出すために、非拘束式の「G20 AI原則」に同意し、同原則によって導かれるAIへの人間中心のアプローチにコミットする。(同原則は、閣僚声明の附属文書として合意)

G20貿易・デジタル経済閣僚声明 デジタル経済パートの概要 1/2

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8

④ ガバナンスイノベーション-デジタル経済の機動的で柔軟な政策アプローチ-• よりイノベーションを生み出しやすい政策立案のアプローチから、新たな技術の可能性を最大限に利用するという利益が得られることを認識。政策、規制、あるいは規制的制約の除去により、経済成長及び途上国や零細中小企業の包摂的な発展を加速することができる。

• デジタル時代のガバナンスは、法的な確実性を損なわないようにしつつも、イノベーションにつながりやすく、それ自体が革新的である必要があることを認識。よりよい政策アプローチを採用し、技術的なイノベーションに導くため、G20構成国の間で優良事例を共有することを支持。

⑤ デジタル経済におけるセキュリティ• デジタル経済におけるセキュリティは、デジタル技術やデジタル経済全体における人々の信用を強化するために不可欠であると認識。IoTを含む新興技術の急速な広がりとともに、デジタル経済におけるセキュリティについての議論の価値が高まっており、G20構成国は、これらの緊急の課題への更なる取組の必要性を認識。

• デジタル経済におけるセキュリティの世界的な観点とともに、ローカル化されカスタマイズされたセキュリティの枠組や方法論を発展させる必要を認識。

• デジタル経済におけるセキュリティを向上させる取組の重要性について、理解を高める必要性を認識。これらの課題についてさらに議論するため、民間や技術コミュニティ、市民社会、関係する国際機関をはじめとするステークホルダーの果たす役割について認識。

⑥ SDGsと包摂性• 改善された接続性及びブロードバンドアクセスがデジタル経済の発展に必要な条件であると同時に、包摂的な成長と持続可能な開発の強力な実現要因であることを認識。2025年までに全ての人々によるインターネットへの普遍的かつ手頃な価格でのアクセスを推進するというG20共通の目標を奨励。

• デジタルリテラシーのためのスキル開発や、デジタルアクセスの向上及び特にデジタルの男女格差に配意したデジタル技術の採用といった方法でデジタル格差を解消することの重要性を再確認。

• また、中小零細企業がデジタル経済に積極的に参加できるような促進的な環境は、包摂的で持続可能な社会を構築するのに役立つとの認識を共有。G20は、デジタル起業の推進と拡大に関する慣行を交換し共有することを奨励する。

• グッドプラクティスや共有された知識を活用することで、全てのステークホルダーがそれぞれの役割において協働し、発展途上国及び地域並びに世界規模でデジタル化を推進することを奨励。この知識共有の活動は、既存の権限及び能力の範囲内で世界銀行及びその他の国際機関に支援され、関心のあるG20構成国及びその他の国によって管理される。

G20貿易・デジタル経済閣僚声明 デジタル経済パートの概要 2/2

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デジタル変革時代におけるICTグローバル戦略懇談会

報告書 概要

参考

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10

○ 現在、AI、IoT等、情報通信技術(ICT)の社会への浸透が進んでいる。今後、超高速、多数接続、超低遅延といった特徴を持つ第5世代移動通信システム(5G)の普及等により、様々な産業におけるデジタル化が急速に進展していくことが見込まれている。

○ デジタル化は、社会課題の解決に資するだけでなく、デジタル化で空いた時間を使って人々が新しいことにチャレンジできるようになり、新しい雇用や産業を創出する。○ ICTによって様々な社会課題を解決することができる社会、新しいチャレンジをすることができる社会が、「Society 5.0」 である。今般、産学官が一体となって、国際機関等

とも連携したマルチステークホルダーによる取組により、デジタル化によってSDGs達成に貢献し、Society 5.0を実現するため、「ICTグローバル戦略」を策定する。

デジタル変革時代

世界のIoTデバイス数の推移・予測

(出典)Tractica

AIの市場規模 ICTの利活用によるSDG達成への貢献1か月当たりの世界のインターネットトラヒック

(Exabytes)

CAGR* 26%

社会全体のデジタル化を推進し、SDGs達成に貢献する。 SDGs達成に向けた取組を通じて、我が国が掲げるSociety 5.0の理念を世界に広げ、持続可能かつ包摂的な社会をグローバルに実現する。 これにより、産業構造・労働環境を効率化し、多様なライフスタイルの実現や新たな価値を創造できる豊かな社会を実現する。

戦略の基本理念

(出典)Cisco VNI Global IP Traffic Forecast, 2017-2022Cisco VNI, 2018

* Compound Average Growth Rate: 年平均成長率

インターネットの普及率グローバルな社会課題

14.7

42.9

84.4

53.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

LDCsDevelopingDeveloped

World

インフラ整備費用 サイバー攻撃・犯罪全世界における被害額

6,080億ドル(2017年)(GDPの0.8%分が失われた計算)

需要:3,630億ドル供給:3,190億ドル

需給ギャップ440億ドル

-12.1%

2030

国際的な規範データの取扱いやAI/IoTの利活用に関する国際的な規範が不十分

[%]

(出典)Global Infrastructure Outlook

(出典)CSIS & McAfee

(予測)

・人口の増大 ・高齢化による医療・介護負担の増加 ・貧困 ・医師の不足・教育の不足 ・水・食糧の需要の増加 ・地球温暖化 ・自然災害の増加・インフラ・公共施設の不足 ・エネルギー需要の増加 ・社会参画の不平等等

(出典)ITU “ICT Facts and Figures 2017”

(出展)IHS Technology (出典)国際戦略WG(第1回)内藤構成員説明資料を基に事務局作成

人間中心 持続可能性 多様性

「ICTグローバル戦略」策定の必要性

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11

分野 日本・世界における課題 ICTソリューション(例) 想定される効果 SDGs

インフラ◎ インフラの不足◎ インフラの老朽化◎ 通信容量の不足

• 5Gネットワークの整備• 光ファイバー、光海底ケーブル等の敷設• ICT・郵便インフラの質の向上等を通じた生活支援• 災害に強い強靱なインフラの開発促進

• 生活基盤の確保• 生産性の向上

農業食糧

● 食糧不足、収穫ロスへの対応● 水不足● 食の安全性の向上確保◎ 農業生産現場の人手不足

• スマート農業システムを活用した効率的な農業運営(遠隔操作、IoTを活用した情報収集等)• 自律的な生産管理• ICTを活用した需給管理

• 生産性の向上• 食品廃棄ロスの削減• 食の安全・栄養改善• 水の利用効率の向上

医療介護

● 医師不足等に伴う死亡率の高止まり◎ 糖尿病・がん・心臓病等の増大

• 遠隔医療による医療機会の提供• センサー等を活用したモニタリングや診断、予防医療・予兆検知• AI・IoT・ビッグデータを活用した医療診断システムの開発

• 医療格差の是正• 死亡率の低減• 医師負担の軽減

教育

● 貧しい国・地域における不十分な教育環境、初等教育の未就学児の増大

◎ 地理的又は経済的事情による高等教育の機会の不均衡

◎ 技能・ノウハウの継承

• 遠隔教育システムを通じた教育機会の確保※MOOCsの実用化事例[Udacity(米国)、edX(米国)、Coursera(米国)、JMOOC(日本)等]

• 高精細映像やインタラクティブな質の高い教育コンテンツの提供• AIを活用した個別教育プログラムの提供、リカレント教育の実現• 技能・ノウハウのデジタル化

• 教育格差の是正• 人材交流の促進• 人材育成の促進

都市地域

◎ 高齢化の進展◎ 人口増加に伴う都市への人口集中◎ 社会インフラの維持管理◎ 電力・エネルギーの不足

• 自動運転・航空交通システム高度化による移動機会の提供• ICTを活用した買物等の生活支援• AI・IoT・ビッグデータを活用した基礎インフラと生活インフラ・サービスの効率的な管理・運営(スマートシティ)• 中小企業によるAI・IoT・ビッグデータの活用• ICTを活用したエネルギーマネジメント

• 都市・地域のサスティナリビリティ確保• 生産性の向上• 社会インフラの自律化• 再生可能エネルギーの利用拡大• エネルギー効率の向上

基盤生活

● 身元証明基盤の未整備● 市民登録の不徹底、無戸籍児の存在◎ 所得格差

• 国民IDシステム(出生登録・管理、身元確認等)※国民IDシステムの実用化事例[Aadhaar(インド)、eID/X-road(エストニア)等]

• 生体情報を活用した認証基盤による公共サービスの提供• ICTを活用した就業マッチング

• 生活基盤の確保• 経済・社会活動の可視化• 公共サービスの効率化

金融● 決済等の金融サービスの供給が不十分● 金融システム基盤の不備◎ 不正送金への対応

• 金融サービス向け基幹業務システム• ブロックチェーンを用いたマイクロペイメント・キャッシュレス基盤

※少額決済システムの実用化事例[M-Pesa(アフリカ)、グラミンフォン(バングラデシュ)等]• デジタル情報でカスタマイズされたサービスによる消費促進

• 資金の有効かつ効率的な配分、投資促進

• 金融安定の維持

防災環境

◎ 自然災害の増加◎ 災害による甚大な被害◎ 工業化の進行による生態系の破壊◎ 森林・水産資源の維持管理

• 衛星・ドローン・センサーを活用した情報収集・災害情報の配信※災害情報共有システムの実用化事例[Lアラート(日本)等]

• AI・IoT等を活用した各種災害の観測・予知• 自動運転・ドローンによる自動救急• AI・IoT・ビッグデータを活用したモニタリング・資源管理

• 災害被害の抑制、早期復旧• 災害による死亡数の抑制• 生態系の回復

観光人的交流

◎ 観光客が一部地域に集中◎ 交流やコミュニティの分断

• 放送コンテンツを通じて地域の魅力を発信し、インバウンドを拡大※多言語音声翻訳システムの実用化事例[VoiceTra(日本)等]

• 多様な情報へのアクセス、AIを活用した多言語翻訳システム• 地方創生• 社会的包摂の実現

バリアフリージェンダー

◎ 高齢化による労働人口の減少◎ 都市への労働力集中◎ ジェンダーバイアス

• テレワークによる就業機会の提供• ロボット・AIを活用した労働代替や障がい者支援• 労働者と職業訓練や教育サービスとのマッチング• ICTを活用したメンタリングシステム

• 労働生産性の向上• 多様な人の就業機会増• 人材配置の最適化・改善

◎:日本・世界に共通する課題 ●:主に世界における課題デジタル化によるSDGs達成への貢献イメージ

○ 地球上の誰一人として取り残さない社会の実現に向け、デジタル化によるSDGs達成への貢献モデル(SDGs×ICTモデル)を具体化し、日本国内及び海外に発信する。○ このモデルを国内に周知するとともに、「Society 5.0時代の地方」を支える新たなICTの研究開発と地域実装を総合的に支援する。また、海外に対しては、このモデルに基づき、

官民一体となって、ICTの海外展開を推進する。

デジタル化によるSDGs達成への貢献

※SDGsの目標1(貧困をなくそう)は、他の目標達成を通じて到達可能な最終的なゴールでもある。

社会課題解決型の研究開発及び社会実装の推進• 社会課題をICTで解決するため、自治体や利用者のニーズを吸い上げ、フィールドトライアルを繰り返しながら技術を高度化・汎用化し、地域実装を促進

• そのためのICT人材の確保・育成、リカレント教育の推進(ICT人材の確保・育成を図るため、ICTユーザー企業等を対象とした講習会・体験型のセミナーを開催等)

SDGs達成に向けたイノベーション創出支援• 研究開発成果のビジネス化の支援(SDGs達成に貢献するような研究開発に重点的に資金を配分)

• コンテスト形式等により多様なアイディアの実現の支援• 大企業とベンチャー企業の出会いの場、異分野・異業種の情報交換の場の支援、実証環境、試験フィールドの整備

• 国、自治体や大企業等による、ベンチャー企業の優れた先導的技術の利用の促進

SDGs達成に向けたパイロットプロジェクト等の推進• デジタル化によるSDGs達成への貢献を具体化するため、10分野程度を選定し、パイロットプロジェクト(SDGs×ICTプロジェクト)等を実施

• 海外においては、各国・各地域におけるニーズを的確に捉えつつ、我が国の優位性を活かし、ICT、郵便、放送コンテンツ等の海外展開を戦略的に実施

• 国際機関を通じた人材育成の促進、ワークショップの開催、パイロットプロジェクト等の実施 等

デジタル化によるSDGs達成への貢献

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パイロットプロジェクト(SDGs×ICTプロジェクト)の実施を通じて、社会全体の徹底的なデジタル化を進め、日本・世界の社会課題の解決を推進

SDGs達成に向けた国際機関を通じた取組

SDGs達成に向け、国際機関を通じ、ワークショップの開催、人材育成の促進、パイロットプロジェクトの実施、ルール・規範の策定等を実施。

WBG(世界銀行グループ)• AU(アフリカ連合)と連携し、2030年までにデジタル・アフリカへの転換を達成するための取組を推進

WEF(世界経済フォーラム)• 官民トップリーダーのコミュニティ・プラットフォームにおいて、デジタルエコノミーの官民ベスト プラクティスの共有を推進

OECD(経済協力開発機構)• AI原則の策定やデジタルのジェンダー格差解消のための取組を推進

APEC(アジア太平洋経済協力)• APECTEL(情報通信作業部会)を活用したワークショップ、ベストプラクティスの共有

• 「質の高いインフラ」に関する認識の共有ASEAN(東南アジア諸国連合)

• 日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センターにおけるサイバーセキュリティ人材育成 及びASEAN防災・人道支援調整センターにおけるICT利活用支援

ITU(国際電気通信連合)• 開発途上国に対し、電気通信分野における支援を実施• 特にサイバーセキュリティ分野及び防災分野において、開発途上国の人材育成を目的としたワークショップの開催やベストプラクティスの共有を推進

UPU(万国郵便連合)• 災害に強く、環境への負荷が少ない郵便局ネットワークの構築、社会課題解決に向けた郵便ネットワークの活用、ニーズに応じた支援の促進等

APT(アジア・太平洋電気通信共同体)• ブルネイ・ダルサラーム共同声明「ICTによるスマート・デジタル経済の構築」(2014)に基づき、人材育成の推進等

SDGs×ICTの市場規模

2030年にSDGsが達成された場合、「食料と農業」「都市」「エネルギーと材料」「健康と福祉」の経済システムを通して、世界全体で新たに年間1,331兆円の市場が創出される見込み。

2030年に向けて経済のデジタル化が加速し、ICTの利活用が更に進むと仮定すると、SDGs達成により新たに創出される1,331兆円の市場のうちICT関連市場は世界全体で年間約173兆円となる見込み。

食料と農業35兆円

都市62兆円

エネルギーと材料49兆円

健康と福祉27兆円

経済システムの定義食料と農業(食料生産、化学肥料、流通、小売りを含む) 都市(自動車、輸送関連部門、住宅、建設、公共施設を含む)エネルギーと材料(鉱業、石油及びガス、再生可能エネルギー、発電、耐久財を含む) 健康と福祉(医薬品、一次医療と二次医療、ジム、予防と幸福を含む)

SDGs達成により新たに創出されるICT関連市場173兆円

※本邦企業とその他の国際開発金融機関(アジア開発銀行、米州開発銀行、アフリカ開発銀行、米州機構等)との連携も促進。

SDGs×ICT プロジェクトの実施

国際機関の例

この過程で得られた課題解決のノウハウをステークホルダーと共有することで、世界の持続可能な発展に貢献

プロジェクトの例 (各国際機関の強みや特徴を踏まえ、案件に応じて戦略的に連携を推進)

インフラ

SDGs x ICT Projects

農業・食糧(例:農業ICT)

医療・介護(例:医療ICT、遠隔医療)

教育(例:教育ICT、遠隔教育)

都市・地域(例:スマートシティ)

基盤・生活(例:国民IDシステム)

金融(例:電子決済システム)

防災・環境(例:防災ICT、Lアラート)

観光・人的交流(例:放送コンテンツ、

多言語音声翻訳)

バリアフリー・ジェンダー(例:テレワーク)

[5G、光ファイバー、通信タワー、光海底ケーブル、クラウド、電波システム、

放送設備、地上デジタル放送、衛星システム、郵便インフラ等]

SDGs達成に向けたパイロットプロジェクト等の推進

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13

社会課題をICTにより解決するため、自治体や利用者のニーズを吸い上げ、フィールドトライアルを繰り返しながら技術を高度化・汎用化(アジャイル型)し、地域実装を促進。各フィールドにおいて産学官民を巻き込んだトライアルを実施。

他にも、国による技術開発プログラムの評価指標として「自治体や利用者の参画」、「事業の継続性」を重視する取組を進める。

社会課題解決型の研究開発

高度化、汎用化

ステップ1 ステップ2 ステップ3研究開発

ニーズの吸い上げとフィードバック

フィールドトライアル

Society 5.0を支える技術例多言語音声翻訳

センサードローン5G

Society 5.0の様々な可能性を活用する地域の実現、

SDGs達成

自治体 商店街 外国研究開発による社会課題解決のプロジェクト例

人的交流

過去の災害(地震・噴火・豪雨)の前後における衛星観測データから、地表面変位や土壌水分量などを導出しつつ、災害被害のリアルタイムでの解析・予測を実現。

防災・減災

ツイッター等のSNS上の災害関連情報をリアルタイムに分析・要約し、災害発生時の迅速な状況把握・判断を支援する技術に関し、特に自然言語処理技術を実用レベルへの高度化を実現。

防災・減災

医療

大容量映像データを低遅延で無線伝送する技術の確立により、遠隔手術等を実現。

仕事5G超高速・低遅延通信のワイヤレス通信技術を用いたスマートモビリティにより、高齢者も自由に移動でき、人的災害を気にする必要のない交通事故ゼロ社会を実現。また、地域の課題の一括的な解決を実現。

都市・地域

出典:技術戦略WG第2回 上地構成員資料

観光利用を想定した自動運転バス

まちのイメージ

SNS

農業

農作地における温湿度、二酸化炭素濃度等の大規模で多様なデータを取得するIoTを接続する複雑なネットワーク構成や運用管理を容易化する技術の開発により、スマート農業を実現。

研究開発成果の社会実装の促進研究開発成果の周知を図るとともに、AI・IoT・5G等のSociety 5.0の重要技術の地方での社会展開等を促進年齢、障害の有無、性別等によらず、 IoTやAIの活用により社会参画が可能となるデジタル共生社会を実現

・・・

漁業

魚群を非接触・非侵襲でモニタリング・誘導するICTシステムの開発により、養殖時の効率化を実現。 virtual cage

生簀の生成

介護

ベット上の排泄臭検知シート及び排泄検知アルゴリズムの開発により、おむつ交換のタイミング予測を行い、計画的な介護が可能。

クラウド型胎児心拍計及び子宮収縮計の開発により、遠隔地からの妊婦健診が可能。

医療研究開発成果例

地域のコミュニティや行政部門を含む各種産業の場で、外国人観光客や外国人労働者と円滑にコミュニケーションが可能となるよう、12言語において実用レベルの翻訳精度を実現。

AIやIoT等を活用することにより、中小企業の新たな発想や企画等、創造的な事業の展開を図る。また、事業の承継を促進。

AI

IoT、センシング IoT、センシング

・・・

教育

超高速通信ネットワークの利用により、自分の分身が授業に出席することが可能となり、どこに住んでいても最先端の教育を受けることができる。

SDGs達成に向けた社会課題解決型の研究開発及び社会実装の促進

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14

高度なICT人材の確保・育成、リカレント教育を推進

大学によるリカレント教育の充実 国によるICTユーザー企業等を

対象とした講習会・体験型のセミナーの開催

民間企業による大学・学会等と連携した社員教育の充実

海外の優秀な人材の活用等

大企業とベンチャー企業の出会いの場、異分野・異業種の情報交換の場の支援、実証環境、試験フィールドの整備。

ベンチャー企業の初期需要の創出、信用力の向上につながるよう、研究開発成果をビジネス化したベンチャー企業等の商品・サービスの購入・活用を促進。 官公庁の入札において、創業間もないベンチャー企業の入札参加を

促進。 公共調達や民生市場等への橋渡しとして、説明会、展示会を積極

的に開催。 海外での販路拡大に向け、展示会等への参加を支援。

企業のICT利活用の強化に向けて、M&Aによる事業承継を支援。

14

高度化、汎用化

ステップ1 ステップ2 ステップ3研究開発

ニーズの吸い上げとフィードバック

フィールドトライアル

多言語音声翻訳センサードローン

5G

自治体 商店街 外国

• そのためのICT人材の確保・育成、リカレント教育を推進(ICT人材の確保・育成を図るため、ICTユーザー企業等を対象とした講習会・体験型のセミナーを開催)

市場ニーズとの合致

コンセプト検証のほか、事業化に向けた各種取組みが必要

社会課題解決型の研究開発

○ 我が国において深刻な人口減少が進む中、イノベーションの創出による更なる生産性の向上が不可欠。○ しかしながら、我が国では技術は確立されているものの、それらが速やかに社会実装・ビジネス化されず、生産性の向上や社会課題の解決につながらないと指摘されている。

我が国におけるイノベーションの課題

Ⅰ イノベーション創出手法の変化への対応が不十分 Ⅲ スピード重視、ソフトウェア化の進展への対応の遅れ

Ⅱ ICT提供企業・利用企業等の課題

技術開発手法の転換

出典:平成30年版情報通信白書

日米のICT人材の比較

• 市場の主導権は提供側からユーザー側に移動。• イノベーションの創出は、ICTの提供側からの技術シーズに加えて利用側のニーズや社会課題の解決等を複合的に考える「デザイン思考」に変化。

• このような変化に対応するにはオープンイノベーションが不可欠。とりわけ、提供産業と利用産業・利用者の共創が重要。しかしながら、このようなイノベーション創出方法の変化に対応した事業や経営の変革が進まない企業が依然として存在。

• ハードウェアの機能をソフトウェアで実現するソフトウェア化が進展。• 技術の進展・普及のスピードが加速化する中、プロダクトサイクルの短期間化、開発時間の短縮化が必要。

• オープンソース・ソフトウェアの利用が考えられるが、ソフトウェア人材等が不足。

Ⅳ ベンチャー企業が活躍できる環境づくりが不十分

顧客

サプライヤー

競合企業

起業家・スタートアップ企業

大学・公的研究機関

社内・他部門の社員

問題・課題設定段階 問題・課題解決段階

注: 横軸は, イノベーションのプロジェクト(メンバー)以外の外部人材・ 組織との知識 ・ ノウハウのやり取りに費やしたすべての時間に占めるそれぞれの時間割合のカテゴリー値(0=0%,1=0超~25%未満, 2=25 ~ 50%未満, 3=50 ~ 75%未満, 4=75%以上)の平均。

出典 : 米山、 渡部、 山内、 真鍋、 岩田 「日米欧企業におけるオープン ・ イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号を基に総務省にて作成

我が国発のイノベーション創出に向け、研究開発成果のビジネス化を支援。 我が国・世界の社会課題の解決につながる場合は、重点的に資金を配分。

たとえば、ビジネス化に取り組むベンチャー企業や大学等の研究開発機関と地域等の産業の担い手が抱える課題とのマッチングを行う仕組み等。

コンテスト形式等により多様なアイディアの実現の支援。 地域発の破壊的イノベーションの種を発掘・育成 大企業内の研究開発成果に係る社内ベンチャー化の推進

市場ニーズとの合致

コンセプト検証のほか、事業化に向けた各種取組が必要

研究開発成果のビジネス化の加速化 ベンチャー企業の優れた先導的技術の利用の促進

価値観が変化し、技術革新スピードが加速化する中において、我が国の企業、政府、自治体、大学、学会、個人が既存のルールや価値観に拘泥することなく、マインド、事業手法、制度、教育といった根本的な部分において変化・変革を続けていくことが不可欠

出典:技術WG第4回 内田構成員資料を元に総務省が作成

Ⅴ グローバル市場への対応や社会全体のシステム設計が不十分• ユーザー側、地方の課題や価値観を理解し解決策を描ける人材が不足。• 競争環境において、技術の標準化を超えたルール形成の影響が拡大。• 一世代前の技術を革命的に使うことでリープフロッグできる可能性にも留意する必要。

• 利用側においてはICT人材が不足しており、ICTへの理解が不十分。

• 企業や自治体のトップによるICT理解が不十分。

• 特に中小企業におけるトップの世代交代が進まず、ICTの活用が不十分。

• 小規模事業者の割合が多いという産業構造も課題。

• 意思決定の遅さ、自前主義への拘泥、現状維持、リスクを伴う挑戦不足等。

• 日本の社員教育は諸外国に比べて不十分である。

• ICTの提供側の多くは、利用側が持つ「現場の課題」の理解が不足。

• 大企業だけでイノベーションを生む出すことは困難。スピード感をもって果敢に事業化に取り組むベンチャー企業には、新たなビジネスモデルの開発、新たな市場の開拓等が期待。

• ベンチャー企業の有する新たな技術についてシーズ段階から目利きできるベンチャーキャピタルが稀少。大手企業とベンチャー企業との連携も少ない。

• 研究開発の成果は出ているものの、試作品の開発、コンセプト検証(PoC)のための資金がないため、技術がビジネスにつながらず、「死の谷」を越えられない。

• 特に、ハードウェアの開発が伴う検証、開発やデータ取得等に時間を有する検証に対する民間資金が不足。

SDGs達成に向けたイノベーション創出支援

人材育成

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【国際社会】• AIによって産業構造・労働環境を効率化することで、人々のライフスタイルが豊かになり、新しい雇用や産業を創出することができる という考え方を世界に発信し、共通認識を醸成

• G7/G20等における議論を通じ、次の事項を確認 開発者が安心して自由にAIを開発できるとともに、利用者が安心・安全にAIを利活用できることが重要

• AIに対する人々の安心や社会の受容性向上のため、人間中心のAI原則の普及を推進• G20各国のAI政策・戦略、取組事例等の共有により、AIの開発や利活用を促進• インクルーシブなAI経済社会の実現に向けたデータの役割の検討を開始• 学校教育や職業訓練を通じたAI/IoTに関するスキル向上の促進 等【国内】• 日本が強みとするリアルデータ・知識を活用したAI/IoTプラットフォームの構築の推進• リアルとバーチャルの融合(サイバー・フィジカル・システム/デジタルツイン)による社会・生活・産業のリデザイン(サイバー空間におけるものづくり等)の推進

• Society 5.0に対応したAI/IoTに関する人材の確保・育成の推進(女性人材の育成も重要) 等

Ⅲ.AI/IoTの利活用の促進と環境整備

【国際社会】• G7/G20等における議論を通じ、次の事項を確認

IoT機器・サービスの急速な普及等、社会の変化に対応したセキュリティに関する新たな共通認識を醸成 産学官・市民社会の幅広い関係者による議論と共通理解、サイバーセキュリティの意識向上、人材育成等が重要

• 産学官・市民社会の関係者の連携が重要• 各国とのサイバー協議やICT政策対話等を通じ、近年、急速に脅威が高まっているIoTに係るセキュリティに関する政策や取組についての連携強化や信頼醸成を促進

• ASEAN加盟国をはじめとする各国のサイバーセキュリティ能力構築や意識啓発の推進等を通じ、各国のサイバーセキュリティ能力を底上げ

• グローバルな産官学のプラットフォーム等を通じたサイバーセキュリティに関するベストプラクティスの共有の推進 等【国内】• サイバー攻撃が巧妙化・複雑化している中、実践的な対処能力を有するサイバーセキュリティ人材の確保・育成の推進

• 国内の各地域において、国際的に通用する人材も含めた様々なレベルのサイバーセキュリティ人材の育成に関するエコシステムの構築

• 世界の優れた技術を取り込むとともに、自国技術の育成を促進 等

Ⅳ.サイバーセキュリティの確保

【国際社会】• G7/G20等における議論を通じ、次の事項を確認

データの自由な流通及び利活用は経済成長の源泉であり、データの自由な流通によって、デジタル化の恩恵が最大化

信頼性(トラスト)の向上に向けた取組(個人情報保護、サイバーセキュリティの強化、知的財産の保護等)によるデータの自由な流通の促進が重要

• グローバルな企業活動やイノベーションの創出を支援するため、我が国としてデータの自由な流通の重要性を発信• 個人によるデータのコントローラビリティの確保に向け、様々なデータをその特性に応じて分類し、それらを踏まえた適切な取扱い等を検討

• 我が国主導でグローバルなデータ流通市場の健全な発展と、 「情報銀行※1」等の個人によるデータのコントローラビリティの確保に向けたルール形成の促進 等

【国内】• サイバー空間での自由で安心・安全なデータ流通を支える基盤として、国際的な相互運用性の観点も踏まえ、データの改ざんや送信元のなりすまし等を防止する仕組み(トラストサービス)の制度化の推進※2

• データポータビリティの在り方を検討し、「情報銀行」の社会実装、「データ取引市場」における公正な競争、デジタルプラットフォーマーを巡る取引環境の整備を推進 等

Ⅱ.データの自由な流通と利活用の促進

※1:情報銀行(情報利用信用銀行):個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステム(個人が自らのデータを蓄積・管理するためのシステム)を活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又はあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業。

※2:EUでは、トラストサービスを包括的に規定するeIDAS規則が発効。国際的な相互運用性の確保の観点からも、データを国外とやり取りする国民や企業等が国外での訴訟等でその真正性や完全性を主張する場合など、国民や企業等が国外での権利実現を図る基盤として、我が国における法制度に基づくトラストサービスの構築が期待。

国際社会における合意形成

【国際社会】• G7/G20等における議論を通じ、次の事項を確認

SDGs達成にはデジタルテクノロジーの活用が不可欠であり、インフラ整備の促進、デジタル格差・ジェンダー格差の解消等が必要

• デジタル化によるSDGs達成への貢献モデル(SDGs×ICTモデル)を世界に発信• SDGs達成に向けた国際機関を通じた取組(人材育成、ワークショップ、パイロットプロジェクト等)の推進• ICT、郵便、放送コンテンツ等の海外展開を推進し、SDGsに関する取組のビジネス化を促進• デジタル格差の解消に向けた取組(①ICTへのアクセスの確保、②ICTのリテラシーの涵養)の推進• 女性のデジタル経済への参画の促進• 「質の高いICTインフラ」の国際スタンダード化(開放性、透明性、経済性、財政の持続可能性等)の推進 等【国内】

• デジタル化によるSDGs達成に向けた取組の推進(例:データ利活用型スマートシティの展開、行政部門のデジタル・トランスフォーメーションの推進、キャッシュレスの普及、デジタル化によるイノベーションを通じた生産性の向上、女性活躍等のためのテレワークの推進)• デジタルを活用することによって社会課題を解決することができるデジタル人材の確保・育成の推進 等

Ⅰ.デジタル化によるSDGs達成への貢献(「誰一人取り残さないため」のデジタル化の推進)

Society 5.0をグローバルに実現

実現に向けた取組の方向性

「誰一人取り残さないため」のICTの実例• M-Pesa:携帯電話のネットワークを通じた送金・決済を実現することにより、金融機関が存在しない地域においても金融サービスを提供• Zipline :輸血用の血液のドローンによる空輸を実現することにより、医療環境が不十分な地域においても適切な医療サービスを提供• 国民ID :一人一人に信頼できるデジタル・アイデンティティを提供することにより、きめ細やかな行政サービス、公正な選挙等を実現

Society 5.0をグローバルに実現※

~ 持続可能な成長と包摂的な社会 ~

災害に強い社会の実現

強靭なインフラの構築

全ての人々に学び場を提供

全ての人が医療・介護サービスにアクセスできる

スマートシティ・スーパーシティの

実現農作物の生産性向上

例②

例⑥

例⑤

例④ 例③

例①

データの自由な流通と利活用の促進

AI/IoTの利活用の促進と環境整備

サイバーセキュリティの確保

デジタルインフラの整備 ・・・, etc.※デジタル化によってSDGsが達成された社会とは、Society 5.0がグローバルに実現した社会をいう。

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競争力の低下• 日本のICT関連製品の輸出額は、2007年をピークに減少し、2013年には輸入額と逆転。

要素技術に偏重• 日本企業の強みが要素技術に偏重。

• システム化やパッケージ化による輸出が低調。

ミスマッチ• 日本で開発された製品が現地のニーズに適合しない場合がある。

現状・課題

• 政策立案の支援• 開発計画策定、規制緩和、法制度整備等の支援• 政府間協議・共同プロジェクト(研究開発・標準化・ 実証)の実施

• 人材育成のための研修・招聘事業の実施• トップセールスの展開• 海外でのICTセミナー・シンポジウムの開催(現地の産官学との連携強化)

• 国際的な政策枠組・ルール形成• 外務省・在外公館、関係省庁との連携 等

※ベンチャーキャピタル、戦略コンサルティングファーム等を含む。• 開発計画策定、規制緩和、法制度整備等の支援• マーケティング• ビジネスモデルの構築• 標準化活動・研究開発• 事業実施 等

• 開発途上国等に対する 円借款・無償資金協力、技術協力(専門家の派遣を含む)(JICA)

• 輸出金融、投資金融、出資(JBIC)

• 出資、専門家の派遣等(JICT)

• 海外投資保険(NEXI)

• 海外調査、輸出支援(JETRO)

• 研究開発協力(NICT) 等

総務省

民間事業者

連携

海外展開事例のフォローアップ、課題、ノウハウ等を共有(戦略的な市場獲得に向けたタスクフォース)

連携 連携

支援組織(JICA, JBIC, JICT,NEXI、JETRO、NICT等)

民間事業者の自発的かつ積極的な活動を前提とした上で、官・民・支援組織が役割分担し、一体で取組を進めていく必要。

官・民・支援組織が集まり、地域ごとの海外展開事例のフォローアップ、課題、ノウハウ等を共有していくことが有効。

相手国の政策立案、開発計画策定、制度・規制等のルール形成、人材育成や技術指導、ファイナンスの支援の面で官・民・支援組織が役割分担しつつ一体的な取組として進める。

世界のICTの市場規模

(出典)IHS Technology

官・民・支援組織の役割分担によるトータルパッケージでの提案方向性①

海外市場をターゲットとして事業を展開する場合、当初から海外において取組を進めることにより、早期の開発や事業化を図る。

海外での展開を前提とした取組方向性②

上位レイヤーのサービスの需要が増大する中、AI/IoT等を活用した社会課題解決型のサービスを提供するため、関係府省で連携した展開を推進する。

国内関係府省の連携の推進方向性③

現地への一層の展開に資するため、現地の需要を正確に把握するとともに、例えば、日本企業(ICT企業)と現地企業(サービス提供企業)等とのマッチングを支援する。

現地における日本企業(ICT)と海外企業(サービス)のマッチングの支援方向性④

IoTの世界は言語障壁が取り除かれ、我が国にとっても有利になるため、日本が強みとするリアルデータや知識を活用したAIやIoTプラットフォームの構築を進める。

AI/IoTプラットフォームの構築方向性⑤

相手国のスマートシティ構想を踏まえて、データを利活用したスマートシティの海外展開を推進する。

スマートシティの海外展開方向性⑥

ICTの成長分野が「サービス」や「プラットフォーム」、更には「データ」の活用へとシフトしていることを踏まえ、単なる「モノの輸出」にとどまらない海外展開を推進する。

また、潜在的な競争力につながる「M&A」や「研究開発」については、自前主義にとらわれないオープンイノベーションという観点も踏まえつつ、更に強化していく。

世界で拡大する需要の戦略的な取り込み方向性⑦

AI/IoT等のデジタルテクノロジーの社会への浸透により、ネットワークや機器の「信頼性」が国際社会でも大きな関心事項となっていることから、これまでの国際協力等で培った我が国への信頼性を強みにしていく。

「信頼性」を我が国の強みに方向性⑧

スタートアップやベンチャー企業の振興を重視し、Society 5.0時代の主役としてグローバルに活躍できる企業の育成を進めるとともに、そのような企業を次々と生むような産業構造への変革を図る。

スタートアップ・ベンチャー企業の育成や展開支援方向性⑨

デジタル分野の拡大• デジタル分野は継続的な技術革新を通じ、今後も世界的に市場 拡大(年平均7.0%)が予想されている。

• 特にAI/IoT、ビックデータ等の新たな技術・サービスの発展に伴い、 これらを支えるデジタルインフラやそれらを活用した様々なシステムの 需要が世界的に増大していくことが見込まれる。

官/支援組織 民

規制緩和・法制度支援

ファイナンス

人材育成・技術供与

• 現地に専門家を派遣し、相手国の政策形成過程に関与

• 相手国の制度・規制等に関する情報収集・共有

• 相手国に対する開発計画策定、規制緩和、法制度整備の支援

• 人材育成・研修・招聘事業• 専門家の派遣

• 円借款・無償資金協力• 輸出金融、投資金融、出資• 海外投資保険等

• 相手国に対する開発計画策定、規制緩和、法制度整備の支援

• 専門家の派遣• 技術指導

• 投資・融資

ICTの海外展開の推進

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2030年代におけるキーテクノロジーの高度化に向けた研究開発の方向性

●革新的ネットワーク• 伝送路のAI制御を実現し、ニーズに応じて、必要な時に必要な通信路が確保される効率的なポスト・インターネットを実現。

• 毎秒10テラビット級の光伝送技術により、現在の約400倍の通信速度を実現。事実上、遅延がなくなる。

●量子ICT• 盗聴できないことが数学的に保証された、秘匿性の高い通信を地球規模で実現。通信の安全性が大幅に向上。

• 光ネットワークを越える大容量・低消費電力の通信を実現。革新的ネットワークの次の世代のネットワークに向けた普及が始まる。

●センシング・IoT• 地表面の状況をcm単位で高精度に観測できるレーダーが

100分の1程度に小型化。ドローン等にも搭載可能となり、災害発生時に迅速に被災状況を確認することが可能に。

●脳情報通信・未来コミュニケーション• 話している人の表情や感情を読み取り、その場の雰囲気も察知して意図やニュアンスも理解することで、人と区別のつかない対話が可能なエージェント、ロボットを実現。超高齢化社会において人間に代わり人間をサポート。

• 脳情報が伝達可能となり、念じただけで、家電やドローンの操作が可能に。身体拡張も実現。

●次世代AI・ロボット• 特定の決まった作業を実施するためのAI(自動運転技術、画像認識等)から、人間と同様に多様な課題に柔軟に対応できるAIを実現。ロボットやアバターも高度化。生産性向上、生活支援の高度化等により人間の自由時間の拡大、新たな価値の創造、豊かな生活を実現。

●次世代ワイヤレス• beyond5Gを実現(双方向での超大容量×超大量接続×超低遅延)

• 高速な移動体の遠隔操作、医療分野等のクリティカルな場面でも無線利用が実現。

●サイバーセキュリティ• AI等がサイバー空間の脆弱性をリアルタイムに検知し、格段に安全性が高まるセキュリティ技術を実現。

●データ流通・利活用• 個人のプライバシーやトレーサビリティ等が確保された安全・安心なデータ主導社会を実現。あらゆる産業の実世界における多種多様なデータ流通・利活用が可能に。

●超臨場感伝達• 超高精細の映像データのほか、聴覚、触覚、嗅覚等の人間の様々な感覚情報を伝送し、VRやARによりリアルタイムに再現することにより、空間を越えた超臨場感のコミュニケーションを実現。

●宇宙ICT• 様々な軌道の衛星及び地球上のネットワークが、シームレスに連携した基盤を実現。

• 高解像・高頻度に取得された衛星データが、地上のセンサーデータ等と組み合わされ、社会課題の解決や多様なビジネスを創出。

次世代コミュニケーション技術による生活の質の飛躍的向上方向性①

安全安心なデータ主導社会の実現方向性②

※ 2025年の大阪・関西万博でデモンストレーションを実施

未来を支える高度なネットワークインフラの構築方向性③

• Society 5.0においては、あらゆる分野でのデジタル化が進展し、サイバー空間で生み出される 「バーチャルデータ」とフィジカル空間で生み出される「リアルデータ」が融合した新産業の創出が期待される。

• 特に、日本が強みとするリアルデータや知識等を活用するには、データ流通・利活用を支えるAI/IoTプラットフォームの実現に向けた研究開発が必要。

• 具体的には、実世界での様々なデータをセンシング技術により取得し、通信を介してデータを収集・蓄積(ビックデータ化)し、AI等により処理・解析し、新たに生まれたデータを実世界で活用する、というデータ・サイクルを支える最先端のキーテクノロジーについて、国、大学、民間等の連携に基づく戦略的な中長期的研究開発を推進することが不可欠。

次の3つの方向性の下、国が重点的に以下の10の研究開発プロジェクトを推進

オープンイノベーションによるキーテクノロジー高度化①

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beyond5Gや多種多様なセンシングデータを収容する超高速ネットワーク環境

• 国際的な競争が激しい分野によっては研究者の処遇を見直すなど、国内外の優秀な人材を確保する研究開発環境の整備

• プロジェクト形成を通じた次世代を担う研究開発人材の育成、女性研究者の育成

• 基本的な価値観を共有する地域・国と継続的にWin-Winの連携体制を構築(日米、日欧、日アジアに加え、分野・テーマに応じた戦略的なパートナー形成、製造分野における日独連携等)

• 研究開発段階からの戦略的パートナーづくり。必要に応じて他国で開発された技術も積極的に取り入れ

• 技術の進展スピードが加速化する中、グローバルな視点に立った対応の推進

• 分野・業種をまたぐコミュニティ形成を促進し、新たな価値の創造を図る。• beyond5Gを見据えた最先端の研究開発テストベッドの整備、多様な無線システムの周波数帯・通信方式等を大規模かつ高精度に模擬可能な電波エミュレータの開発等

• テストベッド等を利用した国等の研究データの共有、積極的活用の推進、研究コミュニティの形成、地域に密着した取組みの推進

• 国プロにおいて、異分野・異業種が参加する実証実験の促進。基礎的・基盤的な研究開発についても、早い段階から利用側の参画を促進

オープンイノベーションを促進する環境整備 諸外国との戦略的パートナーシップ構築

・ ・ ・

ビジネス視点の国際標準化の実現

• 標準化活動の基盤となる人材の支援と経営層の理解の促進• 標準化策定に必要なユースケースの検証を支援• 社会実装への期待が大きい分野での標準化の取組強化

研究開発の推進方策の方向性

• 研究開発において自前主義が強く、国内はもとより海外の研究機関・企業等との連携も限られている

• 研究者の国際ネットワーク力の低迷• 技術の進展が早く、最先端の研究は自主研究だけ

では不可能

• 国内外の優秀な研究者を引きつける総合的な研究開発環境が整っていない

• 次世代を担う研究開発人材が育成できていない

研究開発の課題

研究開発のオープン化・グローバル化の不足 研究開発環境の悪化、研究者の不足研究開発投資の状況

• 我が国のICT関連企業による研究開発投資は、米中に比べ伸びが低調

• 我が国の科学技術予算は、米中と大きな差

出典:欧州委員会資料を元に総務省が作成

○ 2030年に向けて中長期的な視点でキーテクノロジーの研究開発を進める上では課題が山積。

• 標準化の意義や役割が変化する中、 国際標準化をマーケティングとして活用する国が増加

• 標準化活動へ参加する人材の固定化・高齢化

デジュール標準化会合への出席者の年齢分布オープン・イノベーション活動の実施率

日本企業のオープン・イノベーション活動への取組は、相対的に不活発。

出典 : 米山、 渡部、 山内、 真鍋、 岩田 「日米欧企業におけるオープン・ イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号を基に総務省にて作成

ICT関連企業による研究開発投資の国別比較

日本

米国

EU

中国

日本米国EU

中国

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

7%

0 20 40 60 80

投資額の前年伸び率

(2016

-201

7)

投資額 (2017年)[10億ユーロ]

ICT製造業ICTサービス業

欧米企業(n=121) 日本企業(n=101)

※ ISO及びIEC

40歳代以

50歳代

52%

60歳以上

日本

中国

30歳代

15%

40歳代

30%

50歳代

46%

60歳以

韓国

20歳代

30歳代

40歳代 27%

50歳代

出典:日本のデータ 経済産業省 第四次産業革命時代に向けた標準化体制の強化(平成29年2月)中国・韓国のデータ 三菱総合研究所「国際標準化に係る中国・韓国の動向について」(平成28年3月)

世界の研究者の国際ネットワーク(共著関係)

出典:経済産業省 通商白書2017

トップ級の研究開発人材確保のための環境整備と育成

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オープンイノベーションによるキーテクノロジー高度化②