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ザノサー点滴静注用 1g 第 2 部 CTD の概要(サマリー) 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.6 毒性試験の概要文

ザノサー点滴静注用1g 第2部 CTDの概要(サマリー) 2.6 非 ......CCNU ロムスチン(1-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-1-ニトロソウレア)

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  • ザノサー点滴静注用 1g

    第 2 部 CTD の概要(サマリー)

    2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

    2.6.6 毒性試験の概要文

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - i -

    略語一覧

    略語 内容 ACD クエン酸-デキストロース(Acid Citrate Dextrose)

    ALB アルブミン

    ALP アルカリフォスファターゼ

    ALT(GPT) アラニンアミノトランスフェラーゼ

    APTT 活性化部分トロンボプラスチン時間

    AST(GOT) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ

    AUC0-24h 血中薬物濃度-時間曲線下面積(0-24 時間)

    BCNU カルムスチン(1, 3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア)

    BIL 総ビリルビン

    BrdU 臭素化デオキシウリジン

    CA カルシウム

    CCNU ロムスチン(1-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-1-ニトロソウレア)

    CHO 総コレステロール

    CL クロール

    Cmax 最高血中薬物濃度

    CNU クロロエチル-ニトロソウレア

    CRE クレアチニン

    Glu グルコース

    Hb ヘモグロビン濃度

    IP 無機リン

    Ket ケトン体

    LD50 50%致死量

    LDH 乳酸デヒドロゲナーゼ

    Lymp リンパ球数

    MCHC 平均赤血球血色素濃度

    MCV 平均赤血球容積

    MGT O6-アルキルグアニン-DNA-アルキルトランスフェラーゼ

    MNU N-メチル-N-ニトロソウレア

    MNNG N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン

    NA ナトリウム

    Neu 好中球数

    PLT 血小板数

    PL リン脂質

    PT プロトロンビン時間

    RBC 赤血球数

    Retic 網赤血球比

    TG 中性脂肪、トリグリセリド

    TP 総蛋白

    UN 尿素窒素

    WBC 白血球数

    α1G α1 グロブリン

    βG βグロブリン

    γGT γ-グルタミルトランスフェラーゼ

    一般名;ストレプトゾシン〔Streptozocin(INN)〕

    化学名;2-デオキシ-2-(3-メチル-3-ニトロソウレイド)-α(及びβ)-D-グルコピラノース

    〔2-Deoxy-2-(3-methyl-3-nitrosoureido)-α(andβ)-D-glucopyranose〕

    分子式;C8H15N3O7、分子量;265.22

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - ii -

    目 次

    2.6.6 毒性試験の概要文.........................................................1 2.6.6.1 まとめ.................................................................1 2.6.6.2 単回投与毒性試験.......................................................5 2.6.6.2.1 マウスの単回腹腔内投与毒性試験.......................................5 2.6.6.2.2 ラットの単回静脈内投与毒性試験.......................................5 2.6.6.2.3 イヌの単回静脈内投与毒性試験.........................................6 2.6.6.3 反復投与毒性試験.......................................................6 2.6.6.3.1 ラットの 2 週間反復静脈内投与毒性試験.................................6 2.6.6.3.2 サルの 1 クール静脈内投与毒性試験.....................................8 2.6.6.3.3 サルの 3 クール静脈内投与毒性試験....................................10 2.6.6.4 遺伝毒性試験..........................................................11 2.6.6.5 がん原性試験..........................................................13 2.6.6.6 生殖発生毒性試験......................................................13 2.6.6.6.1 ラットの胚・胎児発生に関する試験....................................13 2.6.6.6.2 ウサギの胚・胎児発生に関する試験....................................14 2.6.6.7 局所刺激性試験........................................................14 2.6.6.8 その他の試験..........................................................15 2.6.6.8.1 類縁物質の毒性試験..................................................15 2.6.6.8.1-1 類縁物質のラットの 2 週間静脈内投与毒性試験........................15 2.6.6.8.1-2 類縁物質の細菌を用いる復帰突然変異試験............................15 2.6.6.8.1-3 類縁物質のほ乳動物細胞を用いる染色体異常試験......................16 2.6.6.9 考察及び結論..........................................................17 2.6.6.10 図表.................................................................20 2.6.6.11 参考文献.............................................................21

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 1 -

    2.6.6 毒性試験の概要文

    2.6.6.1 まとめ

    (1) 毒性試験のデータパッケージ 本剤(ストレプトゾシン)は1982年に米国で「症候性又は進行性の転移性膵内分泌腫瘍

    (膵島細胞癌)」の効能・効果で承認され、その際承認申請に使用された毒性試験資料(19

    ~19 年実施)を、今回の承認申請における安全性評価の参考とした。うち、反復投与毒

    性及び類縁物質の毒性に関しては、適切な情報が得られなかったため、ラットの2週間反復

    静脈内投与毒性試験、サルの1クール及び3クール静脈内投与毒性試験(臨床投与と同じ投

    与スケジュールによる)並びに類縁物質の毒性試験(ラット2週間反復静脈内投与毒性試験

    及び復帰突然変異試験)を新たに国内で実施した。遺伝毒性に関しては既に多数の報告が

    あり、ストレプトゾシンが明らかな遺伝毒性物質であることから、最近の知見を含め、公

    表論文を概括した。また、本剤が抗悪性腫瘍薬であることから、「抗悪性腫瘍薬の非臨床評

    価に関するガイドラインについて」(平成22年6月4日付、薬食審査発0604第1号)に準拠し、

    がん原性試験は実施しなかった。また、生殖発生毒性についてはラット及びウサギの胚・

    胎児発生に関する試験成績を資料とした(表2.6.6.1-1)。

    表2.6.6.1-1 毒性試験一覧

    試験の種類 動物種 投与経路・期間 GLP 実施場所・出典

    (報告年)

    マウス 腹腔内・単回

    ラット 静注・単回 否 (19 )

    静注・単回 否 (19 ) 単回投与毒性

    イヌ 点滴静注・単回 否 (19 )

    ラット 静注・2 週 否 (20 )

    サル 静注・1 クール/(5 日間投与+

    37 日間休薬)×1 回 否

    (20 )

    (20 ) 反復投与毒性

    サル 静注・3 クール/(5 日間投与+

    37 日間休薬)×3 回 適 (20 )

    遺伝毒性 否 文献レビュー

    ラット 腹腔内・妊娠 6-15、6-9、9-12、

    12-15 日 生殖発生毒性

    ウサギ 静注・妊娠 6-18 日

    否 (19 )

    ラット 静注・2 週 適 (20 ) その他

    (類縁物質) サルモネラ菌、

    大腸菌 in vitro 復帰突然変異 適 (20 )

    : 株式会社、 :

    (2) 単回投与毒性試験

    マウスの腹腔内投与、ラット及びイヌの静脈内投与並びにイヌの点滴静脈内投与による

    単回投与毒性試験を実施した。 マウスの腹腔内投与における LD50値は 275 mg/kg であり、125.6 mg/kg 以上では投与後 5

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 2 -

    日以降に多飲及び多尿がみられた。

    ラットの静脈内投与における LD50 値は 138 mg/kg であり、50~125.6 mg/kg の投与後 5

    日以降に多飲、多尿及び腹部の膨満がみられた。死亡例では腸、腸間膜及び膀胱の出血並

    びに膵島の退行変性がみられる例があった。

    イヌの静脈内投与における概略の致死量は 50 mg/kg であった。25 mg/kg 以上では体温

    上昇、頻脈などがみられ、50 mg/kg 以上の投与後 3 日以降では呼吸緩徐、体温下降、血糖

    及び尿素窒素の増加並びに血液濃縮がみられた。死亡例では膵臓、腎臓及び腸管などの充

    血あるいは出血が認められ、病理組織学的所見では膵臓の膵島及び腺房細胞の変性を伴う

    膵臓の萎縮が認められた。

    イヌの点滴静脈内投与(1時間)の35 mg/kgでは、嘔吐及び血糖の増加に続き、投与後1

    日より糖尿、ケトン尿及びALT・ASTの増加がみられ、投与後8日に症状が悪化したため屠殺

    した。致死量は35 mg/kg付近と推定された。また、点滴静脈内投与(6時間)の35 mg/kg

    では、嘔吐及び血糖の増加がみられたが、投与後26日には回復した。点滴静脈内投与(1

    時間)の80 mg/kgでは、嘔吐、血糖の増加などがみられ、投与後20時間には顕著な血糖低

    下及び体温下降を示し、雄は投与後1日に屠殺し、雌は投与後5日に死亡した。病理組織学

    的所見として、急性間質性膵炎、膵島のβ細胞顆粒の欠失、肝細胞の空胞化などが認めら

    れた。

    (3) 反復投与毒性試験

    反復投与毒性試験として、ラットに2週間静脈内投与並びにサルに臨床投与と同じスケジ

    ュール(1クール:5日間反復投与後37日間休薬)で1及び3クール静脈内投与した。サルの

    試験では、投与期間終了時と休薬期間終了時に臨床検査及び病理組織学的検査を実施した。

    血漿中薬物濃度は、初回及び最終回投与時に測定した。

    1) ラット

    ラットへの2週間静脈内投与(0、1、3、10、30 mg/kg/日)では死亡例はみられなかった

    が、30 mg/kgで自発運動の低下及び体重減少がみられた。ストレプトゾシンに起因する変

    化は主に膵臓、腎臓及び肝臓に認められ、膵臓では、10 mg/kg以上で膵島細胞の変性及び

    萎縮、グルコースの上昇及び尿糖の増加が認められた。また尿糖の増加に伴い、尿量及び

    摂水量が増加し、30 mg/kgでは腺房細胞のチモーゲン顆粒の減少及び核の腫大も伴ってい

    た。腎臓では、10 mg/kg以上で尿細管上皮の肥大、近位尿細管上皮のカリオメガリー及び

    好塩基性尿細管が認められた。肝臓では、30 mg/kgで肝細胞のび漫性のカリオメガリー及

    び肝細胞の単細胞壊死、10 mg/kgでび漫性の肝細胞のび漫性の肥大が認められ、AST、ALT、

    総ビリルビン及びγ-グルタミルトランスフェラーゼの増加を伴っていた。そのほか、30

    mg/kgでは、衰弱による変化と考えられる胸腺、脾臓及び雄生殖器の萎縮性変化並びに腺胃

    粘膜などの変化が認められた。本試験条件下における無毒性量は3 mg/kg/日であった。

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 3 -

    2) サル

    サルに1クール静脈内投与(15、30、60 mg/kg/日)した結果、最終投与後2~4日に60 mg/kg

    の雌が死亡し、同群の雄及び30 mg/kgの雌を瀕死期屠殺した。15 mg/kg以上では投与期間

    及び休薬期間中に嘔吐(休薬期間では30 mg/kg以上)、体重減少のほか、尿糖及び尿量の増

    加がみられた。

    投与終了時においては、15 mg/kg以上で血糖及びトリグリセリドの上昇並びに電解質(ナ

    トリウム及びクロール)の低下がみられ、30 mg/kg以上では尿素窒素、クレアチニン、AST、

    ALT、LDH及び総ビリルビンの上昇がみられた。60 mg/kgで無機リンの上昇並びに総タンパ

    ク及びカルシウムの低下、プロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の

    延長並びに好中球の増加とこれに伴う白血球数の増加がみられた。

    休薬終了時においては、血液学的検査及び血液生化学的検査のいずれの所見も投与終了

    時と同様か又は増強する傾向を示し、総じて回復性は認められなかった。剖検では、死亡

    及び瀕死期屠殺例で肝臓及び腎臓の退色、30 mg/kgの雄で腎臓の腫大、60 mg/kgの雄で膵

    臓の小型化が認められた。病理組織学的所見では、15 mg/kg以上でインスリン陽性細胞の

    減少を伴う膵島細胞の萎縮、腎臓尿細管上皮の肥大及び近位尿細管上皮のカリオメガリー

    が認められた。30 mg/kg以上では衰弱に起因する変化として、膵臓腺房細胞のチモーゲン

    顆粒の減少及び空胞化が認められ、うち死亡及び瀕死期屠殺動物では肝細胞の肥大、空胞

    化及び単細胞壊死が認められた。

    ストレプトゾシンのAUC0-24hには、性差並びに反復投与(初回及び第5回投与)の影響は認

    められなかった。本試験条件下における概略致死量は30 mg/kg/日、無毒性量は15 mg/kg/

    日未満であった。

    サルの3クール静脈内投与試験(0、5、15 mg/kg/日)では、死亡又は瀕死期屠殺動物は

    なかったが、1クール静脈内投与試験と同様、主に膵臓及び腎臓に毒性変化が認められた。

    投与終了時における変化としては、15 mg/kgで膵島細胞の萎縮が認められ、免疫組織化学

    染色では5 mg/kg以上でインスリン陽性細胞(β細胞)の減少と15 mg/kgでグルカゴン陽性

    細胞(α細胞)の増加が確認された。いずれの変化も休薬による回復性は認められなかっ

    た。腎臓では、5 mg/kg以上で尿細管上皮の肥大、15 mg/kgで近位尿細管上皮のカリオメガ

    リー及び尿細管の拡張が認められた。そのほか、副腎では15 mg/kgの雌で球状帯の肥厚が

    認められ、機能亢進を示唆する変化と考えられた。臨床検査では、5 mg/kg以上で血糖の上

    昇、15 mg/kgで尿量及び尿糖の増加、血清トリグリセリド及びクレアチニンの上昇並びに

    無機リンの低下がみられた。これらの変化は、いずれも上述の膵島β細胞あるいは尿細管

    の器質変化に起因するものと考えられた。

    投与期間中に実施した心電図検査では、15 mg/kgで心拍数の減少及びRR間隔の延長が、

    また、血圧検査では拡張期、収縮期及び平均血圧の低下、並びに脈拍数の低下がみられた

    が、いずれも休薬期間終了時には回復した。

    初回及び第11回(第3クールの初日)投与後におけるストレプトゾシンのAUC0-24hは、それ

    ぞれ5 mg/kgの雄では17.6及び24.6 μg·h/mL、雌では19.7及び27.6μg·h/mLで、15 mg/kg

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

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    群ではほぼ用量に比例して増加した。また、性差並びに反復投与の影響は認められなかっ

    た。本試験条件下における無毒性量は5 mg/kg/日未満であった。

    (4) 遺伝毒性試験

    ストレプトゾシンの細菌を用いる復帰突然変異試験、哺乳類細胞を用いる突然変異試験、

    in vitroでの染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験、小核試験及びin vivoでの遺伝毒

    性試験に関しては、既に多数の報告があり、いずれの試験系においても遺伝毒性を示すこ

    とが報告されている。

    ストレプトゾシンはDNA塩基の特定の部位をアルキル化することによってDNA損傷を引き

    起こすこと、また、代謝時に発生するフリーラジカルがDNA損傷及び細胞毒性の誘発機序に

    重要な役割を果たしていることが明らかにされている。ストレプトゾシンのアルキル化作

    用によるDNA鎖損傷は、染色体異常、姉妹染色分体交換又は小核として現れ、さらにDNA損

    傷が重度になると、アポトーシス又は壊死による細胞死を招くことが明らかにされている。

    (5) がん原性試験

    本剤の有効成分であるストレプトゾシンは遺伝毒性を有する抗悪性腫瘍薬であることか

    ら、がん原性試験は実施しなかった。

    (6) 生殖発生毒性試験

    ラットの妊娠 6~15 日にストレプトゾシンの 0、22 mg/kg/日を、妊娠 6~9 日、9~12

    日及び 12~15 日に 10、20、30 mg/kg/日をそれぞれ腹腔内投与した。

    母動物では、体重増加量の低値が妊娠 6~15 日の 22 mg/kg、妊娠 9~12 日及び 12~15

    日の20 mg/kg並びに各投与時期の30 mg/kgでみられた。摂餌量は、妊娠 6~15日の22 mg/kg

    のみで減少した。胎児体重は、妊娠 6~15 日の 22 mg/kg 及び各投与時期の 20 及び 30 mg/kg

    で低値であった。胎児の骨化遅延(脊椎、中手骨)が、妊娠 6~15 日の 22 mg/kg 及び各投

    与時期の 30 mg/kg でみられた。胸骨分節の欠損が、妊娠 6~15 日の 22 mg/kg、妊娠 6~9

    日の 20 mg/kg 以上、並びに妊娠 9~12 日及び 12~15 日の 30 mg/kg で認められた。そのほ

    か、妊娠 6~15 日の 22 mg/kg では肋骨の欠損、水腎症及び水尿管が観察された。ストレ

    プトゾシンのラットにおける母動物の一般毒性に対する無毒性量は 10 mg/kg/日、生殖能

    に対する無毒性量は 30 mg/kg/日であった。また、胚・胎児に対する無毒性量は 10 mg/kg/

    日未満であった。

    ウサギの妊娠 6~18 日にストレプトゾシンの 0、5、10、20 mg/kg/日を静脈内投与した。

    母動物の体重増加量は、すべての薬物投与群で投与期間中(妊娠 6~18 日)に低値とな

    り、20 mg/kg ではその後も継続した。摂餌量にも同様の抑制がみられた。死亡あるいは途

    中屠殺が 5 mg/kg に 1/15 匹、10 及び 20 mg/kg にそれぞれ 2/15 匹、流・早産が 20 mg/kg

    に 5/15 匹みられた。20 mg/kg では吸収胚数の増加傾向及び同腹児数の減少傾向がみられ

    た。胎児の内臓及び骨格検査に異常はなかった。ストレプトゾシンのウサギにおける母動

    物の一般毒性・生殖能に対する無毒性量は 5 mg/kg/日未満、胚・胎児に対する無毒性量は

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 5 -

    10 mg/kg/日であった。

    (7)局所刺激性試験

    本剤のラット及びサルの反復静脈内投与毒性試験において、投与部位である尾静脈(ラ

    ット)及び伏在静脈(サル)並びにその周囲組織に刺激性は観察されなかったことから、

    局所刺激性試験は実施しなかった。

    (8) その他の試験

    1) 類縁物質の毒性

    ストレプトゾシンの強制劣化品(ストレプトゾシン原薬を光照射及び加熱分解して得ら

    れた類縁物質配合品)及び非劣化品を用いて、ラット 2 週間反復静脈内投与毒性試験及び

    復帰突然変異試験を実施した。ラット 2 週間反復静脈内投与毒性試験では、非劣化品でス

    トレプトゾシン投与に起因する変化が主に膵臓、腎臓及び肝臓に認められたが、強制劣化

    品では、特記すべき変化はなかった。また、復帰突然変異試験及び染色体異常試験では、

    両者とも溶媒対照値に比べ、復帰変異コロニー数及び染色体構造異常の増加がみられたが、

    強制劣化品の比活性値(コロニー数/mg)又は染色体構造異常頻度が非劣化品のそれに比し

    て約 3~4 倍低く、強制劣化品のストレプトゾシン含量( ~ %)を考えると、復帰突然

    変異原性及び染色体異常能は弱いものであった。以上のように、類縁物質配合品のラット

    2 週間静脈内投与毒性試験及び遺伝毒性試験とも新規な毒性は発現されず、類縁物質の影

    響は低いものと考えられた。

    2.6.6.2 単回投与毒性試験

    2.6.6.2.1 マウスの単回腹腔内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.1-1 参)

    マウス(系統・性別不明、体重 18~21 g、10 匹/群)に、ストレプトゾシン(79.2、125.6、

    200、315.5、500、792 mg/kg)を ACD 添加生理食塩液に溶解して単回腹腔内投与し、その

    後 2 週間の観察を行い、急性毒性を検討した。

    その結果、200 mg/kg 以上の群で死亡がみられ、LD50は 275 mg/kg であった。毒性症状と

    して 125.6 及び 200 mg/kg 群で投与後 5 日以降に多飲、多尿がみられた。200 mg/kg 以上

    の群では食欲不振により体重が減少し、315.5 mg/kg 以上の群では振戦及び症状の悪化が

    みられた。

    2.6.6.2.2 ラットの単回静脈内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.1-1 参)

    ラット(系統・性別不明、体重 100~129 g、10 匹/群)に、ストレプトゾシン(31.5、

    50、79.2、125.6、200、315.5 mg/kg)を ACD 添加生理食塩液に溶解して単回静脈内投与し、

    その後 2 週間の観察を行い、急性毒性を検討した。

    その結果、79.2 mg/kg 以上の群の投与後 4~13 日に死亡が発現し、LD50は 138 mg/kg で

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 6 -

    あった。毒性症状として 50~125.6 mg/kg の群の投与後 5 日以降に多飲、多尿及び腹部の

    膨満がみられた。125.6 mg/kg 以上の群では食欲不振により体重が減少した。死亡例の一

    部では腸、腸間膜及び膀胱に出血がみられ、200 mg/kg 以上の群では膵島の退行変性が認

    められた。

    2.6.6.2.3 イヌの単回静脈内投与毒性試験

    1) 静脈内投与による試験 (添付資料:4.2.3.1-1 参)

    ビーグル犬(体重 8.4~10.9 kg、雌雄計 1~2 匹/群)に、ストレプトゾシン(12.5、

    25、50、100 mg/kg)を ACD 添加生理食塩液に溶解して単回静脈内投与し、その後 2 週間の

    観察を行い、急性毒性を検討した。

    死亡は、50 mg/kg 群の投与後 3 日に 1/2 匹(雌)、100 mg/kg 群の投与後 4 日に 1/1 匹(雄)

    にみられ、概略の致死量は 50 mg/kg であった。25 mg/kg 以上の群では体温上昇、頻脈、

    などがみられ、50 mg/kg 以上の群の投与後 3 日以降では呼吸緩徐、体温下降、血糖及び尿

    素窒素の増加、並びに血液濃縮がみられた。死亡例では膵臓、腎臓、腸管などの充血ある

    いは出血が認められ、病理組織学的所見では膵島及び腺房細胞の変性を伴う膵臓の萎縮が

    認められた。

    2) 点滴静脈内投与による試験 (添付資料:4.2.3.1-2参)

    ビーグル犬(体重6.1~11.0 kg、雌雄計1~2匹/群)に、ストレプトゾシン(35、80 mg/kg

    )をクエン酸添加生理食塩液に溶解して単回点滴静脈内投与し、その後約4週間の観察を行

    い、急性毒性を検討した。点滴時間は35 mg/kgで1又は6時間(雄各1匹)、80 mg/kgで1時間

    (雌雄各1匹)とした。

    35 mg/kg 群の点滴静脈内投与(1 時間)では、投与後すぐに嘔吐、投与後 4 時間までに

    血糖の増加、投与後 1 日以降で糖尿、ケトン尿、AST 及び ALT の増加がみられ、投与後 8

    日に全身状態が悪化したため屠殺した。概略致死量は 35 mg/kg 付近と推定された。

    35 mg/kg 群の点滴静脈内投与(6 時間)では、嘔吐及び血糖の増加がみられたが、投与

    後 25 日には回復した。また、臓器の異常はみられなかった。

    80 mg/kg 群の点滴静脈内投与(1 時間)では、投与直後あるいは投与後 4 時間までに嘔

    吐及び血糖の増加がみられ、投与後 20 時間には顕著な血糖低下及び体温下降を示し瀕死状

    態を呈して、雄は投与後 1 日に屠殺し、雌は投与後 5 日に死亡した。病理組織学的所見と

    して、膵臓では急性間質性膵炎及び膵島のβ細胞顆粒の欠失及び肝細胞の空胞化などがみ

    られた。

    2.6.6.3 反復投与毒性試験

    2.6.6.3.1 ラットの 2 週間反復静脈内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.2-1 参)

    Crl:CD 系ラット(6 週齢、雌雄各 3 匹/群)に、ストレプトゾシン(0、1、3、10、30 mg/kg/

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 7 -

    日)をクエン酸添加生理食塩液に溶解して 2 週間反復静脈内投与し、その毒性を検討した。

    主な毒性所見を表 2.6.6.3-1 に示した。

    いずれの投与群にも死亡例はなく、30 mg/kg 群の雄で投与 11~12 日より削痩及び自発

    運動量の低下、投与 15 日に体温の低下が認められた。そのほか、同群の雌では投与 15 日

    に自発運動の低下が認められた。30 mg/kg 群では、体重の減少、摂餌量の減少(雄)ある

    いは増加(雌)、及び摂水量の増加傾向(10 mg/kg 雄も)がみられた。

    尿検査では、10 mg/kg 以上の群で尿量の増加及びグルコースの増加及び増加傾向が、ま

    た、10 mg/kg 群の雄及び 30 mg/kg 群では pH の低下及び低下傾向が、さらに 30 mg/kg 群

    の雌では尿中電解質(ナトリウム、カリウム、クロール)の増加がみられた。

    血液学的検査(30 mg/kg 雌は非実施)では、30 mg/kg 群で赤血球数、ヘモグロビン濃

    度、平均赤血球血色素濃度(10 mg/kg 雌も)及び好中球数の増加並びにヘマトクリット値、

    平均赤血球容積(10 mg/kg 雄も)、血小板数、網赤血球比の減少、白血球数及びリンパ球

    数の減少傾向がみられた。

    血液生化学的検査では、10 mg/kg 以上の群で AST 及びグルコースの増加が、10 mg/kg

    群の雄及び 30 mg/kg 群でリン脂質の減少がみられた。30 mg/kg 群では ALP の増加、ALT、

    γ-グルタミルトランスフェラーゼ、総ビリルビン及び尿素窒素の増加傾向並びに総コレス

    テロール、トリグリセリド、総蛋白、アルブミン、α1 グロブリン、βグロブリン、カル

    シウム及びナトリウムの減少がみられた。雌では A/G 比の低下も伴っていた。そのほか、

    雌 10 mg/kg 以上の群でクロールの減少が、雌 30 mg/kg 群で無機リンの増加がみられた。

    絶対及び相対重量に変化のみられた器官としては、10 mg/kg 群の肝臓(増加)、30 mg/kg

    群の胸腺及び脾臓(減少)であった。剖検では、30 mg/kg 群で肝臓の暗褐色化、腎臓の褪

    色、胸腺及び脾臓の小型化、腺胃粘膜の黒色斑(10 mg/kg 雄も)、空腸及び回腸の異常内

    容物が認められ、雄性生殖器(精巣、精巣上体、精嚢、及び前立腺)の小型化も認められ

    た。病理組織学的検査では、10 mg/kg 群で膵臓の膵島細胞の変性及び肝臓の肝細胞のび漫

    性肥大が、10 mg/kg 以上の群で膵臓の膵島細胞の萎縮、腎臓の尿細管上皮の肥大、近位尿

    細管上皮のカリオメガリー及び好塩基性尿細管が認められた。30 mg/kg 群では膵臓の腺房

    細胞のチモーゲン顆粒の減少及び核の腫大、腎臓の尿細管の拡張、肝細胞のび漫性カリオ

    メガリー及び単細胞壊死、胸腺及び脾臓の萎縮、胃の腺胃粘膜のびらん(10 mg/kg 雄も)

    及びうっ血並びに表層上皮の再生が認められた。そのほか、精巣の精細管上皮の変性と間

    質の出血、精巣上体の管内細胞屑を伴う萎縮、精嚢及び前立腺の萎縮が認められた。

    3 mg/kg 以下の群では薬物に起因すると考えられる変化は認められなかったことから、

    本試験条件下における無毒性量は 3 mg/kg/日であった。

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 8 -

    表 2.6.6.3-1 ラット 2 週間反復静脈内投与毒性試験でみられた主な毒性所見

    投与量(mg/kg/日) 0、1、3、10、30

    死亡 -

    一般状態 ≧10:摂水量↑

    30:体重↓

    尿検査 ≧10:Glu・尿量↑、pH↓

    血液学的検査 a ≧10:MCHC↑(雌)、MCV↓

    30:RBC・Hb・MCHC・Neut↑、PLT・Retic↓、WBC・Lymp ↘

    血液生化学的検査 ≧10:Glu・AST↑、Cl↓(♀)

    30:ALP・IP↑、ALT・γGT・BIL・UN ↗

    CHO・PL・TG・TP・ALB・α1G・ßG・CA・NA↓

    肝臓 30:暗褐色

    腎臓 30:褪色

    胸腺 30:小型化

    脾臓 30:小型化

    胃・腸管 30:腺胃粘膜黒色斑、異常内容物

    剖検

    生殖器(雄) 30:小型化

    ≧10:膵島細胞の変性・萎縮 膵臓

    30:腺房細胞のチモーゲン顆粒減少・核の腫大

    ≧10:尿細管上皮の肥大

    ≧10:近位尿細管上皮のカリオメガリー

    腎臓

    ≧10:好塩基性尿細管

    10:肝細胞のび漫性肥大

    30:肝細胞のび漫性カリオメガリー

    病理組織学的検査

    肝臓

    30:肝細胞の単細胞壊死

    無毒性量 3 mg/kg/日 -:特記すべき所見なし、a:雌の 30 mg/kg は非実施、↑(↓):増加(減少又は低下)、

    ↗(↘):増加(減少)傾向

    2.6.6.3.2 サルの 1 クール静脈内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.2-2 参、4.2.3.2-3 参)

    カニクイザル(4~5 歳齢、雌雄各 1 匹/群)にストレプトゾシン(15、30、60 mg/kg/

    日)をクエン酸添加生理食塩液に溶解して、臨床適用と同じスケジュール(1 クール:5

    日間反復投与後 37 日間休薬)で 1 クール静脈内投与した。投与前、投与期間終了時及び休

    薬期間終了時に採尿、採血するとともに、休薬期間終了時に動物を屠殺して、その毒性及

    び血漿中薬物濃度を検討した。主な毒性所見を表 2.6.6.3-2 に示した。

    60 mg/kg 群の雌が最終投与後 2 日に死亡し、同日に雄を瀕死期屠殺した。また、30 mg/kg

    群の雌を最終投与後 4 日に瀕死期屠殺した。一般状態では、15 mg/kg 以上の群で投与期間

    中に嘔吐がみられ、30 mg/kg 群では休薬期間中にも観察された。瀕死期屠殺又は死亡した

    動物では側臥位、うずくまり、運動量の低下、黄疸、あるいは無便が観察された。休薬期

    間終了まで生存した 15 及び 30 mg/kg 群の雄では投与期間及び休薬期間を通じて体重減少

    がみられた。

    投与期間終了時における主な検査結果は以下のとおりである。

    尿検査では、15 mg/kg 以上の群でグルコース(尿糖)及び尿量の増加がみられ、30 mg/kg

    以上の群では尿中ケトン体が増加した。血液学的検査では、60 mg/kg 群でプロトロンビン

    時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長及び好中球の増加とこれに伴う白血球

    数の増加がみられた。血液生化学的検査では、15 mg/kg 以上の群でグルコース及びトリグ

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 9 -

    リセリドの上昇並びに電解質(ナトリウム、クロール)の低下がみられた。30 mg/kg 以上

    の群では、さらに尿素窒素、クレアチニン、AST、ALT、LDH 及び総ビリルビンの上昇がみ

    られた。60 mg/kg 群では総タンパク及びカルシウムの低下、無機リンの上昇がみられた。

    休薬期間終了時における主な所見は以下のとおりである。

    尿検査、血液学的検査、血液生化学的検査における所見の多くは投与期間終了時と同様

    の傾向又は増強を示し、総じて回復性は得られなかった。

    剖検では、30 mg/kg 以上の群では死亡及び瀕死期屠殺例で、肝臓及び腎臓の退色、30

    mg/kg 群の雄で腎臓の腫大が、60 mg/kg 群の雄では膵臓の小型化が認められた。病理組織

    学的所見(膵臓、腎臓及び肝臓)では、15 mg/kg 以上の群でインスリン陽性細胞の減少を

    伴う膵島細胞の萎縮、腎臓尿細管上皮の肥大及び近位尿細管上皮のカリオメガリーが認め

    られた。30 mg/kg 以上の死亡及び瀕死期屠殺動物では、膵島細胞、尿細管上皮及び肝細胞

    の空胞化及び単細胞壊死が認められた。また、衰弱に起因する変化として、30 mg/kg 以上

    の群で膵臓腺房細胞のチモーゲン顆粒の減少及び空胞化が認められた。

    血漿中薬物濃度測定の結果、15 mg/kg 群の初回及び第 5 回投与後におけるストレプトゾ

    シンの AUC0-24hは、雄では 136 及び 136μg·h/mL、雌では 135 及び 136μg·h/mL であり、性

    差並びに反復投与の影響は認められなかった。

    以上の結果から、本試験条件下における概略致死量は 30 mg/kg/日と考えられ、無毒性

    量は 15 mg/kg/日未満であった。

    表 2.6.6.3-2 サル 1 クール静脈内投与毒性試験でみられた主な毒性所見

    投与期間(5 日間) 休薬期間(37 日間)

    投与量 15、30、60 mg/kg/日

    死亡/瀕死期殺(匹) - 30:瀕死期殺(♀)

    60:死亡(♀)、瀕死期殺(♂)

    一般状態 ≧15:嘔吐、体重減少 30:嘔吐、15,30♂:体重減少

    尿検査 ≧15:Glu↑、尿量↑

    ≧30:Ket↑、60:CL↓

    ≧15:Glu↑、尿量↑

    血液学的検査 60:PT・APTT↑、WBC・Neut↑ 60:PT・APTT↑

    血液生化学的検査 ≧15:Glu・TG↑、NA・CL↓

    ≧30:CRE・AST・ALT・LDH・BIL・

    UN↑、60:TP・CA↓、IP↑

    ≧15:Glu・TG↑、NA・CL↓

    ≧30:CRE・AST・ALT・LDH・BIL・UN↑、

    TP↓、CA↓、IP↑

    剖検 肝臓 NE ≧30:退色

    腎臓 NE ≧30:退色・腫大(30♂のみ)

    膵臓 NE 60♂:小型化

    病理組織

    学的検査

    膵臓 NE ≧15:膵島細胞の萎縮、インスリン陽性細

    胞の減少

    ≧30:腺房細胞チモーゲン顆粒の減少、空

    胞化

    腎臓 NE ≧15:尿細管上皮の肥大

    近位尿細管上皮のカリオメガリー

    肝臓 NE ≧30(死亡、瀕死期屠殺動物):

    肝細胞の空胞化、単細胞壊死

    無毒性量

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 10 -

    2.6.6.3.3 サルの 3 クール静脈内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.2-4)

    カニクイザル(3~5 歳齢、雄 6 匹/群、雌 5 匹/群)にストレプトゾシン(0、5、15 mg/kg/

    日)をクエン酸添加生理食塩液に溶解して、臨床適用と同じスケジュール(1 クール:5

    日間反復投与後 37 日間休薬)で、3 クール静脈内投与した。投与期間終了時及び休薬期間

    終了時に動物を屠殺して、その毒性及び血漿中薬物濃度を検討した。主な毒性所見を表

    2.6.6.3-3 に示した。

    投与期間及び休薬期間を通じて、いずれの投与群にも死亡・瀕死期屠殺動物はなかった。

    15 mg/kg 群では、嘔吐が各クールの投与期間中に観察された。また、体重の減少が第 3 ク

    ールの投与期間終了までにみられ、雄 1 例で摂餌量が一過性に低下した。なお、5 mg/kg

    群では、嘔吐が第 2 クールの投与期間中に雄 1 例で 1 回観察された。

    第 3 クールの投与期間終了時における主な検査結果は以下のとおりである。

    尿検査では、15 mg/kg 群で尿中グルコース(尿糖)の陽性及び尿量の増加がみられた。

    血液生化学的検査では、15 mg/kg 群でグルコース、トリグリセリド及びクレアチニンの上

    昇並びに無機リンの低下がみられた。5 mg/kg 群では、グルコースの上昇傾向がみられた。

    心電図検査では、15 mg/kg 群で心拍数の減少及び RR 間隔の延長傾向が投与後 2.5~3.5 時

    間にみられた。血圧検査では、15 mg/kg 群で拡張期、収縮期及び平均血圧あるいは脈拍数

    の低下がみられた。器官重量では、15 mg/kg 群で腎臓重量の増加がみられ、雄では腎臓の

    腫大が認められた。病理組織学的検査では、5 mg/kg 以上の群でインスリン陽性細胞の減

    少が認められ、15 mg/kg 群では膵島細胞の萎縮、及び雌ではグルカゴン陽性細胞の増加が

    認められた。腎臓では、5 mg/kg 以上の群でび漫性の尿細管上皮の肥大が認められ、15 mg/kg

    群では近位尿細管上皮のカリオメガリー及び尿細管の拡張を伴っていた。副腎では、15

    mg/kg 群の雌で、球状帯の肥厚が認められた。

    第 3 クールの休薬期間終了時における主な所見は以下のとおりである。

    尿中グルコースの陽性及び尿量の増加の程度が、投与期間終了時に比し増強する傾向に

    あり、尿量の増加は 5 mg/kg 群の雄でもみられた。血液生化学的検査では、15 mg/kg 群で

    グルコース、トリグリセリド及びクレアチニンの上昇並びに無機リンの低下が投与期間終

    了時に比し、増強する傾向にあった。心電図検査及び血圧検査には変化はみられなかった。

    器官重量では、腎臓重量の増加が 5 mg/kg 群の雄及び 15 mg/kg 群でみられ、また、15 mg/kg

    群の雄では腎臓の腫大が認められた。病理組織学的検査では、5 mg/kg 以上の群でインス

    リン陽性細胞の減少が、15 mg/kg 群でグルカゴン陽性細胞の増加が認められた。腎臓では、

    5 mg/kg 群の雄及び 15 mg/kg 群でび漫性の尿細管上皮の肥大が認められ、本変化は尿細管

    上皮のカリオメガリー及び尿細管の拡張を伴っていた。上記病理組織学的所見も投与期間

    終了時と比較して差異はなく回復性は得られなかった。

    血液学的検査、体温測定及び眼科学的検査では、投与期間及び休薬期間を通じ、いずれ

    の群にも異常は認められなかった。本試験条件下における無毒性量は 5 mg/kg/日未満であ

    った。

    血漿中薬物濃度測定の結果、初回及び第 11 回(第 3 クールの初日)投与後におけるスト

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 11 -

    レプトゾシンの AUC0-24hは、5 mg/kg 群の雄では 17.6 及び 24.6μg·h/mL、雌では 19.7 及び

    27.6μg·h/mL で、15 mg/kg 群の雄では 71.5 及び 77.1μg·h/mL、雌では 75.2 及び 72.6μg

    ·h/mL であり、性差並びに反復投与の影響は認められなかった。

    表 2.6.6.3-3 サル 3 クール静脈内投与毒性試験でみられた主な毒性所見

    試験 第 3 クール投与期間 第 3 クール休薬期間(37 日間)

    投与量 0、5、15 mg/kg/日

    死亡/瀕死期殺 - -

    一般状態 ≧5:嘔吐、体重減少 15:体重減少

    尿検査 15:Glu↑、尿量↑ ≧5:尿量↑

    15:Glu↑

    血液学的検査 - -

    血液生化学的検査 15:Glu・TG・CRE↑、IP↓ 15:Glu・TG・CRE↑、IP↓

    心電図

    血圧

    15:心拍数↓、RR 間隔↑

    15:血圧・脈拍数↓

    剖検 肝臓 - - 腎臓 15♂:腫大 15♂:腫大 膵臓 - - 病理組織

    学的検査

    膵島 ≧5:インスリン陽性細胞の減少

    15:膵島細胞の萎縮

    15♀:グルカゴン陽性細胞の増加

    ≧5:インスリン陽性細胞の減少

    15:グルカゴン陽性細胞の増加

    腎臓 ≧5:尿細管上皮の肥大

    15:近位尿細管上皮のカリオメガリ

    ー、尿細管の拡張

    ≧5:尿細管上皮の肥大

    15:近位尿細管上皮のカリオメガリ

    ー、尿細管の拡張

    肝臓 - -

    副腎 15♀:球状帯の肥厚 -

    無毒性量

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 12 -

    2) 哺乳類細胞を用いる突然変異試験

    ストレプトゾシンは、V79 細胞の 8-アザグアニン(8-AzG)耐性を獲得する突然変異を増

    加させ 12)、また、マウスの肝臓及び腎臓の DNA 鎖切断、あるいは LacI トランスジェニッ

    クマウス(big BlueⓇ)の肝臓及び腎臓の DNA 突然変異を誘発した 13)。

    ストレプトゾシン及びニトロソ尿素類縁体(MNU、CNU、CCNU、BCNU など)の遺伝毒性量

    を V79 細胞に曝露すると、DNA 鎖切断とアルカリ感受性サイト(alkali-labile site)の

    生成が各薬物で同等に認められた 14)。

    マウス膵β細胞株(INS-1)に、ストレプトゾシンの低用量を曝露するとアポトーシスが、

    高用量曝露するとネクローシスが観察された 15)。ストレプトゾシンは膵β細胞のキサンチ

    ンオキシダーゼ系によってO2¯ラジカルの分解生成物であるラジカル付加体を増加させ16)、

    H2O2を発生させてラット膵島の DNA の断片化を誘発した17)。

    3) in vitro での染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験

    ストレプトゾシンは、チャイニーズハムスターの CHO-9 細胞及び V79 細胞に染色体異常

    及び姉妹染色分体交換を誘発し、特に CHO-9 細胞ではその誘発頻度が高かった 18)。また、

    CHO-9細胞のアルキル化剤に高感受性を示す変異株である EM-C11 細胞ではストレプトゾシ

    ンの細胞毒性が強く、染色体異常も高率にみられた 19)。ヒトリンパ球においては、染色体

    異常は細胞分裂期に誘発されるが、姉妹染色分体交換は細胞分裂期及び G0 期ともに誘発が

    認められ、姉妹染色分体交換は染色体異常の評価における高感度の指標であった 20)。その

    ほか、ラット及びヒトの脳腫瘍由来細胞株でも姉妹染色分体交換が認められた 21)。

    4) 小核試験

    ストレプトゾシンをマウスに腹腔内投与すると骨髄細胞に小核を誘発した 2)。DNA のア

    ルキル化の修復酵素である MGT を不活化する O6-ベンジルグアニンを前投与すると、ストレ

    プトゾシンによるマウス小核の誘発は顕著に増強された 22)。一方、レトロウイルス遺伝子

    の導入によって、ヒト O6-ベンジルグアニン耐性 MGT 突然変異体(hATPA/GA)を骨髄で発現

    させた外来遺伝子導入マウスでは、マウス小核の誘発が有意に阻害された 22)。

    5) in vivo での遺伝毒性試験

    ラットにストレプトゾシンを静脈内投与すると、肝臓、腎臓、小腸及び膵臓では、

    7-methylguanine、 O6-methylguanine などが生成され DNA がメチル化される。とくに肝臓、

    腎臓での DNA のメチル化は MNU より顕著であり、膵臓細胞のメチル化も有意に誘発される

    ことから、膵島障害を起こすと考えられた 23)。また、ラットの肝臓及び腎臓では DNA 鎖切

    断も認められた 24)。障害された腎細胞での DNA 修復をアルカリ溶出試験でみると、DNA 損

    傷は投与後 14 日まで検出されたが、投与後 20 日にはほぼバックグラウンドレベルに戻る

    ことから、DNA 修復には約 3 週間が必要と考えられた 25)。

    以上のように、ストレプトゾシンは DNA 塩基の特定の部位をアルキル化することによっ

    て DNA 損傷を引き起こすとともに、代謝時に発生するフリーラジカルが DNA 損傷及び細胞

    毒性の誘発機序に重要な役割を果たしていることが明らかにされている。ストレプトゾシ

    ンによる DNA の損傷には、二本鎖切断、一本鎖切断、共有結合付加体及びアルカリ感受性

    サイト(alkali-labile site)がある。ストレプトゾシンが重度の DNA 損傷を引き起こす

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 13 -

    と、アポトーシス又はネクローシスにより細胞死に至る。さらに、ストレプトゾシンのア

    ルキル化作用による DNA 鎖切断は、染色体の再編成を招くことから、染色体異常、姉妹染

    色分体交換又は小核として現れることも明らかにされている。

    2.6.6.5 がん原性試験

    ストレプトゾシンは明らかな遺伝毒性物質であり、マウス及びラットを用いたがん原性

    試験(3 回/週・6 ヵ月間腹腔内投与後 12 ヵ月間休薬)で、マウスに肺腺癌の増加が、ラ

    ットでは腎臓の尿細管腺癌が認められた 26)。そのほか、腎臓の発がん性に関しては複数の

    報告がある 27~32)。

    本剤は進行がんの患者の治療を目的とした抗悪性腫瘍剤であり、本邦ガイドライン(平

    成 22 年 6 月 4 日付、薬食審査発 0604 第 1 号)で、通常、がん原性試験を必要としないと

    されていることから、がん原性試験は実施しなかった。

    2.6.6.6 生殖発生毒性試験

    本剤は進行がんの治療を目的とした抗悪性腫瘍剤であり、本邦ガイドライン(薬食審査

    発 0604 第 1 号)で、受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験及び出生前及び出生後

    の発生並びに母体の機能に関する試験は、通常必要としないとされていることから、実施

    しなかった。また、ラット及びウサギの胚・胎児発生に関する試験成績を資料とし、主な

    毒性所見を表 2.6.6.6-1 に示した。

    2.6.6.6.1 ラットの胚・胎児発生に関する試験

    (添付資料:4.2.3.5.2-1 参)

    ストレプトゾシン製剤を生理食塩液に溶解し、SD系ラット(体重220 g、雌30匹/群)の

    妊娠6~15日に0、22 mg/kg/日を、また、同系ラット(体重220 g、雌各15匹/群)の妊娠6

    ~9日、9~12日及び12~15日に10、20、30 mg/kg/日をそれぞれ腹腔内投与した。母動物は

    妊娠20日に屠殺し、胎児の外形検査を行い、その2/3は骨格検査を、残り1/3は内臓検査を

    実施した。

    母動物の体重増加量の低値が、妊娠6~15日の22 mg/kg群、妊娠9~12日及び12~15日の

    20 mg/kg以上の群並びに各投与時期の30 mg/kg群で妊娠20日まで認められた。摂餌量は妊

    娠 6~15日の22 mg/kg群のみで減少が認められた。着床数、黄体数、吸収胚数、同腹児数

    、性比などに異常はなかったが、胎児体重の低値が妊娠 6~15日の22 mg/kg群、各投与時

    期の20 及び30 mg/kg群で認められた。胎児の骨化遅延(脊椎、中手骨)が妊娠 6~15日の

    22 mg/kg群、及び各投与時期の30 mg/kg群でみられた。胸骨分節の欠損が妊娠 6~15日の

    22 mg/kg群、妊娠6~9日の20 mg/kg以上の群、妊娠9~12日及び12~15日の30 mg/kg群で認

    められた。そのほか、妊娠 6~15日の22 mg/kg群では肋骨の欠損、水腎症、水尿管が観察

    された。ストレプトゾシンのラットにおける母動物の一般毒性及び生殖能に対する無毒性

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 14 -

    量は10 mg/kg/日、胚・胎児に対する無毒性量は10 mg/kg/日未満であった。

    2.6.6.6.2 ウサギの胚・胎児発生に関する試験

    (添付資料:4.2.3.5.2-1 参)

    Dutch-Belted 系ウサギ(体重2kg、雌15匹/群)の妊娠6~18日に、ストレプトゾシン製剤

    (0、5、10、20 mg/kg/日)を生理食塩液に溶解し、静脈内投与した。妊娠29日に帝王切開

    により胎児を取り出し、孵卵器中で24時間の生存率を観察した。その後、胎児の外形検査

    、骨格検査及び内臓検査を実施した。

    母動物の体重増加量は、薬物投与全群で投与期間中(妊娠 6~18 日)に低値となり、20

    mg/kg 群ではその後も継続した。摂餌量にも同様の抑制がみられた。死亡あるいは瀕死期

    屠殺動物は、5 mg/kg群で 1匹、10及び 20mg/kg群でそれぞれ 2匹であった。さらに、20 mg/kg

    群では流産及び早産が 5 匹にみられた。着床数、黄体数、吸収胚数、同腹児数、胎児体重、

    性比などに異常はなかったが、20 mg/kg 群で吸収胚数の増加傾向及び同腹児数の減少傾向

    がみられた。胎児の内臓及び骨格検査において異常はなかった。

    ストレプトゾシンのウサギにおける母動物の一般毒性・生殖能に対する無毒性量は 5

    mg/kg/日未満、胚・胎児に対する無毒性量は 10 mg/kg/日であった。

    表 2.6.6.6-1 ストレプトゾシンの胚・胎児発生に関する試験成績

    動物 ラット ウサギ

    経路 腹腔 静脈 投

    与 期間 妊娠6-15日、妊娠6-9、9-12、12-15日 妊娠6-18日

    剖検日 妊娠20日 妊娠29日

    投与量

    (mg/kg)

    妊娠6-15日投与:0、22

    妊娠6-9、9-12、12-15日投与:10、20、30

    投与期間(妊娠日) 6-9 9-12 12-15 6-15

    0、5、10、20

    体重増加抑制 30a ≧20 ≧20 22 母動物

    摂餌量減少 - - - 22

    ≧5:死亡(含む途中屠殺)

    ≧5:体重増加抑制、摂餌量減少

    20:流産、早産

    胎児体重低値 ≧20 ≧20 ≧20 22

    骨化遅延 30 30 ≧20 22

    胸骨分節欠損 ≧20 30 30 22

    胎児

    肋骨欠損 - - - 22

    20:吸収胚数増加傾向

    同腹児数の減少傾向

    水腎症 30 30 - 22

    水尿管 ≧20 ≧10 - 22

    母動物:

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 15 -

    2.6.6.8 その他の試験

    2.6.6.8.1 類縁物質の毒性試験

    2.6.6.8.1-1 類縁物質のラットの 2 週間静脈内投与毒性試験

    (添付資料:4.2.3.7-1)

    Crl:CD 系ラット(6 週齢、雌雄各 10 匹/群)に、ストレプトゾシンの強制劣化品(スト

    レプトゾシン原薬を光照射及び加熱分解して得られた類縁物質配合品)の 10 mg/kg/日を

    クエン酸添加生理食塩液に溶解して 2 週間反復静脈内投与し、その毒性を検討した。比較

    対照として、ストレプトゾシンの非劣化品の 10 mg/kg/日を同様に投与した(表 2.6.6.8-1)。

    非劣化品投与群では、ストレプトゾシン投与に起因する変化が主に膵臓、腎臓及び肝臓

    に認められた。膵臓では、膵島細胞の変性及び萎縮、グルコースの上昇並びに尿糖及び尿

    量の増加が認められた。腎臓では、尿細管上皮の肥大、近位尿細管上皮のカリオメガリー

    及び好塩基性尿細管が、さらに肝臓では、肝細胞のび漫性の肥大が認められた。これらは、

    2.6.6.3.1 ラットの 2 週間反復静脈内投与毒性試験の 10 mg/kg 群で認められた所見と全く

    同様であった。

    強制劣化品投与群では、特記すべき変化はみられなかった。これも、ストレプトゾシン

    含量( %)に対応する 2.6.6.3.1 ラットの 2 週間反復静脈内投与毒性試験の 3 mg/kg 群

    と同様の結果であった。このため類縁物質に起因する毒性は低いと考えられた。

    表 2.6.6.8-1 類縁物質のラット 2 週間静脈内投与毒性試験における強制劣化品及び非劣

    化品の各成分(ストレプトゾシン及び各類縁物質)ごとの投与量(mg/kg)

    類縁物質

    物質名 投与

    量 STZ

    Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ

    未知

    物質

    A

    未知

    物質

    B

    対照 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

    STZ 強制

    劣化品 10

    STZ 非劣

    化品 10

    a:繰り返し 2 回の平均値、STZ:ストレプトゾシン、-:未検出

    2.6.6.8.1-2 類縁物質の細菌を用いる復帰突然変異試験

    (添付資料:4.2.3.7-2)

    ストレプトゾシンの強制劣化品を用いて、ネズミチフス菌株 TA100,TA1535,TA98 及び

    TA1537 並びに大腸菌株 WP2uvrA の 5 菌株による復帰変異原性を検討した。試験は S9 mix

    非存在下及び存在下でプレインキュベーション法により実施した。比較対照として、スト

    レプトゾシンの非劣化品を同様の方法で検討した。

    強制劣化品及び非劣化品のいずれについても、S9 mix 非存在下及び存在下の全ての試験

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 16 -

    菌株において、復帰変異コロニー数が溶媒対照値の 2 倍以上に増加した。両者の復帰変異

    コロニー数の増加を塩基置換型菌株(TA100、TA1535、WP2uvrA)について比較すると、非

    劣化品では強制劣化品に比べ、より低用量(約 1/4)で増加が認められた。強制劣化品に

    おけるストレプトゾシンの含有量は約 %で、かつ類縁物質の含有量が多いことから(表

    2.6.6.8-2)、復帰変異コロニーの増加にはストレプトゾシン含有量の差が大きく影響して

    おり、類縁物質の影響は低いと考えられた。

    表 2.6.6.8-2 類縁物質の細菌を用いた復帰突然変異試験における強制劣化品及び非劣化品

    の各成分(ストレプトゾシン及び各類縁物質)の含有量(%)

    類縁物質

    物質名 STZ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ

    未知

    物質

    A

    未知

    物質

    B

    対照 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

    STZ 強制劣化品

    STZ 非劣化品

    2.6.6.8.1-3 類縁物質のほ乳動物細胞を用いる染色体異常試験

    (添付資料:4.2.3.7-3)

    ストレプトゾシンの強制劣化品を用いて、雌チャイニーズハムスター肺由来の細胞株

    CHL/IU による、短時間処理法 S9 mix 非共存下、S9 mix 共存下及び連続処理法 24 時間処理

    の条件下で染色体異常試験を検討した。比較対照として、ストレプトゾシンの非劣化品を

    同様の方法で検討した。

    強制劣化品では染色体構造異常細胞出現頻度は、各処理条件の 500 µg/mL で 10%以上を

    示した。非劣化品では、染色体構造異常細胞出現頻度は、-S9 mix の 200 µg/mL 以上及び

    24 時間処理の 150 µg/mL 以上で 10%以上、+S9 mix の 100 µg/mL 以上で 5%以上を示した。

    強制劣化品での染色体異常出現用量は、強制劣化品のそれに比べ、より低用量(約 1/3)

    であったが、両者の染色体異常出現頻度の用量依存的な増加傾向はほぼ類似していた。強

    制劣化品ではストレプトゾシン含量は低く( %)、かつ類縁物質の含有量が多いことか

    ら(表 2.6.6.8-3)、染色体異常出現頻度の増加にはストレプトゾシン含有量の差が大きく

    影響を与えており、類縁物質含有量の影響は低いと考えられた。

    表 2.6.6.8-3 類縁物質のほ乳動物細胞を用いる染色体異常試験における強制劣化品及び非

    劣化品の各成分(ストレプトゾシン及び各類縁物質)の含有量(%)

    類縁物質

    物質名 STZ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ

    未知

    物質

    未知

    物質

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 17 -

    A B

    対照 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

    STZ 強制劣化品

    STZ 非劣化品

    a:繰り返し 2 回の平均値、STZ:ストレプトゾシン、-:未検出

    2.6.6.9 考察及び結論

    (1) 膵臓の障害性について

    ストレプトゾシンを静脈内投与したラット、サル、イヌに共通して膵臓の障害が認めら

    れた。ラットの 2 週間反復投与試験では、10 mg/kg 以上から膵島細胞の萎縮及び変性、30

    mg/kg で腺房細胞のチモーゲン顆粒の減少及び核の腫大が認められた。サルの 1 クール及

    び 3 クール静脈内投与試験では、15 mg/kg 以上で膵島細胞が萎縮し、免疫組織化学染色で

    は 5 mg/kg 以上でインスリン陽性細胞(β 細胞)の減少、15 mg/kg でグルカゴン陽性細胞

    (α 細胞)の増加が確認された。また、30 mg/kg 以上で認められた腺房細胞のチモーゲン

    顆粒の減少及び空胞化は、衰弱に起因する変化と考えられた。イヌの単回投与試験では、

    膵臓の萎縮、急性間質性膵炎及びβ細胞顆粒の欠失がみられた。これらに随伴してグルコ

    ースの上昇、尿糖の増加、尿量及び摂水量の増加が認められた。それぞれの毒性所見の回

    復性をサルで検討したが、37 日間の休薬においていずれも回復性は認められなかった。

    ストレプトゾシンは膵臓のβ細胞を直接傷害することによりインシュリン分泌を減少さ

    せ、種々の実験動物に糖尿病を誘発することが報告されている 33~35)。ストレプトゾシンの

    30~60 mg/kg、あるいは 55 及び 100 mg/kg を単回静脈内投与したサルではインスリン陽性

    細胞(β 細胞)の減少が認められ 36,37)、ストレプトゾシン処置後一年を経てもその変化に

    回復性は認められていない 36)。さらに、ストレプトゾシン 30~55 mg/kg を投与したサル

    の膵島で、α 細胞の割合が増加したとの報告がある 38)。α 細胞の増加は、ヒトの慢性期

    のインスリン依存性糖尿病においても観察され、β 細胞の著しい減少による構成比率の増

    加によることが示唆されている 39)。本試験で認められた膵島 β 細胞に対する非可逆的な

    障害性については、これらの報告をよく再現するものであった。ストレプトゾシンの膵島

    細胞に対するこのような選択的作用は、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞癌)に対する治療効

    果として期待される。

    (2) 腎臓の障害性について

    ラットの 2 週間反復静脈内投与試験では、10 mg/kg 以上で尿細管上皮の肥大、近位尿細

    管上皮のカリオメガリー及び好塩基性尿細管が認められた。サルの 1 クール及び 3 クール

    静脈内投与試験でも 5 mg/kg 以上で尿細管上皮の肥大が認められ、15 mg/kg では近位尿細

    管上皮のカリオメガリー及び尿細管の拡張が認められた。サルにおけるこれらの変化は 37

    日間の休薬では回復しなかった。

    ストレプトゾシンはマウス、イヌ、サルにおいて腎障害性を有し、近位尿細管の細胞空

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 18 -

    胞化と壊死を特徴とすることが認められている 33)。そのほか、サルで糸球体の肥大 40)、ラ

    ットで糸球体毛細血管基底膜の肥厚など 41)も認められている。また、ストレプトゾシン誘

    発糖尿病による腎病変として、腎重量の増加、近位及び遠位尿細管の長さの増加(約 20%)、

    遠位尿細管のマクラデンサ(緻密斑)における異常細胞の存在が認められている 42)。スト

    レプトゾシンの類縁体であるクロロゾトシンでは、ラットの集合管細胞及び腎乳頭上皮細

    胞にカリオメガリーが認められている 43)。

    ストレプトゾシンはラットに投与後、長期間飼育すると腎臓の上皮系腫瘍を誘発するこ

    とが確認されている 27,29,44)。本試験でもみられた尿細管のカリオメガリーは、有糸分裂の

    阻害などにより核内の DNA 含量が増加することによって生じるとされ、多くの腎発癌物質

    によって誘発されている 45)。

    本試験でみられたこれら腎臓障害は、臨床曝露量付近で発現すること、37 日間の休薬で

    は回復性が得られないこと、また、本剤を投与された患者では、高窒素血症、無尿、低リ

    ン酸血症、糖尿及び腎尿細管性アシドーシスなどが報告 46)されていることから、治療過程

    の前後で腎臓機能の観察を充分に行い、また、プレメディケーションとして、腎毒性を予

    防するため十分な量の補液によるハイドレーションを行うなど腎毒性のリスクを低減する

    必要がある。

    (3) サルとヒトの薬物動態学的パラメータの比較

    サルの 3 クール静脈内投与試験における、5 mg/kg 群の初回及び 11 回投与後の血漿中ス

    トレプトゾシンの Cmax(投与完了後 1 分)は、それぞれ雄で 25.0 及び 37.7 μg/mL、雌で

    28.7 及び 41.3 μg/mL であった。また、AUC0-24hは、それぞれ雄で 17.6 及び 24.6 μg・h/mL、

    雌で 19.7 及び 27.6 μg・h/mL であった。一方、臨床試験(投与量:約 15 mg/kg)の初回

    及び 5 回投与後の血漿中ストレプトゾシンの Cmax は、それぞれ 36.6 及び 39.4 μg/mL、

    AUC0-24hは、それぞれ 31.2 及び 33.3 μg・h/mL であった(表 2.6.6.9-1)。

    臨床用量〔500 mg/m2(約 15 mg/kg)〕での曝露量は、サルでの毒性発現量である 5 mg/kg

    の曝露量をやや越えると考えられることから、腎毒性の徴候に対しては充分に観察を行う

    必要がある。

    表 2.6.6.9-1 動物とヒトの薬物動態学的パラメータの比較

    試験 投与量

    (mg/kg) 採血時期 性

    Cmax

    (μg/mL)

    AUC0-24h

    (μg·h/mL)

    雄 25.0 17.6 初回投与

    雌 28.7 19.7

    雄 37.7 24.6

    5

    11 回投与

    雌 41.3 27.6

    雄 95.8 71.5 初回投与

    雌 102 75.2

    雄 116 77.1

    サル 3 クール試験

    15

    11 回投与

    雌 111 72.6

    初回投与 36.6 25.0c ヒト 第Ⅰ/Ⅱ相試験

    (Daily 投与)

    14a

    5 回投与 39.4 21.5d

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 19 -

    第 1 コース 68.4 50.1c 第Ⅰ/Ⅱ相試験

    (Weekly 投与)

    28~43b

    第 4 コース 119.0 64.8c

    a:500 mg/m2(約 14 mg/kg)を静脈内点滴投与、b:1000 mg/m2(約 28 mg/kg)から 1500 mg/m2(約 43 mg/kg)を静脈内点

    滴投与、c:添付資料 5.3.3.2-1 の血漿中薬物濃度から台形公式により算出、d:AUC0-3h(添付資料 5.3.3.2-1 の投与

    後 3 時間までの血漿中薬物濃度から台形公式により算出)

    (4) 遺伝毒性とがん原性

    ストレプトゾシンは強力なアルキル化剤として知られており、細菌を用いる復帰突然変

    異試験では、種々のサルモネラ菌株で陽性を示すことが明らかにされている。その活性は、

    ニトロソ尿素類縁体とほぼ同程度か、菌株によっては強い変異原性がみられている。哺乳

    類細胞(V79 細胞)に対しても突然変異を増加させるほか、チャイニーズハムスターの CHO-9

    細胞及び V79 細胞に染色体異常及び姉妹染色分体交換を誘発し、マウスの腹腔内投与では

    骨髄細胞に小核を誘発する。ストレプトゾシンは、ラットへの投与により肝臓、腎臓で DNA

    鎖切断がみられることから、染色体の再編成を招き、染色体異常、姉妹染色分体交換又は

    小核として現れると考えられる。一方、in vivo 試験では、ラットの静脈内投与で肝臓、

    腎臓、小腸、膵臓で DNA をメチル化する。膵臓に対する影響としては、ラット膵β細胞に

    おいてラジカル付加体を増加させ、膵島の DNA の断片化を誘発する。マウス膵β細胞

    (INS-1)にストレプトゾシンを低用量曝露すると重度の DNA 損傷を引き起こし、アポトー

    シスを誘発する。

    ラットへのストレプトゾシンの糖尿病誘発用量の単回静脈内投与による腎臓の DNA 損傷

    は、投与後 20 日に正常に復し、腎細胞での DNA 修復には約 3 週間を要した。この DNA 修復

    の遅延が遺伝子の構造変化の可能性を高め、腎臓細胞が腫瘍化する要因となる可能性も考

    えられる。ラット及びサルの反復投与毒性試験における近位尿細管上皮のカリオメガリー

    やラットにおける腎臓の上皮系腫瘍の誘発 44)などの所見からも、本薬の腎臓への特異性を

    窺うことができる。

    以上のように、ストレプトゾシンは DNA 塩基の特定の部位をアルキル化することによっ

    て DNA 損傷を引き起こし、ストレプトゾシンの代謝時に発生するフリーラジカルが DNA 損

    傷、細胞毒性及び発がん性の誘発機序に重要な役割を果たしていると考えられる。国際が

    ん研究機関(IARC)の発がん性リスク一覧によると、ヒトに対する充分な証拠はないが、

    ストレプトゾシンは Group 2B(Possibly Carcinogenic)に分類されている 47)。

    (5) 生殖発生毒性

    ラット(妊娠 6~15 日)にストレプトゾシンを腹腔内投与すると、20 mg/kg 以上で母動

    物の体重増加の抑制が、胎児では胎児体重の低値、胎児の骨化遅延、胸骨分節・肋骨の欠

    損、水腎症及び水尿管が認められた。ウサギ(妊娠 6~18 日)では 5 mg/kg 以上で母動物

    の死亡(途中屠殺を含む)、体重増加の抑制及び摂餌量の減少が、20 mg/kg では流産及び

    早産がみられた。胎児では、20 mg/kg で吸収胚数の増加傾向及び同腹児数の減少傾向がみ

    られた。

    ストレプトゾシンの妊娠動物への影響としては、母動物への高血糖の誘発が胎児に影響

    することが報告されており、ラット(妊娠 6~9 日)に静脈内投与すると、胎児体重の低値

    及び胎盤重量の高値がみられ、母動物及び胎児のグルコースは対照群の 4~5 倍上昇し、胎

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 20 -

    盤中のグリコーゲンも上昇することが知られている 48)。また、ラットの交配前 10 日ある

    いは妊娠 1 日に投与した場合、妊娠期間中のグルコースが 300 mg/dL 以上では、胎児の高

    血糖とともに、胎児体重の低値、胎盤重量の高値及び胎盤の嚢胞性変性がみられ、胎児の

    2%に奇形(皮下浮腫、小顎症など)が認められる。グルコースが 120-250 mg/dL では胎児

    の異常はない 49)。また、ラットへのストレプトゾシン単独投与では胎児の体重及び生存率

    の低値並びに骨奇形が約 20%(小顎症、尾骨形成不全)みられるのに対し、インスリンと

    の併用投与(皮下投与)では骨奇形は 1%(尾骨形成不全のみ)である 50)。ウサギではス

    トレプトゾシンによる膵β細胞の障害には高用量(300 mg/kg)を必要とすることから、糖

    尿病の誘発に対し抵抗性があると考えられている 51,52)。以上のように、本剤における胎児

    への影響には母動物の高血糖が関与していることが示唆される。

    本剤の妊婦への投与に関する試験成績は得られていないが、本剤はがん原性及び遺伝毒

    性を有することが知られており、妊婦及び胎児に対する安全性の確保のため、妊婦又は妊

    娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。

    (6) 類縁物質の毒性

    ラットに、ストレプトゾシンの強制劣化品(ストレプトゾシン原薬を光照射及び加熱分

    解して得られた類縁物質配合品)及び非劣化品の 10 mg/kg/日を 2 週間反復静脈内投与し

    た結果、非劣化品では、ストレプトゾシン投与に起因する変化が主に膵臓、腎臓及び肝臓

    に認められたが、強制劣化品では特記すべき変化はなかった。また、復帰突然変異試験及

    び染色体異常試験では、両者とも溶媒対照値に比べ、復帰変異コロニー数が 2 倍以上、染

    色体構造異常が 5%以上に増加した。しかし、強制劣化品の比活性値(コロニー数/mg)又

    は染色体構造異常頻度は非劣化品のそれに比して約 3~4 倍低く、強制劣化品のストレプト

    ゾシン含量( ~ %)を考えると、類縁物質の復帰突然変異原性及び染色体異常能は弱

    いものであった。このように、類縁物質配合品のラット 2 週間反復静脈内投与毒性試験及

    び遺伝毒性試験とも新規な毒性は発現されず、類縁物質の影響は低いものと考えられた。

    2.6.6.10 図表

    本文中の該当箇所に挿入した。

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.6 毒性試験の概要文

    - 21 -

    2.6.6.11 参考文献

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  • ザノサー点滴静注用 1g

    第2部 CTDの概要 (サマリー)

    2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

    2.6.7 毒性試験概要表

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.7 毒性試験の概要表

    2

    略語一覧

    略語 内容

    2-AA 2-アミノアントラセン

    9-AA 9-アミノアクリジン塩酸塩一水和物

    ACD クエン酸-デキストロース(Acid Citrate dextrose)

    AF-2 2-(2-フリル)-3-(5—ニトロ-2-フリル)アクリルアミド

    A/G 比 アルブミン/グロブリン比

    ALP アルカリフォスファターゼ

    ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ(GPT)

    AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(GOT)

    AUC0-24h 血中薬物濃度―時間曲線下面積(0-24 時間)

    Cmax 最高血中薬物濃度

    LD50 50%致死量

    LDH 乳酸デヒドロゲナーゼ

    NaN3 アジ化ナトリウム

    S9mix ラット肝ミクロソーム画分

    コード名 NPC-10

    一般名

    (英名) Streptozocin(INN)

    (日本名) ストレプトゾシン

    化学名

    (英名) 2-Deoxy-2-(3-methyl-3-nitrosoureido)-α(and β)-D-glucopyranose

    (日本名) 2-デオキシ-2-(3-メチル-3-ニトロソウレイド)-α(及びβ)-D-グルコピラノース

    構造式

    分子量 265.22

    分子式 C8H15N3O7

    剤型 静脈投与用凍結乾燥製剤

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.7 毒性試験の概要表

    3

    目次

    2.6.7 毒性試験の概要表 ...........................................................4 2.6.7.1 毒性試験の一覧表 ........................................................4 2.6.7.2 トキシコキネティクス:トキシコキネティクス試験の一覧表 ..................5 2.6.7.3 トキシコキネティクス:トキシコキネティクス試験成績の一覧表 ..............6 2.6.7.4 毒性試験に用いた被験物質(ロット)の一覧表 ..............................7 2.6.7.5 単回投与毒性試験 ........................................................8 2.6.7.6 反復投与毒性試験(重要な試験以外の試験) ................................9 2.6.7.7 反復投与毒性試験 .......................................................10 2.6.7.7.1 ラットの 2週間反復静脈内投与毒性試験 ...............................10 2.6.7.7.2 サルの 1クール静脈内投与毒性試験 ...................................14 2.6.7.7.3 サルの 3クール静脈内投与毒性試験 ...................................18

    2.6.7.8 In vitro 遺伝毒性試験...................................................22 2.6.7.9 In vivo 遺伝毒性試験....................................................22 2.6.7.10 がん原性試験 ..........................................................22 2.6.7.11 生殖発生毒性試験 (重要な試験以外の試験) ............................22 2.6.7.12 生殖発生毒性試験-受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験 ..........22 2.6.7.13 生殖発生毒性試験-胚・胎児発生に関する試験 ............................23 2.6.7.13.1 ラットの胚・胎児発生に関する試験 ..................................23 2.6.7.13.2 ウサギの胚・胎児発生に関する試験 ..................................25

    2.6.7.14 生殖発生毒性試験-出生前及び出生後の発生並びに母動物の機能に関する試験 27 2.6.7.15 新生児を用いた試験 ....................................................27 2.6.7.16 局所刺激性試験 ........................................................27 2.6.7.17 その他の試験 ..........................................................28 2.6.7.17.1 類縁物質のラットの 2週間投与毒性試験 ..............................28 2.6.7.17.2 類縁物質の細菌を用いる復帰突然変異試験 ............................30 2.6.7.17.3 類縁物質のほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験 ....................32

  • ザノサー点滴静注用 1g 2.6.7 毒性試験の概要表

    4

    2.6.7 毒性試験の概要表

    2.6.7.1 毒性試験の一覧表

    被験物質:ストレプトゾシン

    試験の種類 動物種 投与経路・期間 投与量(mg/kg/day)

    又は濃度

    GLP

    適用 実施場所(時期) 試験番号 添付資料

    マウス 腹腔・1回 79.2-792

    ラット 静注・1回 31.5-315.5

    否 (19 ) 4.2.3.1-1 参

    12.5-100 否 同上 同上 4.2.3.1-1 参 単回投与毒性

    イヌ 静注・1回 35、80(点滴静注)

    35 否 (19 ) 4.2.3.1-2 参

    ラット 静注・2週間 0、1、3、10、30 否 (20 ) 4.2.3.2-1 参

    静注・1クール/(5日間投与+37日

    間休薬) 15、30、60 否 (20 )

    4.2.3.2-2 参

    4.2.3.2-3 参 反復投与毒性 サル

    静注・3クール/(5日間投与+37日

    間休薬)×3 0、5、15 適 (20 ) 4.2.3.2-4

    遺伝毒性 否 文献レビュー Bolzan 2002,他

    腹腔・妊娠6-15日 0、22 ラット

    腹腔・妊娠6-9、9-12、12-15日 10、20、30 生殖発