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広報 あしかがみ 2017.9 Pick Up! 2 13 33 宿252 行方不明者 67 家屋の流失 372 家屋の全壊 328 家屋の半壊 257 床上浸水 11,976 床下浸水 5,773 足利市での被害状況 22 15 15 湿昭和22年当時の渡良瀬川岩井山付近の航空写真 岩井山 決壊箇所 当時の日本は敗戦直後で、連合国軍 の占領下にありました。軍事情報であ る気象観測も日本では行えず、アメリ カ軍が行っていました。そのため、ア メリカの慣習で、 11番目の台風という 意味で、アルファベットの11番目のを頭文字に持つ『 KATHLEEN 』という 名前が付けられました。『キャサリン』 や『カスリン』とも呼ばれています。 123 (980hpa) 133 (970hpa) 143 (960hpa) 153 (960hpa) 163 (990hpa) 173 (990hpa) カスリーン台風の進路 ※上記の記録が残っているが、実 際の被害規模は更に大きかったの ではないかと考えられている。

カスリーン台風とは - Ashikaga...報 ic p ら 税 福 祉 募 集 子 育 て 健 康 働 く 講座・教室 ン 施 設 相 談 3 防災講演会 カスリーン台風から70年を迎えて

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Page 1: カスリーン台風とは - Ashikaga...報 ic p ら 税 福 祉 募 集 子 育 て 健 康 働 く 講座・教室 ン 施 設 相 談 3 防災講演会 カスリーン台風から70年を迎えて

広報 あしかがみ 2017.9

PickUp!

2

込んで、戦後の記録に残る大雨

を降らせました。

その被害は

 

9月13日から3日間の雨量は

渡良瀬川流域で400㎜近くと

なり、記録的な豪雨になりまし

た。赤城山や足尾山地のあちこ

ちで土砂崩れを起こし、流れ出

た土砂は土石流となって下流の

町を襲いました。

 

また、関東地方に降った雨の

ほとんどは利根川に集まり、埼

玉県の東村(現在の加須市)で堤

防が約350mに渡って決壊し

ました。その濁流は埼玉県東部

の町を次々にのみ込みながら東

京湾に向かって流れ下り、5日

間かかって東京都の東部、江戸

川区まで水没させました。

 

この台風による被害は、関東

地方だけでも死傷者約3500

人、家屋被害は約33万5千戸に

ものぼり、東日本を中心に甚大

な被害をもたらしました。

足利市内では

 

小俣地先、借宿地先、岩井地

先で堤防が決壊。特に岩井山の

近くで堤防を突き破った濁流は

市街地を走り、住民が逃げる暇

も与えず民家や工場を押し流し

ました。

 

渡良瀬川流域での被害は特に

ひどく、死者・行方不明者の数

は、利根川水系全体の約3分の

2を占め、足利市でも多くの尊

い命が失われました。

死 者 252 人

行 方 不 明 者 67 人

家 屋 の 流 失 372 戸

家 屋 の 全 壊 328 戸

家 屋 の 半 壊 257 戸

床 上 浸 水 11,976 戸

床 下 浸 水 5,773 戸

足利市での被害状況

カスリーン台風とは

 

昭和22(1947)年9月15日、

敗戦の混乱から立ち直ろうとし

ている日本を、カスリーン台風

が襲いました。マリアナ諸島東

方で発生した台風は、次第に勢

力を増しながら北上。15日早朝

に浜松沖を通過し、夜には房総

半島南端をかすめて三陸沖に

去っていきました。

 

台風そのものは本州に近づい

たときにはすでに勢力を弱めつ

つありましたが、日本列島付近

には前線が停滞しており、停滞

前線に台風の湿った空気が流れ

昭和22年当時の渡良瀬川岩井山付近の航空写真 岩井山決壊箇所

 当時の日本は敗戦直後で、連合国軍の占領下にありました。軍事情報である気象観測も日本では行えず、アメリカ軍が行っていました。そのため、アメリカの慣習で、11番目の台風という意味で、アルファベットの11番目のKを頭文字に持つ『KATHLEEN』という名前が付けられました。『キャサリン』や『カスリン』とも呼ばれています。

うして?ど

12日3 時(980hpa)

13日3 時(970hpa)

14日3 時(960hpa)

15日3 時(960hpa)

16日3 時(990hpa)

17日3 時(990hpa)

カスリーン台風の進路

※上記の記録が残っているが、実際の被害規模は更に大きかったのではないかと考えられている。

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広報 あしかがみ 2017.9

Pick Up!

お知らせ

 

 

 

 

講座・教室

イベント

 

 

3

防災講演会カスリーン台風から70年を迎えて

申込 9月18日㈪までに①住所②氏名③年齢 ④申込人数⑤職業⑥電話番号を下記の方法 でわたらせ 川のふれあい館『せせら』(午前10時30分~午後4時、月・木曜日休館) ▷電話= 443001 ▷ファクス= 443001 ▷Eメール=[email protected]

渡良瀬川河川事務所・☎ 7355519月21日㈭/午後1時30分~午後4時

市民プラザ 文化ホール

講演1

カスリーン台風体験談徳蔵寺住職・源田晃澄さん

カスリーン台風による洪水氾濫災害を学ぶ群馬大学大学院理工学府教授・清水義彦さん

講演2

入場無料

市役所市民ホールでは8月29日㈫から9月7日㈭まで、『せせら』(グリーンプラザ3階)では10月25日㈬までカスリーン台風のパネル展を開催中※28ページもご覧ください。

決して忘れないために

 

カスリーン台風による悲惨な

経験を忘れまいと、国土交通省・

渡良瀬川河川事務所では、平成

10年に、当時の体験談や記録写

真を集めた『カスリーン災害記

録集』を作成しました。今年6

月には被災者の体験談をもとに

した、小学生向けの絵本、漫画、

体験談集を新たに作成し、足利

市、佐野市、桐生市などの各小

学校などに配布しました。

 

また、洪水による浸水を実感

してもらうため、足利警察署前や

旧国道50号の交差点8カ所など

に氾濫水位が記録されています。

 

そして、平成12年には、岩井町

決壊地点の下流堤防に、犠牲者

のお名前を記した石碑とシンボ

ルタワーが建てられました。『渡

良瀬川とそこにすむ人々がひと

つになった水害のない明るい未

来』への願いが込められています。

 

毎年9月15日には、ここで遺

族やボランティアなどにより、犠

牲者の供養が続けられています。

いざというときに備えて

 

カスリーン台風の後に計画さ

れた岩井分水路や草木ダムなど

の完成により、渡良瀬川は当時と

比べて格段に安全になりました。

 

しかし、平成26年の広島市で

の土砂災害、27年の関東・東北

豪雨、そして今年7月の九州北

部豪雨など、近年も各地で甚大

な被害をもたらす災害が発生し

ています。

 

そのため、国では渡良瀬川の

河川改修や定期点検などを行い、

水害に対する警戒にあたってい

ます。また、市では毎年7月に水

防演習を実施するほか、自主防災

会への啓発、支援などを通し、地

域防災力の向上に努めています。

 

災害はいつ、どこで発生する

か分かりません。カスリーン台

風を教訓に、一人ひとりが、常

に危機意識を持って備えること

が重要です。

ご自宅で

 できること

今日から

 始めましょう

小学生向けの絵本・漫画『洪水の夜』

犠牲者の追悼を続け、『洪水の夜』のもとにもなった源田晃澄さんのインタビューを今号『足利輝きびと』(9ページ)に掲載しています。

当時の水位を示す看板や、街灯に貼られたテープ

慰霊のお地蔵さま、供養塔とともに建つシンボルタワー

当時の写真および資料は 国土交通省 関東地方整備局 渡良瀬川河川事務所 から提供いただきました。

市内全19消防団が集う水防演習