19
Copyright © 2018 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 2018年2月 株式会社 三井住友銀行 コーポレート・アドバイザリー本部 企業調査部 本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではあ りません。 本資料は、作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の 正確性・完全性を弊行で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の 変化により変更されることがありますので、ご了承ください。 ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部ま たは全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じております。 原油価格動向とエネルギー関連企業の戦略動向 ~構造的要因・地政学リスクを踏まえた価格へのインプリケーション

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2018年2月

株式会社 三井住友銀行

コーポレート・アドバイザリー本部 企業調査部

本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。

本資料は、作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。

ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じております。

原油価格動向とエネルギー関連企業の戦略動向~構造的要因・地政学リスクを踏まえた価格へのインプリケーション

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目次

1

1.原油価格へのインプリケーション 2

(1) 原油価格の変動要因 3

(2) 中長期・構造的要因 4

(3) 短期的要因 9

(4) 今後の方向性 11

2.エネルギー関連企業の戦略動向 12

(参考資料)国内石油元売の動向 15

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1.原油価格へのインプリケーション

2

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(1)原油価格の変動要因

原油価格は、需要と供給の両面における中長期・構造的な要因に加え、産油国の地政学リスクや投機資金の流入といった短期的要因によって変動します。

(出所)CFTCデータを基に弊行作成

原油価格の主要な変動要因 原油価格推移

3

概要 参照頁

中長期・

構造的要因

需要+

経済成長著しい新興国を中心とした石油需要増

P.4

供給△

OPEC加盟国・非加盟国の協調減産

P.5

需要▲

自動車の電動化進展に伴う石油需要減

P.6

供給+

米国のシェール開発進展に伴う原油生産量・在庫量増

P.7P.8

短期的要因

供給△

産油国の地政学リスク P.9

その他 投機資金の流入 P.1040

45

50

55

60

65

70

16/10 17/1 4 7 10 18/1

(ドル/バレル)

(年/月)

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(2)中長期・構造的要因 ①新興国を中心とした石油需要増→価格上昇

地域別の石油需要についてみれば、米国や欧州など先進国では環境規制強化を受けた自動車の低燃費化や新エネルギー車(EV、PHEV、FCV)シフト等の構造的要因により微減が見込まれます。

一方、中国やインド、中東・アフリカなど新興国の需要は経済成長を背景に拡大し、グローバルベースの需要増加を牽引する見通しです。

4

(出所)OPEC「World Oil Outlook 2040」を基に弊行作成 (出所)IMF統計を基に弊行作成

石油需要の見通し 地域別実質GDP成長率見通し

0

20

40

60

80

100

120

16 20 25 30 35 40

(百万バレル/日)

(年)

米国

欧州

中国

インド

中東・アフリカ

その他アジア

その他地域

見通し

±0%

+1%

+2%

+3%

+4%

+5%

+6%

+7%

+8%

+9%

16 17 18 19 20 21 22 (年)

米国

欧州

中国

インド

中東・アフリカ

見通し

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0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

15/1 7 16/1 7 17/1 7

(百万バレル/日) 減産目標100万バレル/日

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.0

15/1 7 16/1 7 17/1 7

(百万バレル/日) 減産目標180万バレル/日

△1,500

△1,000

△500

017/1-3 4-6 7-9 10-12

(千バレル/日)

減産

その他

ロシア

△2.0

△1.5

△1.0

△0.5

±0.0

+0.5

+1.017/1-3 4-6 7-9 10-12

(百万バレル/日)

減産

増産

減産目標120万バレル

その他

サウジアラビア

ナイジェリア

リビア

OPEC計

(2)中長期・構造的要因 ②OPEC加盟国・非加盟国の協調減産→価格上昇

2017/11月に開催されたOPEC総会では、協調減産延長(2018/3月末→同年12月末)で合意したことに加え、減産を免除されてきたナイジェリアとリビアに対して減産目標を課したことが原油価格の上昇要因となりました。

もっとも、OPEC非加盟国でありながら、これまで減産に協力してきたロシアでは、ルーブル高に繋がり国内経済にマイナスになるとして、過度な原油価格上昇には慎重な立場を取っています。今回の減産延長では、ロシアへの配慮から、2018/6月には市況に応じて減産措置を見直すこととしています。

5

OPEC加盟国の減産動向(2016/10月比) ナイジェリアの原油生産量推移

リビアの原油生産量推移

(年/月)

(年/月)(出所)Oil Market Report©OECD/IEA, 2018/1月を基に弊行作成

OPEC非加盟国の減産動向(2016/10月比)

(年/月)

(年/月)

(出所)Oil Market Report©OECD/IEA, 2018/1月を基に弊行作成 (出所)Oil Market Report©OECD/IEA, 2018/1月を基に弊行作成

(出所)Oil Market Report©OECD/IEA, 2018/1月を基に弊行作成

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60

80

100

120

140

160

15 20 25 30

(g/km)日本

欧州

0 20 40 60 80 100 120 140 160

ガソリン車

ディーゼル車

ハイブリッド車

PHEV(ガソリン給油)

PHEV(充電)

EV(電源構成:09年度)

EV(太陽光発電由来)

FCV(オンサイト都市ガス改質)

FCV(オンサイト太陽光アルカリ電解水)

FCV(オフサイト天然ガス改質)(g/km)0%

10%

20%

30%

40%

0

10

20

30

40

15 20 25 30

(百万台)

新エネルギー車

ハイブリッド車

新エネルギー車比率

ガソリン車

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

15 20

(十億kW)

石炭火力

ガス火力

水力風力

太陽光原子力 その他

(2)中長期・構造的要因 ①自動車の電動化進展に伴う石油需要減→価格下落

大気汚染が深刻化する中国では、風力・太陽光発電など再生可能エネルギーへのシフトに加え、新エネルギー車の普及を進めています。また、欧州ではCO2排出規制をクリアするために自動車の電動化が必須とみられています。

足元、自動車の電動化進展による原油需要減は需給見通しに織り込まれ、原油価格にも反映されているとみられていますが、環境規制の動向や自動車電動化の進捗状況によっては原油価格の変動要因となることが想定されます。

(出所)資源エネルギー庁「燃料電池自動車について」を基に弊行作成

日欧のCO2排出規制

6

中国における発電設備容量の見通し

(出所)国家製造強国建設戦略咨詢委員会資料を基に弊行作成

(年)

中国における新エネルギー車の普及見通し

(出所)中国国家発展改革委員会資料を基に弊行作成

(年)

Well to Wheel のCO2排出量比較

(出所)欧州委員会資料を基に弊行作成

(年)

欧州の2030年目標

(注)

(注)FCV:燃料電池車

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250

300

350

400

450

500

550

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

(百万バレル)

2005~12年実績幅2013年

2014年

2017年

2015年

2016年

2018年

0

20

40

60

80

100

120

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

14/1 7 15/1 7 16/1 7 17/1 7

(基) (ドル/バレル)

リグ稼働数(左軸)

WTI価格(右軸)

(2)中長期・構造的要因 ②米国の原油生産量・在庫量増→価格下落

米国の原油生産量は、シェール開発の進展を背景に今後も増加傾向が続く見通しです。原油在庫は、足元こそ寒波到来による需要増から減少しているものの、依然として高水準で推移し、原油価格の下押し要因になっています。

一方、原油価格に4ヶ月程度遅行するとされるリグ稼働数は、足元の原油価格上昇を受けて今後増加が見込まれ、価格下落要因となることが想定されます。

(出所)Baker Hughes「North America Rig Count」を基に弊行作成 (出所)EIA「U.S. Weekly Supply Estimates」を基に弊行作成

(年/月)

米国の原油在庫量推移

7

米国の原油生産量推移・見通し

(出所)EIA「U.S. Weekly Supply Estimates」、「Short Term Energy Outlook」を基に弊行作成

(月)

(年)

米国リグ稼働数・原油価格推移

6789

101112

13 14 15 16 17 18 19 20

(百万バレル/日) (見通し)

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0

1

2

3

4

5

6

7

14 15 16 17 18

(百万バレル/日)

Permian

Bakken

Eagle Ford

Niobrara

Anadarko

AppalachiaHaynesville

40

50

60

70

80

90

14/9 15/3 9 16/3 9 17/3 9

(ドル/バレル)

大幅な増産に必要なWTI価格水準

採算が取れるWTI価格水準

(2)中長期・構造的要因 ③米国におけるシェール開発の動向→価格下落

米国ではテキサス州を中心とするPermian地域を中心にシェールオイルの増産が続いています。

また、シェール開発企業のブレークイーブンコストは、地域により違いはあるものの低下傾向にあり、中長期的には原油価格の上値を押さえるとみられます。

8

シェールオイル主要生産地域における原油生産量 シェールオイル開発企業の採算水準

米国におけるシェールオイル・ガスの主要生産地域シェールオイル・ガス待機井戸数推移

(出所) カンザスシティ連邦準備銀行「Energy Survey」を基に弊行作成(出所)EIA「Drilling Productivity Report」を基に弊行作成

(年)

(年)

(年/月)

(出所)EIA「Drilling Productivity Report」を基に弊行作成Permian

Bakken

Eagle Ford

Niobrara

Anadarko

Appalachia

Haynesville0

2

4

6

8

14 15 16 17

(千基)

Permian

Bakken

Eagle Ford

Niobrara

Anadarko

Appalachia

Haynesville

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45

50

55

60

65

70

17/10 11 12 18/1

(ドル/バレル)

(3)短期的要因 ①産油国の地政学リスク→価格上昇

原油価格は、事故等で原油の供給が止まることにより一時的に上昇するケースがあります。

また、産油国の中には政情不安を抱える国や紛争地域も多く、こうした地政学リスクの顕在化により価格上昇に繋がる可能性もあります。

9

原油価格推移 産油国で発生した一時的な供給変動要因

(出所)CFTCデータを基に弊行作成

(年/月)

時期 国/地域 概要

① 17/11月上旬サウジ

アラビア

サルマン皇太子主導で現職閣僚等が逮捕(汚職の疑い)

② 17/11月上旬サウジ

アラビア・イラン

イランのシーア派勢力がレバノンへ干渉、サウジアラビアが自国民に対しレバノンからの退避を勧告(両国の関係悪化懸念)

③ 17/12月上旬 英国北海油田のパイプラインで原油漏れ発生

④ 17/12月下旬 リビア武装勢力が原油パイプラインを爆破

⑤17/12月下旬

~18/1月上旬

イラン 反政府デモ発生

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0

20

40

60

80

100

120

140

160

1

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

14/01

14/7

15/1

15/7

16/1

16/7

17/1

17/7

18/1

(千枚<1枚=1,000バレル>)

10

15

20

25

30

0

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200

300

400

500

600

700

800

14/01

14/7

15/1

15/7

16/1

16/7

17/1

17/7

18/1

(千枚<1枚=1,000バレル>) (千ドル)(千枚<1枚=1,000バレル>) (千ドル)

(3)短期的要因 ②投機資金の流入→価格上昇

米国では、株高等を背景として投機資金が原油市場に流入しており、原油価格を一時的に押し上げている側面もあります。

一方、足元では売り建玉(注)も増加していますが、これは将来の原油増産を示唆しているとの見方もあります。

10

原油先物の買越残高推移 原油先物の売り建玉推移

(年/月) (年/月)

(出所)CFTCデータを基に弊行作成

(ドル/バレル)<NYダウ> <WTI>

NYダウ(右軸)

WTI(右軸)

原油先物(左軸)(注)

(注)LongポジションとShortポジションの差額。指標はCrude oil、light sweet、non-commercial、combinedの合計。

(出所)CFTCデータを基に弊行作成

(注)信用取引・先物取引・オプション取引において、信用売り後に反対売買されず未決済となっている銘柄。

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(4)今後の方向性

短期的にみれば、米国の寒波など一時的な要因が剥落すれば、原油価格は下落するとの見方もなされています。

中長期的にみれば、新興国を中心とする需要増加やOPEC加盟国・非加盟国による協調減産の効果もあって需給は改善し、原油価格は緩やかに上昇するとみられます。もっとも、価格上昇局面では、米国によるシェール開発の進展が上値を押さえる展開が想定されます。

(出所)CFTCデータを基に弊行作成

原油価格推移・今後の方向性

11

世界の石油需給バランス見通し

(年/月)(年/月)

米国のシェールオイル増産によりブレント対比WTI価格が抑えられたことで価格差が拡大

▲0.6

▲0.4

▲0.2

±0.0

+0.2

+0.4

+0.6

+0.8

+1.0

+1.2

17/1-3 4-6 7-9 10-12 18/1-3 4-6 7-9 10-12

(百万バレル/日)

需要超過

供給過剰

見通しWTI価格の方向性

(出所)Oil Market Report©OECD/IEA, 2018/1月を基に弊行作成

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2.エネルギー関連企業の戦略動向

12

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(出所)各社Annual Reportを基に弊行作成

エネルギー関連企業による戦略の方向性

スーパーメジャーを中心とするエネルギー関連企業は、原油価格の変動により、生産・販売、及び採算面で大きな影響を受けます。

今後の戦略の方向性としては、上流権益を中心とする資産ポートフォリオの入れ替えや、石油製品対比高採算が見込める石油化学部門の強化、環境規制強化を受けた再生可能エネルギー事業へのシフト、等が考えられます。

13

世界の売上高上位10社(2016年度実績) 今後の戦略方向性

企業名(注)売上高(兆円)

1 中国石油化工 中 33.1

2 Royal Dutch Shell 英蘭 28.1

3 中国石油天然気 中 27.2

4 ExxonMobil 米 26.4

5 BP 英 21.8

6 Total 仏 17.5

7 Chevron 米 13.4

8 Gazprom 露 11.6

9 Petrobras 伯 10.2

10 JXTGホールディングス 日 9.2

(注)対象は上場企業のみ。

事業環境の変化 施策

原油価格の変動(ボラティリティの高さ)

環境規制の強化(石油需要減)

資産ポートフォリオの入替(上流権益)

石油製品対比高採算が見込める石油化学部門の強化

LNG事業等へのシフト

再生可能エネルギー事業へのシフト

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(出所)各社プレスリリースを基に弊行作成

(2)企業の具体的戦略(2016年以降)

企業名(注1) 相手企業名 時期 金額(注3) 概要 目的

ExxonMobil(米)

Bass家(注2)

(米)17/1月

66億ドル(約7,500億円)

テキサス州を中心とするPermian地域のシェール資産を買収。

資産入替Total(仏)

A.P.MollerMaersk

(デンマーク)17/8月

75億ドル(約8,100億円)

北海等に権益を持つ石油部門を買収。

BP(英)

Petrobras(伯)

16/12月 -石油・天然ガス探査・生産の他、石油化学分野での戦略的事業提携に合意。

石油化学強化

Chevron(米)

- 17/12月60億ドル

(約6,800億円)米テキサス州のエタンクラッカーが完工。エチレンの生産能力は年150万トン規模。

ExxonMobil(米)

- 18/1月500億ドル

(約5兆5,000億円)

米税制改革に伴い、同国での投資価値が高まったとして、シェール開発やメキシコ湾沿岸での化学品事業等へ投資する方針を発表(今後5年間)。

Total(仏)

Engie(仏)

17/11月20億ドル

(約2,280億円)LNG事業を買収。同市場で業界2位となる。 LNGシフト

Total(仏)

Saft(仏)

16/5月10億ドル

(約1,090億円)

蓄電事業への進出のため買収。2011年に買収した米SunPower(太陽光パネルメーカー)と連携。再生可能エネルギー事業を強化。 再生可能

エネルギーシフトRoyal Dutch

Shell(英蘭)

- 16/12月 -蘭で大型洋上風力発電プロジェクトを落札し、本格参入。

(注1)世界の売上高上位10社(上場企業)のうち、スーパーメジャーと呼ばれるRoyal Dutch Shell、ExxonMobil、BP、Total、Chevronが対象。(注2)テキサス在住の大富豪。 (注3)公表時点の為替レートで円換算。

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(参考資料) 国内石油元売の動向

15

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国内石油元売業界の再編動向

(出所)石油連盟「今日の石油産業2016」を基に弊行作成

出光興産

旧コスモ石油

丸善石油

大協石油

日本石油

三菱石油

九州石油

日本鉱業

共同石油

昭和石油

シェル石油

エッソ石油

モービル石油

東燃

ゼネラル石油

三井石油

太陽石油

出光興産昭和シェル石油

出光興産

1986/4月コスモ石油

コスモエネルギー

1999/4月日石三菱

2002/7月社名変更新日本石油

1992/12月ジャパンエナジー

2008/10月

1985/1月昭和シェル石油

昭和シェル石油

2002/6月エクソンモービル

2000/7月東燃ゼネラル石油

2012/6月買収

2014/12月買収

太陽石油

JXTGホールディングス

2002/12月精製提携

2017/4月経営統合

経営統合に向け交渉中

1999/10月精製・物流提携

2010/7月JX日鉱日石エネルギー

東燃ゼネラル石油

キグナス石油 キグナス石油

1999/10月精製・物流提携 2017/2月資本業務提携

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国内製油所立地①(2017/11月末時点)

:昭和シェル石油(昭和シ)

JXTG/仙台 (145)

鹿島(JXTG)/鹿島 (197)

西部(昭和シ)/山口(120)

JXTG/麻里布 (120)

JXTG/水島 (320)

太陽/四国 (138)

JXTG/和歌山 (128)

コスモ/千葉 (177)JXTG/千葉 (129)出光/千葉 (220)富士/袖ヶ浦 (143)

JXTG/川崎 (235)東亜(昭和シ)/京浜 (70)

JXTG/根岸 (270)

出光/北海道 (160)

出光/愛知 (120)

コスモ/堺 (100)JXTG/堺 (135)大阪国際石油精製(JXTG)/大阪 (115)

:出光興産(出光)

:JXTGホールディングス(JXTG)

(原油処理能力(千バレル/日))

:コスモ石油(コスモ)

:太陽石油(太陽)

:富士石油(富士)

JXTG/大分 (136)

コスモ/四日市 (86)昭和四日市(昭和シ)/四日市 (255)

(出所)石油連盟「今日の石油産業2016」を基に弊行作成

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国内製油所立地②(2017/11月末時点)

(出所)石油連盟「今日の石油産業2016」、資源エネルギー庁HPを基に弊行作成

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(単位:千BD)

北海道東北

関東 中部 近畿 中国四国 九州精製

能力計

製油所数計(ヶ所)

装備率(注)

JXHD 仙台145根岸270鹿島197

大阪115麻里布120水島320

大分136 1,303 7 51.2%

東燃ゼネラル石油

川崎235千葉129

和歌山128堺135

627 4 40.6%

北海道160 千葉220 愛知120 500 3 57.2%

京浜70 四日市255 山口120 445 3 64.8%

千葉177 四日市86 堺100 363 3 49.0%

袖ヶ浦143 143 1 52.4%

四国138 138 1 23.2%

305 1,441 461 478 698 136 3,519 22 50.5%

2 8 3 4 4 1 22

JXTGHD

出光興産

昭和シェル石油

コスモエネルギー

富士石油

太陽石油

精製能力計

製油所数合計

(注)資源エネルギー庁が公表した17/3月末時点における残油処理装置の装備率。

国内石油精製各社の地域別製油所分布