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インドネシア鉱業の動向

平成21年11月9日

ジャカルタ事務所 次長

小岩孝二

（1）鉱業概況

（2）新鉱業法施行

（3）大型プロジェクトから撤退の動き

（4）Batu Hijau 銅・金山資本移譲問題

（5）インドネシア鉱業投資の今後

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目 次

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（単位：千ｔ）

鉱種 埋蔵量 世界計 構成比 世界ランク

金 6 100 6.0% 3

錫 900 11,000 8.2% 4

ニッケル 13,000 150,000 8.7% 5

銅 38,000 1,000,000 3.8% 8

出典：Mineral Commodity Summaries 2009

（1）鉱業概況・主要鉱種埋蔵量

3（1）鉱業概況・主要鉱山、製錬所、鉱床位置図

PT. Free Port Indonesia

Grasberg 銅・金山

PT. Newmont Nusa Tenggara

Batu Hijau 銅・金山

PT. Timah

Kundur 錫製錬所Mentok 錫製錬所

PT. Antam

Pomalaa Ni鉱山・FeNi 製錬所

PT. Inco

Sorowako Ni 鉱山・ﾏｯﾄ製錬所

PT. Smelting

Gresik 銅製錬所

PT. Indonesia Asahan Aluminium

Asahan アルミ製錬所

出典：エネルギー鉱物資源省地質庁資料に加筆

4（1）鉱業概況・主要鉱山、製錬所生産量

鉱山・企業名 生産物 2007年 2008年対前年比増減率

2008年H1 2009年H1対前年同期比

増減率

Grasberg 銅・金山銅精鉱（純分千ｔ） 549 503 -8.4% 205 414 102.0%

金（純分ｔ） 81.1 36.1 -55.5% 14.5 45.7 215.2%

Batu Hijau 銅・金山銅精鉱（純分千ｔ） 220 129 -41.4% 59 88 49.2%

金（純分ｔ） 17 8.4 -50.6% 3.6 5.6 55.6%

PT. Inco ニッケルマット（純分千ｔ） 76.7 72.4 -5.6% 35.3 32.5 -7.9%

PT. Antam

フェロニッケル（純分千t） 18.5 17.6 -4.9% 8.5 6.1 -28.2%

ニッケル鉱石（マテリアル量千ｔ）

7,113 6,572 -7.6% 4,229 2,835 -33.0%

Ni品位2％超 3,623 4,028 11.2% 2,254 1,468 -34.9%

Ni品位2％以下 3,489 2,544 -27.1% 1,975 1,367 -30.8%

PT. Timah 錫地金（千t） 58.3 49 -16.0% 23 19.4 -15.7%

（出典：各社年次報告書、四半期報告書）

5（1）鉱業概況・日本への輸出状況

鉱種 2006年 2007年 2008年対前年比増減率

2008年輸入総計

構成比世界ラン

ク

銅精鉱(千ｔ） 968.1 714.0 740.9 3.8% 4,941.3 15.0% 3

ニッケル鉱石(千ｔ） 2,185.3 2,076.7 2,269.5 9.3% 4,142.2 54.8% 1

ボーキサイト(千ｔ） 779.7 579.0 756.5 30.7% 2,072.7 36.5% 2

フェロニッケル(t) 2,039.2 1,951.4 852.7 -56.3% 40,039.9 2.1% 5

銅カソード(t) 319.7 16,829.6 1,484.7 -91.2% 89,337.5 1.7% 6

ニッケルマット(t) 93,906.1 95,123.7 96,405.7 1.3% 109,359.9 88.2% 1

アルミニウム(千t) 160.0 153.3 150.7 -1.7% 1,894.6 8.0% 5

錫地金(t) 18,643.3 16,095.1 11,864.5 -26.3% 31,491.0 37.7% 1

（出典：貿易月表（2008.12））

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  2004 2005 2006 2007 2008

総輸出額（百万US$） 71,584.6 85,660.0 100,498.6 114,100.9 137,020.4

石油・ガス分野 21.86% 22.45% 21.10% 19.36% 21.26%

非石油・ガス分野 78.14% 77.55% 79.19% 80.64% 78.74%

鉱物資源分野 Na na 18.34% 18.94% 16.53%

錫 na na 0.92% 0.74% 1.49%

銅 na na 6.54% 6.41% 3.39%

ニッケル na na 1.83% 2.85% 1.63%

アルミニウム na na 0.79% 0.75% 0.67%

石炭 na na 6.18% 6.13% 7.55%

その他 na na 2.10% 2.05% 1.80%（出典：投資調整庁　BKPM）

（1）鉱業概況・インドネシアでの輸出貢献度

＜2009年1月鉱物石炭鉱業法公布、施行＞

「国家利益の最大化、国民福祉向上」

①鉱業権は、鉱業事業許可制度に一本化

②外国投資に活用されてきた鉱業事業契約（Contract of Work: COW)制度は廃止

③鉱業事業許可（IUP）と特別鉱業事業許可（IUPK）に分類。更に、探鉱許可と生産許可の2段階制

7（2）新鉱業法

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④許可取得可能者はインドネシア法人（内国資本、外国資本の差別無し）又は自然人。ただし、外資法人には、生産開始5年後に国、地方政府、インドネシア民間企業等に一部資本委譲義務

⑤IUP取得に入札制導入。IUPKは国営企業等に優先付与

⑥国内での生産物高付加価値化義務を新たに追加。既存COWにより生産を行っている者も、5年以内に国内高付加価値化を実施義務

（2）新鉱業法

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⑥政府に生産量、輸出量をコントロールする権限を付与

⑦国内鉱業サービス会社使用義務

⑧既存COWは契約期限内有効。ただし、1年以内に新法に適合させなければならない

⑨関連政省令は１年以内に制定

（2）新鉱業法

政令制定は来年3月？

・森林省、環境省等と調整未了

→森林指定地域での鉱業活動許可取得に数年を要している事態の解決ができるか

・地方政府も中央政府との権限線引きに不満

→地方政府の権限（裁量）を制約

10（2）新鉱業法

現在の政令案では

・生産者に生産物国内供給優先義務付加

・国内供給価格は政府が設定（詳細は省令）

・資本移譲は最低20％、一括

・高付加価値化段階は鉱種毎に設定（詳細は省令）。亜鉛は精鉱で輸出可という見解も

11（2）新鉱業法

・国営鉱山会社PT Antamは、海外企業と多くの共同探鉱・開発プロジェクトを保有

・ニッケル価格の急落、世界金融危機に加え、鉱業権等法的不安定性により、複数のプロジェクトから相手側企業が撤退

12（3）大型プロジェクトから撤退の動き

①BHP Billiton

西Papua州Gag Islandニッケル開発プロジェクト＋北Maluku州Halmahera島Buliニッケル開発プロジェクト（湿式製錬によるニッケル開発）

：経済性及びBuliプロジェクトでのCOW取得未達を理由

13（3）大型プロジェクトから撤退の動き

②Tshingshan Holding Group(中国)

北Maluku州Obi島ニッケル開発プロジェクト（フェロニッケル又はニッケル銑鉄及びステンレス鋼）

：地方政府による鉱業権の取消し、ニッケル価格の下落を理由

③Jindal Stainless(インド)

南東Sulawesi州北Konawe県フェロニッケル・ステンレス鋼生産プロジェクト

：経済危機、地方政府による鉱区一部取消しを理由

14（3）大型プロジェクトから撤退の動き

・Batu Hijiau 銅・金山は、COWの取決めで生産開始後株式を順次インドネシア資本へ移譲（最終的にはインドネシア資本51％）

・2006年3月に3％、2007年3月に7％分の移譲を政府にオファーしたが、購入先、購入金額、購入方法等の協議に時間を要し、結果、政府は契約不履行によるCOW終結を主張。国際商事仲裁へ

15（4）Batu Hijiau銅・金山資本移譲問題

・2009年3月に仲裁裁定。180日以内の株式移譲が命ぜられた

・地方政府が民間企業の資金を受入れ購入することとなっているが、180日を過ぎたが未移譲

・2008年、2009年分各7％についてはインドネシア側での購入先等が決まらず、財務大臣の手を離れ、大統領の決定待ち

16（4）Batu Hijiau銅・金山資本移譲問題

17（5）インドネシア鉱業投資の今後

開発途上国から中進国へ

・豊富な資源を活用し産業育成

・原料輸出から加工品輸出、国内価値連鎖形成

→鉱石取引への付加価値税免除（2009.4.1～）

→鉱石輸出に関税を検討（新工業大臣）

ボーキサイト アルミナ アルミニウム

千t 千US$ US$/t 千t 千US$ US$/t 千t 千US$ US$/t

輸出 16,791.4 216,308.8 12.9 輸出 - - - 輸出 149.1 391,787.9 2,627.7

中国 16,078.8 203,649.1 12.7 輸入 441.8 195,822.5 443.2 日本 148.9 391,512.6 2,629.4

輸入 - - - 豪州 426.9 185,197.8 433.8 輸入 85.4 225,951.9 2,645.8

豪州 40.0 103,881.4 2,597.0

生産 246.0

注：輸出はFOB価格、輸入はCIF価格出典：2008年インドネシア通関統計等から作成

<価値連鎖未形成の例＞

18（5）インドネシア鉱業投資の今後

加工分野（製錬等）までを含んだ鉱業投資を歓迎

・価値を高め、地域に雇用の場をより多く提供する投資

２億数千万の人口を擁する大国が経済発展の道を歩み始めた

・もはや鉱石供給国という発想を転換する必要

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• Commitment not to sell raw material anymore

• To deliver prosperity of Indonesia

“Mining 2009 Indonesia”における投資調整庁長官（当時）M. Lutfi氏

講演資料より（2009.10.15）