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パーム油需給見通し 2009年3月 三菱商事株式会社 農水産本部 油脂ユニット 資料3-7

パーム油需給見通し - maff.go.jp...DATA:MPOB 2008年の平均月末在庫量は190万トン(11月には226万トンという過去最高水準を記録)とパーム油相場に圧力を与えたが、次第に200万

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  • パーム油需給見通し

    2009年3月

    三菱商事株式会社

    農水産本部 油脂ユニット

    資料3-7

  • Proprietary & confidential 2

    ● 2008年下期相場回顧 主要商品市場の価格動向(2007年1月4日基点)

    2007年後半から商品市場全体が堅調に推移し、WTIとBMDとSoyaの連関性は強まり、WTIとBMDは殆ど同様の動きを展開。需給バランス(特に米国の低在庫水準)が注目されたSoyaの伸び率はWTIを上回った。2008年3月にBMDが最高値RM4486を記録した後は、BMDは重たい在庫量を背景に上値が抑えられ、WTIとSoyaへの連動性が弱まった。欧州や豪州での大減産見込みだったWheatは単独行動で高い水準にて推移。DOWは元々商品市場への連動性は低かったが、2008年7月の米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)株の大幅下落時や、2008年9月15日のリーマンショック時には影響力を強めた。

    *2007年1月4日を100として、各商品市場の値動きを比較。

    156:BMD

    138:Canola

    157:WTI

    117:Corn

    131:Gold

    DATA:REUTERS

    106:DOW

    177:Wheat

    175:Soya

    1月4日

  • Proprietary & confidential 3

    ●マレーシアパーム油定期市場推移

    DATA:OIL WORLD

    2005年メキシコ湾岸を襲った ハリケーンの影響でWTIの原油相場が上昇基調。

    2006年バイオエタノール、バイオディーゼルの導入の動きが進む。投機資金が商品市場に入る。年末にはマレーシアで大洪水。

    2007年パーム油の需要好調。WTIと連動の上、上昇基調。

    2008年3月:パーム油の最高値を記録。7月:WTI US$147/バレル。11月:マレーシア、パーム油の在庫量が過去最大の227万トンとなる。

  • Proprietary & confidential 4

    ● 価格に影響を及ぼす要因

    【BULLISH FACTORS】

    パーム油生産動向 : 生産サイクルストレスや肥料投入量の減少による単収悪化

    パーム油植替え強化 : 高水準のパーム油在庫を減らす為に二大生産国が協調して植替えを促進予定

    穀物相場の急落 : 農家の作付意欲減退、施肥量の減少、BDF需要の喚起

    人口増加・生活水準の改善 : 堅調な世界の油脂需要を支えるのは今後もパーム油の貢献が必要

    南米産穀物/油糧種子減産見込み : 土壌水分不足等による生産量減

    BDF需要増加見込み : (SBO)ブラジル・アルゼンチン・米国、(RSO)EU-27、 (PO)インドネシア・マレーシア

    中国・インド需要 :一時需要緩むも引き続き、伸長期待

    ドル安 : 商品市場はドル建て相場が主流である為に、商品市場が買われやすい状況に。

    【BEARISH FACTORS】

    世界経済の停滞感 : 失業率の向上、可処分所得の減少、商品市場を牽引してきた原油相場の下落

    高水準のパーム油在庫量 : 400万トン前後もあるマレーシア・インドネシアの合計在庫量

    菜種の豊作 : カナダ産菜種の豊作による油糧種子相場への下げ圧力

    原油相場の下落 : WTIで50ドル/バレルを下回っている原油相場

    米国エタノール市場の混乱 : コーン相場急落を受けたエタノール製造会社倒産による契約キャンセル等

  • Proprietary & confidential 5

    ●世界17油脂*生産量推移

    *17 OILS & FATS:大豆油、綿実油、落花生油、ヒマワリ油、菜種油、ゴマ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、バター、豚脂、魚油、亜麻仁油、ひまし油、牛脂 **各年度は10月から9月までを示す

    世界生産量も世界消費量も00/01年度から08/09年度まで年平均5%増にてバランスよく拡大している様に見えるが、消費が旺盛である為に生産された油脂が概ね全量消費されてきた経緯あり、元来油脂の需給バランスはタイトであったと言える。

    DATA:OIL WORLD

  • Proprietary & confidential 6

    ●パーム油の需要と供給08/09年度のパーム油需給バランスは生産量が185.5万トン増加する見込みである一方で、消費量は327.0万トン増加する見込みとなっている。よって、期末在庫量は17.0万トン減少する見込みで、マレーシア・インドネシアの植替え奨励政策及びBDF需要が効果を発揮する見通し。但し、植替えを行っても5年後には逆に単収が改善される為、需要の伸び次第だが、中期的には需給は再び緩む可能性がある。マレーシア政府は肥料輸入関税率を5%引き下げ、国内肥料価格も15%下がったが、金融不安も手伝い主に中小農園では肥料を買えない状態(単収悪化懸念)。中南米のパーム油生産量も徐々に伸びてきているが、マレーシア+インドネシアのパーム油生産シェアは引き続き85%程度と磐石の二強体制を維持。パーム油生産量では05/06年度にインドネシアがマレーシアを抜き世界最大の生産国となっていたが、パーム油輸出量でもついに08/09年度にはインドネシアが世界最大の輸出国となる見通し。パーム油世界消費量に占める中国・EU・インド・インドネシア・マレーシア・パキスタンの合計シェアは02/03年度の61%から08/09年度には58%に僅かではあるが減少傾向にある。中南米・アフリカ以外でも米国や中東やアジア諸国での消費量が徐々に増加している模様。2009年よりマレーシアでは政府関係車両でB5を導入しその後交通セクターや工業セクターに広げる計画で、インドネシアでは交通セクターでB1・工業/商業セクターでB2.5・電力セクターでB0.25を導入する計画となっており、二大生産国が植替えによる減産に加えて新規需要を喚起し、パーム油価格の統制を狙っているのは明らかであるものの、市場では懐疑的な見方もある。

    PALM OIL SUPPLY & DEMAND (1000mt) 1,000MT10月/9月 02/03 03/04 04/05 05/06 06/07 07/08 08/09F 増減期初在庫 3,828 3,793 4,349 5,127 5,790 5,770 6,610 840生産量 27,811 29,952 33,508 36,024 37,590 42,535 44,390 1,855輸出量 21,531 23,469 26,157 28,121 29,735 33,390 35,130 1,740輸入量 21,467 23,418 26,184 28,111 29,570 33,055 35,200 2,145消費量 27,783 29,359 32,745 35,365 37,444 41,360 44,630 3,270

    期末在庫 3,793 4,349 5,127 5,790 5,770 6,610 6,440 ▲ 170期末在庫/消費量率 13.7% 14.8% 15.7% 16.4% 15.4% 16.0% 14.4% -1.6%生産量-消費量 28 593 763 659 146 1,175 -240

    生産量 02/03 03/04 04/05 05/06 06/07 07/08 08/09F 増減マレーシア 13,180 13,418 15,195 15,486 15,294 17,567 17,589 22

    インドネシア 10,370 11,970 13,560 15,520 16,730 19,020 20,420 1,400タイ 669 724 709 795 989 1,123 1,265 142

    ナイジェリア 782 789 798 815 830 850 883 33コロンビア 537 614 653 699 751 788 872 84

    その他 2,273 2,437 2,593 2,709 2,996 3,187 3,361 174世界計 27,811 29,952 33,508 36,024 37,590 42,535 44,390 1,855

    輸出量 02/03 03/04 04/05 05/06 06/07 07/08 08/09F 増減マレーシア 12,133 12,186 13,584 13,718 13,768 15,040 15,600 560

    インドネシア 7,167 8,706 9,862 11,590 12,465 14,650 15,700 1,050その他 2,231 2,567 2,711 2,813 3,502 3,700 3,830 130世界計 21,531 23,459 26,157 28,121 29,735 33,390 35,130 1,740

    消費量 02/03 03/04 04/05 05/06 06/07 07/08 08/09F 増減中国 3,155 3,424 4,262 5,210 5,462 5,699 6,230 531

    EU-27 3,532 3,761 4,303 4,385 4,565 4,872 4,980 108インド 4,150 3,576 3,341 2,856 3,698 4,824 5,395 571

    インドネシア 3,164 3,297 3,508 3,680 3,910 4,271 4,718 447マレーシア 1,659 1,639 1,941 2,182 2,132 2,450 2,660 210パキスタン 1,367 1,354 1,461 1,597 1,638 1,740 1,760 20

    その他 10,755 12,294 13,941 15,440 16,039 17,504 18,887 1,383世界計 27,782 29,345 32,757 35,350 37,444 41,360 44,630 3,270

    DATA:OIL WORLD

  • Proprietary & confidential 7

    5,548

    4,487

    713

    1,983

    3,812

    825

    4,430

    4,1152,168

    1,650

    中南米

    米国

    インドネシアマレーシア

    中国

    パキスタン

    EU-27 CIS

    アフリカ

    インド

    2007年、単位:1,000MT

    DATA:OIL WORLD

    消費量

    マレーシア輸出量

    インドネシア輸出量

    91 / 76

    2,071 / 2,006

    795 / 663,8422,3461,598

    3,3121,070838

    1,592864

    369 / 546

    ● パーム油の貿易

    世界的にパーム油需要は堅調で輸出量も増加したが、EU27のみマレーシアからの輸入量前年比50万トン減少(BDF減速響く?)。輸出量は国内消費少ないマレーシアの方が大きい。

  • Proprietary & confidential 8

    DATA:OIL WORLD

    2006年/2007年とパーム油相場が堅調に推移した為にパーム農園企業(特に零細農園)が植替えを遅らせて収穫量の極大化を狙った為に適正なタイミングで植替えが行われず、パーム油相場が下落したものの肥料価格は高止まりしている為にコスト削減として施肥量が減少し、パーム油の生産サイクルによるストレスから生産量が伸び悩む為に、2009年に関しては両国の反収は悪化する見通しとなっている。一方で、マレーシアとインドネシアの二大生産国がパーム油価格の下支えを目的に樹齢25歳以上のパームツリーを伐採する事で同意したが、両国の生産面積は引き続き拡大傾向(Ma10万HA増、Indo52万HA増)。【パームツリー植替え計画】●2009年初旬にマレーシアで20万HA・インドネシアで5万HAの伐採に着手し、2009年内に夫々30万HAの植替えを行う。また、インドネシアは2011年までに合計100万HAを植替える予定。●マレーシアではパーム植え替えに対し、1HA当たりRM1,000の補助金を政府が交付することを決定。

    ● パーム油生産量推移

  • Proprietary & confidential 9

    ●マレーシアパーム油在庫量とパーム油相場

    DATA:MPOB

    2008年の平均月末在庫量は190万トン(11月には226万トンという過去最高水準を記録)とパーム油相場に圧力を与えたが、次第に200万トン在庫が市場関係者に与える心理的インパクトは薄れてきた。今後市場関係者の注目がファンダメンタルズにシフトすると考えられ、春頃の輸出需要にも因るが在庫量が170-180万トンを下回った場合に強材料ともなり得る。植え替え政策やBDF義務化等による需給バランスの是正には即効性は無いと考えられるが、生産調整が今後も行われると考えられ、中長期的には在庫量は減少すると思われる。

  • Proprietary & confidential 10

    予想生産コスト推移

    2000年過ぎにはCPO1トン当たりの製造コストはRM700-800と言われていたが、人件費や肥料価格の上伸により徐々に切り上がり、現在ではRM1100-1300(零細農園ではRM1400-1500)と言われている。昨今はRSPO監査費用等もコストアップ要因。尚、上記コストには土地代・種子代・投資の金利代等の投資コストは含まれないのが一般的。2007年から2008年にかけて世界的な商品市場の高騰を例外として捉え、2001年より続いていた上昇トレンドに継続性があると仮定すると、二大生産国が国をあげて生産調整を試みている事もあり、RM1500を長期で下回る可能性は低いのではと考えられる。

    ●BMDパーム原油先物相場トレンドとパーム油生産コストDATA:三菱商事

  • Proprietary & confidential 11

    ●主要需要国 ① 中国

    DATA:OIL WORLD

    07/08年度のパーム油輸入量予想は600-800万トンであった事を考えると、前年度を上回る水準であるものの低水準と言える。2008年に起きた世界的な金融不安の影響は非常に大きく、同国の油脂輸入は低迷した。08/09年の国内大豆生産量は、生産量が落ち込んだ07/08年度から回復する見込み(以下、単位は100万トン)。また、2008年10月に中国国内におけるGMO大豆の作付が認められた事から、今後同国の反収改善が見込まれ、生産量の増加が期待されている。中国政府としても、食糧自給率の高位安定を目指しており、将来的には大豆輸入量が頭打ちになる可能性も指摘されているが、短期的には引き続き相当量が輸入される見通し。尚、現在の主要大豆生産国のGMO割合は米国80-85%、ブラジル20-30%、アルゼンチン90-95%、パラグアイ60-65%となっている。

    08/09F 07/08 06/07 05/06 04/0516.60 13.80 15.97 16.80 17.40

    中国向けのパーム油取引の7割のシェアを(合併前の)WILMARとKUOKが握っていたが、合併後に6割弱までシェアが落ち込んでいた。しかし、金融不安から荷為替信用状(L/C)を開けない輸入者が国内取引にシフトした為に、中国国内に在庫ターミナルを有し有利なポジションにあるWILMAR社のシェアが再び7割程度まで上がっている様子。

  • Proprietary & confidential 12

    DATA:OIL WORLD

    ●主要需要国 ② インド

    同国の人口は毎年1700-1800万人(年率1.5%)のペースで引き続き増加中であり、一人当たり年間消費量を12kgと仮定すると国内年間消費量は約20万トン増加する計算となる。一方で、生活水準の向上により一人当たり年間消費量も毎年0.4kg(年率約3%)程度増加しており、引き続き同国の油種需要量は増進する事が予想される。一方で、国内油脂生産量は昨今の穀物相場の急落を受けて、農家の作付意欲が著しく減退しており、急激な生産量の改善は見込めない。また、引き続き、同国の農業インフラは整備が進んでおらず、単収の改善にはまだ時間がかかる見込み。よって、堅調に伸びる消費量に対して、国内生産量が安定的に増加しない為に、同国の油脂輸入量は引き続き徐々に増加する見通しとなっている。同国の輸入油脂におけるパーム油シェアは06/07年度までは6割程度であったが、07/08年度以降は8割以上に達しており、同国の輸入基本方針である”とにかく安く!”が徹底された結果と見られる。また、大豆油・菜種油価格を向日葵油価格が下回った為に、10/11月には一時的に向日葵油輸入が増加した。この価格傾向が続く場合には、08/09年度も向日葵油輸入が増加し、大豆油の輸入シェアが減少する可能性がある。輸入パーム油を油種別に見ると、圧倒的にパーム原油が多く、次に精製パームオレインが位置する構図は変わらないものの、マレーシア勢との合弁精製会社設立や自前での能力拡充により、国内精製キャパが拡大している為にパーム原油のシェアは引き続き高水準を維持すると見られ、地理的要因からもインドネシアからの輸入が今後もメインとなると見られる。

  • Proprietary & confidential 13

    DATA:OIL WORLD

    域内の食用用途は2100万トン前後で大きな変化はないものの、年々BDF需要が増加している為に、油脂輸入量も増加傾向に。域内ではBDF用途に菜種油がメインが使用されるので、域内での菜種油生産量は昨今の高値相場を背景に堅実に伸びているが、BDF需要の伸び率には追いつかない為に、BDF用途に菜種油を使用する一方で、TFA対策もありパーム油・向日葵油が食用用途として代替される形に。域内の耕作拡大余地は限られており、また、賃金コストや土地コストが高い為に、域内の生産量増加余地は限られているものと考えられる。域内のパーム油消費量は年々増加傾向にあるが、昨今環境意識の高まりから、持続可能性のある原料である事の重要性が増している。パーム油に関しては、様々な業界団体を巻き込んでRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)にて農園管理方針や取引形態等が模索されている。ユニリーバ等の環境意識の高いユーザーは将来的に使用するパーム油の全てをSPOに切り替えると宣言するユーザーも出てきており、引き続きSPOの供給可能性や取引方法については注目が集まっている。下記別枠の通り、欧州委員会にてバイオ燃料混合目標の引き下げが議論されており、基本的には2004年の様なBDF需要の伸びは収まる方向にはあるものの、今後も引き続き植物油脂の需給バランスの中では大きなインパクトを有するトピックである事には変わりなく、各国の動向には注視する必要ある。

    2008年1月: 「Renewable Energy and Climate Change Package」の一つとしてバイオ燃料の利用促進に関わる法案(ドラフト)発表。原料・プロセス別バイオ燃料の温暖化ガス削減効果の指標(Life Cycle Assessment: LCA)やSustainability基準の方針や、BDFは2010年末に軽油へ7%混合、2014年末には10%混合を目処としたスペック案を提示。2008年4-6月: BDFの製造キャパ過多・食対燃料議論・穀物価格上昇を受け、欧州BDF製造の稼働率が急激に低下、需要の伸び鈍化。2008年7月: 輸送用燃料へのバイオ燃料混合目標の引き下げ議論(2010年までに5.75%→2015年までに4%、2020年までに10%→8%)。2008年9月: 混合目標は引き下げないが2020年の10%の内最低4%をRenewablesからの電気/水素でカバーし、6%以下を第一世代バイオ燃料でカバーする案を議論。最大需要地のドイツも混合比率6.25%の開始を2009年から2010年に後ろ倒し。

    ●主要需要国 ③ EU-27

  • Proprietary & confidential 14

    DATA:OIL WORLD

    米国大豆生産量見通しは以下の通り(単位:百万トン)。07/08年度にはコーンとの作付面積争いに敗れた(大豆63.6百万エーカー vs コーン93.6百万エーカー)が、今年は大豆が作付面積を回復(大豆74.8百万エーカーvs コーン87.0百万エーカー)見込みとなり、大豆生産量は増加予想。しかし、07/08年度の減産を補う為に、08/09年度としての大豆油生産量は減少見込み。

    08/09F 07/08 06/07 05/06 04/0579.49 72.82 86.77 83.37 85.01

    08/09年度に米国で製造されるBDFの約半数が大豆油由来と考えられ、08/09年度は約150万トン(全大豆油生産量の約16%)がBDF用に消費される見込みであり、07/08年度の約130万トン(同:約14%)を上回る見通し。一方で食用需要は健康志向から微減傾向(08/09年度は16万トン減)となっている。大豆油がBDF用途に回る為に、大豆油輸出量が30万トン減少し、国内不足分を菜種油・パーム油輸入でまかなう見込み。TFA対策もあり、08/09年度はパーム油輸入量が初めて100万トンを上回る見通し。ここ数年好調に伸びてきた南米産大豆生産量だが、今年は乾燥傾向の為に作付が遅れ、土壌水分も心配。穀物相場の下落と自国通貨安により、作付意欲が減退し、コスト削減策として施肥量が減少している為に単収悪化だけではなく、大豆さび病の蔓延の恐れもあり、大豆受給バランスの先行きは非常に不安な状況。$1/ガロン(BDF換算で約$300/トン)の税額控除が適用された輸出用BDF(B99)に関し、米国がBDFを輸入し欧州他へ再輸出する場合(Splash & Dash)は税額控除の適用除外となるかが議論されてきた。 2008年9月に、Splash & Dashは適用除外となると、国内にて製造されたBDF(B99)に関しては2009年末まで税額控除継続、の内容で法案は上院を通過した(HR6049)。全米エタノール製造キャパ(全175工場)は年産約106億ガロン(原料コーンベースで約96百万トン)。2007年はフル稼働であったが、昨今は90%程度まで下落。昨今のエタノール価格の下落度合いは、コーン価格の下落より大きく、採算は悪化。倒産に陥る会社も。コーン需給バランスは緩むと期待されるが、作付面積が上記の通り減少見込みである為に、豊作にならなければタイト感は逆に強まる可能性も否定できない。

    ●主要需要国 ④ 米国

    使用油脂内訳 08/09F 07/08 06/07 05/06 04/05

    大豆油 1.50 1.30 1.20 0.70 0.20

    牛脂 0.40 0.22 0.06 0.03 0.02

  • Proprietary & confidential 15

    上記の3期間は微妙に長さが異なるが、前述の様に徐々に生産コストが上昇しているのであれば、2001-2010年平均は500ドルを上回る水準になる可能性が高いと言える。2001-2010年の平均価格が500ドル以上になる為には、2008年12月以降は500ドルを上回るレベルで取引される可能性が高く、上値は600ドル程度も有り得るか。

    ● 需給と価格 パームオイルFOB価格平均価格DATA:三菱商事

    1983-1990 1991-2000 2001-2008/Nov

    Avg.$430 Avg.$490 Avg.$530

    Avg.$480