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国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国別データシート

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国別データシート目次

アジア 日本 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 中国(香港を含む) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 韓国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 台湾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 タイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48 マレーシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50 インド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 フィリピン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 ベトナム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 オーストラリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 シンガポール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60 インドネシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62

欧州・中東・アフリカ

欧州(西欧及び東欧 トルコを除く) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 中東(トルコを含む) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 アフリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71

CIS

CIS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74

北米・中南米 米国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77 カナダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 メキシコ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89 ブラジル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91

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国・地域名:日 本

概況 2017 年の日本経済は、雇用や所得環境の改善が見られる中で、企業の業況感も改善を見

せ、緩やかな回復基調が続いた。企業の設備投資が増加し、個人消費に回復基調が見られ、物 価は 0.7%上昇している。そのような状況下で、GDP 成長率は前年の 1.2%から 1.9%に上昇し た。

このような経済状況の中、日本の石油化学産業は、人口減少や自動車産業における海外生産 移転の進展等の影響を受け内需は低調に推移しているが、設備稼働率の向上、アジアにおける

好調な誘導品需要を背景に、企業業績は好調に推移した。 2017 年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから 653.0 万トンへ 4%、プロピレンの

国内生産量は前年の 522.3 万トンから 545.9 万トンへ 4.5%、それぞれ増加した。また国内エチ

レンプラントの稼働率は、前年に引き続き 97%の高率を記録した。 2018 年はエチレンプラントの大規模定修が集中し、エチレン生産量は 615.7 万トンに減少。

稼働率は 96.3%を記録。2019 年にかけて米中貿易摩擦が過熱化、同時に中国需要が減退し、

機能性化学品需要に影響がみられた。また北米シェールガス由来の一部誘導品が中南米に流

入し、欧州、中東、アジアへ玉突きが発生。定修やトラブルも重なり市況に変化がみられた。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

※エチレン能力は、経済産業省素材産業課による設備能力調査をもとに

(定修実施年+定修スキップ年)/2で算出。

※プロピレン能力は、経済産業省素材産業課による設備能力調査をもとに推計。 ※内需は四捨五入等の関係から数式と合致しないことがある。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 649 653 13 70 596 2% 11% 57 101% 三井化学 他LD 223 175 32 24 182 17% 14% ▲ 8 78% 日本ポリエチレン 他HD 114 89 20 14 95 21% 15% ▲ 6 78% 日本ポリエチレン 他SM 195 208 0 62 147 0% 30% 62 107% 旭化成EG 84 72 0 32 40 1% 45% 31 85% 三菱ケミカル 他

PVC 193 171 0 61 105 0% 36% 66 88% 太洋塩ビ 他その他 142 103 4 12 94 4% 12% 9 72%

計AS C2 688 560 52 107 504 10% 19% 55 81%プロピ 594 546 15 88 473 3% 16% 73 92% 三菱ケミカル 他PP 276 251 27 18 260 11% 7% ▲ 9 91% 日本ポリプロ 他AN 50 43 2 2 43 4% 5% 1 87% 旭化成

その他 170 167 9 18 158 6% 11% 9 99%  計AS C3 508 473 30 21 482 6% 4% ▲ 9 93%ベンゼン 574 438 15 75 378 4% 17% 60 76% JXTGエネルギートルエン 268 213 0 68 146 0% 32% 67 79% JXTGエネルギーキシレン 880 676 0 195 481 0% 29% 195 77% JXTGエネルギーPX 368 347 5 323 29 18% 93% 318 94% JXTGエネルギー

PTA 65 47 12 3 55 21% 7% ▲ 8 72% 三井化学

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石化産業の最近の動き

2017 年の日本の石油化学産業は、プラントの停止があったことや、アジアにおける誘 導品需要が好調であったこと、ナフサとエチレンの価格差が拡大していること等から、エ チレンプラントの稼働率は 97%とフル稼働近くまで上がった。

内需は、エチレン換算需要は前年比 1.9%増となったが、中長期的には減少トレンドに

ある。一方、プロピレン換算需要は同 7.2%増となり、今後もゆるやかに増加すると想定

される。

・ ポリエチレンは、2012 年以降生産能力の減少が続いているが、生産量は 255 万トン 前後で推移している。

・ PP の国内需要は、2011 年以降着実に増加しており、2015 年に 250 万トンを超えた。

一方で輸入に関しては円安の影響で国産レジンに回帰していたものの、2017 年以降、

国内メーカートラブルの影響から国内需給がタイト化し、不足分を輸入で補填し増加

に転じた。輸出については 2016 年まで 15 万トン超水準で推移していたが、2017 年

以降、需給が逼迫しており、今後も 15 万トン規模での輸入超過の状況が続くと見ら

れる。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.1%)

主な新増設、停止計画と検討状況(2017 年以降)

ポリプロピレン: 日本ポリプロピレン(千葉) 11.6 万トン停止(2017 年 3 月) ポリプロピレン: 日本ポリプロピレン(千葉) 15 万トン新設(2019 年 10 月) PVC : 大洋塩ビ(大阪) 16 万トン停止(2020 年 6 月)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 650 605 12 60 557 2% 10% 48 93% 三井化学 他LD 223 151 41 23 169 24% 16% ▲ 18 68% 日本ポリエチレン 他HD 114 83 21 12 92 23% 15% ▲ 9 72% 日本ポリエチレン 他SM 195 192 0 45 147 0% 23% 45 98% 旭化成EG 84 68 1 29 40 3% 43% 28 80% 三菱ケミカル 他

PVC 177 160 0 59 101 0% 37% 59 90% 太洋塩ビ 他その他 142 104 3 12 95 4% 12% 9 73%

計AS C2 680 518 63 97 484 13% 19% 34 76%プロピ 575 546 13 60 498 3% 11% 48 95% 三菱ケミカル 他PP 291 271 28 12 287 10% 4% ▲ 16 93% 日本ポリプロ 他AN 51 45 1 2 44 1% 4% 2 90% 旭化成

その他 170 170 11 16 165 7% 9% 5 100%  計AS C3 525 498 29 14 513 6% 3% ▲ 15 95%ベンゼン 574 401 13 77 337 4% 19% 64 70% JXTGエネルギートルエン 268 207 2 71 138 1% 34% 69 77% JXTGエネルギーキシレン 880 676 0 191 485 0% 28% 191 77% JXTGエネルギーPX 368 347 5 323 29 17% 93% 318 94% JXTGエネルギー

PTA 65 47 10 2 55 17% 3% ▲ 8 72% 三井化学

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芳香族 : 新増設計画は予定されていない 需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

・ LDPE は、2019 年の国内需要は若干の減少と想定される。汎用品は海外からの流入は続く ものの国内では差異化・機能性用途の開発が進むものと見込まれる。日本からの輸出は、今

後も汎用品の輸出は減少すると想定される。輸出入バランスでは、一部製品で輸出超・輸入

超がみられ、今後も拡大するものと見込まれる。輸入品の内需に占めるシェアは 2018 年で

21%見通し、2023 年では 25%程度と予想される。 ・ HDPE は、2019 年の国内需要は若干の増加と想定される。輸出入バランスは、2016 年以降

輸入超の状況が、2019 年以降も継続していくと予想される。輸入品の内需に占めるシェアは、

2018 年では 23%であったが 2019 年以降も 2018 年と同程度で推移するものと予想される。 ・ PS は、需要は近年増加傾向にあり、2017 年をピークに 2018 年で一時減少し、2020 年以降

は横ばいが続く見込み。乳酸菌飲料向けの需要が好調であること、食品包装用途向けが伸

びていることが要因。しかし、長期的には住宅着工件数の減少を背景とした建材向け用途の

減少や他の素材との競争により、需要は緩やかに減少すると予想される。 ・ EG は 2018 年の EG 需要は、主用途であるポリエステル向けは、これまで続いていたペット樹

脂・繊維メーカーの事業撤退や海外移転が一段落し、また、増加傾向であったペット樹脂の輸

入量が前年並みとなったこともあり、対前年比 1%未満の微増見込み。2019 年の EG 需要は

ポリエステル向け、不凍液向け、その他の用途向けにつき前年並みの需要を見込む。2020 年

以降については、EG 需要全体として 1%未満の微増を見込む。 ・ PVC は、東京五輪需要は 2018 年以降、緩やかに減少する見込み。2023 年まではリニアや

インフラ更新需要に加え、米中貿易摩擦要因から各分野での中国からの国内生産回帰等が

予測される。生産は、ほぼ横ばいで推移する見込み。輸出は、世界で塩ビ工場の新増設計画

があるが、それ以上に需要の伸びが期待され、インド向け輸出を中心に堅調に推移する模様。

今後も同水準の輸出が期待され、タイトな状況が継続すると考えられる。 ・ AN は、工程の合理化等により能力向上あり。国内需要は 2019 年にかけて増加していく見込

みだが、2020 年以降は横ばいが続く見込み。輸出比率は 2018 年に 8.0%(対前年比 2.7%増)、2019 年以降は 4.4%程度で推移していく見込み。生産量は 2018 年 47.7 万トン(対前

年比 4.2 万トン増)見込みで 2019 年以降は 45 万トン前後を維持すると予測される。 ・ 芳香族の生産設備については、新増設の予定はなく、現状の生産能力、稼働率が継続される

予定である。輸出については、BTX ともに 2019 年以降も 2018 年レベル(B:80 万トン、T:70万トン、X:190 万トン)の水準で推移する見込みである。

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国・地域名:中 国(香港を含む) 1. 概況

中国経済は 2015 年以降、中国政府が経済成長の「質」を重視し、消費主導型の経済成長へ

の転換を目指す中で実質 GDP 成長率は前年比 6%台後半で安定して推移している。 2017 年の成長率は 6.9%と 2016 年の同 6.7%から 0.2 ポイント改善し、政府の経済成長目

標率である同 6.5%前後を上回った。その結果、2017 年の名目 GDP の規模は 12.0 兆ドルと日

本の 2.5 倍まで拡大、1 人当たりの GDP は 1 万ドルに接近した。 経済成長の「質」を見ると、名目 GDP に占める最終消費支出の割合は、2010 年の 48.5%か

ら 2017 年は 53.6%まで上昇した。産業別実質 GDP 成長率を見ても第一次産業は前年比

3.9%(2016 年同 3.3%)、第二次産業は同 6.1%(同 6.3%)、第三次産業は同 8.0%(同 7.7%)

と第三次産業は第二次産業を上回る高い成長率が続いている。このように、第三次産業に支え

られた消費主導型へ中国経済の構造転換が緩やかに進む中で石化産業も安定した成長を続け

ている。 2018 年は国内ではデレバレッジ(債務削減)、対外的には米中貿易摩擦の影響を受け

て成長率は 6.6%まで減速した。ただし 2019 年は建国 70 周年の節目でもあり、政府によ

る減税や消費刺激策に加えてインフラ投資の拡大などの大型財政投入も見込まれるため、

減速ペースの大幅な加速は回避されるとみられる。又そうした景気刺激策に関連する石

化の動向にも注視する必要が有る。 2.現状

(1)需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

(2)最近の石化産業の動き

中国の 2017 年エチレン生産量は 2,228 万トン(2016 年 2,168 万トン)、前年比+2.8%と増加

した。生産能力の増加率は+4.8%(2016 年+4.7%)であった。更にエチレンの輸入は 216 万トン、

前年比+30.1%と大幅に増加した。ポリエチレン生産量は 1647 万トン(2016 年 1592 万トン)で

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 2,335 2,228 216 1 2,443 9% 0% ▲ 215 95% SINOPEC、PETROCHINA他

LD 1,063 1,006 564 10 1,560 36% 1% ▲ 554 95% SINOPEC、PETROCHINA他

HD 696 641 639 15 1,265 51% 2% ▲ 624 92% SINOPEC、PETROCHINA他

SM 827 665 324 5 984 33% 1% ▲ 319 81% SINOPEC、PETROCHINA他

EG 809 628 874 1 1,501 58% 0% ▲ 873 78% SINOPEC、PETROCHINA他

PVC 2,206 1,731 91 97 1,725 5% 6% 6 78% SHANGHAI CHLORO-ALKALI他

その他 141 120 0 0 120 0% 0% 0 85%

計AS C2 2,846 2,441 1,934 76 4,299 45% 3% ▲ 1,858 86% SINOPEC、PETROCHINA他

プロピ 3,099 2,638 310 0 2,948 11% 0% ▲ 310 85% SINOPEC、PETROCHINA他

PP 2,512 2,182 475 35 2,622 18% 2% ▲ 440 87% SINOPEC、PETROCHINA他

AN 190 184 27 1 210 13% 1% ▲ 26 97% SINOPEC、PETROCHINA他

その他 625 500 0 500 0% 0% 0 80% SINOPEC、PETROCHINA他

計AS C3 3,420 2,948 519 37 3,430 15% 1% ▲ 482 86%

ベンゼン 1,675 1,097 252 3 1,346 19% 0% ▲ 249 65% SINOPEC、PETROCHINA他

トルエン 1,643 640 51 0 691 7% 0% ▲ 51 39% SINOPEC、PETROCHINA他

キシレン 2,512 1,075 48 1 1,122 4% 0% ▲ 47 43% SINOPEC、PETROCHINA他

PX 1,174 937 1,444 4 2,377 61% 0% ▲ 1,440 80% SINOPEC、PETROCHINA他

PTA 4,019 3,569 54 53 3,570 2% 1% ▲ 1 89% SINOPEC、PETROCHINA他

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前年比 3.5%増加した。樹脂別には HDPE が 641 万トン(2016 年 634 万トン)、前年比 1.1%増、LDPE(LLDPE 含む)が 1006 万トン(2016 年 958 万トン)と前年比 5.0%増加した。 PP の生産量は 2182 万トン(2016 年 2016 万トン)と前年比 8.2%増加、PVC は 1731 万 トン(2016 年 1703 万トン)と前年比 1.6%増加した。

ポリエチレンの輸入量は 1,203 万トン、前年比+15.9%と大幅に増加した。樹脂別輸入量は HDPE が 639 万トン、前年比+16.2%、LDPE(LLDPE 含む)は 564 万トン、同 15.6%といずれも

大幅な増加となった。一方 PP の輸入は 475 万トン、同 0.4%増とほぼ横這いであった。 米中の貿易戦争で昨年 8 月より米国産の HDPE、LLDPE に 25%の追加関税が課せられた。 夏以降の米国からの輸入減は主に中東・インド品がカバーしている。

又、PVC の輸入は 91 万トン、同▲2.2%と僅かながら減少した。PVC は 2020 年までにカー

バイド法を中心に大幅な拡張が予定されており、内需の伸びを越える生産により年々輸出量が

増加すると考えられる。 既に内製化が完了している PTA は輸入量 54 万トン、同 8.3%増、輸出 53 万トン、同 24.3%

減とほぼバランスしている。2012 年に比べると輸入量は約十分の一の水準まで減少した。 生産量 3,569 万トンと前年比+10.3%の増加であった。一方、不足している原料 PX の輸入量は

1,444 万トンと同じく前年比+16.8%と増勢が続いている。 このように PTA 同様ここ数年に国内の設備が急激に進行したカプロラクタム等も輸入の減少

が著しくなっている。一方、パラキシレン同様ベンゼンも構造的な問題のため輸入の拡大が続い

ており、2017 年の輸入は 252 万トン、前年比 60.9%増と年々拡大している。

又 2018 年より廃プラスチックの輸入を禁止した結果、PET 樹脂で約 4 百万トン、ポリオレフィ

ン・塩ビで約 2 百万トンの Virgin 樹脂の需要が増えたと言われている。PET 樹脂の場合、パラ

キシレン換算で 2 百万トン強の需要増となった。 中国では CTO(Coal to olefin)及び MTO(Methanol to olefin)と言った石炭及びメタノールを

原料としたオレフィン製造設備が引き続き拡大している。CTO は石炭の産地に近いところで建設

される一方、MTO はメタノールを購入する為比較的沿岸部に多い。生産物はエチレン、プロピレ

ンのみであり、誘導品は PP 及び PE に集中している 計画が始まった頃に比べ原油は下がったが石炭を原料とする CTO は現在も経済性は十分あ

り今後も増設計画が続いている。一方 MTO についてはメタノールの価格が原油に対し相対的に

高くなった為、建設中の案件を除き新規の計画は出て来ていない。

またこれとは別に石炭からオレフィンを経由せずシュウ酸(DMO)から MEG を生産するプロセ

スがあり MEG の能力の約 25%を占めている。今後の増設計画の大部分がこの CTMEG であり

将来的にこの比率は 5 割近くになると予想される。

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3.将来見通し (1)需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 6.2%)

(2)新増設計画について

第 13 次 5 ヵ年計画(135 計画)では次期統合型エチレンコンビナートとして 2020 年以降を

目途に湾岸地区、北は大連から南は恵州まで7つの地域に集約、原料の多様化、環境問題、

エネルギー循環型も含めた、新規エチレンプラントの構想が打ち出されている。これらはそれ

ぞれ大型石油精製との一体化になったものである。 これら地域には、大連、古雷のような新たな石油化学基地と、上海、寧波、恵州等の既存

基地の拡充等も含まれている。また、これら基地には既存 100 以上の化学品工業団地を集約

することにより、生産効率を上げ、コスト削減を計ることも含まれている。

中国の場合ユーザーが自ら原料を調達するために石化分野に進出するケースが多く、ここ

数年の PTA 新増設はその多くは繊維メーカーが自ら石化に進出したものである。 その原料であるパラキシレンについては国内又は輸入に依存する構図が出来上がってい

たが、更に今後はこれらの繊維メーカーがパラキシレンの自己調達の為リファイナリーに進出

する計画が目白押しで、従来大型石化は国営企業乃至は外資系企業の主導であったのに

対し民間企業がドライビングフォースになると言う点で新たな転機を迎えようとしている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 4,113 3,380 150 0 3,530 4% 0% ▲ 150 82% SINOPEC、PETROCHINA他

LD 1,443 1,300 787 0 2,087 38% 0% ▲ 787 90% SINOPEC、PETROCHINA他

HD 1,194 1,022 658 0 1,680 39% 0% ▲ 658 86% SINOPEC、PETROCHINA他

SM 1,580 1,055 125 0 1,180 11% 0% ▲ 125 67% SINOPEC、PETROCHINA他

EG 1,931 1,383 788 0 2,171 36% 0% ▲ 788 72% SINOPEC、PETROCHINA他

PVC 2,757 2,519 80 214 2,385 3% 9% 134 91% SHANGHAI CHLORO-ALKALI他

その他 176 150 0 0 150 0% 0% 0 85%

計AS C2 4,713 3,531 2,052 107 5,475 37% 3% ▲ 1,945 75% SINOPEC、PETROCHINA他

プロピ 4,998 4,039 273 0 4,312 6% 0% ▲ 273 81% SINOPEC、PETROCHINA他

PP 3,826 3,337 210 0 3,547 6% 0% ▲ 210 87% SINOPEC、PETROCHINA他

AN 360 253 18 0 271 7% 0% ▲ 18 70% SINOPEC、PETROCHINA他

その他 750 600 0 0 600 0% 0% 0 80% SINOPEC、PETROCHINA他

計AS C3 5,082 4,312 236 0 4,548 5% 0% ▲ 236 85%

ベンゼン 2,541 1,657 354 0 2,011 18% 0% ▲ 354 65% SINOPEC、PETROCHINA他

トルエン 2,605 970 101 0 1,071 9% 0% ▲ 101 37% SINOPEC、PETROCHINA他

キシレン 4,670 1,980 130 0 2,110 6% 0% ▲ 130 42% SINOPEC、PETROCHINA他

PX 3,308 1,867 1,433 0 3,300 43% 0% ▲ 1,433 56% SINOPEC、PETROCHINA他

PTA 6,391 5,031 0 100 4,931 0% 2% 100 79% SINOPEC、PETROCHINA他

基地 主要企業 系列 原油処理能力 誘導品能力 時期

大連市・長興島 恒力石化 江蘇恒力 2000万トン/年 C2 150万トン、EG 90万トン、SM 72万トン、PE 40万トン PP 40万トン、

PX 450万トン2019

河北省・曹妃甸 旭陽石化 SINOPEC 1200万トン/年 PX 100万トン、MTBE 10万トン、 2020

江蘇省・連雲港 盛虹石化 盛虹煉化 1600万トン/年 C2 100万トン、C3 50万トン、EG 60万トン、SM 60万トン、PX 200万トン 2023

上海省・漕涇 高橋石化 SINOPEC 700万トン/年(増設) 未定 未定

浙江省・舟山 浙江石化 浙江栄盛 2000万トン/年 C2 140万トン、EG 75万トン、SM 120万トン、LL 50万トン、PP 90万トン、

PX 400万トン (2021年に同規模の2期計画あり)2019

福建省・古雷 古雷石化 SINOPEC/台湾G 1600万トン/年 C2 80万トン、MTO 60万トン(C2/C3 各30万トン)、EG 50万トン、SM 60万トン、PP 30万トン、PO 30万トン

2020

広東省・恵州 中海油恵州 CNOOC 1000万トン/年(増設)C2 120万トン、C3 64万トン、PE 60万トン、EG 48万トン、SM 63万トン、

オキソアルコール 20万トン、フェノール 22万トン2018

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また、2019 年には江蘇省で中国初のエタンクラッカーがスタートする。これは米国産の

シェール系のガスを輸入し原料とするものである。 今後も同様のプロジェクトが同省・連雲港にて計画されている。

プロパン脱水素によるプロピレンの計画(PDH)も積極的に進められている。原油価格の値

下がりとシェールガスを含む天然ガスの開発が進む中、LPG の需給も緩み、市況も弱含み推

移が予想され、中国国内の製品市況は原料の値下がりに比べ小幅に留まっていることから、

PDH の採算性に問題がないという判断で、急速にプロジェクトが進行している。

石炭化学も 135 計画で推進項目の一つではあるが、環境問題(特に大気、水)に十分配慮

することが義務付けされている。その為、投資額が多大となり中小企業の小規模設備は実質

的に不可能であり、場所も限定されている。具体的には寧東エネルギー化工基地を初め、内

モンゴル自治区、陜西省、新彊ウィグル自治区等、4 大重点石炭化学基地が指定・推進され

ている。

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環境規制は政府主導で地域別に査察が行われている。 生産停止等の措置が取られるのは地方工業区の古い中小企業が多く、大手の石化事業

者ではあまり例がないが、中央政府が環境規制を緩める気配はない。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

需給予測にあたっては政府系発表資料では石炭系の数量が加味されない為 ICIS 社発行

の数値等を参照した。石炭からの EG プラントの増加はエチレン消費対象にならないため、推

定生産量見合いのエチレン相当量をエチレンの消費量から差し引いた結果を示した。PVC に

ついては約 80%がアセチレン系でエチレンは消費しないという前提にしている。

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国・地域名:韓 国

概況 2017 年の実質 GDP 成長率は 3.1%で、3 年ぶりに 3%台を回復した。過去 5 年間は何れも

3%前後で推移しており、平均すると丁度 3.0%になる。 輸出全体の 24.6%を占める電子部品が前年比 40.4%増と牽引し、輸出額は 5,737 億ドルと 3

年ぶりに増加に転じるとともに、過去最高を記録した。中国への輸出(香港含む)が輸出全体に占

める割合は 31.6%あり、輸出における中国への依存度が高い。 輸入額は 4,785 億ドルで前年比 17.8%増加した。中でも、原油をはじめとした鉱物性燃料が

35.2%増、半導体製造装置を主とする精密機械 93.6%増と急増した。 原油価格の上昇や生産拡大を背景に、化学工業製品の輸出は 717 億ドル(19.3%増)、うち

石油化学製品は 447 億ドル(23.6%増)であった。化学工業製品の輸入額も 501 億ドル(11.6%

増)で輸出・輸入ともに好調であった。

現状

需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2017 年の石化産業は前年対比で全体的に生産増加傾向となり、輸出、内需とも回復した。 【エチレン】

生産は 879 万トン(約 3%増)と、3 年連続の増加となり、内需は 808 万トンで初めて 800 万ト

ンを超えた。輸出も約 8%増加した。 【プロピレン】

エチレン同様に好調で、生産は 832 万トン(約 4%増)、内需は 680 万トン(約 3%増)、輸出も

172 万トン(約 2%増)と何れも増加した。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 887 879 11 82 808 1% 9% 71 99% ロッテケミカル、ハンファトタル、LG化学

LD 288 295 20 173 142 14% 59% 153 103% ハンファ石化、LG化学、ハンファトタル

HD 239 208 8 113 103 8% 54% 105 87% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

SM 331 301 79 126 254 31% 42% 47 91% ハンファトタル、ロッテSM、LG化学

EG 161 124 25 45 104 24% 36% 20 78% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

PVC 157 160 14 55 119 12% 34% 41 102% LG化学、ハンファ石化

その他 60 50 50 0% 0% 0 83%

計AS C2 870 805 74 381 499 15% 47% 306 93%

プロピレン 841 832 20 172 680 3% 21% 152 99% ロッテケミカル、LG化学、エスオイル

PP 449 430 4 279 155 3% 65% 275 96% ロッテケミカル、ハンファトタル、ポリミレイ

AN 85 78 15 27 66 23% 35% 12 91% 東西石化、泰光産業

その他 150 140 140 0% 0% 0 93%

計AS C3 705 668 20 317 371 6% 47% 296 95%

ベンゼン 649 649 3 263 389 1% 41% 260 100% ハンファトタル、SKグローバル、GSカルテックス

トルエン 281 159 77 36 200 38% 23% ▲ 41 57% SKグローバル、GSカルテックス、エスオイル

キシレン 516 395 179 130 444 40% 33% ▲ 49 77% SKグローバル、GSカルテックス、現代ケミカル

PX 1,019 1,057 3 732 328 1% 69% 729 104% ハンファトタル、GSカルテックス、エスオイル

PTA 558 487 0 194 293 0% 40% 194 87% ハンファ総合化学、三南石化、泰光産業

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【合成樹脂:LDPE(LLDPE)/HDPE/PP/PVC】 HDPE の生産はやや減少(▲2.2%)したが、他 3 樹脂は概ね好調で増加した。輸出・内需は樹

脂別に見ると昨年比減少したものもあるが、4 樹脂合計では輸出が約 8%の増加、内需も 3%の

増加と好調であった。 【合繊原料】

EG/AN/PTA の生産は何れも増加し、3 製品全体で約 8%の増加、輸出は EG がやや減少した

が全体では約 6%増加、内需は何れも増加し、全体では約 8%の増加であった。中でも低迷して

いた PTA が生産(約 9%増)、輸出(9%増)、内需(9%増)と回復基調に転じた。 【BTX ほか】

ベンゼンは内需が約 5%減少したものの、輸出が約 25%増加した結果、生産は 649 万ト ンで約 7%の増加を見た。キシレンの生産は 395 万トン(約 29%増)へ増加、前年に続き、

内需も PX 向けを中心として大幅に増加し 444 万トン(約 14%増)であった。 PX の生産は 1,057 万トン(約 11%増)で 1,000 万トンを突破した。中国向けを中心と

して輸出は 732 万トン(約 14%増)と大幅に増加、内需も PTA の回復基調の中、約 6%増の 328 万トンであった。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.5%)

主な新増設計画と検討状況

①2018 年から 2023 年にかけてのエチレン、プロピレンの新増設が相次いで発表された。 ②石油精製 3 社(エスオイル、GS カルテックス、現代オイルバンク)の石化事業への新規参入が

本格化する。ナフサ依存度が高いと言える韓国にあって、これら石油精製企業は重質油の処

理利用など、リファイナリーとしての優位性を狙ったものといえるであろう。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 1,357 1,240 5 155 1,090 0% 13% 150 91% ロッテケミカル、ハンファトタル、LG化学

LD 448 400 10 240 170 6% 60% 230 89% ハンファ石化、LG化学、ハンファトタル

HD 444 360 5 249 116 4% 69% 244 81% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

SM 331 307 79 121 265 30% 39% 42 93% ハンファトタル、ロッテSM、LG化学

EG 161 125 25 45 105 24% 36% 20 78% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

PVC 157 160 10 50 120 8% 31% 40 102% LG化学、ハンファ石化

その他 100 90 20 70 0% 22% 20 90%

計AS C2 1,280 1,108 59 584 583 10% 53% 525 87%

プロピ 1,140 1,070 5 145 930 1% 14% 140 94% ロッテケミカル、LG化学、エスオイル

PP 659 600 3 433 170 2% 72% 430 91% ロッテケミカル、ハンファトタル、ポリミレイ

AN 90 80 10 24 66 15% 30% 14 89% 東西石化、泰光産業

その他 228 215 215 0% 0% 0 94%

計AS C3 1,005 920 14 472 462 3% 51% 458 92%

ベンゼン 653 640 3 243 400 1% 38% 240 98% ハンファトタル、SKグローバル、GSカルテックス

トルエン 281 170 60 50 180 33% 29% ▲ 10 61% SKグローバル、GSカルテックス、エスオイル

キシレン 516 400 180 160 420 43% 40% ▲ 20 78% SKグローバル、GSカルテックス、現代ケミカル

PX 1,019 1,000 0 700 300 0% 70% 700 98% ハンファトタル、GSカルテックス、エスオイル

PTA 558 450 0 170 280 0% 38% 170 81% ハンファ総合化学、三南石化、泰光産業

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需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

【オレフィン】 エチレンは 2018 年~2023 年の期間で約 470 万トンの新規計画があり、すべて計画通りに実

現すれば 2023 年には現有能力(2017 年)の約 1.5 倍に達する。新増設計画のうち、石油精製

企業の新規参入による部分が過半数の 56.4%を占め、これは全体能力の 19.5%に相当する。 プロピレンも同期間における 299 万トンの新増設計画のうち、石油精製企業の新規参入分が

64.9%、全体能力の 17%を占める。 ダウンストリームについては、エチレンはほぼポリエチレンに、プロピレンは一部が PO やアクリ

ル酸の増設分に回される以外は、ほぼポリプロピレン用途と思われる。 【ポリオレフィン】

2018 年~2023 年の拡張計画後の能力は以下のように推測される。

韓国のオレフィンとポリオレフィン増設計画(2018年~2023年)     (単位:千トン)

現有能力 計画 時期 計画 時期 計画 時期 現有能力 計画 時期 計画 時期SKグローバル(Ulsan) 870 500 SKエナジー(Ulsan) 550SKアドバンスト (Ulsan) 600SKアドバンスト/ポリミレイ合弁(Ulsan) 400 2021LG化学(Yeosu) 1,150 840 2021 LLDPE 600 2021 200 2021 770 465 2021LG化学(Daesan) 1,000 260 2019 LLDPE 200 2018 620 115 2019大韓油化(温山) 800   510麗川NCC(YNCC)(Yeosu) 1,910 335 2020 1,140 170 2020ハンファ・トタル(Daesan) 1,090 310 2019 400 2019 870 200 2019 400 2020ハンファ・トタル(Daesan) 100 2020ロッテケミカル(Yeosu) 1,000 200 2018 600 100 2018ロッテケミカル(Daesan) 1,050 520暁星 (Hyosung)(Ulsan) 500泰光産業(Ulsan) 250

※ 石油精製企業による計画エスオイル (温山) 200 2018   200 700 2018 405 2018エスオイル (温山) 1,000 2023 500 2023 500 2023 500 2023 500 2023GSカルテックス(Yeosu) 700 2022 500 2022 480 350 2022現代オイルバンク 300現代ケミカル(Daesan):現代オイルとロッテケミカルの合弁 750 2021 LD+EVA 300 2021 450 2021 390 2021 400 2021

計 8,870 4,695 1,600 1,850 8,410 2,990 2,105※ エスオイルの第二期計画(2023年エチレン1,000、プロピレン500)の川下計画は現状未発表だが、ほぼポリオレフィンで  あると推測し、PEは便宜上LDPEとHDPE夫々に仮数量を置いた。

LDPE/LLDPE(EVA) HDPE PPエチレン プロピレン

韓国のポリオレフィン拡張計画              (単位:千トン)

LDPE/LLDPE(EVA) 2,878 1,600 4,478 156%HDPE 2,385 2,050 4,435 186%PP 4,487 2,105 6,592 147%*ポリエチレンとのみ発表されている計画についてはLDPE/LLDPEとHDPE各50%ずつとした。

現有能力(2017年)

拡張計画(2018年~23年)

予想能力(2023年)

2017年対比

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拡張に伴う増産分は中国を主なターゲットとしてほぼ輸出へ回されると思われ、輸出依存に拍

車が掛かることになる。市場においてはポリオレフィンの需給緩和に繋がる可能性もありうる。 【合繊原料】

過去5年の合成繊維(ポリエステル・アクリル・ナイロン)生産は、ポリエステル短繊維以外は横

ばい乃至弱含みで推移しており、原料の内需には今後も大幅な増加は望めそうにない。 PTA の輸出環境改善の兆しがあるものの、ロッテケミカルの 65 万トン設備が 2019 年に PIA 併

産設備に転換されるに伴い、PTA の生産、輸出ともに減少に向うものと思われる。 EG は輸出のほぼすべてが中国向けであり、同国での輸入依存度が高いゆえ、堅調に推移す

ると思われる。

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国・地域名:台 湾

概況 2017 年の実質 GDP 成長率は 2.9%となり、前年度の 1.4%から大きく持ち直した。台湾は

GDP における輸出比率が 6 割以上と極めて高いが、2017 年の輸出額は 3,172 億ドル(13.27%

増)、輸入は 2,593 億ドル(12.4%増)と何れも前年比二桁の伸びとなり、貿易収支も過去最高と

なった。 輸出全体のうち、中国向け(香港含む)が 41.0%を占めており、前年比 16.0%増となった。現

政権は中国への過度な依存からの脱却を図るべく、「新南向政策」を推進しているが、2017 年は

貿易における中国への依存度は、寧ろ高まったと言える。 化学品(化学工業品、プラスチック、ゴム)の輸出は 424 億ドル(14.2%増)で、輸出全体に占め

る割合は 13.3%であった。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

台湾のオレフィン製造は台湾中油・台湾石化の 2 社のみであるが、2017 年は 2 社ともに一部

設備の定修のためオレフィンの生産量は前年比減少した。一方、内需は好調で、不足分は輸入

で補われた形となった。 【エチレン】

生産は 401 万トンと前年比で約 4%減少し、2 年連続の減少となったが、プラントはフル稼働状

態。内需は 427 万トンと過去最高を記録した前年(425 万トン)から更に微増した。不足分は輸入

(46 万トン 前年比約 50%増)で補われた。 【プロピレン】

生産は 331 万トンと前年比で約 3%減少したが、内需は約 4%増加の 298 万トンであった。主

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 401 401 46 20 427 11% 5% ▲ 26 100% 台湾中油、台塑石化

LD 88 69 33 53 49 68% 77% 20 78% 台湾プラスチック、USI

HD 67 58 8 35 31 26% 60% 27 87% 台湾プラスチック、USI

SM 203 182 33 24 191 17% 13% ▲ 9 90% 台湾化学繊維、国喬石化

EG 260 237 13 149 101 13% 63% 136 91% 南亜プラスチック、中国人造繊維

PVC 183 168 3 124 47 6% 74% 121 92% 台湾プラスチック、華夏プラスチック

その他 40 15 3 12 0% 20% 3 38%

計AS C2 517 436 60 256 241 25% 59% 195 84%

プロピ 360 331 29 62 298 10% 19% 33 92% 台湾中油、台塑石化

PP 140 134 16 92 58 28% 69% 76 96% 台湾化学繊維、台湾プラスチック

AN 52 48 9 16 41 22% 33% 7 93% 台湾プラスチック、中国石化

その他 122 113 113 0% 0% 0 92%

計AS C3 323 303 26 112 217 12% 37% 86 94%

ベンゼン 198 168 72 13 227 32% 8% ▲ 59 85% 台湾中油、台湾化学繊維

トルエン 35 33 16 30 19 82% 90% 14 97% 台湾中油、台湾化学繊維

キシレン 276 203 142 167 178 80% 82% 25 74% 台湾中油、台湾化学繊維

PX 172 179 134 163 150 89% 91% 29 104% 台湾化学繊維

PTA 440 267 7 24 250 3% 9% 17 61% 台湾化学繊維、亜東石化

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力の PP および AN とも前年比で生産量が増加したため、不足分は輸出減(62 万トン約 16%減)、

輸入増(29 万トン約 61%増)で補われた。 【合成樹脂:LDPE(LLDPE)/HDPE/PP/PVC】

HDPE の生産はやや減少したが、他 3 樹脂は概ね好調で増加した。一方で内需は振るわず、 HDPE(約 5%減)、PP(約 7.9%減)、PVC(約 9.6%減)は何れも減少した。

いずれの樹脂も輸出依存度が非常に高い構造に変わりなく、LDPE(LLDPE)が 77%、 HDPE60%、PP69%、PVC74%と、輸出比率は前年よりも更に上昇した。

【合繊原料】 PTA は亜東化学が 2017 年第 4 四半期に年産 150 万トン設備を完工したが、全体の生産量

に大きく影響するのは 2018 年からと見られ、生産は 267 万トンと前年比で約 2%の増加に止まっ

た。 【BTX】

台湾化学繊維の一部設備定修に因り、ベンゼンの生産は約 1%減少したが、トルエンは 約 17.8%、キシレンは約 4.6%増加した。キシレンの内需は PTA の需要改善に伴い、今後

回復に向うものと見る。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.0%)

主な新増設計画と検討状況

石化事業においては現在のところ、具体化した新増設計画はない。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

厳しい環境規制のために増設計画は凍結或いは断念されており、環境、条件や政権方針に余

程の変化が無い限り、石化製品の新増設は考え難い状況にあると言える。2015 年には環境問題

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を指摘されていた台湾中油の高雄製油所が閉鎖に追い込まれたが、2018 年 1 月末には桃園製

油所で発生した爆発火災事故により、製油所の移転を迫られているなど、石化産業に対し官民に

よる逆風が強い。 石化製品の内需については、今後飛躍的な成長が期待出来るとは考えにくい。特に合成樹脂

においては、2030 年までにレジ袋、使い捨て食器、飲料カップ、ストローを全面的に使用禁止す

べくアクションプランが発表されており、今後の内需に与える影響を見守る必要がある。 【オレフィン、合成樹脂】

オレフィン製造 2 社の生産はほぼフル稼働状態であり、誘導品の稼働率上昇に伴う不足分は

輸入で補わざるをえない構造となっている。 主用途であるポリオレフィン、および PVC は輸出が内需を大きく上回っており、中でも中国向け

の比重が高く、対中国輸出動向が大きく影響する構造となっている。PVC はアジア域内での大型

増設計画が見当たらない中、今後も堅調に推移すると思われるが、ポリオレフィンは中東勢、韓国、

タイ、シンガポールに加え、米国、インドとの競争にも晒されることになる。 【BTX】

ベンゼンは輸入超状態が続いており、この構造は今後も大きな変化はないと思われる。PX は

中国向けを中心とした輸出は堅調に推移し、PTA の増設に伴う内需回復も見込まれる。 【合繊原料】

PTA は亜東石化が年産 150 万トン設備を 2017 年第 4 四半期に完工したことにより、2018 年

以降の生産・輸出の増加が見込まれる。

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- 48 -

国・地域名:タ イ

概況 2019 年は、3 月に行われた新憲法での最初の総選挙、6 月開催のアセアン議長国として動向

が注目されている。 暫定軍政の首相であるプラユット氏を支持する新軍政党「国民国家の力党」は、ライバルである

タクシン派中核政党の「タイ貢献党」に世論調査の支持率で劣っているが、民政移管後も軍の影

響力を行使できるような国会の仕組みがなされており、6 月にプラユット氏が新首相に選出され、

これまでの政策が継続されるとの見方が強い。 一方、政治混乱で低調であったタイ経済は近年持ち直している。16 年に 3.2%、17 年 3.9%、

18 年には 4.3%の経済成長率と、堅調な世界経済を取り込んだ輸出が主導しつつ、政府部門や

民間部門の投資の増加もあって緩やかな回復を続けている。暫定軍事政権は健全財政を基本路

線とし、経常黒字も拡大し外貨準備も高水準を保っている。 今後は米中貿易戦争の激化を受けた中国向け輸出の減速が懸念されているが、米国向け輸

出で中国の代替となることや、中国からタイへの生産拠点変更も期待されており、大幅減速が回

避されるとの見方もあり、2019 年の成長率は 3.9%と予想されている。 最近の経済環境や投資環境が良好ゆえに、日本企業からの投資先としての人気は依然として

高いが、引き続き労働者の質・コストが課題となっている。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

(注:AN はプロパン法のためその分のプロピレンバランスが合わない)

石化産業の最近の動き

①新たな事業戦略 近年の中国政府の環境規制強化で同国製品の競争力が落ち、東南アジアでは近年、製鉄所

や化学品工場の稼働率が高まっており、タイも例外ではない。これにより石化製品のマージンが

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 461 425 3 13 415 1% 3% 10 92% PTT, ROC, MOC

LD 217 150 23 61 111 20% 41% 39 69% IRPC, PTT, TPE, SIAM

HD 191 182 15 117 81 19% 64% 101 95% IRPC, PTT, TPE, BPE

SM 58 48 9 3 54 16% 7% ▲ 6 83% IRPC, SIAM SM

EG 42 39 14 3 51 29% 8% ▲ 11 94% TOC

PVC 85 79 11 46 43 25% 59% 35 93% TPC, VINYTHAI

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 498 415 56 207 264 21% 50% 151 83%

プロピ 296 257 1 23 235 1% 9% 22 87% IRPC, PTT, ROC, MOC, HMC

PP 203 180 16 48 148 11% 27% 32 89% TPP,IRPC,HMC

AN 20 19 1 4 16 9% 24% 3 94% PTT Asahi

その他 55 50 0 5 45 0% 9% 5 90% PTT PH, SCG/DOW

計AS C3 285 255 18 55 219 8% 21% 36 89%

ベンゼン 141 135 1 49 88 1% 36% 47 96% PTT, IRPC, ROC, MOC

トルエン 114 106 0 24 82 0% 23% 24 93% PTT, IRPC, ROC

キシレン 281 221 0 0 221 0% 0% 0 79% PTT, IRPC, ROC

PX 237 184 12 46 151 8% 25% 33 78% PTT, TPX, Exxon

PTA 266 225 0 96 129 0% 43% 96 85% TPT, SMPC, Indorama

Page 20: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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比較的良好に推移しており、ここ数年の石化企業の業績を支えている。 現地化学大手2社、PTTGC と SCG ケミカルズでは周辺国との差別化を企図している。各種誘

導品の幅広い展開を支えるため、川上では原料エチレン、プロピレンの供給基盤の強化を計画・

検討。川下では PO・ポリオール事業に乗り出し PO、PPG、および PPG プレミックス設備を着工

(20 年稼働予定)したほか、芳香族を活用した誘導品や界面活性剤の合弁事業を検討する等、

日系企業や欧米企業との合弁も積極的に検討している。

②新規プラントの稼働状況 2017 年 PP(30 万トン)新設(IRPC)…JPP 技術

エチレン(10 万トン)、プロピレン(5 万トン)増強(ROC) 2018 年 LLDPE(40 万トン)

将来見通し

需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 3~4%)

主な新増設計画と検討状況

2019 年 ヘキセン-1(3.4 万トン)新設(PTT) 2020 年 エチレン(50 万トン)増設(PTTGC) 2021 年 プロピレン(25 万トン)増設(PTTGC) 2022 年 エチレン(21 万トン)増設(MOC)

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

成長は鈍化したとはいえ、自動車産業を筆頭とした国内産業の拡大は続いており、引き続き石

化製品の海外需要を取り込み続けることができれば安定した稼働を維持でき、タイ石化産業は安

定して成長していくものと思われる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 532 452 4 9 447 1% 2% 5 85% PTT, ROC, MOC

LD 257 180 20 61 139 14% 34% 41 70% IRPC, PTT, TPE, SIAM

HD 191 182 15 96 101 15% 53% 81 95% IRPC, PTT, TPE, BPE

SM 58 48 5 0 53 10% 0% ▲ 5 83% IRPC, SIAM SM

EG 42 41 20 0 61 33% 0% ▲ 20 98% TOC

PVC 85 81 5 37 49 10% 46% 32 96% TPC, VINYTHAI

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 538 447 53 178 322 16% 40% 125 83%

プロピ 316 312 1 30 282 0% 10% 30 99% IRPC, PTT, ROC, MOC, HMC

PP 225 214 0 48 166 0% 22% 47 95% TPP,IRPC,HMC

AN 20 19 4 5 18 25% 27% 1 94% PTT Asahi

その他 69 62 0 6 56 0% 9% 6 90% PTT PH, SCG/DOW

計AS C3 323 303 5 54 253 2% 18% 49 94%

ベンゼン 141 141 0 42 99 0% 30% 42 100% PTT, IRPC, ROC, MOC

トルエン 114 106 0 14 92 0% 13% 14 93% PTT, IRPC, ROC

キシレン 281 246 0 0 246 0% 0% 0 88% PTT, IRPC, ROC

PX 237 205 0 62 143 0% 30% 62 86% PTT, TPX, Exxon

PTA 266 213 0 56 157 0% 26% 56 80% TPT, SMPC, Indorama

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- 50 -

国・地域名:マレーシア

概況 2018 年のマレーシアは政局が大きく動いた。前政権が4月に解散、5月に総選挙を行った結果、

大方の予想に反して野党連合が過半数を獲得。初の政権交代となり、元首相のマハティール氏

が新首相となった。新政権は発足直後から公約を実行に移し、GST に代わり SST を導入した実

質減税や、燃料補助金復活、大型インフラプロジェクト見直し等、積極的な運営を行っている。今

後はかねてからの課題であった経済構造改革を進められるかが焦点となるが、政権交代を期に

発覚した前政権の隠し債務により、国家財政の再建が最優先となるなかで、難しい舵取りになる

と予想されている。 経済成長率は好調であった 17 年の 5.9%から、IT 関連輸出の一服等により 18 年は 4.7%とな

り、今後は公共投資や民間消費の減少により穏やかに減速していくと見込まれ、19 年は 4.6%と

予想されている。 他の ASEAN 諸国と同様に、マレーシアでも経済を主導している輸出に対する米中貿易戦争の

影響が懸念されているが、米国への代替輸出国としての存在感が示せるかが鍵となる。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

国営企業であるペトロナスケミカルズグループとサウジアラムコが出資する大型石油化学計画

(RAPID:Refinery and Petrochemical Integrated Development)が今年稼働を迎える。11 年

に計画が発表されて以降、参画メンバーが何度も入れ替わったが、2019 年 1 月に製油所が試

運転を開始。ついでナフサクラッカーと残油流動接触分解装置(RFCC)の商業運転を経て、年

内にはポリエチレン、ポリプロピレンの生産開始が見込まれている。

Page 22: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 4~5%)

主な新増設計画と検討状況

2018 年 クラッカー(C2:9 万トン、C3:16 万トン)増強 (ロッテケミカル) ※接触分解

ペトロナスの RAPID の詳細は以下のとおり。 ・製油所 :

常圧蒸留(CDU)、重油脱硫装置(ARDS)、水素回収(HCDU)、ソーダ中和(CNU)、 残渣油接触分解装置(RFCC)、LPG 処理(LTU)、プロピレン回収(PRU)、 灯油脱硫(KHT)、軽油脱硫(DHT)、ナフサ脱硫(NHT)、分解ナフサ脱硫(CNHT)、 連続触媒再生改質(CCR)、アミン回収(ARU)、硫黄回収(SRU)

・石油化学 : エチレン製造装置、分解ガソリン製造装置、ベンゼン抽出設備、 MTBE(メチル tert-ブチルエーテル:methyl tert-butyl ether)抽出設備、 ブタジエン抽出設備、エチレングリコール(年産 75 万トン)、 HDPE/LLDPE スイングプラント(年産 35 万トン)、PP(年産 90 万トン)

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

2019 年の RAPID の製油所、石化プラント稼働により、以降は大幅な輸出過多になる見込み

のため、輸出先の確保が求められる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 312 272 0 30 242 0% 11% 30 87% Lotte Chem., Petronas

LD 94 84 20 17 88 23% 20% ▲ 3 89% Lotte Chem., Petronas

HD 88 76 26 20 83 32% 26% ▲ 6 87% Lotte Chem., Petronas

SM 24 22 15 1 37 41% 4% ▲ 14 93% Idemitsu SM Malaysia

EG 112 107 1 83 25 4% 78% 82 96% Petoronas

PVC 13 7 26 0 34 78% 0% ▲ 26 57% IRM, MECI, Kaneka

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 271 242 65 92 215 30% 38% 27 90%

プロピ 225 214 1 24 191 1% 11% 23 95% Petoronas, Lotte Chem., Shell

PP 157 149 0 82 67 0% 55% 82 95% Lotte Chem., Petronas

AN 0 0 13 0 13 100% - ▲ 13 -

その他 42 38 2 0 40 5% 0% ▲ 2 90% Petronas, BASF Petronas

計AS C3 204 191 14 84 120 12% 44% 71 94%

ベンゼン 64 55 15 52 18 83% 95% 37 87% Lotte Chem., Petronas

トルエン 11 11 3 5 8 36% 49% 2 100% Lotte Chem.

キシレン 4 4 5 0 9 59% 0% ▲ 5 93% Lotte Chem.

PX 50 49 19 33 35 55% 67% 14 98% Petronas

PTA 60 53 0 3 50 0% 5% 3 88% Reliance

Page 23: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:インド

概況 インド経済の 2018 年 10~12 月期の GDP 成長率は 2 四半期連続で減速し 6.6%となった。

政府支出及び農業が原則に大きく影響している。一方でサービス、企業の投資意欲は良好

で、2018 年度(2018 年 4 月~2019 年 3 月)については、6%台後半~7%台前半となる見

込み。 2019 年以降は中国等の景気減速懸念はあるものの、引き続き中間層の拡大による消費活

動や設備、インフラ投資に支えられ堅調に推移していくと見込まれる 現状

需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2018 年の石油化学製品の総需要量は約 4,400~4,500 万トンとなり、前年比 8~9%の成長

が見込まれる。 2011 年度から年平均 7%前後のスピードで総需要量は成長しており、旺盛な需要に対応する

べく設備投資が引き続き行われていく見込み。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 556 475 5 0 480 1% 0% ▲ 5 86% Reliacne, OPAL

LD 213 140 110 0 250 44% 0% ▲ 110 66% Reliacne, ONGC

HD 287 175 60 15 220 27% 9% ▲ 45 61% Reliacne, ONGC

SM 0 0 800 0 800 100% - ▲ 800 -

EG 252 130 100 0 230 43% 0% ▲ 100 52% Reliance

PVC 146 140 150 0 290 52% 0% ▲ 150 96% Chemplast, Reliance

その他 14 14 0 0 14 0% 0% 0 100%

計AS C2 760 489 543 16 1,017 53% 3% ▲ 528 64%

プロピ 473 460 1 1 460 0% 0% 0 97% Reliacne, HPL

PP 487 440 60 70 430 14% 16% 10 90% Reliacne, HPL

AN 4 3 16 0 19 84% 0% ▲ 16 75% Reliacne

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 506 456 79 72 464 17% 16% ▲ 7 90%

ベンゼン 221 140 0 0 140 0% 0% 0 63%

トルエン 27 14 34 0 48 71% 0% ▲ 34 52%

キシレン 77 50 2 0 52 4% 0% ▲ 2 65%

PX 367 220 150 20 350 43% 9% ▲ 130 60%

PTA 617 440 20 40 420 5% 9% 20 71%

Page 24: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 7.5%)

主な新増設計画と検討状況

(品目) (能力:万トン) (立地) (稼働予定)

① Reliance

エチレン 1,500 ジャムナガール 計画 LDPE/HDPE 500 ジャムナガール 計画 プロピレン 200 ジャムナガール 計画 PP 200 ジャムナガール 計画

②IOC

エチレン 850 パラディップ 2018 プロピレン 680 パラディップ 2018 PP 700 パニパット

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

インド国内における各産業分野の需要の伸びが継続的に維持されることが予想される中、石 油化学工業主要セグメントの需要は引き続き年率 6~8%で伸びていくと予想されている。

一方で、引き続き中東、アジア、中国等の競争力ある製品輸入は需要増に伴い拡大していく と見込まれる。特に上流については、設備投資計画はあるものの需要には全く追いついておら

ず、今後の進展が注目される。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 836 750 20 0 770 3% 0% ▲ 20 90% Reliance, OPAL

LD 213 200 70 0 270 26% 0% ▲ 70 94% Reliance, OPAL

HD 287 240 40 10 270 15% 4% ▲ 30 84%

SM 0 0 1,000 0 1,000 100% - ▲ 1,000 -

EG 252 230 100 0 330 30% 0% ▲ 100 91% Reliance, OPAL

PVC 146 140 240 0 380 63% 0% ▲ 240 96% Chemplast, Reliance

その他 14 14 0 0 14 0% 0% 0 100%

計AS C2 760 681 586 10 1,257 47% 2% ▲ 576 90%

プロピ 611 600 0 20 580 0% 3% 20 98% Reliacne, HPL

PP 580 580 10 70 520 2% 12% 60 100% Reliacne, HPL

AN 4 4 16 0 20 81% 0% ▲ 16 95% Reliacne

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 602 602 28 72 557 5% 12% 44 100%

ベンゼン 309 280 0 30 250 0% 11% 30 91%

トルエン 27 14 41 0 55 75% 0% ▲ 41 52%

キシレン 77 50 5 0 55 9% 0% ▲ 5 65%

PX 401 360 170 10 520 33% 3% ▲ 160 90%

PTA 842 700 10 160 550 2% 23% 150 83%

Page 25: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:フィリピン共和国

概況 2018 年の実質 GDP 成長率は 6.2%となり、2017 年の 6.7%から微減なるも高成長を維持。 安定した海外送金及び堅調な内需の伸びを背景に、当面の間は安定的に 6%台の高い GDP

成長率が期待される。 貿易動向としては、輸出は前年比 10.1%増の 693 億ドル、輸入は同 21.7%増の 1,128 億ド

ルで貿易収支は▲435 億ドルの赤字。経常収支は▲79 億ドルの赤字で、インフラなどの資本形

成や国内生産増強の為のモノの輸入が増えたことで貿易赤字が拡大し、赤字幅は前年の 25 億

ドルから 3 倍超に拡大。GDP に対する経常赤字の割合は前年の 0.8%から 2.4%に上昇した。一

方で対内直接投資は 17 年に過去最高の 103 億ドルとなった後、18 年は 98 億に微減。 政府が計画する大規模インフラ事業のほか、GDP の約 6 割を占めるサービス業の成長に支え

られ内需主導型経済が好調を維持。港湾・道路・空港等のインフラ未整備や電力料金の高さな

ど依然投資環境上の課題はあるものの、経済のファンダメンタルズは強固で、今後も継続的な成

長が見込まれる。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

フィリピンの石化産業は、JG Summit によるポリエチレン(製造能力・年 32 万トン)やポリプロピ

レン(同 18 万トン)等が一部あるものの、ほとんどの原料や製品を輸入に依存しており、プラスチッ

ク加工産業等の川下産業が中心である。 石化・川上における最近の動きとしては、Philippines Resins Industries, Inc. (東ソーが 80%

出資)が、塩ビ製造能力を増強。年が明け、従来の年 11 万トンの年間製造能力を 21 万トンへと

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 32 32 32 0% 0% 0 100%

LD 29 14 15 29 52% 0% ▲ 15 48% JG Summit, NPC

HD 29 12 2 14 14% 0% ▲ 2 41% JG Summit, NPC

SM 0 0 2 2 100% - ▲ 2 -

EG 0 0 0 0 100% - ▲ 0 -

PVC 12 10 4 14 27% 0% ▲ 4 83% Philippine Resine, General Chemical

その他 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 65 31 19 0 50 38% 0% ▲ 19 48%

プロピ 33 19 3 22 15% 0% ▲ 3 57%

PP 53 12 12 24 50% 0% ▲ 12 23% Petrocorp, JG Summit, Phoenix

AN 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 54 12 12 0 25 50% 0% ▲ 12 23%

ベンゼン 2 2 2 0% 0% 0 100%

トルエン 15 15 3 18 17% 0% ▲ 3 100%

キシレン 22 22 4 26 17% 0% ▲ 4 100%

PX 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 - - 0 -

Page 26: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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ほぼ倍増した。 JG Summit は、2021 年フル稼働をめざし、ブタジエン(年 7 万トン)、ラフィネート(同 8.9 万ト

ン)、及びベンゼン(同 12.6 万トン)・トルエン(同 4.6 万トン)・混合キシレン(同 1.8 万トン)の工場を

建設するほか、既存工場の増設により、2021 年をめどにエチレンを年 16 万トン増、プロピレンを

年 5.1 万トン増、C4 留分を年 2.6 万トン増とする計画である。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

主な新増設計画と検討状況

(※前述「2-(2) 石化産業の最近の動き」を参照)

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

経済成長及び人口増に伴い、いずれの石化製品においても今後の需要増は確実で、供給面

の不足分は当面の間、輸入増での対応になると予測される。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 48 48 48 0% 0% 0 100%

LD 37 26 15 41 37% 0% ▲ 15 70% JG Summit, NPC

HD 37 24 4 20 0% 17% 4 65% JG Summit, NPC

SM 0 0 2 2 100% - ▲ 2 -

EG 0 0 0 0 100% - ▲ 0 -

PVC 23 20 4 24 17% 0% ▲ 4 87% Philippine Resine, General Chemical

その他 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 86 60 18 4 74 24% 7% ▲ 13 70%

プロピ 38 27 5 32 16% 0% ▲ 5 70%

PP 58 29 5 34 14% 0% ▲ 5 50% Petrocorp, JG Summit, Phoenix

AN 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 59 30 5 0 35 14% 0% ▲ 5 50%

ベンゼン 15 12 12 0% 0% 0 83%

トルエン 23 21 21 0% 0% 0 93%

キシレン 24 24 24 0% 0% 0 100%

PX 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 - - 0 -

Page 27: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

- 56 -

国・地域名:ベトナム 1.概況

2018 年通年の GDP 成長率は 2011 年以降最高となる 7.1%と前年を 0.3%ポイント上回り、5年連続で 6%強を維持した。電子機器製品・部品、繊維製品などの輸出増加が顕著で、貿易収支も

3 年連続で黒字となった。対内直接投資件数、投資額も引続き高いレベルで推移。韓国の電子・半

導体企業の事業も活発であり、サムスン電子のスマートフォンの生産も輸出を牽引した。

2.現状

(1)需給総括表(2017 年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の最近の動き

ベトナムでは石油製品や石化製品の大半を輸入に依存する状態が続いているが、その需要拡

大率は引き続き年率 7%を超える高伸長が続いている。原油を産出するが、石油精製能力の

不足によりガソリンや灯軽油、燃料油などの石油製品を年間 800 万トン以上輸入、石化製

品も国産能力は極めて小さく、ポリオレフィンの大半は輸入に依存している。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 0 0 0 0 0 - - 0 -

LD 0 0 59 0 59 100% - ▲ 59 -

HD 0 0 110 0 110 100% - ▲ 110 -

SM 0 0 15 0 15 100% - ▲ 15 -

EG 0 0 19 0 19 100% - ▲ 19 -

PVC 35 34 28 0 62 45% 0% ▲ 28 97% TPC VINA, AGC CHEMICALS VIETNAM

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 18 17 203 0 220 92% 0% ▲ 203 97%

プロピ 52 15 0 0 15 0% 0% 0 29% BSR

PP 15 15 39 0 54 72% 0% ▲ 39 100% BSR、Ngison

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 15 15 40 0 55 72% 0% ▲ 40 100%

ベンゼン 0 0 0 0 0 - - 0 -

トルエン 0 0 21 0 21 100% - ▲ 21 -

キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -

PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 34 0 34 100% - ▲ 34 -

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 6.5%)

主な新増設計画と検討状況

ベトナムで石油精製と石油化学プロジェクトがそれぞれ進展した。2013 年 7 月に着工し

たニソンリファイナリー・ペトロケミカルが 2017 年 4 月末に完成。2018 年 4 月から商業運

転を開始した。その一方で、2014 年 9 月に一旦着工したブンロー・ペトロリアム計画は、

2015 年に中断され、当初目標の 2018 年完成は無期限延期された。片方の合弁相手であるロ

シアのテクノオイルがルーブル安の為、投資コストの増加に耐えられなくなったためとみら

れる。また、タイ国営石油会社(PTT)とサウジアラムコが 40%ずつ出資し、ベトナム政府

(20%出資)との合弁製油所・石化コンプレックスをビンディン省に建設するビクトリー計

画も白紙化された。石化プロジェクトでは、当初より後ろ倒しとなっているものの、ロンソ

ン島でのエチレンセンター計画が前進した。対の SCG グループが 2023 年上期の稼働を目指

して単独で実施することとなった。韓国 Hyosung はベトナム南部バリア-ブンタオ省で PDHからポリプロピレン 30 万トンの製造を 2019 年末稼働で計画している。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

現在のロンソン石化プロジェクトが計画されているが、引き続きベトナムは石油化学及び

基礎化学品の輸入国というポジションが続く見込みである。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 120 120 0 0 120 0% 0% 0 100% Ronson Petro

LD 50 50 126 0 176 72% 0% ▲ 126 100% Ronson Petro

HD 45 45 47 0 92 51% 0% ▲ 47 100% Ronson Petro

SM 0 0 21 0 21 100% - ▲ 21 -

EG 0 0 27 0 27 100% - ▲ 27 -

PVC 35 35 21 0 56 37% 0% ▲ 21 100% TPC VINA, AGC CHEMICALS VIETNAM

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 113 113 206 0 319 65% 0% ▲ 206 100%

プロピ 97 97 0 0 97 0% 0% 0 100% BSR,Ronson

PP 127 127 80 0 207 39% 0% ▲ 80 100% BSR,Ronson,Nghi Son,Hyosung

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C3 131 131 82 0 213 39% 0% ▲ 82 100%

ベンゼン 0 0 0 0 0 - - 0 -

トルエン 0 0 30 0 30 100% - ▲ 30 -

キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -

PX 70 70 0 0 70 0% 0% 0 100%

PTA 0 0 48 0 48 100% - ▲ 48 -

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国・地域名:オーストラリア

概況 オーストラリア経済は住宅市場減速や個人消費停滞等懸念材料はあるものの堅調な成長を引

続き維持している。特にインフラを中心とした公共支出や企業投資は安定した経済成長を下支え

している。一方、2017 年に国内自動車生産が完全に消滅する等、国内産業における製造業比率

は下降を続けており、製造業の国際競争力改善は大きな課題となっている。 2019 年は米中関係を含め世界経済の不透明性が増す中、連邦総選挙も控えており、堅調な

経済も予断を許さない状況に変わりないが、公共支出や雇用拡大等を背景に 3%前後の経済成

長率は維持出来るとの見方が強い。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

大きな動きは見られないが、引続き既存国石化産業の競争力向上は大きな課題の一つであり、

限定的規模のオーストラリア市場において輸入品との競合に晒されながら稼働を維持していく意

義を見直し、中長期的に縮小へ向かう可能性は依然否定出来ない状況にある。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 50 38 0 0 38 0% 0% 0 76% Qenos

LD 20 17 6 0 23 24% 0% ▲ 6 85% Qenos

HD 21 19 18 0 37 49% 0% ▲ 18 90% Qenos

SM 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

EG 1 1 1 0 2 60% 0% ▲ 1 100% Huntsman

PVC 0 0 22 0 22 100% - ▲ 22 -

その他 0 0 4 0 4 100% - ▲ 4 -

計AS C2 41 36 36 0 73 50% 0% ▲ 36 88%

プロピ 18 13 0 0 13 0% 0% 0 69% Qenos、Viva Energy

PP 13 12 2 7 7 30% 57% 4 88% LyondellBassell

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

計AS C3 13 12 2 7 7 30% 57% 5 88%

ベンゼン 3 0 0 0 0 - - 0 - Bluescope

トルエン 1 1 1 0 2 50% 0% ▲ 1 100%

キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -

PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 30: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.5%)

主な新増設計画と検討状況

ExxonMobil グループが燃料油タンクの増設を進めているが、石化製品に関しては、現状の内

需規模と、輸出市場において劣後する競争力の状況から、新増設は検討されていないものと考え

られている。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

主要石化製品の需給・輸出入バランスに関し大きな変化はなく、国内メーカーの供給不足分を

輸入品で補う状況が続いている。2017 年に国内生産が完全に終了した自動車製造業に関わる

石化製品の需要は PP 樹脂を中心に大きく減少。国内メーカーは稼働を維持し輸出市場に活路

を見出して来ているが、極東・アジア地区競合との競争力比較において、将来的には PVC 樹脂

やメタノール等同様、国内生産を停止し全量輸入品に切替わる選択肢も依然想定されている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 50 38 0 0 38 0% 0% 0 76% Qenos

LD 20 17 8 0 25 32% 0% ▲ 8 85% Qenos

HD 21 20 18 0 38 48% 0% ▲ 18 95% Qenos

SM 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

EG 1 1 2 0 2 71% 0% ▲ 2 100% Huntsman

PVC 0 0 24 0 24 100% - ▲ 24 -

その他 0 0 4 0 4 100% - ▲ 4 -

計AS C2 41 37 40 0 77 52% 0% ▲ 40 90%

プロピ 18 13 0 0 13 0% 0% 0 69% Qenos、Viva Energy

PP 13 12 1 4 9 12% 35% 3 88% LyondellBassell

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

計AS C3 13 12 1 4 9 12% 35% 3 88%

ベンゼン 3 0 0 0 0 - - 0 - Bluescope

トルエン 1 1 1 0 2 50% 0% ▲ 1 100%

キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -

PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 31: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:シンガポール

概況 2018 年の実質 GDP 成長率は、速報値で前年比+3.3%となり、2017 年の+3.6%から 0.3%減

速した。 業種別には、製造業が前年比+7.5%の成長となり 2017 年の+10.1%から減速となったが、

サービス業は前年比+2.8%の成長となり 2017 年と同値に落ち着いた。 一方、建設業は前年比▲3.4%となり、2017 年の▲8.4%に比べて緩やかな改善となった。また、

直近 2018 年 10~12 月期の実質 GDP 成長率(季節調整済み)は、全産業の年率換算で前期

比+1.6%の成長となり、7~9 月の+3.5%から減速した。製造業、サービス業ともに減速。 政府は、貿易摩擦、先行き不透明な金融市場、世界経済の不確実性が存在する一方で、

2019 年の成長率は 1.5~3.5%の範囲を予測している。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2018 年は、年後半に原油や製品価格の急激な下落に直面したものの、全体としては世界経済

の拡大や良好なマージンに支えられ、おおむね高稼働となった。一方、2018 年の個別の動きとし

ては、ペトロケミカル・コーポレーション・オブ・シンガポールがナフサ輸入のための新たなタンク・

バースの利用を開始、エクソンモービルが水添石油樹脂プラント、ハロブチルゴムプラントの稼働

を開始した。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 400 400 0 42 358 0% 11% 42 100% PCS/Exxon/Shell

LD 238 189 65 247 7 903% 131% 182 80% TPC/Exxon/Prime Evolue

HD 39 34 51 82 3 1545% 239% 31 88% CPSC

SM 93 93 0 68 25 0% 73% 68 100% SCSL

EG 87 87 2 87 2 91% 100% 85 100% EGS/Shell

PVC 0 0 4 0 4 100% - ▲ 4 -

その他 89 65 2 56 11 18% 86% 54 74% Exxon/MELS

計AS C2 447 371 120 404 87 139% 109% 284 83%

プロピ 253 236 8 3 241 3% 1% ▲ 5 93% PCS/Exxon/Shell

PP 158 146 40 183 3 1600% 126% 143 92% TPC/Exxon

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 106 99 5 56 48 10% 56% 51 93% Shell/MPHS

計AS C3 269 249 41 188 102 40% 76% 147 93%

ベンゼン 174 124 20 23 121 17% 19% 3 71% PCS/Exxon

トルエン 29 29 1 30 (1) -200% 105% 29 100% PCS/Exxon

キシレン 37 35 0 23 12 0% 65% 23 95% Shell/Exxon

PX 163 163 0 163 (0) 0% 100% 163 100% Exxon

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 32: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し

需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.5%)

主な新増設計画と検討状況

エチレン、プロピレン、ベンゼン等、基礎原料プラントの新増設は当面予定されていない一方で、

複数の誘導品プラントの建設が進行中である。エボニックが DL-メチオニンの増強(生産能力+15万トン/年、2019 年完成予定)、旭化成が低燃費タイヤ向け溶液重合法スチレンブタジエンゴム

プラントの増強(生産能力+3 万トン/年、2019 年完成予定)、三井化学が高機能エラストマーの

増強(生産能力+2.5 万トン/年、2020 年完成予定)を進めているとみられる。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

内需の伸びは、2019 年以降、年率 2.5%と想定した。プラント稼働率はおおむね高稼働(90%

以上)と想定した。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 400 387 0 1 386 0% 0% 1 97% PCS/Exxon/Shell

LD 238 219 65 276 8 813% 126% 211 92% TPC/Exxon/Prime Evolue

HD 39 35 51 82 4 1186% 232% 31 91% CPSC

SM 93 88 0 63 25 0% 71% 63 95% SCSL

EG 87 82 2 81 3 74% 99% 79 94% EGS/Shell

PVC 0 0 5 0 5 100% - ▲ 5 -

その他 90 71 1 60 12 9% 85% 59 78% Exxon/MELS

計AS C2 449 401 121 427 95 128% 106% 307 89%

プロピ 253 238 6 0 244 2% 0% ▲ 6 94% PCS/Exxon/Shell

PP 158 143 40 179 4 1143% 126% 139 90% TPC/Exxon

AN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 112 106 5 59 52 10% 56% 54 95% Shell/MPHS

計AS C3 274 253 41 184 110 38% 73% 143 92%

ベンゼン 174 154 20 55 119 17% 36% 35 88% PCS/Exxon

トルエン 29 25 1 26 0 333% 103% 25 89% PCS/Exxon

キシレン 37 33 0 19 14 0% 57% 19 89% Shell/Exxon

PX 163 155 0 155 (0) 0% 100% 155 95% Exxon

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 33: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:インドネシア

概況 インドネシア経済は近年 5%前後の GDP 成長率で堅調に推移している。中身をみると、個人消

費を中心とした内需拡大と海外からの直接投資が順調に増えているからである。 個人消費の拡大と 2019 年の大統領選挙に関連した政府支出の増加により、インドネシア政府

は、2018 年の経済成長率目標を 5.4%としていた。しかし、2018 年後半からドルに対する通貨安

を避けるべく金融引締めを行った事で、個人消費が徐々に鈍化。また、大統領選挙の前年である

事から、企業投資も控えられ、2018 年の経済成長率は 5.2%に着地。 インドネシアは 2019 年 4 月に大統領選挙を実施し、ジョコ・ウィドド現大統領が再選。現大統領

は、副大統領にイスラム学者会議の議長(マアルフ・アミン氏)を据えており、政治的な大きな混乱

は起きづらいと思われる。 インドネシアは国会で、2019 年の経済成長率目標を 5.3%に設定した。これは 2018 年の 5.4%

をやや下回る水準で国内外の問題を考慮した目標値である。 歳出は 10.0%増の 2,439 兆 6,875 億ルピア(約 18 兆 5,000 億円、1 ルピア=約 0.0076 円)

で、教育関連を 487 兆 9,000 億ルピア(約 3 兆 7,000 億円)、381 兆ルピア(約 2 兆 9,000 億円)を社会保障に充てる。これら予算をそれぞれ前年比 12.3%、32.6%増やす一方で、インフラ開発

に充てる予算は 2.4%増にとどめており、2014 年の就任以来続けてきたインフラ予算の拡大路線

は一息ついた格好である。 歳入は前年比 12.6%増の 2,142 兆 5,000 億ルピア(約 16 兆 3,000 億円)で、財政赤字を

GDP 比 1.8%と低い水準に抑え、財政健全化に向けた姿勢を示した。また、為替について安定維

持は困難を伴うと予想し、平均想定レートを 1 ドル=1 万4400ルピアとした。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 86 65 62 12 115 54% 19% ▲ 50 76% Chandra Asri

LD 65 47 50 4 94 54% 8% ▲ 47 72% Chadra Asri, Lotte Chemical

HD 14 10 36 3 43 84% 31% ▲ 33 74% Chandra Asri, Lotte Chemical

SM 34 34 2 19 16 9% 57% 18 100% Styrindo Mono Indonesia

EG 22 20 40 5 55 73% 26% ▲ 35 90% Polychem Indonesia

PVC 99 84 6 23 67 10% 28% 17 85% PT Asahimas Subentra Chem, Sulfindo Adiusaha,Standard Toyo Polimer

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 152 121 117 27 211 55% 23% ▲ 90 80%

プロピ 99 74 10 5 80 13% 6% ▲ 6 75% Pertamina, Chandra Asri

PP 91 80 72 2 150 48% 3% ▲ 70 88% Pertamina, Tripolyta Indonesia, PT, Polytama Propyndo, PT

AN 0 0 1 0 1 100% - ▲ 1 - N/A

その他 18 15 2 0 17 12% 0% ▲ 2 87%

計AS C3 111 98 75 2 170 44% 2% ▲ 73 88%

ベンゼン 63 30 26 0 56 46% 0% ▲ 26 48% Pertamina, TPPI

トルエン 10 0 15 0 15 100% - ▲ 15 - TPPI

キシレン 12 0 12 0 12 100% - ▲ 12 - TPPI

PX 92 34 82 0 116 71% 0% ▲ 82 37% Pertamina, TPPI

PTA 224 151 12 13 150 8% 9% 1 68% Mitsubishi Chemical Indonesia, BP・PTA Indonesia, Indorama

Page 34: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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石化産業の最近の動き

ASEAN 最大の産油国だが、産油量の先細りと内需拡大に対応していくため、資源の有効活

用と外貨獲得の拡大を図る狙いで石油代替エネルギーの開発や輸出用製油所新設による石油

製品輸出に比重を移している。ところが、経済的・政治的混乱により、プロジェクトの多くは進展し

なかった。近年では、新たに複数の計画(以下記述)が浮上しており、外資との合弁でフィジビリ

ティスタディが進められている。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 5.0%)

主な新増設計画と検討状況

石油化学大手 Chandra Asri はジャワ島西部バンテン州チレゴンのナフサクラッカー・プラントの

新設・拡張を進めており、エチレン生産能力を年間 90 万トンに引き上げる予定で、20 年に完工を

予定する。エチレンの生産能力は現在、年間 86 万トン。プロピレンは現在の 47 万トンから 49 万

トンに拡大する。 一方、国営 Pertamina が 2014 年から Saudi Aramco とで進めているプロジェクトに、Dumai

製油所(17 万 BPD)、Cilacap 製油所(34.8 万 BPD)、Balongan 製油所(12.5 万 BPD)の石油精

製設備増強・近代化がある。 Cilacap 製油所の増強計画は予定通り進んでおり、Pertamina 側は Cilacap の増設用地の買

収も進めている。Saudi Aramco との覚書(MOU)では、Cilacap 製油所(34.8 万 BPD)の増強・近

代化計画で事業規模 55 億ドル、竣工予定は 2021 年、合弁事業の出資比率は Pertamina が

55%程度確保している。 ロッテケミカルはジャワ島西部のバンデン州チレゴンで 100 ヘクタールの敷地にエチレン(100

万トン/年)、ポリエチレン(65 万トン/年)、ポリプロピレン(60 万トン/年)、MEG(70 万トン/年)の石

化コンビナートの新設に乗り出した。投資金額は 35 億ドルで 2023 年完成を見込んでいる。 そ の他 、 Sinopec とは 、 Plaju 製 油 所 (13.4 万 BPD) の近 代 化 ・増 強 を 検 討 してい る。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 290 150 22 0 172 13% 0% ▲ 22 52% Chandra Asri, PT Lotte Chemical

LD 145 120 70 78 112 63% 65% 8 83% Chadra Asri, PT Lotte Chemical

HD 14 10 59 20 49 120% 200% ▲ 39 74% Chandra Asri, PT Lotte Chemical

SM 34 30 18 10 38 47% 33% ▲ 8 88% Styrindo Mono Indonesia

EG 57 40 41 0 81 51% 0% ▲ 41 70% Polychem Indonesia, PT Lotte Chemical

PVC 99 84 19 19 84 23% 23% 0 85% PT Asahimas Subentra Chem, Sulfindo Adiusaha,Standard Toyo Polimer

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 253 205 172 110 267 64% 53% ▲ 62 81%

プロピ 101 80 66 15 131 50% 19% ▲ 51 79% Pertamina, Chandra Asri

PP 124 90 100 10 180 56% 11% ▲ 90 73% Pertamina, Tripolyta Indonesia, PT, Polytama Propyndo, PT Lotte Chemical

AN 0 0 1 0 1 100% - ▲ 1 - N/A

その他 18 15 5 0 20 25% 0% ▲ 5 87%

計AS C3 145 108 104 10 202 52% 10% ▲ 94 75%

ベンゼン 63 50 12 0 62 19% 0% ▲ 12 79% Pertamina, TPPI

トルエン 10 10 10 0 20 50% 0% ▲ 10 100% TPPI

キシレン 12 0 15 0 15 100% - ▲ 15 - TPPI

PX 169 130 26 0 156 17% 0% ▲ 26 77% Pertamina, TPPI

PTA 224 200 15 15 200 8% 8% 0 89% Mitsubishi Chemical Indonesia, BP・PTA Indonesia, Indorama

Page 35: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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Balikpapan 製油所(26 万 BPD)の近代化改修プロジェクトについては、Pertamina が費用の

51%負担し残りを外資に求める意向だが、未だパートナーは決まっていない。 インドネシアは石油精製能力を現在の日量 100 万バレルから 2025 年までに同 200 万バレル

に倍増する目標を掲げ、Pertamina の 4 施設の大改修と 2 つの石油精製施設の新設計画を進

めている。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

インドネシアは豊富な資源に恵まれている半面、国内需要を満たすためにナフサなどの石油製

品を海外からの輸入に頼っている。エチレンやプロピレンは 2015 年末に生産能力が拡大された

が、内需を完全に満たすレベルには達しておらず化学製品の自給化には至っていない。 エチレン換算で 115 万トンの需要量があるのに対して自給出来るエチレンが 65 万トン程度の

為、不足する分を輸入し、残りはエチレン系誘導品の形で輸入している。また、同様にプロピレン

は 80 万トン程度の需要に対して国産量が 74 万トン程度であり、6 万トン弱を輸入している。ベン

ゼンは 60 万トン弱程度の需要に対し国産量が 30 万トンである為、30 万トン弱を輸入するなど、

石化基礎原料は将来の増築計画によるが、当面は不足ポジションが予想される。

Page 36: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:欧州(西欧及び東欧、トルコを除く)

概況 欧州経済は足元で減速傾向が鮮明となっている。ユーロ圏 19 ヶ国の 2018 年 10-12 月期実

質 GDP 成長率(速報値)は前期比 0.2%と前期から横ばいとなった。2018 年通年では前年比

1.8%となり、同 2017 年 2.4%から減速した。米中貿易摩擦への懸念、中国など新興国経済の減

速、英国の合意無き離脱の可能性の高まりなどを背景に企業の景況感が悪化しており、ユーロ

圏総合 PMI(購買担当者景気指数)は 2019 年 3 月に 47.5 との過去 5 年半で最低を記録、足下

6 月は 47.6 と低調が継続。 欧州委員会は 2019 年 5 月 7 日に春季経済見通しを発表、ユーロ圏の実質 GDP 成長率見通

しを 2019 年で前年比 1.2%、2020 年同 1.5%とし、昨年 11 月の予測から大幅に下方修正した。

また、英国の成長率見通しについては、2019 年で同 1.3%、2020 年同 1.3%と予想している。欧

州委員会は、中国経済の動向や貿易摩擦、英国の EU 離脱交渉の行方、及びイタリアにおける

債務持続可能性等への警戒を強めている。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2017 年の年末からユーロ圏の景況感はピークアウトし、昨年 10 月に発表された IMF の 2018年成長率は昨年 7 月時点予想の 2.2%から 2.0%に下方修正したことが示す通り、景気先行きは

やや曇りが見え始めている。1 年前はエネルギー価格の低位安定を背景に石化誘導品需要は楽

観的な見方が大勢であったのに対し、足許は米中貿易摩擦の影響、直近の自動車需要減速、米

国の安価なエチレン誘導品輸入の趨勢等を背景に石化メーカーの収益圧迫は不可避の状況。

BREXIT や循環型経済等の不確定要素を含め、2019 年は各社ともに Cautious Optimism の立

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 2,469 2,208 24 86 2,146 1% 4% 62 89% Dow, Shell, LyondellBasell

LD 964 753 296 242 807 37% 32% ▲ 54 78% Dow, Exxon, LyondellBasell

HD 607 537 237 162 612 39% 30% ▲ 75 89% Ineos, LyondellBasell

SM 548 467 75 58 484 15% 12% ▲ 17 85% BASF, Total

EG 139 119 92 20 191 48% 17% ▲ 72 85% BASF, Ineos

PVC 692 574 87 169 492 18% 29% 82 83% Inovyn, Vinnolit

その他 301 250 39 38 251 16% 15% ▲ 1 83%

計AS C2 2,474 2,047 663 520 2,190 30% 25% ▲ 142 83%

プロピ 1,758 1,502 78 40 1,540 5% 3% ▲ 38 85% Dow, BASF, Ineos, Repsol

PP 1,099 1,109 196 308 997 20% 28% 112 101% LyondellBasell, Borealis

AN 88 76 4 10 70 6% 13% 6 86% Ineos

その他 510 460 460 0% 0% 0 90%

計AS C3 1,738 1,684 206 328 1,562 13% 19% 122 97%

ベンゼン 1,012 719 142 75 786 18% 10% ▲ 67 71% BASF, Dow, ExxonMobil

トルエン 304 224 5 27 202 2% 12% 22 74% ExxonMobil, Shell

キシレン 525 280 4 14 270 1% 5% 10 53% ExxonMobil

PX 236 170 16 45 141 11% 27% 29 72% ExxonMobil. BP

PTA 409 236 78 5 309 25% 2% ▲ 73 58% Indorama

Page 37: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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場を取っている状況。 将来見通し

需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.5 %)

主な新増設計画と検討状況

2018 年 7 月に発表された INEOS の PDH プロジェクト(75 万トン)、エタンクラッカー増設(計

90 万トン)及び欧州域内では 20 年振りとなるクラッカー新設(100 万トン)に続き、9 月に Boreliasが PDH(75 万㌧)の FID を発表、11 月には TOTAL がサウジで Aramco と大型石化プロジェクト

を、アルジェリアでは Sonatrach との PDH/PP プロジェクトを発表した。欧州沿岸部の既存クラッ

カーを中心としたライトフィード化が定着し、加えて安価なエタンやプロパンを前提とした積極的な

新増設計画が相次いでおり、又、オイルメジャーの石化シフトの動きも顕在化している。これらの

新増設プラントが立ち上がる 2021 年以降までは、概ね需給タイト化する見方がある一方、今後の

景気動向や貿易摩擦・Brexit によるサプライチェーンへの影響等の不確定要素がある。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

2019 年は春にクラッカー大型定修が重なり(BASF/Antwerp、Shell/Moerdijk、Dow/Boehlen、

Versalis/Priolo 等)、秋には第二弾(BP/Gelsenkirchen、SABIC/Geleen、BASF/Ludwigshafen等)が控えていることから、誘導品需給が引き締まる見込み。相次ぐ新増設プラントが立ち上がる

2021 年以降までは概ね需給はタイト化する見方がある一方、今後の景気動向や貿易摩擦・

Brexit によるサプライチェーンへの影響等の不確定要素がある。又、中期的には米国からのエチ

レン誘導品流入に伴う欧州化学品業界への影響は不可避であり、域内クラッカーの稼働やフィー

ドの戦略的切り替えは引き続き強まる見通し。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 2,469 2,227 25 31 2,221 1% 1% 6 90% Dow, Shell, LyondellBasell

LD 964 807 296 226 877 34% 28% ▲ 70 84% Dow, Exxon, LyondellBasell

HD 634 558 252 142 668 38% 25% ▲ 110 88% Ineos, LyondellBasell

SM 548 427 91 35 483 19% 8% ▲ 56 78% BASF, Total

EG 139 114 117 20 211 55% 18% ▲ 97 82% BASF, Ineos

PVC 692 602 74 137 539 14% 23% 63 87% Inovyn, Vinnolit

その他 311 251 26 24 253 10% 10% ▲ 2 81%

計AS C2 2,512 2,122 693 461 2,354 29% 22% ▲ 232 85%

プロピ 1,849 1,568 77 31 1,614 5% 2% ▲ 46 85% Dow, BASF, Ineos, Repsol

PP 1,109 1,119 239 261 1,097 22% 23% 22 101% LyondellBasell, Borealis

AN 88 78 1 2 77 1% 3% 1 89% Ineos

その他 510 460 0 0 460 0% 0% 0 90%

計AS C3 1,748 1,697 247 271 1,673 15% 16% 24 97%

ベンゼン 1,016 715 143 60 798 18% 8% ▲ 83 70% BASF, Dow, ExxonMobil

トルエン 304 234 9 27 216 4% 12% 18 77% ExxonMobil, Shell

キシレン 525 291 3 14 280 1% 5% 11 56% ExxonMobil

PX 236 187 20 25 182 11% 13% 5 79% ExxonMobil. BP

PTA 409 339 26 10 355 7% 3% ▲ 16 83% Indorama

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国・地域名:中 東(トルコを含む)

概況 中東諸国の石油化学産業は、各国の基本政策となっている原油輸出に依存しない国家財政へ

向けた社会構造改革を進捗させ、グローバルな投資・事業推進や、誘導品及び加工製品の高付

加価値化並びに内需拡大施策、などといったダウンストリームへの展開がなされている。 2016 年 11 月の OPEC 総会で、それ以前数年間継続していた約 100 ドル/バレルの原油価格

が供給過多により急落し、市況を回復させるため、OPEC 及びロシアその他の一部産油国は、減

産を合意した。2017 年以降その協調減産は現在も継続し、合意各国は割り当てられた減産量を

遵守、その効果によって特に OPEC、ロシアの供給量に歯止めがかかっている。 一方、米国シェールオイル生産拡大の影響によって、その協調減産量は補われている側面が

あり、堅調な世界需要に支えられている結果、需給はバランスする傾向を維持し、世界の原油市

況は高騰や崩落することなく、一定の範囲内を推移してきている。 この協調減産の効果で中東諸国の歳入が一部改善したことは事実であるが、原油価格が以前

の 100 ドル/バレルまで短期的に回復することは期待しにくい。実際に現行レベルの原油価格では、

各国の財政収支を均衡させるレベルである約 80 ドルには達せず、歳入の多様化、歳出の削減を

遂行し、健全で自立した産業構造を目的とした諸政策を講じ、国家財政の収支改善を図っている。

中東各国で国情により差はあるが、主要政策としては資源の最適利用、増加する人口の雇用創

出のための非石油部門の産業育成、課税、国民への福祉その他各種補助金の削減等を行って

いる。 サウジアラビアでは ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がリーダーシップを発揮して「 ビジョン

2030」による社会・財政の構造改革が進んでいる。その枠組みで Saudi Aramco の SABIC 買収

など IPO を狙った一連の動きや、国民への VAT 課税、各種補助的支出のカット、石化原料の値

上げ、ファンド投資の活性化などの財政収入拡大の具体策が実行されている。石油化学製品に

ついては、競争力あるエタンを原料とした中東の最大生産国であり重要な産業であることに変わり

はない。しかし原料エタンの供給余力が少なくなり、新規 Capacity 増加は困難な状況となってい

る。その状況を打開する目的で、Saudi Aramco と SABIC が協力し原油から直接石油化学製品

製造を行う事業 Crude Oil To Chemical を推進している。 UAE は原油輸出収入の蓄積があり、また既に積極的な外資企業誘致、観光産業育成、金融

業の基盤整備といった多角化政策が安定した財政基盤の下で実現されてきている。加えて各種

補助金の削減も実施され、バランスの取れた健全な国家運営へと舵を切ってきた。石油化学産業

も堅実に形成され、研究開発にも注力し高付加価値化を進めている。また中期的に新規プロジェ

クトの計画も進行している。 クウェートは安定した政権で財政余力を残し、石油化学産業の特に MEG のグローバル化を進

めている。 カタールでは石油化学産業の拡大が一段落し、むしろ一次エネルギー輸出を優先して、豊富埋

蔵量を有す天然ガスの LNG 輸出に力を入れている。

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なお、今後の中東石油産業の生産拡大は、豊富な天然ガスを賦存するイランに多数計画が存

在したが、米国の核合意離脱と経済・金融制裁によりの現状では実現性が希薄となっている。 中東地域は地政学的リスクが高く、また国家間の一部不和も加わり情勢の変化や外交的なバ

ランスといった要因によって不透明な状況に陥る懸念に注視すべきであると考えられる。 その状況や懸念がある環境で、サウジアラビアは構造改革を推進する政策「ビジョン 2030」達

成に向け邁進している。国内では過去からの既得権益や派閥勢力との軋轢を打開し、国際的に

は米国、欧州、ロシア、そして特に友好関係を強調している中国との関係などで、舵取りにバラン

スをとり戦略的に進めている。現政権の勢力を発揮し中東の盟主そして、国力の拡大へ向けた革

新が鮮明に打ち出され、グローバルな Refinery―Chemical Complex を精力的に進めている。 中東が世界の石油化学製品の世界的な供給拠点としての位置づけは変わらないものの、過去

新増設プロジェクトが次々と打ち出されてきた中東地域の Capacity 増加は減速し、川下産業へ

の深化と人口増加による内需拡大、高付加価値産業へのシフトといった転換期を迎えている。

Page 40: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

コスト優位性があるエタンの供給量は、協調減産の影響も加わり既存のエチレン生産需要を満

たす程度に限られてきている。 サウジアラビアにおいては、エタンの価格を 2015 年末から上昇させ、供給は各プロジェクトへ政

策的に配分される状況となっている。その他の湾岸産油諸国もエタンに余剰は少なく、エチレンの

本格的な増産は 2025 年以降となる見込みである。 また、中東でのエチレン誘導品の生産は従来、汎用ポリエチレン、EG が中心であったが、付加

価値のある誘導品の生産が計画・実施され、川下展開も加わり、中東での石油化学製品の裾野

は広がっている。 サウジアラビアでの石油化学事業は、従来 SABIC や Saudi Aramco が中心で、外資との合弁

も含め推進されてきたが、近年では国内民間企業が参画したプロジェクトが実行されている。 また、中東諸国の国営企業による中東域外への進出、グローバル化も進められている。

特に Saudi Aramco は韓国、マレーシア、インドなどで石油化学プロジェクト推進を図り、外交関係

を深めている中国で大規模 Refinery-Chemical Complex を推進中である。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 3,551 2,818 50 2,768 0% 2% 50 79% JUPC, Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

LD 1,135 944 620 324 0% 66% 620 83% Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

HD 950 896 617 279 0% 69% 617 94% Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

SM 305 242 171 71 0% 71% 171 79% Sadaf, Chevron, Equate

EG 970 876 807 69 0% 92% 807 90% JUPC, Sharq, Perto Rabigh, TKOC

PVC 156 124 47 171 27% 0% ▲ 47 79% Petro Kemya

その他 200 200 200 0% 0% 0 100%

計AS C2 3,107 2,768 24 1,831 960 2% 66% 1,808 89%

プロピ 1,293 969 23 946 0% 2% 23 75% Saudi Kayan. Petro Rabigh, Sadara, Equate, Borouge

PP 959 880 601 279 0% 68% 601 92% Saudi Kayan, Petro Rabigh, Borouge

AN 10 9 30 39 77% 0% ▲ 30 90%

その他 30 30 30 0% 0% 0 100%

計AS C3 1,029 946 33 619 360 9% 65% 586 92%

ベンゼン 459 332 13 319 0% 4% 13 72% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

トルエン 250 212 13 225 6% 0% ▲ 13 85% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

キシレン 569 420 420 0% 0% 0 74% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

PX 455 336 280 56 0% 83% 280 74% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

PTA 151 85 133 218 61% 0% ▲ 133 56% Ibn Rushid

Page 41: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.2%)

主な新増設計画と検討状況

中東で 2017 年以降に 2022 年までに計画されている主要なエチレン新増設計画は次の通りで

ある。

国・立地 企業・事業名 能力

(千トン) 稼働年 備考

イラン Ilam 458 2019 #13 (※備考の記載は「世界の主要石油化学プラント」のイランの項目の符号に対応)

イランでは既に完成に近付いている上記のエチレンプロジェクトが稼働する見込みである。その

他のプロジェクトは、米国による経済・金融制裁により資金難並びに技術導入が困難となり、原料

天然ガス開発やインフラ整備も停滞する中、建設、稼働時期が見込めない状況となっている。 2030 年までを見据えると、上述したサウジアラビアでの原油から直接石油化学製品を生産す

るプロジェクトやナフサミックスベースでの UAE、オマーンでの新規大規模プロジェクトが計画され

ている。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

中東域内の急激な人口増加による就労機会創出と産業育成政策により、消費市場や工業用

途へ向けた高付加価値誘導品、加工品、さらにそのダウンストリームといった新規産業へ裾野を

拡大した域内需要拡大が見込まれる。 競争力のある中東地域の石油・天然ガスによる化学産業は安定稼働して、誘導品の輸出は需

要が拡大するアジア向けを中心に継続し、世界最大の輸出拠点として位置付けに変化はない。 注) 中東各国では石化製品の生産量や輸出等は統計として正式に発表されておらず、上記

生産量、需要量、輸出入量等は推定値である。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 3,704 3,210 25 3,185 0% 1% 25 87% JUPC, Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

LD 1,189 1,115 721 394 0% 65% 721 94% Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

HD 1,033 971 622 349 0% 64% 622 94% Sharq, Perto Rabigh, Sadara, Borouge

SM 305 271 187 84 0% 69% 187 89% Sadaf, Chevron, Equate

EG 1,028 958 872 86 0% 91% 872 93% JUPC, Sharq, Perto Rabigh, Yanpet, TKOC

PVC 156 143 73 216 34% 0% ▲ 73 91% Petro Kemya

その他 300 300 300 0% 0% 0 100%

計AS C2 3,384 3,185 37 1,983 1,238 3% 62% 1,947 94%

プロピ 1,394 1,156 45 1,111 0% 4% 45 83% Saudi Kayan. Petro Rabigh, Sadara, Equate, Borouge

PP 1,059 973 632 341 0% 65% 632 92% Saudi Kayan, Petro Rabigh, Borouge

AN 10 9 33 42 79% 0% ▲ 33 90%

その他 100 100 100 0% 0% 0 100%

計AS C3 1,202 1,111 36 651 496 7% 59% 615 92%

ベンゼン 541 450 78 372 0% 17% 78 83% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

トルエン 274 232 7 239 3% 0% ▲ 7 85% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

キシレン 1,031 883 883 0% 0% 0 86% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

PX 769 575 473 102 0% 82% 473 75% Aramco, Perto Rabigh, Satorp, Chevron

PTA 151 99 265 364 73% 0% ▲ 265 65% Ibn Rushid

Page 42: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

- 71 -

国・地域名:アフリカ

概況 長期的な観点で、アフリカ全体を一つの経済圏としてとして捉えると、豊富な化石エネルギーや

鉱物資源を保有している大陸で、人口が急増していく国の集合体として発展が期待されると観る

ことができる。人口について国連は、2030 年 17 億人と世界人口の 20%、2050 年には 25 億人

を超え、25%以上を占めると予測している。また特にサブサハラでは安定して高い経済成長を遂

げる国が表れてきた。 現在の一次資源輸出への依存が高い経済構造の中で資源価格の推移、そして人口増に伴う

都市化の進展によって、各国により程度の差は存在するが、全般的に順調な経済の拡大を遂げ

ている。ただし現状では C2、C3 の需要は世界全体の 2%程度に留まり、市場規模は小さい。 不安定な社会・経済情勢や富の偏在という課題や個別の議論はあるものの、2030 年までを見

通すと、資源輸出による歳入増加や人口増と都市化が経済成長を牽引して、着実に石油化学製

品の最終需要は高まっていくことが予想される。 さらに、政府・民間直接投資も資源輸出に頼らない経済を目指し、持続的な成長の基盤となる

インフラストラクチャーに対し積極的に行われ、長期的には世界の石油化学の需給バランスに影

響を与える市場となり得、併せて若い安価な労働力を活かした供給拠点としても発展していくこと

が期待される。 一方、現時点ではアフリカ大陸を一つの経済圏として石油化学産業を捉えることには無理があ

り、偏在している資源保有国や各国の成長度速度の差、政情の安定度といったことを主要因に、

大陸全体としてではなく国別・地域別の状況を注視していくことが短中期では現実的となる。国を

超えた地域経済融合、物流の整備、電化、ジェンダー、生活の質の向上などが課題に上げられる

と考えられる。 また、需要構造としては、繊維製品や合成樹脂製品が輸入され、拡大する人口と生活水向上

の消費を賄っているとの状況に変化は見られず、二次産業の発展といった産業基盤への進展に

はまだ時間がかかるものと考える。化石エネルギーも地場での石油化学産業の育成や投資へ進

める検討はなされているものの、政策的な石油化学産業への予算配分、本格的な外資の参入や

技術導入、エンジニアの人材育成が進む段階に至っていない状況であるとみられる。従い、一次

エネルギーの輸出に依存し、石化原料から誘導品、加工品、消費財へというバリューチェーンの

インテグレーションにはまだ時間がかかるとの観測が一般的である。 長期的な観点での資源、需要を有した大陸としての石油化学産業発展の可能性はあり、政治

的安定、都市化の加速、中間所得者の増加、インフラストラクチャーや製造・加工産業基盤の整

備、国や地域を跨いだ経済圏の確立が今後、長期的に観た石油化学産業成長のカギを握ると考

えられる。

Page 43: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2023 年までの石油化学プロジェクトは、エジプトでナフサを Feedstock とした計画が存在しエ

ンジニアリング会社との検討は進められているものの、実現へ向けた投資資金確保の目処が立

たず停滞している。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 221 165 5 160 0% 3% 5 75% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

LD 95 70 108 178 61% 0% ▲ 108 74% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

HD 82 61 133 194 69% 0% ▲ 133 75% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

SM 0 0 19 19 100% - ▲ 19 -

EG 0 0 12 12 100% - ▲ 12 -

PVC 79 47 78 125 63% 0% ▲ 78 59% TCI Sanmar, Sasol

その他 6 5 5 0% 0% 0 83%

計AS C2 223 160 297 0 457 65% 0% ▲ 297 72%

プロピ 176 128 10 118 0% 8% 10 72% Egyptan Propylene and Polypropylene, Sasol

PP 138 98 96 194 49% 0% ▲ 96 71% Egyptan Propylene and Polypropylene, Sasol

AN 0 0 5 5 100% - ▲ 5 -

その他 15 15 15 0% 0% 0 100%

計AS C3 157 116 104 0 220 47% 0% ▲ 104 74%

ベンゼン 49 15 10 5 0% 66% 10 31% Sonatrach

トルエン 3 1 2 3 80% 0% ▲ 2 15%

キシレン 30 26 26 0% 0% 0 85% Sonatrach

PX 24 20 20 0 0% 98% 20 85% Sonatrach

PTA 0 0 33 33 100% - ▲ 33 -

Page 44: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 3.2%)

主な新増設計画と検討状況

エジプト、アルジェリアでは石油化学プロジェクトの計画はあるものの、投資資金の目処が立た

ず実行にはまだ時間を要する。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

新規エチレンプラントの建設計画は不透明な状況が継続し、消費財としての繊維製品、合成樹

脂製品は特にサブサハラで増加するが、全般的にエチレン・プロピレン系誘導品の輸入量の規模

は小さく、世界の需給バランスに与える影響は限定的である。 注)アフリカ各国では石化製品の生産量等は統計として発表されておらず、上記生産量、需

要量、輸出入量等は推定値である。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 221 203 3 200 0% 1% 3 92% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

LD 95 84 185 269 69% 0% ▲ 185 88% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

HD 82 74 205 279 74% 0% ▲ 205 91% Sidi Kerir, Sasol, Ethydco

SM 0 0 21 21 100% - ▲ 21 -

EG 0 0 24 24 100% - ▲ 24 -

PVC 79 74 112 186 60% 0% ▲ 112 93% TCI Sanmar, Sasol

その他 6 6 6 0% 0% 0 100%

計AS C2 223 202 472 0 674 70% 0% ▲ 472 90%

プロピ 176 131 11 120 0% 8% 11 74% Egyptan Propylene and Polypropylene, Sasol

PP 138 103 170 273 62% 0% ▲ 170 75% Egyptan Propylene and Polypropylene, Sasol

AN 0 0 6 6 100% - ▲ 6 -

その他 15 15 15 0% 0% 0 100%

計AS C3 157 121 182 0 303 60% 0% ▲ 182 77%

ベンゼン 49 36 26 10 0% 72% 26 74% Sonatrach

トルエン 3 1 2 3 80% 0% ▲ 2 15%

キシレン 30 26 26 0% 0% 0 85% Sonatrach

PX 24 20 20 0 0% 98% 20 85% Sonatrach

PTA 0 0 32 32 100% - ▲ 32 -

Page 45: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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国・地域名:CIS

概況 ロシア経済は 2016 年に底を打って以来、緩やかな回復を続けており、2018 年の実質 GDP 成

長率は 1.5%程度を見込む。(2019 年以降の実質 GDP 成長率も同程度の成長率を予想。) 米国のトランプ政権発足当初、対ロ制裁方針の緩和が期待されたが、実際には両国の関係改

善はほとんど進んでいない。2017 年 8 月に続き、2018 年 4 月にも追加制裁が発動された。アル

ミなど一部セクターでは解除の動きもあるが、全体として大きな緩和の動きは見られない。 2018 年のロシア国内新車販売台数は前年比 13%増の 180 万台となり、前年に続いて増加。

但し、2011 年に記録した 294 万台レベルへの回復の道筋は描けておらず、今後も緩やかな回復

となる見通し。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2014 年に勃発した政治問題に端を発する欧米の対ロ制裁や禁輸処置に対抗すべく、ロシアは

産業の国産化政策を強く推進しており、化学品分野においてはポリオレフィンを中心とした工場新

設案件が多数計画されている。また、極東地区においては、地理的な利点を生かしてアジア市場

を見据えた石化/ガス化学コンプレックス開発計画も進められている。 CIS 各国においては、今後数年、肥料及び汎用化学品製造(主にポリオレフィン)の新設が計

画されており、国内消費向けに留まらず、積極的に輸出する動きが出てきている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 454 363 0 0 363 0% 0% 0 80% Kazanorgsintez, Sibur-Kstovo, Gazpromneftkhim Salavat, etc.

LD 116 96 13 23 86 15% 24% 10 83% Tomskneftkhim, Nizhnekamsk Neftekhim, Ufaorgsintez, etc.

HD 177 146 21 14 153 14% 10% ▲ 7 82% Kazanorgsintez, Uz-Kor Gas Chemical, Stavrolen, etc.

SM 77 69 0 20 49 0% 29% 20 90% Nizhnekamsk Neftekhim, Gazpromneftkhim Salavat, etc.

EG 70 31 5 4 32 16% 13% ▲ 1 44% Sibur Neftekhim, Nizhnekamsk Neftekhim, etc.

PVC 132 97 18 7 108 17% 7% ▲ 11 73% Rusvinyl, Sayanskkhimplast, Bashkhir Soda Company, etc.

その他 76 11 0 3 8 0% 26% 3 15%

計AS C2 507 346 47 49 344 14% 14% 2 68%

プロピ 283 245 0 24 221 0% 10% 24 87% Sibur-Tobolsk, Nizhnekamsk Neftekhim, Lukoil-NNOS, etc.

PP 165 159 9 32 136 7% 20% 23 96% Sibur-Tobolsk, Nizhnekamsk Neftekhim, Poliom, etc.

AN 29 29 0 20 9 0% 70% 20 100% Saratovorgsintez

その他 55 45 3 8 40 7% 18% 5 82%

計AS C3 256 240 9 55 194 5% 23% 45 94%

ベンゼン 198 147 0 14 133 0% 10% 14 74% Gazpromnefkhim Salavat, Nizhnekamsk Neftkhim, etc.

トルエン 38 35 0 1 34 0% 3% 1 93% Omsk Refinery, Slavneft-Yaroslavnefteorgsintez, etc.

キシレン 90 62 0 1 61 0% 2% 1 68% Omsk Refinery, Ufaneftekhim, etc.

PX 52 38 0 17 21 0% 45% 17 74% Omsk Refinery, Bashneft, etc.

PTA 26 26 21 0 47 45% 0% ▲ 21 100% Polief (Sibur)

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.5%)

主な新増設計画と検討状況

(千トン) (稼働時期) エチレン

TURKMENGAZ 400 新設 2018 年 Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 250 新設 2019 年 Novy Urengoy GCC 420 新設 2020~21 年 FEPCO 700 新設 2022 年 ZapSibNeftekhim (Sibur) 1,500 新設 2021~22 年

LDPE

Novy Urengoy GCC 400 新設 2019~20 年 ZapSibNeftekhim (Sibur) 400 新設 2021~22 年

HDPE

SOCAR Polymer 120 新設 2018 年 Turkmengaz (Turkmenistan) 390 新設 2018 年 Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 345 新設 2019 年 UZBEKNEFTEGAS(Shurtan,Uzbekistan) 375 増設 2019 年 ZapSibNeftekhim (Sibur) 1100 新設 2021~22 年 FEPCO 900 新設 2022 年

PVC

NavoiyAzot (Uzbekistan) 100 新設 2018 年

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 781 625 0 0 625 0% 0% 0 80% FEPCO, Kazanorgsintez, Sibur-Kstovo, etc.

LD 196 161 4 71 94 4% 44% 67 82% ZapSibNeftekhim, Tomskneftkhim, Nizhnekamsk Neftekhim etc.

HD 490 380 10 170 220 5% 45% 160 78% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Kazanorgsintez, etc.

SM 77 75 0 22 53 0% 29% 22 99% Nizhnekamsk Neftekhim, Gazpromneftkhim Salavat, etc.

EG 70 34 5 6 33 15% 18% 1 48% Sibur Neftekhim, Nizhnekamsk Neftekhim, etc.

PVC 142 105 18 7 116 15% 7% ▲ 11 74% Rusvinyl, Sayanskkhimplast, Bashkhir Soda Company, etc.

その他 76 13 0 3 10 0% 24% 3 17%

計AS C2 916 662 27 260 429 6% 39% 234 72%

プロピ 417 363 0 26 337 0% 7% 26 87% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Sibur-Tobolsk, etc.

PP 386 328 9 128 209 4% 39% 119 85% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Sibur-Tobolsk, etc.

AN 33 33 0 22 11 0% 68% 22 100% Saratovorgsintez

その他 55 49 0 5 44 0% 10% 5 90%

計AS C3 488 423 9 156 276 3% 37% 147 87%

ベンゼン 204 160 0 15 145 0% 9% 15 78% Gazpromnefkhim Salavat, Nizhnekamsk Neftkhim, etc.

トルエン 38 38 0 1 37 0% 3% 1 100% Omsk Refinery, Slavneft-Yaroslavnefteorgsintez, etc.

キシレン 90 67 0 1 66 0% 1% 1 75% Omsk Refinery, Ufaneftekhim, etc.

PX 128 94 0 18 76 0% 19% 18 74% Omsk Refinery, Bashneft, etc.

PTA 47 42 22 0 64 35% 0% ▲ 22 88% SAFPET, Polief (Sibur)

Page 47: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

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(千トン) (稼働時期) プロピレン

ZapSibNeftekhim (Sibur) 500 新設 2019 年 SOCAR Ethylene-Propylene 130 増設 2018 年 Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 110 増設 2019 年 FEPCO 600 新設 2022 年

PP

Turkmengaz (Turkmenistan) 80 新設 2018 年 SOCAR Polymer (Azerbaijan) 180 新設 2018 年 ZapSibNeftekhim (Sibur) 500 新設 2018 年 Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 250 新設 2019 年 KPI Inc. (Kazakhstan, UCC) 500 新設 2021 年 FEPCO (Rosneft) 700 新設 2022 年

AN

Saratovorgsintez 40 増設 2018 年 パラキシレン

Bashneft (Rosneft) 100 増設 2018 年 Taneko (Nizhnekamsk) 160 新設 2019 年 Atyrau Refinery(KMG,Kazakhstan) 500 増設 2019 年

PTA

SAFPET 210 新設 2019 年 ベンゼン

Taneko (Tatneft) 64 新設 2019 年

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

ロシア政府は化学品の輸入代替策を急いでおり、石化大手各社はポリオレフィン、ポリエステル

原料等の増産・新設計画を推進する。特にポリオレフィンにおいては輸出を前提とした新設計画で

あり、計画が実行されれば 2022 年頃までに大規模な輸出ポジションとなる見込み。なお、カザフ

スタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン等の各国でも、政府の産業多角化の

意向に支えられ、いくつかの汎用石化製品のプロジェクトの推進が想定されており、今後緩やかな

輸出ポジションへの移行が想定されている。

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国・地域名:米 国

概況 2018 年 11 月の中間選挙の結果、上院、下院でねじれ議会となったトランプ政権は、政権運営

に困難な状況が予想され、公約実現を目指す現政権との議会内での軋轢が、経済減速リスクと

なる懸念や、米中経済摩擦、合意なき BREXIT の影響による欧州の混迷等世界経済の先行き不

透明感から、米国経済も先行き視界不良となっている。2018 年 12 月 4 日に、長短金利逆転とな

り、それが近い将来のリセッション到来を示唆するとの見方が生じ、先行きの不透明感を増幅する

情勢となった。 しかしながら、現状は、トランプ減税や公共投資を背景に、米経済は個人消費の伸びを中心に

未だ好調を維持し、失業率も史上最低レベルを維持している。減税効果が終了する 2020 年以降

は米経済も減速に向かうとの見通しがあるものの、足許は好調を維持している状況。 一方、2019 年 1 月の FOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)は、世

界的な株安、米中経済摩擦、米経済指標の鈍化を受けて、想定していた 2019 年2回の利上げを

一時停止し、政治判断を様子見するとの意向を表明、引き締め路線の一時停止の可能性を示唆

した。 IMF WEO の直近 1 月の見直しで、米経済の成長見通しを潜在成長率レベルの 2019 年 2%、

2020 年 1.9% に下方修正した。 現時点での、米国の主要経済指標は以下の通り:

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

2014 2015 2016 2017 2018

米国実質GDP成長率(季調値)(前年同期比%)

(出所:Bloomberg、米国経済分析局)

Page 49: 国別データシート - Minister of Economy, Trade and Industry...年のエチレン国内生産量は、前年の 627.9 万トンから653.0 万トンへ4%、プロピレンの

- 78 -

3.54.04.55.05.56.06.57.0

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1 2019/1

米国失業率(季調値)

(出所:Bloomberg、米国労働統計局)

(%)

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1

住宅着工件数(季調値)

(出所:Bloomberg、米国国勢調査局)

(千件)

15.015.516.016.517.017.518.018.519.0

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1 2019/1

米国自動車販売台数(季調値)(百万台)

(出所:Bloomberg、ワーズ・オートモーティブ・グループ)

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今後、変化の激しい世界情勢、 特に各分野での覇権争いの様相を呈してきた、米中経済摩

擦の行方、合意無き Brexit の方向に進む、英国及び欧州の政治経済の混迷、中国・米国の景気

過熱に伴う、過剰債務リスク、財政赤字拡大等の懸念材料、FRB の利上げ等景気過熱に対する

かじ取り、ねじれ議会で滞る米国行政の影響等、今後の推移・成り行きに注視する事が肝要。 上述の好調を継続する米国の経済環境を背景に、昨年度から、DowDupont のメガコンプレッ

クスを皮切りに順次稼働を開始した米国のシェール由来のメガコンプレックスが、予想通り、グ

ローバルな石化市場に影響を与え始めた。 一方で、中長期的(2040~2050 年頃)に見ても、米国に豊富に存在する競争力ある石化原料

464850525456586062

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1 2019/1

米国PMI指数(ISM製造業指数)

(出所:Bloomberg、米供給管理協会)

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- 80 -

やグローバルなメガトレンドに沿い、継続的に増大する石化需要を背景に、建設コストの上昇によ

る負の要因があるものの、米国においてシェール由来のエタンコンプレックスの更なる新増設計画

が予定されており、2030 年を目途に米国のエチレン製造能力が 5 千万㌧規模に拡大する見通し

となっている。エチレン系の新増設が進む一方、プロピレン系が限定的な増設に留まり、ブタジエ

ン関連、芳香族関連の増設が現状では計画されていないところが対照的である。芳香族に関して

は、現状 FS 中の、Motiva=Saudi Aramco のメガプロジェクト(製油所増強、オレフィンコンプレッ

クス、アロマプロジェクト(Benzene/PX))が FID となるか否かが注目される。(今回の見直しには含

めず)

<米国 エチレン 新増設計画>

c.f. (Unit:1,000MT/YR)2017 2020 2020→2025 2025→2030

4,300 9,000Shell Monaca 1500 SabicTotal P Aurther 1000 MotivaEM/Sabic 1800 CP/Dow/EM/FPCetc

↓ ↓

30,269 40,698 44,998 53,998

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現状及び今後の見通し 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

2009 年以降実用化が進んだシェール革命は、まず第一に天然ガス及び原油の需給・市況に

多大の影響を与え、その後、世界最大のエネルギー製造国となった米国からの Light Tight Oil(シェールオイル)、 Condensate(Lease Condensate(LC)、Plant Condensate(PC))、LNG、

NGL(エタン、プロパン、ブタン)輸出が常態化し、さらには、豊富に存在する原料を利用した石化

製造設備の新増設がブームを到来させた。 同時に、石化原料用途のエタン、LPG の輸出も出荷設備の新増設により増大。米国内のみな

らず、米国産シェール由来原料(含むメタノール)をベースにした新規石化プロジェクトが、欧州・イ

ンド・ブラジル・中国でグローバルに展開され始めた。 これら新増設やシェール由来原料の利用が、グローバルな需給の観点からみれば、秩序ある

新増設計画が期待される。 しかしながら、昨年度 1Q 以降の DowDupont /Chevron Phillips/ExxonMobil の 1.5 Mil Ton

のメガコンプレックスの稼働開始以降、予想通り、米国がエチレン系石化品の一大輸出基地化し、

懸念通りグローバルな石化需給、市況に影響を与え始めている。同時にスタートした世界二大経

済大国の米中経済摩擦も大きく影響し、グローバルなトレードに大きな変化をもたらした。 2018 年を終え、輸出入統計資料を基に現状を簡易分析した結果、以下の変化が生じている点

が指摘・強調される。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 3,027 2,746 1 18 2,729 0% 1% 17 91% Equister, DowDupont, ExxonMobil, Chevron Phillips

LD 859 773 43 153 663 6% 20% 110 90% ExxonMobil, DowDupont, Westlake, Chevron Phillips

HD 812 742 110 203 649 17% 27% 93 91% Equister, Chevron Phillips, ExxonMobil, FPC

SM 499 449 62 191 320 19% 43% 129 90% Ineos Styrolution, LyondellBasel, Cosmer, American Styrenics

EG 227 204 86 63 227 38% 31% ▲ 23 90% Huntsman, Shell, FPC, Indorama, DowDupont

PVC 870 811 24 273 562 4% 34% 249 93% Shintec, FPC, Oxyvinyl, Westlake

その他 490 460 490 460 490 100% 100% ▲ 30 94%

計AS C2 2,905 2,659 243 595 2,308 11% 22% 351 92%

プロピ 1,956 1,465 21 57 1,429 1% 4% 36 75% Equister, DowDupont, ExxonMobil, Enterprise, Shell, CP

PP 834 751 22 115 658 3% 15% 93 90% Braskem PP Americas, LyondellBasell, ExxonMobil, Total

AN 158 110 1 33 78 1% 30% 32 70% Ineos, Ascend, Cornerstone

その他 667 540 667 600 607 110% 111% ▲ 67 81%

計AS C3 1,697 1,433 24 154 1,303 2% 11% 131 84%

ベンゼン 839 520 144 17 647 22% 3% ▲ 127 62% ExxonMobile, Marathon, Shell, FlintHills

トルエン 573 269 25 28 266 9% 10% 3 47% ExxonMobil, Marathon, Citgo, Phillips 66

キシレン 830 498 5 19 484 1% 4% 14 60% ExxonMobil, Marathon, FlintHills, BP

PX 369 313 38 116 235 16% 37% 78 85% BP, ExxonMobil, FlintHills

PTA 353 317 69 5 381 18% 2% ▲ 64 90% BP, Indorama, DAK

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1)石化事情の変化 輸出側の視点で見れば、米国からの輸出は年々増加傾向にあり、2018 年度は、エチレン生産、

及びエチレン誘導品の輸出が大きく増大した。しかしながら、仕向け先は、米中貿易摩擦の影響

もあり、過去から大きくは変化せず、圧倒的に北米(カナダ・メキシコ)、中南米への輸出が太宗と

なっている。 2018 年の直近を見れば、米中摩擦による関税上昇以降の 9 月から顕著に中国向

けが減少傾向となっているが、一方で、中国を取り巻く近隣アジア諸国への輸出が急増する形と

なり、スワップによる実質中国需要への対応という形になっている。更に、欧州がこの機会を利用

した中継貿易を活発化させており、これも実質中国需要をベースとしたトレードの動きとなっている。 需要面から見れば、経済成長の鈍化が見られる中国は、自生の生産増もあるものの、エチレン誘

導品の輸入が総じて増加傾向にあり、巨大市場中国の需要の伸びが現状のグローバルな供給

増を支える形となっている。

米国の大手(DOW/CP/EM)によるメガコンプレックスが 2017 年 4Q~2018 年 1Q にかけ稼動

後、2018 年実績として、予想通り、2017 年比エチレン生産は 9.5%増、エチレン誘導品輸出は

13%と大幅増、内需は予想通り米国 GDP 成長率レベルの 2.4%増となった。 エチレン誘導品輸出は既にエチレン換算で 8 百万トン程度となり、一大輸出基地の様相を呈し

てきた。本年度稼動予定の 5 基 4 百 72 万トンを加えると更なるエチレン誘導品輸出がグローバ

ルなマーケットに影響を与える事となる見込み。

2)米中経済摩擦と Oil and Gas、石油化学業界への影響 今や GDP で、世界第一位と第二位となった両国による経済摩擦は、IT 関連のみならず、種々

局面における覇権争いの様相を呈しており、都度状況変化や対応が期待されるものの、交渉が

長期化する可能性が懸念される。

シェール革命により、世界最大の資源国となった米国は、Shale Oil=Tight Oil, Plant/Lease Condensate, Natural Gas(LNG),NGL(Ethane, Propane,)の輸出を加速させ、今や世界最大の

エネルギー消費国となった中国との関係が一層重要になってきている。 これらエネルギーが、メタノールを含め、中国における石化業界の重要な原料となっている上、

米国で大きく規模を拡大するシェール由来の石化品は、エチレン誘導品を中心に一大輸出基地

化し、メガコンプレックスの稼働と同時に輸出を拡大し、その向け先が世界最大の石化需要国で

ある中国に直接、間接的に対象国となっている。 更には、その石化品を利用して中国で製造した最終製品、プラスチック製品、繊維製品等の最

大の輸出先、マーケットは米国となっている。

又、エンジニアリング分野でも、建設費の高騰が見られる米国での Location Factor の上昇か

ら、プラント建設の hollowing out と米国からの原料供給の組み合わせ(米国品プロパンと中国で

の PDH Project, 米国品メタノールと中国での MTO Project, 米国品エタン、LPG とエチレンク

ラッカーの組み合わせ)の方向性やプラント建設のモジュール工法の増大が皮肉的な状況を作り

出している。

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2%)

主な新増設計画と検討状況

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 4,332 3,899 1 350 3,550 0% 9% 349 90% Equister, EM, CP, DowDupont, Shell, Ineos

LD 1,307 1,177 45 560 662 7% 48% 515 90% EM, DowDupont, Equister, Westlake

HD 1,150 1,035 130 450 715 18% 43% 320 90% CP, EM, DowDupont, Equister, FPC

SM 499 449 50 180 319 16% 40% 130 90% Styrolution, LBI, Cosmar, AS

EG 446 401 100 270 231 43% 67% 170 90% Huntsuman, Shell, FPC, LACC, MEG

PVC 899 836 25 300 561 4% 36% 275 93% Shintech, FPC, Oxy

その他 490 460 10 100 370 3% 22% 90 94%

計AS C2 3,855 3,502 272 1,397 2,377 11% 40% 1,125 91%

プロピ 2,083 1,542 50 20 1,572 3% 1% ▲ 30 74% Equister, DowDupont, EM, Shell, CP, Ent

PP 964 868 30 100 798 4% 12% 70 90% LBI, Braskem, EM, Total

AN 158 110 1 25 86 1% 23% 24 70% Ineos, Ascend

その他 667 540 10 100 450 2% 19% 90 81%

計AS C3 1,831 1,554 32 130 1,456 2% 8% 98 85%

ベンゼン 839 520 250 0 770 32% 0% ▲ 250 62% Conoco, Gulf, Citgo, Phillips 66

トルエン 573 270 40 0 310 13% 0% ▲ 40 47% EM, Marathon, Flint Hills, Citgo

キシレン 905 543 15 50 508 3% 9% 35 60% EM, Marathon, BP, CP, Citgo

PX 369 313 55 100 268 21% 32% 45 85% BP, EM, Flint Hills, CP

PTA 450 406 80 80 406 20% 20% 0 90% BP, DAK, Eastoman, Indorama

Project Location Capacity 2017 2018 2019 2020 2021 2022 Up to 2025 Upto 2030 Derivatives Remarks

① De-Bottleneck Expansion Various 875

② Oxy/Mexichem JV Ingleside, TX 550 ○ VCM 1Q 17

③ DowDupont Freeport, TX 1,500 ○ Dow L-L 650/LD 375Oyster Creek → 2,000     ○ EG (ME Global mid '19)

④ EM(Exxon mobil) Bay Town, TX 1,500 ○ HD 650/L-L 650

⑤ CP(ChevronPhllips) Cedar Bayou, TX 1,500 ○ HD 500/L-L 500

⑥ FPC(Formosa Plastic) USA Point Comfort, LA 1,250 ○ LD 625/HDPE 400 1Q 19EG 800

⑦ Shintech Plaquemine, LA 500 ○ EDC/VCM/PVC 3Q-4Q 18

⑧ Sasol Lake Charles, LA 1,500 ○ L-L 470/LD 420 Jul-19HD 470/EO 300/ZA

⑨ Lotte/Axiall (LACC LLC) Lake Charles, LA 1,000 ○ EOG/PE 2020 Start?

⑩ Indorama Ventures PCL Lake Charles, LA 420 ○

⑪ Croda Chemicals New Castle 24 ○

⑫ Bayport Polymers Port Arthur, TX 1,000 ○ Borstar PE 625KT 2021 1Q(Total/Borealis/Nova JV)

⑬ Shell Monaca 1,500 ○ 2021 750 / 22 750

⑭ EM/Sabic San Patricio, TX 1,800 ○ 2022(Corpus Christi)

⑮ Other Projects Various : Not only 9,000 ○Braskem, PTTPC TX/LA but other

various location

NB③ 2017~2025 2017~2030

Total Capacity Expansion 9,000 14,544 23,544

De-Bottleneck

875

New Bulding① NB②

10,244 4,300

1st Wave

2nd Wave

3rd Wave

Together withPossible 2nd Round Mega-Complex by Majors(Dow/EM/CP=4.5 Mil Ton)↓Another 10 Mil Ton?

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需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

2023 年までの新増設計画に基づく生産能力の増強としては、エチレンで 1,300 万トン、プロピ

レンで 127 万トンを加算した。 米国では堅調な経済成長を基に内需の伸びも期待されるが、現状で既にエチレン換算で約

800 万トン、プロピレン換算で約 100 万トンの輸出超過となっており、今後稼働する新増設計画の

大部分が輸出に向けられると予想され、特に誘導品としての PE、EG を中心とした輸出増が 2019~20 年以降のグローバルなマーケットに与える影響が懸念される。

また、エチレンでの輸出も増加傾向にあり、今後の輸出用ターミナルの増強次第で、更に増加

するものと予想される。

Project Location Capacity Process 2017 2018 2019 2020 Beyond 2020 Derivatives Remarks

② Enterprise Mont Belvieu, TX 750 PDH ○

③ FPC Point Comfort, LA 600 Steam Cracker → → → ○ PP 2022

④ Flint Hills Houston 167 PDH ○

④ Indorama Ventures lake Charles 20 Steam Cracker ○

⑥ BASF Freeport 475 Catalytic Cracking ○ ?

⑦ Sunoco Logistics Marcus Hook 500 PDH ○ PP ?

2,512

NB-② NB-③

Total Capacity Expansion 600 975

New Building

937

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国・地域名:カナダ

概況 カナダ経済は 2017 年末以降の原油価格の上昇、安定が好材料となり、概ね堅調に推移し、

2018 年も好調な世界経済や、個人消費が牽引し、堅調に推移、失業率も過去最低レベルとなっ

ている。米国発の NAFTA 再交渉が先行きの不透明感をもたらし、設備投資も低迷する局面が

あったが、2018 年 9 月に USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に合意したことで、懸念が和らぎ、

足許で設備稼働率が上昇しており、優遇税制も相俟って、設備投資の拡大を後押しするものと期

待されている。ただし、資源に傾注する点で、原油価格の低迷がエネルギー関連の設備投資縮小

リスクを生じさせる懸念、更には、米中経済摩擦、覇権争いの影響や、Huawei 問題に起因する対

中関係等懸念材料が見られる。IMF WEO の 2019 年 1 月改訂(見通し)では、カナダ経済の成

長率を 2019 年 2.046%、2020 年 1.819%と予測。政策金利は緩やかな上昇基調をたどると予

想される。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

アルバータ州でのオイルサンド・在来ガス、ブリティッシュコロンビア州でのシェール等、資源大

国であり、大いに石化分野での潜在的な可能性を秘めているものの、寒冷地、インフラ整備、環

境保護、原住民との調整等を背景に新規計画の進捗は遅々としているが、米国トランプ政権の影

響もあり、懸案のパイプライン計画(KeystoneXL/Trans Mountain)が進み始め、今後の石化分野

への好影響が期待される。 また、Interpipeline 社による PDH 及び PP 計画が 2017 年末に FID(final investment

dicision:最終的な投資計画の決定)となり、2021 年後半の完成、稼働を目指す状況。これに加

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 535 481 1 1 481 0% 0% 0 90% Nova, DowDupont, Imperial Oil

LD 265 225 28 36 217 13% 16% 8 85% Nova, DowDupont, Imperial Oil

HD 163 130 38 101 67 56% 77% 63 80% Nova, DowDupont, Imperial Oil

SM 88 79 1 59 21 5% 74% 58 90% Shell, Ineos Styrolution

EG 177 151 1 155 (4) -29% 103% 154 85% ME Global, Shell, Alberta & Orient Gly

PVC 27 25 49 17 57 86% 67% ▲ 32 92% Oxyvinyl

その他 4 3 4 3 4 91% 88% ▲ 1 90%

計AS C2 589 495 92 268 319 29% 54% 176 84%

プロピ 82 61 1 21 41 2% 34% 20 74% Nova, Shell, Interpipeline, Imperial Oil

PP 0 0 28 3 25 112% - ▲ 25 - Interpipeline, CKPC/Pembina

AN 0 0 1 0 1 100% - ▲ 1 -

その他 44 40 44 40 44 101% 101% ▲ 4 90%

計AS C3 44 40 30 3 67 45% 8% ▲ 27 90%

ベンゼン 112 67 6 12 61 10% 18% 6 60% Shell, Nova

トルエン 89 80 9 1 88 10% 1% ▲ 8 90% Shell, Petro-Canada, Suncor

キシレン 61 54 13 1 66 20% 2% ▲ 12 90% Petro-Canada, Shell, Suncor

PX 35 31 0 0 31 0% 0% 0 87% Parachem

PTA 65 55 0 0 55 0% 0% 0 85% Indorama

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え、プロピレン誘導品の拡充計画も進められている。他には CKPC(Pembina 社と Kuwait 石油公

社の合弁)による同様の PDH/PP プロジェクトも進んでいる。

将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2%)

主な新増設計画と検討状況

(※2.現状(2)石化産業の最近の動き と同様) Interpipeline 社による PDH 及び PP 計画が 2017 年末に FID(final investment dicision:最

終的な投資計画の決定)となり、2021 年後半の完成、稼働を目指す状況。これに加え、プロピレ

ン誘導品の拡充計画も進められている。他には CKPC(Pembina 社と Kuwait 石油公社の合弁)

による同様の PDH/PP プロジェクトも進んでいる。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

需要の伸びは限定的であり、輸出バランスが継続される。隣接する巨大米国市場に依存する

構造から、輸出先の多様化が求められる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 575 489 20 0 509 4% 0% ▲ 20 85% Nova, DowLD 265 239 30 30 239 13% 13% 0 90% Nova, DowHD 163 139 40 135 44 92% 97% 95 85% Nova, DowSM 88 79 400 0 479 83% 0% ▲ 400 90% Shell, StyrolutionEG 153 135 1 136 0 - 101% 135 88% ME Global, Shell

PVC 26 25 45 15 55 82% 60% ▲ 30 96% Oxyvinylその他 4 3 0 0 3 0% 0% 0 89%

計AS C2 573 506 210 267 449 47% 53% 57 88%プロピ 181 145 1 106 40 3% 73% 105 80% Imperila Oil, Nova, ShellPP 105 0 30 0 30 100% - ▲ 30 - Interpipeline, PambinaAN 0 0 1 1 0 - - 0 -

その他 44 40 0 0 40 0% 0% 0 90%計AS C3 152 40 32 1 71 45% 3% ▲ 31 26%ベンゼン 112 67 10 2 75 13% 3% ▲ 8 60% Shell, Novaトルエン 89 80 15 0 95 16% 0% ▲ 15 90% Shell, Petro-Canadaキシレン 61 55 25 0 80 31% 0% ▲ 25 90% Petro-Canada, Suncor, ShellPX 35 31 5 0 36 14% 0% ▲ 5 87% Parachem

PTA 65 55 10 0 65 15% 0% ▲ 10 85% Indorama

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国・地域名:メキシコ

概況 メキシコ経済は、輸出の 8 割を占める米国経済に依存する構図に変化は見られない。 特に対米の自動車輸出が際立つ。2018 年 7 月 1 日の選挙でロペス・オブラドール氏が大統領

に選出され、新政権への期待感、及び 9 月末に合意した USMCA により、NAFTA 崩壊のリスク

が後退し、通貨ペソも回復した。ロペス政権は、社会保障やインフラ投資、石油精製施設への投

資等積極策を打ち出しているものの、財源確保や産業界との対立が懸念されている。 IMF WEOの直近の見通しでは、2019 年 2.524%、2020 年 2.726%と堅調な成長見通しとなっている。エネ

ルギー改革の一環として、石油開発事業に外資参入機会を開いたことによりメジャーの開発投資

が進むことが期待されるが、国営石油会社 Pemex の長年の企業体質に大きな変化は見られず、

むしろ米国からの資源輸入も継続され、今後の展開が注視される。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

新規石化コンプレックスの Braskem-Idesa が 2016 年 4 月に稼働を開始したものの、原料不

足 か ら 、 稼 働 が 安 定 し な い 状 況 が 続 い た 。 米 国 品 原 料 の 輸 入 、 受 け 入 れ 設 備 、

PajaritosTerminal を建設し、今後米国の NGL 輸入により稼働の安定、競争力の確保を図る見

通し。 Braskm-Idesa の稼働開始により、エチレン系はようやくバランス上、輸出に貢献し始めている

が、プロピレン系及び芳香族は引き続き不足バランスであり、輸入が必要である。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 225 203 1 0 204 0% 0% ▲ 1 90% Pemex, Braskem-Idesa

LD 87 69 40 20 89 45% 29% ▲ 20 80% Pemex, Braskem-Idesa

HD 98 78 61 35 104 58% 45% ▲ 26 80% Pemex, Braskem-Idesa

SM 0 0 70 0 70 100% - ▲ 70 - Pemex

EG 50 32 29 0 61 48% 0% ▲ 29 64% Idesa, Pemex

PVC 82 70 26 35 61 42% 50% 9 86% Mexichem

その他 39 10 39 35 14 279% 350% ▲ 4 26%

計AS C2 299 216 155 74 297 52% 34% ▲ 82 72%

プロピ 144 60 27 0 87 31% 0% ▲ 27 42% Indelpro, Pemex, Braskem-Idesa

PP 59 50 57 3 104 55% 6% ▲ 54 85% Indelpro

AN 0 0 8 0 8 100% - ▲ 8 - Unigel

その他 35 32 35 32 35 101% 102% ▲ 3 90%

計AS C3 96 83 67 3 147 46% 4% ▲ 64 87%

ベンゼン 16 8 1 2 7 14% 24% 1 50% Pemex

トルエン 38 32 5 1 36 14% 3% ▲ 4 85% Pemex

キシレン 48 34 1 1 34 3% 3% 0 71% Pemex

PX 0 0 94 0 94 100% - ▲ 94 -

PTA 153 138 0 62 76 0% 45% 62 90% Petrocel, Temex

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将来見通し 需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2 %)

主な新増設計画と検討状況

Braskem 65%、Idesa 35%の合弁による新規エチレンコンプレックスの建設がベラクルス州

Nanchital で完成し、2016 年 1Q から生産開始している(エチレン 100 万トン、LDPE 30 万トン、

HDPE 75 万トン)。ただし、それ以降の新規プロジェクトは現状計画されていない。

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

現メキシコの石化は品目により異なるものの、基本的に不足バランスで、米国からの輸入に頼

る状況であり、内需の増加もあり、基本的な不足バランスが継続する見込みである。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 225 203 70 0 273 26% 0% ▲ 70 90% Pemex, Braskem-Idesa

LD 87 69 60 10 119 50% 14% ▲ 50 80% Pemex, Braskem-Idesa

HD 98 78 90 60 108 83% 77% ▲ 30 80% Pemex, Braskem-Idesa

SM 0 0 100 0 100 100% - ▲ 100 - Pemex

EG 50 32 35 0 67 52% 0% ▲ 35 64% Idesa, Pemex

PVC 82 71 30 30 71 43% 43% 0 86% Mexichem

その他 39 10 0 0 10 0% 0% 0 26%

計AS C2 299 216 220 87 348 63% 40% ▲ 132 72%

プロピ 144 60 30 0 90 33% 0% ▲ 30 42% Indelpro, Pemex

PP 69 59 60 0 119 51% 0% ▲ 60 85% Indelpro

AN 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 - Unigel

その他 35 32 0 0 32 0% 0% 0 91%

計AS C3 106 92 73 0 165 44% 0% ▲ 73 87%

ベンゼン 16 8 3 0 11 27% 0% ▲ 3 50% Pemex

トルエン 38 32 10 0 42 24% 0% ▲ 10 85% Pemex

キシレン 48 34 6 0 40 15% 0% ▲ 6 71% Pemex

PX 0 0 120 0 120 100% - ▲ 120 - Pemex

PTA 153 138 1 45 94 1% 33% 44 90% Petrocel, Temex

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国・地域名:ブラジル

概況 2018 年のブラジル政治は大きく転換。ルーラ投獄とボルソナーロの当選。斯様な政治的不安

定、並びに外的要因としての米中経済摩擦による影響、ベネズエラ等近隣ラテン諸国の低迷等

によりメルコスール内での経済停滞等、ブラジル経済の成長も鈍化し、停滞感が否めない。ボル

ソナーロ新政権は年金改革、国営企業の民営化、インフラ投資強化などの政策を掲げ停滞脱出

を狙っており、新政権の運営が期待される。IMF WEO の直近の見直しでは、2019 年 2.372%、

2020 年 2.269%の成長見通しとなっている。

現状 需給総括表(2017年)

(単位:万トン、%)

石化産業の最近の動き

原油市況の低迷、Petorbras の汚職問題等により、新規プロジェクトである Comperj 計画(Rio de Janeiro Petrochemical Complex)が遅々として進んでいない。リオデジャネイロ沖のプレサル

原油をベースとした大型石化プロジェクトは、主体が Petorbras から Braskem に移る等の変化も

あり、進展が見られない。経済が停滞する中、新規プロジェクトへの投資も滞り、当面は石化での

大きな変化は期待できない状況である。 2006 年以降、Petrobras が保有する Braskem の株式売却問題が決着しておらず、中国

CNPC, Saudi Aramco, Canada Brookfield Asset management の三社が買収の候補として名

前が挙がっている。 また、Comperj 計画は中国 CNPC との合弁を模索するなど事態が混沌とし

ている。 さらには、Braskem の最大株主である、Odebrecht も Braskem 株の売却を検討するな

ど混乱に拍車をかけていると報じられている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 395 336 0 9 327 0% 3% 9 85% Braskem

LD 173 147 28 57 118 24% 39% 29 85% Braskem

HD 133 113 24 38 99 24% 34% 14 85% Braskem

SM 54 46 11 1 56 20% 2% ▲ 10 85% Unigel, Innova

EG 30 31 15 1 45 34% 3% ▲ 14 104% Oxiteno

PVC 101 101 30 13 118 25% 13% ▲ 17 100% Braskem, Unipar Indupa

その他 10 10 10 10 10 100% 100% 0 100%

計AS C2 403 355 80 103 333 24% 29% 22 88%

プロピ 279 223 0 7 216 0% 3% 7 80% Braskem, Petrobras

PP 185 157 21 35 143 15% 22% 14 85% Braskem

AN 10 9 0 8 1 0% 94% 8 85% Acrinor

その他 57 51 57 51 57 99% 99% ▲ 6 90%

計AS C3 258 223 22 45 199 11% 20% 23 86%

ベンゼン 105 84 0 26 58 0% 31% 26 80% Braskem, Petrobras

トルエン 61 55 0 4 51 0% 7% 4 90% Braskem, Petrobras

キシレン 65 62 0 1 61 0% 2% 1 95% Beaskem, Petrobras

PX 21 18 9 1 26 34% 5% ▲ 8 89% Braskem

PTA 70 60 26 1 85 31% 2% ▲ 25 85% Petroquimica Suape

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一方、最近の動向として、リオ沖 Santos Basin Field の開発とパイプラインの建設に着手した

模 様 で 、 2021 年 完 成 を め ど に NGL が Comperj Gas Processing Plant に 供 給 さ れ 、

ComperjPorject(1.3 Mil Ton)や Braskem の既存 Duxias de Caxias Ethylene Plant(0.52 Mil Ton)の増設も計画されているとの事、今後の進捗が注目される。

将来見通し

需給総括表(2023年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2 %)

主な新増設計画と検討状況

① Comperj 計画 (Rio de Janeiro Petrochemical Complex)(2021 年以降稼働予定) エチレン 130 万トン、プロピレン 45 万トン、HDPE 35 万/LDPE 65 万トン、 EG 60 万トン、SM 50 万トン、ベンゼン 60 万トン、PX 70 万トン

また、中南米地域では、現時点でそのほか特段の新増設の計画がなく、2023 年までの大きな

変化は無いと予想される。 需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

ベンゼン、プロピレン、ブタジエン が輸出バランスとなり、米国中心に輸出されている。

その他

Comperj プロジェクト関しては上記のように、予定通りの進捗が期待できない状況であり、今回

は同プロジェクトによる増強は 2023 年までの設備増強から除いた。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)

C2 395 336 0 0 336 0% 0% 0 85% Braskem

LD 173 147 25 50 122 21% 34% 25 85% Braskem

HD 133 113 40 20 133 30% 18% ▲ 20 85% Braskem

SM 70 59 20 0 79 25% 0% ▲ 20 85% Unigel, Videolar

EG 30 31 20 0 51 40% 0% ▲ 20 104% Oxiteno

PVC 101 71 65 0 136 48% 0% ▲ 65 71% Braskem, SolveyIndupa

その他 11 9 0 0 9 0% 0% 0 77%

計AS C2 409 343 118 70 391 30% 20% ▲ 48 84%

プロピ 279 223 0 0 223 0% 0% 0 80% Braskem, Petrobras

PP 185 157 20 20 157 13% 13% 0 85% Braskem

AN 10 9 1 8 2 67% 94% 7 85% Acrinor

その他 57 51 0 0 51 0% 0% 0 89%

計AS C3 258 222 22 29 215 10% 13% 8 86%

ベンゼン 105 84 0 20 64 0% 24% 20 80% Braskem, Petrobras

トルエン 61 55 1 1 55 2% 2% 0 90% Braskem, Petrobras

キシレン 65 62 6 0 68 9% 0% ▲ 6 95% Braskem, Petrobras

PX 21 18 15 2 31 48% 11% ▲ 13 89% Braskem

PTA 70 60 40 0 100 40% 0% ▲ 40 85% Petroquimica Suape