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「住宅の品質確保の促進に関する法律」 第3条「日本住宅性能表示基準」準拠 超・詳・図解  評価方法基準 既存マンション 共用部分 高齢者等への配慮に関すること 1.①共用廊下ー1- 2.①共用廊下ー2- 3.①共用廊下ー3- 4.①共用廊下ー4- 5.②共用階段ー1- 6.②共用階段ー2- 7.②共用階段ー3- 8.③エレベーターー1- 9.③エレベーターー2- 10.③エレベーターー3-

既存マンション 共用部分mdww.sunnyday.jp/4.15seinoukyouyoubu.pdf等級4の場合の共用廊下の段差と傾斜路に関す る規定です。等級5の場合と少しだけ異なってい

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  • 「住宅の品質確保の促進に関する法律」第3条「日本住宅性能表示基準」準拠

    超・詳・図解 評価方法基準

    既存マンション  共用部分

    高齢者等への配慮に関すること

    1.①共用廊下ー1-2.①共用廊下ー2-3.①共用廊下ー3-4.①共用廊下ー4-5.②共用階段ー1-6.②共用階段ー2-7.②共用階段ー3-8.③エレベーターー1-9.③エレベーターー2-10.③エレベーターー3-

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:①共用廊下ー1-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用廊下

    の床の

    段差と

    傾斜路

    共用廊下(評価をする住戸から、建物出入口、共用施設、他の住戸、その他の日常的に利用する空間に至る少なくとも一つの経路上にあるもの。以下同じ。)に関して、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生じる場合以外に段差がないこと。

    (ⅰ)勾配が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (d) の措 置が取られていること。

          

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段のそれぞれの有効 な幅員が 1,200mm以上である(c) 傾斜路と段のそれぞれ両側に手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置する(d) 段が、②共用階段の等級1の基準 に適合している

    手すりの高さが床面から700mm~ 900mm

    700mm~ 900mm手すりの高さが床面から

    (ⅱ)勾配が1/15以下の傾斜路が設けられ ている他に、次の(a)、(b)の措置が取られ ていること。

    (ⅲ)高低差が80mm以下で勾配が1/8以下 の傾斜路が設けられている他に、次の (a)、(b)の措置が取られていること。

    (a)傾斜路の有効な幅員が1,200mm 以上である。(b)傾斜路の両側に手すりを床面か らの高さが700mm~900mmの 位置に設置する

    (a)傾斜路の有効な幅員が1,200mm 以上である。(b)傾斜路の両側に手すりを床面か らの高さが700mm~900mmの 位置に設置する

    共用部分の高齢者等への配慮は、共用廊下の高低差からチェックします。自分の住戸から建物出入口(エントランス)、集会場などの共用施設、他の住戸等のほか、日常的に利用する空間(集合郵便受、ごみ集積場、駐車場、駐輪場その他)に至る少なくとも一つの経路上に存在する共用廊下の床が、段差がない構造であることが原則です。とはいっても、現実には、様々な理由で段差が生じてしまうことが多く、等級ごとにいくつかの例外を設けています。等級5の場合は例外が3つあり、いずれも段差(高低差)部分に傾斜路(スロープ)を設けた場合です。(ⅰ)勾配が1/12以下の傾斜路と段(階段が上階と下  階を連絡する段であるのに対し、段は階よりも  少ない段差を連絡する)を併設した場合(ⅱ)勾配1/15以下の傾斜路を設けた場合(ⅲ)80mm以下の段差で勾配が1/8以下の傾斜路を  設けた場合上記(ⅰ)~(ⅲ)のいずれの場合も、下記の要件が必要です。・両側に手すりを床からの高さが、700mm~ 900 mmの位置に設置していること・傾斜路及び段の有効幅員(傾斜路は手すりの内法 で決まります。 段も「技術解説」の説明図では手すりの内法として います。建築基準法上は、階段の手すりに関しては、幅が100mm以下までは無視することができるのですが、ここは「品質の観点」から、「技術解説」にならって内法寸法としておきます。)が1,200mm以上であること。また(ⅰ)の場合の段は②共用階段の等級5(5頁)の基準を満足することが必要です。80mm以下の段差の実例としては、構造的に分離した2つの棟が繋がる部分の共用廊下に現れることがあります。このような部位は、大地震の際にはそれぞれの棟が独自の揺れを生じるため予め想定される変位以上の寸法だけ離して棟と棟とが衝突しないようエクスパンションジョイントが設けられます。共用廊下が直接外部に開放されている場合は外周側(腰壁がある側)には雨水排水のための溝が設けられ、その外側の立ち上がり部分と床との段差が80mm以下程度の寸法になり、エクスパンションジョイント部では、これが共用廊下を横断するような部位に鋼製の傾斜路を設ける例があります。

    (ⅰ)傾斜路と段を併設した例

    (ⅱ)勾配は1/15以下の傾斜路 を設けた例

    (ⅲ)高低差が80mm以下の段差の場合に勾 配が1/8以下の傾斜路を設けた例

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

    (手すりの内法)

    (手すりの内法)

    (手すりの内法)

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:①共用廊下ー2-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用廊下

    の床の

    段差と

    傾斜路

    共用廊下

    の床の

    段差と

    傾斜路

    共用廊下に関して、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生じる場合以外は、段差がないこと。

    共用廊下に関して、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生じる場合以外には、段差がないこと。

    (ⅰ)勾配が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (d) の措 置が取られていること。

          

    (ⅱ)勾配が 1/15 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a)、(b) の措 置が取られていること。

    (ⅲ)高低差が 80mm以下で勾配が   1/8 以下の傾斜路が設 けられている 他に、次の (a)、(b) の措置が取られ ていること。 

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段のそれぞれの有効 な幅員が 900mm以上である(c) 傾斜路と段のそれぞれの少なく とも片側に、手すりを床面からの 高さが 700mm~ 900mmの位置 に設置している(d) 段が、②共用階段の等級4の基準 に適合している

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm  以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手すりを床面からの高さが 700mm~900mmの位置に設置する

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm  以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手す りを床面からの高さが 700mm~ 900mmの位置に設置する

    (ⅰ)傾斜路と段を併設した例

    (ⅱ)勾配が1/15以下の傾斜路 を設けた例

    (ⅲ)高低差が80mm以下の場合に勾配が  1/8以下の傾斜路を設けた例

    等級4の場合の共用廊下の段差と傾斜路に関する規定です。等級5の場合と少しだけ異なっています。(ⅰ)段と傾斜路が併設されている場合は、次の3 点だけが異なっています。1.段と傾斜路のそれぞれの有効な幅員(段も傾 斜路も手すりの内法寸法とします。)が900mm に緩和されています。2.傾斜路の手すりが両側ではなく、少なくとも片  側に緩和されています。3.段が②共用階段の等級4の基準に適合⇒こ の結果として段の手すりが少なくとも片側でよ いことになります。

    (ⅱ)勾配が1/15以下の傾斜路の場合は、手すり の設置が少なくとも片側に緩和されています。 (傾斜路の有効な幅員に関しては、1,200mmの まま緩和されません。 その理由は、段がない場合は、[傾斜路の有効 な幅員=共用廊下の有効な幅員]であり、共用 廊下の有効な幅員は、等級5では1,400mm以 上とされますが、等級4以下では、性能表示基 準では特に規定されておらず、建築基準法の規 定により1,200mm以上が適用されますから、 900mmに緩和する余地がないからです。)

    (ⅲ)高低差が80mm以下で勾配が1/8以下の傾 斜路の場合も、上記(ⅱ)の場合と同様に、手す りの設置が、少なくとも片側に緩和されていま す。(傾斜路の有効な幅員に関しては、1,200  mmのまま緩和されないのも(ⅱ)の場合と同

    (ⅰ)勾配が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (c) の措 置が取られていること。

    (ⅱ)勾配が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (b) の措 置が取られていること。

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段の少なくとも片側  に、手すりを床面からの高さが   700mm~ 900mmの位置に設置(c) 段が②共用階段の基準(等級3) に適合している

    (a) 傾斜路の少なくとも片側に、手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置(b) 傾斜路の有効幅員が1,200mm以 上(建築基準法の規定による)

    (a) 傾斜路の少なくとも片側に、手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置(b) 傾斜路の有効幅員が1,200mm以 上(建築基準法の規定による)

    (ⅰ)段と傾斜路を併設した例

    段の有効幅員⇒規定なし

    傾斜路の有効幅員⇒規定なし

    (ⅱ)勾配が1/12以下の傾斜路を設けた例

    傾斜路勾配1/12以下

    傾斜路の有効幅員⇒規定なし⇒建築基準法による⇒1,200mm以上

    (ⅲ)高低差が80mm以下の段差の場合に勾 配が1/8以下の傾斜路を設けた例

    傾斜路の有効幅員⇒規定なし⇒建築基準法による⇒1,200mm以上

    (ⅲ)高低差が 80mm以下で勾配が    1/8 以下の傾斜路が設 けられている他 に、次の (a)、(b) の措置が取られてい ること。 

    等級3(共用階段の段差に関しては等級2も同様)は、傾斜路の勾配が1/12以下だけで、段を併設する場合と、併設しない場合が規定されています。(ⅰ)段を併設する場合は、等級4で900mm以上とされていた段及び傾斜路の有効幅員に関する規定がされていません。従って、例えば段の有効幅員が850mmで傾斜路の有効幅員が800mmであってもよいことになります。傾斜路の手すりに関しては、評価方法基準には直接に規定がされていないのですが、①共用廊下-4-(4頁)によれば、共用廊下の少なくとも片側に床面からの高さが 700mm~ 900mmの位置に手すり(移動用)を設置しなければなりませんからその手すりの延長として傾斜路の少なくとも片側に手すりを設置することになると解釈します。一方で、段の手すりは、②共用階段の基準によって少なくとも片側に手すりが必要になります。(ⅱ)の段を設けない場合の傾斜路の手すりに関しては、段を設ける場合の傾斜路と同様に少なくとも傾斜路の片側に手すりを設置する必要があると解釈します。この場合の傾斜路の有効幅員に関しても、評価方法基準には直接に規定がされていないのですが、建築基準法の規定により1,200mm以上と解釈します。(ⅲ)高低差が80mm以下の段差の場合に勾配が1/8以下の傾斜路を設ける場合は、等級4との違いはありません。*等級-2は、左記の等級2(=等級3)と同じ場合の他に、段差があっても、傾斜路を設けないで、下記(ⅰ)~(ⅳ)の全てを満たす場合も該当します。(ⅰ)手すり(移動用)が共用廊下の少なくとも片側 に設けられていること(高さは問わない)(ⅱ)建築基準法施行令第119条及び第126条第1 項に定める基準に適合していること。(ⅲ)建築基準法施行令第23条~27条まで及び第  126条第1項に定める基準に適合していること(ⅳ)段が次の(a)~(c)の基準に適合していること (a)踏面が240mm以下であり、かつ、けあげの   寸法の2倍と踏面の寸法の和が550mm以上   650mm以下であること。 (b)踏込みが30mm以下であること (c)最上階の通路等への食い込み部分及び最下  段の通路等への突出部分が設けられていない  こと。 (e)手すり(移動用)が、少なくとも片側に設けられ  ていること。

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

    *

    (手すりの内法) (手すりの内法)

    (手すりの内法)

    (手すりの内法)

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:①共用廊下ー3-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用廊下の手すりと幅員

    共用廊下(下記の(ⅰ)及び(ⅱ)の部分を除く)の少なくとも片側に、床面からの高さが 700mm~ 900mmの位置に手すり(移動用)を設置していること。

    直接外部に開放されている共用廊下(1階にあるものを除く。)の場合は、次の(ⅰ)及び(ⅱ)の基準に適合する転落防止のための手すりを設置していること。

    建築基準法施行令第119条(廊下の幅)及び第126条第1項(屋上広場等)に定める基準に適合していること。

      

           

    (ⅰ)住戸その他の室の出入口、交差す る動線がある部分その他やむを得ず 手すりを設けることができない部分

    (ⅰ)転落防止のための手すりが、腰壁 等の高さに応じて次の(a)又は(b)の高 さに設けられていること。

    (ⅱ)転落防止のための手すりの手すり 子で床面及び腰壁等(腰壁等の高さ が650mm未満の場合に限る。)から の高さが800mm以内の部分に存する ものの相互の間隔が、内法寸法で  110mm以下であること。

    (ⅱ)エントランスホールその他手すりに 沿って進行することが動線を著しく延 長させる部分

    (a)腰壁等の高さが650mm以上   1,100mm未満の場合は、床面か ら1,100mm以上の高さ(b)腰壁等の高さが650mm未満の 場合は、腰壁等から1,100mm以上 の高さ

    評価対象住戸からエレベーターを経て建物出入口に至る少なくとも一つの経路上にある共用廊下の幅員が、1,400mm以上であること。

    手すり(移動用)が腰壁側に設置された例

    手すり(移動用)が住戸側に設置された例(住戸の出入口には設置しない)

    転落防止のための手すり腰壁等の高さが650mm以上1,100mm未満の場合

    転落防止のための手すりー腰壁等の高さが650mm未満の場合

    共用廊下の段差部の傾斜路や段部の基準については、前頁の①共用廊下-1-及び①共用廊下-2-でみてきました。ここでは、共用廊下の一般部分の移動用手すりについてチェックします。 ここでマンション等の共同住宅の共用廊下の分類について触れておきます。共用廊下には中廊下と片廊下があります。中廊下の場合は、廊下の両側に住戸がありますから外部に開放されていません。片廊下の場合は、外部に開放されているもの(解放廊下)と住戸側の対面に壁面があり、内廊下になっていて、外部に開放されていないもの(非解放片廊下)があります。

    共用廊下

    ・解放廊下

    ・非解放片廊下・中廊下

    外部に開放されているもの

    外部に開放されていないもの

    共用廊下

    片廊下

    中廊下

    マンションの共用廊下は、解放廊下タイプがほとんどと思われますが、解放廊下の場合は、次の2種の手すりについてチェックすることになります。 1.移動用の手すり 2.転落防止用手すり中廊下及び内廊下の場合は、移動用の手すりについては、解放廊下の場合と同様ですが、中廊下及び内廊下の場合は、転落用手すりについて検討する余地はありません。もっとも、非解放片廊下の場合において、壁面に開口部が設けられた部分の転落防止用手すりのチェックは必要で、このチェックについては、専有(專用)部の④手すり(転落防止対応)-1-(14頁)の「2階以上の窓の手すり」を参照してください。解放廊下の移動用の手すりの設置は、住戸側ではなく腰壁等に設けた例が多いと思われます。住戸側に設ける場合は、住戸出入口の部分で手すりが不連続になること及び開口部の回りでプライバシーに関する懸念があることによると思われます。

    仔細なことですが、実際に数値を測定する場合における「床面からの寸法」の起点を下記のどちらにするかが疑問になるかもしれません。1.腰壁等の最下点である雨水排水溝2.雨水排水溝ではなく共用廊下の床の水下部分この場合は、足が置かれる部分からと考えられますから、2の方を選択します。仔細ついでに、数値の根拠について触れます。650mm未満という数値は、幼児がよじ登るおそれがある寸法とされております。また、800mm以下は幼児が乗り越えるおそれがある寸法とされています。110mmという数値は幼児の体が通過するおそれがある寸法とされています。したがって、内法で110mm以下と規定されている手すり子の間隔は、隙間の部分を指しています。

    建築基準法施行令第119条(廊下の幅)は片廊下と中廊下の幅に関してそれぞれ次のように規定しています。

    1,200mm以上

    1,600mm以上

    評価方法基準の1,400mm以上という数値は、片廊下の場合に、建築基準法施行令の1,200mm以上という規定を200mmだけ上乗せしています。「技術解説」はこの1,400mm以上という寸法は、自走式車いすで180°回転するのに必要な寸法としています。多くの既存マンションの共用廊下の幅は、建築基準法施行令の最低寸法の1,200mmですから、改良によって等級5とすることは困難です。たとえ既存の共用廊下の幅員が1,400mm であった場合も、手すりを付けるとその内法寸法で有効幅が決まりますので、1,400mm以上を満足しなくなります。中廊下の場合は、建築基準法で1,600mm以上と規定されているので1,400mm以上という幅員に従う余地はありません。

    手すり子内法寸法

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:①共用廊下ー4-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用廊下の手すりと幅員

    共用廊下(下記の(ⅰ)及び(ⅱ)の部分を除く)の少なくとも片側に、床面からの高さが 700mm~ 900mmの位置に手すり(移動用)を設置していること。

    直接外部に開放されている共用廊下(1階にあるものを除く。)の場合は、次の(ⅰ)及び(ⅱ)の基準に適合する転落防止のための手すりを設置していること。

    建築基準法施行令第119条(廊下の幅)及び第126条第1項(屋上広場等)に定める基準に適合していること。

    建築基準法施行令第23条から第27条(階段)まで、第119条(廊下の幅)及び第126条第1項(屋上広場等)に定める基準に適合していること。

      

           

    (ⅰ)住戸その他の室の出入口、交差す る動線がある部分その他やむを得ず 手すりを設けることができない部分

    (ⅰ)転落防止のための手すりが、腰壁 等の高さに応じて次の(a)又は(b)の高 さに設けられていること。

    (ⅱ)転落防止のための手すりの手すり 子で床面及び腰壁等(腰壁等の高さ が650mm未満の場合に限る。)から の高さが800mm以内の部分に存する ものの相互の間隔が、内法寸法で  110mm以下であること。

    (ⅱ)エントランスホールその他手すりに 沿って進行することが動線を著しく延 長させる部分

    (a)腰壁等の高さが650mm以上   1,100mm未満の場合は、床面か ら1,100mm以上の高さ(b)腰壁等の高さが650mm未満の 場合は、腰壁等から1,100mm以上 の高さ

    手すり(移動用)が腰壁側に設置された例

    手すり(移動用)が住戸側に設置された例(住戸の出入口には設置しない)

    転落防止のための手すり腰壁等の高さが650mm以上1,100mm未満の場合

    転落防止のための手すりー腰壁等の高さが650mm未満の場合

    共用廊下の手すりに関しては、等級5と等級4、等級3及び等級2は共通です。

    手すり子内法寸法

    共用廊下

    片廊下

    中廊下

    1,200mm以上

    1,600mm以上

    建築基準法施行令第119条(廊下の幅)は片廊下と中廊下の幅に関してそれぞれ次のように規定しています。

    評価方法基準は等級5では、共用廊下の幅員を1,400mm以上と規定していましたが、等級4以下ではこの上乗せ基準が無くなりますので、片廊下の場合は、直接に建築基準法施行令の1,200mm以上という規定に従います。この場合に、手すりを付けると有効幅がその幅分だけ減少する結果、建築基準法に違反することになります。

    等級2-の場合は、転落防止のための手すりに関する規定がありません。

    共用廊下の手すりと幅員

    共用廊下の一部に設ける段

    等級1は、建築基準法に適合していることだけが要件です。評価方法基準は、共用廊下の幅員に関して第119条(廊下の幅)、屋上の手すりに関して第126条第1項(屋上広場等)及び共用廊下に設ける段に関しては、建築基準法施行令第23条から第27条(階段)の規定に適合するように関連付けています。   

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

    等級2-の場合は、移動用の手すりに関しては、等級2に準じてこの頁の規定が適用されます。

    等級2-の場合は、共用廊下の幅に関しては、等級2に準じてこの頁の規定が適用されます。

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:②共用階段ー1-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用階段

      

    各階を連絡する共用階段のうち少なくとも一つが、下記の(ⅰ)~(ⅲ)の基準に適合していること。

      

           

    (ⅰ)勾配等について次の基準に適合し ていること

    (ⅱ)直接外部に開放されている共用階段 にあっては、次に掲げる基準に適合して いること。ただし、高さ1m以下の階段 の部分に関してはこの基準に適合して いなくてもよい。

    (ⅲ)建築基準法施行令第23条~第27条 (階段)まで及び第126条(屋上広場等) 第1項に定める基準に適合しているこ と。

    (a)勾配が7/11以下であり、かつ、 けあげの寸法の2倍と踏面の寸 法の和が550mm以上650mm以 下であること。(b)蹴込みが20mm以下であり、か つ、蹴込み板が設けられている こと。(c)踊り場付き折れ階段又は直階段 であり、かつ、最上段の通路等 への食い込み部分及び最下段の 通路等への突出部分が設けられ ていないこと。(d)踏面に滑り防止のための部材が 設けられている場合は、その部 材と踏面が同一面になっている こと。(e)踏面の先端と蹴込み板を勾配が 60度以上90度以下の面で滑らか につなぐ形状とすることその他 の措置により段鼻を出さない形 状となっていること。(f)手すりが、両側に、かつ、踏面 の先端からの高さが700mm~ 900mmの位置に設けられてい ること。

    (a)転落防止のための手すりが、腰 壁等の高さが650mm以上   1,100mm未満の場合には、踏面 の先端から1,100mm以上の高さ に、腰壁等の高さが650mm未 満の場合は、腰壁等から 1,100mm以上の高さに設けられ ていること。(b)転落防止のための手すりの手す り子で踏面の先端及び腰壁等 (腰壁等の高さが650mm未満 の場合に限る)からの高さが 800mm以内の部分に存するもの の相互の間隔が、内法寸法で  110mm以下であること。

      

    (a)踏面・けあげ・勾配

    けあげ寸法:hmm 踏面寸法:lmm 勾配≦7/11 650mm≧2×h+l≧550mm

    (e)段鼻が出ている例

    (e)段鼻がなめらかな例

    (b)蹴込み板

    (d)滑り止めのための部材(ノンスリップ)と踏面

    食い込み部分 突出部分

    出典:「技術解説」

    (c)食い込み部分と突出部分

    (c)踊り場付き折れ階段

    (f)手すりを両側に設置

    (a)踏面の先端から、1,100mm以上の高さに設置され た転落防止手すり

    (b)腰壁等から、1,100mm以上の高さに設置された 手すりと内法寸法110mm以下の手すり子

    (b)蹴込み踏面の寸法

    共用階段の勾配を求める方法は、下記の2つが考えられます。1.竣工図の階段詳細図から図解で示したような、 ひとまとまりのけあげの寸法Hとそれに対応する ひとまとまりの踏面の寸法Lを調べてH/Lを求 める。2.竣工図を閲覧し難い場合は、一組の段のけあげ の寸法hと踏面の寸法を実測し、h/lを求める。2の場合に、踏面の寸法は蹴込みの寸法を含まない値として下さい。

    2の方法による例:

    (c)等級5の場合は、直階段と踊り場付き折れ階段 以外の回り階段や一部に回り部分のある階段は 適合しません。⇒等級4以下では許容されます。 最上段の通路等への食い込み部分及び最下段 の通路等への突出部分が設けられた例は稀と 思われます。(d)滑り留めの部材は一般に「ノンスリップ」と呼ば れます。ノンスリップが踏面よりも高めに設置さ れていたり、外れかけていたりした状態では、滑 りはしないがつまづく恐れがあります。(e)段鼻が出ている例は木造の階段で例があります が、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が多いマンショ ンなどの共同住宅の階段では稀と思われます。(f)手すりが両側に設置されていることが等級5の 共用階段の要件です。           

    280mm

    170mm

    h=170mml= =280mmh/l=170/280=6,67/11従って、この階段の勾配は7/11以下である。

    (ⅱ)は、屋外の共用階段の落下防止のための手すりの高さに関する規定です。この規定の内容は、高齢者等に限らず、全ての人に共通に、かつ、基本的に要求されるものですから、等級5から等級2まで同じ内容であり、等級が下るにつれて緩和されるということはありません。 (a)の場合の腰壁等の高さ数値650mm以上は幼  児がよじ登るおそれがない値として設定され  ています。  また、1,100mmという寸法は、大人が寄りかか  って乗り越えるおそれがない値として設定され  ています。 (b)650mm未満の場合は、幼児がよじ登るおそれ  がある数値とされています。  また、腰壁等の天端(足がかり部分)から    800mmという寸法は、幼児が乗り越えて転落  するおそれがある高さの範囲であり、頭が通過  すると体が通過する可能性があるため、幼児  の頭の通過するおそれがない寸法として  110mmの値が設定されました。  この意味から手すり子の間隔の110mmは、内  法寸法です。(ⅲ)は、階段の幅、けあげ、踏面に関する規定の一  部です(建築基準法施行令第23条第1項)。

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

    (d)

    蹴込み寸法

    階段幅 (cm)

    けあげ (cm)

    踏 面 (cm)

    120以上 20以下 24以上

    90以上 20以下 24以上

    75以上 22以下 21以上

    屋外直通階段

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階の階段等

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡以下の地上階の階段等

    この場合の勾配は、h=200mm l=240mm h/l=200/240=9.11/11となりますから(ⅰ)の(a)の7/11以下という規定はこの建築基準法に比べてずいぶん緩い勾配であることが解ります。なお、建築基準法上は、階段の有効幅に関しては、移動用の手すりの幅が 100mmまでの場合は、手すりがないものとみなされます(手すりの内法寸法ではありません)。

    回り部分がある

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:②共用階段ー2-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用階段

      

    各階を連絡する共用階段のうち少なくとも一つが、下記の(ⅰ)~(ⅲ)の基準に適合していること。

      

           

    (ⅰ)踏面の寸法等について次の基準に 適合していること

    (ⅱ)直接外部に開放されている共用階段 にあっては、次に掲げる基準に適合して いること。ただし、高さ1m以下の階段 の部分に関してはこの基準に適合して いなくてもよい。

    (ⅲ)建築基準法施行令第23条~第27条 (階段)まで及び第126条(屋上広場等) 第1項に定める基準に適合しているこ と。

    (a)踏面が240mm以上、かつ、け あげの寸法の2倍と踏面の寸法 の和が550mm以上650mm以下 であること。(b)蹴込みが30mm以下であり、か つ、蹴込み板が設けられている こと。(c)最上段の通路等への食い込み部 分及び最下段の通路等への突出 部分が設けられていないこと。(d)手すりが、少なくとも片側に、 かつ、踏面の先端からの高さが 700mm~900mmの位置に設け られていること。

    (a)転落防止のための手すりが、腰 壁等の高さが650mm以上   1,100mm未満の場合には、踏面 の先端から1,100mm以上の高さ に、腰壁等の高さが650mm未 満の場合は、腰壁等から 1,100mm以上の高さに設けられ ていること。(b)転落防止のための手すりの手す り子で踏面の先端及び腰壁等 (腰壁等の高さが650mm未満 の場合に限る)からの高さが 800mm以内の部分に存するもの の相互の間隔が、内法寸法で  110mm以下であること。

    (a)踏面・けあげ  (d)手すりが少なくとも片側に設置

    (b)蹴込み板

    食い込み部分 突出部分

    出典:「技術解説」

    (c)食い込み部分と突出部分

    (a)踏面の先端から、1,100mm以上の高さに設置され た転落防止手すり

    (b)腰壁等から、1,100mm以上の高さに設置された 手すりと内法寸法110mm以下の手すり子

    (b)蹴込み踏面の寸法

    (a)等級4では、階段の勾配が直接には規定されて いません。しかし、踏面の最低寸法が240mm及 びけあげの寸法の2倍と踏面の寸法の和が  550mm以上650mm以下という規定により、等級 5よりもきつい勾配(最もきつい勾配では、 9.39/11の値になります)以下に収まるようにな っています。 等級3における勾配のチェックは、(ⅲ)の建築 基準法の規定による勾配(最もきつい勾配は、 9.166/11の値になります)をどちらも満足する   ことを確認する必要があります。(b)等級5では20mm以下であった蹴込みが等級 4では30mmまで許容されます。(c)等級5では認められなかった回り階段が、等級 4以下では許容されます。 最上段の通路等への食い込み部分及び最下段 の通路等への突出部分が設けられた例は認め られませんが実例は稀と思われます。(d)移動用の手すりが両側に設置されていることが 等級5の共用階段の要件でしたが、等級4以下 では、少なくとも片側に設置されていればよいと 緩和されいます。                                                                          

    (ⅱ)は、屋外の共用階段の落下防止のための手すりの高さに関する規定です。この規定の内容は、高齢者等に限らず、全ての人に共通に、かつ、基本的に要求されるもので、等級5から等級2まで同じ内容であって、等級が下るにつれて緩和されるということはありません。

     (a)の場合の腰壁等の高さ数値650mm以上は幼 児がよじ登るおそれがない値として設定されて います。 また、1,100mmという寸法は、大人が寄りかか  って乗り越えるおそれがない値として設定されて います。 (b)650mm未満の場合は、幼児がよじ登るおそれ がある数値とされています。 また、腰壁等の天端(足がかり部分)から800mm という寸法は、幼児が乗り越えて転落するおそれ がある高さの範囲であり、頭が通過すると体が通 貨する可能性があるため、幼児の頭の通過する おそれがない寸法として110mmの値が設定さ れました。 この意味から手すり子の間隔の110mmは、内法 寸法すなわち隙間の部分をいいます。

    (ⅲ)は、階段の幅、けあげ、踏面に関する規定でその内容は以下の通りです(建築基準法施行令第23条第1項)。

    けあげ寸法:hmm 踏面寸法:lmm

     650mm≧2×h+l≧550mml≧240mm

    けあげの寸法

    30mm

    ≧240mm

    手すりが少なくとも片側踏面の先端からの高さ700mm~900mm

    既存住宅の場合、手すりは下記の2つを満足する必要があります。1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できる(ぐらつくなどの障害がない)こと

    階段幅 (cm)

    けあげ (cm)

    踏 面 (cm)

    120以上 20以下 24以上

    90以上 20以下 24以上

    75以上 22以下 21以上

    屋外直通階段

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階の階段等

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡以下の地上階の階段等

    この場合の勾配は、h=200mm l=240mm h/l=200/240=9.11/11となりますから(ⅰ)の(a)の7/11以下という規定はこの建築基準法に比べてずいぶん緩い勾配であることが解ります。なお、建築基準法上は、階段の有効幅に関しては、移動用の手すりの幅が 100mmまでの場合は、手すりがないものとみなされます(手すりの内法寸法ではありません)。

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:②共用階段ー3-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分

    共用階段

    共用階段

      

    各階を連絡する共用階段のうち少なくとも一つが、下記の(ⅰ)~(ⅲ)の基準に適合していること。

      

           

    (ⅰ)評価対象住戸がある階にエレベー ターが停止する場合は、下記の(c)及 び(d)に適合すること。 評価対象住戸ある階においてエレベ ーターを利用できない場合*は、下記 の(a)~(e)に適合すること。  *この意味は、右欄「基準解釈のヒ  ント」を参照して下さい。

    (ⅱ)直接外部に開放されている共用階段 にあっては、次に掲げる基準に適合して いること。ただし、高さ1m以下の階段 の部分に関してはこの基準に適合して いなくてもよい。

    (ⅲ)建築基準法施行令第23条~第27条 (階段)まで及び第126条(屋上広場等) 第1項に定める基準に適合しているこ と。

    (a)踏面が240mm以上、かつ、け あげの寸法の2倍と踏面の寸法 の和が550mm以上650mm以下 であること。(b)蹴込みが、30mm以下であるこ と。(c)最上段の通路等への食い込み部 分及び最下段の通路等への突出 部分が設けられていないこと。(d)手すりが、少なくとも片側に、 かつ、踏面の先端からの高さが 700mm~900mmの位置に設け られていること。(e)エレベーターが停止しない階か  らエレベーターが停止する階又 は建物出入口のある階に至る一 つの共用階段の有効幅員は、  900mm以上であること。

    (a)転落防止のための手すりが、腰 壁等の高さが650mm以上   1,100mm未満の場合には、踏面 の先端から1,100mm以上の高さ に、腰壁等の高さが650mm未 満の場合は、腰壁等から 1,100mm以上の高さに設けられ ていること。(b)転落防止のための手すりの手す り子で踏面の先端及び腰壁等 (腰壁等の高さが650mm未満 の場合に限る)からの高さが 800mm以内の部分に存するもの の相互の間隔が、内法寸法で  110mm以下であること。

    (a)踏面・けあげ  (d)手すりが少なくとも片側に設置

    (b)蹴込み板

    食い込み部分 突出部分

    出典:「技術解説」

    (c)食い込み部分と突出部分

    (a)踏面の先端から、1,100mm以上の高さに設置され た転落防止手すり

    (b)腰壁等から、1,100mm以上の高さに設置された 手すりと内法寸法110mm以下の手すり子

    (b)蹴込み踏面の寸法

    スキップフロア型のアクセス方式の共同住宅の場合は、エレベーターが停止しない階があります。エレベーターが停止しない階にある住戸では、いったん上階又は下階のエレベーターが停止する階に階段を利用して移動する必要があります。

    エレベーター停止階にない住戸については、(a)~(d)の全てが要件になります。 (a)等級3(等級2、等級2-も同様)における踏面  の寸法等に関する規定は等級4と同じです。 (b)等級3(等級2、等級2-も同様)における蹴  込みに関する規定も等級4と同じで30mm以  下まで許容されます。  また、等級4では許容されなかった蹴込み板  のない階段も等級3(等級2、等級2-も同様)  では許容されます。 (c)等級4と同様に等級3(等級2、等級2-も同  様)では回り階段が許容されます。  最上段の通路等への食い込み部分及び最下  段の通路等への突出部分が設けられた例は  認められませんが実例は稀と思われます。 (d)移動用の手すりについても等級4と同様に、  等級3(等級2)でも、少なくとも片側に踏面  の先端からの高さが700mm以上900mm以下  の位置に設置されていることとされています。  *等級2-の場合は、少なくとも片側に設置さ  れていることだけが要件で、手すりの高さにつ  いての規定がなくなっています。 (e)この欄の下部(表の下)を参照して下さい。等級3の場合に、エレベーターが停止する階にある住戸の場合は、上記の(a)と(b)が要件から外されて(c)~(e)が要件となります。         

    (ⅱ)は、屋外の共用階段の落下防止のための手すりの高さに関する規定です。この規定の内容は、高齢者等に限らず、全ての人に共通に要求されるもので、等級5から等級2まで同じ内容で等級が下るにつれて緩和されるということはありません。 (a)の場合の腰壁等の高さ数値650mm以上は幼  児がよじ登るおそれがない値として設定され  ています。  また、1,100mmという寸法は、大人が寄りかか  って乗り越えるおそれがない値として設定され  ています。 (b)650mm未満の場合は、幼児がよじ登るおそれ  がある数値とされています。  また、腰壁等の天端(足がかり部分)から    800mm以下という寸法は、幼児がよじ登って  転落するおそれがある高さの範囲です。  手すり子の間隔110mmは、あり、幼児の体が  通過するおそれがある寸法として設定されま  した。この意味から110mmは、内法寸法です。*等級2-の場合は、上記(a)及び(b)の転落防止用 手すりの高さに関する規定は適用されません。

    けあげ寸法:hmm 踏面寸法:lmm

     650mm≧2×h+l≧550mml≧240mm

    けあげの寸法

    30mm

    ≧240mm

    手すりが少なくとも片側踏面の先端からの高さ700mm~900mm

    エレベーター停止階

    エレベーターの止まらない階

    エレベーター

    階段

    等級2-の場合は手すりの高さは問わない

    建築基準法施行令第23条~第27条(階段)まで及び第126条(屋上広場等)第1項に定める基準に適合していること。

    等級1は、建築基準法に適合することだけが要件です。

    階段幅 (cm)

    けあげ (cm)

    踏 面 (cm)

    120以上 20以下 24以上

    90以上 20以下 24以上

    75以上 22以下 21以上

    屋外直通階段

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階の階段等

    直上階の居室の床面積の合計が200㎡以下の地上階の階段等

    建築基準法では、直上階の居室の床面積の合計が200㎡以下の地上階にある階段の幅は、750mm以上あればよいことになりますが、性能表示基準は、エレベーターが停止しない階からエレベーターが停止する階又は建物出入口のある階に至る一つの共用階段の有効幅員は、900mm以上(「技術解説」によれば、介助者が抱きかかえて移動するために必要な寸法とされています)と150mm上乗せしています。            

    1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できること(ぐらつくなどの障害がない)3.エレベーターが支障なく使用できること

    既存住宅の場合は下記の3つを満足する必要があります。

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:③エレベーターー1-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分 8

     評価対象住戸が住棟出入口のある階にある 場合を除き、評価対象住戸から、エレベー ターを利用し、住棟出入口のある階まで到 達でき、かつ、評価対象住戸からエレベー ターを経て建物出入口に至る少なくとも一 つの経路上にあるエレベーター及びエレベ ーターホール等が、下記の(ⅰ)~(ⅲ) の基準に適合していること。 

     

      

       

    建物出入口からエレベーターホールまでの経路上の床が、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生ずる場合以外は、段差がないこと。

    (ⅰ)エレベーターの出入口の有効な  幅員が800mm以上であること。(ⅱ)エレベーターのかごの奥行が、  内法寸法で1,350mm以上であるこ  と。(ⅲ)エレベーターホールは一辺が   1,500mmの正方形の空間を確保   できること。

    エレベーターの大きさとエレベーターホールの広さ

    エントランスホールホールの床の段差と傾斜路

      

        

      

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段のそれぞれの有効 な幅員が 1,200mm以上である(c) 傾斜路と段のそれぞれ両側に手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置(d) 段が、②共用階段の基準(等級5) に適合している

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の両側に手すりを床面から の高さが700mm~ 900mmの位置 に設置する

    段手すり両側踏面の先端からの高さ700mm~900mm

    傾斜路手すり両側高さ700mm~900mm

    傾斜路有効幅員≧1,200mm勾配≦1/12

    最後の評価事項はエレベーターです。エレベーターについては、1.エレベーターの大きさ等2.各階のエレベーターホールの大きさ3.評価対象住宅からその階のエレベーターホー ルまでの共用廊下の床の段差4.建物の出入口からエレベーターホールまでの 床の段差の観点からチェックします。このうち、3は①共用廊下の項で評価します。4はこの頁の下段で評価します。1.のエレベーターの大きさ等については、 (ⅰ)のエレベーターの出入口の幅員800mmは、  自走式車いすが通過できる寸法 (ⅱ)のかごの奥行寸法1,350mmは、自走式車い  すと介助者が乗ることができる寸法 (ⅲ)の各階のエレベーターホールが1,500mmの  正方形の空間を確保することが要求されてい  るのは、自走式車いすが360度回転できる寸法とされています(「技術解説」。

    建物の出入口からエレベーターホールまでのエントランスホールの床の高低差に関する規定は、「共用廊下」の高低差に関する規定(1頁の①共用廊下-1-と同じ趣旨です。後者は、評価対象住戸⇔エレベーターホール(その住戸がある階の)の区間が対象であるのに対して前者は1階(又は接地階)のエントランスホールを対象にしています。   

    一辺が1,500mmの正方形の空間が確保できること

    各階エレベーターホール(上から見おろした図)

    エントランスホール

    エントランスホール

    エントランスホール

    (ⅰ)勾配 が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (d) の措 置が取られていること。

    (ⅱ)勾配 が 1/15 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) 、 (b) の措 置が取られていること。

    (ⅲ)高低差が80mm以下で勾配 が 1/8  以下の傾斜路が設けられている他に 次の (a) 、 (b) の措置が取られている こと

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の両側に手すりを床面から     の高さが 700mm~ 900mmの位 置 にに設置する

    (ⅰ)勾配が1/12以下の傾 斜路と段を併設した例

    (ⅱ)勾配が1/15以下の傾斜路の例

    (ⅲ)勾配が1/8以下の傾斜路の例

    1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できること(ぐらつくなどの障害がない)3.エレベーターが支障なく使用できること

    既存住宅の場合は下記の3つを満足する必要があります。

    段有効幅員≧1,200mm

    内法寸法

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:③エレベーターー2-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分 9

     評価対象住戸が住棟出入口のある階にある 場合を除き、評価対象住戸から、エレベー ターを利用し、住棟出入口のある階まで到 達でき、かつ、評価対象住戸からエレベー ターを経て建物出入口に至る少なくとも一 つの経路上にあるエレベーター及びエレベ ーターホール等が、下記の(ⅰ)~(ⅲ) の基準に適合していること。 

     

      

       

    建物出入口からエレベーターホールまでの経路上の床が、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生ずる場合以外は、段差がないこと。

    (ⅰ)エレベーターの出入口の有効な  幅員が800mm以上であること。(ⅱ)エレベーターのかごの奥行が、  内法寸法で1,350mm以上であるこ  と。(ⅲ)エレベーターホールは一辺が   1,500mmの正方形の空間を確保   できること。

    エレベーターの大きさとエレベーターホールの広さ

    エントランスホールホールの床の段差と傾斜路

      

        

      

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段のそれぞれの有効 な幅員が 900mm以上である(c) 傾斜路と段の少なくとも片側に手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置(d) 段が、②共用階段の基準(等級4) に適合している

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手すり   を床面からの高さが 700mm~

     900mmの位置に設置する

    等級4のエレベーターの大きさとエレベータホールの広さに関する規定は、等級5と全く同じです。                

    等級4の場合のエントランスホールの床の段差に関する規定は、等級5の場合に比べて次の点で異なります。(ⅰ)の勾配が1/12以下の傾斜路と段が併設された 場合のそれぞれの有効幅員は、等級5では   1,200mm以上であったのに対して、等級4では 900mm以上に緩和されています。      (ⅱ)の勾配が1/15以下の傾斜路の場合及び(ⅲ)の段差が80mm以内で勾配が1/8以下の傾斜路の場合は、どちらも手すりは「少なくとも片側」に緩和されています。ただし、傾斜路の有効幅員は1,200mm以上のまま緩和されることはありません。段が併設されていない場合は、車いすと歩行者がすれ違うことも考慮し1,200mmを下回るわけにはゆかないのです。これらは、2頁の①共用廊下-2-の場合と同じです。                                                                  

    各階エレベーターホール(上から見おろした図)

    (ⅰ)勾配 が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (d) の措 置が取られていること。

    (ⅱ)勾配 が 1/15 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) 、 (b) の措 置が取られていること。

    (ⅲ)高低差が80mm以下で勾配 が 1/8  以下の傾斜路が設けられている他に 次の (a) 、 (b) の措置が取られている こと

     

     

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手すり を床面からの高さが 700mm~ 900mmの位置に設置する

    (ⅲ)勾配が1/8以下の傾斜路の例

    エントランスホール

    傾斜路手すり少なくとも片側高さ700mm~900mm

    エントランスホール

    段手すり少なくとも片側踏面の先端からの高さ700mm~900mm

    一辺が1,500mmの正方形の空間が確保できること

    エントランスホール

    (ⅱ)勾配が1/15以下の傾斜路の例

    傾斜路有効幅員≧900mm勾配≦1/12

    傾斜路手すり少なくとも片側高さ700mm~900mm

    傾斜路有効幅員≧1,200mm勾配≦1/15

    一辺が1,500mmの正方形の空間が確保できること

    (ⅰ)勾配が1/12以下の傾 斜路と段を併設した例

    1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できること(ぐらつくなどの障害がない)3.エレベーターが支障なく使用できること

    既存住宅の場合は下記の3つを満足する必要があります。

    段有効幅員≧900mm

  • 評価規準 図 解評価等級5 4 3 2 2 1 0-

    規準解釈のヒント

    □評価事項:③エレベーターー3-

    既存住宅・専有部分既存住宅・共用部分 10

     評価対象住戸が住棟出入口のある階にある 場合を除き、評価対象住戸からエレベー ター又は共用階段(1階分の移動に限る。) を利用し、住棟出入口のある階まで到達で き、かつ、エレベーターを利用せずに評価 対象住宅から建物出入口に到達できる場合 を除き、評価対象住戸からエレベーターを 経て建物出入口に至る少なくとも一つの経 路上にあるエレベーター及びエレベーター ホールが、下記の(ⅰ)、(ⅱ)の基準に 適合していること。

      

      

       

    建物出入口からエレベーターホールまでの経路上の床が、次の(ⅰ)~(ⅲ)の高低差が生ずる場合以外は、段差がないこと。

    (ⅰ)エレベーターの出入口の有効な  幅員が800mm以上であること。(ⅱ)エレベーターホールは一辺が   1,500mmの正方形の空間を確保   できること。

    エレベーターの大きさとエレベーターホールの広さ

    エントランスホールホールの床の段差と傾斜路

      

        

      

    (a) 段が併設されている(b) 傾斜路及び段のそれぞれの有効 な幅員が 900mm以上である(c) 傾斜路と段の少なくとも片側に手 すりを床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置(d) 段が、②共用階段の基準(等級3) に適合している

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手すり を床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置する

    等級5、4では、評価対象住戸の階にエレベーターが停止することが必要条件でしたが、等級3では、階段を利用して1階分の移動を行うことが許容されています。②共用階段-3-で紹介しましたスキップフロア型のアクセス方式の住戸は等級3となります。           等級3のエレベーターの大きさ等の規定では、等級5、4の場合の奥行寸法の規定が除かれています。       

    等級3の場合の エントランスホールの床の高低差に関する規定は、規定の字句上では、等級4と全く同じです。但し、(ⅰ)の(d)の段が、②共用階段の基準に適合しているという時の共同階段の規定が、等級4の場合は、同じ等級4の共同階段の規定であり、等級3の場合は、同じ等級3の共同階段の規定ですからその違いがあることになります。

    各階エレベーターホール(上から見おろした図)

    (ⅰ)勾配 が 1/12 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) ~ (d) の措 置が取られていること。

    (ⅱ)勾配 が 1/15 以下の傾斜路が設け られている他に、次の (a) 、 (b) の措 置が取られていること。

    (ⅲ)高低差が80mm以下で勾配 が 1/8  以下の傾斜路が設けられている他に 次の (a) 、 (b) の措置が取られている こと

    (a) 傾斜路の有効な幅員が 1,200mm 以上である(b) 傾斜路の少なくとも片側に手すり を床面からの高さが 700mm ~ 900mmの位置に設置する

    (ⅰ)勾配が1/12以下の傾 斜路と段が併設された例

    エントランスホール

    少なくとも片側

    エントランスホール

    傾斜路手すり少なくとも片側高さ700mm~900mm

    段手すり少なくとも片側踏面の先端からの高さ700mm~900mm

    傾斜路有効幅員≧900mm勾配≦1/12

    一辺が1,500mmの正方形の空間が確保できること

    エントランスホール

    共用階段の幅員

    (ⅲ)勾配が1/8以下  の傾斜路の例

    (ⅱ)勾配が1/15以下  の傾斜路の例

    段有効幅員≧900mm

    評価対象住宅のある階において、エレベーターを利用できない場合は、その階から建物出入口のある階又はエレベーター停止階に至る一つの共用階段の有効幅員が900mm以上であること。

    7頁の共用階段-2-の評価等級3(等級2、2-も同様)の基準解釈のヒントの最下欄部分を参照してください。

    1.手すりの設置が等級に応じた基準に合致していること2.設置されている手すりが使用できること(ぐらつくなどの障害がない)3.エレベーターが支障なく使用できること

    既存住宅の場合は下記の3つを満足する必要があります。

    共用部分 表紙 P0.pdf①共用廊下 P1.pdf①共用廊下 P2.pdf①共用廊下 P3.pdf①共用廊下 P4.pdf②共用階段 P5.pdf②共用階段 P6.pdf②共用階段 P7.pdf③EV P8.pdf③EV P9.pdf③EV P10.pdf