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12月7日O.A.
バリバラ特集ドラマ「悪夢」~前編~
はるな愛:は~い。 “バリゕフリー・バラエテゖー”「バリバラR」の時間です。パーソナリテゖーのはるな愛で
す。よろしくピース!「バリバラ R」は、Eテレで放送している障害者情報バラエテゖー「バリバラ」
のラジオバージョンです。今週から3週に渡り、「バリバラ・特集ドラマ」をお届けします。なんと、
バリバラで初めてドラマを作りました!タトルは、「悪夢」。今日は、このドラマで主演をされた、
お笑い芸人のハウス加賀谷さんにお越しいただきました!
加賀谷 :はーい。か・が・や、でーす!よろしくお願いします。
はるな愛:ちょっと、私、すごい引き込まれました。めちゃ演技もすごいよかったし・・・
加賀谷 :ですよねー。
はるな愛:自分で認めちゃう?それ。
加賀谷 :あのですね、今、僕、天狗なんですよ。
はるな愛:(笑)ちょっとね、みなさんに、どんなドラマか説明をお願いします。
加賀谷 :主人公が、統合失調症の男性なんですけども、僕自身も同じ障害があるんですけど、その実体験をち
りばめながら、その役を演じています。ほかにも、様々な障害者たちと出会い、その中で、自分の障
害を受け入れていく姿を描いていくドラマなんですよ。
はるな愛:いやあ、いろんな障害のドラマってあると思うんですけども、バリバラが作ったらこうなるか!って
いう・・しかも、バリバラに出てる、いろんな人たち沢山でてくるじゃないですか。
結構な人数でてたでしょ?
加賀谷 :大きいラウンジのシーンがあるんですけど、3、40人ぐらい出てましたね。
はるな愛:出演者の7割が障害を持ってる人たちで・・・。.
加賀谷 :そうなんです。僕の友人役には、 “ダウン症のケメンこと” 、あべけん太くん。
はるな愛:あべくん、よかったわあ。
加賀谷 :同じ事務所のバーターとして、カンニング竹山・・・
はるな愛:(笑)バーターなのね?カンニング竹山さんが。
加賀谷 :あとは、杉田かおるさんも出ていらっしゃるんですけども。
はるな愛:わからんかった・・・。
加賀谷 :そうでしょ。よーく見てるとわかるんです。
スタジオ出演 ◆ハウス加賀谷(はうす・かがや)・・ドラマ「悪夢」主演/お笑い芸人/統合失調症
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はるな愛:ちょっと、めちゃめちゃ豪華な出演者で。
加賀谷 :脇かためていただいて。
はるな愛:さあ、ラジオお聞きのみなさん、まずは、このドラマ、今週と来週の2回にわけてお伝えします。
では、バリバラ特集ドラマ「悪夢」前編をお聞きください。
録音① バリバラ特集ドラマ「悪夢」(作:宇田 学)~前編~ ※解説放送付き
瀬戸山真が、自転車で新聞配達。
幻聴:おまえはダメだ。
真 :ダメじゃない。(つぶやく)
幻聴:おまえは普通じゃない。
ガラス戸の向こうに白い人影。
幻聴:お前は働けない。
おどおどする真。
建物の陰から全身真っ白な人が数人でてくる。
真 :僕は普通だ。(つぶやく)
追われるように新聞を放り込んでいく。
背後から白い人が迫る。
真 :大丈夫だ。普通だ。(つぶやく)
物陰から振り返る。白い人が消える。ほっとした途端再び目の前に白い人。
真 :うわあーー!
【新聞販売店】
店長:ちょっと来い、早く。ここに新聞が残ってるってということは、配ってない証拠だろう?
真 :ですよね……。
店長:ですよね?どこ配るか、わかってるよな?地図も渡したし。
真 :地図、少し苦手なんです僕……。
店長:はあ!?
真 :すみません、今から配り直してきます!
店長:もう遅いよ!あのさ、辞めてくれるかなあ!
真 :ちょっとまってください。明日から頑張りますんでお願いします!
店長:帰れ。2日分の給料は、振り込んどくから。ほら、もう帰れ!やめろ!
真 :失礼します。
配達員:俺、見たんすけど。
店長 :なにが?
配達員:新聞を家に投げ込んで、振り返りながら、逃げるように自転車漕いでたっすよ。
店長 :なんでだよ?
配達員:さあ……。まあ、普通じゃないっすよね。
店長 :まあ、あんなやつとは、係わらない方がいいな。
配達員:ですね。
3
【真の部屋】
真が部屋のベッドで眠っている
壁には「働きたい」と書いた紙
机に広げられたノートは普通になりたいという文字で埋め尽くされている。
目覚まし時計が 12 時を知らせている。
カーテンは閉まっている。
薄暗い中 T シャツを着る。
のっそりと立ち上がりパンをほおばる。
机の上に、統合失調症の本や薬袋が置かれている。
薬を飲む真。
机の上のメモ。14 時から面接。
時計は 12 時 20 分。
カーテンを開けて外を見る。
路地に白い人達がいる。真を見つめて小首をかしげる。
真 :まだいるよ… 出たくないけど……いくか。
リュックをしょって玄関に向かう。
真 :あれ……何か忘れものしてるな。
立ちつくす真。
ボーっとしたまま立っている。
真 :あれ!?さっき、12時半だったのに!あれ?
時計は 2 時。
真 :また、やっちゃったよ……。
子どもが現れる。
真希:おいっす!
真 :あ……おいっす!
真希:声が小さい、おいっす!
真 :おいっす!て、真希ちゃん、いつから来てたの?
真希:20分前。声かけたのに、真、全然反応ないし。
真 :そういう時は引っぱたいてでも、気付かせてくれって言ってあるでしょ!
真希:引っぱたいたよ。思い切り28回。
真 :今は、叩かなくていいけど。
真希:お腹空いた……。
真 :えっ…お母さんは?
真希:仕事。
真希がパンにジャムをつけて食べる。
真 :いくら近所だからって……、ここまでやってくれる人はいないよ。
真希:これだけ?
真 :しょーがないでしょ。
真希:真、ほんと貧乏だね。
真 :うん。
真希:仕事してないもんね。
真 :……。
真希:……障害のせい?
4
真 :違うよ、それは違うよ。
真希がメモに気づく。
真希:真、面接あるんじゃないの?
真 :あっ、そうだ。
真希がカーテンを開けて外を見る。
真希:シロヒトいないよ。
真 :ほんと?真希ちゃん!鍵閉めといてね! 行ってきまーす。
真希:行ってらっしゃい。
【面接】
真 :はい!何でも出来ます!
面接官①:何でも出来ますって、転々としてて・・・続かない理由は?
真 :えーっと、あの、実は、僕、死ぬまでに1000種類の仕事をこなそうと目標にしてまして。
面接官①(冷たく)はい、結構です。
【別の面接】
真 :僕が悪いんではなくて、働く場所が、一ケ月もせずに潰れちゃうんです。
面接官②:(冷たく)はい、結構です。
肩を落として歩く。
【とある道(夕方)】
幻聴:おまえはダメだ。おまえは働けない。おまえは普通じゃない。
真の幻覚。通行人の後ろや、子供の後ろに白い人。
幻聴:お前は普通じゃない。
真 :ああああ!
逃げ惑う真。追ってくる白い人。
真 :おおおおっ!
【商店街】
義足の女が歌っている。
そばで、体の不自由な男女が皿を磨いている。
高架下に駆け込む真、母親から電話がかかる。
母親の声:もしもし真、元気でやってるの?
真 :うん。
母親の声:バトつづいてるの?
真 :ほっといてくれよ。
母親の声:真、雅之おじさんのお店で働かない?せっかく、声かけてくれてるし、お店増やして人出がたり
ないって!
真 :僕は自分のしたいことをしたいんだよ。
母親の声:皆、あなたのことを心配してるの。
真 : うるさいなあ、もうほっといてくれよ!くそっ!
サングラスの男が真を手招き。
手には木の実がついた枝を持っている。
真が男に近づく。
白い人たちが現れる。
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幻聴:おまえは普通じゃない。
真 :おおーっ、ああっ。
逃げてきた真が義足の歌い手たちにぶつかって転ぶ。
女の義足にすがりつく。
真 :ああ!!!助けて!
義足がはずれる。
真 :なんだこれ!マネキン?!
紗江:ふしあなか!
義足の女が店の入り口をあごで指す。
真:ああ、すみません。
外れた義足を返す。
店の名は「悪夢」健常者お断りの張り紙。
シャッターをくぐって、恐る恐る地下へ降りていく真。
【ラウンジ「悪夢」】
パーカッションに合わせて障害のある人たちが踊っている。
車いすで踊る人。仮面をつけて踊る人。寝たままリズムをとる人。義足で踊る人。
TASKE:キングオブバリゕフリー!
真 :なんだ……ここは?
義足の女、紗江が近づいてくる。
紗江:あなた、追われてるんでしょ?落ち着くまで、ここにいなさいよ。
真 :なんなんですか、ここは?……。
紗江:いいから。
カウンターに座る真。
光司がカクテルを作って真の前に置く。
それを横取りして光司が飲む。
真 :お前が飲むのかよ!
光司:悪いかよ。
グラスを倒す真。
真 :あぁ・・
光司:ドジだな!お前。
真 :すいません…。
ボックス席から 2 人の女が手をふる。
ビールをだす光司。
光司:あちらの女性からだ。
真 :僕、お酒飲めないんです。
再び光司が飲む。
真 :やっぱりおまえが飲むのかよ。
光司:おまえが飲めないって言うからだろう。
恵子:ねぇ。
足が不自由な恵子。ふらつきながら、近づいてくる。
マスクをした江利子も来る。恵子の足元を見る真。
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恵子:一緒に飲まない?
真 :……結構です。
恵子:じゃあ、踊りましょ!情熱の踊りを!
真 :……無理でしょ。
江利子:はあ?
光司:おまえ、俺のマドンナ恵子ちゃんになにを!
光司が恵子の胸の谷間を見つめる。
恵子:もう!なに見てんのよ!
光司:おっぱい・・!
江利子:じゃあ、わたしと踊りましょ。
江利子はマスクをとる。
真 :うわ!!!
江利子:なによっ、人をお化けみたいに!いやな男ね。
真 :ここに、普通のヤツいないのかよ。
真に視線が集まる。
光司:おまえ、普通なのか?
真 :そーだよ。
光司:もしかして健常者か?
真 :そ、そうだよ。
江利子:健常者っていや~なひびき。
光司:ここは健常者、お・こ・と・わ・り!出ていけ!
真 :えっ。
光司:っていうと思ったでしょ。
真 :…ん?
光司:言わないんです。
義足の紗江
紗江:健常者の定義って『心身に障害のない健康な人』
そんな人、世の中にいるかしら。
真 :えっ…。
紗江:あなた、統合失調症でしょ?
真 :・・・・・。
紗江:何隠してんのよ。幻覚だって見えるんでしょ。
真 :・・・・・。
紗江:幻聴も聴こえるんでしょ。
真 :・・・・・。
TASKE:人生カミングゕウト!
紗江:自分隠して楽しい?
真 :・・・・・。
紗江を呆然と見送っている。
【ラウンジ「悪夢」の外(夜)】
店を出る真。
怪しい男:ないなぁ、ないなぁ、ないわ……。
真 :どうされたんですか?
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サングラスの男がいる。真の体を触ってにおいを嗅ぐ。
真 :目が見えないんですか?
男が木の実を差し出す。
怪しい男:今すぐこれを食べ。おまえさん、何かに追われとったやろ?それが消せる実や。
真 :はぁ?
怪しい男:これ食べたらな、障害がなくなるんやで。
真 :じゃあ、ご自分で食べたらいかがですか?
怪しい男:ちょっと待ってちょっと待って!
落ちていた義眼を拾う。
怪しい男:あったあった!これやがな。
義眼を通して真を見る。
怪しい男:ネズミ色のパーカーに、坊主頭に、ずんぐりむっくりやな。
真 :見えるんですか?
怪しい男:見えるようになりたな、思うて食べたら。ほら、この通りや。信じまっか?
真 :障害が治るんですか?
怪しい男:そうやがな、そうやがな。
義眼をつける。
真 :でもこれ、なんで僕に?
怪しい男:わしはな、善意でやってますねや。この世から障害がなくなって欲しい思ってな。
真 :でも、なんで僕なんですか?
怪しい男:誰と決めた訳ではない。皆平等に配りたいと思てねんやけどな、数がそんなおまへんの。
せやからそこには「特別」という言葉が生まれる。うん。
ほなな。せや、言い忘れてたけどな、それ食べたら障害もなくなるけど、記憶もなくなるという
かな。思い出が軽くなるというか・・ワシもいろいろなくなってもうたけどなんも困ってへんな。
たいした思い出もなかったんやろうけどなぁ。はよ食べや。ほなな。
手のひらにのせた赤紫の木の実をまじまじと見る。
真 :これが・・・。
【真の部屋(夜)】
真希:これ食べたら、障害がなくなるの?
真 :うん。
真希:でも、記憶もなくなるの?
真 :そうらしいよ。
真希:僕が食べてみようか?
真 :いやあ、だめだよ。真希ちゃんは、障害ないでしょ。
真希:忘れたいことは一杯ある。
真 :もしかして、いじめられてるの?
真希:僕、変わってるって言われて・・・仲間はずれにされてるの。
真 :僕もいじめられてたなぁ。
真希:・・・・。
真 :学校には行ってる?
真希:うん、行ってる。…ママの夢を叶えないといけないから。
真 :ママの夢?
真希:ママは僕にお医者さんになってほしいんだって。
真 :僕も、医者になるように言われて勉強させられてたなぁ。
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真希:その顔で?
真 :顔、関係ないよ。
真希:あるよ。
真 :いやっ、ないって。むしろ変な顔の方がお医者さんになる確率は高いんだよ。
真希:うそ?
真 :うそ、うそうそうそ。
真希:僕はね、ゕドルになりたい。
真 :ほんと?実はね、僕も、ゕドルになりたかったんだよ!
真希:その顔で?
真 :いや、顔関係なく・・あるけど僕、意外とセーフでしょ?
真希:ううん、ゕウト。
【真の部屋(翌朝)】
震える手でコップに水を入れて飲む。
ラウンジ悪夢での事を思い出す。
(回想)
沙江:自分隠して楽しい?
TASKE:人生カミングゕウト!
真:カミングゕウトか・・・・
『統合失調症』と書きくわえた履歴書。
【面接会場】
真 :実は僕、統合失調症でして、テキパキ働くことはできないんですけども、一生懸命がんばります。
で、僕の症状としましては、幻聴や幻覚がありまして、シロヒトがドンドン出てきちゃうんですね。
どうですかね?こんな僕!
面接官:(冷たく)結構です。
うなだれて出ていく。
真 :なんだよ。結局、一緒じゃないか!
幻聴:おまえなんか採用されない。おまえは普通じゃない。
真 :うわ!あああ・・
エレベーターのドゕが開く。女性客の後ろに白い人が見える。
新聞販売店の前まで逃げてくる。
【新聞販売店の前】
中に入ろうとするが店内にも白い人。
真 :わああああ・・・
店長と配達員
店長:あいつ、嫌がらせか。
配達員:ですね・・・。
【商店街】
商店街を逃げ回る真。追いかけてくる白い人。
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【ラウンジ「悪夢」】
ラウンジ「悪夢」に逃げ込む。
中では、プロレスの試合中。
真 :はあはあ……。
入ってきた真を皆が振り返る。
真 :なんだよ!好きでここに戻って来たわけじゃないんだからな!
紗江を見つけて近寄る。
真 :ちょっと、あなた!カミングゕウトしろって言うから、してやったけど、全然変わらないじゃないか!
障害のあるプロレスラーが呼ぶ。
プロレスラー:おいっ、お前、上がってこい。
真 :え?
リング。
コーナーに座った真。T シャツを脱がされている。
真 :どういうことだよ?
相手のレスラーは足を引きずっている。
胸に水平チョップを受ける真。
光司が背中を押す。
真 :無理だって。本当に障害者相手に本気になれるかよ。
光司:ほら、いけ!
ラリゕットで倒される。そのまま絞め技。
真 :ああ、ああ……。
しめ落とされて試合が終わる。
TASKE:You’re バリゕフリー・チャンピオン!
マットの上で目を覚ます真。
【ラウンジ「悪夢」(夜・閉店後)】
真 :ここは・・・、あ、痛っ、悪夢だ。
誰もいないラウンジ。
紗江:手加減するから、そうなるのよ。
真 :障害者相手に本気なんか出せないよ。痛っ・・・。
腰をおさえる。
紗江が両足の義足を外す。
紗江:私はこの方が楽なの。抱いて。
真 :え?
紗江:いいから、抱きかかえなさい。
戸惑いながら近づいて、紗江を抱きかかえる。
そのまま動かない二人。
紗江:ね・・・。人間でしょ? 私たち普通の人間なのよ・・・。
カウンターから光司と TASKE が 2 人を見ている。
【とある道(夜)】
店を出る真。
光司と TASKE が後ろからついてくる。
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光司:紗江さんもバカだよな。おまえみたいな奴にかまうなんて、いつもああいう人じゃないのに。
紗江さんはな。昔の彼が、お前と一緒の病気でさ。
真 :え?あ、もしかして振られて、僕がそいつと同じ病気だから、もてあそぼうと。
光司:お前は底なしのバカだな。
真 :なんだよ!
光司:死んじゃったんだよ。その人。社会で居場所をなくしてな。
そのあとで、紗江さんはあの店を作ったんだよ。
真 :ふうん・・・話があるんだけど。
光司:ん?
【夜の公園】
光司:本当か?そんな実を誰にもらったんだよ?
真 :お前なら……どうする?
光司:どうするって?
真 :食べるか食べないか?
光司:そんなうまい話は信じないし、俺のどこに不満がある?
真 :・・・・顔?
光司:ふざけんなよ!俺は、ダウン症のケメンだぜ!
真 :それだったら、僕は統合失調症のケメンだよ!
光司 :いやいやいや。
真 :いやいやいや。
TASKE:人生カミングゕウト!
真 :うるさいよっ。
光司:俺が食ったら、ダウン症でなくなるのか・・・。そうしたら、俺は俺でなくなる。
そんなのいやだ。俺は俺だ。今のままでいい。
辛いことも多かったけど、みんなに会えてこうやって生きてるって、俺は最高なんだ。
なぁ、TASKE。
滑り台の上で踊る TASKE。
TASKE:生きていれば、なんでもできる!
真 :幸せそうだなぁ。おまえ、悩みは?
光司:あるよ。恵子さんって美人だろ。
俺は、恵子さんのおっぱいが好きなのか、顔が好きなのか、わからないんだよ。
おっぱいかなぁ。
真 :知らないよ。
光司:友達になってやろうか?
真 :なんだよ急に。
光司:携帯かせ。
真 :なんで?
光司:一人じゃ、世界を渡り歩くのは難しいんだぜ。
番号を入力する光司。
光司:ほらよっ。
真 :ありがとう。
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【真の部屋(夜)】
光司と TASKE が寝ている。
二人の寝顔を見て、かすかに微笑む真。
真希:おいっす。
真 :おいっす。
真希:良かったな。友達が出来て。
うなずきあう 2 人
【ラウンジ「悪夢」】
障害当事者へのンタビュー
真 :こちらを食べると障害がなくなります。
けれども記憶もなくなってしまうという果物なんですが、あなただったら食べますか?
恵子:今すぐ食べたいです。障害がない健常者として生きてみたい。
やりたいこともたくさんあるし、自転車にも乗りたいし、ハヒールをはいて歩いてみたい。
記憶がなくなったって、新しい記憶を作っていけばいいと思うんです。
男性1:んー。食べます。障害を生まれた時から受けてるので、障害のない世界っていうのを
体験をしたい。
真 :あーなるほど。奥さまはどうですか?
女性1:新しい世界を見てみたいけど、障害に慣れているので食べないです。
真 :じゃあ、奥さまは食べないで、ご主人だけ食べたらどうされますか?
女性1:違う人と付き合います。
男性2:絶対に食べないです。自分の人生を否定するようなことをしたくないので。絶対食べないです。
女性3:健常者だったらもっとこういうことが出来ただろうな、ってことを今まで何回も思ったことがある
のでだから、多分食べます。
江利子:私はいらないかな。結婚して、今旦那がいて、子ども2人がいるんだけど、これを食べると
それが全部なくなってしまうような気がするから、やっぱりこの顔で生きてきたからこその
築きあげてきた大事なものが沢山あるから、私はいらないかな。
真 :これ、TASKE なら食べる?
TASKE:食べない!食べない!(と言いながら食べようとする)
真 :食べようとしてるじゃん。言ってることと、やってることが、めちゃくちゃだよ。
TASKE:TASKE が TASKE であるためには、食べるわけにはいきません。食べたら負けだ。レッツ・ート!
真 :わかった、わかった、これ1個しかないもん。
【ラウンジ「悪夢」(閉店後)】
真希がソフゔで寝ている。
真 :紗江さんは食べないですよね。
紗江:私は、今の自分で未来を築きたいから。
真 :ありがとうございました。
真希ちゃん、起きるよ、行くよ。
紗江:その子、真希ちゃんっていうんだ。
真 :はい。真実の真っていう字に、希望の希と書いて真希ちゃんって言うんです。
紗江:そう・・・。で、あなたは食べたい?
紗江の顔を見つめる真。
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真 :おやすみなさい。
真希をおぶって帰っていく。
紗江:・・・・・。
はるな愛:わあ、熱演ですね。
加賀谷 :また鼻が伸びますよ。
はるな愛:あの、すごい皆さんの芝居がナチュラルだし、役者さんが芝居するのと、また違うし、みんなのトー
ンが、無理してない感じがすごいまたいいんですよね。
加賀谷 :そうなんですよね。だから、ぼくの場合も、統合失調症で、統合失調症の役をやるので、みなさんも
その、同じことなので、普通の役者さんが、統合失調症の役をやるのとは、またちょっと違う。
はるな愛:その中に、ぽっと、カンニング竹山さんとか、役者陣がはいってくるじゃないですか。
加賀谷 :そうですね。僕の引き立て役として。
はるな愛:(笑)新聞販売店の店長さんで。
ね、杉田かおるさんって、どこで出てきたんですか?
加賀谷 :あの、ぼくの電話でお話するお母さん役なんですよ。
はるな愛:わかったー!
加賀谷 :すごいんですよ。電話で、実際に・・
はるな愛:杉田かおるさんなんだ。
加賀谷 :杉田さんの声を聞きながら、僕、お芝居してるんですよ。
はるな愛:贅沢~。声だけの。
ね、真はこのあとね、果物を食べるのかどうか、すごい気になるんですよね。
加賀谷 :そうですね。そこ気になるところなんですけどね、ちょっとどうなるんでしょうね。
はるな愛:ね~。ま、この続きなんですけど、来週ちょっとお聞きしてもらいたいんですけど、Eテレでは、ド
ラマの再放送もあります。再放送は、12月10日(水)午前0時~0時54分まで。火曜日の深夜
になります。是非みなさん、ご覧になってください!加賀谷さん、来週もちょっとよろしくお願いし
ます。来週の「バリバラR」も、どうぞお楽しみに。はるな愛でした!ババ!