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IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社 ゼネラルビジネス事業本部 シニアコンサルタント 栗山 (中小企業診断士・ITコーディネーター) [email protected]/03-3808-3943 2003・02・22 バランス・スコアカード概説 SCMビジネスモデル研究会 パートⅠ バランス・スコアカード登場の背景 パートⅡ バランス・スコアカードの概要と導入効果 パートⅢ 情報システムの有効性評価への応用 1-2

バランス・スコアカード概説 - AIRnetバランス・スコア・カードの概念図 「経営のコックピット」 目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

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Page 1: バランス・スコアカード概説 - AIRnetバランス・スコア・カードの概念図 「経営のコックピット」 目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社ゼネラルビジネス事業本部

シニアコンサルタント  栗山 敏(中小企業診断士・ITコーディネーター)

[email protected]/03-3808-3943

2003・02・22

バランス・スコアカード概説

SCMビジネスモデル研究会

パートⅠ バランス・スコアカード登場の背景

パートⅡ バランス・スコアカードの概要と導入効果

パートⅢ 情報システムの有効性評価への応用

1-2

Page 2: バランス・スコアカード概説 - AIRnetバランス・スコア・カードの概念図 「経営のコックピット」 目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

企業を取り巻く環境は、激しい変化の時代に入ってから久しいが未だに厳しさが増しています。それぞれの経営課題への対応も難しいが、その管理評価・測定はどうすれば良いのか・・・?

何を重点的に進めたら良いのか・・・?

その正しいやり方はどうしたら良いのだろう?

株主利益

ITの価値は ?

M&A

お客様の期待

グローバルな競合

激変する市場

品質

プロセスマネジメント

コアーコンピテンシー

プライス・リーダー

組織

製品の優位性

市場の勝負時

今日の経営者が抱える課題・・・・・

社長の苛立ち・・・企業文化とは?

「怪議」!?

会して議せず↓

議して論ぜず↓

論じて決せず↓

決して行なわず

結局、何も変わらない!

何か「背骨」が欠けている!なぜ企業は

変われないのか!?

企業文化

企業風土

「企業文化」は様々なサブシステムの結果であり、直接的に変えることは不可能。

経営戦略戦略は明確か?

適切に立案されているか?

リーダーどんな人物をリー

ダーに選んできたか?

モラール社員の士気は高いか?

社員のロイヤリティー

社員と会社の距離感は?

業務評価固定給か能力給か?

意思決定稟議決済のスピードは?

コミュニケーション

「出る杭」はどう扱われる?

組織構造社長から平社員ま

で何階層?

ビジョン経営理念や行動基準(モットー)は明確か?

給与水準業界水準に比べ

てどうか?

個人の能力有能な社員が多

いか?

改革・改善への取り組み

変革への許容度は高いか?

3-4

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図解 「大企業病」

俺も昔はあの船に乗っていた・・・

創業期:全員が必死で漕ぐ(20Km/時)

もう安心だ。俺一人位漕がなくでも大丈夫だろう。(ばれないだろう)

大企業病:「漕いでいるふり」の人間が増え始め、速度が低下、

浸水も始まる(5Km/時)

倒産:支えるよりぶら下がる方が多くなり、優秀な人材から辞めていく

「限界速度」、「漕ぎ手と荷物の臨界比率」を超えると

振り子は二度と元に戻らない!

「兄弟仁義」のようにはいかない

戦略を「可視化」し、「等価性」をもって伝達

できるようにする手段が必要!

赤字になる戦略は誰も立てないのに、なぜ赤字の企業が後を絶たないのか?①そもそも戦略自体が実現不可能な水準を目指している。(チャレンジではなくギャンブル)②立てられた戦略についての議論、説明が不十分で、誰も納得していない。③戦略を立てるところまでで力尽きてしまい、実行されたかどうかは誰もチェックしていない。④立てられた戦略を適切に可視化、伝達できていない。

階層組織における戦略の消滅

(トム・ピータース)

有効に立案された戦略の80%が伝達の過程で消滅する。(ましてや有効に立案されなかったら?結果オーライが関の山!)

提案・上申および

戦略遂行の結果報告の流れ

戦略の伝達・指示の流れ

取締役会

連結ピン

なぜ戦略(社長の想い)は実行されないのか?

5-6

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① 意思決定に誤った情報を提供する:         (過去情報である)

② 今日の組織や戦略が何を必要としているか考えていない:       (非財務的業績評価指標を無視している)

③ 短期的指向で部分最適化を促進する:       (直近の利益に重点を置き過ぎる)

④ 財務会計の脇役を演ずる:        (財務会計の報告形式が管理会計を支配している)

⑤ コストの配賦が誤った利益計算を生む: (ABC*の必要性)⑥ 従業員に抽象的な情報を提供する:

       (財務的業績評価指標が必ずしも従業員の業務を説明し得ない)

⑦ ビジネス環境に全く注意を払わない:  (顧客の視点や競合他社の視点を無視している) 

⑧ 企業リーダーをミス・リードする:        (財務的業績評価指標は、四半期あるいは月次のため、短期的指向になり、       粉飾を促進する傾向になる)

従来の経営管理手方法への反省・・・経営者に提供してきた判断材料は適切だったか?

参考出典: 「バランス・スコアカード入門」、吉川武男、生産性出版

*ABC(Activity Based Costing): ABCマネジメントのことで、「活動、資源および原価計算対象の原価と業績を測定する方法論」をいう

財務的業績評価指標に基づく、伝統的マネジメント・コントロールへの反省・批判→新しいマネージメント・システムの模索

バランスド・スコアカードに至る経営管理とITの系譜1980年代、成長著しい日本企業に脅威を感じたアメリカが、日本的経営に学ぶ姿勢をとったことはよく知られていますが、バランス・スコアカードについてもその概念を分析すると、日本のTQC/TQMの「方針管理」に類似していることがわかります。方針管理は30年以上前に誕生した管理概念・技法で、結果偏重になりがちだった目標管理に対する反省とTQC/TQMのプロセス重視の視点から生み出されたものです。

参照出典:  ITC-Collabo Webサイト 「ITコーディネータのためのバランス・スコアカード講座」

1960年代 1990年代

QC

経営情報

システム

EASとIT*

オンライン分析処理)

シューハートメダル

デミング賞

M I S

方針管理

M R P

S Q C

日本経営品質賞

E I S

T Q C

目標管理

M R P Ⅱ

T Q M

B S C(バランス・スコアカード)

O L A P

E R P

D W HR D B

M B 賞

(データ・ウエアハウス)(リレーショナルDB)

(企業資源計画)(製造資源計画)(資材所要量計画)

(経営情報システム)

(統計的品質管理)

(マルコム・ボルドリッジ賞)

(経営者情報システム)

* EAS(企業アプリケーションシステム)

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パートⅠ バランス・スコアカード登場の背景

パートⅡ バランス・スコアカードの概要と導入効果

パートⅢ 情報システムの有効性評価への応用

戦略を可視化する手法としてのバランス・スコア・カード

バランス・スコアカードとは?

①企業が採用しようとする戦略の組合わせの良否を評価する手法

②企業の戦略がいかに実行されたかを総合的に測定する手法

短期戦略 vs 中長期戦略財務 vs 非財務

因果関係のシナリオ

「戦略とは因果関係の仮説である」ロバート・キャプラン

&デビッド・ノートン

バランス・スコア・カードは何を「バランス」させるのか?

9-10

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提唱者 Kaplan&Norton

ハーバード大学教授 ノーラン・ノートン社CEO

バランス・スコア・カードの戦略マップ

「学習」の視点

社員のスキル・能力が向上する

「業務プロセス」の視点

優秀な社員によって業務プロセスの品質が高水準に保たれる。

「顧客」の視点

その企業の取引先の満足度が

向上する。

「財務」の視点

企業の業績が向上する

戦略マップ(因果関係のシナリオ)

先行指標---遅行指標

先行

指標

--

-遅

行指

重要業績評価基準

重要業績評価基準

重要業績評価基準

重要業績評価基準

パフォーマンスドライバー

パフォーマンスドライバー

パフォーマンスドライバー

パフォーマンスドライバー

KPI: Key Performance Indicator

11-12

Page 7: バランス・スコアカード概説 - AIRnetバランス・スコア・カードの概念図 「経営のコックピット」 目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

学習と成長の視点

(16/25)

財務的視点(18/25)

社内ビジネス・プロセスの視点

(17/25)

顧客の視点(21/25)

総合評価1998年:72点

因果関係

総合評価1998年:72点

2002年:79点

2001年:77点

2000年:75点

1999年:74点

学習と成長の視点

(16/25)

財務の視点(18/25)

業務プロセスの視点

(17/25)

顧客の視点(21/25)

因果関係

ステーク・ホルダー間 組織間

戦略と実行間 時系列間(短期と中長期)

バランス・スコア・カードの概念図

「経営のコックピット」

目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

*飛行距離メーター(これまでのフライトの実績) ・・・過去指標:「財務」の視点*スピードメーター(現在の経営効率) ・・・現在指標:「顧客」と「業務プロセス」の視点*燃料メーター(これから先どれ位飛べるのか) ・・・将来指標:「学習と成長」の視点

そのためにはパイロット=経営者は、過去、現在、将来を示す計器類に対して飛行中にタイムリーにバランスよく目を配る必要がある。

バランス・スコアカードは「経営のコックピット」と呼ばれる。

出典:松原恭司郎著 「バランス・スコアカード経営」

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経営のコックピット(一目でわかる)バランス感覚(栄養素のバランス)それぞれの視点には、既に一般に認められた管理技法がある(定番の取り合わせ)。

メインディシュ、付け合せ、仕切りによりおいしさ加減、栄養のバランスが一目でわかる

松原恭司郎氏の講演より

「幕の内弁当」にも似ている

単位がない性質(測定単位)の異なるものを同一基準で把握・評価するために指標化したもの重いもの、長いもの、甘いもの、速いもの、固いもの・・・でも、いずれも健康には必要

「スコアカード」とは?

戦略マップとKPIの例

製造リードタイム50%短縮

戦略的目標 戦略的業績評価指標主な成果(事後的指標)                         業績ドライバー(事前的指標)

業績の視点・利益の拡大

顧客の視点・顧客満足度の向上

ビジネス・プロセスの視点・納品の迅速化・クロスソーシング・SCM全体の生産性の向上・本社機能の統廃合・生産拠点の統廃合・受発注の迅速化

革新と学習の視点・社員のスキルアップ・社員の意識改革・情報のスピードアップ・情報活用の効率化

信頼性分析、品質情報の即時伝達率100%

各生産拠点の生産性の向上

全世界の販売拠点と生産工場の直結95%以上

物流シミュレーション及び輸送計画

情報武装率100%

経営情報のデータベース化

生産計画作成リードタイム50%短縮

リアルタイムな生産拠点の状況把握率100%

CKDリードタイム50%短縮

全体の生産リードタイム50%短縮

クロスソーシング運用率95%以上

輸送予定達成率100%

設計変更促進の迅速化

不良率0.1%以下顧客満足度90%以上

各販売拠点の利益率の向上

各生産拠点の利益率の向上連結収益率10%増

ROA10%増ROE10%増

受発注リードタイム50%短縮

パーツの検索時間50%短縮

システムのユーザビリティの向上製品情報・顧客情報等へのアクセス率20%増

業種目標運動率90%以上

研修会受講率100%社員の生産性向上40%以上

パーツカタログのWeb化

受発注のEDI化90%以上

出典:櫻井通晴、ソフトウェア管理会計(2001)情報システム投資の評価を盛り込んだバランス・スコア・カードの戦略マップ

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1. ビジョンと戦略を明確ないし再構築することができる。

2. ビジョンと戦略を経営トップだけのものとしないで、従業員1人ひとりのアクションに落とし込み、将来の競争優位を獲得することができる。

3. 全従業員が一丸となって全員参加の企業経営ないし社風を創り、ビジョンと戦略の実現のために果敢に挑戦させることができる。

4. 従業員1人ひとりの責任と権限を明確にし、合理的な企業経営を行うことができる。

5. 事業計画や企業予算をビジョンや戦略にリンクさせることができる。

6. ビジョンと戦略の実現のために、既存の経営管理プロジェクトと協力することができる。

7. ITにより企業経営におけるナビゲーターの役割を果たし、スピーディーな問題発見とアクションをとることができる。

8. ビジョンや戦略の見直しと学習のために単なるフィードバック・コントロールだけではなくフィードフォワード・コントロールもできる。

横浜国立大学 吉川武男 教授 より

 バランス・スコアカードの8大効果

パートⅠ バランス・スコアカード登場の背景

パートⅡ バランス・スコアカードの概要と導入効果

パートⅢ 情報システムの有効性評価への応用

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経営戦略と情報システム戦略の整合性確保

情報システム機能の有効性評価基準は経営戦略遂行への貢献度

経営戦略

管理部門

(機能)

営業部門

(機能)

製造部門

(機能)

技術部門

(機能)

部門戦略・重点施策

情報システム戦略

情報システム機能(部門)のKPIは「ライン部門のKPIをどのように改善できるのか?」という観点から決定されるべきである。

BSCによってこれらの整合性を目視確認できる!

どちらを取るか!?

案件A:サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)関連

主として定量的・物理的な分野(ハード)に効果を発揮

案件B:ナレッジ・マネジメント(KM)関連

主として定性的な分野(ソフト・サービス・人的資源)に効果を発揮

共に同額の投資に対して同率のリターン。本当は両方やりたいが、諸般の事情で1つしかできない・・・

どういう基準でどちらを選択すべきか!?

19-20

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「意思決定の軸足」を固めましょう!

具体的にはどんなKPIに基づいてどう判断するか、ということ。それにはKPIの選定と重み付けに関する合意形成が必要!→「AHP法」に注目!

財   務KPI1KPI2KPI3

顧客満足KPI1KPI2KPI3

業務プロセスKPI1KPI2KPI3

学習とスキルKPI1KPI2KPI3

当社の「価値判断基準体系」経営戦略

どの案件がどのKPIを具体的にどう改善するか?因果関係に関する「理詰め」説明が必要ただし「証明」ではなく「合意形成」のタタキ台

声の大きい人の意見社長の顔色・・・

案件A:SCM

案件B:KM

問題(Problem)または目的(Goal)

代替案(Alternatives)

評価基準(Criteria)または目標

(Objectives)

有効なITプロジェクトを然るべき根拠に基づいて選択すること

複数のIT投資案件からの選択、またはある案件の採否

BSCにおける4つの視点やKPIの選定と重み付け

知的関心 費用治安

アメリカ インドイタリア

海外旅行の行き先決定

合意形成モデルの構築に当たってKPIの重み付けを決定する上で、

①それらの決定根拠を可視化し、②整合性を評価し、③合意形成を促進する手法                  として採用

AHP法(Analytic Hierarchy Process)とは?

意思決定問題を1. 問題(Problem)または目的(Goal)2. 評価基準(Criteria)または目標(Objectives)3. 代替案(Alternatives)の関係でとらえて

モデル化(数値表現)する。個人の主観的評価に頼らざるを得ない意思決定問題を扱うことができ、選択問題に威力を発揮する。ピッツバーグ大学、サーティ教授が考案

21-22

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一対比較と整合度

一対比較

評価基準間の重要度を決定する手法。一対比較で表明された意思決定者の価値判断が代替案の優先順位として数値で表現される。

「ITプロジェクトの有効性評価」について伺います。

「財務」と「顧客満足度」ではどちらを重要視しますか?

極めて 非常に かなり 同じ位 やや やや かなり 非常に 極めて 財務 顧客満足度 ○

一対比較の質問に対する回答の論理一貫性を表す数値。意思決定をどの程度の整合性をもって行ったかを判定する基準。「0.1」以下なら十分な整合性があるとされている。

整合度(Ci値:Consistency Index)

一対比較の質問にA>BかつB>Cと回答した後に「A<C」と答えると、

Ci値は増加(悪化)する。(「論理的に整合性がない」という判断が下される。)

人間の意思決定は「限定された合理性(Bounded Rationality)」からは逃れられない。(将来の事象に関する意思決定から不確実性を完全に排除することはできない。)Ci値を許容範囲に収束させる行為は、意思決定の判断基準の整合性を確保することによって、意思決定に潜むリスクを最大限にヘッジしようとする試みである。

財務Tw=0.063 , Ci値=0.015

顧客満足度Tw=0.270 , Ci値=0.092

ビジネス・プロセスTw=0.121 , Ci値=0.052

学習とスキルTw=0.545 , Ci値=0.052

製品別の収益性Tw=0.006

販管費率Tw=0.006

顧客別の収益率Tw=0.035

サービス別の収益性Tw=0.016

顧客対応時間Tw=0.163

納期遵守率Tw=0.023

配送予定達成率Tw= 0.021

返品率Tw=0.064

在庫切れ率Tw=0.045

品質に関する諸指標

Tw=0.020

事務処理等の正確性

Tw= 0.012

在庫回転率Tw= 0.045

一人当たりの付加価値Tw=0.151

戦略的情報の充足率

Tw=0.064

情報システムの利用度

Tw=0.064

再訓練のためのサイクルタイムTw=0.265

情報システムプロジェクトの選択Tw= 1.000, Ci値=0.063

Tw(Total Weight)と Ci値(Consistency Index)はある回答者の実数。

①「財務」~「学習とスキル」を一対比較し、最上位のCi値と4つの視点ごとのTwを算出。

②「財務」~「学習とスキル」それぞれの中の4つのKPIを一対比較し、4つの視点ごとのCi値と各KPIのTwを算出。

投資案件A(SCM)

Tw=0.371

投資案件B(KM)

Tw=0.629

③各KPIごとに投資案件A(SCM),B(KM)のどちらがより有効かを一対比較し、それぞれの案件のTwを算出。

一昨年皆様にご協力頂いたアンケートは何だったのか?

23-24

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有効性評価システムモデルの概念図

・・・・・

⑤合意形成

起案者

ボードメンバー(a,b,c・・・n)

③役員会前に起案書を配布

起案

承認または却下の決定④役員会の開催および意見の表明と内容についての質問

①~②

①役員会とは別にボードメンバーが集合し、意思決定ツリーとKPIについて合意する。②KPIの選定と重み付けは、整合性(Ci値)がクリアされるまで繰返し検討する。

③役員会開催の前に起案が配布され、ボードメンバーは各KPIに対して案件AとBのどちらがどれだけ有効かを各自一対比較する。このアウトプットはボードメンバーが個人レベルで両案件に対して形成した心象に相当する。

④役員会が開催され、両案件が審議される。提出された起案と起案者の説明(KPI改善に関する因果関係)に対して質疑応答が行なわれる。この場合の意見はAHP法によって数値表現されている。⑤(議論が尽くされたところで)合意形成が試みられ、承認または却下が決定される。

プロセス1

プロセス3

プロセス2

「バランス・スコアカードによる情報システムの有効性評価」

関東IBMユーザー研究会 平成13年度IT研究会

ITプロジェクトの有効性は「証明」が困難であり、「合意形成」によってアプローチすべきであることに関するコンセンサスを各社内で確立する。

ITプロジェクトの有効性をBSCで評価することによって利害関係者間の相互理解と合意形成を促進する。

合理的なKPI、パフォーマンス・ドライバー選定の方法論を確立する。

→BSCによるITプロジェクト評価事例の蓄積による  「納得度」の向上

会員企業各社における実践によって以下の3点を達成する。

25-26

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研究会で作成されたバランス・スコア・カードの例

視点 戦略目標 重要成功要因(CSF) 業績評価指標(KPI)

財   務付加価値向上コストダウン外販

社内売上制度の確立ホストのダウンサイジングと統合インターネット技術の適用外販向けソフト、サービスの構築

社内売上xx億円一人当たり生産性     xx千万円

情報コスト xx億円/年リース/保守費用    xx億円低減

エミュレーターソフト    xx百万円減額

ネットワーク費用    xx百万円低減

社外売上 xx千万円

顧客満足納期回答精度の向上品質・サービス向上社内ユーザー満足度向上

新オーダー管理システム総合品質情報システムシステム開発管理DBの構築と公開

納期回答精度 xx%苦情問合せ件数 xx%満足度調査ポイント

業務プロセス開発リードタイムの短縮在庫削減業務革新による省人化

3次元CADによる仮想モデリング

グローバル週次計画とVMIノーツ活用プロジェクトの完遂

開発リードタイム     xxカ月短縮

グループ在庫 xx億円  (xxか月分)圧縮

間接要員減  xx名

学習とスキルユーザースキルアップ部内要員スキルアップセキュリティ意識の向上

PC利用講習の定例化社内プレゼンOJTPC導入時のセキュリティ教育徹底

EUC満足度調査ポイントシステム要員満足度調査ポイント

セキュリティ意識調査

製造業K社の事例

BSC導入に当たっての最初の関門

KPIの設定導入アプローチ

メリット視点

コンサルタント構築体制

モニタリング人事効果

運用体制0

5

10

15

20

25

BSC導入企業が最も困っているのは「合理的なKPIの決め方。」

出典:バランス・スコア・カード フォーラム「FAQ集計票」(2001/5)アンケートによる「BSC導入に当たって生じる疑問点、不明点」343件のうち上位9項目

「戦略遂行を支援するKPI」ってどうやって選定したらいいんだ?

納得感は得られるのか?

どこかに「雛型」はないのか?

27-28

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「戦略立案」にまつわる悲喜劇

経営者

CIO経営企画部長

そもそも我々は「戦略立案の場」に呼ばれたこと

がない。

中期経営計画書

(予算書)

そもそもわが社には「戦略」がない。あるのは中計という名の

「予算書」だけ!

ランキング 国名 2002 2001 2000 1999 1998

1 アメリカ 1 1 1 1 1

2 フィンランド 2 3 4 5 6

3 ルクセンブルグ 3 4 6 3 3

4 オランダ 4 5 3 4 4

5 シンガポール 5 2 2 2 2

6 デンマーク 6 15 13 9 10

7 スイス 7 10 7 7 9

8 カナダ 8 9 8 10 8

9 香港 9 6 12 6 5

10 アイルランド 10 7 5 8 7

11 スウェーデン 11 8 14 14 16

12 アイスランド 12 13 9 13 18

13 オーストリア 13 14 15 18 24

14 オーストラリア 14 11 10 11 12

15 ドイツ 15 12 11 12 15

16 イギリス 16 19 16 19 13

17 ノルウェイ 17 20 17 16 11

18 ベルギー 18 17 19 21 23

19 ニュージーランド 19 21 18 17 17

20 チリ 20 24 25 25 27

21 エストニア 21 22 - - -

22 フランス 22 25 22 23 22

23 スペイン 23 23 23 20 26

24 台湾 24 18 20 15 14

25 イスラエル 25 16 21 22 25

26 マレーシア 26 29 27 28 19

27 韓国 27 28 28 41 36

28 ハンガリー 28 27 26 26 28

29 チェコ 29 35 40 37 37

30日本 30 26 24 24 20

国家の国際競争力ランキング(IMD)

29-30

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Z社・H取締役情報システム部長の決断

社長、今回CIOを拝命しましたHです。ところでどんな情報をお望みで・・・?

バカモン!!日経新聞社の記者が

どんな記事を読みたいか聞いて回っているか!?

君たちには日経の記者のようになって欲しいのだ!!

H取締役

社長

日経の記者・・・「経営が理解できる」ということかな・・・?

①まずH取締役自らが率先して「中小企業診断士」を取得。②現在では多くの情報システム部員が中小企業診断士か情報処理技術者を保有する、屈指の頭脳集団に変身。 (今後はITコーディネーター・・・?)

これからの情報システム部門には戦略立案機能が必須!

社内保有するスキルの選択基準例

長期的に自社の競争力を高める機能のみを自社で持つ。(選択と集中)

社内保有化

アウトソーシング化

情報システム関連のスキル体系

IT系            経営系

教育(戦略研修など)

教育(OA研修

など)

保守

運用

開発

システム企画

経営戦略

「経営」はアウトソーシングできない。最後まで社内に残るのは「システム企画」の機能。情報システム部門の人材育成の方向性は「経営の知識とセンス」。

31-32

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CIOはITで経営革新をリード!

CIO = Chief Information Officer

Inhibitor

Innovation○

ビジネスBSCの構築ビジネスBSCの運用と定着

•BSC適用の対象組織と活用分野の決定

構想立案

導入準備

本番移行

フェーズ1

経営のご判断

フェーズ2•プロジェクト準備•キックオフ・ミーティング(合意形成型の有効性評価手法と

BSCについての共通理解確立)•経営戦略と経営目標の可視化•現行の業績評価指標の調査と整理•戦略マップの作成とKPI(*)の決定•ビジネスBSCの構築•KPIの算定情報源(データソース)の

定義と有無の確認•トップ・マネジメントの承認

情報システムの有効性評価への活用

モニター期間(6~12ヶ月)

KPI値の月次推移課題点の抽出

PDCAサイクルでの見直し

モニター期間終了後、KPIの再検討・追加・削除

①年度予算策定・実施プロジェクトの選定•各プロジェクトのビジネスBSCのKPIへの貢献度分析•優先順位付けと採用プロジェクトの決定

②特定プロジェクトの評価への適用•評価対象プロジェクト用のIT-BSCを構築•ビジネスBSCのKPIへの貢献度分析•プロジェクト成功へのシナリオと関係者の役割・責任の明確化

コンサルティング・サービスへの展開

「BSCを用いた情報システムの有効性評価」のロードマップ

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Page 18: バランス・スコアカード概説 - AIRnetバランス・スコア・カードの概念図 「経営のコックピット」 目的地へ時間通りに到着する=経営目標を達成する

栗山の究極の願い

ユーザー部門

経営者

情報システム部門

投資 成果の実現

サービス提供

IT投資評価のトライアングル構造

合意形成

ITプロジェクトの成果を「納得づく」で

最大化する!

e-Japan構想の実現

売り手と買い手の合意形成(経営戦略の立案段階からご相談いただける、真のパートナーでありたい!)

ご清聴ありがとうございました。

バランス・スコア・カード経営戦略の明確化と合意形成の促進情報システムの有効性評価への応用

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