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国内インターネット広告市場の動向...単価の高い純広告のシェアを奪っていったため、 メディア側の収益性は低下した。一方で広告主側

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1-2 広告とマーケティング

国内インターネット広告市場の動向

石川 真一郎 ●みずほ銀行 産業調査部 調査役

インフィード広告を中心とするディスプレイ広告の成長により、スマホ広告が市場を牽引。動画広告は、制作コストの低下と配信可能媒体の増加により利用が拡大。導入の進むDMPは専門人材の育成が急務となる。

 2014年の国内総広告費は、消費税増税によるマイナス影響があったものの、ソチオリンピック2014や2014FIFAワールドカップブラジルなどのイベント効果もあり、緩やかな成長を続け、なかでもインターネット広告費は前年を上回るペースで拡大した。 電通が発表した「2014年(平成26年)の日本の広告費」によれば、インターネット広告費(媒体費および制作費)は1兆519億円(対前年比12.1%増)と初めて1兆円を超え、総広告費に占める割合は17.1%まで拡大した。インターネット広告費のうち媒体費は8245億円(前年比14.5%増)と前年の伸び率を上回る成長を見せており、特に運用型広告1は5106億円(前年比23.9%増)と大きく伸長した。運用型広告の多くを占めている検索連動広告がスマートフォン(タブレット含む)で大きく伸長したことに加え、ディスプレイ広告においても自動(プログラマティック)取引が浸透したことが要因である。

 2015年においても、インターネット広告費は引き続き広告市場全体の伸びを大きく上回るペースで成長を遂げたと見られる。以下に、2015年の業界動向を振り返りつつ、今後注目すべき点について見ていきたい。

■スマートフォン向け広告市場の拡大 2015年のインターネット広告市場は、スマートフォンによるメディア接触時間の増加を背景に、スマートフォン向け広告が牽引し成長が拡大した。総務省の平成26年通信利用動向調査によると、スマートフォンの普及率は64.2%(前年比1.6%増)と普及拡大が続いており、ユーザーの端末別接触状況でもスマートフォンは47.1%(前年比4.7%増)と、自宅のパソコンの53.5%(前年比4.9%減)に迫りつつある。PCに比べて広告単価は低いものの、ユーザーの利用時間の増加に伴い広告出稿需要も増加している。

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資料1-2-1 国内広告市場と媒体別広告の成長率の推移と予測

出典:2014年までの実績値は電通「日本の広告費」。2015年以降はみずほ銀行産業調査部による推定と予測。

資料1-2-2 国内インターネット広告市場(媒体費のみ)の推移と予測

出典:2014年までの実績値は、電通「日本の広告費」。2015年以降はみずほ銀行産業調査部による推定と予測。

■インフィード広告が主流に スマートフォン向け広告の動向において注目すべき点として、ソーシャルメディアやキュレー

ションサイトなどでのブランディング目的のディスプレイ広告の増加が挙げられる。 スマートフォンは画面が小さく、バナーによる

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インプレッション効果2を目的とする広告はユーザーのコンテンツ視聴を妨げる要因になるため、検索連動広告などレスポンス効果を目的とする広告が主流であった。しかし、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアやグノシー、SmartNewsなどのキュレーションメディアでインフィード広告3の利用が増加しており、2015年5月にYahoo!JAPAN(m.yahoo.co.jp およびアプリ)のトップページがタイムライン化したことで一気に広がった。スマートフォンでは、PCのようにウェブブラウザーでの検索が情報接触への起点になるのではなく、アプリの利用が中心となることもあり、すでにインフィード広告を中心としたディスプレイ広告が検索連動広告の市場規模を上回っている。 また、2015年3月には日本インタラクティブ広告協会(JIAA)によりネイティブ広告4の定義および推奨規定が制定された。インフィード広告はネイティブ広告の一種として規定を順守することでユーザーを惑わせない運用が求められており、今後、健全な発展が予想される。

■動画広告の広がり 動画広告は、クリエイティブの制作コストが高価であること、YouTube以外に動画広告を配信できる広告媒体が限られていたことから、テレビCMなどの既存クリエイティブを流用できる一部大手広告主による利用に留まっていた。しかしリーズナブルなコストで動画広告を制作できる事業者が増加5し、また媒体面でもソーシャルメディアやキュレーションメディアでインフィード広告用の動画広告面が増加したことから、急速に利用が広がっている。動画広告の完全視聴率は、動画コンテンツに付随する広告のほうが非動画コンテンツに付随する広告に比べて高いと言われており、YouTubeやGyaO!のような既存動画配信メディアに加え、動画メディアへの大規模投資を発

表したサイバーエージェントやライブ動画配信をリリースしたLINEなどの新規参入もあり、各事業者の動画メディアへの取り組みに期待が集まっている。

■広告主の動向から見る変化 スマートフォン向け広告の主要広告主であるモバイルゲーム会社の広告活用方法にも変化が見られた。従来は、まずテレビ広告により認知を図り、アプリ内リワード広告によりダウンロードを促すことでアプリストアのランキングを上げ、同時にCPCアドネットワークにて幅広いリーチを取ることでさらなるダウンロードに繋げる、という手法が勝ちパターンとして定着していた。しかし、モバイルゲームも普及が進み、新規ユーザーが減少しランキング上位のゲームも固定化しているため、リーチを広く取ってユーザー数を増やすことに広告費を投入するよりも、質の高いユーザーを囲い込むためにターゲティングを重視する方向に変わりつつある。具体的には、ダイナミックリターゲティング広告などを活用して、広告主であるゲーム会社が保有するユーザーデータをもとに、ユーザーの利用状況に応じた広告を配信する方法にシフトし始めている。 ダイナミックリターゲティング広告は、リターゲティングにレコメンデーションを組み合わせた形態で、特にPC向けにEC事業者を中心に導入が進んでいる。過去に対象サイトを訪問したユーザーに対して、属性データやウェブ行動履歴などに基づき、大量の自社商品データの中から最適と思われる商品広告を自動的に表示することで高い効果を上げることができる。2015年に入ってスマートフォン向けダイナミックリターゲティング広告商品のリリースが相次いでおり、ゲーム会社やEC事業者を中心に利用増加が見込まれている。 一方で、リターゲティング広告が有効であるの

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はそのサイトを訪れたことのあるユーザーに限られるため、新規顧客獲得の手法としてオーディエンスターゲティングの精度向上が期待されている。オーディエンスターゲティングとはウェブ行動履歴やその他のオーディエンスデータに基づいてユーザーをセグメントする手法で、具体的には、対象サイトの未訪問ユーザーに対し、その興味対象を推測して最適な広告を配信することで対象サイトへの誘導を可能にするものである。

■フラグメンテーションの解決に向けて しかし、スマートフォン向け広告にはユーザーデータの断片化(フラグメンテーション)のため、ターゲティング精度に技術的な課題が存在する。スマートフォンではクッキーの利用が限定的なことに起因する問題であるが、さまざまな解決方法が検討されているなかで最も有望視されているのが、ユーザー IDの活用である。Facebookによるユーザー IDを活用したターゲティングが成功していることから、1st Partyデータ6の重要性が認識されている。海外では、米国最大手の通信キャリアであるベライゾンが、米国最大手のモバイルアドネットワーク企業ミレニアルメディアやAOLを買収したうえ、顧客データの他社への開示を止めると報道されるなど、有効な1st Partyデータを保有する事業者は、この分野への取り組みを強化している。 日本でも、携帯キャリア会社や共通ポイント運営会社など1st Partyデータを保有する事業者によるフラグメンテーション解決に向けた取り組みが本格化することが予想され、ターゲティングの精度向上に伴いメインストリームがアドネットワークからプログラマティック取引へと移り変わる日は遠くないと見られる。

■アドテクノロジーの動向 アドテクノロジーに目を向けると、DMP(DataManagement Platform)の導入が広がっている。 アドテクノロジーの歴史を振り返ると、2011年以降、DSP(Demand Side Platform)と SSP(Supply Side Platform)の間でのRTB(Real TimeBidding)取引が広まり、これらを総称するアドテクノロジーを活用した広告手法への期待が高まった。その後急速に普及が進んだものの、日本国内ではダイレクトマーケティング系の広告主が多いことから効果測定指標としてラストクリックのCPAが重視されており、短期的に最も効果が出るリターゲティング広告が偏重される結果となった。また、RTBによるプログラマティック取引の増加は、広告単価の引き下げに繋がると同時に、単価の高い純広告のシェアを奪っていったため、メディア側の収益性は低下した。一方で広告主側から見た場合でも、DSPによるRTB取引では配信先のメディアが把握できないことが多く、ブランド毀損リスクが懸念されるなど問題点が露呈した。 このような状況で、2013年頃より、ユーザーデータを収集/整理/活用してターゲティングを行い、広告配信の最適化を行うDMPの普及が本格化した。2014年には、自社サイトのユーザーデータや顧客管理データなどの1st Partyデータを整理し、外部から3rd Partyデータを取り込んで、独自のターゲティングを行うプライベートDMPが大手広告主の一部において導入が進み、2015年にも浸透が進んでいる。また、2015年9月には個人情報保護法の改正があり、匿名加工情報の取り扱いが明確化されるなど3rdPartyデータの流通に向けた基盤整備も進んでいる。そのため、DMP普及当初に期待された3rd Partyデータの取り込みによりターゲティングを行うパブリックDMPについても今後の発展が期待されている。

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こうしたDMPを活用したターゲティングの普及には、これらを使いこなせるマーケティングと ITの両方のスキルを持ったデジタルマーケティングの専門人材が必要であるが、現状では人材不足が普及へのボトルネックとなっており、人材の育成が急がれる。 また、広告単価の下落に対応するため PMP(Private Market Place)の構築が始まっている。PMPは、広告主とメディアを限定することで、広告主には配信先の広告面をある程度コントロールすることを可能にし、メディア側には高単価の固定価格取引を優先しつつ効率的に販売することを可能にする、といったメリットがある。2015年より電通はグーグルの協力のもとPMPへの取り組みを開始しており、今後の広がりが予想される。 スマートフォン向け広告におけるフラグメンテーションも含め、アドテクノロジーに関する課題はまだまだ多いものの、引き続きプログラマティック取引が増加していくものと考えられる。アドテクノロジーはインターネット広告の進化とユーザーの利便性向上に資するものであり、その動向が引き続き注目される。

■広告の本質を追究することが発展に繋がる 広告の目的とは、できるだけ多くの人に広告を到達させ、認知してもらい、理解を得たうえで、好意をもってもらい購買に繋げることである。しかし、インターネット広告はマスメディア広告に比べてアトリビューション分析7が可能であることから、日本では影響力が見えやすいレスポンス効果を重視してラストクリックを偏重しがちであった。レスポンス効果を重視し過ぎると、効率を上げるために広告を配信する分母が小さくなり

やすく、多くの人に広告を届けるという本来の目的を見失う可能性がある。 しかし、ここに来て動画広告やインフィード広告といったこれまでより認知率の高い広告手法が拡大しており、インプレッション効果に対する期待が高まってきている。ユーザーの生活に占めるインターネットの割合が増加しているなかでは、カスタマージャーニー8の入り口としてインターネット広告が果たすべき役割はもっと大きなものになるべきである。日本広告業協会が認知効果の基準値整備を進めているように、業界一丸となっての取り組みを期待したい。 また、何よりも重要となるのは、ユーザーにとって魅力的な広告を配信するという基本に立ち返ることであろう。グーグルも「ユーザーにとって最も適切な広告が表示されることを目指している」と言われているように、ユーザーにとって魅力的な広告は媒体にとっても魅力的な広告であり、関係者全員の利益に繋がる。iOS9に搭載され話題となったアドブロックについても、広告収入で成り立っている媒体の存続を危うくすると見る向きもあるが、最大の対策はユーザーに広告に対する嫌悪感を抱かせないことである。その意味ではアドブロックを利用するユーザーは広告を配信しても効果が得られる可能性の低いユーザーであり、むしろターゲティングの精度向上に繋がるとも言える。 「ユーザーに魅力的な広告」という本質から外れた広告が増えれば、テクノロジーの進歩はユーザーの広告への嫌悪感を増幅するものとなり、やがてインターネット広告の健全な成長を阻害することとなろう。インターネット広告市場のさらなる発展のためにも、本質を追究した取り組みに注目したい。

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1. 運用型広告とは、膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動化もしくは即時的に支援する広告手法のこと。検索連動広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、新しく登場してきたDSP/アドエクスチェンジ/SSPによるRTBなどが典型例。なお、枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは含まれない。

2. ネットの広告効果にはクリック率や購入率で計測できる直接的な「レスポンス効果」と、認知率やブランドイメージ向上に貢献する「インプレッション効果」の2種類があると言われる。

3. インフィード広告とは、記事やコンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで設置された広告で、視認性が高く、テキストに加え画像や動画広告も配信できることからブランディング目的にも適している。

4. ネイティブ広告とは、デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事/コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す。

5. ヤフーは、2015年 5月に動画制作クラウド「Viibar」を提供するビーバー(Viibar)と業務提携し、同9月には韓国の動画広告作成プラットフォーム「Shakr」を運営するシェーカーメディア(Shakr Media)と提携するなど、低価格な動画制作プラン提供も含め動画広告への取り組みを積極化している。

6. 1st Party データとは、自社がオリジナルとして保有するデータのことで、自社以外の第三者が保有するデータは3rd Partyデータと呼ばれる。

7. アトリビューション分析とは、メディアごとのコンバージョンへの貢献度を調査する分析。

8. カスタマージャーニーとは、ユーザーが購買に至るまでに辿る経路。

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