60
1 オペレーショナルリスク管理と実務 三菱信託銀行経営管理部 栄治 本稿の意見・内容は発表者個人に属するものであり、 発表者の属する組織の公式見解ではありません。

オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

1

オペレーショナルリスク管理と実務

三菱信託銀行経営管理部

庵 栄治

本稿の意見・内容は発表者個人に属するものであり、

発表者の属する組織の公式見解ではありません。

Page 2: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

2

目次

1.オペレーショナルリスクの概念

2.オペレーショナルリスク定量化手法

3.手法論点

4.システム化

5.今後の課題

Page 3: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

3

1.オペレーショナルリスクの概念<新BIS定義>

「内部プロセス・人・システムが不適切であること若しくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる直接的又は間接的損失に係るリスク」

<ポイント>

・Regulatory Capitalの性格上、アザーリスク定義「マーケットリス

クおよび信用リスクに分類されない他の全てのリスク」ではなく、原因を限定した

・ただし、計量のためには損失のタイプ(結果)に着目したデータ収集が必要なことを認識している

・計量に適さないと考えられる戦略リスク、風評リスクを明示的に対象外とした

・間接的損失を明示的に対象とした

Page 4: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

4

1.オペレーショナルリスクの概念<対象の拡張とBIS規制>

発生形態1

:直接損失

発生形態2

:間接費用

発生形態3

:機会損失

要因 A(事務)

要因 B(システム)

要因 C(法務)

要因 D・・

Page 5: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

5

2.オペレーショナルリスク定量化手法(1)市場リスク、信用リスクとの比較(損失・情報)

市場リスク 信用リスク オペレーショナル

リスク

損失顕在化は

頻繁(50%)

損失顕在化は

1%レベル損失顕在化は

0.1%以下

インパクトはベル型の

分布(正規分布)

インパクトは与信額・

回収率によるインパクトの事前推

定は困難

管理のための情報は

市場から自由に取得

取引先以外の情報は

業界横断で取得できる

ものもある

外部でアベイラブル

な情報は僅少、しか

も比較可能性に問

Page 6: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

6

2.オペレーショナルリスク定量化手法(1)市場リスク、信用リスクとの比較(管理・報告)

市場リスク 信用リスク オペレーショナル

リスク

BIS 規制では VAR(分散共分散

モンテカルロ)

新 BIS 規制案では格

付毎リスクアセット計

新 BIS 規制案では

実際のロスデータ平

均から

内部管理用も

同様

先進的手法では

モンテカルロなど先進的手法では

モンテカルロ、EVTなどの分布推定

定期的(日次)な定量

的管理が既に定着

定期的な定量的分析

が普及期にそもそも発生しない

との前提で、個別管

理のみ

経営に対してストック

(リスク量)・フロー(損

益)の報告体系完備

経営に対してストック

の報告体系が先行

フローの報告は定型

化の途上

経営に対して体系

的な報告は未整備

Page 7: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

7

2.オペレーショナルリスク定量化手法(2)新BIS規制にあげられた4手法

①基礎的指標手法(Basic Indicator Approach)全体に対する単一の指標に係数αを掛ける(候補は粗利益の30%)

②標準的手法(Standardised Approach)・・事実上の出発点

ビジネスライン毎のインジケーターに係数βを掛け、それらを単純合計

③内部計測手法(Internal Measurement Approach)ビジネスライン×損失タイプのセル毎の平均損失額に係数γおよびRPIを掛け、それらを単純合計・・個別行の実績を反映する(リスク感応的)

④損失分布手法(Loss Distribution Approach)・・未採用

セル毎に累積損失額の確率分布関数を推定それを単純合計

Page 8: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

8

3.手法の論点(1)用途(目的)

①Regulatory Capital比較可能性、運用の透明性を重視

②Economic Capital(経営体力との比較)

保守性

③Economic Capital (社内組織の効率性の指標)

時系列比較の重視 

④ロス・コントロール、リスク・ファイナンス(保険)の判断

妥当性の追求

いずれにせよ定量化をスタートして精度向上させ、

説明力向上の必要がある

定量化の用途により、優先させる性質が異なる

Page 9: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

9

3.手法の論点(2)対象

損失の範囲

直接損失、間接損失・・

ニアミス(社内検証でスクリーニングされた?、固定費用

で対応した?、損失は保険補填された?)

複合した要因、連鎖的な事故

組織の範囲

全社リスクを対象 

個別の小組織を対象

データが希薄化→手法やパラメータ推定の工夫要

リスク量の対象範囲によるデータ・手法への影響

Page 10: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

10

3.手法の論点(3)指標

99%点といったVaRの性質

=滑らかな関数ではなく、Subaditivityが破綻

シミュレーションで算出すると

・比較的HFの限定した分野では安定した推定

・信頼区間変化に対しては滑らかではない

スコアカード/セルフアセスメント手法

・網羅性、重複排除はシナリオ次第

・数値化は主観の排除が難しい

VaRというリスク量指標

Page 11: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

11

3.手法の論点(4)推定方法

<ex-ante>取扱い金額と損失の関係が明らかになれば、取扱い金

額を予想する

システムの連鎖的障害をモデル化する

<ex-post>損失データの統計で算出する(actuarial model)新業務にかかるリスクなどは示唆しない・・

ex-ante、ex-post

Page 12: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

12

3.手法の論点(4)推定方法

分布形状の再現

<パラメトリック>

抽象化されている?、情報量に限界?

既知の知見が加わった仮定で普遍化し、情報を補強(・・もっとも仮定だが)

<ノンパラメトリック>

分布形を仮定しない

観察期間の情報量で充分か?(ブートストラップに よ

る増幅などの対応もあり)

パラメトリック、ノンパラメトリック

Page 13: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

13

3.手法の論点(4)推定(発生頻度)

<発生頻度が比較的高いもの>

例)事務ミス、システムトラブルなど

リスクファクタ(ドライバ)の探索-強度の説明は取引量、作業人数、時間、監査評点、業務複雑度合い…

<ほとんど発生しないもの>

例)不正、金融ネットワーク不調(2000年問題)

精緻な推定はもともと困難、業界全体の経験やシナリオ

分析(想像力)により補完する

雇用慣行・報酬体系の影響、早期発見が重要

ポアソン分布

Page 14: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

14

3.手法の論点(4)推定(損失額)

損失金額

仮説1:ベースとなる取引金額に差がある

仮説2:対応に要した時間が影響する

仮説3:異なる損失率(回復率)にさらされるプロセスが複合している

LFHIの例は外部データ利用が積極的に支持される?

Fat tailsの分布形状

Page 15: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

15

3.手法の論点(4)推定(損失額)

仮説1の検証(実際の決済金額と損失分布の比較例)

99%点÷

平均

99%点÷

σ

99%点÷

75%点

1 か月分の

決 済 金 額

分布

13.18 286.04 36.89

1 日分の決

済 金 額 分

12.13 67.25 20.33

損失額 12.00 40.47 11.44

Page 16: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

16

3.手法の論点(5)セル分解

・セルの区分は細かいほうが良いか?

管理上は細かいほうが

統計上は荒いほうが

・1次元で多分割、多次元で小分割の

管理上は多次元型

(裁量/責任に準拠させた区分)

・セル間の相互関係の記述

独立か、単純合算

・切り方例

組織(ビジネスライン)

要因(原因)、 発生形態(結果)→要因

発生形態↑

→組

セルはどう分解するか

Page 17: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

17

4.システム化(1)オペレーショナルリスク管理のための機能

報告ワークフロー、事後管

理、データベース

「事故報告 DB」

経営への報告 「経営モニター」

リスク量計測と比較分析(規

制、経営体力、組織、時系列)

「 計 算 エ ン ジ ン 」

「OLAP」(ORB)

管理体制自己査定、新商品

のリスクチェック

「 情 報 収 集 機 能 」

(ORB)

事故要因の個別分析 (データマイニング)

Page 18: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

18

経営モニター

4.システム化<システム構成例>

報告システム

自己査定

スケーリング関数

データベース

VaRエン

ジンデータマイニング OLAP

既存システム事務量

事故報告

事故報告

スコアカードスコアカード

外部データ

Page 19: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

19

経営モニター

4.システム化<対応機能>

報告システム

自己査定

スケーリング関数

データベース

VaRエン

ジンデータマイニング OLAP

既存システム事務量

BIS規制

割当資本

組織評価

報告ワークフロー

事後管理

DB

原因分析

事故報告

事故報告

スコアカードスコアカード

外部データ

査定ワークフロー

新商品

Page 20: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

20

4.システム化(2)「事故報告DB」

①報告ワークフロー、事後管理

従来、紙で報告されていたものをシステム化

<即時性・透明性>

・報告後の事後管理

・検査部・リスク管理部署に同報

・雑損認定に連結

②データベース

要因分析のための属性付加

→省力化、信頼性

Page 21: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

21

4.システム化(2)「事故報告DB」

グループウェアのノーツ上に設置

全社員がユーザー

既存インフラを利用し安価な開発および維持

報告フロー自体の記録

報告基準が明確

損失額によるフィルターなし

ニアミス含む

対象範囲が広い

現金事故、事務過誤、業務上事故、法令等違反、

システム障害、苦情、訴訟

(天災、争乱等の追加予定)

Page 22: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

22

4.システム化(3)「VaRエンジン」

①目的

規制対応を当然クリアし、内部管理(割当資本)に照準

②手法

「損失分布手法」

EVT含むパラメトリック(各種分布とパラメータ推定)

セル毎の実データが不足するための工夫

新BIS現提案の「内部計測手法」も搭載

規制上のセルへのマッピング

③共同開発

定量理論:MTBインベストメント・テクノロジー研究所

実装・OLAP:ニューメリカル・テクノロジー社

Page 23: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

23

4.システム化(3)「VaRエンジン」

④ハードウェア

PCサーバー

⑤分析(OLAP)

セル毎のリスク量照会

セル毎のシミュレーション分布結果

実際の事故データとの分布形状の比較

⑥試験使用

QISデータも利用(当社事故報告DBに間接損失を含めるなどの対応が必要だった)

別途、計画中の定量的事務品質向上プロジェクトからEI の推定材料

Page 24: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

24

5.今後の課題(1)検証

新BISの要求

・計算結果はユース・テスト

-報告、割当資本、分析などの実使用で信頼性向上

・損失データベース・システム

・インフラ(人、システム)、データの記録

VaRのバックテストは困難?

手法間比較セル、時間区分でサンプル数を増幅させたバックテストユーステスト(早期導入と実使用による体制整備とチューニ

ング)

Page 25: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

25

5.今後の課題(2)外部データの可用性

情報源の問題

MORE(GARP主導)・・など環境(法制度、金融慣行)が異なる国のリスク顕在化事例をそのまま参考にできるか?

スケーリングの問題

損失は処理プロセスへの依存度が大きい(個別性が強い)ため、そのままの使用で推定精度は上がらない

国内データコンソーシアムに期待データ利用ではEI調整して、一定比率を超えるものだけを

利用(=EI比率のフロア効果、外部データのうちLFHIものを抽出、収集と利用において匿名性保持)

Page 26: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

26

5.今後の課題(3)規制と内部管理

オペレーショナルリスク管理のシステムは規制対応、割当資本といった用途が先行して議論されているが・・

報告は機能しているか?・・情報偏在は損失を拡大

環境変化(雇用体系、アウトソーシングなど)の影響を検知できるか?・・十分なセグメント管理機能

管理コスト自体は圧縮できないか?・・過剰品質発見

リスク・ファイナンスは、保険か資本か引当か?

規制動向は未確定だが

規制クリアを超えたレベルでの、内部管理のためのシステムが早急に求められている

統括機能(情報集中)低コスト、柔軟性、標準化されたシステム

Page 27: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

27

オペレーショナルリスクの管理と実務~損失分布手法モデル~

株式会社エムティービー インベストメント テクノロジー研究所

中川 秀敏([email protected])

2001年7月23日(月)

オペレーショナルリスク管理セミナー@大手町サンケイプラザ

本稿の意見・内容は発表者個人に属するものであり、

発表者の属する組織の公式見解ではありません。

Page 28: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

28

損失分布手法モデルの概要(1)

損失分布手法・・・2つの分布を考える事故発生頻度(期間内の事故発生件数)

• Poisson 分布, ・・・

(事故1件あたり)損失額

• 対数正規分布, Weibull分布, Gamma分布, GPD,・・・

古典的なリスク理論の応用+極値理論(EVT)リスク理論・・・Cramer-Lundberg (再生)モデル

EVT・・・最大値などの極値の確率的性質の研究(ETHの研究者などが先進的研究)

累積損失額分布の算出法モンテカルロ・シミュレーション

Panjer漸化式,特性関数

Page 29: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

29

損失額の分布

対数正規分布

Weibull分布

Gamma分布

一般Pareto分布(GPD)

POT方式によるGPD適用

ノンパラメトリックな手法(今回は考えず)

発生頻度の分布

Poisson分布

(将来的には一般の計数過程?)

損失分布手法モデルの概要(2)

複合Poissonモデル

累積損失額モデル

Page 30: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

30

オペレーショナル損失データの特徴サンプル数が少ない

巨額な損失額

データの特徴にあう推定法は?サンプル数が多い場合に良い統計的性質を保証する推定法が多い。

(超)小サンプルについては・・・?

現状では、既存の手法で結果を比較しながら・・・(非線形)最小二乗法

最尤法

モーメント法(一般化モーメント法、確率ウェイト・モーメント法)

モデルの評価は・・・?適合度検定?→今回はまず視覚的に判断・・・

損失分布手法モデルの概要(3)

Page 31: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

31

発生頻度:ポアソン分布

ある事象が k 回発生する確率:

事象の発生率が低く、独立した要因で発生する場合の実証発生頻度モデルとして利用されている。

平均・分散がともに、強度パラメータ λ で表される。

λ(t) のように強度パラメータを時間依存させたり、外部データの推

定値を利用したりという拡張の方向性が考えられる。

季節性、新規業務立ち上げ、業務拡張などを考慮。

0,!)( >= − λλλkekPk

Poisson(3)

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

Page 32: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

32

損失額:対数正規分布

金融工学で将来の株価の分布などに利用されている。

テールが厚い分布のモデルとしては、取り扱いやすい。

0,0log),;(

2)(logexp

21),;( 2

2

>>

=

−−=

σσ

µβα

σµ

σπσµ

xxNxF

xx

xf

LN(1,2)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 1 2 3 4

Page 33: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

33

損失額:Weibull分布

生存時間解析等で利用されている。

密度関数は、 αは大きいほど尖りがきつくなり、βは小さいほど変

化の度合いが大きくなる傾向がある。

0,0,0exp1),;(

exp),;( 1

>>≥

−−=

−= −

βαββα

ββαβα

α

αα

α

xxxF

xxxf

Weibull(4,4)

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0 1 2 3 4 5 6

Page 34: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

34

損失額:Gamma分布

生存時間解析等で利用されている。

密度関数は、 αは大きいほど尖りが緩やかで裾が厚くなる傾向が

ある。

duuex

xxxxf

xu 1

0

1

)(

0,0,0exp)(

1),;(

−∞

∫=Γ

>>≥

Γ= βαβαβ

βα αα

Gamma(4,1)

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0 1 2 3 4 5 6

Page 35: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

35

損失額:一般パレート分布(GPD)

極値理論で、巨額な損失の分布などに利用されている。

密度関数は、ξ>0 の場合単調減少。

ξが大きくなるほど裾が厚くなる。( ξ>1では平均も存在しない)

0,)0(10

)0(0

)0(exp1

)0(11),;(

1

>

<−≤≤

≥≥

=

−−

+−=

βξξ

ξ

ξβ

ξβξ

βξ

ξ

x

x

x

xxF

GPD(0.5,1)

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

0 1 2 3 4 5 6

Page 36: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

36

損失額:POT方式によるGPD適用

ある基準(threshold)を超えるデータ・サンプルだけを用いて、超過分布関数を一般パレート分布(GPD)で近似することによって、パラメータを推定するEVTを応用した方法。(金額の大きなデータだけに注目する)

損失額分布全体についての仮定は要求されない。(実際には、少額部分について別途分布を仮定して、GPDとの混合分布として表現するなど工夫する。)

巨額損失の基準(threshold)の合理的な与え方が問題となる。

0,)0(10

)0(0

)0(exp1

)0(11),;(

1

>

<−≤≤

≥≥

=

−−

+−=

βξξ

ξ

ξβ

ξβξ

βξ

ξ

x

x

x

xxF

Page 37: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

37

推定法:最小二乗法

損失額または発生時点の昇順データ列 X(1),X(2),... に対して適当な

経験累積密度 Y(1),Y(2),... を与える。モデルによる理論値F(X(1)),F(X(2)),... に対して

  を最小化するようにパラメータを与える。 wi はウェイト。

推定量が望ましい統計的性質をもつとは限らない。

∑ −i

i iXFiYw 2))}(()({

Page 38: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

38

推定法:最尤法

仮定した分布に対して、データに含まれる情報を最も効率的に利用する推定方法と言われる。

密度関数が分かれば尤度関数は与えられるが、非線形関数の最適化の問題に帰着するので、解の存在などは問題による。

パラメータ推定に用いるデータ数が多いときの統計的性質は保証されているが、データ数が少ない場合は推定値が安定しない。

Page 39: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

39

推定法:モーメント法

分布のモーメント(平均・分散など)と、データから計算される標本モーメントが等しいとして、パラメータについての(連立)方程式をつくり、その解を推定値とするもの。

パラメータの数よりも高次のモーメントを考慮して、何らかの目的関数を最小化するようにしてパラメータを推定する方法もあり、一般化モーメント法(GMM)と呼ばれる。(今回提案モデルでは扱わない)

データ数が少ない場合のパラメータ推定法として利用されるケースが多い。

分布によっては、高次のモーメントが存在しない場合もあるので適用できない場合もある。(例:ξ>1のGPD など)

GPDに対しては、確率ウェイト・モーメント法(PWM)を用いることも検討される。

経験的に少サンプルに対してうまくいくことが知られているが・・・

Page 40: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

40

LDA:実データを用いたパラメータ推定

セル処理方法判断

セルの処理条件

外部データ

監督当局の指定パラメータ事務エラー

システム事故

標準的手法またはIMA

LDA:シミュレーション

事故報告データベース

セルごとの事故データ

外性的なインプットデータベース

セルごとの外性的情報

外性的に指定?データが十分?

モデルの概略(1)

Page 41: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

41

各セルのリスク量算出

ビジネスライン・イベントタイプごとの

リスク量算出

全体のリスク量算出

セルごとに分析結果表示

ビジネスライン・イベントタイプごとに

分析結果表示

全体の分析結果表示

分析結果データベース

外部データ

モデルの概略(2)

過去の分析・外部との比較

比較・検討

Page 42: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

42

報告データの分析結果(1)

1件あたり平均損失額の推移

0

40

80

120

160

200

1日累積損失額の推移

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

ある期間についての損失額(平均・累積)の日次推移(損失が発生しなかった日は適当に間隔を調整)

    特に顕著な偏りは認められない。

Page 43: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

43

報告データの分析結果(2)

損失額データの相対頻度分布

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

170

180

190

200

210

ライン1 ライン2 ライン3 ライン5 ライン6 全体

ライン2(ライン4)を除いてほぼ同じような傾向を示していると考えられる。

テールの部分は?

Page 44: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

44

ライン1 μ σ ライン6 μ σMSE 1.58 1.43 MSE 1.27 1.28

LN MLE 1.43 2.15 LN MLE 1.12 1.46MME 2.28 1.17 MME 1.39 1.05

ライン1 α β ライン6 α βMSE 0.501 11.9 MSE 0.942 5.49

Weibull MLE 0.328 1.41 Weibull MLE 0.485 1.46MME 0.896 26.0 MME 0.917 8.20

ライン1 α β ライン6 α βMSE 0.384 47.3 MSE 0.912 6.13

Gamma MLE 0.201 9.83 Gamma MLE 0.839 2.88MME 0.253 77.1 MME 0.332 21.0

ライン1 ξ β ライン6 ξ βMSE 2.14 2.73 MSE 0.172 5.03

GPD MLE 1.35 3.77 GPD MLE 0.362 4.53PWME 0.576 8.24 PWME 0.286 4.98

モデルの検証結果(1)

☆各分布についてそれぞれの方法で推定したパラメータの値

Page 45: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

45

モデルの検証結果(2)

☆各分布について推定したパラメータから算出したVaR の比較ビジネスライン1 ビジネスライン6

95%点 99%点 95%点 99%点実データ 80.3 154.7 29.0 45.2MSE 237.8 1194.9 29.3 70.2

LN MLE 143.7 621.0 33.7 90.9MME 67.5 150.2 22.6 46.2MSE 106.1 250.2 17.6 27.8

Weibull MLE 40.1 148.8 14.0 34.1MME 88.4 142.8 27.1 43.3MSE 76.5 139.3 17.3 27.0

Gamma MLE 10.2 21.7 7.7 12.2MME 94.2 188.8 30.9 58.0MSE 772.5 24184.3 19.7 35.3

GPD MLE 157.7 1414.2 24.5 53.8PWME 66.1 188.8 23.6 47.5

Page 46: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

46

ライン1:P-P プロット結果比較(最小2乗法による推定)

Weibull(0.501, 11.9)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

Gamma(0.384, 47.3)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

GPD(2.14, 2.73)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

LN(1.58, 2.37)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

モデルの検証結果(3)

Page 47: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

47

ライン1:P-P プロット結果比較(最尤法による推定)

LN(1.43, 2.15)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

Weibull(0.328, 1.41)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

GPD(1.35, 3.77)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

Gamma(0.201, 9.83)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

モデルの検証結果(4)

Page 48: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

48

ライン1:P-P プロット結果比較(モーメント法による推定)

LN(2.28, 1.17)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

Weibull(0.896, 26.0)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

Gamma(0.253, 77.1)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

GPD(0.576, 8.24)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0

0.05

0.11

0.16

0.21

0.26

0.32

0.37

0.42

0.47

0.53

0.58

0.63

0.68

0.74

0.79

0.84

0.89

0.95 1

モデルの検証結果(5)

Page 49: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

49

ライン1:推定した分布のテールと実データ上位点との関係(最小2乗法による推定)

GPD(2.14, 2.73)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

LN(1.58, 2.37)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Weibull(0.501, 11.9)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Gamma(0.384, 47.3)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

モデルの検証結果(6)

Page 50: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

50

ライン1:推定した分布のテールと実データ上位点との関係(最尤法による推定)

GPD(1.35, 3.77)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Weibull(0.328, 1.41)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

LN(1.43, 2.15)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Gamma(0.201, 9.83)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

モデルの検証結果(7)

Page 51: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

51

ライン1:推定した分布のテールと実データ上位点との関係(モーメント法による推定)

LN(2.28, 1.17)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Weibull(0.896, 26.0)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

Gamma(0.253, 77.1)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

GPD(0.576, 8.24)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 50 100 150 200 250 300

モデルの検証結果(8)

Page 52: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

52

POT:最小2乗法

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

20

23

26

29

32

35

38

41

44

47

50

53

56

59

62

65

68

71

theshold

xi

0

50

100

150

200

250

300

350

400

102

94

92

77

76

76

73

72

50

48

45

44

44

32

32

31

31

21

exceedances

VaR

xi 95%VaR 99%VaR

モデルの検証結果(9)

Page 53: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

53

POT:最尤法

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

20

22

24

26

28

30

32

34

36

38

40

42

44

46

48

50

52

54

56

threshold

xi

020406080100120140160180200

102

94

92

92

90

77

76

76

73

73

72

72

50

49

48

45

44

44

44

exceedances

VaR

xi 95%VaR 99%VaR

モデルの検証結果(10)

Page 54: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

54

POT:確率ウェイト・モーメント法

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

20

23

26

29

32

35

38

41

44

47

50

53

56

59

62

65

68

71

threshold

xi

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

102

94

92

77

76

76

73

72

50

48

45

44

44

32

32

31

31

21

exceedances

VaR

xi 95%VaR 99%VaR

モデルの検証結果(11)

Page 55: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

55

シミュレーション検証結果(1)

LN(最尤法)

0

50

100

150

200

250

300

3506787

8416

10046

11675

13305

14934

16564

18193

19823

21452

23082

24711

26340

27970

29599

31229

32858

実際の累積損失

7778.63

95%VaR21440.31

99%VaR24990.89

• ビジネスライン1について1万回 

 試行• Poisson 分布の平均は400

最小2乗法の結果は省略(シミュレーション結果すべてが実際の累積損失を上回った。

Page 56: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

56

シミュレーション検証結果(2)

LN(モーメント法)

0

50

100

150

200

250

300

3505390

5702

6015

6328

6640

6953

7266

7578

7891

8204

8516

8829

9142

9454

9767

10080

10392

実際の累積損失

7778.63

95%VaR8887.186

99%VaR9456.808

Page 57: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

57

シミュレーション検証結果(3)

GPD(最尤法)

050

100150

200250

300350

400450

5007349

19661

31973

44285

56597

68909

81221

93533

105845

118157

130469

142780

155092

167404

179716

192028

204340

実際の累積損失

7778.63

95%VaR91242.33

99%VaR119442

Page 58: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

58

シミュレーション検証結果(4)

GPD(確率ウェイトモーメント法)

0

50

100

150

200

250

300

3504601

4959

5318

5676

6034

6393

6751

7109

7468

7826

8184

8543

8901

9260

9618

9976

10335

10693

11051

11410

実際の累積損失

7778.63

95%VaR9041.983

99%VaR9926.073

Page 59: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

59

進んだモデル?

Jack L. King, “Operational Risk”Delta-EVTTM Model

– Operating loss/Excess loss

Causal Model

– Bayesian Method

Credit Lyonnais, “Loss Distribution Approach for operational risk”

Dependence between different risks

– Copulas     

データの質・量が十分であれば・・・

Page 60: オペレーショナルリスク管理と実務 · 2016. 11. 3. · 均から 内部管理用も 同様 先進的手法では モンテカルロなど 先進的手法では モンテカルロ、evt

60

モデルの方向性は間違っていない・・・と思う。

データの性質には常に注意を払うべき。

実務が理論に先行している場面が多い。

何のためのリスク計量かを常に意識しなければならない。・・・>モデルを複雑にすればよいというわけでもない。

モデルの完成型はおそらく・・・「ない」。

オペレーショナル・リスク計量モデルについての議論が活発になり、知恵を出し合うことで日本の金融機関にあったモデルを構築したい・・・

(むしろ・・・)データ整備が重要であるという認識

データコンソーシアムの哲学にぜひ耳を傾けて・・・

まとめ