15
Co l1 agenSymposium rx (1 97 1) 13 コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 菊池康夫,藤本大三郎,田宮信雄 (東北大学理学部化学教室) 1949 Stetten はコラ{ゲンに特有なアミノ酸:ヒド戸キシプロリンがプロリンの水酸化で 生じることを示したにこの水酸化を触媒する酵素は,空気中の酸素分子をとりこむ酵素の一種 2 3,ポリペプチド鎖に組みこまれたプロリン残基に作用することが明らかになった¥ この 酵素は精製され,プロトコラーゲン・プロリンヒドロキシラーゼ、と呼ばれているが, 巨大分子 の基質に作用するオキシゲナーゼという点でユニーグな存在である.われわれは, この酵素の 特異性を明らかにするために種々の合成基質に対する作用を研究した. 従来からトリペプチド Pro-Gly-Proの重合物(p ro-Gly-Pro) 時が水酸化酵素の合成基質と して用いられ,その結果は,分子量約4 000 までは長いほど水酸化され易いーそれは,長いほど 天然のコラ{ゲンと類似した三本らせん構造をとりやすいのが原因だろう, と推定されていた が,この重合物は,いろいろな長さのペプチドの混合物で分子量も平均的なものにすぎず, れ以上の議論は困難であった. この水酸化酵素の特異性を低分子の基質によって明らかにしていくためには,長さが均一で, しかも少しずつ異っている同族体を基質にすることが有効である. 長さの定まった合成基質(p ro-Pro-Gly) 時は, Merrifield の開発した固相ペプチド合成法5) にフラグメント縮合を応用して合成した6 ;このペプチドのうち,短いペプチドは単量体として 存在し, (Pro-Pro-Gly) 10 【分子量約2 50 0]以上に長くなると三量体となり,その会合の様式は 天然のコラーゲンのような三本らせんである このアミノ酸配列と分子量が明らかなペプチドに, 鶏怪から抽出した水酸化酵素を作用させ k.. 1 ベブチドの長さ 水酸化酵素は, Kivirikko Prockopの方法4) に従い12 日目の鶏匪から抽出 L ,硫安分画と リン酸カルシウムゲル法で精製した,基質ペプチド (250μg/m l) mg/ml) 0.04m MFeSO . 0.5mMαーケトグルタール酸, 2m Mアスコルビン酸, 0.05M Tris-HCl (pH7.8) を含む反応液 (4m l)を 37 0 Cにて空気と触れつつ揺り動かし, 濃塩酸 (4 ml) を加えて反応を止め,封管中1l 0 0 Cにて15 時間加水分解する. 加水分解物中のヒドロ キシプロリンは Prockop 8)に従い定量する. 三種類の長さのペプチド (Pro-Pro-GlY)n [n=3 5 15J に水酸化酵素が作用する timecourse Fig.1 i 乙示す.長さが異る基質を同一重量濃度で、加えたから,基質モル濃度は長さに反比例 して減少するが, Pro-Pro-Gly単位の濃度は等しい.このような条件で比較すると ,n=5のぺ

コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

Col1agen Symposium rx (1971) 13

コラーゲンモデノレの酵素による水酸化

菊池康夫,藤本大三郎,田宮信雄

(東北大学理学部化学教室)

1949年 Stettenはコラ{ゲンに特有なアミノ酸:ヒド戸キシプロリンがプロリンの水酸化で

生じることを示したにこの水酸化を触媒する酵素は,空気中の酸素分子をとりこむ酵素の一種

で2,3,ポリペプチド鎖に組みこまれたプロリン残基に作用することが明らかになった¥ この

酵素は精製され,プロトコラーゲン・プロリンヒドロキシラーゼ、と呼ばれているが, 巨大分子

の基質に作用するオキシゲナーゼという点でユニーグな存在である. われわれは, この酵素の

特異性を明らかにするために種々の合成基質に対する作用を研究した.

従来からトリペプチド Pro-Gly-Proの重合物(pro-Gly-Pro)時が水酸化酵素の合成基質と

して用いられ,その結果は,分子量約4,000までは長いほど水酸化され易いーそれは,長いほど

天然のコラ{ゲンと類似した三本らせん構造をとりやすいのが原因だろう, と推定されていた

が,この重合物は,いろいろな長さのペプチドの混合物で分子量も平均的なものにすぎず, そ

れ以上の議論は困難であった.

この水酸化酵素の特異性を低分子の基質によって明らかにしていくためには,長さが均一で,

しかも少しずつ異っている同族体を基質にすることが有効である.

長さの定まった合成基質(pro-Pro-Gly)時は, Merrifieldの開発した固相ペプチド合成法5)

にフラグメント縮合を応用して合成した6;このペプチドのうち,短いペプチドは単量体として

存在し, (Pro-Pro-Gly) 10 【分子量約2,500]以上に長くなると三量体となり,その会合の様式は

天然のコラーゲンのような三本らせんである

このアミノ酸配列と分子量が明らかなペプチドに, 鶏怪から抽出した水酸化酵素を作用させ

k..

~ 1 ベブチドの長さ

水酸化酵素は, Kivirikkoと Prockopの方法4)に従い12日目の鶏匪から抽出L,硫安分画と

リン酸カルシウムゲル法で精製した,基質ペプチド (250μg/ml),酵素タンパク質(1.5~2.0

mg/ml), 0.04 mM FeSO., 0.5 mMαーケトグルタール酸, 2mMアスコルビン酸, 0.05 M

Tris-HCl (pH 7.8)を含む反応液 (4ml)を 370Cにて空気と触れつつ揺り動かし, 濃塩酸

(4 ml)を加えて反応を止め,封管中1l00Cにて15時間加水分解する. 加水分解物中のヒドロ

キシプロリンは Prockop法8)に従い定量する.

三種類の長さのペプチド (Pro-Pro-GlY)n[n=3,5,15Jに水酸化酵素が作用する timecourse

を Fig.1 i乙示す.長さが異る基質を同一重量濃度で、加えたから,基質モル濃度は長さに反比例

して減少するが, Pro-Pro-Gly単位の濃度は等しい.このような条件で比較すると ,n=5のぺ

Page 2: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

14

30 I

言、で¥炉

国主主

'百

也EJ 20 、。何

., ロ

ー。』

Q.

》。同、』

国マ〉コ、 10

。 30 60

O

90

Ti nie (lnin)

Fig. 1 Time course of the巴nzymichydroxylation

(pro-Pro-Gly)晶司=3,5 and 15 (each 1 mg), and enzyme (7 mg of protein) were incubated at 3TC in 4 ml of reaction mixture containing~ 0.04 mM FeSO" 0.5 mM a-ketoglutarate, 2 mM ascorbic acid and 0.05 M Tris-HCl buffer (pH 7.8).

-0一,n=3; ー0-,時=5; ームー,符=15

プチドが最も水酸化され易く,それより長い n=15や, 短い':'.n=むのペブ。チドは水酸化され難

い.n=1から20までの (Pro-Pro-GlY)n[n=l, 3, 5,10, 15, 20]に60分間酵素を作用させる

と.Fig.2に示すように水酸化され易さのピーグがみられた. これはペプチドが長くなってい

くに従って,水酸化され易くする因子と,水酸化され難くする因子とがあることを示す11,12 ¥

9 2 ペプチドの conformationと水酸化され易さ

モデ、ルペプチド (Pro-Pro-Gly)nの n=10以上の長いペプチドは,三本らせん構造をもつが,

高温では可逆的に解離して一本鎖となる.この conformatinの変化が水酸化酵素の作用に及ぼ

す影響を,n=15のペプチドを用いて調べた.対照には一本鎖の n=5のペプチドを用いた.

基質溶液 (1mgペプチド /2ml, 0.2 M Tris-HCl, pH 7.8)を 100"Cにて 30分間加熱し

て三本らせんを解離させ,氷水で急冷後,前述の条件で酵素を作用させる.反応の timeCOUrse

を Fig.3に示す.三本らせん構造の η=15では, 熱処理すると明らかに水酸化が速くなるが

(Fig. 3 a),三本らせん構造をとらなし明=5のペプチドで、は,熱処理の影響ーはみられない(Fig.

3 b).

Page 3: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

15

「ー

;-

「一

30

20

10

一-E噌

¥

)

ωE』。旧

ωロェ。主同hH。』戸MK

門司

5 10 15 20

Chain length of (Pro-Pro-Gly)ηin n

3 。

Fig. 2 Effect of chain length on the hydroxylation

(pro-pro--Gly)和四=1,3, 5, 10, 15 and 20 (each 1 mg), and enzyme (7 mg of protein) in 4 ml wer巴 incubatedat 3TC for 60 min.

。(b) 30 (a) 30

e

g寸~凶え〉宮ghO』由ロロOHahHOH主国

90

Effect of boiling procedure of (Pro-pro-GlY)n solution on the hydroxylation

A solution of (Pro-Pro-Gly)珂 washeated at 100.C for 30 miri just befoi'e the reaction [(a)冊=15,(b)叩=5].

ー--0ー, boil吋 substrate -0-, unboiled substrate ,

60 30 。、町l

m

fb、

nHW 。,

Time

60 30 。

Fig. 3

Page 4: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

16

更に基質濃度を変化させ, 60分間酵素を作用さぜると, 熱処理した n=15のペプチドは測定

した最低の濃度で、すでに酵素を飽和しているが, 熱処理しないペプチドは,基質濃度を高めな

いとそのレベルまで水酸化されない (Fig.4 a).一方 n=5のペプチドの水酸化は,熱処理の影

響ーを全くうけない (Fig.4 b).

lF

,D

{

ドE

AU

3

I (0) <> " 201

包寸~、-ol) ミL

¥ノ

宮g』

O』

由民コOHQhH。』円

vh出

1.0 2・0

Substrate (mgf4 ml)

Fig. 4 Effect of concentration of (Pro-Pro-Gly)時 onth巴 hydroxylation

Boiled and unboiIed(Pro-Pro-GIY)n were treated with the enzyme at 37"C for 60 min [(a) n=15, (b) n=5J. -<)一, boiIed substrate; -0-, unboiled substrate

以上の結果から, CPro-Pro-Gly)却はnが大きくなって三本らせん構造をとると水酸化され難

くなると解釈できるが,その説明はいくつか考えられる.

(1)三本らせんをつくると,みかけの基質モル濃度が 1/3に減少する.

(2) 三量体と単量体との聞に平衡があって,長いものほど単量体が少い.

(3) 三本らせんの末端部分はゆるい構造になっているが,長いものほどその割合が少い.

いずれにしても, 天然のコラーゲンにみられる三本らせん構造fi..‘ペプチドの水酸化に妨害

的に作用していると思われる 11,12)

~ 3 ペプチドの末端基の影響

モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.では n=lから

5までの短い (Pro-Pro-GlY)nが,長いほど水酸化され易いのはどう説明されねばならないか?

ペプチドはすべて Pro-Pro-Gly単位のくりかえしから成る.同じトリペプチドの単位でも,

ペプチド鎖の中央部に位置するか,末端部に位置するかの差がある. CPro-Pro-Gly)舟が長く

なるにつれて中央部に位置する部分が増し, 末端部に位置するものの割合が減る. この割合の

変化と酵素の作用とに関連を見い出すため, ペプチドの両末端グループをア・ンル基とエステノレ

Page 5: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

17

基でふさいで,酵素を作用させた.

両末端をブロックした n=3のペプチド AOC一(Pro-Pro-Gly) 3-0Bzlは, Fig. 5に示すよ

うにトリペプチド活性エステルを用いて合成した. これを接触還元または hリプロロ酢酸処理

すると,それぞれエステル, AOC基が除かれる (Fig.6).こうして得られた (Pro-Pro-Gly) 3

の三つの誘導体に酵素を作用させ, (Pro-Pro-Gly) 3 と比較すると (Table1),両末端がブロッ

クされると約 2倍,どちらか一方だけでも約1.7倍,水酸化され易くなる.

Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro 吋o G~y

f..i配 --~ONP

山田 ; : !

A配':・ OBzl

,, ~OBzl 日

A配 ・0即

f..iα, -'--~\

ι司園----'

Fーー』ーー-t

ιー句司-ー『

OBzl

←OBzl

OBzl

Fig. 5 Synthesis of AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl

lcH O ¥11 AOC-: C2H5ーC-O-C一一;

CH/ ー OBzl ー O-CH,一〆一一¥

¥.=/・

-ONP: -0一〆一一¥-NO,;I ¥=/円" I

J

H,jPd AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl 一一→ AOCー(Pro-Pro-Gly),

CF,COOH AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl一一一一一一→ (Pro-Pro-Gly)γOBzl

Fig. 6 Sel巴ctiv,巴 removalof the protecting groups in AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl

Tabl巴 1 Hydroxylation of (Pro-Pro-Gly)γderived p巴ptides

Peptide Hydroxyproline formed (μgJ4 ml)

AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl AOC-(Pro-Pro-Gly),

29.8

25.4

26.6 CPro-Pro-Gly) ,-OBzl

(pro-pro-Gly), 15.4

The peptides (each 2.62μmolesJ4 ml) were incubated with th巴 enzymeat 3TC for 60 min.

(Pro-Pro-Gly) 3の両末端をトリペプチド Pro-Pro-Glyで置換すると (Pro-Pro-Gly) 5にな

るから,この結果は,長いほど水酸化され易い事実 (Figs.L 2)と一致する.両末端をペプチ

ドでない他の置換基でブロックしても,末端の Pro-Pro-Gly単位は水酸化され易くなると思わ

れる 12)

Page 6: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

18

~ 4 水酸化される位置

同じトリペプチド Pro-Pro-Glyから成るペプチドでも,ペプチドの中央部のものと末端部の

ものとの比率が変ると,水酸化され易さが変る. 実際に中央部と末端部とで酵素の作用に差が

あるか否かを, Fig.7のようにして調べた.まず AOC-(Pro-Pro-Gly) 3-0Bz1を酵素で水酸化

し,コラゲナーゼで消化すると, 矢印の位置でペプチド鎖が切断され, 酸性・中性・塩基性フ

ラグメントに分かれる.各フラグメントの水酸化の程度を測れば, AOC-(Pro-Pro-GlY)3-0Bzl

の三つの Pro-Pro-Gly単位の水酸化され易さがわかる.

AOC-Pro-Pro-Gly-Pro-Pro-Gly-Pro-Pro-Gly-OBzl

IH剛y凶凶陶d合的ro肌問O侃xy川lω ↓

(OH) (OH) (OH)

AOC-Pro-dro-GHM;。Gly-PMlo-GIyーOBzl1↑↑ j COdlul附附

(OH) (OH)

AOC-Pro-Pro Gly-Pro-Pro

(acidic) (neutral)

(OH)

Gly-Pro-Pro-Gly-OBzl

(basic)

Fig. 7 Expected course of hydroxylation and collagenase

digestion of AOC-(Pro-Pro-Gly),-OBzl

Enzyme protein

0.8

0.6

O h 凶

比J 0.4

。 5 10 15 20 25

Fraction. number

Fig. 8 Gel filtration of the hydroxylase reaction mixture of AOC-(Pro--Pro--GlY)3-0Bz1 on a Sephadex G-25 column (2.8 cm x 50 cm)

Elution was carried out with 0.2 M acetic acid, and for each fraction, 10 ml w巴recol!ected.

前述の反応液 (6ml) 中, AOC-(Pro-Pro-GlY)3-0Bz1 (8.7 mg)と酵素タンパク質 (4.9

mg)を370Cにて60分間反応させた後, Sephadex G-2Sによるゲル鴻過で、酵素タンパク質とペ

プチドを分離する (Fig.8). 回収したペプチドにコラゲ、ナーゼ (1/50重量〉を作用させ (0.05

Page 7: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

19

M Tris-HCl, pH 7.8, 3TC, 20時間入そのままセルロース粉末ゾ{ン電気泳動法で、各フラグ

メントを分離する (Fig.9).各フラグメントを水で抽出し, 6 N一塩酸で加水分解し,アミノ酸

組成を求め,その値から水酸化率一100(%) X2xHyp/(Pro十Hyp),即ち Pro~Pro-Gly単位

あたり水酸化されたプロリンのパーセントーを算出する.その結果 (TableIl),中性フ汐グメ

ントの値が最も高く,酸性・塩基性フラグメントの値は低い.水酸化酵素の作用で生じたヒド

ロキシプロリンの 6割が中央のプラグメントに集中している.

1.0

0.8

phu

AU

回目的

0.4

0.2

EB 15 10 5 。 5 10 15θ

Distance from the origin (cm)

Fig. 9 Zone electrophoresis of the collagenas巴 digl巴ston a cellulose powder

slab (40 cmx2 cmx1 cm)

Electrophoresis was carri巴dout in 0.1 M pyridi∞-acetate bu民r(pH 5)

at 450 V for 120 min.

Table II Degre巴 ofhydroxylation of the second prolin巴 residuesin -Pro-Pro-Gly-units in the collagenase digest fragments of AOC-(Pro-Pro-Gly),一OBzl

Fragments

ーノi

)

H

AGo-子

(

んU

.,且

VA

PA

んHV

一c

o

A

(neutral)

(OH)

Gly-Pro-Pro

(basic)

(OH)

Gly-Pro-Pro-Gly-OBzl

Degree of hydroxylation 0.80

Distribution of hydroxyproline (%) 11

4.16

60

2.02

29

D己gr,巴eof hydroxylation was defined as 100 (%) x 2 x Hyp / (pro十日yp)and calculated on the

basis of amino acid composition.

したがって,同じアミノ酸配列の Pro-Pro-Gly単位でも,ペプチド鎖の中央部にあると水酸

化され易く,末端部にあると水酸化され難いといえよう. これは,一本鎖のペプチドが長くな

るほど水酸化され易くなることをうまく説明する. もし両端がブロッグされないと両末端のブ

Page 8: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

20

ラグメントはほとんど水酸化されないと考えると. S 3の結果とも矛盾しない12)

S 5 ペプチド中の水酸基の影響

天然のコラ{ゲンは,一本のペプチド鎖が約1,000アミノ酸残基から成る.そのうち約10%が

ヒドロキシプロリンだから,コラーゲン前駆体タンパク質ープロトコラーゲンーは,一分子内

で約100個所水酸化されねばならない.水酸化酵素,プロトコラーゲン,共に巨大分子なので,

何か独特な機構があって, コラーゲン生合成中で水酸化の過程を容易にしているのではないだ

ろうか?

仮に,一個所水酸化されたペプチドは,その隣接部位から次々と Zipper機構的に水酸化され

易くなると考えても,長いほど水酸化され易いことは説明できる.更に,セリン・スレオニン

など水酸基をもっアミノ酸がグリシンから二つ目,即ちヒドロキシプロリンと同じ位置に配置

されている場合も多くヘ水酸基が何か重要な役割をはたしている可能性もある.

そこで,一個所水酸化された状態のペプチドを合成し,酵素を作用させた.操作の概要をFig.

10に示す. アミノ末端部にヒドロキシプロリンを含み, かつアミノ末端がブロックされている

ペプチドにヒドロキシラーゼを作用させる.次にコラゲナーゼを用いて矢印の位置でペプチド

鎖を切断すると,酸性フラグメントのヒドロキシプロリンは予め含まれていたもののみで句中

性フラク》ントには水酸化酵素の作用で生じたヒドロキシプロリンのみが含まれる. 従って,

中i生フラグメントを集めてヒドロキシプロリン含量を測定すれば, ペプチドに対する酵素作用

の大きさがわかる.

Z-Gly-Pro-Hyp-Glyー(Pro-Pro-Gly)5

同… (OH) ↓ i

Z-Gly-Pro-Hyp-G1Y-(Pro-Pro-G1Y)5

l↑↑ (OH)

↓ l Z-Gly-Pro-Hyp Gly-Pro-Pro

(OH)

Gly-Pro-Pro-Gly

(acidic) (neutral)

Fig. 10 Expected course of hydroxylation and collagenase digestion of Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-G1Y)5

O

[Zー:〈二〉 m-o-L]

基質にするペプチド Z-Gly-Pro-Hyp-Glyー(Pro-Pro-Gly) 5は. Z-Gly-ONPと Pro-Hyp-

Gly一(Pro-Pro-Gly)5とから合成した. 対照には AOC-(Pro-Pro-Gly) 6 を AOC-Pro-Pro-

Gly-ONPと (Pro-Pro-Gly)5とから合成して用いた. 水酸化酵素は Halme,Kivirikko,

Simonsの改良法1町こ従い,グリシンを含む緩衝液中で、調製した.既述の反応溶液 (36ml)中,

二つの基質〈各々 5.7~5.6μmole) と酵素タンパク質 (35 mg)を370Cにて60分間反応させ,

Page 9: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

21

凍結乾燥する.残誼から 2:M 酢酸に可溶性部分を抽出し, Sephadex G-2Sと G-SOカラムを

連結してゲル鴻過すると,酵素タンパク質とペプチドとグリシンが分かれる (Fig.11).ペプチ

ド部分を集め.DEAEーセルロースカラムを用いて精製したが, 保護基のはずれた中性成分は検

出されなかっ、た.このペプチドをコラゲナ{ゼ、で消化し, できたフラグメントを DEAEーセル

ロースカラムクロマトグラフイ{で分画するくFig.12).中性フラグメントは全く吸着されずに

流出し,カラムに吸着した酸性フラグメントは 0.1N塩酸で溶出される.各々を 6N塩酸で

加水分解し,アミノ酸組成を求めて水酸化率を算出する.

l.0 GlycIne

0.2

0.8

OK山田

旬 0.6

0.4

∞QQ~ 20 30 40 50 60 70

Fraction numbe1"

Fig. 11 Gel filtration of hydroxylase reaction mixture of Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-

(pro-Pro-G1Y)5 or AOC-(Pro-Pro-Gly), Th巴 extract(10 ml) was passed through consecutive columns of S巴phadex

G-25 (2.8 cm x 55 cm) and G-50 (2.8 cm x 59 cm).

Elution was carried out with 0.2 M acetic acid, and for each fraction,

to ml were coll巴ct巴d.

Table IIIに示す結果のようにー水酸化されない Z-Gly-Pro-Hyp-Gly一(Pro-Pro-Gly) 5で

は (c入酸性フラグメントと中性フラグメントは各々理論値 (100%と0%)の水酸化率を示す.

更に,水酸化された二つのlペプチド (a,b) の酸性 (A)・中性 (N)フラグメントの水酸化率か

らペプチド全体 (W)の水酸化率を W=(A十5N)/6式により計算すると, 実測値とよく一致

する.従って, Fig. 10:に示す予定の操作はすべて順調に行われたものと思われる.

この二つのペプチドに対する水酸化酵素の作用の大きさは, 中性フラグメントの水酸化率で

比較できるが,ほとんど等しい値 ((a)4.68%, (b) 4.80%)を示した.したがって,ペプチド

のアミノ末端部に含まれているヒドロキシプロリン残基は, ペプチドが水酸化されるのに何の

影響も及ぼしていない. したがって, はじめに予想したような,アミノ末端部を出発点とする

Zipper機構で水酸化がおきるのではないらしい13)

Page 10: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

22

1.6

1.2

的回目

n%ν AHV

M『

0.4

。乙~ooooo。ふ。00。ム∞一一Fig. 12 DEAE-cellulos巴 columnchromatography of collageI1as巴 digestof hydroxylated

Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-Gly), or AOCー(Pro-Pro-Gly),A colum (1.25 cmx13 cm) was巴quilibratedand eluted with 0.01 M pyridine-

acetate bu庄町 (pH5). For each 仕action4 ml Wete collected. The arrow

indicates the start of elution with 0.1 M HCI.

~ 6まとめ

プロトコラーゲン・プロリンヒドロキシラーゼ、は遊離のプロリンには作用しない. したがっ,

て,この酵素の基質特異性は, プロリンの構造のみでなく, プロリンがとりこまれている部分

のアミノ酸配列や立体構造と密接に関連していると思われる.分子量が正しく均一な基質モデ

ル CPro-Pro-Gly) nは,短いうちは一本鎖だが.n=10以上に長くなると三分子が会合して三本

らせん構造をとる. 一本鎖の基質は, 長いほどプロトコラーゲン・プロリンヒドロキシラーゼ

で水酸化され易い. それは,ペプチド鎖の末端部分は水酸化され難く, 中央部分が水酸化され

易いからである. 一本鎖のペプチドにはある独特な構造があって, 末端部分ではそれが乱れて

いることが示唆されるが,まだ明らかではない.

ペプチドが長くなり, 天然のコラーゲンにみられる三本らせん構造をとると, 酵素的に水酸

化され難くなり,熱処理で三本らせん構造が崩されると,水酸化され易くなる. 従って,従来

の推定に反して,三本らぜん構造はペプチドが水酸化されるのに妨害的に作用していると結論

Page 11: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

Table III Degr巴eof hydroxylation of the second proline residues in -Pro-Pro-Gly-

units in the peptides and their collagenase fragm巴nts

Degr,巴eof hydroxylation (%)

(a) (OH)

Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-Gly)5 ↑

(b) (OH) (OH)

AOC-Pro-Pro-Glyー(Pro-Pro-Gly),↑

(c) (OH)

Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-GlY)5 ↑

Whole molecule

(W)

20.8 (21.2)

4.60 (4.24)

Fragments

Acidic (A) Neutral (N)

103.8 4.68

1.42 4.80

91.4 。

D巴gr,∞ ofhydroxylation was defined as shown in the legend of Table II. The values in

parentheses were calculat巴dfrom the valu巴sof acidic (A) and n巴utral (N) fragments

according to th己 followingformula: W=(A+ 5N)f6. The arrows indiωt巴 thelinkag巴S

between acidic and n巴utralfragments. (a) Hydroxylated Z-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-Gly), (b) hydroxylated AOC-(Pro-Pro-Gly), (c) unhydroxylat巴dZ-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-Gly),

23

される.コラーゲン合成過程でプ戸トコラーゲンが水酸化されるのは三本らせんの形成以前で,

←一本鎖のうちではないかと推定できる.

一本鎖のペプチドが長いほど水酸化され易いのは,予めペプチド鎖にとりこまれている水酸

基をもっアミノ酸が関与する Zipper機構ではないかと思われたが, アミノ末端部に含まれる

水酸基は何の影響も示さず,実験的に証明することはできなかった.

これらの実験事実は,基質ペプチド中で酵素の特異性を満す部分が, 独立的に作用をうけて

水酸化されると考えて説明できる. このような部分は,さほど大きくはなく, 水酸化をうける

プロリンとその隣接位のグリシンとを含むテトラペプチド (-X-Pro-Gly-Y-)程度の短い部分

であろう.

動物体の結合組織は様々な形態をとり, それに応じてコラーゲンの性質も異る. これは,コ

ラ{ゲン前駆体タンパグ質が様々な二次的変化をうけて各組織に適した性質を獲得していく Tたこ

めといわれている.これまで

いう点からも, また生体組織の形成の函からも興味深く, 今後更に明らかにされていくであろ

う.

文 献

1) Stetten, M.R. : J. Biol. Che間., 181, 31 (1949)

:2) Fujimoto, D., & Tamiya, N.: Bioche例・ J.,84, 333 (1962)

Page 12: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

24

3) Fujimoto, D., & Tamiya, N.: Biochim. Biothys. Acta, 69, 559 (1963)

4) Kivirikko, K.I., & Prockop, D.J.: ]. Biol. Chem., 242, 4007 (1967)

5) Merrifield, R.B.: Science, 150, l78 (1965)

6) Sakakibara, S., Kishida, Y., Kikuchi, Y., Sakai, R., & Kakiuchi, K.: Bull. Che桝 . Soc. ]atan, 41, 1273 (1968)

7) Kobayashi, Y., Sakai, R., Kakiuchi, K., & Isemura, T.: Biotoかmers,9, 415 (1970)

8) Kivirikko, K.I., Laitinen,O., & Prockop, D.J.: Aηal. Biochem., 19, 249 (1967)

9) Kang,A.H., Pi巴z,K. A. , & Gross, J. Biochemistη, 8, 1506 (1969)

10) Halme,J., Kivirikko,K.I., & Simons,K. : Biochim. Biophys. Acta, 198, 460 (1970)

11) Kikuchi,Y., Fujimoto,D., & Tamiya,N.: FEBS Letters, 2, 221 (1969)

12) Kikuchi, Y., Fujimoto, D., & Tamiya, N.: Bioche例 . J., 115, 569 (1969)

13) Kikuchi, Y., Fujimoto, D., & Tamiya, N.: Ibid., 124, 695 (1971)

小林祐次氏(阪大・蛋白研)

(Pro-Pro-GlY)5は, 酵素反応の温度で三本鎖を

取らない事は明らかであるが, (Pro-Pro-GlY)15に

就いては, 三本鎖を取っていると考えられる.今の

お話では, (Pro-Pro-GlY)15を加熱し, 構造を破壊

する.それの低温での酵素反応を調べた時, 加熱し

たものとしないものとで大きな差があるとの事であ

る しかし我々が一度加熱した (Pro-Pro-Gly)15を

急激に低温にした時の旋光度の変化から, 三本鎖

(と考えられる〉構造への“もどり"を調べると, 30

分以内で 80.%以上の構造が元にもどっている事が

解った. 酵素反応の時と我々の測定には,濃度で違

いがあるので, 構造回復の速度が違うかも知れない

が,三本鋭から一本鎖への転移は, 非常に速い可能

性が存在する事を考慮に入れる必要があると思われ

る.

菊池康夫氏

御指摘のとおり (Pro-Pro-Gly¥,が 1000

Cで一本

鎖に解離しても,3TCで60分間酵素反応を行ってい

る間も同じ状態とは考えられない しかしP 熱処理

された (Pro-Pro-Gly)15は水酸化をうけ易い.それ

は, 規則正しい三本鎖ぷ崩れたためとすると説明し

やすい, この事実と速い可逆性とを関連づけねばな

らないが, 次の二つの説明が考えられる.

①構造の回復と酵素作用(或いは酵素と基質との

結合)との間に一種の競争反応がある.

②旋光度の回復と構造の回復との聞に厳密な一対

ーの対応があるとは限らない. (Pro-Pro-Gly)15は

1 mg/2 mI Tris-HCI (0.2 M, pH 7.8)の濃度で

は完全には溶けず,均一な懸潟液となる. 加熱する

と透明になるが,氷冷して 60分間放置しても再び濁

らないことを観察している.

大久保達也氏

① Hydroxylaseの水酸化の場合に就てですが,例

えばコンドロイチン硫酸の sulfationの時, transsuI.

fataseは, 鎖ぷ一定の長さになると一時に硫酸化ず

る様で,その terminationに鎖の長さが関与する様

ですが, collagenの場合,その様な terminationが

存在するのでしょうか.

②鶏の hydroxylaseをお使いですが collagen

hydroxylas邑に色々異なったものがあるのでしょう

カミ目

③細胞内で hydroxylaseは何処(穎位,例えば

Golgi)に存在するのでしょうか、

④ 榊 原 俊 卒 氏 に -

Hydroxylaseの分子壬デ、ノレで御存知の事をお教え

下さい.

菊池康夫氏

①モデノレペプヂド (Pro-Pro-GlY)nを水酸化す

る際は,時=1では非常に少くしか水酸化されません

が,叫=3,5となると著しく水酸化され易くなりま

す.したがって基質になるのに必要な長さは明らか

ではなく,連続的なもののように思えます、しかし,

天然のコラーゲン合成の際は, プロトコラーゲンが

リボソーム上で完成して遊離すると一時に水酸化が

おこります. 我々の実験結果は,基質の末端から次

Page 13: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

25

と々 Zipper的に水酸化が進むと考えなくても説明 のドーナツ形をしており, そのド{ナツが2個もし

できるので terminationについてはよくわかりま くは 4個相互に並んで存在している. このドーナツ

せん. 状酵素のどの部位に活性中心が分布しているか, が

②牛の胎児の皮からは, 4ーヒド F キップ戸リンの 興味ある問題である.

{也に 3-ヒドロキシプロリンをもつくる水酸化酵素が 宇宿源太郎氏

見出され報告されていますが chick巴mbryoの酵 線維芽細胞内でのコラゲン水酸化前のプロトコラ

素は 4-ヒドロキシプロリンしか生成しません. ゲンの存在状態を, 水酸化の実験結果からどの様に

③等張液中で調製したホモジエネートの 15,000g 想像しておられますか.

上i澄にほとんど全ての活性があることから 3 可溶性 菊池康夫氏

部分にあると考えられてし、ます. モデルペプチドが三本らせん構造をとると水酸化

榊原俊平氏 され難いので,プロトコヲーゲンが一本鎖のうちに

プロトコラゲン・プロリンヒドロキシラーゼは, 水酸化されるのだろうと想像しています.

Prockopらの研究によると 3 外径 100.A,内径 20.A

Page 14: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

26

Enzymic Hydroxylation of Protocollagen Model Peptides

Yasuo Kikuchi, Daisaburo Fujimoto and Nobuo Tamiya

(Departm巴ntof Chemistry, Tohoku Univ,己rsity,Sendai)

Hydroxypr01ine in col1agen is synthesized bi010gically by the hydroxylation of

proline r巴siduesincorporated into a large p01ypeptide precursor, p1'otocollagen.

The hydroxy1ating enzyme, protoc:ollagen-pro1in巴 hydroxylase,is an oxygenas巴 and

hydroxylates t11巴 pr01iner巴sidu巴snot on1y in protoc:ollagen but a1so in synthetic

polypeptides, (Pro-Gly-p1'o)ηwith ill-defined m01ecular weights. Sakakibara,

Kishida, Kikuchi, Sakai and Kakiuchi synthesized some synthetic substrates (P1'o-

Pro-G1y)時 with de11ned m01ecu1ar w巴ights by st巴pwise addition of tripeptide

fragments on the Merrifie1d resin. The products, (P1'o-Pro-Gly)持 withn va1ues above 10, were found to have a trip1e stranded structure which, as observed with

collagen, dissociates to single chains at higher temperature. The sho1't巴rpeptides

(nく5)were found to h:we a single chain structure. These synthetic peptides, (Pro-P1'o-Gly)叩 Cn=l,3, 5,10,15 and 20J, were subjected to th巴 protocollagen-

proline hydroxylas巴 action.

Hydroxypr01ine formation was increased with elongation of the peptide to

n = 5, but decreas巴dwith further elongation. The peptides with triple st1'anded

structure were less easily hydroxylated than (Pro-Pro-G 1y) 5. Hydroxy1ation of

the triple stranded peptide (n = 15) was incr巴as己dby heat t1'eatment (100oC, 30

min) of the substrate solution p1'ior to the enzymic action, while that of the

shorter on巴 (n= 5) was not affec:ted by boiling. Therefore, the dec1'ease of

hydroxyproline formation in longer peptid巴swas ascrib巴d to the t1'iple stranded

structure.

When the amino- or carboxyl terminal of (P1'o-Pro-Gly)3 was protected

with AOC (t-amyloxyc::ub;)nyl) or b己nzylester group respective1y, the rate of

hydroxylation increased by around 1. 7 times. P1'ot巴ction of the both terminal

groups was mo1'e effective. AOCー(P1'o-Pro-GlY)3-0Bz1 was hydroxy1at巴d and

digested into thr巴巴 fragments by collagenase. The highest degree of hydroxyla-

tion was observ巴din th巴 central -pro-Pro-Gly- unit. The<;己 results suggest巴d

that -P1'o-P1'o-Gly-unit in the no丘一terminal region of the peptide chain was

more easily hydroxylat巴d than th巴 units in th巴 both terminats. This would

explain the higher hydr・oxypr01ineformation in longer peptide until n = 5.

In the biosynthesis of coll且gen,about one hundred pr01ine 1'esidues are

hydroxylated in a protocollagen molecule. Effect of the hydroxy1 gτoup in the

substrate on the interaction between th巴 two mac1'omolecu1es, hydroxylas巴 and

Page 15: コラーゲンモデノレの酵素による水酸化 - UMIN的に作用していると思われる11,12) ~ 3 ペプチドの末端基の影響 モデルペプチドが天然のコラーゲンと似た構造をとると水酸化され難くなる.ではn=lから

27

protocollagen, was examined. This work was undertaken, becaus巴 in native

col1agen hydroxyl amino acids such as s己rin巴 and threonine w巴refound at the

Y~position of -Gly-X-Y-sequence, and it was thoJght that the hydroxyl group

might ‘initiate' or‘promote' the hydroxylation of proline in the neighbouring

~Gly-Pro-Pro- 叫uence. Z-{carbobenzoxyー)Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Pro-Gly)5

was hydroxylated, and degr・6巴 ofhydroxylation of the -Gly-(Pro~Pro-GlY)5 part

was compared with that of the corresponding part of AOC-Pro-Pro-Gly-(Pro-

Pro-GlY)5. The resu1t suggest巴d that hydroxyl group in the amino terminal

reagion of the peptide had no effect on the hydroxylation of the peptide.

Thes巴 resu1tssuggest that the s巴quencewhich contains the proline residue to

be hydroxylated is recognized ind巴pendentlyand hydroxylat巴dby the protocollagen-

t>roline hydro_xylase.