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ニッコールグループ
㈱コスモステクニカルセンター
開放研究室
1.概論
2.界面活性剤の種類と特徴
3.可溶化について
4.乳化について
5.クリーム製剤の処方化
2.界面活性剤の種類と特徴
3.可溶化について
4.乳化について
5.クリーム製剤の処方化
親水基親油基
●「非常に数多くの化合物の総称」
①二重性格的な化合物・親水基:水に馴染む部分・親油基:水に馴染まず(疎水基)、油に馴染む部分
②界面の諸性質を著しく変える物質←界面に集合・少量添加
③乳化・可溶化・湿潤・起泡等の複合作用を示す物質↑界面吸着・分子配向・ミセル形成
界面活性剤濃度 (%)0.2 0.4 0.6
界面張力
当量伝導度
浸透圧
表面張力
高周波伝導度
洗浄力
c.m.c.
界面活性剤の利用
洗浄
濡れ
起泡
乳化
分散
可溶化
界面活性剤は界面に配向して界面自由エネルギー(界面張力)を小さくする
界面活性剤の基本的性質
濡れ
ミセル(ラメラ)液晶
泡
ベシクル(リポソーム)
表面吸着 界面吸着
結晶化 モノマー溶液
界面吸着
集合体形成
気体
液体
固体
油
可溶化
乳化 分散
空気
液体(水)
72mN/m ca.25mN/m
・炭化水素系界面活性剤の表面吸着
γcmc
(界面活性剤なし) (界面活性剤添加)(界面活性剤なし)
(北原文雄1984;C.R.Caryl,W.P.Ericks 1939)
(C. R. Caryl et al., Ind. Eng. chem.,31,44(1939))
水鳥が沈んでしまう
(ヨウ素水溶液)(cmc付近)(cmc以上)
界面活性剤量増 (0wt%)
・ヨウ素可溶化法
cmc
表面張力
界面活性剤濃度
γcmc
cmc
a
a
d
b
c,db
c
可溶化とは、一般に、油が、ミセルやベシクルなどの界面活性剤の会合体中に溶解したり吸着することで、見かけ上透明状態にする現象である
油は、水と同じ相に存在するので、熱力学的に安定であり、油が水中に分散している乳化とは大きく異なる
通常、成分の一つは水であり、他の成分は油である
安定な分散状態を保つために第三物質として界面活性剤などの乳化剤が使われる
工業製品としてのエマルション中には、液体だけでなく固体やゲル状物質が含まれることが多い
Ref.”油脂用語事典“日本油化学協会編、幸書房(1987)
均一には溶解しない液体の一方が微粒子となって、他方に分散している液
-液分散系をいう
①可溶化溶液 ②ナノエマルション ③マクロエマルション
10-100nm 100nm-3μm 3μm-
単分子膜 ミセル:可溶化エマルション
ナノ- マクロ- 巨大-
3-10nm
液 晶:ラメラ・キュービック・ヘキサゴナル
二分子膜 リポソーム(ベシクル) 多相エマルション
形態粒子径
(nm)外観
チンダル効果 熱力学的
安定性反射光 透過光
分子分散 ~5
透明なし なし
安定可溶化溶液 5~10
ナノ
エマルション
10~50青色 赤色
50~100 半透明
エマルション
100~1000 青白色 弱い青色 弱い赤色
不安定1000~10000
乳白色なし なし
粗大エマルション 10000~ 目に見える
水(W)
油(O)
乳化剤(D)
水中油滴型O/W
油中水滴型W/O
Bicontinuous(O+W)/D
① 界面活性剤の種類と濃度
② 油の種類
③ 水相と油相の容積比
④ 調製時、あるいは静置時の温度
⑤ 乳化の調製法
⑥ 器壁の性質
⑦ その他
液滴が大きくなりながら下降、水相に合一
液滴が大きくなりながら上昇、油相に合一
乳化解消状態観察法
外側が蛍光を示す内側が蛍光を示す油滴の蛍光性蛍光顕微鏡法
転相が起こり、粘度上昇粘度の変化は起こらない水の添加粘度変化観察法
即座には広がらない
ブルーのまま
即座に広がる
ピンク色に変色
ろ紙のみ
塩化コバルト含浸ろ紙
ろ紙試験法
白い輪郭が外側に向かう白い輪郭が内側に向かう対物レンズを遠ざける
顕微鏡法
全体に広がる(均一な色)
表面にとどまる(色の斑点)
表面にとどまる(色の斑点)
全体に広がる(均一な色)
油溶性色素
水溶性色素連続相染色法
電気を通さない電気を通す電気伝導度法
油の中に広がっていく
上に浮く(広がらない)
下に沈む(広がらない)
水の中に広がっていく
油に滴下
水に滴下希釈法
W/O型O/W型判定法
・油中水型分散系(W/O)
・多相型分散系(O/W/O,W/O/W)
・逆ベシクル・ベシクル(リポソーム)
・水中油型分散系(O/W)
1.概論
3.可溶化について
4.乳化について
5.クリーム製剤の処方化
ポリアルキレン
グリコール型多価アルコール型
POE PEGPOE/
POP
グリセリン・
ポリグリセリン
ソルビタン、
ソルビットなど砂糖
高級アルコール
○ ○
高 級
脂肪酸○ ○ ○ ○
油 脂 ○
ソルビタン脂肪酸エステル
○
非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)
イオン型界面活性剤
界
面
活性剤 - +
+ -
アニオン(陰イオン)界面活性剤
カチオン(陽イオン)界面活性剤
両性界面活性剤
+ -非イオン性界面活性剤の原料による分類
化粧品・医薬部外品に用いられる界面活性剤の種類
セテス20 NIKKOL BC-20ステアリン酸PEG25 NIKKOL MYS-25VPEG60水添ヒマシ油 NIKKOL HCO-60ポリソルベート80 NIKKOL TO-10Vステアリン酸ポリグリセリル10 NIKKOL Decaglyn 1-SVステアリン酸グリセリン NIKKOL MGS-AVステアリン酸ソルビタン NIKKOL SS-10V
ステアロイルメチルタウリンNa NIKKOL SMTステアラミドプロピルジメチルアミン NIKKOL アミドアミンMPSコカミドプロピルベタイン NIKKOL AM-3130N
非イオン性界面活性剤
イオン性界面活性剤
ポリアルキレン
グリコール型多価アルコール型
POE PEGPOE/
POP
グリセリン・
ポリグリセリン
ソルビタン、
ソルビットなど砂糖
高級アルコール
BC PBC
高 級
脂肪酸MYS MGS SS ○
油 脂 HCO
ソルビタン脂肪酸エステル
TO
親水基原料
疎水基原料
ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤の水溶液を加熱していくと溶解度が次第に減少し、ある温度で急に溶けなくなり水から析出して曇りを生じる。この時の温度を曇点という。
曇点(Cloud point)
酸化エチレン鎖中のエーテル酸素及び水酸基と水分子との水素結合は結合力が弱く、水溶液の温度が高くなるにつれて親水基の水和度が減少する。
親油基無水状態
水溶液状態
親油基OH
H2O H2O H2O
H2O H2O
(曇点以下) (曇点以上)OH
図
多価アルコールのPOE(10)オレイルエーテルの曇点に及ぼす影響
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油相 水相
W/O O/W
●非イオン界面活性剤の挙動・温度 高温 (温度降下) 低温・水への溶解性 油溶性 水溶性・Bancroftの法則 W/O O/W・界面活性剤の挙動
油水
高温 W/O状態 転相中 低温 O/W状態
NIKKOL BC-15 : 親油性活性剤
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
8.00 9.00 10.00 11.00 12.00
NIKKOL SP-10V
NIKKOL MGS-AV
NIKKOL MGS-BV2
HLB
転相温度(℃) (POE(15)セチルエーテル)
パルミチン酸ソルビタン
ステアリン酸グリセリル
POEセチルエーテルと親油性活性剤の組み合わせによるHLBと転相温度の関係
・イオン性界面活性剤の溶解性
(クラフト点以下) (クラフト点以下)(クラフト点以上)
+ 水 + 水
疎水基<親水基 親水性大 HLB高
疎水基>親水基 親水性小 HLB低
親水性の強さと親油性の強さの度合を数値で現わしたもの
親水基親油基
親水基親油基
・HLB:Hydrophilic Lipophilic Balance
親水基の親水性
疎水基の疎水性界面活性剤の親水性 =
HLBA : 乳化剤AのHLB値HLBB : 乳化剤BのHLB値
HLBAB=HLBA +HLBBX+Y
X
X+Y
Y
乳化剤A X%と 乳化剤B Y%を組み合わせて使用する場合のHLBABは次式で示される(Griffin)
※油の所要HLBについても同様
●HLB値の実験的測定法
乳化剤混合系の乳化状態より
①乳化処方
流動パラフィン #70 (所要 HLB=10.1) 40
TS-10(HLB=14.9) y
SS-10 (HLB=4.7) 4-y
精製水 56
②良好な乳化状態を示す割合を見出す
③HLB値を計算する
4
●HLB値の実験的測定法
②良好な乳化状態を示す割合を見出す
良好な乳化の真中の配合比;TS-10 : 2.1、SS-10 : 1.9
③ HLB流パラ= HLBTS-10×y/4
(10.1) + HLBSS-10 ×(4-y)/4
HLBSS-10=(10.1×4-HLBTS-10×y)/(4-y))
HLBSS-10=(10.1×4-14.9×2.1)/(1.9)
≒4.7
配合比(y:4-y)
TS-10 14.9 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6
SS-10 ? 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4
乳化状態 × × ○ ○ ○ ○ ×
●HLB値の実験的測定法良好な乳化状態を示す割合を見出す
分離 良好 分離乳化状態
HLB 低い 高い
●小田良平(1952)
HLB=[Σ(無機性値)/Σ(有機性値)]×10
●川上八十太(1953)
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
Mw ,Mo :親水基または親油基の分子量
●J.T.Davies(1963)
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)
●W.C.Griffin(1943)
HLB=E/5 E:オキシエチレン基の重量分率
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
Deca
glyn
10
-S
Deca
glyn
7-
SDe
cagl
yn 5
-S
Deca
glyn
3-
SDe
cagl
yn 2
-S
Deca
glyn
1-
SDe
cagl
yn 1
-M
Deca
glyn
1-
L
ポリグリセリン脂肪酸エステル
HLB
(-57.4) (-34.7) (-23.9) (-4.5)
● : 実測HLB(乳化実験)
● : 計算HLB(IOB×10)
○ : 計算HLB(Daviesの基数)
・NIKKOL Decaglyn n-X1-L 1-M 1-S 2-S 3-S 5-S 7-S 10-S
14.8
・計算HLB(=[無機性値」/[有機性値]×10)
13.4 12.3 9.8 5.4 4.9 3.5 2.3
15.5
・実測HLB
14.0 12.0 9.5 7.5 3.5 -- --
HLBと水への分散性 HLBと主な用途
HLB 主な用途
1.5~3 消泡剤
4~6 親油性乳化剤
7~9 湿潤剤
8~18 親水性乳化剤
13~15 洗浄剤
15~18 可溶化剤
HLB 水への分散性
1.5~3 分散しない
3~6 わずかに分散
6~8 攪拌すれば分散
8~10 安定な乳濁液
10~13 半透明な溶液
13以上 透明に溶解
1.概論
2.界面活性剤の種類と特徴
4.乳化について
5.クリーム製剤の処方化
油の可溶化量は、界面活性剤のcmc以上で、
界面活性剤の濃度に依存して、ほぼ直線的に増加する
可溶化能の高い界面活性剤とは、
・ cmcが小さい
・ 大きなミセルを形成する(入れ物を大きくする)
・ 構造中に油を溶解する部分を多く持っている
可溶
化量
界面活性剤濃度
cmc
したがって
親油基の占めるボリュームを大きくする
・ 大きなミセルが形成される
・ 油が溶解する部分の
ボリュームが拡大する
・ 層構造間に油を固定する
両親媒性の連結基を入れる
・ 低分子量油剤、極性油剤(香料など)の
可溶化部位の確保
・ 分子全体の極性(親水性)を下げずに、
油溶解部分のボリュームが拡大する
ポリプロピレン鎖
ポリブチレン鎖
PEN系
HCO系
BPS系
PBC、PEN系
油に親和性のある親水基を選択する
↓
香料などの低分子量油剤、極性油剤の可溶化量を増大させる
・ 非イオン性の親水基を選択する
可溶化能(同一の親油基において)
POE鎖 > ポリヒドロキシル基 > カチオン基 > アニオン基
・ 界面活性剤分子中に、親水基を分散させる
ミセル中で親水基間の反発が起こり、親油基の柵層が拡大することで、
可溶化量を増加させる
ポリオキシエチレン鎖
CH2-CH2O
酸化エチレン
POE硬化ヒマシ油は、可溶化剤に適した構造の界面活性剤である
・ 親油基の占めるボリュー
ムが大きい
・ 油に親和性のある親水基
を持つ(POEグリセリル)
・ 親油基中に、短い親水基
を持つ(POE鎖)
ミセル中で親水基間の
反発による親油基の柵層
の拡大
O(C2H4O)nCO
O(C2H4O)nCO
O(C2H4O)nCO
O(C2H4O)m H
O(C2H4O)m H
O(C2H4O)m Hn>>m
油に親和性のある親水基
POEグリセリル
大きなボリュームの親油基
脂肪酸トリエステル
親油基中に分散した親水基
ポリオキシエチレン鎖
PEN-nは、可溶化剤に適した構造の界面活性剤である
・ 親油基の占めるボリュー
ムが大きい
・ 両親媒性の連結基を持つ
(ポリプロピレン鎖)
・ 油に親和性のある親水基
を持つ(POE鎖)
油に親和性のある親水基
ポリオキシエチレン鎖
大きなボリュームの親油基
分岐アルキル基
O(CH2CHO)m
CH3
(C2H4O)nH
デシルテトラデシル(C24)
両親媒性の連結基
ポリプロピレン鎖
BPS-nは、可溶化剤に適した構造の界面活性剤である
・ 親油基の占めるボリュー
ムが大きく、環状の層構造
に油を固定できる
・ 油に親和性のある親水基
を持つ(POE鎖)
油に親和性のある
親水基
ポリオキシエチレン鎖 大きなボリュームの親油基
ステロール基Hn(OC2H4)O
PEN : POE POP Decyltetradecyl etherHCO : PEG Hydrogenated Caster Oil
Number of POE (PEG)
Tran
smitt
ance
(%)
一般的な可溶化液の調製法
まず、油と界面活性剤を混合し、そこに、攪拌しながら徐々に温水を添加する
界面活性剤の液晶形成が起こる
液晶形成が始まると界面活性剤溶液の可溶化能は、一般に低下する
ハイドロトロープ剤を添加し、液晶構造の形成を抑制する
ハイドロトロープ剤 : 短~中鎖アルコール ポリオール
中鎖グリセリルエーテル
(2-エチルヘキシルグリセリルエーテル)
PEN : POE POP Decyltetradecyl etherHCO : PEG Hydrogenated Caster Oil
Num
ber
of P
OE
(PE
G)
Concentration of Ethanol (wt%)
PEG-n水添ヒマシ油 NIKKOL HCO-n
POE・POPセチルエーテル NIKKOL PBC-n
POE・POPデシルテトラデシルエーテル NIKKOL PEN-n
POEソルビタン脂肪酸エステル NIKKOL T系
PEG-nフィトステロール NIKKOL BPS-n
ポリグリセリン脂肪酸エステル NIKKOL Decaglyn系
水酸化大豆リン脂質 NIKKOL レシノールSH50