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カンボジアにおけるストリートチルドレン ~働く子どもたち~ 207d0325 国際協力専攻 牧田東一ゼミ 清田めぐみ 提出日:2011 1 18 1

カンボジアにおけるストリートチルドレン...はじめに 筆者は2009 年の夏、国際協力研修でカンボジアへ行った。研修の間は、毎日のように物

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カンボジアにおけるストリートチルドレン ~働く子どもたち~

207d0325

国際協力専攻

牧田東一ゼミ

清田めぐみ

提出日:2011 年 1 月 18 日

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はじめに………………………….3 第 1 章 世界のストリートチルドレン、児童労働……………3

第 1 節 ストリートチルドレン………………………………4 第 2 節 児童労働………………………………………………5

第 2 章 カンボジアで働くストリートチルドレン……………9 第 1 節 カンボジアのストリートチルドレン………………9

第 2 節 カンボジアの児童労働………………………………12 第 3 章 アンコール遺跡周辺で働くストリートチルドレンと観光客……14 第 1 節 アンコール遺跡周辺で働く子どもたち…………………………14

第 2 節 ストリートチルドレンから見た観光客…………………………15 第 3 節 観光客としてストリートチルドレンにできること…………….16 終章…………………….19 参考文献……………….21

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はじめに 筆者は 2009 年の夏、国際協力研修でカンボジアへ行った。研修の間は、毎日のように物

乞いの子どもやモノ売りの子どもに会い、日本では経験したことのないことが、カンボジ

アにはあった。戸惑いを感じたこともあったが、同時にその子どもたちは、なぜ路上へと

働きに出なければならないのか、子どもたちの背景はどのようなものなのか、子どもたち

が働いていることに対しおとな・社会全体はどう見ているのかと考えるようになった。 また、研修中のボランティアではストリートでの子どもたちの現状を自分の目で見るこ

とが出来た。現地 NGO スタッフと一緒にスラムや市場を訪問し、そこで暮らす人々の様子

を見たり、話を聞いたりすることから、カンボジアには子どもに限らずまだ多くの人々が

十分な生活を送ることができないでおり、助けを必要としている人が大勢いることを知っ

た。 ボランティア先の NGO はストリートチルドレンの施設運営も行っている。センターと呼

ばれる施設へ来る子どもの中には、両親が離婚しゴミ拾いで生活していた子どもや、親に

身体を売られてしまった子どもなどさまざまな背景を持つ子どもが暮らしていた。ある日

センターで活動をしていると、幼い女の子がふと「give me money」と言った。まだ完全に

英語を理解していない子どもがその言葉を発したことに、私たちは過去に親に物乞いをさ

せられていたのではないかと感じた。物乞いの仕事が子どもにしみついているのだ。 カンボジアには王宮など観光客が集まる場所があり、そこには観光客向けのカフェやレ

ストランが並んでいる。子どもたちは、訪れる観光客を相手に物乞い、ガイドブックや花、

お菓子など売っている。観光地域以外で子どもが日銭を稼ぐためにできることは限られる。

それはゴミ拾いである。アジアのストリートチルドレンの中でもカンボジアは特に路上で

子どもたちのできる「仕事」が少ない。物乞いはほとんどの場合、観光地周辺で外国人相

手にしかしない[工藤 2008:2-4]。他の場所ではお金を恵んでくれる人は少ないであろう。

飲食店前でバイクや車の番以外は裏商売でないかぎり、おとなも子どもも共に再生ゴミを

拾い売ることしか稼ぐことができない。カンボジアはそれだけ子どもだけでなくおとなも、

市民全体が経済的に苦しい生活を強いられているのである。ポル・ポト時代と内戦による

破壊のあと、教育の機会や人々の絆が奪われ、貧困に苦しむ人々が大勢残された。貧困層

への支援が十分にされないまま、復興による急激な社会変化が起きている。そのことが多

くの矛盾を生み、貧困層のおとなたちを追いつめ、子どもたちを路上へと押し出している、

と NGO フレンズの運営者は述べている[工藤 2008:2-4]。こうして、子どもたちが路上へと

働きにでなければならない状態が今も続いている。 本論文では、まず第 1 章でストリートチルドレンと児童労働について述べていく。第 2

章カンボジアのストリートチルドレンについて考察していきたい。第 3 章では、カンボジ

アの観光地シェムリアップ州の働くストリートチルドレンについて述べていく。 第1章 世界のストリートチルドレン、児童労働

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第1章では、ストリートチルドレンの実態、世界全体の推計、発生要因、直面している

問題について述べる、そして本論文ではストリートチルドレンの直面している問題のなか

で労働という視点で考察していく。そのため児童労働についても述べていく。 1.1 ストリートチルドレン

ストリートチルドレンとは路上にいる子どもで、路上で生活しているが適切に保護され

ていない者をさす。UNICEF はストリートチルドレンを主に 3 つのタイプに分け定義づけ

ている。定義は家族とのつながりの程度によって分けている。 また、他の形態の分類もある。第 1 は家族と暮らし路上で働く子ども、第 2 は路上で暮

らし家族と繋がりをもたない子ども、第 3 は出稼ぎに来ているなど、時々家に帰る子ども

の 3 タイプである[工藤 2003:3]。 次に、世界全体にストリートチルドレンについて述べていく。UNICEF の推計によると

全世界で 3,000 万人から 1 憶人以上いるといわれる。統計に大きな差が生じる理由は、地

域を移動し生活場所を変えたり、各国の政策により立ち退かされたり、麻薬売買や性産業

に従事する子どもは NGO などの調査員の目に入りにくいなどである[ストリートチルドレ

ンを考える会 HP 2009,11.20]。 次に、子どもたちはなぜこのように路上へと出てくるのであろうか。理由は様々である。

貧困により路上へ出稼ぎにでたり、家庭崩壊、家庭内で暴力を受けたり、性的虐待にあう

などの理由から子どもたちは路上へ出てくる。また、紛争や自然災害により住む家を亡く

した子どもである。都市化により路上へと出てきた子どもたちもいる。1950 年代以降、先

進国による開発援助が始まった。その開発政策は都市に集中したため、農村と都市部の格

差を拡大させた。多くの人が職業や収入などを求めて、都市へと流入した。都市へ出てき

た人々は思うように仕事が得られない人が多かった。そのため、慢性的な失業や貧困によ

る影響から子どもたちは路上へと出てくるケースもある。さらに、両親が HIV に感染し、

エイズ孤児となってしまった子どもやその他の感染症による孤児が路上へと出てくる[AIC JAPAN HP 2009,11.24]。 上記のような背景の問題は独立したものではなく相互に関係しあっている。 このような背景のもと路上へと出てきた子どもたちは、どのような生活をし、どのよう

な問題に直面しているのであろうか。ここではメキシコのストリートチルドレンを例に挙

げ見ていきたい。 メキシコの首都メキシコシティ1には、多くのストリートチルドレンが存在する。社会保

護局の担当者によると、メキシコシティには、働く子どもと路上暮らしの子どもを合わせ

て、約 1 万 1,000 人のストリートチルドレンがいるという。そのうちの約 1 割が路上で暮

1 メキシコは正式にはメキシコ合衆国であり、各州の政府が行政権をもつ。首都メキシコシ

ティはメキシコ連邦区と呼ばれ独自の政府をもち、ユニセフによると政府はストリートチ

ルドレン対策に力を入れているといわれている[工藤 2003:6]。

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らしている。年齢は、4 歳~17 歳くらいで、13、14 歳が も多い。女の子は少数で、大多

数が男の子である。路上暮らしの多くの子どもは、シンナー、接着剤、マリファナ、コカ

インなどのドラッグを使用している。子どもたちが路上に出てきた背景には、家庭で肉親

や義理の親からの虐待が大半である[工藤 2003:6-8]。 ストリートチルドレンの生活をメキシコシティのある少年に焦点を当て生活をみていく。

この少年は UNICEF の 3 つのタイプのうち、家族との接触をもたない子どもにあたる。 少年はバスターミナル周辺を主な生活の拠点としている。何人かの仲間と集団で暮らし

ている。小銭を稼ぐ方法は、地下鉄の切符売り場で物乞いをし、恵んでもらった切符をほ

かの乗客に売っている。夕飯を時々施設でとることはあるが、施設には入らない。寝る場

所は役所の軒下やバスターミナルの待合ロビーで、布団用の段ボールを敷き寝ている。接

着剤などのドラッグを使用している[工藤 2003:10-14]。 施設に入らない理由は様々であるが、多くは路上暮らしが長いため、その自由さに慣れ

てしまったり、ドラッグを常用するようになってしまったりして施設にはいりたがらない。 このようにストリートチルドレンの直面している問題は様々である。栄養失調による飢

餓、外傷、マラリア、結膜炎などの健康問題、売春、麻薬の販売、物乞いなどの児童労働、

たばこ、アルコール、シンナーなどによる薬物依存、教育機会の欠如、社会的保護の欠如、

偏見、路上での虐待、などの多くの問題を子どもたちは抱えている。 筆者は 2009 年 8 月に、カンボジアへ行った際、ストリートチルドレンを見たが、彼らは

実際の年齢より、若く見え、やせている子どもが多かった。栄養失調のため髪が茶色に変

色している子どもも多く見かけた。 1.2 児童労働 児童労働問題の中でも、第 1 節で述べてきたストリートチルドレンは も深刻な状況で

ある。ストリートチルドレンの中で労働に従事している子どもは多く存在する。そのため、

第 2 節では児童労働について述べていく。 児童労働は働く子どもすべてを指すわけではなく、手伝いやアルバイトなど、子どもが

学校に行きながら行う害のない労働は「子どもの仕事(Child Work)」とされている。子ども

の健康、または身体的、精神的、知的、またはモラルや社会的発達に害を与え、また教育

を妨げるような種類の仕事すべて「児童労働(Child Labor)」という[ACE HP 2009,11.24]。 ILO(国際労働機関)によると、児童労働とは、原則 15 歳以下の子どもが大人のように

働く労働のことを指す。 ILO138 号条約2は以下の表 1 ように就業 低年齢を定めている。

2 正式名:就業が認められるための 低年齢に関する条約。1973 年 6 月 26 日採択、1976年 6 月 19 日発効。批准国 155 ヶ国(2009 年 12 月 22 日現在)。日本 2000 年 6 月 5 日批准。

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表 1 ILO138 号条約が定める就業 低年齢

低年齢 軽易な労働 危険な労働

15 歳 ・義務教育修了年齢を下回ら

ない(原則) ・途上国は 14歳とすることが

できる

13 歳 ・途上国は 12 歳とすること

ができる

18 歳 ・健康・安全・道徳が保護さ

れ、適切な職業訓練を受け

る場合は 16 歳

(出典:ILO 駐日事務所 HP より) ILO3182 条約は 18 歳未満が行う 悪の形態の労働を以下のように定めている。

悪の形態の労働とは、強制労働、債務労働、農奴、子ども兵士、人身売買、子ども売

春・ポルノ、麻薬の売買などの犯罪行為、その他の有害労働(虐待にさらされる労働、炭坑

内、水中、危険な高所・閉所での労働、化学物質や高温、騒音にさらされる労働、長時間

労働、夜間労働、不当に拘束される労働など)である[ACE HP 2009,11.24] 次に、世界全体の児童労働の状況をみていく。世界における 5-17 歳の児童労働者数は、

約 2 億 4600 万人(うち 14 歳未満は 1 億 8600 万人)であり、これはおおよそ世界中の子ども

の6人に1人が児童労働に従事していることになる。地域別にみると、アジア太平洋に60%、

中東アフリカに 29%、南米カリブ海に 8%である。児童労働者の割合が も高いのはサハ

ラ以南アフリカ地域であり、4 人に 1 人が児童労働に従事している。途上国だけではなく、

先進国でも 250 万人が経済に従事している[ILO 駐日事務所 HP 2009,11.24]。 では、児童労働はなぜ存在するのだろうか。 も多い発生原因は貧困である。家庭の貧

困により、子どもが働かなくてはならない状況になることや、親の収入が少ないため、子

どもが働くことより得る収入を家計の副次収入としてあてにする親もいる。そのほかの原

因は、子どもの教育へのアクセスがない、親の教育の欠如により、子どもに教育を与えな

い、子どもの地位が低い価値観や社会慣行、地域社会の労働慣行、地方から都市への移住、

紛争・災害などによる社会の混乱、不適切な法律の執行などが挙げられる。また、子ども

の手は器用、子どもを雇う方が安く済むという理由からも、児童労働が行われている。 子どもたちは様々なところで働かされている。農業の場では、コーヒー、茶、綿、カカ

オ、サトウキビなどの大規模農園で働いている。厳しい気象条件の下、長時間きつい作業

や、殺虫剤・除草剤の使用で病気になったり、危険な器具・機械を使いケガをしたりする

子どももいる。製造業では、マッチ、花火、チョーク、カーペットなどを作っている子ど

もたちは、材料の爆発や道具によってケガをしたり、身体的に害を与える細かいチリを吸

い込むことにより病気になったりする。ボールや靴などの製造現場でも子どもたちは働い

3 正式名: 悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約。1999年 6 月 17 日採択、2000 年 11 月 19 日発効。批准国 171 ヶ国(2009 年 12 月 22 日現在)。日

本は 2001 年 6 月 18 日批准。

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ている。また、債務奴隷という形で働かされている子どもたちもいる。親の借金を背負う、

また親とともに借金を背負い、強制的に働かされ、数十年に亘って契約をさせられ場合も

少なくない。食事や睡眠時間も満足に与えられず、一日中働かされ、暴力をふるわれるこ

ともある。また住んでいた場所から遠く離れたところに連れて行かれ、無理やり働かされ

る子どももいる。親に売られた子どもたちは、農園や建設現場、鉱山、物乞い、性産業で

働かされることもある[ILO 駐日事務所 HP 2009,11.22]。 児童労働撤廃国際計画(IPEC)

IPEC は 1992 年に開始された ILO の技術協力プログラムである。「 悪の形態の児童労

働」の撤廃を重点に置きながら、 終的にはすべての児童労働をなくすことを目標として

いる。IPEC の活動は、政府、労働者・使用者団体、NGO、学校、メディアなど、多くの

関係者のパートナーシップのもとで活動している。活動の詳細は以下の通りである。 ・広範なパートナーが児童労働問題を認識し、これに立ち向かうよう動機づけする。 ・国内の児童労働問題を発見するための状況分析を実施する。 ・児童労働問題に関する国内政策の立案と実施を支援する。 ・既存の組織を強化し、制度的な仕組みを構築する。 ・児童労働問題について、国、コミュニティ、そして作業場での関心を喚起する。 ・保護法制の整備と適用を促進する ・働かされている子どもたちと、その可能性の高い子どもたちに対する直接行動を支

援する ・働く子どもとその家族のための代替的な選択肢を提供する。 ・パートナーが実施するプログラムの中に、成功したプロジェクトの要素を組み込み、

拡大する。 ・児童労働問題を、国の社会経済開発政策や事業活動と予算の中で主流化させる[ILO

駐日事務所 2009,11.22]。 次に IPEC の取り組みの例をあげる。サッカーボールの製造を行う子どもへの支援であ

る。世界のサッカーボールの約 75%はパキスタンのシアルコット地区で生産されている。

1996 年に IPEC が行った現地調査による、とおよそ 7000 人の子どもたちがボールを縫っ

ていた。IPEC は現地の商工会議所などと協力し、教育支援や再就労を防ぐための監視制度、

コミュニティ単位の作業場づくり、ノンフォーマル教育の提供などを行い、撤廃にむけ支

援をした。IPEC の活動により児童労働から開放さされた子どもたちは、リハビリテーショ

ンを受け、心身の傷を癒し、学校に通い勉強に励んでいる。IPEC の利益を直接または、間

接的に受けた子どもたちの総数は 500 万人にのぼる[ILO HP 2009,11.12]。

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ストリートチルドレンと児童労働 次に本論文のテーマであるストリートチルドレンに焦点をあて、児童労働をみていく。

ストリートチルドレンの仕事は多くの場合、インフォーマル経済に組み込まれ、食べ物を

準備し売り歩く仕事や、靴磨き、路上掃除、物乞い、配達人としての仕事、車の窓ふき、

ゴミ箱やゴミ集積所などで、ゴミを拾う・あさるなどをして、集めたものを再販、また、

売春や麻薬取引などもある。それらの仕事は、劣悪な環境や危険な仕事であり危険が大き

いことから、多くの場合、 悪の形態の児童労働とみなされる。ストリートチルドレンの

中でも、第 1 節で述べたような、家があり家族とともに住んでいる子どもたちは、一般的

に仕事は家族を支えるためか、小遣い稼ぎのためであるとされる。路上に住む子どもたち

は、生きるために仕事をしている。路上に住む子どもは少数であるが、 も危険な路上で

の労働に陥りやすい弱い立場に置かれている。ストリートチルドレンは 1 つの仕事だけで

なく複数の仕事をしている場合や、広い範囲で移動して仕事をするため、支援の手が届き

にくくなっていまっている。 このようなストリートチルドレンへの対策として、問題を理解するため IPEC は

UNICEF と共同で児童労働の形態に関する実情を明らかにする調査を行った。ここでは調

査結果をエルサルバドル、ネパール、ルーマニア、タンザニア、トルコの例をあげみてい

く。エルサルバドルでは、路上で働く子どもたちの大部分は家族と暮らしており、路上で

暮らしている子どもは 2%未満である。屋台などで働く子どもたちは 1 日平均 10-12 時間働

き、長い時は 14 時間働いている。 ネパールではくず拾いをする子ども(平均 12 歳)が推計で 4000 人いる。くず拾いをする

子どもたちのほとんどは、丘陵や山間地域からの移民で、家族が土地を持たず、低賃金の

労働に従事している。路上で働く 88%が男の子である。半数以上の子どもたちは、路上か、

廃材置き場、NGO のシェルターで生活いている。 ルーマニアでは物乞いが も多く 44%である。ついで車洗いの 17%でありその次に行商

15%であった。物乞いが多いということは、他の国に比べ幼い子どもたちや女の子が都市

の非正規労働に従事していることを意味している。女の子の数は 32%を占め、全体の 62%の子どもたちが学校を中退していた。

タンザニアでは、子どもたちが非常に危険な状況でゴミを拾っている。裸足であったり、

手袋や保護する服は着ていなかったりする。 トルコでは、多くの子どもたちは家族と暮らしているが、 貧困層である。38%の子ど

もたちが学校を退学したか、一度も通っていない[ILO 駐在事務所 HP 2009,11.02]。 このような調査の下、IPEC はストリートチルドレンに焦点をあてた活動をしている。こ

こではロシアを例にあげ、活動をみていく。 ロシアでは「サンクトペテルブルク4のストリートチルドレン:搾取から教育へ」という

4 ロシアの西部に位置する。500 万人の人口を抱えた大都市であり、ストリートチルドレン

が集まる場所で有名である。ロシア全体でストリートチルドレンは 80 万~400 万人ものス

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3 年間のプログラムを 2003 年 1 月に終了し、第 2 段階へと延長されている。プログラムの

内容は、ストリートチルドレンや元ストリートチルドレンとその家族を直接的に支援する

ため、政府機関や地元NGOの能力を高めた。 また調査官や警察官の訓練、意識改革、コミュニティの活性化やサンクトペテルブルク

地域の児童労働についての調査を含んでいた。 IPEC は政府と労働組合、使用者間の三者合意の締結に貢献し、それが 悪の形態の児童

労働を撤廃するための行動の枠組みをなした[ILO 駐在事務所 HP 2009,11.02]。 このように ILO はストリートチルドレンの児童労働の問題対し活動を行っているが、直

接的にストリートチルドレンやその家族に支援することではなく、政府や、現地 NGO への

政策提言や能力強化などの活動をしている。実際にストリートチルドレンやその家族に支

援するのはやはり現地 NGO が一番近い存在としてあるのだ。 第 2 章 カンボジアで働くストリートチルドレン 第 2 章では第 1 章で述べたストリートチルドレン及び児童労働のカンボジアの現状を述

べていき、カンボジアのストリートチルドレンの労働に焦点をあて論じていきたい。 2.1 カンボジアのストリートチルドレン カンボジアのストリートチルドレンはどのような現状なのだろうか。カンボジアでも第 1章で述べたようにストリートチルドレンは 3 つのタイプに分けられる。第 1 は、日中は路

上で働き、夜は家に帰る子どもたち、第 2 は、家族と共に路上で生活している子どもたち、

第 3 は、常に路上で生活し、家族と繋がりをもたない子どもたちである[藤原 2006:181]。 次に、カンボジアの首都プノンペンの状況をみていく。第 1 のタイプの子どもたちは、

プノンペンに 1 万人~2 万人いるといわれている。夜帰る家は貧しい家庭が多く、ゴミ集積

場の近辺に住んでいる場合が多い。第 2 のタイプの子どもたちは、500 人~1000 人いると

いわれている。頻繁に移動するため、数は流動的であり、農村から家族で首都に出てくる

場合に、路上で生活する状況に陥るケースが多い。第 3 のタイプの子どもたちは、2000 年

6 月の時点で 1075 人いると報告された。プノンペンやバッタンバン5の間を旅して回る子

どもたちも多い。交通手段は電車であり、屋根にただ乗りして都市の間を往復する[藤原 2006:181]。

カンボジアのストリートチルドレンは貧困、HIV/AIDS、薬物、強制移住などの問題に直

面している。家族全体が貧困であるため、子どもが路上へ出て働かざるを得なくなってい

る。多くの子どもたちは家族を支えるために働いている。学校には通えず、仕事をしたり、

路上でふらふらしていたりと、保護されていない状態である。エイズの問題では、親の感

トリートチルドレンがいる。ロシアでは極寒の冬を生き延びるため、温水官が張り巡らさ

れたマンホールの中に住む子どももいる。マンホールの中の衛生環境は劣悪である。 5カンボジア北西部に位置し、首都プノンペンより 293km に位置する。

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染により子どもが治療費を捻出するため、売春するようになるケースがある。しかし、そ

の子どもは仕事柄エイズに感染してしまう可能性が高い。また、母子感染によるエイズ孤

児は増加している。ストリートチルドレンの間では薬物の問題も存在する。近年若者の間

で薬物使用が広がってきている。空腹を紛らわすために、安価で手に入るシンナー入りの

接着剤を薬物の代わりに使用するストリートチルドレンも多い。そのため、中毒になる子

どもたちもいる。2000 年のNGOの「フレンズ6」が 950 人以上のストリートチルドレンに

インタビューしたところ、約 40%が何らかの薬物を使用していたという結果がでた。強制

移住という問題は都市のスラム住民が政府により強制的に退去させられる、という問題で

ある。農村の生活が苦しいため、仕事、教育などチャンスを求めて、人々は都市へと流入

してくる。そのため都市の人口は増え、同時にストリートチルドレンも増加している。プ

ノンペン市は美化政策の名の下、都市のスラム地域の住民を退去させ、2~3km離れたとこ

ろに再定住させる。再定住地には仕事がなく、再びプノンペンへ働きにいくことになり、

路上で寝起きする者もでてきた[藤原 2006:181-183][フレンズHP 2009,12.08]。 ここでいくつか首都プノンペンのスラムのストリートチルドレンとその家族の生活につ

いて述べていきたい。 市場のそばに「ストリートファミリー」と呼ばれる家族で路上に暮らしている人々が、

たくさんいる。その家族は路上で薪を使ってご飯を炊き、拾ってきた野菜や果物で食事を

つくる。ある家族は首都プノンペンの北西 124kmに位置するコンポンチャムからでてきた。

生活は娘が物乞いをし、生活している。家族は全員で 7 人であり、父親とほかの子どもは

故郷の農村で暮らしている。農村では、自分でつくった作物だけでは暮らしていけないた

め、母親と娘で都市へと出稼ぎにきているのだ。都市には農村にはない多種多様な食べ物

があり、空腹のため子どもたちは傷んでいても、汚れていても食べる。しかし、不衛生で

あり、病気になる可能性が高い[工藤 2008:15-16]。 また、家族と繋がりをもたず暮らす子どもたちもいる。ある少年は寺の境内で寝起きを

している。日銭を稼ぐために街へ行き、再生ゴミを集めて売る仕事をする。彼は薬物を使

用し依存症になっていた。覚せい剤を吸うだけでなく、注射をする。それを入手するため

に何人かの仲間と買春宿のポン引きやレストランの前に駐車した客の車番などをしている

[工藤 2008:19-20]。 この少年のように、ストリートチルドレンの間で薬物することが広まっている。カンボ

ジアでは 90 年代後半から薬物使用が広まり、そのころからストリートチルドレンの数も増

大した。それは、薬物の使用が路上の子どもたちの家庭や路上で虐待され傷ついているな

ど、心の問題と深く結びついていることを示す。カンボジアの NGO「フレンズ」によると

6 フレンズ(現地語:Mith Samlanh):ストリートチルドレンの保護を行う NGO。1994 年

設立。フレンズは家族やコミュニティーを含め、子どもを社会へ再び参加することを目的

とする。約 1800 人の子どもがフレンズの活動に参加している。UNICEF などから資金的

支援を受けている。

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2007 年現在で 70%が薬物を使用していると考えられる。薬物使用を続けることによる依存

の問題だけでなく、注射を使用することにより、HIV 感染の問題もあるのだ。それは注射

を使用する際、1 本の注射を数人で使いまわしていることがあるからである。こうした状況

から抜け出すため、「フレンズ」は 2004 年から政府の承認を得て、対策をうちだした。路

上やスラムの子どもや若者から使用済みの注射器と針を回収し、新品と無料で交換すると

いう活動である[工藤 2008:21-22]。この対策は、一見すると薬物使用を助長するように思

えるが、「フレンズ」はこの活動と同時に、薬物と HIV の危険やその予防方法について説明

し、薬物常用者にはより害の少ない薬の使用と、依存克服のための治療プログラムへの参

加を勧めている。その成果もあり、依存から抜け出し、自立のため NGO 施設で仕事を学ぶ

人も出てきた。また、HIV/AIDS の知識も若者のなかで少しずつ定着してきた[工藤 2008:22]。

筆者は 2009 年 8 月にカンボジアへ行き、ストリートチルドレンの保護、社会への再統合

を目標とした現地 NGO「CCASVA」でボランティアをし、NGO スタッフの方と一緒に路

上調査を行った。そのときに見たスラムや市場やストリートチルドレンの様子について述

べていきたい。 筆者が路上調査で行ったスラムは、Borey keyla スラムといい、約 2000 世帯が暮らして

いる。何世帯かは、マンションのような比較的丈夫な家に住んでいるが、多くの世帯は簡

単な木造の家に住んでいる。スラムの中でも格差があるようだ。前日が雨だったこともあ

るが、ぬかるんでいて歩きにくい道であった。地面には食べ物の食べカスや果物の皮、紙・

プラスチックのゴミなどが無数に散らばっていた。インタビューした家では果物の販売を

して、その果物を買って食べた後、ゴミを捨てようと一緒にいた NGO スタッフの方に尋ね

ると、地面にそのまま捨てていいというのである。スラムにはゴミ箱がないのだ。ゴミを

しっかりとゴミ箱へ捨てるといった習慣がないため、地面にはゴミが散らばっているのだ

と感じた。 インタビューしたある家庭は、母親と祖母と子どもの 3 人で暮らしている。父親は亡く

なっており、母親は目が不自由であった。そのため祖母が裁縫をして稼いでいる。しかし 1日多くて 5000 リエル7ほどしか稼ぐことしかできず、子どもがゴミ拾いをして家計を助け

ていた。 また、市場へ行った時は 10 人ほどの子どもたちが市場の隅の方に集まって遊んでいた。

その子どもたちは、市場で落ちているゴミや段ボールを集めて、リサイクル品を売ってい

る。その子どもたちの中には以前スラムであった子どももいた。その子どもは、昼はゴミ

拾いの仕事をして、夜は家族で住むスラムに帰るのである。 スラムでは平日であるのにもかかわらず、大人は仕事をせず家にいた。昼間からお酒を

飲み、賭けごとをする、そんな大人の姿をよく見かけた。それほど大人は仕事がないとい

うことだろうか。そのことは子どもが路上で働くようになる大きな 1 つの原因である。 7 カンボジアの通貨単位リエル。1 米ドル=4000 リエル。

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2.2 カンボジアの児童労働 カンボジアの国民 1 人当たりの GDP は約 300 米ドルであり、世界で も貧しい国の一つ

となっている。2001 年に行われたカンボジア児童労働調査によると、227 万 6000 人の子

どもが児童労働に従事している。7 歳から 14 歳の子どものうち 52.3%が経済活動に従事し

ている。そのうちの 52.4%が男子、52.1%が女子となっている。労働のみを行う子どもは

一週間に平均 27.2 時間働いていて、学校に通いながら働く子どもは一週間に平均 20.3 時間

働いている[UCW HP 2009,12.08]。 産業別に見ていくと、農業、林業、漁業に従事する子どもは全体の 72.7%であり、卸売・

小売業は 16%、生産業は 6.3%、地域・社会・個人サービス業が 2.3%、その他が 2.7%と

なっている[ILO 駐日事務所 HP 2009,12.08]。 この論文では児童労働の中のストリートチルドレンに着目するため、ストリートチルド

レンの仕事と思われる、卸売・小売業、地域・社会・個人サービス業にあたる部分に焦点

をあてみていく。タイ国境のポイペトという街とカンボジアの首都郊外のゴミ集積場につ

いて述べていきたい。 ポイペトという街は、カンボジア北西部に位置するバンテアイミンチェイ州にある。1991年の設立当初、人口は少なかったが、タイと国境を接していることから、お金を稼ぐため

次第に人々が集まるようになった。1998 年 12 月にカンボジアの内戦が終結してからは急

速に増加し、1999 年頃からは、タイのカンボジア難民キャンプから帰国して移り住む人々

がでてきた。このころからスラムが形成されるようになった。そのスラムの衛生状態は劣

悪で、汚水はドブへ垂れ流し状態であり、ゴミは散らかったままである。スラムに住む子

どもたちは、皮膚病をもっていたり、栄養失調のため髪が茶髪になっていたりする。子ど

もたちの多くは学校に行かず、毎日タイの国境を越えてタイの街の市場で日雇い労働者と

して働いている[藤原 2006:164-165]。 1999 年の初頭からポイペトにはタイ資本によるタイ人のためのカジノの建設が始まり、

2001 年までに 7 つの大型カジノが建設された。カンボジアでタイ人のカジノを建設する理

由は、タイ国内では法律上カジノが禁止されているからである。そのため、規制の緩いカ

ンボジアがカジノ資本のターゲットとなった。カジノでカンボジア人はトイレ清掃など雇

われていたが、カジノで仕事をするカンボジア人はほとんどがプノンペン出身であり、ポ

イペトのスラムの人々は足を踏み入れることができない。ポイペトのスラムの人々のほと

んどが、タイのタラー・ロンクルアという大きな市場に働きに行く。タイとの国境の門は

朝 7 時半に開くため、その時間付近になると大勢のカンボジア人が押し寄せる。ほとんど

の人はパスポートを持っていない。そのため、一日通行券を購入する。しかし、通行券を

買わずに人ごみに紛れ越境する人もいる。また、多くの子どもたちも国境を越え品物を運

ぶ。市場では、魚、鉄くずなどがカンボジアから運ばれ売られている。カンボジア人の女

の子の中には、通行人に日よけや雨よけとして傘を差し出す仕事をしている。その仕事は

需要があまりなく、相手にされない。彼女たちは身なりから一目でスラム出身だとわかる

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そうだ[藤原 2006:164-169]。このように働きに出る人々のなかで非合法で行き来している

人々もいる。2005 年には、毎日約 500 人が捕まり、送還されていた[工藤 2008:54]。 カンボジアから子どもたちを連れてきて組織し、タイの首都バンコクで物乞いや物売り、

売春をさせて儲ける人身売買業者もいる。その人身売買業者に親がだまされ子どもを売ら

れる場合や親がお金のため、意図的に子どもを売り飛ばすこともある。売られた子どもの

中には、臓器売買の犠牲になる子どももいる[工藤 2008:54]。 このような人身売買はカンボジアで深刻な問題となっている。カンボジアの人身売買の

80%はポイペトで行われているといわれている。UNICEF の調べによると 2000 年には、

3360 人の子どもが主にタイからカンボジアに強制送還されている[藤原 2006:170]。 ここで人身売買の事例を挙げたい。カンボジアの西部に位置するシェムリアップに住ん

でいたある家族は、ポイペトからの仕事斡旋人の紹介で、家族全員でポイペトへ引っ越し

た。家はすぐに見つかり、大家とも仲良くなった。ある日大家が娘姉妹をタイへ遊びに連

れていくといい、両親は送り出した。しかし、数日で戻ってくるはずの姉妹が半年経って

も戻って来なかった。その時姉妹はタイで逮捕され、カンボジアへ強制送還されていた。

姉妹はタイで毎日物乞いをさせられており、稼ぎの少ない日は大家に電気の通った鞭で何

度もたたかれた。この事件は親が大家からお金を受け取り、子どもたちを売った可能性が

ある。このような場合、子どもを親元に返す際に、保護したトランジットセンターの職員

が、1 年間定期的に家庭訪問をし、親に問題がないか、事件に巻き込まれていないか、確認

する。このような大家が人身売買業者である場合や、見ず知らずの老女にさらわれてしま

う子どももいるという。自分の孫だといい、幼い子どもをさらうようなことも出てきてい

る[藤原 2006:170-173]。 次に、プノンペン郊外のゴミ山で働く子どもたちについて述べていく。フィリピンのパ

ヤタスにあるゴミ山のようにカンボジアにもゴミ集積場がある。フィリピンでは 2007 年 7月に起きたゴミ山崩落事故以降、14 歳未満の子どもがゴミ山で働くことは禁止されている

が、カンボジアでは現在も幼い子どもがゴミ山で働いている。カンボジアのゴミ問題は復

興に伴い深刻化してきた。大量消費社会へと移り変わり、ゴミが拡大し、1 日 600 万トンを

超えるゴミが運ばれてくる。同時に、ゴミ山で働く人々も増えてきた。ゴミ山は不衛生で

あり崩れる可能性があり、子どもが働くのは非常に危険であり、劣悪な環境である。ある

10 歳の女の子は 5 歳のころからゴミを拾っている。朝の 6 時から働き、正午過ぎまで働き、

一日平均 70 円相当のお金を稼ぐ。父親はアルコール依存症になり働かないため、母親と共

にゴミ山で働いて家計を助けている。公立学校には通っていないが、NGO の運営するイン

フォーマル・スクールに通い勉強している[工藤 2008:49-50]。 このように人身売買の被害にあう子どもやゴミ山のような劣悪な環境で子どもが働かな

ければならない状況がある。この状況にカンボジアではどのような対策が行われているの

か。

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第 3 章 アンコール遺跡周辺で働くストリートチルドレンと観光客 第 3 章では、カンボジアの観光地の一つであるシェムリアップにおけるストリートチル

ドレンとカンボジアを訪れる観光客について述べていく。第 1 節では、シェムリアップで

働くストリートチルドレンの実態を、第 2 節では、子どもたちから見た観光客について述

べる。第 3 節では、観光客とストリートチルドレンの関係性や、カンボジアの NGO である

フレンズ・インターナショナルと、日本の NPO 国際子ども権利センター(シーライツ)が

共同で行っている、カンボジアへ渡航する日本人観光客へのキャンペーン活動についての

べていきたい。そして、カンボジアへ向かう観光客としてどのような行動をとるべきなの

か考察していきたい。 3.1 アンコール遺跡周辺で働く子どもたち アンコール遺跡群は、カンボジアの北西部シェムリアップ州に位置する。カンボジアの

観光地として知られ、世界各国から多くの観光客が訪れる。シェムリアップは、市街地を

中心に、北にはアンコール遺跡群、東にはロリュオス遺跡群、南にはインドシナ 大の湖

であるトンレサップ湖が広がる。外国人向けのリゾートホテルやレストランが建ち並び、

遺跡観光の町である[カンボジア政府観光局 HP 2010,12.12]。 上記のように多くの観光客が訪れるため、その観光客を相手にした物売りや物乞いの

人々の数も多い。2009 年 8 月に筆者が実際にシェムリアップのアンコール遺跡群を訪れた

際の様子を述べて行きたい。 まずアンコール・ワットに到着すると、バスを降りた直後に子どもたちが、物売りに来

る。商品は、アンコール遺跡が写されたポストカードや、ブレスレット、観光用の書籍な

どである。アンコール・ワットの前には、大きな広場のような場所があり、観光客向けに、

三輪車タクシーのトゥクトゥクやバイクタクシーなどが多く停車し、客を待っていたり、

乗車の勧誘をしたりしている。カンボジア人以外の観光客が入場する際、入場券(Angkor Pass)を購入し、提示する。カンボジア人は入場券なしで入ることが出来るため、周辺住民

は家族などで、アンコール遺跡を訪れているのをよく目にした。 各遺跡の出入り口には、子どもたちが物売りをしている。15 歳くらいの子どもから、5歳ほどの子どももブレスレットなどを売っている。子どもたちは、観光客に合わせて、英

語や日本語などを使い分け、物売りをしている。子どもたちは、買うようにと必死に訴え

かけてくる。買わないと言っても、待っているから、戻ってきたら買うようにと言ってく

る。笑顔はなく、強い日差しのなか険しい表情で物売りをしている子どももいた。 ブレスレットを売るある女の子は、「5 個 1 ドルー」と何度も繰り返している。5 歳くら

いの子どもで、その日本語の意味を理解していないように思えた。意味を知っているのか

聞いてみると、意味を知っているわけではなく、年上の子の言うことをまねて「ゴコイチ

ドルー」と言っているとのことだった。物を売っているという感覚がなく、お金の計算な

ど出来ない年齢で物売りをしているのだ。また、年上の子どもが年下の子どもに物の売り

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方や言葉など教えているということがわかった。 遺跡の出入り口以外に、遺跡の中で働く人もいる。遺跡の出口へと抜ける道では、女性

の老人が、小さい子どもと一緒に座り、物乞いをしていたり、地雷で足をなくした男性た

ちが演奏をしたりしていた。 子どもたちの売っている商品は、ブレスレットやガイドブック、笛、花などの一般的な

お土産品である。国際子ども権利センター代表理事の甲斐田万智子氏によると、物売りを

する子どもたちは、売る商品を市場などで安く仕入れて売ったり、自分で摘んできた花な

どを売ったりしているという。 2010 年 4 月 24 日放送の NHK『世界遺産への招待状』という番組の第 37 回「遺産が育

む子どもたち~アンコール遺跡群~」では、アンコール遺跡で働く子どもたちの様子が放

送されていた。 上記の番組では、ブンライ君という一人の 15 歳くらいの少年の生活に密着していた。観

光客に流暢な英語でガイドブックを売っている少年である。自分で稼ぎのノルマを課し、

一生懸命に観光客に話しかけ、時に観光客に日傘をさしながら、ガイドブックを売ってい

る。ブンライ君の家はアンコール遺跡の周辺にある。両親と兄弟 6 人、8 人家族で。電気や

ガス、水道はなく、夕食はとても質素である。父親は建設現場で仕事をしていたが、その

建設現場で身体をこわし、2 日に 1 日しか働けない。そのため、ブンライ君の稼ぎが家族の

中で重要になってくる。 ブンライ君は、周辺に住み一緒に物売りをしている子どもたちに英語を教えている。夜、

物売りが終わった後、子どもたちが集まって、商品を売るために必要なあいさつなどの英

語をブンライ君から教わり勉強している。ブンライ君の夢は、教師になること。そのため、

仕事の後、使い込んだボロボロの教科書で夜中まで勉強するという。将来の夢を叶えるた

め、一生懸命に頑張っている。「毎日、仕事と勉強でとても疲れるが、自分の選んだ道だか

ら。」とブンライ君はこう話し、その日眠りについたのは、夜中の一時であった。 カンボジアでは、ブンライ君のように親の収入が低く、子どもが働いている家族が多い。

前章で述べたように、7~14 歳の子どものうち、52.3%が経済活動に従事している。そのた

め、学校へ通うことが出来ない子どもや、学校の後、仕事をする子どもがいる。 家族のために一生懸命働くブンライ君は、誰にも話せない気持ちを、寺院の前で打ち明

ける。アンコール遺跡には、ブンライ君にとって、自分だけの特別な場所があり、後ろ向

きだった気持ちを前向きにしてくれるような場所がある。他の子どもたちも、アンコール

遺跡に、それぞれ好きな場所がある。アンコール遺跡は、周辺に住む子どもたちにとって、

文化や自然を感じることの出来る場所であり、悩みを打ち明ける場所であり、元気をもら

う場所である。

3.2 ストリートチルドレンから見た観光客 第 1 節ではストリートチルドレンの現状について述べたが、本章では、そのストリート

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チルドレンから見た観光客という視点をもとに、シェムリアップで行われたストリートチ

ルドレンのための写真ワークショップを通して、述べていく。 フレンズ・インターナショナル 6という NGO は 2006 年 11 月、カンボジアの観光地シェ

ムリアップで、ストリートチルドレンを対象に写真ワークショップを実施した。写真ワー

クショップの目的は、路上で暴力や差別を受けることによって、自尊心が非常に低くなっ

ているストリートチルドレンが自分を表現して自尊心や勇気を取り戻すこと、子どもの性

的搾取に関して社会に訴えることである。ストリートチルドレンの多くは、自分は将来良

い生活を送ることができない、と夢を描くことを諦めている。そのような子どもたちに、

計画を立て、目標に向かって進めば、それは不可能ではないということを伝える必要があ

る。自分たちが「美しい」、「素晴らしい」と思っている世界から排除されているのではな

いと理解することは、今後の人生を広げる人権意識の第一歩となるのである[国際子ども権

利センター 2009:9]。 ストリートチルドレンは性的搾取の犠牲者でもある。加害者はカンボジア人だけでなく、

海外(アジアや欧米)からのペドファイル(小児性愛者)の数も増加している。シェムリアップ

では、観光客の増加に伴い、路上で生活や労働をする(物乞いや物売り)の子どもの数も増え、

性的搾取の被害にあう危険も高まっている[同上 2009:9]。 ワークショップで写真という方法を使用した理由は、簡単に自分を表現でき、すぐに結

果がわかり、他の人の反応も得られるからである。子どもたちは写真を撮ったこともカメ

ラを使ったこともないため、3 日間、写真家から基礎的な技術を教わり、グループ討論を行

うなど、チームワークを培うためのワークショップも行った。実際に撮影する場所は、観

光地として有名な場所であり、子どもたちは「写真を撮らせてください」と英語を使って

お願いをし、同行スタッフは観光客に対して、ワークショップの目的を説明した。写真展

は多くの観光客が足を運んだ[同上 2009:15]。 ストリートチルドレンは観光客に写真をとられる側にあるため、その関係を逆転させ、

今回の写真のテーマを「観光客」とした。このワークショップを通して、ストリートチル

ドレンは、写真を撮る側になり、自分を表現することを学んだ。観光客は、何気なく写真

に納めているストリートチルドレンがとのような思いなのか、写真をとられる際や、写真

展で写真を見る際に、自分に置き換えて考える機会になった。 3.3 観光客としてストリートチルドレンにできること 本節では、観光客としてカンボジアを訪れた際、ストリートチルドレンに対する行動が、

路上で暮らすことを助長しているかもしれないということをもとに、観光客へ啓発活動を

行っている NPO 国際子ども権利センター(以下シーライツ)のチャイルドセーフについて述

べていく。以下は、筆者がシーライツでボランティアをした際に、資料やスタッフからの

インタビューから得た情報をまとめたものである。 「チャイルドセーフ・キャンペーン~カンボジアの子どもを助ける 7 つの方法~」とい

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うキャンペーンの背景は以下の通りである。これは、キャンペーン企画書からの抜粋であ

る。カンボジアでは、地方の開発の遅れや貧困層の生活が困窮しており、仕事を求め都市

に流入してくる人々が増加している。プノンペンでは、市内の人口の 30%にもあたる 30 万

人近くがスラムに住んでいるとされ、旅行者に花や果物、ポストカードなどの物売り・物

乞いをしながら 1 日の大半を路上で生活するストリートチルドレンが後を絶たない。スト

リートチルドレンを守る法整備はいまだに不十分であることから、組織的な児童労働や人

身売買の犠牲となり、旅行者による性的搾取の被害に遭う子どもたちの数も観光産業の発

展とともに増加傾向にある。 一方日本では、カンボジアへの渡航者は年々増加し続け、2009 年には 146,286 人に上る

が、一部の日本人旅行者が上記の犯罪に関与している事実がある。また、多くの旅行者は、

たとえ善意であれ、路上の子どもから物を買ったり、物やお金をあげたりする行為が子ど

もたちの路上生活を助長していることに気付いていない。 シーライツは、フレンズ・インターナショナルの取り組んでいる「チャイルドセーフ・

トラベラーガイド」の日本語版を一万部作成し、カンボジアへ旅行に出発する前の旅行者

を対象に日本国内で配布することにした。 キャンペーンの目的は、「チャイルドセーフ・トラベラーガイド」を配布することで、ど

のような行動が子どもの路上生活や児童労働を助長してしまうのか、またとうしたら支援

できるかを知ってもらい、ストリートチルドレンをめぐる問題について認知度・理解度を

高めることである。 チャイルドセーフ・トラベラーガイドの内容はカンボジアの子どもを助ける 7 つの方法

が書かれている。以下の通りである。 その 1:チャイルドセーフ・メンバーを支援しましょう。 チャイルドセーフ・メンバー(バイクタクシー、トゥクトゥク、ホテル/ゲストハ

ウス、飲食店、インターネットカフェ、旅行代理店)は子どもを危険から守るト

レーニングを受けています。

このロゴマークのついた乗り物やお店をぜひご利用ください。

その 2:路上、ビーチ、寺院などで物売りをする子どもから買う前に、よく考えましょ

う。また物乞いをしている子どもや乳幼児をつれた親にお金をあげることはやめ

ましょう。 私たちが物やお金をあげてしまうことで子どもが路上で働き続け、その結果危険

な目にあうことにつながります。本当に子どもを助けたいと思うなら、直接何か

を与えるのではなく、子どもたちがより良い未来を送ることができるような活動

にご支援ください。

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その 3:子どもや家族を支援するために、チャイルドセーフ認定品を購入してください。 直接子どもにお金をあげる代わりに認定品を購入することで、子どもへの支援に

つながります。認定品は、子どもたちを学校に通わせたいと願う親や、仕事を見

つけるために職業訓練を受けた元ストリートチルドレンの若者の手で作られて

います。 その 4:子どもの搾取につながるような行動はやめましょう。 カンボジアにはお金を得るために子どもを見せものにするような孤児院ツアー

やスラム街ツアーが存在します。孤児院は子どもの家であり、子どもにとって安

全で、プライバシーや権利が守られるべき場所です。 その 5:どのような理由であれ、自分の宿泊しているホテルの部屋に子どもを連れて帰

ってはいけません。 子どもを性的虐待する犯罪者に間違えられるなどのトラブルに巻き込まれる原

因になります。もし、助けを必要としている子どもを見かけたら、地元のチャイ

ルドセーフ・パートナーにご相談ください。 その 6:買春を容認している場所を利用しないでください。 ユニセフが行った調査によると、東南アジアのメコン川流域諸国では、セックス

ワーカーの 30~35%が 12~17 歳の子どもです。つまり、買春を容認しているホ

テルなど利用することは、子どもを危険にさらす状況を許していることになるの

です。 その 7:周囲に目を配りましょう。危険にさらされている子どもを目撃したら、ホット

ラインに通報してください。 以上がチャイルドセーフ・トラベラーガイドに記載されている子どもを守るための 7 つ

の方法である。その他トラベラーガイドの中には、キャンペーンの背景や元ストリートチ

ルドレンが職業訓練のために働いているレストランや、職業訓練を受けたストリートチル

ドレンの親が作った小物などを販売しているお店の地図などが記載されている冊子が入っ

ている。 対象期間は 2010 年 9 月~2011 年 3 月であり、主として 12 月以降の旅行者である。筆者

は配布場所である旅行代理店のピックアップ作業とチャイルドセーフ・トラベラーガイド

の折込み作業を少し担当させていただいた。実際に旅行代理店へと赴くのはシーライツの

スタッフの方であるが、2010 年 12 月時点で配布状況は芳しくないとのとであった。旅行

代理店では、広報用での費用が必要であり、トラベラーガイドを入れることは難しいとい

う。シーライツ代表理事甲斐田万智子氏によると、日本の企業は、欧米の企業に比べ、協

力性が低いという。米国で同じような活動をすると良いことをしていると協力の意志を示

してくれるが、日本の企業は、活動をあまり受け入れないようで、お客様が上記のような

犯罪に関与していると疑いたくないという姿勢だそうだ。日本企業のお客様を大切にする

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ということは理解できるが、視野を世界へと向けることがより必要であると考える。形だ

けの参加ではなく、行動で示していかなければならないと考える。 観光客としてカンボジアを訪れる際、何も知らずに行動を取るとストリートチルドレン

の路上での生活や仕事を助長することになり、子どもたちを路上で暮らすことの危険から

守ることができない。一人でも多くの観光客がこうした意識を持つことでカンボジアのス

トリートチルドレンは改善の道へと繋がる可能性が広がる。 シェムリアップでは多くのストリートチルドレンが日銭を稼ぐために観光客相手意に物

乞いや物売りをしている。観光客はそのストリートチルドレンから、ポストカードやブレ

スレットなどお土産を買ったり、また働いている子どもたちの写真を無断で撮ったりして

いる。これはストリートチルドレンの路上で働くことや生活することを助長することであ

り、子どもたちの権利を侵害することになってしまう。観光客はこれに気付いていないた

め、観光客の意識啓発が必要であり、NGO が写真のワークショップやトラベラーガイドな

どのプロジェクト、キャンペーンを行っている。しかし、日本では観光産業の意識が低く、

NGO の活動が広く知れ渡っていないことが問題である。

終章 本論文では、筆者がカンボジアへ行った際に感じたストリートチルドレンの疑問から始

まり、世界中にいるストリートチルドレンの現状、児童労働について述べ、カンボジアの

ストリートチルドレンの現状、子どもたちを守るためのキャンペーンなどを述べてきた。 ストリートチルドレンは、家庭崩壊、性的虐待、紛争や自然災害、都市化など様々な要

因により路上へと出てくる。そして、路上へ出てきた子どもたちは、栄養失調による飢餓、

結膜炎などの健康問題、売春、麻薬の生産、子ども兵などの児童労働、薬物依存、教育機

会の欠如、社会的保護の欠如、偏見、路上での虐待、などの多くの問題を抱えている。 このような問題を抱えている子どもたちを守るために NGO が活動をしている。本論文で

は、日本の NGO 国際子ども権利センター、カンボジアの国際 NGO フレンズが行っている

活動を述べてきた。写真ワークショップでは子どもが自分を表現するということと、観光

客が写真を撮られる立場に立つことでストリートチルドレンがどのような思いなのかを理

解することを目的としている。 チャイルドセーフ・ネットワークキャンペーンでは、カンボジアを訪れる観光客に、ス

トリートチルドレンは性的搾取やさまざまな暴力、麻薬などの危険と常に隣り合わせであ

るということを知ってもらうことと、観光客が上記のような犯罪に関与しているという事

実があるということ、たとえ善意であれ、路上の子どもから物を買ったり、物やお金をあ

げたりすることで知らず知らずのうちに子どもの路上生活を助長しているということを理

解してもらうことが目的である。 どちらも観光客への意識啓発のため行っている活動である。しかし、旅行代理店など日

本企業をキャンペーンに巻き込めることができないという事実がある。それは、欧米企業

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と比べ日本企業は、子どもを守ろうとする意識啓発に積極的でないからである。それは、

企業だけでなく、日本全体がこうした問題への意識が低いからではないかと考える。こう

した事実を知ろうとすることがまず必要であり、実際に、観光客として訪れる際には、一

人ひとりが意識を持って実際に行動すべきである。 本論文では、カンボジア働く子どもたちについて述べてきた。ストリートチルドレンの

視点として、観光客に物売りなどをしているストリートチルドレンの 1 日を実際に追い、

観光客の視点として、ストリートチルドレンと接する観光客にインタビューをすることが

できれば、より論文を真実に近いものにできたと考える。 後に、本論文のためインタビューや資料を提供してくださった国際子ども権利センタ

ーの方々にお礼を申し上げたい。

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<参考文献> 甲斐田万智子(2007)『カンボジアで子どもの権利を守るためのガイドブック』国際子ども

権利センター 工藤律子(2003)『ストリートチルドレン―メキシコシティの路上に生きる』岩波書店 工藤律子(2008)『子どもたちに寄り添う』JULA 出版局 国際子ども権利センター『IMAGINE THAT!-想像してみて!』 チャンスの会(2007)『チャンスがあれば… ストリートチルドレンの夢』岩崎書店 藤井秀樹(2004)『カンボジアと子どもたちの戦後-地雷・貧困・エイズ・人身売買』丹精

社 藤原幸恵(2006)『ユニセフ・カンボジア事務所で働く―国連若手職員の 3 年間』明石書店 <参考 HP> ACE HP(2009、11.24)http://acejapan.org/ AIC JAPAN HP(2009、11.24)http://aicjapan.org/doku.php?id=streetchildren フレンズHP(2009、09.24)http://www.streetfriends.org/ ILO駐日事務所 HP(2009、11.02)http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ カンボジア政府観光局HP(2010、12.12)http://www.angkorholiday.org/ 国際子ども権利センターHP(2009、09.24) http://jicrc.org ストリートチルドレンを考える会 HP(2009、11.20)http://www.children-fn.com/ UCW Understanding Children’s Work HP(2009、12.08)http://www.ucw-project.org/

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