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まちづくり・地域興し論
2010年 第6講
教科書 第15章 歴史的町並みの観光
講師 宮国薫子2010/11/30 1
1.人気が高い歴史的町並み
順位 町並み 所在地
1 高山 岐阜県高山市
2 鎌倉 神奈川県鎌倉市
3 京都・祇園 京都市
4 竹富島 沖縄県竹富町
5 金沢 石川県金沢市
6 角館 秋田県仙北市
7 白川郷 岐阜県白川村
8 函館・元町 北海道函館市
8 妻籠・馬籠 長野県南木曽町、山口村
10 尾道 広島県尾道町
10 荻 山口県荻市
出典:2004年7月10日付 日本経済新聞 「日経プラス1」
表1 専門家が勧める訪ねたい歴史的町並み
妻籠
馬籠
1.人気が高い歴史的町並み
「小京都」・・・
古い町並みや雰囲気が京都に似ていることから。伝統的な町並みや息づく地域文化城下町が多い。城(跡)や武家屋敷。町家、寺町。面的な広がり景観や文化を維持・保全しようとする地元住民や行政の意識が高い。欧米の外国人観光客が好んで訪れる。
例:– 金沢市 (石川県)– 萩市 (山口県)– 高山市 (岐阜県)– 尾道市 (広島市)– 弘前市 (青森県)– 旧龍野市 (兵庫県たつの市)– 津和野町 (島根県)– 旧角館町(秋田県仙北市)
市町村の主体性・自主性を尊重する。まちづくりの視点を強く持つ、という点で従来の指定文化財制度とは大きく異なる
2.歴史的町並みの保存事業• 1960年代 高度成長・・・街並みが急速に失われる。
• 1970年代 歴史的町並みの保存事業– 妻籠(長野県)、金沢(石川県)、高山(岐阜県)、萩(山口県)
• 1975年 伝統的建造物保存地区制度(伝建地区制度)– 個々の建造物を単独で文化財として指定するのではなく、
建造物の集合体を文化財として捉える。周辺環境までを含めた歴史的環境の面的保存を行う制度。
– 住民の生活や営業との共生を前提とする。
– ほかに文化財保護法・・・史跡や名勝の指定や歴史的風土特別保存地区制度)
– 伝建地区は市町村の都市計画または保存条例に基づき決定される。
– 国は市町村が決定する伝建地区のうち、市町村の申し出により、価値の高いものを重要伝統的建造物(重伝建地区)に選定する。(保存事業への財政的支援(補助金、固定資産税軽減措置等を行うため)
3.町並み観光の展開山口県萩市
3.町並み観光の展開山口県萩市
• 萩市(人口57,000人)
• 明治維新胎動の地
• 1604年• 阿武隈川下流の三角州、碁盤目状の城下町
• 「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」
• 武家屋敷・町屋、寺院
• 近世そのままの都市遺産を市民が生活空間として使う。
• 1960年代 高度経済成長・・・古い建物や土塀などが壊されていった。
• 1972年 市独自の町並み保存条例「萩市歴史的景観保存条例」
• 1976年 全国発の重伝建地区に選定された3つの武家町と港町→「歴史的町並み保存の先進地域」
3.町並み観光の展開
山口県萩市
• 2004年 「萩まちじゅう博物館」 “屋根のない博
物館” NPO萩まちじゅう博物館発足・・・萩博物館の管理運営と都市遺産の調査やガイド。
• 現在、広域連携による観光地域づくりに取り組む。萩市と益田市(島根県)、津和野市(島根県)・・・共同PR、「美術館回廊」での連携
• 世界文化遺産の国内候補選定に山口県と萩市が「萩城・城下町と明治維新関連遺跡群」を提案。継続審議扱い
3.町並み観光の展開新潟県村上市
• 人口3万人
• 城下町構成の4大要素
(城址・武家屋敷・町屋・寺町)
• 評価は高いが観光資源として認識し活用しなかった。
• 1998年 吉川真嗣「村上町屋商人会」会長(国土交通省選定観光カリスマ)・・・道路を拡幅し整備した商店街で栄えたところはないが歴史的町並みを生かして成功している町がある。
3.町並み観光の展開新潟県村上市
町屋のつくり・・・「うなぎの寝床」
3.町並み観光の展開新潟県村上市
吉川の呼びかけで「村上町屋商人会」( 22軒)結成。
• マップ作りと町屋の公開(地図とポスター代 35万円)
• 2000年 「春の人形」と「秋の屏風」の両イベントを恒例化– 「町屋の人形さま巡り」60軒で姫人形や武者人形展示(観光客3万)
– 「町屋の屏風祭り」
• 表通りの外観・・アルミサッシやアーケード
• 中・・・囲炉裏・大黒柱・梁・吹き抜け・土間
• 埋もれた地域資源(屏風)とソフト面(イベント)活用
3.町並み観光の展開
新潟県村上市
• 2002年 「黒壁プロジェクト」
– 町屋が集まる安善小路のブロック塀に黒板を貼り付け黒塀に変える。
– 「黒塀1枚千円運
動」により市民から寄付を集めた。
– 270メートル完成
• http://www.mmsp.info/
3.町並み観光の展開
新潟県村上市
• 2004年「町屋の外観再生プロジェクト」– 市民等から年間1千万円予算(寄付・会費等)を集
め、1億円(10年間)の町屋再生基金
– 町屋の外観を再生する店に補助金を出す(1軒当たり80万円を上限に改装費用の60%を補助。
– 年間15件、計120件の修景が目標。
3.町並み観光の展開大分県
豊後高田市
• 人口二万五千人
• 江戸時代~昭和30年代 中核商業都市
• モータリゼーションや鉄道の敗戦で過疎 「犬と猫しか歩いていない」
• 商店街や地元商工会議所の有志による活性化
• 既存商店街に徹底的にこだわった
• 豊後高田の個性を模索
• テレビでとりあげられた「昭和30年代」
• 約百店舗中7割が昭和30年代以前に作られていた。
町並み観光の行方 大分県豊後高田市• 四つの再生
• 建築再生・・・店舗の外装や看板を木製やブリキ製に• 歴史再生・・・商店に代々伝わる珍しい道具の展示• 商品再生・・・自慢の商品の販売• 商人再生・・・客と店主がコミュニケーションを
大事にする商売
• 「ご案内人制度」• 地元ボランティアによる歴史やエピソード
• 「昭和ロマン蔵」– 「駄菓子屋の夢博物館」 福岡から誘致
• グリコのおまけなど五万点
3.町並み観光の展開大分県豊後高田市
3万人から5万人の来訪者予測が年間二十五万人
修景済みの店舗は3割程度
観光客向けの店舗販売が増えるが、地元需要は喚起されていない。
観光客急増に地元商工会議所の推進体制が遅れている。
2005年 「豊後まちづくり会社」設立
地元需要でにぎわう商店街をめざす。「商店街とは地元で支持されてこそ発展できるものだ」
http://www.showanomachi.com/sansaku.html
うtSanta Fe (New Mexico, USA)
Santa Fe (New Mexico, USA)
まちじゅうが博物館?
Santa Fe (New Mexico, USA)
Santa Fe (New Mexico, USA)
Santa Fe (New Mexico, USA)
ここはどこでしょう?
講義 日 グループメンバー 題名
第7講 11/30日 宮国薫子 (委員長) 第15章 歴史的町並みの観光
第8講 12/7日 第8章 ロケ誘致による集客力の向上 (課題選択権 有)
第9講 12/14 第9章 モノづくりの心に触れる産業観光
第10講 12/21 第12章 「食」による観光まちづくり
第11講 12/28 第13章 参加交流を楽しむイベントと祭り
第12講 1/11(次の週に日時変更の可能性あり)
第16章 買い物と観光振興
第13講 1/18(次の週に日時変更の可能性あり)
第17章 地域ブランドをいかに高めるか
第14講 1/25(補講期間中になる可能性あり)
第10章 農村文化を体験するグリーンツーリズム
まちづくり・地域おこし論 期末プロジェクト
2010/11/30
期末グループ発表の内容• 教科書にある観光振興のテーマ(章)について熟読し、パワーポイントを作成する。
– 担当したテーマの定義・特徴・歴史
– 教科書にある事例(3~4点)の説明 (現状と課題)
• 担当したテーマの身近な事例(県内・県外・海外)を1つあげる
• クラスメート全体での討論点を考える。
• 発表後の感想を述べる。
• 参考文献を3か所以上、パワーポイントの一番最後のスライドに記入する。
• 連絡係は発表前の月曜午前8時までにパワーポイントと討論点を電子メールで先
生に送る。その日時までに送れない場合は、配布資料を人数分、印刷してきてくだ
さい (36人分)。
2010/11/30 42
4.町並み観光の行方 まとめ
• 地域主導の観光形態(町並み保存とまちづくり事業) <白川郷>
• 基本的には新たなハコものの投資はせず、眠れる地域資源に注目。<村上市・豊後高田>
• ソフト面に工夫(イベント・ガイド案内・ストーリー性) <村上市>
• 生きたフィールドミュージアム(地域資源や生活文化とのふれあい)<Santa Fe/萩>
眠れる地域資源
1つ1つの時代 (萩・村上市・豊後高田・妻籠・白川郷・竹富町?)
時代の混在がひとまとめにみられる所(川越<明・大・昭>・平和通り?)
文化交流の足跡が見られる所(Santa Fe<Indian/Mexico/America/>沖縄?)
今後の課題地域住民のプライバシー保護
通過型から滞在型へ (食・伝統工芸・宿泊施設)
日本社会の成熟化
歴史的荒波を乗り越えた街並み・・・精神的な安らぎや安定感