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Formalin変 性 蛋 白 の 物 理 化 学 的 性 質 に 就 て

岡山大学医学部衛生学教室(指 導:緒 方益雄教授)

専攻生　 大 塚 信 夫

〔昭和32年3月12日 受稿〕

緒 言

Formalinを 蛋 白に 作 用 せ しめ た場 合,そ

の変 性 の度 に 従 い 血 清 学 的 反応 に対 して 種 々

の影 響 を 及ぼ す こ とは,従 来 明 らか に され た

所 で あ る1) 2) 3).こ の 蛋 白 変性 はFormalinの

如何 な る作 用機 序 に よ る もの で あ るか,又 蛋

白それ 自体 が どの よ うな 変化 を受 け る もの で

あ るか を物 理 的,化 学 的 に 或 は血 清 学 的 に解

明せ ん とす る試 み も また 少 し としな い.即 ち

蛋 白分 子 中の 遊 離 ア ミノ基 とFormalinの ア

ル デ ヒ ド基 との結 合 に 重 き を置 き4),又 蛋 白

中のhistidine5),血 清 学 的 に はlysine6)に

意義 を 見 出 そ う とし,或 は蛋 白 の溶 解 性 の 減

弱7),更 に はFormalin作 用時 のpHを 問題

にす る等 従 来 種 々 の 報告 が あ る.最 近 に 至 り

電 気 化学 的方 法 を 以 て蛋 白 変 性 を解 明 せ ん と

す る 試 み が な され8), Formalinを 作 用 せ し

めた蛋 白に つ いて の電 気 滴定 曲線 よ りし て,

Formalinは 蛋 白 の ア ミ ノ基 と 結 合 して そ の

塩基 性 を 消 す も の で あ る とし9),更 にFor

malinは 蛋 白 の 隣接 ア ミノ基2個 とメ チ レ ン

橋を 形成 し,可 溶 性 蛋 白を不 溶性 の もの に 変

化 せ しめ る等10)の 報 告 もあ る.

私 は 先 に 教 室 従 来 の 成 績 に 基 き11) 12),

Formalinの 蛋 白に 及 ぼ す作 用 を 一連 の血 清

学 的 反応 を 以 て 検討 し,今 迄 の成 績 とは 逆 に

低 濃度 の部 分 に 於 ては 血 清学 的 反応 の増 強 を

認 め 得 た ので あ るが,更 に 進 ん で各 種 濃 度 の

Formalinを 作 用せ しめ た蛋 白 の 物 理 化 学 的

性 質 を種 々の 方 法 に よ り検 討 してみ た.

実 験方 法及 び 材 料

蛋 白は 正 常 人 血 清 及 びKeckwickの 方 法

に よ り脱 水 芒 硝 で3回 結 晶 した 卵 白Albu

min13)を 用 い た.又Formalinは 日本 薬 局

方Formalin(37%)を 基 準 とし,生 理 的 食

塩 水 に て各濃 度 の稀 釈 液 を つ く り,そ れ ぞ れ

蛋 白溶 液 と等 量 混 合,作 用 を一 定 な ら しむ る

た め 孵卵 器 中に 一 定 期 問 保存 した もの を 材 料

とした.一 方 生 理 的食 塩 水をFormalinの 代

りに等 量 混 合 した もの を 対照 と し て以 下 の実

験 を行 つ た.

1) pHの 測 定

硝 子電 極pHメ ー ター 島 津GU-I型 を 用

い てpHを 測定 した.

2)比 色 法

Formalin変 性 蛋 白をFolioのPhenol試

薬14)に よ つ て発 色 させ, Klett製Nephelo-

Colorimeter15)に よつ て比 色 定 量 した.

3)混 濁度

Formalin変 性 蛋 白 の 混 濁 度 をKlett製

Nephelo-Colorimeterで 測 定 比 較 した.

4)濾 紙電 気 泳 動 法

Grassmanの 水 平 法 を 改 良 した小 林 式 濾 紙

電 気 泳 動 装 置16) 17)を 使 用,濾 紙 は 東 洋 濾 紙

No. 50及 びNo. 51を 用 い,緩 衝 液 は ベ ロ

ナー ル ソー ダ,醋 酸 ソ ー ダ,醋 酸 緩 衝 液,

pH 8.5,イ オン強 度0.045の ものを 使 用 し,

0.3mA/cmの 電 流 で泳 動 を 行 つ た.な お 材

料 は 生 理 的食 塩 水 に 一 夜 透 析 しFormalinを

除 い た も のを 用 い た.

5)濾 紙電 気 泳 動 分 屑 定 量 法

泳 動 後 の濾 紙 を 乾 燥 し てBromphenol-Blue

染 色 液 に て染 色後, 2%醋 酸 に て蛋 白 と結 合

しな い色 素 を 除 去 した もの を 流 動 パ ラ フ ィン

に よ り半 透 明 と し,夏 目製 作 所 製 光電 光度 計

孤 型 に よ り直 接法16) 17)で吸 光 度 を 測 定 し,そ

の値 を グ ラ フ用 紙 に 描 い た 後各 成 分 相 当部 の

面 積 を プ ラニ メー タ ー に て求 め,各 分 屑 の 百

1032 大 塚 信 夫

分 率を 算 出 した.

実 験 成 績

1) Formalin変 性 蛋 白 のpHの 変 化

蛋 白 は 正 常 人 血 清 と し,之 に各 種 濃 度 の

Formalin稀 釈 液 を等 量 混 合 し,混 合 直 後 と

孵 卵 器 中 に37℃ 24時 間 保 存 後 とのpHを

測 定 比 較 してみ た が,そ の結 果 は第 一 図 の 如

第 一 図　 pHの 変化

Formalin濃 度(%)

く,混 合 直 後 に於 てFormalin高 濃 度 の部 分

に 於 ては 幾 分酸 性 に 傾 き, 24時 間 後 も酸 性 の

ま まで あ るが,低 濃 度 に 移 るに従 いpHは 塩

基 性 に傾 き24時 間 後 に は0.1%以 下 す べ て塩

基 性 とな つ て い る.こ れ はFormalin自 身酸

性 で あ り,更 に蛋 白に 作 用 して そ の ア ミノ基

と結 合 し塩 基 性 を 消 す とす る従 来 の説 と逆 の

結果 で あ り,又 他 の 検 査 に於 て 対照 と殆 ど差

が認 め られ な い0.001%程 の稀 薄 濃 度 の 部 分

に於 てす ら明 瞭 にpHの 差 を 見 出 し得 る こ

とは ま こ とに 興味 深 い こ とであ る.

2) FolinのPhenol試 薬 に よ るFormalin

変 性 蛋 白 の発 色 状 態 に 就 て

最 近Haurowitz等18) 19)は 卵 白Albumin,

血 清Albumin及 びGlobulin,乳Globulin

が 変 性 す る と, FolinのPhenol試 薬 に よ り

未 処 置 の もの よ り強 く発 色 す る こ とを 認 め て

い る.私 は本 法 をFormalin変 性 蛋 白に応 用

して そ の変 性 度 を検 討 せ ん と し,正 常 入 血 清

並 び に 卵 白Albuminに 各 種 濃度Formalin

を等 量 混合,孵 卵 器 中 に37℃ 24時 間 保存

した ものをPhenol試 薬 に よ り発 色 させ,そ

の 発 色 度 をKlett製Nephelo-Colorimeter

を 用 い て比 色 した.そ の結 果 は 人血 清 の場 合

を第 二 図,卵 白Albuminの 場 合 を第 三 図 に

第 二 図　 Folin試 薬 に よ る発 色度

(人 血 清)

Formalin濃 度(%)

第 三 図　 Folin試 薬 に よ る発 色度

(卵 白Albumin)

Formalin濃 度(%)

示 す 如 くで あ る.即 ち 人 血 清 を 用い る と対照

に 比 し0.001% Formalinを 混 合 した 時僅 か

に 発 色 が 強 くな り,そ れ以 上Formalin濃 度

が 増 加 す るに 従 い 漸 次 発 色度 も減 少 して い る.へ

卵 白Albuminで は0.001% Formalin混 合

まで は対 照 と 殆 ん ど差 を認 めず,そ れ より

Formalin変 性 蛋 白 の物 理 化 学 的性 質 に就 て 1033

Formalin濃 度 の 増 加 と共 に これ 又 発 色 度 の

減 少 が 見 られ る.

以 上 の 結 果 よ り見 るにFolinのPhenol試

薬 を 用い る と試 料 のFormalin濃 度 の増 加 す

るに従 い発 色 を抑 制 す る作 用 も強 くな り,こ

れ の みで は 蛋 白 の変 性 状 態 を 知 り得 な い もの

と思わ れ る.た だ人 血 清 に0.001% Formalin

を混 合 した 場 合 に の み 対照 に比 し発 色 が僅 か

に強 く見 ら れ るの は, Formalinの 抑 制作 用

よ りも蛋 白変 性 に よ る発 色度 の増 加 が 強 い た

め であ るか も しれ な い.

3) Formalin変 性 蛋 白の 混 濁 度 の 比 較 に

就 て

正常 入 血 清 及 び 結 晶 卵 白Albuminに そ れ

ぞれ各 種 濃度Formalinを 等 量混 合,孵 卵 器

中に37℃ 24時 間 保 存 した ものに つ いて,

その混 濁 度 をKlett製Nephelo-Colorimeter

に て測 定 比 較 して み た.な お 結 晶 卵 白Albu

miaに37% Formalinを 加 え た ものは 白色 に

凝固 し測 定不 能 で あつ た.そ の結 果 は第 四 図

に示 す如 く,い ず れ の 場合 もFormalin濃 度

第 四 図　 混 濁 度

Formalin濃 度(%)

の増 加 す るに従 い混 濁 度 もそ れ に 伴 つ て 増加

して い る.そ の増 加 の度 合 は 蛋 白の 種 類 に よ

り異 つ て い る もの の,た だ0.001%の 部 分 に

於 て の み両 者 共通 し て混 濁 度 の 低 下 が 見 られ

る点 は 特 異 で あ る.こ れ はFormalin濃 度 が

大 で あ れ ば蛋 白 の粒 子 も或程 度 集 合 して 大 と

な るた め 混 濁度 増 加 し,低 濃 度 の部 に 於 て は

蛋 白粒 子 は それ 程 大 とは な ら ない が 何等 か の

変化 を 受 け て比 較 的 沈 澱 し易 い状 態 に あ り,

それ が0.001%の 部 分 で 顕 著 に あ らわ れ た も

の と思 わ れ る.

4)濾 紙 電気 泳動 法 に よ るFormalin変 性

蛋 白 の検 討

正常 人 血 清 に 各種 濃 度Formalinを 等 量 混

合,孵 卵 器 中 に37℃ 24時 間 保 存 した後,

Formalinを 除 くため 生 理 的 食 塩 水 に一 夜透

析 した ものに つ い て 濾紙 電 気 泳 動 を行 つ た.

そ の結 果 は第 五 図a) b) c) d)及 び 第 六 図

a) b) c) d)に 示す 如 くで あ り,そ の電 気 泳

動組 成 は 第 一 表No. 1, No. 2に 示 す 如 くで

あ る.こ れ等 の図 に 於 て縦 軸 は 吸 光度 を 横軸

は 泳 動 距 離 を 示 す.

この結 果 よ り 見 れ ば, Formalinの 低濃 度

の部 分即 ち0,01%ま で は 対 照 人 血 清 の組 成

に比 してAlbuminは や や 増 加 の傾 向 を 示 し,

α1-Globulinは 大 差 無 く, α2-Globulinと β-

Globulinと は や や 減少 し, γ-Globulinは 大差

の無 い結 果 を 示 し,一 般 的 に 対照 入 血 清 と比

較 して それ 程 の 差 異 は認 め られ な い.

然 るにFormalin濃 度 を そ れ以 上 に増 加 せ

しめ る とその 泳 動 図は 大 きい 変化 を 示 し, 1

%に 於 て はAlbumin相 当分 屑 は20.4%(但

し本 成 分 は 正常 血 清Albuminよ り もや や 早

い易 動 度 を 有 す る よ うに 思 わ れ るの でAlbu

minと 全 く同 じ もの か ど うかは 不 明 で あ る)

とな り, α1及 び α2-Globulinに 相 当す る部

分 に 変性 成 分 と思わ れ る分 屑 が 出現 して47.5

%を 占 め る.又 β-Globulinと γ-Globulin

の 分 離 も不 十 分 で,こ の部 分 は32.1%を 示 し

た.更 にFormalin濃 度 が10%に な る とAlbu

min相 当部 分 は16.2%と 減少,変 性 部 分 は

54.6%に 増 加 し, Globulin部 分 は29.3%と

な る.最 後 に37% Formalinの 場 合 はAlbu

min相 当部 分 は認 め られ ず,変 性部 分 は66.7

%に 増 加 し, Globulin部 分 は33.3%で あ る.

以 上 の結 果 を 見 るに,先 にVan der Scheer

等20)が 馬 血 清 を 加 熱 した際 β-Globulinと

1034 大 塚 信 夫

殆んど等 しい易動度を有するコロイ ド成分C

の出現を電気泳動的に認めてお り,又 緒方,

望月21)も海狸血清を加熱した際にα-Globulin

相当の易動度を有するC成 分を認めているが,

前述のpHの 変化,混 濁度 の上 昇等 と考え

合せて,こ の変性部分の出現することは興味

深 く思われる.

第 五 図

a)対 照 人 血 清 b) 0.0001% Formalin加 入 血 清

c) 0.001% Formalin加 入 血 清 d) 0.01% Formalin加 入 血 清

Formalin変 性 蛋 白の 物 理化 学 的 性 質 に就 て 1035

第 六 図

a)対 照 人 血 清

b) 1% Formalin加 入 血 清

c) 10% Formalin加 入 血 清

d) 37% Formalin加 入 血 清

第1表No. 1

* α1の分離 不 十 分.No. 2

△ α-Glob.お よび β-Glob.部 に 相当 す る易 動 度 を 有 す る変 性 成 分.

+ γ-Glob.部 に 相 当す る成 分.

× 本 成 分 は血 清Albuminよ りや ゝ早 い易 動 度 を 有す る様 に思 わ れ,果 してAlbuminと 全 く同 じ

もの で あ るか は 不 明 で あ る.

1036 大 塚 信 夫

総 括 及 び 考 按

生蛋白に物理的或は化学的操作を加えて得

られた変性蛋白の血清学的反応に於ける性質

と共に,そ の反応に現われる変化を蛋白の物

理化学的性質の変化 より追求せんとする試み

は従来屡々為されて来た所である. Formalin

変性蛋白も勿論その例外ではない.然 しなが

らFormalinの 蛋白に対する作用に就ては,

従来殆んどその高濃度の部分に於ける血清学

的反応に対す る抑制作用のみが取上げられ,

従つて蛋白そのものの変化に就ても高濃度の

Formalinを 作用せしめてその変性 の状態を

検索しているものが多い.私 は先に血清学的

反応に於て低濃度のFormalinは 抑制作用を

示さず,む しろ濃度によつては反応を増強せ

しめ得ることを認めたのであるが,そ の結果

よりしてFormalin変 性蛋白に於ける物理化

学的性質 の変化に就 て も,作 用せ しめる

Formalinの 濃度により差があるものと考え,

各種濃度のFormalinを 一定時間作用せしめ

たものについて,そ れぞれ前記の検査を実施

した ものである.

その結果より見るに,果 してFormalinの

作用にはその濃度によつて差があらわれ,そ

の限界は大体に於て0.01%附 近にあると思わ

れる.即 ちFormalinを 蛋白に作用せしめた

場合,そ の混濁度の比較に於ても, Folinの

Phenol試 薬による比色に於ても0.01%ま で

は殆んど対照 との差が あらわれ ない.た だ

pHに 於てのみFormalin稀 薄濃度に於て予

想に反して塩基性に傾き,更 に対照との間に

明らかに差が認められたことが特異である.

このことは稀薄濃度のFormalinを 抗原に作

用せ しめた場合,そ の血清学的反応の増強を

見たことと何等かの関係があるのかもしれな

い.

Formalinが0.1乃 至1%以 上になると,対

照との差は判然とあらわれ,血 清学的反応に

於ける抑制作用ともよく一致している.こ の

ことは電気泳動法に於て最 も顕著であり,高

濃 度 に於 け る変性 部 分 の 出現 は混 濁 度 の上 昇,

血 清 学 的 反応 の抑 制 と併 せ て ま こ とに 興味 深

い もので あ るが, 0.01%以 下 の低 濃 度 に於 け

る対 照 との 比 較 に於 て,各 分屑 の構 成 に 殆 ん

ど差 が 無 い 点 も 注 目 され るべ きで あ ろ う.

0.001%に 於 て α1-Globulinの 分 離不 十 分 と

な る点 が 特 異 で あ るが,こ れ を 以 て 直 ち に血

清 学 的 反応 の増 強 に 結 びつ け ては 考 え られ な

い.と もあれFormalinの 蛋 白 に及 ぼす 影 響

につ い ては そ の濃度 如 何を 十 分 考 え る必要 が

あ る もの と考 え る.

結 論

1) Formalinを 蛋 白 に作 用 せ しめた 場 合

そ のpHの 変化 は特 異 で, Formalin濃 度 大

な る部 分 で は酸 性 に傾 くが,低 濃 度 の部 分 に

於 ては 逆 に 塩 基性 に傾 き,こ れ は37℃24時

間後 に 著 明 で あ る.

2) Formalin変 性 蛋 白をFolinのPhenol

試 薬 に よつ て発 色 せ し め る と, Formalin濃

度 の 増 加 に伴 い反 応 は 抑 制 さ れ る.こ れ は

Formalinの アル デ ヒ ド基 に よ る抑 制 と考 え

られ る.

3)混 濁度 もまたFormalin濃 度 の 増 加 と

共 に 漸 次 増大 してい くが, 0.01%ま で は 対 照

と殆 ん ど変 らず, 0.001%の 部 で む しろ対 照

よ りも混 濁度 の低 下 が 見 られ る.

4) Formalin変 性 蛋 白 を電 気 泳 動 法 で 検

す る と, 0.01%ま で の低濃 度 に於 て は 対 照 に

比 し殆 ん ど変 らず,僅 かにAlbumin成 分 の

増加 と, α1-Globulinの 分 離 が不 十分 とな る

点 が 認 め ら れ る が, 1%以 上 の 高 濃 度 の

Formalinを 作 用せ しめ る と,そ の 濃 度 の増

加 と共 にAlbumin相 当 部 分 は減 少 し, α1, α2-

Globulinに 相 当す る変 性部 分 が 漸 次 増 加 し,

Formalinの 作 用 に よ る変性 が 認 め られ る.

終 りに臨み終始御懇篤なる御指導及び御校閲を賜

つた恩師緒方教授に深甚なる謝意を表す.

Formalin変 性 蛋 白 の物 理 化学 的 性 質 に就 て 1037

文 献

1) Von H. Braun: Zeitschr. fur Immunitats

forschung a. exp. Therapie, 46, Bd. 78,

1933.

2) Frank L. Horafall: J. of Immunology, 553,

Vol. 27, 1934.

3) Charles A. Leone: J. of Immunology, 386,

70, 1953.

4) Schwarz L.: Z. physiol. Chem., 460, 31,

1901.

5) Kossel, A. and Edelbacher S.: Z. physiol.

Chem., 396, 93, 1915.

6) Landsteiner K. and Lampl H.: Zeitschr. f.

Immun., 133, 26, 1917.

7) Henley R. R.: Jour. Biol. Chem., 139, 57,

1923.

8) Felix Haurowitz: Chemistry and Biology of

Proteins, P. 66, 1950.

9) I. Lichtenstein: Biochem. Z., 303, 26, 1939.

10) E. R. Theis: J. Biol. Chem., 157, 7, 1945.

11) 須之 内:岡 医誌, 41年, 7号, 1533頁,昭 和4

年.

12) 小 泉:岡 医誌, 47年, 6号, 1641頁,昭 和10年.

13) Keckwick, R. A., Cannan, R. K.: Biochem.

J., 30; 232, 1936.

14) 斉 藤 正行:光 電 比色 計 に よる臨 床 化学 検 査,南

山 堂, P. 68,昭 和25年.

15) 藤 井暢 三:生 化学 実 験法,定 量 篇, 244; 469,

昭 和31年.

16) 森 五 彦,小 林 茂 三 郎:濾 紙 電気 泳 動 法 の 実際,

南 江 堂,昭 和30年.

17) 小 林 茂三 郎:生 物 物 理 化学, 2巻, 1号, 1954.

18) 荒 谷 真平:蛋 白質 とそ の変 性, 43,医 学 書院,

1952.

19) Haurowitz, et al.: Chem. Abstr., 42; 4215,

1948.

20) Van der Scheer, J., Wyckoff, R. W. and

Clarke, F. L.: J. Immunol., 40; 39, 1941.

21) Masana Ogata and Yoshio Mochizuki: The

Acta Medicinae Okayama, Vol. 10, No. 2,

82, 1556.

Physicochemical Properties of Formalized Proteins.

By

Nobuo Otsuka

Department of Hygiene, Okayama University Medical School(Director: Prof. Dr. M. Ogata)

Physicochemical properties of formalized proteins were studied. Decline of hydrogen ion concentration of formalized proteins was noticed in the high concentrations of formalin, while

incline in the low concentrations. Colorization of formalized proteins, caused by Folin's phenol reagent, was depressed with increase of concentration of formalin.

There was found increased turbidity of formalized proteins with increase of concentration of formalin.

On paper electrophoresis marked changes were observed in the higher concentrations of formalin, while in the lower concentrations, slight changes were noticed compared with the controls.