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F S R ystem inancial eport ⾦融システムレポート 概要 ⽇本銀⾏ 2017年10⽉

FS2017年10 号のポイント 融仲介活動 間 融部 の資 調達環境はきわめ て緩和した状態にあるが、全体として 融経済活動において き過ぎた動きはみ

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FSRystem

inancial

eport

⾦融システムレポート

概 要

⽇ 本 銀 ⾏2017年10⽉

Page 2: FS2017年10 号のポイント 融仲介活動 間 融部 の資 調達環境はきわめ て緩和した状態にあるが、全体として 融経済活動において き過ぎた動きはみ

2017年10⽉号のポイント⾦融仲介活動 ⺠間⾮⾦融部⾨の資⾦調達環境はきわめて緩和した状態にあるが、全体として⾦融経済活動において⾏き過ぎた動きはみられない。

不動産市場については、⾸都圏などで引き続き⾼値取引がみられるが、全体として過熱の状況にはないと考えられる。

⾦融システムの安定性 ⾦融経済活動において⼤きな不均衡がみられないほか、⾦融機関は全体として資本と流動性の両⾯で相応に強いストレス耐性を備えていることから、わが国の⾦融システムは安定性を維持していると判断される。

貸出の積極化などによる⾦融機関のポートフォリオ・リバランスは、経済情勢の改善に寄与してきており、これが企業や家計のより前向きな経済活動へと結びついていけば、⾦融機関の収益⼒の回復にもつながっていくと考えられる。

⾦融機関の収益⼒低下に伴う潜在的な脆弱性 ⾦融機関の収益低下は、低⾦利環境が続く先進国において概ね共通にみられる現象であるが、そうしたなかでも、本邦⾦融機関の収益性は国際的にみて低さが⽬⽴つ。従業員数や店舗数は、需要対⽐で過剰になっている可能性が⾼く、このことが本邦⾦融機関間の競争の激化を通じて収益性を低下させる構造的要因となっている。

企業が借⼊を⾏う際に、これまでの取引履歴や企業⽀援⼒にかかわらず、複数の取引⾦融機関の中から貸出⾦利の⼀番低い⾦融機関を選択することが常態化すれば、中⻑期的には⾦融機関の情報⽣産活動の停滞を通して資⾦配分の効率性が低下する可能性も考えられる。

マクロプルーデンスの視点からみた課題 ⼈⼝や企業数の減少は全国共通にみられるショックであり、そのもとでの地域⾦融機関間の競争激化は、資⾦利益の減少という共通エクスポージャーの影響度の増⼤を通じて、システミックリスクにも影響を及ぼし得る。

⾦融システムの効率性と安定性の双⽅を将来にわたって維持していくためには、適正な競争環境のもと、⾦融機関が収益性を改善させていくことが重要である。

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第⼀部. ⾦融循環と⾦融システムのストレス耐性

⾦融活動指標(ヒートマップ)に基づく⾦融循環の評価

マクロ・ストレステストによる急性ストレスへの耐性評価

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80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

金融機関の貸出態度判断DI

M2成長率

機関投資家の株式投資の対証券投資比率

株式信用買残の対信用売残比率

民間実物投資の対GDP比率

総与信・GDP比率

家計投資の対可処分所得比率

家計向け貸出の対GDP比率

企業設備投資の対GDP比率

企業向け与信の対GDP比率

不動産業実物投資の対GDP比率

不動産業向け貸出の対GDP比率

株価

地価の対GDP比率

不動産

資産価格

金融機関

金融市場

民間全体

家計

企業

⾦融活動指標(ヒートマップ) 企業や家計の資⾦調達環境はきわめて緩和した状態にあるが、過熱を⽰す「⾚」や停滞を⽰す「⻘」となっている指標はなく、全体として⾦融経済活動において⾏き過ぎた動きはみられない。• 「⾦融活動指標」のヒートマップは、様々な⾦融経済活動における過熱感や停滞感の有無を評価するために、14の指標について、それぞれのトレンドからの乖離度合いを⾊で識別したもの。

図表Ⅲ-5-1 金融活動指標

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160

180

200

80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 10 13 16

原系列トレンド

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 10 13 16

原系列トレンド

%pt

緩い

厳しい

10

12

14

16

18

20

22

80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 10 13 16

原系列

トレンド

年0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 10 13 16

原系列

トレンド

pt

年 5

図表Ⅲ-5-3 総与信・GDP比率

図表Ⅲ-5-4 企業設備投資の対GDP比率 図表Ⅲ-5-5 株価

図表Ⅲ-5-2 金融機関の貸出態度判断DI

企業の資⾦調達環境と投資⾏動 「総与信・GDP⽐率」は上昇。そうしたなか、「企業設備投資の対GDP⽐率」と「株価」は⾜並みを揃えて上昇してきており、企業収益の改善期待が企業の投資拡⼤を後押ししている姿。

「⾦融機関の貸出態度判断DI」はバブル期以来の⽔準が続いており、「⾚」に近接。• 銀⾏の貸出積極化は、企業の景況感の下⽀えに寄与。

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0

1

2

3

4

12 13 14 15 16 17

都内店の貸出(35兆円)その他店の貸出(109兆円)貸出計(144兆円)

前年比、%

-6

-4

-2

0

2

4

6

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

大企業など中小企業地方公共団体個人合計

前年比、%

-2

0

2

4

6

8

12 13 14 15 16 17

その他 物品賃貸卸小売 金融電気ガス 製造業医療福祉 不動産合計

前年比、%

年度

⾦融機関の国内貸出の前年⽐は、プラス幅が緩やかに拡⼤。

貸出先別にみると、利鞘の薄い地⽅公共団体向けの伸びは低下しているが、企業向けと個⼈向けは増加を続けている。• 地域⾦融機関は、地元の経済や企業の活性化に対する取り組みに引き続き注⼒する⼀⽅で、利鞘の薄い⼤企業向けのシンジケート・ローンを含む都内店での貸出を抑制。

• 企業向け貸出を業種別にみると、幅広い業種で貸出が増加。

図表Ⅲ-1-6 地域銀行の企業向け貸出 図表Ⅲ-1-7 銀行の業種別貸出

図表Ⅲ-1-2 金融機関の借入主体別貸出

⾦融機関の国内貸出(1)

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0.5

0.7

0.9

1.1

1.3

1.5

1.7

1.9

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

短期

長期

年3.0

3.4

3.8

4.2

14/9 15/3 15/9 16/3 16/9 17/3 月

大手行

地域銀行

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

短プラ連動貸出

固定金利貸出

市場金利連動貸出

年度

47

13 2

25

35

40

1

1 6

27

51 51

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

大手行 地域銀行 信用金庫

固定金利貸出等 長プラ連動貸出

短プラ連動貸出 市場金利連動貸出

図表Ⅲ-1-14 国内銀行の新規貸出約定平均金利

図表Ⅲ-1-17 地域銀行の形態別貸出金利 図表Ⅲ-1-18 貸出金利構成

図表Ⅲ-1-15 銀行の固定金利貸出の平均残存期間

⾦融機関の国内貸出(2) ⾦融機関の新規貸出約定平均⾦利は、既往ボトム圏内で推移。

• ⻑期貸出⾦利は、⾦融機関間の競争や企業の財務内容の改善が⾦利押し下げ⽅向に作⽤している⼀⽅で、貸出期間の⻑期化を伴った固定⾦利貸出へのシフトなどが⾦利押し上げ⽅向に作⽤。

• 地域⾦融機関においてウエイトの⾼い短プラ連動貸出や固定⾦利貸出については、⾦融緩和が続くもと、⾦融機関間の競争の影響も加わって貸出⾦利の低下傾向が続いている。

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回復期 拡大期 縮小期 後退期

0

10

20

30

40

50

60

70

80

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧

16年4月調査

16年10月調査

17年4月調査

80

90

100

110

120

130

140

08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

商業用全体

オフィス

店舗

10年=100

年-0.4

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

80 83 86 89 92 95 98 01 04 07 10 13 16

原系列

トレンド

年2.5

3.5

4.5

5.5

6.5

7.5

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

全体平均オフィス関連商業関連住宅関連

図表Ⅲ-5-6 不動産市場参加者のマーケット・サイクルに対する評価

図表Ⅲ-5-7 商業用不動産価格 図表Ⅲ-5-8 不動産業実物投資の対GDP比率 図表Ⅲ-5-9 J-REITキャップレート

不動産市場 不動産市場については、⾸都圏などで引き続き⾼値での取引がみられるが、全体として過熱の状況にはない。• 商業⽤不動産取引市場をみると、不動産価格の上昇には頭打ち感。不動産ディベロッパーの投資の増勢も⼀服しており、「不動産業実物投資の対GDP⽐率」は⾜もと低下。REIT市場においても、キャップレート(投資家の要求利回り)がやや上昇するなど、投資家が期待を⼀段と強めている様⼦は窺われない。

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-20

-10

0

10

20

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10 11 12 13 14 15 16 17

不動産関連地方公社SPC大企業・中小企業等個人による貸家業合計

前年比、%

年度

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

10 11 12 13 14 15 16 17

個人による貸家業 中小企業等 大企業 SPC 不動産関連地方公社 不動産業向け貸出

前年比、%

年度

-6

-4

-2

0

2

4

6

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10

10 11 12 13 14 15 16 17

前年比、%

年度-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

10 11 12 13 14 15 16 17

前年比、%

年度

不動産業向け貸出は、⾼めの伸び率で増加を続けているが、その増勢は⾜もと幾分鈍化。• 地域⾦融機関の不動産業向け貸出残⾼は、貸家建設需要や収益物件投資需要の増加もあって、⼤⼿⾏を上回る⾼い伸び。

• もっとも、新規実⾏ベースでは、個⼈による貸家業向けが前年⽐マイナスに転じているほか、個⼈の資産管理会社や地場の不動産業者を含む中⼩企業向けの伸び率も急速に低下。

図表Ⅲ-1-13 不動産業向け貸出の内訳

図表Ⅲ-1-12 地域銀行の不動産業向け設備資金貸出・新規実行額

⾦融機関の不動産業向け貸出

大手行 地域銀行 信用金庫

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30

40

10 12 14 16

信用リスク量 株式リスク量 金利リスク量オペレーショナルリスク量 自己資本 自己資本+有価証券評価損益

兆円

17 年度0

6

12

18

24

10 12 14 16

兆円

17 年度0

2

4

6

8

10

10 12 14 16

兆円

Ti

17 年度

大手行 地域銀行 信用金庫

図表Ⅳ-4-2 金融機関のリスク量と自己資本

⾦融機関の⾃⼰資本充実度 ⾦融機関の⾃⼰資本は、リスク量対⽐でみて総じて充実した⽔準にある。

• ⾦融機関のリスク量は、⼤⼿⾏と地域銀⾏では株式リスク量の低下を主因に幾分減少、信⽤⾦庫では概ね横ばい。

現時点において、⾦融機関は⼗分な損失吸収⼒やリスクテイク能⼒を備えている。

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1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

入口審査 中間管理 ポートフォリオ・

モニタリング

審査基準

への反映

活用度:低い(地銀) 活用度:高い(地銀)

活用度:低い(信金) 活用度:高い(信金)

地域銀行 信用金庫

活用 未活用

50.3%49.7% 46.4%53.6%

図表Ⅳ-1-8 貸家業向け貸出に関する入口審査時の定量基準の活用状況

図表Ⅳ-1-9 リスク管理手段の活用度と

貸家業向け貸出債権の質

DSCR(Debt Service Coverage Ratio)

破綻懸念先以下比率(%)

⾦融機関の信⽤リスク(不動産関連) 貸家業向け貸出については、⼊⼝審査や中間管理において、定量基準を活⽤していない先や、ポートフォリオ・モニタリングの結果を審査基準に反映させていない先では、貸出債権の質が低くなる傾向。

これまでの不動産市況の上昇傾向に変化が窺われつつあることや、⼀部地域で賃貸住宅の空室率の上昇が続いていることも踏まえると、⼊⼝審査や中間管理などの⾼度化を通じて、信⽤リスク管理の実効性をこれまで以上に⾼める必要。

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LTV(Loan to Value)

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図表Ⅲ-1-25 金融機関の円債残高

⾦融機関の市場リスク(1) 有価証券運⽤において、⾦融機関は積極的なリスクテイク姿勢を維持している。

• 円債投資残⾼は減少傾向を辿っているが、その減少ペースはこのところ緩やか。

• 外債投資残⾼は、昨年末にかけての⽶国⾦利の上昇をきっかけに減少したが、⾜もとは幾分増加。

• 投資信託の運⽤残⾼は増加傾向。

図表Ⅲ-1-26 金融機関の外債残高 図表Ⅲ-1-27 金融機関の投資信託等残高

12

0

50

100

150

200

250

06 08 10 12 14 16

その他国内債

国債

兆円

0

10

20

30

40

50

60

06 08 10 12 14 16

円建外債外貨建外債外債

兆円

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

06 08 10 12 14 16

兆円

年度 年度 年度

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0 20 40 60 80 100

リスク限度枠

損失限度枠

保有限度枠

個別銘柄の

ロスカットルール

実施 未実施 %

図表Ⅱ-1-4 米国株価・国債価格と為替レートのヒストリカル・ボラティリティ

図表Ⅳ-2-8 地域金融機関における限度枠管理の実施状況

外貨建て外債

⾦融機関の市場リスク(2) ⽶国債を中⼼に、⾦利のボラティリティは歴史的な低⽔準となっているが、こうした環境が将来にわたって続くとは限らない。

2013年のテイパー・タントラム(taper tantrum)の時のように、ボラティリティの反転上昇が起きれば、VaR管理を⾏う⾦融機関を含め投資家による売却が集中することで、⾦利変動が増幅されるリスクが想定される。

13

0

20

40

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80

100

0

4

8

12

16

20

90 95 00 05 10 15

米国債

ドルインデックス

S&P500(右軸)

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200

400

600

800

1,000

10 11 12 13 14 15 16 17

社債等中長期円投顧客性預金金融機関預金貸出金

十億ドル

安定性ギャップ9.5%

23.9%

0

100

200

300

400

500

600

15/4 15/10 16/4 16/10 17/4

インターバンク調達等 金融機関預金

非金融機関預金 コミットメント・ライン

外貨流動性

十億ドル

図表Ⅳ-3-3 大手行の安定性ギャップ 図表Ⅳ-3-6 金融機関の外貨流動性のストレス耐性

大手行

⾦融機関の外貨資⾦流動性リスク ⼤⼿⾏の安定性ギャップ(貸出⾦と安定性調達との差額)は縮⼩傾向。貸出の増加が続くなか、調達基盤の拡充に努めてきたことが背景にある。• もっとも、ギャップはなお相応に残っているほか、顧客性預⾦のうち、粘着性が相対的に低い⾦融機関預⾦が約4分の1を占めていることを踏まえると、流出リスクをきめ細かく管理する必要。

外貨の短期ストレス耐性については、ストレス時に想定される資⾦流出額をカバーするだけの流動資産を概ね確保。

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-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

15 16 17 18 19

ベースライン・シナリオ

テールイベント・シナリオ

前年比、%

試算期間

15 16 17 18 19

試算期間

年度0

1

2

3

4

5

6

7

15 16 17 18 19

ベースライン・シナリオ

テールイベント・シナリオ

兆円

試算期間

15 16 17 18 19

試算期間

年度

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

15 16 17 18 19

ベースライン・シナリオ

テールイベント・シナリオ

損益分岐点

試算期間

15 16 17 18 19

試算期間

年度

6

8

10

12

14

16

15 16 17 18 19

ベースライン・シナリオテールイベント・シナリオ

試算期間

15 16 17 18 19

試算期間

年度

図表Ⅴ-1-2 資金利益

国際統一基準行 国内基準行

図表Ⅴ-1-3 信用コスト率

国際統一基準行 国内基準行

図表Ⅴ-1-1 貸出残高

国際統一基準行 国内基準行

図表Ⅴ-1-4 CET1比率とコア資本比率

国際統一基準行 国内基準行

マクロ・ストレステスト:テールイベント(1) 「内外の⾦融経済情勢がリーマンショック時に相当するほど悪化する」テールイベントを想定し、⾦融システムのストレス耐性を動学的に検証。

15

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-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

15 16 17 18 19

10-90%点

中央値

平均値

年度

試算期間

13.4

7.9

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

ベースライン・シナリオ

有価証券評価損の発生

信用コストの発生

コア業務純益の減少

リスクアセットの減少

その他

税金・配当

テールイベント・シナリオ

%CET1比率上昇要因低下要因

10.5

9.0

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

ベースライン・シナリオ

信用コストの発生

コア業務純益の減少

リスクアセットの増加

その他

税金・配当

テールイベント・シナリオ

コア資本比率上昇要因低下要因

-10

-9

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2 -1 0 1 2

貸出変化率の乖離幅、%pt

ROA、%

図表Ⅴ-1-5 CET1比率とコア資本比率の要因分解

国際統一基準行 国内基準行

図表Ⅴ-1-6 当期純利益の分布

図表Ⅴ-1-8 収益性と貸出残高の分布

国内基準行(銀行)

マクロ・ストレステスト:テールイベント(2) シミュレーション結果によれば、国際統⼀基準⾏の⾃⼰資本⽐率は、コア業務純益の減少や有価証券評価損の発⽣等から低下するが、平均的には規制⽔準を上回る状態を確保。

国内基準⾏の⾃⼰資本⽐率は、信⽤コストの増加を主因に低下するが、規制⽔準を⼗分に上回る。• ただし、ストレス付与後の当期利益については、⾦融機関の間でばらつきがある。当期純利益が⾚字の⾦融機関は、貸出スタンスをかなり慎重化させるとの結果。

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第⼆部. ⾦融システムの潜在的な脆弱性

⾦融機関の低収益性の構造的背景(慢性ストレスによる競争激化)とその影響に関する評価・分析

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10

20

30

40

50

日本 米国 欧州

加重平均値

中央値

百万円

グループ1

0

10

20

30

40

50

日本 米国 欧州

グループ2

百万円

0

10

20

30

40

50

日本 米国 欧州

グループ3

百万円

0

10

20

30

40

50

日本 米国 欧州

グループ4

百万円

0.0

0.1

0.2

日本 米国 欧州

平均値

中央値

千人

グループ1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

日本 米国 欧州

グループ2

千人

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

日本 米国 欧州

グループ3

千人

0

5

10

15

20

日本 米国 欧州

グループ4

千人

図表Ⅵ-2-2 従業員1人当たりの業務粗利益

図表Ⅵ-2-1 1金融機関当たりの従業員数

規模が小さい金融機関 規模が大きい金融機関

⾦融機関の収益構造:従業員数と1⼈当たりの収益性 ⾦融機関の収益低下は、低⾦利環境が続く先進国において概ね共通にみられる現象であるが、そうしたなかでも、本邦⾦融機関の収益性は国際的にみて低さが⽬⽴つ。

• 特に地域⾦融機関においては、⽶欧の同規模の⾦融機関に⽐べ従業員数が多く、1⼈当たりの業務粗利益も低い。

18

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0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

日本 米国 欧州

加重平均値

中央値

十億円

グループ1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

日本 米国 欧州

グループ2

十億円

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

日本 米国 欧州

グループ3

十億円

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

日本 米国 欧州

グループ4

十億円

0.0

0.1

0.2

0.3

日本 米国 欧州

資金利益(加重平均値) 資金利益(中央値) 非資金利益(加重平均値) 非資金利益(中央値)

十億円

グループ1

0.0

0.1

0.2

0.3

日本 米国 欧州

グループ2

十億円

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

日本 米国 欧州

グループ3

十億円

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

日本 米国 欧州

グループ4

十億円

図表Ⅵ-2-4 金融機関1店舗当たりの資金利益と非資金利益

図表Ⅵ-2-3 金融機関1店舗当たりの業務粗利益

⾦融機関の収益構造:1店舗当たりの収益性 投⼊⽣産要素当たりの収益性という観点から、1店舗当たりの業務粗利益をみても低くなっている。

収益性の低さには、低⾦利環境の⻑期化による資⾦利益の減少に加え、⾮資⾦利益の低さも影響。

19

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図表Ⅵ-2-5 非資金利益比率に関する国際比較

図表Ⅵ-2-8 役務取引等収益の内訳

⾮資⾦利益の国際⽐較(1) 本邦⾦融機関は収益源の多様化を企図して⼿数料ビジネスの拡充に取り組んできているが、それでもなお、⾮資⾦利益が業務粗利益に占める割合(⾮資⾦利益⽐率)は国際的にみて総じて低い。• わが国では、相応にコストのかかる⾦融サービスを無料で提供している例が少なくない。

• 収益源の多様性という点でも、わが国の地域⾦融機関では、為替、投信・保険販売業務で役務収益の過半を占める。

20

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

日本 米国 欧州 日本 米国 欧州 日本 米国 欧州 日本 米国 欧州

75-90%点

25-75%点

10-25%点

加重平均値

中央値

非資金利益/業務粗利益、%

グループ1 グループ2 グループ3 グループ4

0

20

40

60

80

100

大手行 地域銀行

その他

保証業務

信託報酬

投資銀行業務

投信等販売業務

為替業務

日本

0

20

40

60

80

100

米国

その他

保険業務

サービシング業務

投資銀行業務

信託報酬

預金口座手数料

0

20

40

60

80

100

ユーロ圏

その他

カストディ業務等

証券業務

投信等販売業務

資産管理

決済業務

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0.01

0.23 0.27

0.42

0.66

0.78 0.88

0.99

1.20 1.31

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

日本

米国

ドイツ

スイス

フランス

オランダ

EEA3

1

カナダ

英国

イタリア

70

80

90

100

110

120

130

140

150

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

日本

米国

カナダ

EEA31

スイス

03年=100

図表Ⅵ-2-6 CPIにおける金融サービスのウエイト 図表Ⅵ-2-7 金融サービス価格指数(CPI)

⾮資⾦利益の国際⽐較(2) 内外における⾦融関連サービスの⼿数料設定スタンスの違いは、家計消費⽀出の構成⽐や⾦融サービス価格の推移にも明確に表れている。

21

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67

57 53 50 48 47 44 42 4136

3225 24

18 1711

0

10

20

30

40

50

60

70

80

スペイン

フランス

ポルトガル

イタリア

オーストリア

ドイツ+郵便局

日本+郵便局

ドイツ

スイス

米国

ベルギー

日本

ギリシャ

スウェーデン

英国

オランダ

過剰方向

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

日本+郵便局

日本

ドイツ+郵便局

ベルギー

イタリア

ドイツ

スイス

フランス

スペイン

オーストリア

ポルトガル

オランダ

英国

ギリシャ

米国

スウェーデン

過剰方向

0

2

4

6

8

10

12

日本

オランダ

ベルギー

ドイツ

英国

スイス

イタリア

オーストリア

フランス

ポルトガル

スペイン

ギリシャ

スウェーデン

米国

百万人

図表Ⅵ-3-3 可住地面積当たりの金融機関店舗数と人口図表Ⅵ-3-2 人口当たりの金融機関店舗数

金融機関店舗密度 人口密度

⾦融機関数と店舗数の国際⽐較 ⼈⼝と⾦融機関の店舗数の関係をみると、⽇本の店舗数は、郵便局数まで含めると、オーバーバンキングとされるドイツとほぼ同⽔準。

可住地⾯積当たりの⾦融機関店舗数をみると、⽇本は突出して多くなっている。

狭い国⼟に銀⾏店舗が密集すれば、店舗間の競争も激しくなりやすい。預⾦吸収の⾯では、戦前から近年に⾄るまで、郵便貯⾦も含めて互いに激しい預⾦獲得競争を繰り広げてきており、⺠間⾦融機関が預⾦関連⼿数料を徴求するという戦略はとり難かった。こうして、預⾦関連⼿数料を課すことを前提としないビジネスモデルが⾦融機関に定着していった。

22

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350

400

450

500

550

600

650

90 95 00 05 10 15年

20

21

22

23

24

25

90 95 00 05 10 15年

千店

300

350

400

450

500

550

90 95 00 05 10 15年

千人

0

1

2

3

4

5

6

7

8

81 84 87 90 93 96 99 02 05 08 11 14

廃業率

開業率

300

350

400

450

500

550

600

81 84 87 90 93 96 99 02 05 08 11 14年

万社

図表Ⅵ-3-4 金融機関数・店舗数・従業員数の推移

金融機関数 店舗数 従業員数

図表Ⅵ-3-5 開廃業率と企業数

開廃業率 企業数

⾦融機関数、店舗数、従業員数と企業数 本邦⾦融機関の従業員数や店舗数は、需要対⽐で過剰(オーバーキャパシティ)となっている可能性。2000年代半ばにかけて⾦融機関の統廃合が進むなか、店舗数や従業員数が削減されてきたにもかかわらず、オーバーキャパシティが解消されていない背景には、⾦融取引需要を規定する⼈⼝や企業数が減少を続けていることが⼤きく影響。

23

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図表Ⅵ-3-6 企業数と金融機関店舗数

企業数の変化(2004→2014年の変化率、%) 金融機関店舗数の変化(2005→2015年、店)

⾦融機関店舗の地域間のばらつき 過去10年間、企業数が国内のほぼ全域で減少しているのに対し、⾦融機関の店舗数をみると、横ばいとなっている地域が多くみられる。⾸都圏や県庁所在地などの都市圏では、むしろ店舗数が増加している地域もみられる。

24

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図表Ⅵ-3-7 店舗密度と企業密度の関係 図表Ⅵ-3-8 市区町村単位でみた金融機関店舗数の過剰度合い

市区町村単位でみた⾦融機関店舗数の過剰度合い ⾦融機関は、相対的に企業密度の⾼い都市圏に店舗を集積させる傾向(「密度の経済性」が作⽤)。

• 「密度の経済性」:銀⾏業を含むサービス業では、⼀般に営業店でのサービスの対⾯供給を基本とするため、店舗の⽴地エリアの⼈⼝密度や企業密度が収益性を⼤きく左右する。

密度の経済性を前提とした店舗配置は、個々の⾦融機関にとって合理的な戦略だが、多くの⾦融機関が同じ戦略をとれば、⾦融機関間で競争が過度に激化する結果、新規店舗の収益が計画を下回ることとなったり、既存店舗の収益が減少するという、「合成の誤謬」が発⽣。

25

0.00

0.05

0.10

0.15

0 5 10 15 20企業密度

店舗密度

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2.5

2.6

2.7

2.8

2.9

3.0

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

年度0

5

10

15

20

25

30

2005年度

2015年度

低い市区町村 店舗密度 高い市区町村

取引金融機関数が5先以上の企業の割合、%

0

10

20

30

40

50

~-1.0

-1.0 ~

-0.8

-0.8 ~

-0.6

-0.6 ~

-0.4

-0.4 ~

-0.2

-0.2 ~

0.0

0.0 ~

0.2

0.2 ~

0.4

0.4 ~

0.6

0.6 ~

0.8

0.8 ~

1.0

1.0 ~

頻度、%

地域2

地域3

地域1

地域4

店舗の過剰度合い

2

3

4

地域1 地域2 地域3 地域4

75-90%点25-75%点10-25%点中央値

企業の平均取引金融機関数

低 店舗の過剰度合い 高

図表Ⅵ-3-10 企業の取引金融機関数の推移 図表Ⅵ-3-12 企業の取引金融機関数の市区町村別分布

図表Ⅵ-3-11 金融機関の店舗密度と企業の取引金融機関数の関係

店舗の過剰度合いに関する市区町村別分布 グループ別の取引金融機関数

企業とのリレーションシップの変化(1) 企業数が減少するなかでの⾦融機関店舗間の競争激化は、⾦融機関と企業の取引関係に影響。企業の取引⾦融機関数は増加しており、企業にとっては、より有利な貸出条件を引き出せるようになっている。• 取引⾦融機関数の増加は、特に、店舗の過剰感の強いエリアで起きている。平均的にみれば、取引⾦融機関数は2〜3先だが、都市圏を中⼼に5先以上の企業も増えてきている。

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-0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

その他信用組合信用金庫地域銀行大手行合計

05年度からの変化幅

年度-0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

05年度からの変化幅

年度

-0.50

-0.40

-0.30

-0.20

-0.10

0.00

0.10

0.20

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

05年度からの変化幅

年度-0.50

-0.40

-0.30

-0.20

-0.10

0.00

0.10

0.20

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

05年度からの変化幅

年度

図表Ⅵ-3-13 企業の取引金融機関数の変化の寄与度分解

零細企業 中小企業

中堅企業 大企業

企業とのリレーションシップの変化(2) 企業規模別にみると、中⼩・零細企業において、取引⾦融機関数が増加しているのに対して、⼤企業では、取引⾦融機関数が減少。

企業が銀⾏借⼊を⾏う際に、複数の取引⾦融機関の中から貸出⾦利の⼀番低い⾦融機関を選択することが常態化すれば、企業とメインバンクの間の取引関係が弱まり、中⻑期的に⾦融機関の情報⽣産活動の停滞を通して資⾦配分の効率性が低下する可能性。

27

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店舗の過剰感がみられる市区町村を営業エリアとする⾦融機関では、厳しい競争環境に直⾯し、貸出など⾦融仲介における価格決定⼒(マークアップ)が低下する傾向。

⾦融機関間の競争が過度に厳しい状況が続けば、⾦融機関経営が不安定化するリスクがある。株式市場から抽出した地域銀⾏に関する予想デフォルト確率をみると、銀⾏のマークアップと⻑期的に連動。

図表Ⅵ-3-15 地域銀行の予想デフォルト確率とマークアップ

図表B2-1 クロスセクション推計結果:店舗密度が金融機関のマークアップに与える影響

⾦融機関間の競争激化とマークアップ

予想デフォルト確率(短期) 予想デフォルト確率(中長期) マークアップ

28

0

1

2

3

99 01 03 05 07 09 11 13 15 17

25-75%点

中央値

0

1

2

3

4

5

6

99 01 03 05 07 09 11 13 15 17

25-75%点

中央値

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

98 00 02 04 06 08 10 12 14 16

25-75%点

中央値

年度

%pt

-0.05***

-0.11 ***

0.01**

0.01***

0.00 0.02

0.01 0.00

0.07 0.07

0.20 0.21

Adj.R2

不良債権比率(0.03) (0.03)

自己資本比率(0.01) (0.01)

S.E.

被説明変数:マークアップ

地域銀行

店舗の過剰度合い(0.02)

企業の取引金融機関数(0.04)

預貸率(0.00) (0.00)

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0

1

2

3

4

5

96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16

25-75%点

中央値

年度

%pt

0

1

2

3

4

5

6

96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16

25-75%点

中央値

年度

%pt

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16

25-75%点

中央値

年度

図表B3-1 地域銀行のCoVaR

CoVaR 個別リスク(VaR) 連動性(β)

⾦融機関間の競争激化とシステミックリスク(1) 地域⾦融機関が共通かつ慢性的なストレスに直⾯し続けるもとで、収益源の多様化や需要対⽐での資源投⼊の適正化が⾏われないまま、競争激化が続く場合、中⻑期的には多くの⾦融機関の損失吸収⼒が同時に損なわれるというかたちで、システミックリスクが形成されかねない。

実際、地域⾦融機関間の競争激化が進むなか、株式市場から抽出されるシステミックリスク指標(CoVaR)が緩やかに上昇。• ⾦融システムが直⾯するストレスの⼤きさ(CoVaR)を、個別⾦融機関が直⾯するストレスの⼤きさ(VaR)と、それらのストレスの連動性(β)に分解すると、VaRには⼤きな変化がみられない⼀⽅、βが全体的に上昇。

29

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-0.394 *** 0.165 -0.130 ***

0.508 *** 0.213 *** 0.159 ***

-0.028 *** -0.003 -0.010 ***

0.298 0.102 0.201

0.694 0.799 0.244

(0.002)(0.006)

(0.123)

被説明変数:システミックリスク指標

CoVaR 連動性(β)個別リスク(VaR)

(0.033)

総資産

(対数値) (0.041) (0.015)(0.070)

S.E.

Adj.R2

マークアップ(0.093)

貸出総資産比率(0.004)

図表B3-2 パネル推計結果:システミックリスクに与える影響

⾦融機関間の競争激化とシステミックリスク(2) CoVaRやβを被説明変数とする推計結果も、マークアップの低下(銀⾏間の競争激化)がシステミックリスクを⾼める⽅向に作⽤していることを⽰唆。

銀⾏間競争がシステミックリスクを⾼める背景には、銀⾏間の共通エクスポージャーの拡⼤(連動性パラメータβの上昇)が重要なチャネルとして作⽤。

30