Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
1
Global Issue の時代へ
「地理」1998年1月号の神田道男の整理による。
・1990年代,それまで、2国間,あるいは「南対北」,あるいは「東西」という視点で考えられてきた種々の課題を,世界共通に取り組まなければならない「地球的」課題=Global Issue としてとらえる視点が醸成される。
・90年,UNDP(国連開発計画)が「人間開発報告書」を刊行し始め,世銀も「世界開発報告」で世界的課題に関する特集を組み始めた。その諸テーマが, 「Global Issue」の認知を促す効果を果たした。
・1962, Rachel Carson 『Silent Spring』 … 化学物質の危険性と環境の脆弱さ警告
・1963, アメリカの建築家・思想家が,「宇宙船地球号操縦マニュアル」を発表
・1970, 世界共通の課題を憂えた欧米の学識経験者たちが「ローマ会議」結成し,
・1972, 『成長の限界』を発表 …世界に地球の有限性を認識させる。
・1972, 国連人間環境会議(Stockholm) … 経済成長から環境保護への転換を提議(人間環境宣言)
・1970, 石牟礼道子『苦海浄土』 … 水俣病の衝撃的実態を発表
・1974・75, 有吉佐和子『複合汚染』 … 農薬,化学肥料,合成保存料,合成洗剤など,化学物質の恐ろしさを暴く。
地球環境問題地球環境問題地球環境問題地球環境問題への関心の高まり小史
・1970・80年代 … オイルショック後の不況克服が各国の主な政策課題に。「環境」はやや背景に退く。
・しかし地球環境への懸念は拡大
⇒水質汚濁,公害の発生,砂漠化や森林破壊,酸性雨,そしてCO2排出による地球温暖化への懸念が一般にも定着, 以前からあった「宇宙船地球号」が人々に現実味を帯びてとらえられるように。
・1988, IPCC(気候変動に関する政府間パネル)設立 … CO2排出削減目標を提議
・1992, 「環境と開発に関するリオ宣言」… 具体的行動計画「Agenda21」を採択。
気候変動枠組条約,生物多様性条約の2条約も締結。
⇒ 「sustainability」(持続可能性)がkeywordとして各国の政策に取り込まれる。
・1993, 「環境基本法」制定(日本)
・1997, 京都議定書 … 温暖化効果ガス排出量の法的規制,排出量取引きetc.
world vs globe
地球地球地球地球map
↓ ↓
… イメージイメージイメージイメージの対照性
広大な空間限られた資源,危
うい均衡
↓ ↓
北極海の海氷面積
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/shindan/a_1/series_arctic/series_arctic.html帝国書院『地理の研究』2010
地球温暖化
・人間活動の地球温暖化
への影響については1990年頃までは諸説あった。
・しかし今日では,疑いよう
のない事象が突き付けら
れている。
… 海面上昇,北極海の氷,山岳氷河の縮退,回遊魚の
異変,異常気象etc.
… 産業・開発活動が盛んで人口多い北半球中緯度北半球中緯度北半球中緯度北半球中緯度より北
で顕著なのも,有力な証左。
2
PM2.5
『新詳資料 地理の研究』帝国書院,2010様々な地球的課題
・どれをとっても … 「自然現象」だけではなく,人間の営みと連動。・localな問題でも,世界にかかわる。
・その代表が「砂漠化」。…「砂漠」の形成は大気大循環レベルの自然現象。「砂漠化」は砂漠周辺部における過剰利用による土地の劣化
開発と環境 … 熱帯林の減少 … 熱帯当時国だけの問題ではない。
・1960・70年代のような原木の貿易は,規制によって減少。伐採量に見合う植林を義務付ける国もある。
・現代では,乾燥地縁辺における過剰利用によるほか,都市化や商品作物の開発(ブラジル,ASEAN)の要因が大きい。
・商品作物は先進国に輸出され,当事国だけの問題でない。
アマゾン熱帯林に食い込む農地開発Santarem南方
50km
ボルネオ熱帯林に食い込む油ヤシ畑Sarawak, Miri南東方
200m
3
ユーカリビジネスユーカリビジネスユーカリビジネスユーカリビジネス … 善意がもたらす弊害田坂敏雄『ユーカリビジネ
ス』新日本新書,1992
・(ユーカリは)、環境劣悪な場所でも育つとあって、環境保全・改善の切り札として植林される事例が多くなっています。
・しかも、生長が早いのが特徴で … 5年もすればけっこうな大木になり,10年たてばすごい大木です。
・そのため、植林→伐採・販売(主にパルプに利用)→再植林 のサイクルにのっとった「持続可能な森林再生」の切り札として,多く植えられて来ました。
・もちろん、ユーカリは急激に大きくなるため,土地の養分や水分を多く利用するのも事実です。
・ また、住んでいた住民を退去させて(法律上は違法),ユーカリを植林したり、自然林を伐採してユーカリを植林するようなことに対しては、批判があります。
・ところが、このユーカリ植林が、「環境破壊」として多くのNGOなどから非難されています。 ユーカリは毒性が強くて,他の作物を育たなくするという理由です。
・実際は、それらの批判は的を得たものではありません
http://blogs.yahoo.co.jp/toshiyukiokui/52067430.html
『新詳資料 地理の研究』,帝国書院,2010
相互関連するGlobal Issues
Fair Trade ・日本では途上国で生産された日用品や食料品が、驚くほど安い価格で販売されていることがあります。生産国ではその安さを生み出すため、正当な対価が生産者に支払われなかったり、生産性を上げるために必要以上の農薬が使用され,環境が破壊される事態が起こっています。
・生産者が品質の良いものを作り続けていくためには,労働環境や生活水準が保証され,自然環境にもやさしい配慮がなされる持続可能な取引のサイクルを作っていくことが重要です。
・「フェアトレード」とは直訳すると「公平な貿易」,つまり開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみをいいます。
http://www.fairtrade-jp.org/
1958, アメリカでfairtradeの店がオープン1964,イギリスでfairtrade会社設立1967,オランダでfairtrade団体設立1987,ヨーロッパfairtrade協会設立1989, International Fair Trade Assoc.設立1993,トランスフェアジャパン設立1997,Fairtrade Labeling Organizations International (FLO)設立2001,Asia Fairtrade Forum設立2002,International Faitrade認証ラベル2004,NPOフェアトレードラベルジャパン
・fair trade団体の1つ Fairtrade Label Japan↓↑
・他にも多くの団体が。。
alternative trade,community trade