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土木学会第46回年次学術誇浜会(平成3年9月)
Ⅰ-631 n次のせん断振動まで考慮した擬似2次元地盤モデル
熊谷組技術研究所 正負 鈴木狂康
1.まえがさ
トンネルの地震応答解析において地盤モデルとしてよく使われるバネ-質量系モデル1) (以後Q2 Dモデ
ルと称する)は、土柱の基本せん断振動に基づいて、 2次元地盤を擬似的に1次元解析モデルに置き換えた
ものである。このモデルでは、基本せん断振動が卓越する表層地盤に対して通用できる他、地表面近くの変
位応答の解析では大いに威力を発揮する。このモデルを拡張し くEXQ2Dモデル) 、基本せん断振動から
n次のせん断振動まで取り扱えるようにすれば、このモデルの適用可能地盤の範囲が拡大し、さらに地盤の
加速度応答の推定にも適用することができるはずである。ここでは、このような拡張モデルの定式化を簡単
に説明し、本モデルによる地震応答解析例を示すとともに、 2次元FEMによる解析結果との比較を行い、
モデルを検証したので報告する。
2.拡張擬似2次元地盤モデル(EXQ2D)の概要
図- 1を用いてモデルの概要を説明する。 2次元表層地盤を
Soil SegJlentに分割し、それぞれのSoil Segnentを多質点系モ
デルに置き換えると、その自由度Nに応じてN次のせん断振動
モードを有することになる。したがって、分割されたすべての
Soil Seg血entがN自由度を有しているなら、基本せん断振動に
基づいて形成された従来の擬似2次元地盤モデル(Q2D)と
同様なバネー質量系モデルをN姐構成することが可能となり、
個々のモデルの地震応答解析を実施した後、それぞれの応答を
変位関数Fi,n (Z)を考慮して足し合わせることで、各地点、
深さにおける地盤の地震応答を求めることができる。
すなわち, n次のせん断振動系に関する運動方程式を(1)式
とし、このn次せん断振動系の質点iの応答加速度をⅩi,a 、
応答速度を文i,n 、応答変位をⅩi,nとすると、全体系(基本
~N次)ではN姐のこのような応答値の総和として、深さZ、
時刻tにおけるSoil Segment iの絶対加速度Ⅹi,a 、相対速
度妄i,n、相対変位Ⅹi.nは(2)式のように求めることがで
M'L‖ Fl.1 Mi2'FL.2 M-:u F▲..
壬夢・壬等・-・壬竜千 ��
i-2 �6s�uf偵��i+2 �6�ツ�6VヨV��諜2�
きる。 図-1 EXQ2Dモデルの概念図
[X](A) (幻'n)十[C]`n)はl'n'+[E]`n)tX)'n'= -lX]'nlfe1 ---- --- ---- --‥‥(1)
N . N
孟i(Z・t)- n写IXi,n(t) Fi,A(Z)十色i(t)・よi(Z・t)- n蔓Iii,A(t) Fi,n(Z)・Ⅹi(Z・t)- n写IXi,n(t) Fi.n(Z)-(2)
3.地貢応答解析およびFEMとの比較
本モデルの有効性を示し、また妥当性を検証することを目的として、図-2に示す2次元地盤の地質応答
解析を、本手法および2次元FEMによって実施した。解析に用いた地盤は、図の右に示すような土質構成
の整層構造となっており、このような土質構成の半無限地盤では、有効質畳比が基本せん断振動モードで0.
47、 2次モードで0.18、 3次モードで0.20であり、 2次および3次せん断振動を無視することができない。
EXQ2Dでは21節点、 19質点に分割し、 FEMではEXQ2Dの質点の位置とFEMメッシュの縦の分割
が一致するように分割を行って、両モデルによる解析の整合性を図った。さらに両モデルの減衰の与え方や
数値積分法についても同一としている。入力は十勝沖地震・八戸港NS成分を、最大加速度を150gaβに謂
柑00
土木学会第46回年次学術講演会(平成3年9月)
sectlon No. (EXQ2J) model)
1234 �� 途�8 乖���0111^2131 劔41 鉄�c�縱���8192021
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Soil Properties
(tl/t.り(.;…ec, I
1.5 60 0.495
1.6 80 0.495
I.8 210 0.470
1.9 270 0.450
flxed●
図-2 地震応答解析に用いた地盤およびそのEXQ2Dモデル、 FEMによる分割
整して用いた。 EXQ2Dによる解析は、基本せん断振動のみ取り扱うケース(1) 、基本+2次せん断振
動を取り扱うケース(2)および基本せん断振動から3次せん断振動まで取り扱うケース(3)の3ケース
とした。これらの解析ケースおよびFEMによる解析との比較は、図-1中の○で示した位置で行った。
義一1に加速度、変位の最大値について行っ 義一1 最大加速度、最大変位の比較表
た各解析ケースの解析結果をまとめた。加速度
の最大値について比較すると、加速度応答はと
くに浅い位置においてEXQ2Dによる解析ケ
ースの(1)と(3)で大きな差が認められる。
またEXQ2Dの(3)はFEMによる解析結
果とほぼ一致している。つぎに変位について考
察してみる。 EXQ2Dの解析ケース(1)と
(3)の変位の最大値の相違は、深い位置で著
Loc8t 又��X8X.Acceleration 剪├ヲ���Xa工.DisDIACeJLeAt 剩8示ツ��
Section ∬0. 認W�F������EZQ2D 剩dU「�EⅠq2t) 剩dU「�
(1) 茶"��(3) �(1) 茶"��(3)
7 �����211 �#32�222 �#SR�1.48 ��紊2�1.44 ��紊R�
7 蔦R���132 ��迭�194 ��cB�0.86 ��纉r�1.01 ��繝2�
7 蔦�����148 ��Sb�158 ��cB�0.ll ����B�0.15 ����b�
9 �����198 �#sb�264 �#c��1.87 ��縱r�1.80 ��緜��
9 蔦R���155 �#S��259 �#C"�1.13 ���3"�1.29 ������
9 蔦�����149 ��コ�197 ��釘�0.22 ���32�0.37 ���3��
9 蔦�R���149 ��Sb�171 ��s��0.08 ����2�0.16 ����2�
12 �����231 �3�r�307 �#途�2.03 ��纉B�1.97 ��繝"�
12 蔦R���170 �#c��276 �#モ�1.23 ��紊��1.38 ���3��
12 蔦�����146 ��モ�197 �#�B�0.24 ���3R�0.39 ��紊��
12 蔦�R���148 ��SB�170 ��C"�0.09 ����B�0.16 ������
15 �����191 �#�2�268 �"CB�1.83 ��縱2�1.75 ��緜"�
17 �����223 �#�B�214 �#�b�1.37 ���3B�1.35 ���#"�
しいことが認められる。またEXQ2Dのく3)
はFEMによる解析結果とほぼ一致しており、加速度、変位とも、 EXQ2Dモデルの妥当性が証明された
と言える。図-3 (a)はEXQ2Dのケース(3)とFEM解析による加速度波形の比較例を、図-3
(b)は変位応答波形の比較例である。これらから明らかなように、 EXQ2Dで3次まで考慮すれば、こ
の地盤については十分な地盤震動の評価が可能と判断される。
EXO20(37 . ・一 FELJ2
J++. I
■ I.●
-)44. 1
I 1 ■● t I 4 0 I
図-3 (a) 加速度応答波形の比較例
EJLO2D t事) . FEu2
-.■■-●.177● ●● tl.tJ +..J
I L A4 I■●○ )
図-3 (b) 変位応答波形の比較例
4.まとめ
擬似2次元地盤モデルをn次せん断振動まで考慮できるように拡張した。地震応答解析により、以下のよ
うなモデルの有効性および妥当性が確認.された。
(1)高次のせん断振動を考慮することにより、地表面より浅い位置の加速度応答の解析精度と、深い位置
の変位応答の解析精度が向上した。
(2)ここで示した拡張モデルは、地盤変位応答のみならず加速度応答の解析にも用いることができる。ま
た、 2次、 3次のせん断振動が卓越するような表層地盤の比較的深い場所のトンネルの地震応答解析
に対しても、トンネルに伝達させる地盤変位データの算定方法として有効である。
参考文献1)田村ら: Dynamic behavior of a submerged tunnel during earthquakes,東大生M告,1975
1301