3
P R i-ConstructionCIMICTITICTICTICTICTICTICTICTICTCIM1UAV3DUAVUnmanned aerial vehicle3D3DLSICTUAV13DLSUAVUAVUAVJUIDAUASICT施工時代に向けて ─次世代ICT技術者の育成─ 佐藤工業株式会社 土木事業本部 ICT推進部 部長 京免 継彦 図 1  保有UAV(ドローン) 100 土地改良 300号 2018.1

ICT施工時代に向けて ─次世代ICT技術者の育成─dokaikyo.or.jp/back_number/kaishi_new/300t_14.pdf土地改良 300号 2018.1 101 図2は起工測量(大型 UAV )による施工前の

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ICT施工時代に向けて ─次世代ICT技術者の育成─dokaikyo.or.jp/back_number/kaishi_new/300t_14.pdf土地改良 300号 2018.1 101 図2は起工測量(大型 UAV )による施工前の

3

地元土浦市の取り組みと社会的効果

 

こうしたなか、茨城県土浦市では、平成二十七

年四月より、家庭から出されるごみを細分化し、

これまで「燃やせるごみ」としていたものから、「生

ごみ」と「容器包装プラスチック類」を、資源と

して別に回収することになりました。

 

このうちの、「生ごみ」日量約二〇tが、『バイ

オプラント』に持ち込まれ、他の食品廃棄物とと

もにバイオガス化・堆肥化されます。

 

分別細分化初年度の平成二十七年度は、年間

五、四〇〇tの市民からの生ごみを受け入れ(概

ね分別協力率は五〇%内外)、容器包装プラスチッ

ク類の資源化と合わせて、実に可燃ごみの焼却量

二五%削減に結びつきました(図3)。

 

こうした土浦市の取組は、行政ごみ処理の方針

を、焼却あり

きから、資源

化優先への流

れとさせる先

進的なものと

いえます。ご

みが資源化に

まわった分、

焼却残さの発

生量も減少す

るため、土浦

市の最終処分

場延命にもつ

ながります。また、生ごみ由来のバイオ燃料が石

油に代替される効果、また、プラスチックを焼却

しない効果により、ごみ処理に伴う温暖化ガスの

削減は、対前年二四%減にもなりました。今回の

資源化への方針転換は、温暖化対策にも大きく寄

与するものとなります。

 

今後は、さらに土浦市と協力し、資源化の効果、

更なる分別協力率アップに向けて、市民への周知

啓蒙活動を推進していくこととしています。

4

おわりに

 『神立資源リサイクルセンター

バイオプラン

ト』は操業開始から五年を経過し、昨年度は約

二〇〇人が見学に訪れました。県内外の自治体、

各種協会・市民団体の方々で、生ごみ減量対策、

バイオマス事業への関心の高さが伺われます。

 

弊社では、食品廃棄物を「バイオガス」と「堆

肥」に「資源化」できる湿式メタン発酵システム

を、国内に大きく普及させていきたいと考えてい

ます。そのためにも、堆肥の肥効や高付加価値化

については茨城大学と、自治体のごみ処理システ

ムのあり方、およびメタン発酵システムの普及に

ついては北海道大学と、それぞれ共同研究を行っ

ています。

 

今後は、他の自治体にも本システムを普及させ、

より一層環境への負荷を軽減しながら持続的な発

展ができる循環型社会の構築に、グループ会社全

体で貢献して行く所存です。

写真 3 堆肥利用「HIコンポスト」

24,606

834

5,428

24,992

801

4,900

分別細分化前(平成26年度)

カッコ内は、ごみ組成から推定した数量

32,905

(13,162)

(2,632)

(17,111)

分別細分化後(平成27年度)

2年目(平成28年度)

(t)

生ごみ

容器包装プラ

燃やせるごみ

家庭系ごみの分別細分化により、 一般家庭のゴミ組成

一般家庭のゴミ組成(容器包装廃棄物の使用・排出実態調査H25)

(湿重ベース)

生ごみ40%

プラ 他11%(容器包装プラ8.6%)

家庭ごみ全体の減量(7%)ごみ焼却量は25%ダウン

焼却処理減、バイオガス化による化石燃料代替効果により

家庭ごみ処理に伴うCO2排出量 24%ダウン

35,000

30,000

25,000

20,000

15,000

10,000

5,000

0

紙・布類36%

木・竹・わら 類4%

不燃物7%

その他2%

図 3 土浦市のゴミ分別細分化による減量化実績

我 が 社 の 技 術 P R

我 が 社 技 Pの 術 R

 

国土交通省が積極的に進めている

「i-Construction

」と「CIM」への対応により、「建

設工事」は大きな変化の入り口に立っている。ま

だまだ、始まったばかりで、どのような形で変化

していくのか五里霧中ではあるが、私自身ここ二

年あまりICT施工にたずさわってきて、建設業

界のみならず、IT(ハードおよびソフト)業界

を中心に建設系とは離れていた業界も巻き込んで

急加速している現状は、非常に頼もしくかつワク

ワクするものがある。

 

当社においても、経営戦略としてICT施工へ

の対応が大きくクローズアップされ、東北地整発

注の「発注者指定型ICT施工工事」の受注(平

成二十八年十月)を契機にICT推進部を発足さ

せ、本格的なICT施工対応を推し進めている。

 

ICT推進部の大きな役割の一つはICT技術

者の育成である。今後、あらゆる建設施工に

ICT技術が導入されていくことが想定される中、

測量などへの最新技術対応と三次元モデルをいか

に活用していくかについて、しっかりとした技術

ノウハウを持った若手職員を自社内に育成してい

くことは急務となっている。本報告では、若手職

員を中心に行っているICT施工とCIMへの試

行錯誤の取り組みと、その効果について紹介する。

1

最新のUAV、

 

3Dレーザースキャナの活用

 

UAV(U

nmanned aerial vehicle

:ドローン)

と3Dレーザースキャナ(以下3DLS)は、と

もに最新ICT施工技術の中核をなすアイテムで

ある。当社は、現在UAVを大中小合わせて七機

(図1)3DLSを二台保有している。基本的に

若手社員自身がUAVを操縦しUAV測量、写真

動画撮影を行っている。UAVの運用に関しては

細心の安全管理が求められており、当社パイロッ

ト達もJUIDA(日本UAS産業振興協会)の

厳しいスクールを卒業するなど日々腕を磨いてい

る。

ICT施工時代に向けて  ─次世代ICT技術者の育成─

佐藤工業株式会社 土木事業本部 ICT推進部 部長 京免 継彦

図 1 保有UAV(ドローン)

100 土地改良 300号 2018.1●

Page 2: ICT施工時代に向けて ─次世代ICT技術者の育成─dokaikyo.or.jp/back_number/kaishi_new/300t_14.pdf土地改良 300号 2018.1 101 図2は起工測量(大型 UAV )による施工前の

 

図2は起工測量(大型UAV)による施工前の

三次元地形モデルである。UAV測量では測量範

囲内に一〇〇mピッチ程度で検証用の基準点を設

置しており。今回の測量誤差は二〇〜三〇㎜(基

準一〇〇㎜以内)程度であった。

 

図3は起工測量データと設計図面を基に作成さ

れた三次元設計モデルである。UAV出来形測量

の基準とマシンコントロール重機施工に利用する。

2

UAVタイムラプス

 

現場内に動画カメラを設置し施工状況を一定間

隔で撮影し、最終的に一本の動画として編集する。

施工状況を早回しで確認することができるため施

工の効率化、安全施工に活用する技術としてタイ

ムラプスが注目されている(図4)。当社ではさ

らに、毎月UAVを同じルートで飛ばし動画を撮

影、編集することで任意の上空画像でのタイムラ

プス映像を試行中である。

3

ICT施工技術による掘削土量管理

 

最終処分場工事計画において掘削切土量と盛土

量を的確に把握することは非常に重要となる。現

況地形データを3DLSで計測し、構造物の3D

設計モデルと重ねることで正確な土量計画が可能

となる。UAVで計測できれば簡単だが、深い谷

地形では精度確保が困難である。そこで一五㎏と

重くかつ高価な3DLSを人力で抱え広範囲を計

測する事になる。三日間で六〇か所の計測を実施、

おかげで非常に精密な地形データを得ることがで

きた。ただ、さすがに若手職員たちも最終日はへ

とへとである(図5〜8)。

図 3 3D設計モデル 図 2 UAV起工測量3Dモデル

図 4 UAVタイムラプス映像

図 5 処分場全景3D モデル

我 が 社 の 技 術 P R

4

トンネル上部の低土被り部対策

 

最後にCIMの取り組みを紹介する。トンネル

掘削において、低土被り部の施工検討はよくある

課題といえる。3DLSにより取得した低土被り

部の正確な地形情報を活用した対策工3Dモデル

(図9)は、発注者や協力会社との協議に威力を

発揮する。3DLSでの地形測量(基準点作成含

む)に約半日、3Dモデル化に約二日の程度の作

業量であった。今後も、低土被り部だけでなく、

入口部、出口部坑口の3Dモデル化による補助工

法検討などに応用していく予定である。

5

今後の展開

 

当社は、まずは自分たちでUAV、3DLS測

量から三次元モデル活用まで実践する事を目指し

ている。これら技術自体がまだまだ発展途上で、

色々と問題があることも経験できている。また、

様々なミッションをこなす中で当社内でもICT

施工の有用性の認識が広がっている。「こんなの

できる?」といった問い合わせが確実に増えてい

る。今後も若手社員を中心にICT施工への挑戦

を積極的に進めていく所存である。

図 7 土量算定 図 6 3DLS計測箇所

図 8 処分場 3次元モデル

図 9 トンネル低土被り部検討

101土地改良 300号 2018.1 ●

Page 3: ICT施工時代に向けて ─次世代ICT技術者の育成─dokaikyo.or.jp/back_number/kaishi_new/300t_14.pdf土地改良 300号 2018.1 101 図2は起工測量(大型 UAV )による施工前の

 

図2は起工測量(大型UAV)による施工前の

三次元地形モデルである。UAV測量では測量範

囲内に一〇〇mピッチ程度で検証用の基準点を設

置しており。今回の測量誤差は二〇〜三〇㎜(基

準一〇〇㎜以内)程度であった。

 

図3は起工測量データと設計図面を基に作成さ

れた三次元設計モデルである。UAV出来形測量

の基準とマシンコントロール重機施工に利用する。

2

UAVタイムラプス

 

現場内に動画カメラを設置し施工状況を一定間

隔で撮影し、最終的に一本の動画として編集する。

施工状況を早回しで確認することができるため施

工の効率化、安全施工に活用する技術としてタイ

ムラプスが注目されている(図4)。当社ではさ

らに、毎月UAVを同じルートで飛ばし動画を撮

影、編集することで任意の上空画像でのタイムラ

プス映像を試行中である。

3

ICT施工技術による掘削土量管理

 

最終処分場工事計画において掘削切土量と盛土

量を的確に把握することは非常に重要となる。現

況地形データを3DLSで計測し、構造物の3D

設計モデルと重ねることで正確な土量計画が可能

となる。UAVで計測できれば簡単だが、深い谷

地形では精度確保が困難である。そこで一五㎏と

重くかつ高価な3DLSを人力で抱え広範囲を計

測する事になる。三日間で六〇か所の計測を実施、

おかげで非常に精密な地形データを得ることがで

きた。ただ、さすがに若手職員たちも最終日はへ

とへとである(図5〜8)。

図 3 3D設計モデル 図 2 UAV起工測量3Dモデル

図 4 UAVタイムラプス映像

図 5 処分場全景3D モデル

我 が 社 の 技 術 P R

4 トンネル上部の低土被り部対策

 

最後にCIMの取り組みを紹介する。トンネル

掘削において、低土被り部の施工検討はよくある

課題といえる。3DLSにより取得した低土被り

部の正確な地形情報を活用した対策工3Dモデル

(図9)は、発注者や協力会社との協議に威力を

発揮する。3DLSでの地形測量(基準点作成含

む)に約半日、3Dモデル化に約二日の程度の作

業量であった。今後も、低土被り部だけでなく、

入口部、出口部坑口の3Dモデル化による補助工

法検討などに応用していく予定である。

5

今後の展開

 

当社は、まずは自分たちでUAV、3DLS測

量から三次元モデル活用まで実践する事を目指し

ている。これら技術自体がまだまだ発展途上で、

色々と問題があることも経験できている。また、

様々なミッションをこなす中で当社内でもICT

施工の有用性の認識が広がっている。「こんなの

できる?」といった問い合わせが確実に増えてい

る。今後も若手社員を中心にICT施工への挑戦

を積極的に進めていく所存である。

図 7 土量算定 図 6 3DLS計測箇所

図 8 処分場 3次元モデル

図 9 トンネル低土被り部検討

102 土地改良 300号 2018.1●