「地球を取り巻く環境問題」～デジタルアースによる見える化～

福井弘道

国際GISセンター

中部高等学術研究所International Digital Earth Applied Science Research Center (IDEAS)

Joint Usage/ Research Center by MEXT

春日井市民環境アカデミー日時：2016年１１月１８日（金） 10時30分～14時30分

概要• Part1.

• はじめに

• 地球システム設計論から

• GIS、Digital Earthからのアプローチ

• GlobalAgenda

• DigitalEarthEra ー データ爆発、オープンデータ

• DigitalEarthの応用事例

• Part2.

• 地球温暖化の最新状況

１．はじめに

研究の背景、あゆみ

3

Where I am from

理学部地球科学科

地球・地域環境学、SMLES

環境コンサルタント

環境アセスメント、環境管理計画

シンクタンク

都市計画、環境計画、国土計画

慶應大学ＳＦＣ

総合政策学部、media and governance

中部大学

中部高等学術研究所、GIS、Digital Earth

国土学への道ー 資源・環境・災害の地域科学

島津康男編、名古屋大學出版会 （１９８３）

SMLESのそれまでの成果のすべてが凝縮

一人学際の出発

縫い目なしの自然

環境の現場監督 ー 環境をつくる

システム・パニック － 災害に備える

私たちのデータ・ベースと教育 （情報の共有）

国土学へ

3E 「予測」 どうなるかEarth science

Ecology

Economy

3A 「計画」 どうするかAssessment Science（どうするか）

Action Science（住み込む）

Appropriate Science（誰にでもできる）

一人学際

問題解決から、問題発見へ

7

別分野と考えられてきた地球物理学・地球化学・地質学をまとめて創設された地球科学の看板にひかれて、1953年名古屋大学に赴任した。 しかし、それは名前だけの実態だった。そこで、私は考えた。地球は縫い目のない織物なので、舞台とそこに演ぜられるドラマの面から見よう、手段はどうでも良い。 1966年にSeamless Earth Science (SMLES) 憲章を出した。原動力は「自然への知的好奇心」と「社会への貢献」だ。

SMLESの中身は、「一人学際」、つまり巨大科学に対置される「等身大科学」の教育だ。当時盛んだった矢作川上流の開発現場に住み込み、 地質・水質・生物の調査を一人でやり、自然と人との通訳・住民と事業者との通訳を勤める「アセス助っ人」の養成だった。 もう一つの SMLES (Simulation Earth Science) のグループがあり、これも一人学際で、警戒宣言発令時の帰宅行動から地球生成初期プロセス、 一人学際のノウハウ共有の情報管理システムまであった。

1990年、SMLES 教育は私の定年退官で終わったが、「アセス助っ人」の活動は続いている、 今必要なのは原発事故・南海トラフ地震・食品リスクへの対応の社会的合意に働ける「防災助っ人」の養成だ。東海地域はその宝庫と考える。

http://sxpxs.org/spcafe.html

8

情報化社会の本質は、サイバースペースにおける意思決定が、リアルワールドに先導的な役割を果たすことにあるのではないでしょうか。そこで、実物世界のメタファーとして、いかに情報が欠落することなくサイバースペースを構築するか、またそれをどのように利用するかは重要です。それには「デスクトップメタファー（机上隠喩）」ではなく、膨大な地理空間情報を取り扱い、多解像度で、3次元や時系列の地球を実時間で表現することが可能なツール「アースメタファ」が求められます。これを、「デジタルアース」とよんでいます。

デジタルアースで、地球上で生起する自然・社会・人文現象を認知し、地球、国土、地域、都市、地区というマルチスケールで表現するとともに、それらをもとに地表の変動現象を分析・解明し、現象のモデリングやシミュレーションを行い、合意形成、計画立案や政策形成に展開する方法論の探求を行う研究領域GeoInformaticsの世界での取り組みをいくつか紹介します

http://sxpxs.org/spcafe.html

デジタルアースで地球の危機管理を

はじめに --- 設計科学・実学を目指して人間、自然、生態系のトータルシステムとしての地球地球の危機管理 Watch and Warning地球データベースの構築と利用 Digital Earth

Web2.0 Where2.0 、Google Map・Earthのインパクト相互運用・データ統合：オントロジー、WMS、Sensor-Web

科学コミュニケーションプラットフォームの構築地域情報力の醸成--- 参加型GIS, GISinside 社会Ｄｉｇｉｔａｌ Ｅａｒｔｈの構築と利用へ

温暖化、水循環、生態系、防災、減災、持続可能性・・・・

現在のテーマ

国際GISセンターの歩み

2011.4 中部高等学術研究所の附置研究所国際GISセンター開所

2012.4 私立大学戦略的拠点形成事業デジタルアース（俯瞰型情報基盤）による

「知の統合」拠点（5年間）

2014.4 文部科学省共同利用・共同研究拠点認定問題複合体を対象とするデジタルアース研究拠点 （6年間）

11

ex. Global Warming ex. Resilient City

1. Collection and Storege of Information

and DataOntology, Clearing House, Meta Data Spatial

Information Global Discrete Grid VGI

Volunteered Geog raphic Information Open Data

Policy

2. Processing, Integration, Circulation of

Information and DataVisualization of Uncertainty, Inter-operab ility,

Assim ilation of Spatio-temporal Information, Geo-

browser, Sensor W eb Big Data Analysis

3. Dicision SupportVisualization of Multi-d imension and Multi-

resolution Information, Societal Imp lementation of

Risk Communication, Data Journalism

Phase I: Integration of Developments

Developments of

Digital Earth

Large Scale Small Scale

Phase II: to the Emerging Complex Systemic Programs

Science

Communication

System

Adoptation to

the Global Warming

Consensus Decision Making

about Atomic andRenewable Energy

Integration and

Visualization of

Realtime Sensing Data

Resilient and

Sustainable City

Vulnerability

Estimation

and Index Definition

12

知の統合基盤デジタルアース

中部高等学術研究所 国際GISセンター（2011～）

• センターの研究内容– マルチスケール（コミュニティから都市・地域・国土・アジア・地球・宇

宙まで）の圏域科学でとらえた、持続可能な生活・世界の構築、人類社会の発展を考究する。

– リアルタイムから中長期の戦略までのタイムスパンを取り扱うプロセス科学を考究する。

– 科学・技術・社会を横断して情報を共有し、因果分析やプロセス分析を総合的に融合する新しい問題解決手法や社会システムの開発や実践を行う。

– 以上に必要となる、ＧＩＳ、デジタルアース、ジオインフォマティックスを研究・教育し、膨大な地理空間情報やビッグデータを取り扱い、三次元や時系列の地球を実時間で表現することを可能にする、データベース、ツールの開発を行う。

英語名：International Digital Earth Applied Science Research Center (IDEAS)

at Chubu Institute for Advanced Studies, Chubu University

デジタルアースの構築：地球の現状を知り、将来を考える道具

• 1998.1 ゴア米国副大統領（当時）の提唱によりスタート

• ネットワーク上にある膨大な地理空間情報を統合して、様々

な解像度で可視化することが可能な多次元のジオブラウザ

• 人間と環境の相互作用を理解するための共同実験室として

利用（科学コミュニケーションや計画のプラットフォーム）

2014年11月名古屋で国連ESDの10年最終会合に合わせて第５回デジタルアースサミットを主催

15