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先般発表しました新会社「JFRこどもみらい株式会社」 の設立による“幼児保育事業への参入”も、こうした考え方 に基づく取り組みの一環です。つまり、「ライフタイム・サー ビスHUB」構想における、人生の始まりとしての幼児期を 接点として、高質かつ高度な幼児保育サービスの提供を 第一義としながらも、保護者の方々と日常的なコミュニケー ションを重ねることにより、新たな価値提供の機会を創造 していきたいと考えています。 IoT 時代の本格化へ、「攻め」と「守り」で。 当社グループは、大丸、松坂屋、およびパルコを中心に、 優良な顧客資産を保有していることが大きな強みです。し かしながら、現在、こうしたお客様とかかわりを持つことがで きているのは、リアル店舗を中心としたリテール(小売)で の接点がほとんどであり、また、それはお客様の人生の中 においては、ほんの一部の時間に過ぎません。 そのため、当社は「ライフタイム・サービスHUB」という新 たな顧客基盤の構築に取り組み、 “お客様との生涯にわた るエンゲージメントを強めていく”ための仕組みづくりを進め ていきたいと考えています。これにより、商品 ・ サービスを 提供する際に得られる「定型情報」だけではなく、お客様 との日常会話やコミュニティなどを通じて得られる「非定型 情報」の収集と活用を行い、これまで以上に深く顧客を理 解し、飛躍的にエンゲージメントを高めていきます。 「ライフタイム・サービスHUB」のイメージは図のとおりで すが、いわゆる“人生100年時代”を念頭に置きつつ、誕 生から一生涯にわたる様々なシーンや節目において、お客 様とこれまで以上に接点を持ち、永く、深く、関係性をつく ることにより、お客様の「不満」や「不安」の解消に向け た新しい商品やサービスの提供を進め、事業領域の拡大 をはかっていきます。 経営戦略 > ICT 戦略 ライフタイム・サービスHUB構想 イメージ図 統合顧客データベース(DB) 誕生 幼児期 就学 就職 結婚 子育て セカンド ライフ 百貨店 PARCO JFRカード ディンプル 友の会 JFRフーズ こどもみらいetc. CRM CRM CRM CRM 百貨店向け 顧客プロファイル PARCO向け 顧客プロファイル JFRカード向け 顧客プロファイル ディンプル 友の会 JFRフーズ向け 顧客プロファイル AIによる分析・提案 “ライフタイム・サービスHUB”構想 28

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先般発表しました新会社「JFRこどもみらい株式会社」

の設立による“幼児保育事業への参入”も、こうした考え方

に基づく取り組みの一環です。つまり、「ライフタイム・サー

ビスHUB」構想における、人生の始まりとしての幼児期を

接点として、高質かつ高度な幼児保育サービスの提供を

第一義としながらも、保護者の方 と々日常的なコミュニケー

ションを重ねることにより、新たな価値提供の機会を創造

していきたいと考えています。

IoT時代の本格化へ、「攻め」と「守り」で。

当社グループは、大丸、松坂屋、およびパルコを中心に、

優良な顧客資産を保有していることが大きな強みです。し

かしながら、現在、こうしたお客様とかかわりを持つことがで

きているのは、リアル店舗を中心としたリテール(小売)で

の接点がほとんどであり、また、それはお客様の人生の中

においては、ほんの一部の時間に過ぎません。

そのため、当社は「ライフタイム・サービスHUB」という新

たな顧客基盤の構築に取り組み、“お客様との生涯にわた

るエンゲージメントを強めていく”ための仕組みづくりを進め

ていきたいと考えています。これにより、商品・サービスを

提供する際に得られる「定型情報」だけではなく、お客様

との日常会話やコミュニティなどを通じて得られる「非定型

情報」の収集と活用を行い、これまで以上に深く顧客を理

解し、飛躍的にエンゲージメントを高めていきます。

「ライフタイム・サービスHUB」のイメージは図のとおりで

すが、いわゆる“人生100年時代”を念頭に置きつつ、誕

生から一生涯にわたる様々なシーンや節目において、お客

様とこれまで以上に接点を持ち、永く、深く、関係性をつく

ることにより、お客様の「不満」や「不安」の解消に向け

た新しい商品やサービスの提供を進め、事業領域の拡大

をはかっていきます。

経営戦略 > ICT戦略

ライフタイム・サービスHUB構想 イメージ図

統合顧客データベース(DB)

誕生 幼児期 就学 就職 結婚 子育て セカンドライフ

百貨店 PARCO JFRカード

ディンプル友の会JFRフーズ

こどもみらいetc.

CRM CRM CRM CRM

百貨店向け顧客プロファイル

PARCO向け顧客プロファイル

JFRカード向け顧客プロファイル

ディンプル友の会

JFRフーズ向け顧客プロファイル

AIによる分析・提案

“ライフタイム・サービスHUB”構想

28

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プ内の数百のシステムに対する調査・棚卸を実施し、その

結果に基づくシステム対応方針により、クラウドシフトを本

格化していきます。

当社は、ICTを活用した「働き方改革」の実現に向け、

RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)の導入を進めて

います。具体的には、まず当社および大丸松坂屋百貨店、

JFRサービスの3社において、経費精算や会計データのダ

ウンロード・集計、データの照合・突合、業績管理表の作成・

システムへの入力など、定型的な業務を対象として抽出し、

RPA化に取り組んでおります。そのうち、2017年度は48

業務が稼動し、マンアワーでおよそ4,400時間の効率化を

実現しました。2018年度はこれに60業務を加えた対象業

務がRPAとして稼動する予定であり、およそ5,400時間の

効率化を見込んでおります。今中期経営計画の5年間に

おいては、グループ全体で300業務規模まで拡大すること

により、マンアワーでおよそ28,000時間の業務自動化を通

じた生産性向上に取り組みたいと考えています。

そして、この取り組みを活かしながら、業務のペーパーレ

ス化を推進するとともに、システムのセキュリティを担保し

たBYOD(Bring Your Own Device)の実現やテレワー

クの環境整備などにも取り組み、本格的な「働き方改革」

につなげていきたいと考えています。

ICT活用において特にいま百貨店で求められるのは、「新

しい顧客体験の提供」と「営業施策の高度化」という視

点です。大丸松坂屋百貨店では、本年度から、本格的な

デジタル戦略を外部の知見も取り入れながら推進していき

ます。

具体的には、2018年秋に大丸東京店を皮切りにリリー

スを予定しているポイントカード機能(決済稼動は来年度

予定)を備えたコミュニケーション型モバイルアプリの導入

をはじめ、デジタルツール(SFA)を活用した外商活動の進

化や、インバウンド顧客に対応したモバイル決済が可能な

売場の対象拡大など、あらゆる販売プロセス業務の見直し

に取り組み、ICT時代にキャッチアップした百貨店のオペレー

ション改革をはかっていきます。

なお、百貨店ECについては、百貨店店頭を意識したこ

れまでの“フルカテゴリー対応”を前提とした取り組みを見直

し、まずは百貨店の強みが発揮できるギフトやビューティ、フー

ズなどに対象を絞り込むことにより、具体的な成果に繋げ

ていきたいと考えています。

事業の多角化、ITを活用した新規事業の開発におい

ては、 “早く” “安く” “セキュア”なシステム導入の実現が必

要となります。そのため、当社グループは、システム構築

運用の土台となるIT基盤をクラウド上に構築することとし、

2018年度から、J.フロント リテイリング、大丸松坂屋百貨

店および関係会社のシステムは原則としてクラウドにより

開発・運用していくこととしました。同時に、現行システムの

老朽化対応状況を含め、百貨店を中心とした当社グルー

外部の知見なども積極的に取り入れながら、「百貨店のデジタル戦略」を再構築

従来の「フルカテゴリー対応」から、ギフト、ビューティー、フーズに絞り込んだECへ

「新しい顧客体験の提供」と「営業施策の高度化」

百貨店EC戦略の見直し

店頭モバイルアプリ 面前決済etc.

外商新SFA

営業活動ICT化etc.

インバウンドモバイル決済SNS活用etc.

クラウドシフト イメージ図

ICTを活用した働き方改革ICT活用によるペーパーレス化を軸とした業務フレームの抜本的見直しを実施

ICT活用による業務改革を通じた本格的な「働き方改革」へ

テレワークの環境整備推進

BYOD(Bring Your Own Device)の実現

事務処理業務自動化・効率化

グループ業務の抜本的改革

ICT化により業務プロセス改革を推進

発注入荷保管

販売 決済 支払回収

業績管理 決算 税務 人事

庶務

営業 後方

RPA導入

新GW/WF導入

ペーパーレス化先進基幹システム導入

グループシェアード業務領域拡大

デジタル活用で営業活動を高度化

グループでのクラウド化を推進

RPAを起点とした働き方改革

29統合報告書 2018

経営戦略